説明

ディスク記録及び/又は再生装置

【課題】従来のディスク記録及び/又は再生装置では、2枚目のディスク状記録媒体の挿入を阻止する機構が複雑であり、部品自体が大形であったため、装置全体の小型化が困難であった。
【解決手段】光ディスク2が出し入れされるディスク出入口9を有する筐体3と、その筐体3内に収納されると共に光ディスク2が着脱可能に装着されるターンテーブル67を有するディスクドライブ装置と、を備えたディスク記録及び/又は再生装置に関する。ディスク出入口9内にストッパ部125a,135aを突出して光ディスク2の通過を阻止する2つのストッパ部材121,122を設ける。更に、2つのストッパ部材121,122を回動させつつ進退させてディスク出入口9に対してストッパ部125a,135aを出し入れさせるストッパ進退機構11を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等のディスク状記録媒体を用いて情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み取り)を行うディスク記録及び/又は再生装置に係る。特に、2枚目のディスク状記録媒体が誤挿入されるのを防止するディスク記録及び/又は再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多数の情報を記憶しておくための装置として、CDやDVD等の光ディスク(OD)或いは光磁気ディスク(MO)その他のディスク状記録媒体を使用して情報信号の記録及び/又は再生を行うディスク記録及び/又は再生装置が提供されている。
【0003】
従来の、この種のディスク記録及び/又は再生装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、ディスク状記録媒体がディスク出入口から出し入れされるスロットイン方式のディスク記録及び/又は再生装置に関するものが記載されている。この特許文献1に係るディスク記録及び/又は再生装置(以下、「第1の従来例」という。)は、次の通りである。即ち、ディスク出入口が設けられた筐体と、ディスク出入口を覆うように設けられたゲート部材と、ディスク状記録媒体をディスク出入口に通過させて搬送するディスク移動機構と、を備えて構成されている。ゲート部材は、ディスク状記録媒体が通過される切り口を有するゲートカバーと、切り口周縁部の抵抗力を変更させる抵抗力変更手段とが設けられている。ゲート部材は、布や合成樹脂シート等の布状部材で形成されており、ディスク状記録媒体がディスク出入口に挿入されるときに、ゲートカバーがスリットを中心として回転するように構成されている。
【0004】
また、従来のディスク記録及び/又は再生装置の他の例としては、例えば、特許文献2に記載されているようなものもある。特許文献2には、再生専用(非記録系)ディスクと記録・再生両用(記録系)ディスクの両方に適用可能なディスククランプ機構とそのディスクドライブ装置に関するものが記載されている。この特許文献2に係るディスクドライブ装置(以下、「第2の従来例」という。)は、次の通りである。即ち、支点を中心にクランプ位置とクランプ解除位置との間で回動されるクランプアームを有する。更に、クランプアームの先端に遊びを有する状態に保持され且つクランプ位置へ回動されることによりディスクをターンテーブルに圧着すると共にクランプ解除位置へ回動されることによりターンテーブルに対するディスクの圧着が解除されるクランパを有する。クランプアームの先端に、ターンテーブル側へ屈曲された先端屈曲部を形成し、その際、先端屈曲部のクランプアームに対する屈曲点がクランパの重心位置よりも支点側へ所定寸法だけ偏位されている、ことを特徴としている。
【0005】
しかしながら、上述した第1及び第2の従来例の場合には、ともに2枚目の光ディスクの挿入を防止する機構がなかったために、2枚目の光ディスクが誤挿入されるおそれがあった。
【特許文献1】特開2002−334499号公報
【特許文献2】特開2006−302425号公報
【0006】
なお、特許文献として引用しないが、ディスク出入口の略全体を覆う平板状のシャッタ部材を設け、そのシャッタ部材を回動させてディスク出入口を閉じる形式の誤挿入防止機構は存在した。しかしながら、その誤挿入防止機構は、部品自体が大きいために、装置全体が大型化されるという問題があった。更に、シャッタ部材を回転させるための支点構造が必要となることから、構造が複雑になるという問題もあった。
更に、ディスク出入口の付近に配置されたシャッタ部材を、光ディスクの移動軌跡上に移動させるタイプのものも存在した。しかしながら、そのタイプのものは、連動するガイド部品の移動スペースが必要になることから、装置全体の小型化が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来のディスク記録及び/又は再生装置では、2枚目のディスク状記録媒体の挿入を阻止する機構が複雑であり、部品自体が大形であったため、装置全体の小型化が困難であったという問題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ディスク状記録媒体が出し入れされるディスク出入口を有する筐体と、その筐体内に収納されると共にディスク状記録媒体が着脱可能に装着されるディスク装着部を有するディスクドライブ装置と、を備えたディスク記録及び/又は再生装置に関する。ディスク出入口内にストッパ部を突出してディスク状記録媒体の通過を阻止する少なくとも1のストッパ部材と、少なくとも1のストッパ部材を回動させつつ進退させてディスク出入口に対してストッパ部を出し入れさせるストッパ進退機構と、を設けた。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1枚目のディスク状記録媒体が挿入された後は、ストッパ部材を動作させてストッパ部をディスク出入口に突出させることにより、2枚目のディスク状記録媒体が挿入される誤挿入を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ストッパ進退機構でストッパ部材を回動させつつ昇降させることにより、ストッパ部をディスク出入口に突出させて2枚目のディスク状記録媒体の挿入を阻止することにより、ディスク状記録媒体や内部装置、機構の破損等を防止することができる。
【実施例1】
【0011】
以下に、本発明のディスク記録及び/又は再生装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明のディスク記録及び/又は再生装置の実施の例を示すもので、情報の再生のみならず記録も可能としたディスク記録再生装置に適用した外観斜視図ある。この実施例に示すディスク記録再生装置1は、ディスク状記録媒体として直径12cmの光ディスク2を用いて情報信号の記録(書き込み)と再生(読み出し)の両方が可能に構成されている。しかしながら、ディスク記録及び/又は再生装置としては、再生のみが可能なディスク再生装置であってもよく、また、記録のみが可能なディスク記録装置であってもよい。
【0012】
また、ディスク状記録媒体としては、CDやDVD等の再生専用の光ディスク、1度の書き込みが可能なCD−RやDVD−R、ビデオCD−R等の光ディスクを適用することができる。更に、何度でも書き込みが可能なCD−RWやDVD−RW、ビデオCD−RW等の光ディスクは勿論のこと、再生専用のCDやCD−ROM等の光ディスクを用いることもできる。更に又、ディスク状記録媒体として光磁気ディスク(MO)その他のディスク状記録媒体を使用することもできる。
【0013】
図1に示すように、ディスク記録再生装置1は、上面及び下面に開口されたベース部材をなすメインシャーシ4と、このメインシャーシ4の上面を覆う上面部材である上部プレート5とを有している。メインシャーシ4と上部プレート5とで直方体をなす偏平の筐体3が構成されている。この筐体3の内部には、メインシャーシ4に移動可能に支持されたディスクドライブ装置6が収納されている。更に、筐体3の内部には、光ディスク2を筐体3内のディスク装着部と筐体3外のディスク取出部との間に搬送するディスク搬送機構7と、制御装置等が収納されている。制御装置は、ディスクドライブ装置6とディスク搬送機構7とその他の装置や機構等を動作させる。
【0014】
メインシャーシ4は、図8に示すように、長方形をなすよう四角形の枠状に形成された正面部4a、背面部4b及び左右の側面部4c,4dを有している。そして、互いに対向するように配置された正面部4aと背面部4bの向き合う方向が、光ディスク2の搬送される前後方向となっている。正面部4aの内側には、前後方向と交差する左右方向に所定の幅を持って延在された前棚部8aが設けられている。また、左側面部4cの内側には、所定の幅を持って前後方向に延在された左摺動部8bが設けられ、右側面部4dの内側には、所定の幅を持って前後方向に延在された右摺動部8cが設けられている。そして、背面部4bの内側には、左摺動部8bの後端部と右摺動部8cの後端部を連結するように、所定の幅を持って左右方向に延在された後棚部8dが設けられている。
【0015】
筐体3の正面部(メインシャーシ4の正面部と上部プレート5の正面部)の接触部には、光ディスク2が出し入れされるディスク出入口9が設けられている。ディスク出入口9は、左右方向に延在された横長の長穴として形成されており、横方向の長さは光ディスク2の直径よりもやや大きく(1〜2ミリ程度)形成され、縦方向の長さは光ディスク2の厚さよりも適当に大きく(5〜8ミリ程度)形成されている。このディスク出入口9には、光ディスク2の通過を許容するが、常時は閉じていて塵埃等の通過を阻止する防塵部材を取り付けることが好ましい。この防塵部材としては、例えば、不織布、プラスチックシート等で形成された布状部材を用い、その中央部に光ディスク2を通過させるための切り込みを設けることによって構成することができる。
【0016】
メインシャーシ4の正面部4aの上部には、後述するディスク搬送機構10が配置されて取り付けられている。このディスク搬送機構10と前棚部8aとの間には所定の空間部が設定されており、その空間部には、後に詳細に説明する、ディスク搬送機構10の動力部と、少なくとも1のストッパ部材を有するストッパ進退機構11とが設けられている。ストッパ進退機構11は、ストッパ部材を移動させることにより、ストッパ部をディスク出入口9に突出させて光ディスク2の通過を阻止すると共に、そのストッパ部をディスク出入口9から引き込めて光ディスク2の通過を許容する。
【0017】
ディスク搬送機構10は、図18〜図20に示すような構成を有している。即ち、ディスク搬送機構10は、ベースプレート14と一対のホルダアーム15A,15Bと一対の操作レバー16A,16B及び一対の回動レバー17A,17Bと第1の捩りバネ18A,18B及び第2の捩りバネ19A,19Bを有している。ベースプレート14は平板状に形成されている。このベースプレート14に、一対のホルダアーム15A,15Bと、一対の操作レバー16A,16B及び一対の回動レバー17A,17Bが回動可能に支持されている。そして、第1の捩りバネ18A,18Bと第2の捩りバネ19A,19Bとが、2組のレバー部材16A,16B及び17A,17Bをベースプレート14の面方向へ付勢する付勢部材の一具体例を示している。
【0018】
ディスク搬送機構10のベースプレート14は、メインシャーシ4の前後方向(光ディスク2の搬送方向)と直交する左右方向の長さが当該メインシャーシ4と同じ長さに設定されていて、前後方向に適宜な幅を有している。このベースプレート14の左右方向となる長手方向の両側には、扇形とされた扇形部14a,14bが設けられている。各扇形部14a,14bの扇形の中心となる両角部には、一対のホルダアーム15A,15Bをそれぞれ回動自在に支持するための軸受部21a,21bがそれぞれ設けられている。各軸受部21a,21bは、内側半分を切り欠いた半円筒状の筒軸部として形成されており、その内部には、駆動ギアがそれぞれ回転自在に挿入される。
