説明

ディスク駆動装置

【課題】 トレイ上のディスクの有無や種類、装置の動作状態の少なくとも1つを容易に認識することができるディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】 トレイは光放射部を有する。制御情報発生部であるセンサ19は、トレイ上のディスクの有無、ディスクのサイズ、ディスクに記録されている特定の識別情報、トレイの位置情報、駆動部(光ピックアップ150等)の動作状態の内の少なくとも1つに基づいて制御情報を発生する。制御部160は、制御情報に基づいて光源11による発光を制御して、トレイの光放射部から放射させる光の発光パターンを変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(コンパクトディスク),CD−R(コンパクトディスク・レコーダブル),DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)等のディスク状情報記録媒体(以下、単にディスクと略記する)に音楽や映像等の情報を記録したり、その記録情報を再生するのに用いられるディスク駆動装置に係り、特にディスクを載せるための出し入れ可能なトレイを具備したディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク駆動装置として、ディスクを手で出し入れするもの、マガジンに装填された多数のディスクの中から選択された一枚を自動的に出し入れするオートチェンジャ機能を備えたもの、及びディスクをトレイに載せて出し入れするものなどが知られている。
【0003】
このうち、トレイを備えたディスク駆動装置によれば、ディスクの再生時などに際して所望のディスクをトレイに載せ、その状態でトレイを筐体内部に押し込むと、ディスクがその中心部をターンテーブルとクランプ盤とで挟み込まれてトレイ上に浮上した状態で支持され、ディスクを交換するときなどにはディスクがトレイ上に戻されて筐体外部へのトレイの排出が行われる。なお、トレイにはディスク中心部のクランプ動作などが適切に行われるようディスクを定位置に配置する円形凹状のディスク搭載部が形成される。
【0004】
しかし、暗所ではディスク搭載部の位置を明確に視認することができず、ディスク搭載部へのディスクの配置、及びそこに配置されたディスクの取り出しが困難になることがある。
【0005】
そこで、トレイの内部に発光体を取り付け、その発光体によりトレイの前面部とディスク搭載部との照明を行うようにしたものが提案されている(実開昭60−194797号公報(特許文献1))。
【0006】
また、ディスクの有無を外部から視認できるようにすることを目的として、トレイの前面にプリズムを設ける一方、筐体の内側上部にトレイ上のディスクを照らすための光源とディスクからの反射光をプリズムに導くための反射板とを設けた装置が提案されている(実開昭62−39294号公報(特許文献2))。
【0007】
さらに、トレイのディスク搭載部(収容部)外周部に蓄光材を設けると共に、装置本体内におけるトレイの上方位置に蓄光材を発光させるための光源を設けた装置が提案されている(特開2003−16769号公報(特許文献3))。また、トレイの両側縁を切り欠き、その切欠部に円弧状の半透明部材を取り付け、その半透明部材から発光ダイオードの光が放射されるようにした装置が提案されている(特開2003−59157号公報(特許文献4))。
【0008】
【特許文献1】実開昭60−194797号公報
【特許文献2】実開昭62−39294号公報
【特許文献3】特開2003−16769号公報
【特許文献4】特開2003−59157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献2または3に記載の構成においては、光源をトレイとは別の場所に設けているので筐体内部などに光源の配置スペースを確保する必要があり、装置の大型化を招いたり、トレイとは別部材であるプリズムや反射板を設ける必要があるので、コスト高になるという問題がある。また、光源を筐体の内側上部に固設しているので、トレイの排出時にディスクの配置領域(ディスク搭載部)を明示し得るに足る光量を得難い。
【0010】
上記の特許文献1または4に記載の構成においては、光源をトレイに設けてはいるが、光源の近傍しか発光させることができず、ディスク搭載部の全体やトレイの全体を光らせることが困難である。ディスク搭載部は、直径が異なる大小2種類のディスクを定位置に配置できる構成とされることが通例であるが、従来装置では暗所における大小2種類のディスクの配置位置を判別することは困難である。
【0011】
さらには、トレイが筐体内に挿入された状態では、ディスクの有無や種類を認識することはできない。この種の装置では液晶パネルなどからなる表示部を備え、その表示部にディスクの有無、種類(CD,DVD等)、再生動作や記録動作といった筐体内の駆動部の動作状態(PLAY,REC等)が文字表示されるようになっているが、その表示文字は小さく遠方から視認することは極めて困難である。車載用のものでは表示文字の確認は運転の妨げとなりやすいので改善が望まれていた。
【0012】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化やコスト高を極力招くことなく、トレイのディスク搭載部を光らせることができるディスク駆動装置を提供することである。他の目的はディスク搭載部のまたはトレイを光らせることができイルミネーション効果にも優れたディスク駆動装置を提供することである。また、さらに他の目的は、トレイ上のディスクの有無や種類、装置の動作状態の少なくとも1つを容易に認識することができるディスク駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するため、ディスク(D)を駆動するディスク駆動装置において、前記ディスクを回転させるターンテーブル(15)と前記ディスクに記録された情報を再生するか前記ディスクに情報を記録する光ピックアップ(150)とを含む駆動部(155)と、前記駆動部を収納する筐体(1)と、前記ディスクを配置するためのディスク搭載部(72,82)と光透過性材料により形成された光放射部(62A)とを有し、前記筐体に対して排出方向及び挿入方向に移動自在とされたトレイ(62)と、前記筐体または前記トレイに設けられ、前記光放射部から光を放射させるための光源(11)と、前記トレイ上の前記ディスクの有無、前記ディスクのサイズ、前記ディスクに記録されている特定の識別情報、前記トレイの位置情報、前記駆動部の動作状態の内の少なくとも1つに基づいて制御情報を発生する制御情報発生部(19)と、前記制御情報に基づいて前記光源による発光を制御して、前記光放射部から放射させる光の発光パターンを変化させる光源制御部(160)とを備えた構成したことを特徴とするディスク駆動装置を提供する。
【0014】
ここで、前記光源は複数色の発光体(11A,11B,11C)よりなり、前記発光パターンは前記光放射部から放射させる光の色であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ディスク搭載部またはトレイを光らすことができ、イルミネーション効果の向上が図れる。そして、発光パターンを異ならせることにより、従来のような文字表示方式に比べ、トレイ上のディスクの有無、トレイ上に配されたディスクの種類や駆動部の動作状態などを遠方からでも容易に確認することができる。また、イルミネーション効果を格段に向上させることができ、発光パターンを工夫することによりリラクゼーション効果を得ることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて本発明の各実施形態を詳しく説明する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態のディスク駆動装置を示した斜視概略図であり、図示例の装置はディスクとしてCDの記録情報を再生するCDプレーヤである。ディスク駆動装置の筐体(外装ほか内部のシャーシを含む)1の前面には、操作部2として内部の制御回路に特定の制御信号を与える操作スイッチ類3と、制御系の作動状態などを示す表示部4と、スリット状の開口部5が設けられている。なお、操作スイッチ類3には主電源スイッチの他、ディスクの駆動開始釦、選曲頭出し、一時停止、イジェクトスイッチ(ディスク排出用)などが含まれる。トレイ6は開口部5から出し入れ可能に設けられており、このトレイ6上には再生すべきディスクDが載せられる。
【0017】
そして、係るディスク駆動装置によれば、開口部5より水平に張り出すトレイ6上に所望のディスクDを載せ、そのディスクDをトレイ6の押し込みにより筐体1内部に装填して記録情報の再生を実行することができる。ディスクDを交換するときなどにはイジェクトスイッチの押圧操作によりディスクDをトレイ6に載せたまま開口部5より筐体1の外部へと排出することができる。