【0019】
ベースプレート14の扇形部14a,14bには、表裏面間を貫通する略扇形をなす開口部24a,24bが設けられている。各開口部24a,24bには、第1のプーリ22A,22Bをそれぞれ回転自在に支持する一対のホルダアーム15A,15Bの第1のプーリ軸受部25(図21を参照)がそれぞれ貫通されている。一対のホルダアーム15A,15Bは左右対称の形状及び構成を有しており、その代表例として左側に位置する第1のホルダアーム15Aを図21に示す。
【0020】
第1のホルダアーム15A(第2のホルダアーム15Bも同様)は、平面形状が略三角形に形成された板状の部材からなり、その一つの角部は丸められている。そして、丸められた角部の中心部に、ベースプレート14に設けた半円筒状の筒軸部が回動自在に嵌合される軸受穴27A(27B)が設けられている。ホルダアーム15A(15B)の一方の側縁には、所定間隔をあけて第1のプーリ軸受部25A(25B)と第2のプーリ軸受部26A(26B)が設けられている。ホルダアーム15A(15B)をベースプレート14に組み立てた状態において、第1のプーリ軸受部25A(25B)は開口部24a(24b)に配置され、第2のプーリ軸受部26A(26B)は扇形部14a(14b)の外側に配置される。そして、ホルダアーム15A(15B)の回動動作を許容するため、扇形部14a(14b)の外縁は円弧状に形成されている。
【0021】
第1のプーリ軸受部25A(25B)と第2のプーリ軸受部26A(26B)は、ホルダアーム15A(15B)の一面側へ突出するように形成されている。プーリ軸受部25A(25B)は、突出側の先端に設けた先端側軸受片25aと、これに対向されたアーム側の基端側軸受片25bを有している。そして、先端側軸受片25aと基端側軸受片25bとは脚片によって連結され、所定の間隔を保持するようになされている。同様に、プーリ軸受部26A(26B)は、突出側の先端に設けた先端側軸受片26aと、これに対向されたアーム側の基端側軸受片26bを有している。そして、先端側軸受片26aと基端側軸受片26bとは脚片によって連結され、所定の間隔を保持するようになされている。
【0022】
これら先端側軸受片25a,26a及び基端側軸受片25b,26bには、それぞれ側方に開口された軸受孔が設けられている。これらの軸受孔を用いて、第1のプーリ軸受部25A(25B)の先端側軸受片25aと基端側軸受片25bの間には第1のプーリ軸28が掛け渡されて両端支持されている。また、第2のプーリ軸受部26の先端側軸受片26aと基端側軸受片26bの間には、第2のプーリ軸29が、その両端を軸受孔に係合させることによって掛け渡されて両端支持されている。第1のプーリ軸28には第1のプーリ22A(22B)が回転自在に支持され、第2のプーリ軸29には第2のプーリ23A(23B)が回転自在に支持されている。
【0023】
第1のプーリ22A(22B)及び第2のプーリ23A(23B)は、光ディスク2を半径方向外側から複数個で挟んで搬送するもので、そのための周方向に連続する環状溝が外周面に設けられている。また、第1のプーリ22A(22B)には第1の出力ギア31A(31B)が一体に設けられ、第2のプーリ23A(23B)には第2の出力ギア32A(32B)が一体に設けられている。第1のプーリ22A(22B)と第2のプーリ23A(23B)は同一のものであり、第1の出力ギア31A(31B)と第2の出力ギア32A(32B)も同一のものである。
【0024】
更に、ホルダアーム15A(15B)のプーリ軸受部25A(25B),26A(26B)のある面には、5つの軸部33a〜33eが所定位置に配置されて設けられている。5つの軸部33a〜33eには、5個の中間ギア34a〜34eがそれぞれ回転自在に支持されている。第1の中間ギア34aは、その一部が軸受穴27A(27B)内に突出するように配置されており、組立後には、ディスク搬送機構10の駆動ギアと噛合される。この第1の中間ギア34aには第2の中間ギア34bが噛合されており、その第2の中間ギア34bが第1の出力ギア31A(31B)と噛合されている。第1の出力ギア31A(31B)には第3の中間ギア34cが噛合され、第3の中間ギア34cには第4の中間ギア34dが噛合されている。そして、第4の中間ギア34dには第5の中間ギア34eが噛合され、その第5の中間ギア34eが第2の出力ギア32A(32B)と噛合されている。
【0025】
ホルダアーム15A(15B)がベースプレート14に組み立てられた状態では、そのプーリ軸受部25A,26A(25B,26B)は、ベースプレート14の軸受部21a(21b)のある面側に出力ギア31A,32A(31B,32B)が突出される。この出力ギア31A,32A(31B,32B)と一体に設けたプーリ22A,23A(22B,23B)が、ベースプレート14の反対の面側に突出されている。かくして、ディスク搬送機構10の駆動ギアから第1の中間ギア34aに回転力が伝達されると、その回転力が第2の中間ギア34bを介して第1の出力ギア31A(31B)に伝達される。更に、第1の出力ギア31A(31B)に伝達された回転力は、第3の中間ギア34cから第4の中間ギア34d及び第5の中間ギア34eを介して第2の出力ギア32A(32B)に伝達される。その結果、第1のプーリ22A(22B)と第2のプーリ23A(23B)が共に同じ方向に回転駆動される。
【0026】
また、ホルダアーム15A(15B)のプーリ軸受部25A,26A(25B,26B)のある面には、レバー用軸部35が立設されている。レバー用軸部35は、軸受穴27A(27B)と第1のプーリ軸受部25A(25B)との間に配置されており、略円弧状に形成された押えレバー36の一端が回動可能に支持されている。押えレバー36は、5つの軸部33a〜33e又は5個の中間ギア34a〜34eの少なくとも一方と重なり合うことができる形状とされており、5個の中間ギア34a〜34eのいずれもが軸部33a〜33eから脱落するのを防止している。この押えレバー36は、付勢部材の一具体例を示す第3の捩りバネ37によってプーリ軸受部25A(25B)から離れる方向へ付勢されている。
【0027】
第3の捩りバネ37のコイル部はレバー用軸部35に装着されており、そのコイル部に連続する一方のバネ片はホルダアーム15A(15B)に係止され、そのコイル部の他方に連続するバネ片が押えレバー36に係止されている。この第3の捩りバネ37による押えレバー36の回動を、ホルダアーム15A(15B)に設けた係止部38によって制限している。更に、押えレバー36の先端部には、ホルダアーム15A(15B)の開口部24a(24b)を貫通してプーリ軸受部25A,26A(25B,26B)と同方向に突出する操作ピン39が設けられている。操作ピン39は、ホルダアーム15A(15B)が正面側に移動するのを制限するときに使用される。この操作ピン39に対応してベースプレート14には、回動レバー17A(17B)が設けられている。
【0028】
回動レバー17A(17B)は、ベースプレート14の開口部24a(24b)内に配置されており、枢軸によって回動自在に支持されている。この回動レバー17A(17B)は前後方向に延在されており、その長手方向の中途部に枢軸が設けられている。この回動レバー17A(17B)は、第2の捩りバネ19A(19B)によって前端側が内側へ付勢され、後端側が開口部24a(24b)の縁から離れる方向へ移動されている。この第2の捩りバネ19A(19B)のコイル部はベースプレート14に係止されている。そして、捩りバネ19A(19B)のコイル部に連続する一方のバネ片が回動レバー17A(17B)の先端部に係止され、そのコイル部の他方に連続するバネ片がベースプレート14に係止されている。
【0029】
また、ベースプレート14の長手方向の中間部には、左右の扇形部14a,14bと同方向に突出する中央支持部14cが設けられている。この中央支持部14cを回動中心とする一対の操作レバー16A,16Bが、ベースプレート14の軸受部21a(21b)のある面側に配置されている。一対の操作レバー16A,16Bは、それぞれ略への字形に形成されたレバー状の部材からなり、第1の操作レバー16Aの長手方向の中途部にはガイドピン41が設けられている。そして、ガイドピン41が摺動可能に係合される長穴42が、第2の操作レバー16Bの長手方向の中途部に設けられている。
【0030】
一対の操作レバー16A,16Bは、それぞれの長手方向の一端が、中央支持部14cに設けた一対の枢軸43A,43Bによって回動自在に支持されている。各枢軸43A,43Bには、第1の捩りバネ18A,18Bのコイル部が装着されている。この第1の捩りバネ18A,18Bのコイル部の一方に連続するバネ片が各操作レバー16A,16Bに係止され、そのコイル部の他方に連続するバネ片は、ベースプレート14に設けたバネ受け片にそれぞれ係止されている。この第1の捩りバネ18A,18Bのバネ力により、一対の操作レバー16A,16Bの各自由端側は、常時前側に付勢されている。
【0031】
一対の操作レバー16A,16Bの自由端側の先端には、一対のホルダアーム15A,15Bを回動させるためのカムピン44A,44Bが設けられている。これらのカムピン44A,44Bは、対応するホルダアーム15A,15Bに設けたカム溝に摺動可能に係合されている。その結果、一対の操作レバー16A,16Bを回動させることにより、一対のホルダアーム15A,15Bが軸受部21a,21bを回動中心として連動して回動するようになっている。
【0032】
図18は、ディスク搬送機構10の初期状態を示すもので、X字状に交差された一対の操作レバー16A,16Bは、第1の捩りバネ18A,18Bのバネ力によって前側に付勢されている。このとき、一対の操作レバー16A,16Bの自由端側は、ベースプレート14の前端縁と略平行をなすように延在されている。そして、一対の操作レバー16A,16Bの自由端に設けたカムピン44A,44Bの作用により、そのカムピン44A,44Bが係合されているカム溝を有する一対のホルダアーム15A,15Bは、それぞれ最も前側に位置した状態となっている。この際、各ホルダアーム15A,15Bの先端に保持されている第2のプーリ23A,23Bは、ベースプレート14の左右の扇形部14a,14bと中央支持部14cとの間に形成された切欠き部内に入り込んでいる。
【0033】
ディスク搬送機構10を筐体3に組み立てると、そのディスク搬送機構10はディスク出入口9の内側に配置される。このとき、ディスク搬送機構10のベースプレート14は、ディスク出入口9を通過する光ディスク2の移動軌跡の下方に配置されている。このベースプレート14の上方の光ディスク2の移動軌跡上には、ベースプレート14の左右方向両側に配置されている一対のホルダアーム15A,15Bの、第1のプーリ軸受部25A,25Bに支持されている左右の第1のプーリ22A,22Bが位置している。更に、光ディスク2の移動軌跡上には、第2のプーリ軸受部26A,26Bに支持されている左右の第2のプーリ23A,23Bと、左右の押えレバー36,36に設けた操作ピン39,39も位置している。そして、第1のプーリ22A,22Bは第2のプーリ23A,23Bよりも前側に位置しており、その第1のプーリ22A,22Bの内側で奥行き方向の奥側に、より接近した状態の第2のプーリ23A,23Bが位置している。
【0034】
図18〜図20は、ディスク搬送機構10を下方(光ディスク2の移動軌跡の下側)から見た動作状態を説明するものである。即ち、図18は、光ディスク2をディスク出入口9に挿入する前(又は光ディスク2がディスク出入口9から排出された後)の状態を示している。図19は、光ディスク2がディスク出入口9を通過する際(光ディスク2を挿入するか又は排出するとき)の状態を示している。そして、図20は、光ディスク2がディスク出入口9を通過した後(又は光ディスク2をディスク出入口9から排出する前)の状態を示している。
【0035】
図18に示す初期状態から、例えば、光ディスク2をディスク出入口9に挿入すると、その光ディスク2は、第1及び第2のプーリ22A,22B及び23A,23Bのうち、まず、一対の第2のプーリ23A,23Bに当接し、これらを奥側に押し込む。これにより、第1のホルダアーム15Aが、第1の軸受部21aを回動中心として図中反時計方向に回動される。この第1のホルダアーム15Aの回動に連動して、第2の操作レバー16Bが、第1の捩りバネ18Bのバネ力に抗して第2の枢軸43Bを回動中心として図中時計方向に回動される。これと同時に、第2のホルダアーム15Bは、第2の軸受部21bを回動中心として図中時計方向に回動される。この第2のホルダアーム15Bの回動に連動して、第1の操作レバー16Aが、第1の捩りバネ18Aのバネ力に抗して第1の枢軸43Aを回動中心として図中反時計方向に回動される。このとき、第1の操作レバー16Aのガイドピン41が第2の操作レバー16Bの長穴42内を移動するため、左右の操作レバー16A,16Bを確実且つスムースに回動させることができる。
【0036】
次に、図19に示す中途状態のように、光ディスク2がある程度挿入されると、その光ディスク2は、一対の第1のプーリ22A,22Bに当接し、これらを奥側に押し込む。これにより、一対の第2のプーリ23A,23Bが光ディスク2から離れ、第1のホルダアーム15Aが更に反時計方向に回動され、第2のホルダアーム15Bが更に時計方向に回動される。この第1のホルダアーム15A及び第2のホルダアーム15Bの回動により、第2の操作レバー16Bは第1の捩りバネ18Bのバネ力に抗して更に時計方向に回動される。更に、第1の操作レバー16Aは第1の捩りバネ18Aのバネ力に抗して更に反時計方向に回動される。
【0037】
そして、光ディスク2が更に押し込まれ(或いは引き入れられ)、図20に示すように終端状態に近づくと、再び光ディスク2は、一対の第1のプーリ22A,22Bから離れ、一対の第2のプーリ23A,23Bに当接される。これにより、第1のホルダアーム15Aが更に反時計方向に回動され、第2のホルダアーム15Bが更に時計方向に回動される。その後、図示しないが、光ディスク2がディスク装着部まで搬送されると、一対の第2のプーリ23A,23Bが光ディスク2から離れる。そして、第1のプーリ22A,22Bと第2のプーリ23A,23Bが共に光ディスク2から離れた状態で、一対のホルダアーム15A,15Bがロックされる。
【0038】
この一対のホルダアーム15A,15Bのロック状態において、光ディスク2がディスク装着部に装着される。これにより、ディスク装着部に装着された光ディスク2に対する情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み出し)が可能となる。
この際、光ディスク2の搬送状態は、図示しないディスク搬送検出部によって検出される。ディスク搬送検出部としては、例えば、光ディスク2の移動によってオン・オフされるリミットスイッチや位置検出センサ等を用いることができる。このディスク搬送検出部の検出信号に基づいて、例えば、後述するストッパ進退機構の動作が制御され、光ディスク2がディスク取出部とディスク装着部とに選択的に搬送される。
なお、情報信号の記録再生に供された光ディスク2は、上述した動作と逆の動作を経て、ディスク搬送機構10により搬送され、ディスク出入口9から排出される。
【0039】
このようにして光ディスク2を搬送するディスク搬送機構10の動力部は、図5〜図7に示すように、メインシャーシ4の前棚部8aに配置されている。このディスク搬送機構10の動力部は、1個の駆動モータ45と、その駆動モータ45の回転軸に固定されたウォーム46と、6種類のギア47〜52と、2個のプーリ53,54とを有している。2個のプーリ53,54は、動力伝達媒体の一具体例を示す無端状に連続されたゴムベルト55によって動力伝達可能に連結されている。また、駆動モータ45はモータブラケット56を介して、その回転軸の軸心線を左右方向へ向けた状態で前棚部8aに固定されている。この駆動モータ45は前棚部8aの左右方向の略中央部に配置されており、その駆動モータ45の一方の端面部にモータブラケット56がネジ止めされている。
【0040】
モータブラケット56には、大径ギアと小径ギアを一体に設けた第1のギア47が回転自在に支持されている。その第1のギア47の下部に設けた大径ギアがウォーム46に噛合され、上部に設けた小径ギアが第2のギア48の上部に設けた大径ギアに噛合されている。この第2のギア48は、メインシャーシ4に設けた第1の支持軸57に回動自在に支持されている。第1の支持軸57には、揺動レバー58も回動自在に支持されている。揺動レバー58には回動軸64が立設されており、その回動軸64に第3のギア49が回動自在に支持されている。第3のギア49は、第2のギア48の大径ギアに噛合されており、揺動レバー58の回動に応じて、第3のギア49が大径ギアに噛合した状態で第2のギア48の外側を所定範囲内で回動変位可能とされている。
【0041】
揺動レバー58の回動方向の一方の端部において、第3のギア49が第4のギア50の下部に設けた小径ギアに噛合される。これにより、第3のギア49まで伝達された駆動モータ45の回転力が、第3のギア49から第4のギア50に伝達される。これに対して、揺動レバー58が逆方向に回動すると、第3のギア49が第4のギア50の小径ギアから外れて噛合状態が解除される。これにより、第3のギア49が空回り状態となり、第3のギア49まで伝達された駆動モータ45の回転力は、第4のギア50に伝達されない状態となる。
【0042】
第4のギア50の上部には大径ギアが一体に設けられており、その大径ギアと小径ギアとの間に第1のプーリ部53が一体に設けられている。この第1のプーリ部53を回転自在に支持するための第2の支持軸59が、メインシャーシ4の前棚部8aの一方の角部に立設されている。この第2の支持軸59と対称をなすように前棚部8aの他方の角部には、第3の支持軸60が立設されている。第3の支持軸60には、第5のギア51が回転自在に支持されている。第5のギア51は、上部に設けた小径ギアと、下部に設けた大径ギアを有している。前棚部8aの第3の支持軸60の近傍には第4の支持軸61が立設されている。第4の支持軸61には第6のギア52が回転自在に支持されており、この第6のギア52の上部に第2のプーリ部54が一体に設けられている。そして、第2のプーリ部54と第1のプーリ部53との間にゴムベルト55が動力伝達可能に掛け渡されている。
【0043】
また、第2のギア48の下部には小径ギアが設けられており、その小径ギアに第7のギア62の大径ギアが噛合されている。第7のギア62は、前棚部8aに立設された第5の支持軸63に回動自在に支持されている。第7のギア62の大径ギアの上部には小径ギアが一体に設けられており、この小径ギアには、後述する第1のスライドカム部材93のラック部98が着脱可能に噛合される。
【0044】
かくして、駆動モータ45を駆動すると、その回転軸の回転力が、ウォーム46から第1のギア47の大径ギアに伝達され、その第1のギア47の小径ギアから第2のギア48の大径ギアに伝達される。更に、第2のギア48に伝達された回転力は、第3のギア49と第4のギア50が噛合している状態にあるときには、その大径ギアから第3のギア49を介して、第4のギア50の小径ギアに伝達される。これに対して、第3のギア49が第4のギア50から外れて噛合していない状態にあるときには、その回転力は第4のギア50側には伝達されない。
【0045】
第4のギア50に伝達された回転力は、一方で、その駆動ギアである大径ギアからホルダアーム15Aの第1の中間ギア34aに伝達され、他方で、第1のプーリ部53からゴムベルト55に伝達される。このゴムベルト55に伝達された回転力により、第2のプーリ部54が回転駆動される。これにより、第2のプーリ部54と一体の第6のギア52が回転駆動され、その回転力が第5のギア51の大径ギアに伝達される。その結果、第5のギア51の小径ギア(駆動ギア)からホルダアーム15Bの第1の中間ギア34aに回転力が伝達される。
【0046】
また、メインシャーシ4の中央部には、前棚部8aと左右摺動部8b,8cと背面部4bとで囲まれた略長方形をなす開口部65が設けられている。そして、メインシャーシ4の後部に設けた後棚部8dが、開口部65の上方を覆うように一段高い位置に配置されている。このメインシャーシ4の開口部65内にディスクドライブ装置6が配置されている。そして、左右方向の水平状態を維持しつつ前後方向へ回動可能として、ディスクドライブ装置6がメインシャーシ4に姿勢変更可能に支持されている。
【0047】
ディスクドライブ装置6は、図5〜図7及び図9等に示すように、略直方体をなす偏平で枠状のドライブホルダ66と、スピンドルモータ68と、光ピックアップ70と、ピックアップ移動機構71等を備えて構成されている。スピンドルモータ68は、ターンテーブル67を有しており、ドライブホルダ66に固定されている。また、ドライブホルダ66には、光ピックアップ70が移動可能に支持されている。そして、光ピックアップ70は、ピックアップ移動機構71によって移動可能とされている。
【0048】
ドライブホルダ66は、略長方形をなす枠状の上面部66aと、この上面部66aと対向するように所定の間隔をあけて設けた下面部66bと、上面部66aの外縁と下面部66bの外縁間を連結して側面を囲うように設けた側面部66cとを有している。このドライブホルダ66の長手方向一側において幅方向略中央部にスピンドルモータ68が配置されていて、回転軸を上方へ向けた状態でスピンドルモータ68が下面部66bにネジ止めされている。スピンドルモータ68としては、例えば、ステッピングモータやDCモータ等を適用することができる。
【0049】
図17A,17Bに示すように、スピンドルモータ68の回転軸69の上部に、ディスク装着部であるターンテーブル67が固定されて回転方向に一体とされている。ターンテーブル67は、光ディスク2のセンタ穴2aの周縁部が載置される載置部67aと、そのセンタ穴2aに嵌合される嵌合部67bとを有している。ターンテーブル67の載置部67aは、光ディスク2のセンタ穴2aよりも直径をやや大きくした円盤形状をなしており、その中央部に嵌合部67bが上方へ突出するように設けられている。
【0050】
ターンテーブル67の嵌合部67bは、光ディスク2のセンタ穴2aに見合う大きさとされている。この嵌合部67bの内部に、リング状をなすマグネット73とヨーク74が内蔵されており、このマグネット73の吸着力によって後述するクランプ部材がターンテーブル67に吸着される。これにより、ターンテーブル67に装着された光ディスク2が、クランプ部材とターンテーブル67とで挟持されて回転方向に一体化される。このターンテーブル67に対して光ピックアップ70が、ピックアップ移動機構71の作動により所定範囲内で接近及び離反可能に構成されている。
【0051】
光ピックアップ70は、例えば、対物レンズ75を有する2軸アクチュエータと、レーザ光を発生する半導体レーザと、光ディスクの情報記録面で反射されて戻るレーザ光を受光する光検出器等によって構成されている。2軸アクチュエータは、対物レンズ75をフォーカス方向(情報記録面と垂直をなす方向)とトラッキング方向(情報記録面と水平をなす方向)とに動かして、対物レンズ75の焦点を情報記録面に合わせるものである。この2軸アクチュエータの駆動力としては専ら電磁力が用いられており、可動部の支持方式の違いとして、板ばね方式、ワイヤ支持方式、ヒンジ方式、軸摺動方式等に分類される。この2軸アクチュエータはスライド部材76に搭載されており、ターンテーブル67に装着された光ディスク2の情報記録面に対して対物レンズ75が対向されるようになっている。