【0018】
図2はトレイ6を示す平面図である。図2において、トレイ6は全体がアクリル樹脂やポリカーボネートといった光透過性材料(透明材料)から形成されている。トレイ6の全体が一様に透明であることが好ましいが、一部または全体が半透明であってもよい。7,8は同心円状の凹部よりなるディスク搭載部であり、このうち外側のディスク搭載部7には大径のディスク(本例において直径12cmのCD)が嵌合状態で配置され、その内側に設けられるディスク搭載部8には小径のディスク(本例において直径8cmのCD)が嵌合状態で配置可能とされる。なお、特に区別しない場合は、大径のディスク及び小径のディスクをディスクDと総称することとする。
【0019】
また、トレイ6の中央部にはディスク搭載部7,8の中心部から排出方向後部(即ち、筐体1の方向)に亘って切欠孔9が開設される。この切欠孔9はディスク搭載部7,8に配置されたディスクDの下方からその情報記録面にレーザ光を照射するためのものである。切欠孔9はレーザ光を送受しながらディスクDの半径方向に移動するここでは図示せぬ光ピックアップの移動経路に沿って形成され、切欠孔9の一端部ではディスクDの下面中心部を支持する後述のターンテーブルが通過し得るようになっている。
【0020】
さらに、トレイ6にはディスク搭載部7,8よりも後部(挿入方向側)に2つの光源取付部10(本例において矩形の孔)が形成されている。そして、光源取付部10にはその前端面に臨んで発光ダイオードからなる光源11が設けられ、その光源11からディスク搭載部7,8が形成されるトレイ6の排出方向前方に向かって照明用の光が放たれるようにしてある。ここで、トレイ6は光透過性を有することから、光源11より発せられた光はトレイ6の厚さ方向とは直交する方向からトレイ6の内部に入射し、その入射光がトレイ6の内部(即ち、光透過性材料の内部)を透過して入射光の一部が段差を有するディスク搭載部7,8の後部外周縁7A,8Aより集中的に外部放射される。よって、ディスク搭載部7,8の後部外周縁7A,8Aは光輝部12として高輝度で発光する。
【0021】
また、光源11から発せられた光の多くはトレイ6の排出方向前端部6Aまで達し、ここからも集中的に外部放射される。よって、トレイ6の排出方向前端部6Aも光輝部12として他の部位より高輝度で発光する。このため、暗所などにおいてイルミネーション効果が得られ、しかもディスク搭載部7,8の前後が光輝部12として高輝度で発光することにより暗所でもディスクDを配置すべき位置が明確となる。
【0022】
なお、光の進行方向に対して所定の角度(約30度)以上で交わる面であれば、視認方向に光を放射して高輝度で発光する光輝部12となり得るが、これは平面に限らず曲面で形成することもできる。
【0023】
そして、第1実施形態によれば、光輝部12を形成するトレイ6の排出方向前端部6Aがディスク搭載部7,8を挟んで光源11と対向状態に設けられており、光源11から発せられた光はトレイ6のディスク搭載部7,8に対する挿入方向側から排出方向側までに亘って光透過性材料の内部を導通して排出方向前端部6Aに達するので、トレイ6の全体がほのかに発光する。さらに、ディスク搭載部7,8の後部外周縁7A,8A及び排出方向前端部6Aが光輝部12として作用することにより、ディスク搭載部7,8の光学的視認効果が上がる。
【0024】
本例ではより好ましい形態として次のように構成している。トレイ6の排出方向前端部6Aを光輝部12として集中的に発光させるため、係る集光手段として図3のようにトレイ6をその板厚が排出方向後部から前方に向かって漸次小さくなるテーパ形とする他、トレイ6の排出方向前端部6Aと光源11との間に指を差し込む孔などを形成しないようにして光の漏れ出しを防止し、加えてトレイ6の表面を凹凸の少ない鏡面として光の減衰を防止している。
【0025】
さらに、トレイ6の排出方向前端部6Aにおいては、図4のように光輝部12としてトレイ6の板面に直角な凸条12Aを形成し、その凸条12Aを放射光が散乱するような多角形状にすると共に、光源11からの光を凸条12A内に効率よく導くため凸条12Aの下部には光を屈折させるための斜面12Bを形成している。
【0026】
一方、図5のように、トレイ6の裏側側縁にはラック13及びガイド溝14が平行に形成されている。ラック13には筐体1の内部に設けられる図示せぬピニオンが噛み合わされ、ガイド溝14には図示せぬピンが差し込まれる。この構成により、トレイ6は上記ピニオンの回転駆動により水平状態を保ったまま前後(筐体1に対する排出方向及び挿入方向)に往復移動して筐体1の内外に出し入れされるようになる。