【0052】
スライド部材76は、2軸アクチュエータを収納する空間部と、レーザ光が通過する光路を有する横長のブロック状の部材からなり、その光路上に半導体レーザと光検出器等が配置されて固定されている。このスライド部材76の長手方向の両側部において、その長手方向と直交する方向に2本のガイド軸77A,77Bが貫通されている。2本のガイド軸77A,77Bは互いに平行とされていて、ドライブホルダ66の開口部を長手方向へ跨ぐように掛け渡されている。
【0053】
2本のガイド軸77A,77Bの一端は、スピンドルモータ68を挟むようにその両側に配置され、下面部66bに設けた前軸受片78A,78Bによって支持されている。また、2本のガイド軸77A,77Bの他端は、同じく下面部66bに設けた後軸受片79A,79Bによって支持されている。2本のガイド軸77A,77Bのそれぞれの端部は、下面部66bに固定された板バネ81により付勢されており、これにより、所定位置への位置決めと振動の吸収等がなされている。
【0054】
2本のガイド軸77A,77Bのうち、第1のガイド軸77Aは、スライド部材76の長手方向の一側に設けた第1の軸受部82を摺動可能に貫通している。第1の軸受部82は断面U字形の凹部からなる軸受溝を有しており、その軸受溝内に第1のガイド軸77Aが摺動可能に係合されている。また、第2のガイド軸77Bは、スライド部材76の長手方向の他側に設けた第2の軸受部83を摺動可能に貫通している。第2の軸受部83は、第2のガイド軸77Bの軸方向に所定の間隔をあけて設けた2つの軸受凸部を有し、各軸受凸部には円形の軸受穴が設けられている。この2つの軸受穴に第2のガイド軸77Bが摺動可能に挿通されている。
【0055】
この第2のガイド軸77Bの、第1のガイド軸77Aと反対側には、軸心線を第2のガイド軸77Bの軸心線と平行にした送りネジ軸84が配置されている。送りネジ軸84は、送りモータ85の回転軸となっている。送りモータ85としては、例えば、ステッピングモータやDCモータ等を適用することができる。この送りモータ85は、L字状に折り曲げ形成されたモータブラケット86にネジ止めされていて、モータブラケット86が下面部66bに同じくネジ止めされている。そして、送りネジ軸84の先端部は、下面部66bの前軸受片78Bの近傍に設けた軸受片87に回動自在に支持されている。この送りネジ軸84には、スライド部材76に設けた送りナット88が摺動可能に係合されている。
【0056】
前記2本のガイド軸77A,77Bと送りネジ軸84と送りモータ85等によってピックアップ移動機構71が構成されている。このピックアップ移動機構71は、図示しない制御装置から供給される制御信号に基づいて動作され、その結果、光ピックアップ70が、次のように動作される。送りモータ85の駆動によって送りネジ軸84が回転されると、その回転力が送りナット88からスライド部材76に伝達される。これにより、送りネジ軸84の回転方向に応じて光ピックアップ70が、2本のガイド軸77A,77Bにガイドされて、ターンテーブル67に対して接近し、又はターンテーブル67から離反する方向に移動される。この光ピックアップ70の移動時に、光ディスク2の情報記録面に対する情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み出し)が実行される。
【0057】
このような構成を有するディスクドライブ装置6のドライブホルダ66における側面部66cの左右方向両側には、図5〜図7及び図9等に示すように、側方に突出する2つのカムピン91A,91B及び92A,92Bがそれぞれ設けられている。左側面部に位置する第1のカムピン91A,91Bと右側面部に位置する第2のカムピン92A,92Bは、同じカムピンを点対称をなす位置に配置することによって形成されている。
【0058】
この実施例では、第1のカムピン91A,91Bのうち、スピンドルモータ68に近い前側カムピン91Aの高さ方向の位置に比べて、スピンドルモータ68から遠い後側カムピン91Bの高さ方向の位置を高く設定し、前後方向で高さの段差を設けている。これに対して、第2のカムピン92A,92Bでは、スピンドルモータ68に近い前側カムピン92Aの高さ方向の位置を高く設定し、スピンドルモータ68から遠い後側カムピン92Bの高さ方向の位置を低く設定して、前後方向で高さの段差を設けている。なお、第1の前側カムピン91Aの高さと第2の後側カムピン92Bの高さは同じであり、第1の後側カムピン91Bの高さと第2の前側カムピン92Aの高さは同じである。
【0059】
このような構成を有するドライブホルダ66に対応させて、その左側面部には第1のスライドカム部材93を対向させて配置し、その右側面部には第2のスライドカム部材94を対向させて配置している。第1のスライドカム部材93は、メインシャーシ4の左摺動部8bに前後方向へ摺動可能に収納されている。また、第2のスライドカム部材94は、メインシャーシ4の右摺動部8cに前後方向へ摺動可能に収納されている。図8等に示すように、左摺動部8bと中央の開口部64との間を仕切る第1の仕切り壁95aには、ドライブホルダ66に設けた第1のカムピン91A,91Bが挿通される第1の切欠き部115a,115bを対応する2箇所に設けている。同様に、右摺動部8cと中央の開口部64との間を仕切る第2の仕切り壁95bには、ドライブホルダ66に設けた第2のカムピン92A,92Bが挿通される第2の切欠き部116a,116bを対応する2箇所に設けている。
【0060】
第1のスライドカム部材93は、図9及び図10等に示すような形状及び構成を有している。即ち、第1のスライドカム部材93は、細長い板状の上面部93aと、この上面部93aの幅方向の一側に連続させて設けた内側面部93bと、上面部93aの幅方向の他側に連続させて設けた外側面部93cとを有する断面形状が略コ字形の棒体からなっている。第1のスライドカム部材93の上面部93aには、後述する連動リンクの一端を回動自在に支持する第1の連結支持部96と、後述する作動レバーを回動させる上カム部97とが設けられている。第1の連結支持部96は上面部93aの長手方向の一側である後端部に配置され、上カム部97は長手方向の中間部に配置されている。
【0061】
また、第1のスライドカム部材93の内側面部93bには、第7のギア62の小径ギアに噛合可能とされたラック部98と、ドライブホルダ66に設けた第1のカムピン91A,91Bと摺動可能に係合される第1のカム部99とが設けられている。図10に示すように、第1のスライドカム部材93のラック部98は、連結支持部96と反対側の内側面部93bの先端部において、前後方向へ所定の範囲内に設けられている。また、第1のカム部99は、内側面部93bの長手方向の一側であるラック部98に近い前側に配置された第1の前カム部99Aと、連結支持部96に近い後側に配置された第1の後カム部99Bとから構成されている。第1の前カム部99Aには第1の前カムピン91Aが係合され、第1の後カム部99Bには第1の後カムピン91Bが係合されている。
【0062】
第1の前カム部99Aは、下方に開口された挿入口101aと、この挿入口101aの上部から後方へ水平に延在された下水平部101bと、斜面部101cと、上水平部101dとを有している。斜面部101cは、下水平部101bの後部から斜め上方へ延在されており、この斜面部101cの上部から後方へ水平に上水平部101dが延在されている。同様に、第1の後カム部99Bは、下方に開口された挿入口102aと、この挿入口102aの上部から後方へ水平に延在された下水平部102bと、斜面部102cと、上水平部102dとを有している。斜面部102cは、下水平部102bの後部から斜め上方へ延在されており、この斜面部102cの上部から後方へ水平に上水平部102dが延在されている。
【0063】
第1のスライドカム部材93を水平にした状態において、第1の前カム部99Aの上水平部101dと第1の後カム部99Bの上水平部102dとは、同じ高さ位置となるように設定されている。これに対して、第1の前カム部99Aの下水平部101bは第1の後カム部99Bの下水平部102bよりも低い位置に設定されており、第1の前カムピン91Aと第1の後カムピン91Bとの間に設けた段差と対応するように構成されている。
【0064】
第1のスライドカム部材93の外側面部93cは、断面形状をL字状とすることによって側方に突出するフランジ部が設けられている。この外側面部93cのフランジ部は、左摺動部8bから第1のスライドカム部材93が抜け出すのを防止するためのもので、組立後に、メインシャーシ4に設けた抜止め片が係合されて抜け止めされている。
【0065】
また、第2のスライドカム部材94は、図9及び図11等に示すような形状及び構成を有している。即ち、第2のスライドカム部材94は、細長い板状の上面部94aと、この上面部94aの幅方向一側に連続させて設けた内側面部94bと、上面部94aの幅方向他側に連続させて設けた外側面部94cとを有する断面形状が略コ字形をなす棒体とされている。第2のスライドカム部材94の上面部94aには、連動リンクの他端を回動自在に支持する第2の連結支持部104と、後述する駆動レバーを回動させるレバー支持部105と、後述する第1の支持アームを回動させるアーム操作部106とが設けられている。第2の連結支持部104は上面部94aの長手方向の一側である後端部に配置され、アーム操作部106は長手方向の中間部に配置されていて、第2の連結支持部104とアーム操作部106との間にレバー支持部105が配置されている。
【0066】
第2のスライドカム部材94の内側面部94bには、ドライブホルダ66に設けた第2のカムピン92A,92Bと摺動可能に係合される第2のカム部107が設けられている。図11に示すように、第2のカム部107は、内側面部94bの長手方向の一側であるアーム操作部106側に配置された第2の前カム部107Aと、第2の連結支持部104に近い後側に配置された第2の後カム部107Bとから構成されている。第2の前カム部107Aには第2の前カムピン92Aが係合され、第2の後カム部107Bには第2の後カムピン92Bが係合されている。
【0067】
第2の前カム部107Aは、下方に開口された挿入口108aと、この挿入口108aの上部から前方へ水平に延在された下水平部108bと、斜面部108cと、上水平部108dとを有している。斜面部108cは、下水平部108bの前部から斜め上方へ延在されており、この斜面部108cの上部から前方へ水平に上水平部108dが延在されている。同様に、第2の後カム部107Bは、下方に開口された挿入口109aと、この挿入口109aの上部から前方へ水平に延在された下水平部109bと、斜面部109cと、上水平部109dとを有している。斜面部109cは、下水平部109bの前部から斜め上方へ延在されており、この斜面部109cの上部から前方へ水平に上水平部109dが延在されている。
【0068】
第2のスライドカム部材94を水平にした状態において、第2の前カム部107Aの上水平部108dと第2の後カム部107Bの上水平部109dとは、同じ高さ位置となるように設定されている。これに対して、第2の前カム部107Aの下水平部108bは第2の後カム部107Bの下水平部109bよりも低い位置に設定されており、第2の前カムピン92Aと第2の後カムピン92Bとの間に設けた段差と対応するように構成されている。なお、第1の前カム部99Aと第2の前カム部107A、及び、第1の後カム部99Bと第2の後カム部107Bは、その内部の構成が逆配置となっている。
【0069】
更に、第2のスライドカム部材94の外側面部94cは、断面形状をL字状とすることによって側方に突出するフランジ部が設けられている。この外側面部94cのフランジ部は、右摺動部8cから第2のスライドカム部材94が抜け出すのを防止するためのもので、組立後に、メインシャーシ4に設けた抜止め片が係合されて抜け止めされている。
【0070】
図5〜図7は、メインシャーシ4の左摺動部8bに第1のスライドカム部材93を組み立て、右摺動部8cに第2のスライドカム部材94を組み立てた状態を示している。左摺動部8bには、第1のコイルバネ117Aが中心線を前後方向へ向けた状態で収納され、右摺動部8cには、第2のコイルバネ117Bが中心線を前後方向へ向けた状態で収納されている。第1のコイルバネ117A及び第2のコイルバネ117Bは、それぞれ自由状態又は少し圧縮した状態で保持されている。これらのコイルバネに対応して、各スライドカム部材93,94には、図示しないバネ押し凸部が設けられている。
【0071】
第1のスライドカム部材93では、バネ押し凸部は第1のコイルバネ117Aの後方に配置されている。そして、第1のスライドカム部材93が前方へ移動したときに、そのバネ押し凸部が第1のコイルバネ117Aを押し縮めるように構成されている。一方、第2のスライドカム部材94では、バネ押し凸部は第2のコイルバネ117Bの前方に配置されている。そして、第2のスライドカム部材94が後方へ移動したときに、そのバネ押し凸部が第2のコイルバネ117Bを押し縮めるように構成されている。これにより、通常、第1のスライドカム部材93は左摺動部8bの後方に位置しており、第2のスライドカム部材94は右摺動部8cの前方に位置している。
【0072】
このように組み立てられた左右のスライドカム部材93,94が、連動リンク111によって連動可能に連結されている。連動リンク111は、くの字状に形成されたリンク部材からなり、その長手方向の中途部に軸受穴111aが設けられている。連動リンク111の軸受穴111aには、メインシャーシ4の後棚部8dに設けた回動軸112が回動自在に嵌合されている。この回動軸112により、連動リンク111がメインシャーシ4に対して回動自在に支持されている。
【0073】
連動リンク111の長手方向の一端には第1の連結ピン113Aが設けられ、長手方向の他端には第2の連結ピン113Bが設けられている。連動リンク111の一側は第1のスライドカム部材93の上方まで延在されており、その第1の連結支持部96に第1の連結ピン113Aが所定の範囲内で移動可能に連結されている。また、連動リンク111の他側は第2のスライドカム部材94の上方まで延在されており、その第2の連結支持部104に第2の連結ピン113Bが所定の範囲内で移動可能に連結されている。
【0074】
ここで、第1の連結ピン113Aと第2の連結ピン113Bが移動可能とされた「所定の範囲内」とは、連動リンク111の回動量を許容できる大きさ及び形状を有する空間部分をいう。これは、第1のスライドカム部材93と第2のスライドカム部材94を前後方向へ所定距離だけ移動させるために必要とされる連動リンク111の回動量を許容できる大きさ及び形状である。この実施例では、第1の連結支持部96は平面から見てL字形とされており、第2の連結支持部104は一字形とされている。これにより、第1の連結ピン113Aは、水平方向へ旋回することにより、第1の連結支持部96内において前後方向及び左右方向へ所定量だけ移動することができる。また、第2の連結ピン113Bは、水平方向へ旋回することにより、第2の連結支持部104内において左右方向へのみ所定量だけ移動することができる。
【0075】
また、図5〜図7等に示すように、メインシャーシ4の前棚部8aには、光ディスク2の過剰な挿入を防止するディスク過誤挿入防止機構120が設けられている。このディスク過誤挿入防止機構120は、1枚の光ディスク2がディスク装着部に装着されたときにディスク出入口9を閉じて、2枚目の光ディスク2が筐体3内に挿入されるのを防止するものである。このディスク過誤挿入防止機構120は、2つのストッパ部材121,122と、この2つのストッパ部材121,122を進退動作させてディスク出入口9を開閉するストッパ進退機構11とから構成されている。2つのストッパ部材121,122は、ディスク装着部に光ディスク2が装着されているときに、通常は光ディスク2の通過が可能とされているディスク出入口9内に突出して光ディスク2の通過を阻止する。
【0076】
この実施例では、ストッパ部材を2個設けたディスク過誤挿入防止機構120について説明する。しかしながら、ストッパ部材は1個のみであってもよく、また、ストッパ部材を3個以上設ける構成としてよい。ストッパ部材を3個以上設ける場合には、3個のストッパ部材が連動してディスク出入口9を開閉できるように構成する。
【0077】
図22〜図32に示すように、2つのストッパ部材121,122は、メインシャーシ4の正面部4aの内側において横並びに配置されている。この2つのストッパ部材121,122をストッパ進退機構11で昇降動作させることにより、2つのストッパ部材121,122のストッパ部125a,135aをディスク出入口9に出し入れさせて、光ディスク2の通過を制御している。
【0078】
図27〜図29等に示すように、第1のストッパ部材121は、断面円形の中心軸125と、扇形部126と、アーム部127と、連結ピン127aと、カム溝部128と、スカート部129と、2つの第1のカム凸部131,132を有している。扇形部126は、中心軸125の軸方向の中途部において扇形に展開するように設けられている。この扇形部126の周方向の一方の側縁に連続して半径方向外側へ突出するようにアーム部127が設けられている。このアーム部127の先端に連結ピン127aが設けられている。更に、扇形部126の他方の側縁にカム溝部128が設けられている。そして、扇形部126の下面から連結ピン127aと同方向へ突出するようにスカート部129が設けられている。このスカート部129の周方向の両端に、2つの第1のカム凸部131,132が設けられている。
【0079】
第1のストッパ部材121の中心軸125の軸方向の一端に、ディスク出入口9内に突出して光ディスク2の通過を阻止するストッパ部125aが設けられている。連結ピン127aは、中心軸125から所定の距離を隔てて平行に延在されている。カム溝部128には、中心軸125を中心として円弧状に湾曲されたカム溝128aが設けられている。また、スカート部129は、中心軸125を中心として円弧状に形成されており、その中心軸125と連結ピン127aを結ぶ線上に一方の第1のカム凸部131が配置されている。この第1のカム凸部131から周方向へ略120度回転変位した位置に、他方の第1のカム凸部132が配置されている。そして、2つの第1のカム凸部131,132の周方向の一側に、その周方向に傾斜されたカム面131a,132aがそれぞれ設けられている。
【0080】
第2のストッパ部材122は、断面円形の中心軸135と、扇形部136と、アーム部137と、連動ピン138と、2つの第2のストッパ側カム凸部141,142を有している。扇形部136は、中心軸135の軸方向の中途部において扇形に展開するように設けられている。この扇形部136の周方向の一方の側縁に連続して半径方向外側へ突出するようにアーム部137が設けられている。このアーム部137の先端に連動ピン138が設けられている。そして、扇形部136の下面から突出するように2つの第2のカム凸部141,142が設けられている。
【0081】
第2のストッパ部材122の中心軸135の軸方向の一端に、ディスク出入口9内に突出して、ストッパ部125aと協働して光ディスク2の通過を阻止するストッパ部135aが設けられている。連動ピン138は、中心軸135から所定の距離を隔てて平行に延在されており、組立時には、第1のストッパ部材121のカム溝128aに摺動可能に係合される。この連動ピン138と中心軸135との間であって、これらを結ぶ線上の近傍に、一方の第2のカム凸部141が配置されている。この第2のカム凸部141から周方向へ略120度回転変位した位置に、他方の第2のカム凸部142が配置されている。そして、2つの第2のカム凸部141,142の周方向の一側に、その周方向に傾斜されたカム面141a,142aが設けられている。
【0082】
この実施例では、第1のストッパ部材121の回動力を第2のストッパ部材122に伝達し、第1のストッパ部材121を回動することによって第2のストッパ部材122を回動させるように構成している。従って、第1のストッパ部材121と第2のストッパ部材122は、相対的に逆方向へ回動される。そのため、この実施例においては、第1のストッパ部材121の第1のカム凸部131,132に設けたカム面131a,132aに対して第2のストッパ部材122の第2のカム凸部141,142に設けたカム面141a,142aは、周方向の反対側に設定されている。
【0083】
このような構成を有する一対のストッパ部材121,122を回動自在且つ昇降自在に支持するために、メインシャーシ4の正面部4aの内側にストッパ収納部145が設けられている。ストッパ収納部145は、図26に示すような構成を有している。即ち、ストッパ収納部145は、半長円形をなす凹嵌部146と、2つの軸受部147,148と、2つの第1のカム受部151,152と、2つの第2のカム受部153,154等を備えている。凹嵌部146は、2つのストッパ部材121,122を所定の角度範囲内で回動可能に収納できる凹部である。また、2つの軸受部147,148は、2つのストッパ部材121,122の中心軸125,135の下部を回動自在に支持する。第1のカム受部151,152は、第1のストッパ部材121の2つの第1のカム凸部131,132に対応して設けた凸部である。更に、第2のカム受部153,154は、第2のストッパ部材122の2つの第2のカム凸部141,142に対応して設けた凸部である。
【0084】
2つの軸受部147,148は、メインシャーシ4の正面部4a内面の左右方向の略中央部において左右方向に所定の間隔をあけて設けた円弧状の軸受溝部155と、その軸受溝部155の下部を円弧状に囲う軸枷部156とからなっている。軸受溝部155の内周面と軸枷部156の内周面とが中心軸125,135の外周面に対応する大きさの円形となっており、これらによって中心軸125,135のスラスト方向が支持されている。そして、軸受溝部155の下方に位置する端面部により、中心軸125,135のラジアル方向が支持されている。これら軸受部147,148に対向される前棚部8aには、それぞれ半円形をなす貫通穴157A,157Bが設けられている。
【0085】
ストッパ収納部145の第1の貫通穴157Aの周縁上面には、第1のストッパ部材121の2つの第1のカム凸部131,132を摺動可能に支持する第1の摺動支持面158が設けられている。また、第2の貫通穴157Bの周縁上面には、第2のストッパ部材122の2つの第2のカム凸部141,142を摺動可能に支持する第2の摺動支持面159が設けられている。そして、ストッパ収納部145内において、第1の摺動支持面158の半径方向外側に2つの第1のカム受部151,152が設けられ、第2の摺動支持面159の半径方向外側に2つの第2のカム受部153,154が設けられている。
【0086】
第1のカム受部151,152において、その傾斜されたカム面151a、152aは、第1のカム凸部131,132のカム面131a、132aと対向する側に設けられている。これらのカム面131a、132a及びカム面151a、152aは、それぞれ摺動可能な状態で接触されている。同様に、第2のカム受部153,154において、その傾斜されたカム面153a、154aは、第2のカム凸部141,142のカム面141a、142aと対向する側に設けられている。これらのカム面141a、142a及びカム面153a、154aも同じく、それぞれ摺動可能な状態で接触されている。