【0027】
図6は、トレイ6が筐体1の内部に引き込まれて格納された状態であり、このときディスク搭載部7,8に配置されたディスクDの中心はターンテーブル15とこれに対向するクランプ盤16の位置に合致する。そして、ディスクDを再生するときなどには、ターンテーブル15の浮上によりディスクDの中心がターンテーブル15とクランプ盤16とで挟み込まれ、ディスクDがディスク搭載部7,8からやや離間した位置で回転されることになる。なお、図6において、17は光源11を点灯させるための回路基板であり、これはトレイ6の下方で筐体1の内部に固設され、光源11とはトレイ6の移動を阻害せぬよう可撓性通電部材18(帯状のフレキシブルプリント配線)にて接続される。つまり、可撓性通電部材18は可撓性を有することは勿論、トレイ6の移動量を考慮して長さが決められ、トレイ6の排出時も光源11と接続状態を保って必要な電力を供給できるようにしてある。
【0028】
また、図6から明らかなように、トレイ6の格納時においてその排出方向前端部6A(光輝部12)は筐体1の前面開口部5の位置にあって、外部に露出するようになっている。よって、トレイ6の格納時にも光源11の点灯により開口部5の位置を光らせて優れたイルミネーション効果を得ることができる。
【0029】
一方、図7はトレイ6が排出された状態であり、このとき開口部5からはディスク搭載部7,8を含むトレイ6の前方部分が張り出し、光源取付部10を含むトレイ6の後部は筐体1の内部に残される。このため、トレイ6の排出時も光源11は外部に現れず、これが筐体1内に隠されて美観を損ねないようになっている。また、トレイ6の排出時も光源11の点灯により排出方向前端部6Aを含む光輝部12が高輝度で発光するためイルミネーション効果が発揮される。特に、上記のように光輝部12を形成するディスク搭載部7,8の前後(トレイ6の排出方向前端部6A及びディスク搭載部の後部外周縁7A,8A)が高輝度で発光し、ディスク搭載部7,8の内側領域も低輝度ながら発光するため暗所でもディスクの配置並びに取り出しを容易に行うことができる。
【0030】
以上、本発明の好適な一例を説明したが、光源11は上記例のようにディスク搭載部7,8よりもトレイ6の排出方向後部に設けることに限らず、トレイ6の内部にその厚さ方向とは直交する方向から光を入射させ、その入射光がトレイ6の内部を透過して光源11と離間した位置に設けた光輝部12から集中的に外部放射される構成であればよい。よって、光源11の位置は、必ずしもトレイ6の排出方向後部に限定するものでないが、ディスク搭載部7,8に向かって光が放たれるような配置が好ましい。
【0031】
<第2実施形態>
トレイ6は光源11とこれに対応する光輝部12を備えていればよく、全体の形態は第1実施形態に限定されず、例えば図8のような第2実施形態に変更してもよい。第2実施形態は、第1実施形態におけるトレイ6の代わりに図8に示すトレイ60を用いた点でのみ第1実施形態と相違するので、トレイ60についてのみ説明し、他の説明は省略する。なお、図8において、図2と実質的に同一の部分には同一の符号を付すことがある。
【0032】
図8において、トレイ60の排出方向前端部60Aは、多角形状の凸条120Aと光源11からの光を凸条120Aに導くための斜面120Bとを含む光輝部12とされる点で第1実施形態と同様であるが、第2実施形態におけるトレイ60の排出方向前端部60Aは円弧状でなく直線状の光輝部12とされる。また、図8において、ディスク搭載部70は、トレイ60の排出方向後部側を部分的に立ち上げた円弧状の壁面よりなる後部外周縁70A,70Aと、トレイ60の排出方向前部側に設けた突起70B,70Bとにより形成され、その後部外周縁70Aと突起70Bの内側で大径ディスクの周縁部が支持されるようにしてある。また、トレイ60の排出方向前部には突起70Bの位置を通る円弧溝71が形成され、その円弧溝71がディスク搭載部70に配置されたディスクの周縁部に沿うようにしてある。突起70Bと円弧溝71はディスク搭載部70の前部外周縁を形成している。
【0033】
そして、本例においてもトレイ60の排出方向後部に光源11が設けられ、その光源11から放たれた光が光透過性材料からなるトレイ60の内部を透過してディスク搭載部70,80の後部外周縁70A,80A、突起70B、円弧溝71、及びトレイ60の排出方向前端部60Aから集中的に外部へと放射される。つまり、第2実施形態において、ディスク搭載部70,80の後部外周縁70A,80A、突起70Bの前面部、円弧溝71内における光源11側の面、及びトレイ60の排出方向前端部60Aは、光源11からトレイ60内に入射された光を集中的に外部へと放射して他の部位より高輝度で発光する光輝部12とされる。
【0034】
この第2実施形態においては、ディスク搭載部70の前部外周縁に円弧溝71を設けているので、前部外周縁に壁面70Aと同様の壁面を設ける場合と比較して、円弧溝71の部分においてより高輝度で発光する。従って、ディスク搭載部70の後部外周縁における壁面70A及び前部外周縁における円弧溝71の双方で高輝度に発光するので、第1実施形態よりもディスク搭載部70,80の光学的視認効果をさらに得ることができる。
【0035】
<第3実施形態>
次に、図9を用いて第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態におけるトレイ6の代わりに図9に示すトレイ61を用いた点でのみ第1実施形態と相違するので、トレイ61についてのみ説明し、他の説明を省略する。なお、図9において、図2と実質的に同一の部分には同一の符号を付すことがある。
【0036】
図9において、21Aはディスク搭載部7に対応する光源、21Bはディスク搭載部8に対応する光源である。光源21A,21Bは例えば有機EL(エレクトロ・ルミネセンス)シートであり、ディスク搭載部7,8の底面に接着剤などにて貼着される。有機ELシートの代わりに無機ELシートや他の発光体シートを用いてもよい。このようにシート状の光源21A,21Bを用いることにより、ディスク搭載部7,8は面状に発光する。
【0037】
光源21A,21Bには互いに発光色が異なるものが用いられ、ディスク搭載部7,8が別々の色で発光するようにしてある。なお、光源21Aはリング状としてディスク搭載部8を除くディスク搭載部7の内側外周部(ディスク搭載部7の内側かつディスク搭載部8の外側部分)に貼着される。また、光源21A,21Bも図6に示したように筐体1の内部に固設される回路基板17と可撓性通電部材18で接続される。よって、それら光源21A,21Bをトレイ61の排出時に点灯することにより、ディスク搭載部7,8を別々の色で光らせて暗所でもその位置を明示することができる。なお、第3実施形態においてトレイ61は光透過性材料で形成されることを要件としない。また、光源21A,21Bとして発光ダイオードを用い、これをディスク搭載部7,8の周縁に所定の間隔で埋設するようにしてもよい。
【0038】
<第4実施形態>
第4実施形態は第1,第2実施形態と同様のトレイを備えると共に、トレイ上のディスクDの有無や種類、装置の動作状態の少なくとも1つを容易に認識することができるよう構成したものである。ここで示す第4実施形態は、第1実施形態におけるトレイ6の代わりに、第2実施形態と同様、図10,図11に示すように排出方向前端部を円弧状でなく直線状としたトレイ62を用いている。第1実施形態のトレイ6のように円弧状であってもよい。なお、図11において、図2と実質的に同一の部分には同一の符号を付すことがある。第4実施形態において第1実施形態と共通部分の説明は適宜省略する。
【0039】
図11において、トレイ62はその全体が光透過性材料(例えば、アクリル樹脂やポリカーボネートからなる透明材料)から形成される。トレイ62の排出方向前端部は、光源11からの光を外部に放射するための光放射部62Aとされ、その光放射部62Aはディスク搭載部72,82を形成するトレイ本体62Bに対して着脱自在とされている。トレイ本体62Bの中央部には、ディスク搭載部72,82の中心部からその半径方向に沿って切欠孔92が開設されている。
【0040】
図11に示すトレイ62においては、光源11より発せられた光はトレイ62の厚さ方向に対して直交する方向からトレイ62の内部に入射し、その入射光がトレイ62の内部を透過し、その一部が段差を有するディスク搭載部72,82の後部外周縁より集中的に外部放射される。また、図12に示すように、光源11から発せられた光の多くはトレイ62の排出方向前端部(光放射部62A)まで達し、その光放射部62Aからも光源11の光が集中的に外部放射される。よって、ディスク搭載部72,82の後部外周縁及び光放射部62Aは高輝度で発光する。
【0041】