【0087】
図29は、第1のストッパ部材121と第2のストッパ部材122を組み合せた状態を示している。2つのストッパ部材121,122は、組み合わせた状態でストッパ収納部145に収納される。このとき、各ストッパ部材121,122は、弾性部材の一具体例を示すコイルバネ161(図28に示す。)により、ディスク出入口9からストッパ部125a,135aを引き込む方向へ常時付勢されている。2つのコイルバネ161の一端は、2つの軸受部147,148の各軸枷部156に設けたバネ受け片156aに係止されている。そして、2つのコイルバネ161の他端は、各扇形部126,136に設けたバネ掛け部126a,136aにそれぞれ掛け止められている。
【0088】
図26及び図32等に示すように、ストッパ収納部145の周囲は囲い壁162によって囲われている。囲い壁162の上端縁には、第1のストッパ部材121が所定量以上に上昇するのを防止する第1の抜止め部165Aと、第2のストッパ部材122が所定量以上に上昇するのを防止する第2の抜止め部165Bが設けられている。第1の抜止め部165Aは第1のストッパ部材121の扇形部126の外縁上方に突出され、第2の抜止め部165Bは第2のストッパ部材122の扇形部136の外縁上方に突出されている。また、囲い壁162の第1のストッパ部材121側には、アーム部127を突出させることができるように切欠き部163が設けられている。
【0089】
囲い壁162の切欠き部163から突出したアーム部127の先端に設けた連結ピン127aは、揺動レバー58の長穴164に所定の範囲内で移動可能に係合されている。揺動レバー58は、前棚部8aに立設された第1の支持軸57に回動自在に支持されており、この揺動レバー58の回動によって一対のストッパ部材121,122が回動される。この揺動レバー58の回動により、一対のストッパ部材121,122が昇降動作されて、ディスク出入口9に2つのストッパ部125a,135aが出し入れされる。
【0090】
揺動レバー58は、平面形状が略L字形をした板状の部材からなり、その中間部に第1の支持軸57が回動自在に嵌合されている。この揺動レバー58の長手方向の一端に長穴164が設けられ、長手方向の他端にカムピン166が設けられている。このカムピン166は、左摺動部8bまで延在され、第1のスライドカム部材93に設けた図示しないストッパ部材動作用カム部に摺動可能に係合されている。この第1のスライドカム部材93が左摺動部8bを前後方向へ移動することにより、ストッパ部材動作用カム部の作用を介して、揺動レバー58が第1の支持軸57を中心として所定量だけ回動される。これにより、一対のストッパ部材121,122が昇降動作して、ディスク出入口9の開閉が制御される。
【0091】
前記第1のスライドカム部材93と前記揺動レバー58により、2つのストッパ部材121,122を回動させる回動駆動部が構成されている。また、第1のカム凸部131,132及び第2のカム凸部141,142と、第1のカム受部151,152及び第2のカム受部153,154により、回動方向と垂直をなす方向にストッパ部材121,122を進退させる進退駆動部が構成されている。そして、回動駆動部と進退駆動部によって、2つのストッパ部125a,135aをディスク出入口9に出し入れさせるストッパ進退機構11が構成されている。
【0092】
なお、この実施例においては、2個のストッパ部材121,122を用いた例について説明したが、ストッパ部材は1個だけでもよく、また、3個以上設ける構成とすることもできる。1個のストッパ部材を用いる場合には、上述した第1のストッパ部材121と、この第1のストッパ部材121を昇降動作させる機構とによってディスク過誤挿入防止機構を構成することができる。また、3個以上のストッパ部材を用いる場合には、上述した一対のストッパ部材121,122及びその昇降機構の他に、第3以上のストッパ部材として第2のストッパ部材122を同様に用いることによってディスク過誤挿入防止機構を実現することができる。
【0093】
図1〜図4に示すように、ディスクドライブ装置6等が収納されたメインシャーシ4の上面を覆う上部プレート5の略中央部には、ターンテーブル67との間で光ディスク2を着脱可能に挟持するクランプ部材170が取り外し自在に配置されている。クランプ部材170は、回動部材171を介して支持部材である上部プレート5に対して、高さ方向に所定の範囲内で昇降動作可能に支持されている。上部プレート5には、回動部材171を回動可能に支持するクランプ収納部172が設けられている。そして、クランプ収納部172には、クランプ部材170の中央部に設けた円柱状の円形膨出部171aを貫通させるための貫通穴173が開口されている。
【0094】
図15及び図17A,17Bに示すように、クランプ部材170は、中央部に円柱状の円形膨出部175aを有するクランプ本体175と、このクランプ本体175内に収納されるヨーク部材176とからなっている。クランプ本体175の円形膨出部175aの開口側には、半径方向の外側に展開された円形の外フランジ175bが設けられている。円形膨出部175aの外周面の外周縁には面取り部が設けられ、また、半径方向の内側には、ターンテーブル67の嵌合部67bと位置合わせするための位置決め凹部175cが設けられている。
【0095】
また、クランプ本体175の円形膨出部175aの凹側の内部には、ヨーク部材176を着脱可能に保持するための支持軸177と複数(本実施例では3個)の固定片178とが設けられている。支持軸177は、凹部内の略中央部に立設されており、この支持軸177を中心に複数の固定片178が対称形状をなすように配置されている。これら支持軸177及び固定片178の配置形状に対応させて、ヨーク部材176の中央部には中央穴179aが設けられ、また、半径方向の所定位置に複数の取付穴179bが設けられている。
【0096】
そして、中央穴179aに支持軸177を挿入し、複数の取付穴179bにそれぞれ固定片178を挿入した後、ヨーク部材176を所定角度回動させることにより、ヨーク部材176がクランプ本体175に固定される。また、固定されているヨーク部材176を逆方向へ回動させることにより、クランプ本体175からヨーク部材176を取り外すことができる。ヨーク部材176は、ターンテーブル67の嵌合部67bに収納されたマグネット73及びヨーク74から付与される磁力を受けて、クランプ部材170をターンテーブル67側に吸引させるものである。ヨーク部材176の材質としては、例えば、鉄板、鋼板、その他の磁性体は勿論のこと、マグネットを用いることもできる。
【0097】
図14〜図17に示すように、回動部材171は、クランプ部材170よりも少し大きなリング状の部材からなっている。この回動部材171は、クランプ部材170の外フランジ175bの外径よりも内径が大きなリング本体171aと、このリング本体171aの半径方向内側に展開されたリング状の内フランジ171bと、リング本体171aの半径方向外側に展開された外フランジ171cと、リング本体171aの半径方向外側の一部に設けたギア部180とを有している。
【0098】
回動部材171のリング本体171aには、円弧状をなす3つのカム穴181が設けられている。3つのカム穴181は、リング本体171aの周方向へ等角度間隔に配置されている。そして、各カム穴181の一側には、次に述べるカム凸部182を用いて回動部材171をロックするための段部181aが設けられている。回動部材171の内フランジ171bの内径は、クランプ本体175の円形膨出部175aの外径よりも大きいが、外フランジ175bの外径よりは小さく形成されている。この回動部材171の内フランジ171bでクランプ部材170の外フランジ175bを支えるようになっている。
【0099】
回動部材171の外フランジ171cは、回動部材171がクランプ収納部172から外れるのを防止するものである。そのため、クランプ収納部172を囲う囲い壁183の3箇所には、半径方向内側へ突出した抜け止め爪185が設けられている。3つの抜け止め爪185は、互いに等間隔に配置されており、これに対応する切欠き186が回動部材171の外フランジ171cに設けられている。
【0100】
この回動部材171の構造に対応させて、クランプ収納部172の対応する位置には、3つのカム凸部187が設けられている。3つのカム凸部187は、3つのカム穴181と同心上において等角度間隔に配置されている。そして、各カム凸部187には、周方向の一側に傾斜された斜面部187aと、周方向の他側に突出する庇部187bとが設けられている。
【0101】
回動部材171を一方へ回動することにより、3つのカム凸部187が3つのカム穴181に完全に入り込むと、図17Bに示すように、回動部材171は最も低い位置となる。そして、カム凸部187の庇部187bがカム穴181の段部181aに乗り上げるように係合することにより、回動部材171が上部プレート5にロックされる。この状態において、クランプ部材170がターンテーブル67に吸着され、光ディスク2がクランプ部材170とターンテーブル67によって挟持される。
【0102】
これに対して、回動部材171を一方へ回動すると、3つのカム凸部187の各斜面部187aにガイドされて回動部材171が押し上げられる。そして、3つのカム凸部187を完全に乗り越えると、図17Aに示すように、回動部材171は最も高い位置となる。この状態では、クランプ部材170がターンテーブル67から完全に引き離され、光ディスク2の挟持状態が解除される。
【0103】
この回動部材171を自動的に回動させるため、上部プレート5の上面には、駆動レバー190が回動自在に取り付けられている。駆動レバー190は、平面形状が山形をなすレバー部材からなり、長手方向の一端が扇形に形成されていて、その先端にギア部191が設けられている。駆動レバー190の長手方向の他端には、操作ピン192が設けられている。このような構成を有する駆動レバー190が、ギア部191を回動部材171のギア部180に噛合させた状態で、固定ネジ193によって上部プレート5に回動可能に固定されている。このとき、操作ピン192は、上部プレート5に設けた円弧状の長穴194を貫通して筐体3内に入り込んでいる。そして、操作ピン192は、第2のスライドカム部材94に設けたレバー支持部105に係合されている。
【0104】
前記回動部材171と、上部プレート5に設けたカム凸部187と、駆動レバー190とによって、回動部材171を回動させることでその回動部材171を所定の高さまで昇降動作させる回動昇降機構が構成されている。この実施例では、回動部材171の水平状態を維持しつつ昇降動作させるための水平バランスが良いことから、カム凸部187とカム穴181を3個づつ等間隔に設けた例について説明した。しかしながら、カム凸部187とカム穴181は4個以上を設ける構成としてもよく、また、2つのカム凸部とカム穴を対称位置に配置する構成とすることもできる。更に、この実施例とは逆に、回動部材にカム凸部を設け、これに対応するカム穴又はカム溝を支持部材である上部プレート5或いはこれに代わる部材に設ける構成とすることもできる。
【0105】
図16A〜16Cは、回動昇降機構の動作を説明する図である。図16Aは、回動昇降機構によって回動部材171が上方に持ち上げられた状態を示している。この状態では、3つのカム凸部187は3つのカム穴181から変位した位置にあり、回動部材171のギア部180には駆動レバー190のギア部191の前端部が噛合されている。このとき、クランプ部材170は、ターンテーブル67から十分に引き離されて、回動部材171に支持されている状態となっている。
【0106】