図12に示すトレイ62の先細り形状は、光源11からの出射光がトレイ62の表面と裏面との間で全反射する傾き(角度)の範囲内で設定されることが好ましい。これにより、光源11からの出射光をトレイ62の表面と裏面との間で全反射させて集光させつつ光放射部62Aまで誘導することができる。トレイ62の先細り形状として、トレイ62の移動方向に対して図示例のように片面のみに角度を付けるだけでなく、両面に角度を付けるようにしてもよい。係る角度は光源11の近傍から光放射部62A側に向かって連続的に付与されることが望ましいが、これが断続的に付与されるものでもよい。
【0042】
要するに、トレイ62は光源11の近傍から排出方向前端部(光放射部62A)に向かって厚みが漸次減少するよう形成され、少なくとも図12に示すよう光源11の近傍の厚さT1に対して光放射部62A側の厚さT2が小さく、T1/T2>1となるよう形成されていればよい。T1/T2は集光倍率となる。
【0043】
図13のように、トレイ62の裏側の構成は図5と同様である。
【0044】
図14は、トレイ62が筐体1の内部に引き込まれて格納された状態であり、このときディスク搭載部72に載置されたディスクDの中心はターンテーブル15とこれに対向するクランプ盤16の位置に合致する。そして、ディスクDを再生するときなどには、ターンテーブル15の浮上によりディスクDの中心がターンテーブル15とクランプ盤16とで挟み込まれる。ディスクはディスク搭載部72からやや離間した位置で回転されつつ、その半径方向に移動する光ピックアップ150によりディスクDの信号が読み取られることになる。なお、ターンテーブル15と光ピックアップ150は、ディスクDに対して再生動作と記録動作を行う駆動部155を構成する。
【0045】
図14において、160は上記の駆動部155や光源11の制御を行う制御回路を構成する制御部(マイクロコンピュータ)であり、制御部160はトレイ62の下方で筐体1の内部に固設され、光源11とはトレイ62の移動を阻害しないよう帯状の可撓性通電部材18にて接続されている。
【0046】
図14から明らかなように、トレイ62を筐体1内に挿入したとき、その排出方向前端部を成す光放射部62Aは筐体1前面の開口部5の位置にあって、外部に露出するようになっている。また、光放射部62Aは開口部5を密閉する鍔180を形成し、筐体1内に塵埃などが侵入するのを防止する。そして、光放射部62Aは光源11からの光を筐体1の外部に放射して開口部5の位置を光らせ、優れたイルミネーション効果を発揮する。
【0047】
第4実施形態においては、光源11を構成する発光体が所定の制御情報に基づいて発光制御されるようにしている。制御情報としては、ディスクDに記録されている特定の識別情報(例えば、ディスクの種類)、筐体1内に挿入されたトレイ62上におけるディスクDの有無、ディスクDのサイズ、トレイ62の位置情報(排出位置/挿入位置/移動中)、及び駆動部155の動作状態(再生動作/記録動作/一時停止/光ピックアップの位置情報等)を用いることができる。
【0048】
光源11を発光制御するための制御情報としては、ディスクDに記録されている特定の識別情報、トレイ62上におけるディスクDの有無、ディスクDのサイズ、トレイ62の位置情報、駆動部155の動作状態のいずれか1つのみでもよく、任意の2つ以上を適宜組み合わせてもよい。
【0049】
図15に示すように、光源11は発光色の異なる複数の発光体11A,11B,11C(本例において、赤色LED、緑色LED、青色LEDの3種から構成される3色LED)からなり、その各発光体11A〜11Cを上記のような制御情報に基づいて個別に発光制御することにより、光源11から発せられる光を各発光体11A〜11Cの光色やこれを合成した種々の色に変化させることができる。発光体は、このように各色毎に独立したものでなくてもよく、例えば樹脂等で封止されて一体化されたものであってもよい。
【0050】
さらに、光源11を例えば赤色LEDと緑色LEDの2色で構成したり、単色のLEDで構成してもよい。単色のLEDで構成した場合には、上記の制御情報に基づいて点滅周期や発光輝度(光量の強弱)を変化させればよい。
【0051】
一方、制御部160には光ピックアップ150や筐体1内に設けられるセンサ19から得られる上記のような制御情報を格納するためのRAM20、及びRAM20に格納された制御情報に基づいて光源11の発光制御を行うプログラムを格納するROM21が設けられており、この制御部160によって光源制御手段が構成されている。センサ19は、トレイ62上のディスクDの有無、ディスクDのサイズ、ディスクDに記録されている特定の識別情報、トレイ62の位置情報、駆動部155の動作状態の内の少なくとも1つに基づいて制御情報を発生する制御情報発生部として動作する。
【0052】
RAM20にはディスクDに記録された特定の識別情報として、例えばディスクDの内周部リードインエリアに記録されるディスクDの種類(CD,DVD等)、曲や映画のタイトル、またはアーティスト名といったTOC(Table of content)情報が光ピックアップ150を介して入力される他、上記した筐体1内におけるディスクDの有無、サイズ、トレイ62の位置情報、並びに駆動部155の動作状態などがセンサ19を介して入力される。
【0053】
そして、制御部160によれば、ディスクDに記録された特定の識別情報や駆動部155の動作状態などの上記制御情報に基づき、光源11の各発光体11A〜11Cを個別に発光制御して光源11から発せられる光の色、その点滅周期、輝度(光の強弱)といった発光パターンを変化させることができる。その一例として、図16に制御部160による処理の流れを示す。
【0054】
図16において、ROM21に格納したプログラムの処理が開始すると、制御部160はステップS1にてトレイ62をイジェクトする指示があったか否か判定し、トレイ62をイジェクトする指示があればステップS2にてトレイ62をイジェクトする。トレイ62をイジェクトする指示がなければステップS5に移る。制御部160はステップS3にてトレイ62を格納する指示があったか否か判定し、トレイ62を格納する指示があればステップS4にてトレイ62を格納してステップS5に移る。トレイ62を格納する指示がなければステップS3に戻る。
【0055】
制御部160はステップS5にてディスクDの有無を判定し、ディスクDがないと判定されればステップS6にて光源11を非点灯としてステップS1に戻る。ディスクDがあると判定されればステップS7にてディスクDの種類を判定する。ステップS7ではTOC情報に基づいてCDであるかDVDであるかが判定される。制御部160はCDであればステップS8にて光源11の赤色LEDを点灯させ、DVDであればステップS9にて光源11の青色LEDを点灯させる。
【0056】
以上の処理により、ユーザは、筐体内にディスクが挿入されているか否か、ディスクが挿入されている場合にはCDが挿入されているのかDVDが挿入されているのかを極めて簡単に認識することができる。
【0057】
さらに、制御部160はステップS10にて駆動部155の動作状態を判定し、再生動作状態でも記録動作状態でもない非動作状態ではステップS1に戻る。再生動作状態であればステップS11にて光源11の緑色LEDを点滅させ、記録動作状態であればステップS12にて光源11の赤色LEDと緑色LEDとを合成して黄色で点滅させて、ステップS1に戻る。なお、再生動作状態において緑色に点滅させ、記録動作状態において黄色に点滅させている状態においては、ステップS7ではステップS8またはS9に移行させる処理を行わず、そのままステップS10に移行させる。
【0058】
光源11の点滅周期や輝度変化周期を1/fゆらぎで不規則に変化させれば、イルミネーション効果に加えてリラクゼーション効果も得ることができる。なお、1/fゆらぎとは縦軸にパワースペクトルの強さを、横軸に周波数をそれぞれ対数値でとったときのパワースペトクルの傾きが−1となる特性を有するゆらぎ(変動)をいう。
【0059】
図15に戻り、制御部160のRAM20にユーザ設定テーブルを設け、光源11の発光パターン(光色/点滅周期/輝度)を曲のタイトルやアーティスト名などによってユーザ自らがリモコン22などから信号入力部23を介してユーザ設定テーブルに設定入力することもできる。制御部160はディスクDに記録されたTOC情報に基づいて曲のタイトルやアーティスト名を識別して、ユーザ設定テーブルに設定された発光パターンで光源11を発光させる。
【0060】
さらに、図10に示す表示部4のバックライトとしてトレイ62に設けた光源11と同様の発光体で構成し、その発光体の発光制御を制御部160によって制御して、トレイ62に設けた光源11の発光制御と同調させるよう構成してもよい。
【0061】
以上説明した第4実施形態においても、光源11をトレイ62の挿入方向側でありディスク搭載部72,82よりも筐体1側に設けているが、第4実施形態においてはこれに限定されることはなく、光源11を光放射部62Aに内蔵したり、光源11をトレイ62ではなく筐体1の開口部5の近傍に設けて、トレイ62を筐体1内に格納したときに光源11の光が光放射部62Aだけを透過して外部に放射されるようにしてもよい。
【0062】
ところで、以上説明した第1〜第4実施形態においては、ディスクDとしてCD,CD−R,DVDのような光ディスクを例としたが、光磁気ディスクであってもよく、本発明は各種ディスクの記録/再生装置に適用することができる。さらには、任意の情報記録媒体の記録/再生装置に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるトレイの平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるトレイの側面概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるトレイの前端部分の拡大図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるトレイの底面図である。
【図6】本発明の第1実施形態におけるトレイを筐体内に格納した状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるトレイを筐体外に排出した状態を示す説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態におけるトレイの斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態におけるトレイの平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明の第4実施形態におけるトレイの平面図である。
【図12】本発明の第4実施形態におけるトレイの側面概略図である。
【図13】本発明の第4実施形態におけるトレイの底面図である。
【図14】本発明の第4実施形態におけるトレイを筐体内に格納した状態を示す説明図である。
【図15】本発明の第4実施形態を説明するためのブロック図である。
【図16】本発明の第4実施形態の一動作例を説明するためフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 筐体
6,60,61,62 トレイ
6A,60A 前端部(光輝部)
7,8,70,72,80,82 ディスク搭載部
7A,8A,70A,80A 後部外周縁(光輝部)
11,21A,21B 光源
12 光輝部
15 ターンテーブル
17 回路基板
18 可撓性通電部材
19 センサ(制御情報発生部)
62A 光放射部
70B 突起(前部外周縁,光輝部)
71 円弧溝(前部外周縁,光輝部)
150 光ピックアップ
155 駆動部
160 制御部
D ディスク




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを駆動するディスク駆動装置において、
前記ディスクを回転させるターンテーブルと前記ディスクに記録された情報を再生するか前記ディスクに情報を記録する光ピックアップとを含む駆動部と、
前記駆動部を収納する筐体と、
前記ディスクを配置するためのディスク搭載部と光透過性材料により形成された光放射部とを有し、前記筐体に対して排出方向及び挿入方向に移動自在とされたトレイと、
前記筐体または前記トレイに設けられ、前記光放射部から光を放射させるための光源と、
前記トレイ上の前記ディスクの有無、前記ディスクのサイズ、前記ディスクに記録されている特定の識別情報、前記トレイの位置情報、前記駆動部の動作状態の内の少なくとも1つに基づいて制御情報を発生する制御情報発生部と、
前記制御情報に基づいて前記光源による発光を制御して、前記光放射部から放射させる光の発光パターンを変化させる光源制御部とを備えた構成したことを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
前記光源は複数色の発光体よりなり、前記発光パターンは前記光放射部から放射させる光の色であることを特徴とする請求項10記載のディスク駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−4590(P2006−4590A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352186(P2004−352186)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】