図16Bは、光ディスク2がある距離を搬送され、光ディスク2の外周縁が操作ピン192に当接して押圧することにより、駆動レバー190が少し回動した状態を示している。この駆動レバー190の回動により、その回動量に応じて回動部材171が回動される。その結果、各カム穴において、カム凸部187が斜面部187aの下側からカム穴内に入り込み、回動部材171が持ち上げられる。そして、光ディスク2が所定位置であるディスク装着部まで搬送されると、図16Cに示す状態となる。
【0107】
図16Cは、回動部材171が、最も低い位置まで移動した状態を示している。この状態では、3つのカム凸部187は3つのカム穴181内に完全に入り込み、カム凸部187の庇部187bは、カム穴181の段部181aに係合される。これにより、回動部材171が上部プレート5のクランプ収納部172にロックされる。
【0108】
図2〜図4に示すように、上部プレート5の内面には、ディスク搬送機構7と協働して光ディスク2を搬送する第1の搬送支持アーム195及び第2の搬送支持アーム196と、第2の搬送支持アーム196を動作させる作動アーム197が取り付けられている。2つの搬送支持アーム196,197と作動アーム197はクランプ部材170を取り囲むように配置されている。この実施例では、クランプ部材170の右側方に第1の搬送支持アーム195が配置され、クランプ部材170の左斜め後方に第2の搬送支持アーム196が配置され、クランプ部材170の左側方に作動アーム197が配置されている。そして、クランプ部材170の右斜め後方に駆動レバー190が配置されている。
【0109】
第1の搬送支持アーム195は、一端にディスク受部201を備え、他端が第1の支持軸202によって上部プレート5に回動自在に支持されている。この第1の搬送支持アーム195は、図示しないバネ部材によってディスク受部201がクランプ部材170に近づく方向へ付勢されている。図2は、第1の搬送支持アーム195の初期位置を示しており、光ディスク2の挿入状態に応じて逐次的に時計方向に回動される。図3は、光ディスク2がディスク装着部まで搬送された状態を示しており、この状態までディスク受部201は光ディスク2の外周縁の一部を支持している。その後の記録・再生時には、図4に示すように、第1の搬送支持アーム195は、光ディスク2から離れて半径方向外側に移動し、その待機した状態を維持する。
【0110】
第2の搬送支持アーム196は、一端にディスク受部203を備え、他端が回動板204によって所定の範囲内を回動可能に支持されている。回動板204は、第2の支持軸205によって上部プレート5に回動自在に支持されている。この回動板204の近傍において、作動アーム197の一端が取付ネジ206によって上部プレート5に回動自在に支持されている。作動アーム197の他端には、搬送される光ディスク2に接触することによって押圧される入力ピン9が設けられている。この作動アーム197の一端には連結部208が設けられており、その連結部208によって回動板204と所定の範囲内で相対的に回動可能に連結されている。
【0111】
回動板204は、図示しないバネ部材によってディスク受部203がクランプ部材170に近づく方向へ付勢されている。また、作動アーム197も、図示しないバネ部材によって入力ピン207がクランプ部材170に近づく方向へ付勢されている。回動板204と作動アーム197には、互いの回動を制限するように係合されるラチェット部が設けられている。このラチェット部は、凸部211と受部212との組み合わせからなり、凸部211が回動板204に設けられ、受部212が作動アーム197に設けられている。
【0112】
図2は、第2の搬送支持アーム196の初期位置を示している。第2の搬送支持アーム196は、光ディスク2の挿入状態に応じて逐次的に反時計方向に回動される。図3は、光ディスク2がディスク装着部まで搬送された状態を示しており、この状態まで第2の搬送支持アーム196のディスク受部203は、光ディスク2の外周縁の一部を支持している。その後の記録・再生時には、図4に示すように、第2の搬送支持アーム196は、光ディスク2から離れて半径方向外側に移動し、その待機した状態を維持する。
【0113】
同様に、図2は、作動レバー197の初期位置を示している。作動レバー197は、光ディスク2の挿入状態に応じて逐次的に時計方向に回動され、この作動レバー197の回動によって第2の搬送支持アーム196が回動される。図3は、光ディスク2がディスク装着部まで搬送された状態を示しており、この状態まで作動レバー197が移動することにより、第2の搬送支持アーム196が同図に示す状態に変化する。その後の記録・再生時には、図4に示すように、作動レバー197が光ディスク2から離れることにより、第2の搬送支持アーム196が同図に示す状態となるよう半径方向外側に移動し、その待機した状態を維持する。
【0114】
図12A〜12Cは、クランプ部材170に対するターンテーブル67の引き剥がし動作を説明する、第1の実施例を示すものである。この第1の実施例として示す引き剥がし機構は、図12Aに示す状態から、まず、ドライブホルダ66の前側であるターンテーブル67側を引き下げ(角度α)、そのターンテーブル67をクランプ部材170から引き剥がす(図12Bの状態)。次に、ドライブホルダ66のターンテーブル67と反対側である後側を引き下げて、ディスクドライブ装置6を水平状態(図12Cの状態)に変化させるものである。なお、符号220は、メインシャーシ4に対してドライブホルダ66を弾性的に支持するためのマウントインシュレータである。
【0115】
図12Aの状態では、光ディスク2は、ディスク搬送機構10と2つの搬送支持アーム195,196によって水平状態(CL)に保持されている。この状態から、一対のスライドカム部材93,94を前後方向に移動させてドライブホルダ66の前側を押下げ、ディスクドライブ装置6の姿勢を前下がりの状態に変化させる。これにより、クランプ部材170は、真上から作用する力ではなく、斜め方向から作用する力を受けて、ターンテーブル67及び光ディスク2から引き剥がされることになる。そのため、ターンテーブル67に内蔵されているマグネット73とクランプ部材170に保持されているヨーク176とが引き合う吸着力に抗して、ターンテーブル67をクランプ部材170から引き剥がすときの負荷を軽減させることができる。同時に、引き剥がすときの動作音も低減することができる。
【0116】
図13A〜13Cは、クランプ部材170に対するターンテーブル67の引き剥がし動作を説明する、第2の実施例を示すものである。この第2の実施例として示す引き剥がし機構は、図13Aに示す状態から、まず、ドライブホルダ66の前側であるターンテーブル67側を引き下げ(角度α1)、そのターンテーブル67をクランプ部材170から引き剥がす(図13Bの状態)。次に、水平状態(CL)に戻ることなく、更に前側を引き下げる(角度α2)。このとき、ドライブホルダ66の後側は略同じ高さに保持し、前側のみを続けて下げるようにして、ディスクドライブ装置6を傾斜状態(図13Cの状態)に変化させる。
【0117】
図13Aの状態では、光ディスク2は、同じくディスク搬送機構10と2つの搬送支持アーム195,196によって水平状態(CL)に保持されている。この状態から、一対のスライドカム部材93,94を前後方向に移動させてドライブホルダ66の前側を押下げ、ディスクドライブ装置6の姿勢を前下がりの状態に変化させる。これにより、クランプ部材170は、真上から作用する力ではなく、斜め方向から作用する力を受けて、ターンテーブル67及び光ディスク2から引き剥がされることになる。
【0118】
これにより、ターンテーブル67に内蔵されているマグネット73とクランプ部材170に保持されているヨーク176とが引き合う吸着力に抗して、ターンテーブル67をクランプ部材170から引き剥がすときの負荷を軽減させることができる。しかも、引き剥がすときの動作音も低減することができる。更に、この実施例では、ディスクドライブ装置6のリア側に符号300で示す空きスペースができる。そのため、この空きスペース300を占有しないことにより、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0119】
上述したような構成を有するディスク記録再生装置1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、メインシャーシ4の前棚部8aに、ストッパ進退機構11を組み立てる。次に、メインシャーシ4の開口部65にディスクドライブ装置6を配置すると共に、左摺動部8bに第1のスライドカム部材93を組み立て、右摺動部8cに第2のスライドカム部材94を組み立てる。そして、ディスクドライブ装置6の第1のカムピン91A,91Bを第1のスライドカム部材93の第1のカム部99A,99Bに係合させる。これと同時に、又は前後して、ディスクドライブ装置6の第2のカムピン92A,92Bを第2のスライドカム部材94の第2のカム部107A,107Bに係合させる。
【0120】
次に、連動リンク111を上部プレート5に取り付け、一端の連結ピン113Aを第1のスライドカム部材93の第1の連結支持部96に係合させ、他端の連結ピン113Bを第2のスライドカム部材94の第2の連結支持部104に係合させる。次いで、メインシャーシ4の前部にディスク搬送機構10を組み立てる。そして、予め搬送支持アーム195,196や駆動レバー190及び作動アーム197等が組み立てられている上部プレート5をメインシャーシ4に組み立てる。
【0121】
このディスク記録再生装置1の動作は、例えば、次のようなものである。図2等に示すように、光ディスク2は、筐体3のディスク出入口9から挿入し、このディスク出入口9から排出される。この光ディスク2が、ディスク搬送機構10等によって搬送される筐体3内の所定位置がディスク装着部であり、例えば、ターンテーブル67が該当する。また、ディスク搬送機構10等によって光ディスク2が排出側に搬送され、ディスク出入口9から所定量だけ突出して取り出し可能となった位置がディスク取出部である。
【0122】
図2に示す状態から、光ディスク2を筐体3内に挿入することにより、その挿入動作に連動するようにディスク搬送機構10が動作して光ディスク2をディスク装着部まで搬送する。このとき、光ディスク2が搬送される力によって、まず、第2のスライドカム部材94が後方に移動し、その移動力が、連動リンク111を介して第1のスライドカム部材93に伝達され、第1のスライドカム部材93が前方に移動する。これにより、第2のスライドカム部材94の後方への移動に伴う第2のカム部107A,107Bの移動と、第1のスライドカム部材93の前方への移動に伴う第1のカム部99A,99Bの移動とにより、ディスクドライブ装置6の前方が持ち上げられる。これにより、当初は前下がりの状態で保持されているディスクドライブ装置6が、その前方が持ち上げられて略水平の状態に変化する。
【0123】
その結果、図12及び図13を用いて説明した前述の動作を介して、光ディスク2がターンテーブル67とクランプ部材170とで挟持される。このとき、回動部材171に支持されているクランプ部材170は、駆動レバー190を介して回動部材171が回動されて下端位置に降下することにより、徐々に降下される。そのため、マグネット73の磁力によってクランプ部材170が急速に引き付けられるのを防ぐことができ、クランプ部材170が衝撃音を伴って光ディスク2及びターンテーブル67に衝突するのを防止することができる。そして、光ディスク2に対する情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み出し)が可能となる。
【0124】
これと同時に、又は前後して、光ディスク2がディスク装着部に装着されると、ストッパ進退機構11の作動により、2つのストッパ部材125,135の各ストッパ部125a,135aがディスク出入口9に突出される。これにより、ディスク出入口9の略中央部が2つのストッパ部125a,135aによって閉鎖され、2枚目の光ディスク2の挿入が阻止される。そのため、ユーザーが誤って2枚目の光ディスク2を挿入する誤操作を防止することができる。従って、光ディスク2の誤挿入による損傷を防ぐことができるばかりでなく、2枚目の光ディスク2によってディスクドライブ装置6その他の装置、機器等が破損されるのを防止することができる。
【0125】
これにより、光ディスク2に対する情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み出し)が可能となる。その後、記録又は再生の終了によって光ディスク2の排出操作を選択すると、ディスク搬送機構10等の前述した挿入時とは逆の動作を介して、光ディスク2がディスク取出部に搬送される。そして、光ディスク2の一部がディスク出入口9から突出するまで搬送されると、ユーザーによる光ディスク2の取り出しが可能となる。
【0126】
以上説明したように、本発明によれば、小さなストッパ部材を進退移動させるだけで、ディスク状記録媒体がディスク出入口を通過するのを阻止することができ、構成部品が小さくて、占有スペースが狭く、装置全体の小型化を実現することができる。更に、構成部品が少なく、また、部品に精度の高いものが要求されないため、低コストで装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示すもので、ディスク状記録媒体を挿入する前の平面図である。
【図3】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示すもので、ディスク状記録媒体を挿入する途中の平面図である。
【図4】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示すもので、ディスク状記録媒体を挿入した後の平面図である。
【図5】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示すもので、ディスク状記録媒体を挿入する前の内部構造を示す平面図である。
【図6】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示すもので、ディスク状記録媒体を挿入する途中の内部構造を示す平面図である。
【図7】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示すもので、ディスク状記録媒体を挿入した後の内部構造を示す平面図である。
【図8】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示すもので、メインシャーシの斜視図である。
【図9】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の一実施例を示すもので、ディスクドライブ装置と一対のスライドカム部材の斜視図である。
【図10】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の第1のスライドカム部材の側面図である。
【図11】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の第2のスライドカム部材の側面図である。
【図12】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のディスクドライブ装置の姿勢変化の第1の実施例を説明するもので、図12Aはチャッキング時、図12Bはチャッキング解除時、図12Cは移動後、のそれぞれ説明図である。
【図13】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のディスクドライブ装置の姿勢変化の第2の実施例を説明するもので、図13Aはチャッキング時、図13Bはチャッキング解除時、図13Cは移動後、のそれぞれ説明図である。
【図14】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の回転部材とクランプ収納部を示す説明図である。
【図15】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のクランプ部材と回転部材とクランプ収納部を断面した説明図である。
【図16】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置の回動昇降機構の動作を説明するもので、図16Aは回動部材が最上部に位置する状態、図16Bは回動部材が中間部に位置する状態、図16Cは回動部材が最下部に位置する状態、のそれぞれ説明図である。
【図17】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のターンテーブルとクランプ部材を断面したもので、図17Aはターンテーブルとクランプ部材が離れた状態、図17Bはターンテーブルとクランプ部材が吸着した状態、のそれぞれ説明図である。
【図18】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のディスク搬送機構の動作を示すもので、ディスク状記録媒体が挿入される前の説明図である。
【図19】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のディスク搬送機構の動作を示すもので、ディスク状記録媒体が挿入される途中の説明図である。
【図20】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のディスク搬送機構の動作を示すもので、ディスク状記録媒体が挿入された後の説明図である。
【図21】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のディスク搬送機構に係るホルダアーム等を分解した説明図である。
【図22】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構の動作を示すもので、ストップ部が突出する前の説明図である。
【図23】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構の動作を示すもので、ストップ部が突出している途中の説明図である。
【図24】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構の動作を示すもので、ストップ部が突出した後の説明図である。
【図25】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構の動作を示すもので、ストップ部でディスク状記録媒体の挿入を阻止している状態の説明図である。
【図26】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のメインシャーシの要部を示す説明図である。
【図27】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構のストッパ部材の一実施例を示す説明図である。
【図28】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構におけるストッパ部材の組立状態の説明図である。
【図29】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構におけるストッパ部材の組立状態の他の説明図である。
【図30】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構の動作を示すもので、ストップ部が突出する前の説明図である。
【図31】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構の動作を示すもので、ストップ部が突出している途中の説明図である。
【図32】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るディスク記録再生装置のストッパ進退機構の動作を示すもので、ストップ部が突出した後の説明図である。
【符号の説明】
【0128】
1‥ディスク記録再生装置(ディスク記録及び/又は再生装置)、 2‥光ディスク(ディスク状記録媒体)、 3‥筐体、 4‥メインシャーシ、 5‥上部プレート(上面部材)、 6‥ディスクドライブ装置、 9‥ディスク出入口、 10‥ディスク搬送機構、 11‥ストッパ進退機構、 66‥ドライブホルダ、 67‥ターンテーブル、 68‥スピンドルモータ、 70‥光ピックアップ、 71‥ピックアップ移動機構、 73‥マグネット、 74‥ヨーク、 93‥第1のスライドカム部材、 94‥第2のスライドカム部材、 99‥第1のカム部、 107‥第2のカム部、 111‥連動リンク、 113A,113B‥連結ピン、 121,122‥ストッパ部材、 125a,135a‥ストッパ部、 131,132‥第1のカム凸部、 141,142‥第2のカム凸部、 145‥ストッパ収納部、 151,152‥第1のカム受部、 152,154‥第2のカム受部、 170‥クランプ部材、 171‥回動部材、 172‥クランプ収納部、 176‥ヨーク(吸着部材)、 180‥ギア部、 181‥カム穴、 187‥カム凸部、 190‥駆動レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状記録媒体が出し入れされるディスク出入口を有する筐体と、
前記筐体内に収納されると共に前記ディスク状記録媒体が着脱可能に装着されるディスク装着部を有するディスクドライブ装置と、を備え、
前記ディスク出入口内にストッパ部を突出して前記ディスク状記録媒体の通過を阻止する少なくとも1のストッパ部材と、
前記少なくとも1のストッパ部材を回動させつつ進退させて前記ディスク出入口に対して前記ストッパ部を出し入れさせるストッパ進退機構と、を設けた
ディスク記録及び/又は再生装置。
【請求項2】
前記ストッパ進退機構は、
前記少なくとも1のストッパ部材を回動させる回動駆動部と、
前記少なくとも1のストッパ部材を前記回動方向と垂直をなす方向に進退させて前記ディスク出入口に前記ストッパ部を出し入れさせる進退駆動部と、を有する
請求項1記載のディスク記録及び/又は再生装置。
【請求項3】
前記ストッパ進退機構は、
前記少なくとも1のストッパ部材に設けた第1のカム面を有する少なくとも1のカム凸部と、
前記少なくとも1のカム凸部の回動軌跡上に配置されて前記筐体に設けられ且つ前記第1のカム面に摺動可能に接触される第2のカム面を有する少なくとも1のカム受部と、
前記少なくとも1のストッパ部材を、前記ストッパ部が前記ディスク出入口から離れる方向へ付勢する付勢部材と、を備え、
前記付勢部材のバネ力に抗して前記少なくとも1のストッパ部材を移動させることにより前記ストッパ部を前記ディスク出入口内に突入させるようにした
請求項1記載のディスク記録及び/又は再生装置。
【請求項4】
二以上のストッパ部材を、前記筐体内の前記ディスク出入口の内側に横並びに配置して設け、
隣り合うストッパ部材間を回動可能に連結すると共に、前記進退駆動部によって前記二以上のストッパ部材を個別に進退動作させるようにした
請求項2記載のディスク記録及び/又は再生装置。
【請求項5】
前記ディスク状記録媒体を取り出し可能なディスク取出部と前記ディスク装着部との間に前記ディスク状記録媒体を搬送するディスク搬送機構と、
前記ディスク搬送機構の動作を検出するディスク搬送検出部と、を設け、
前記ディスク搬送検出部の検出結果に基づき前記ストッパ進退機構を作動させるようにした
請求項1記載のディスク記録及び/又は再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate