説明

ディスク駆動装置

【課題】簡易構造にして大小2種類のディスクを所定の回転位置に確実に案内することのできるディスク位置決め機構を備えたディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】伝動ギア部6bの噛み合いにより互いに逆方向に揺動する開閉レバー6L,6Rと、連接部La,Raを中心に揺動するセレクタ7L,7Rと、を有する。連接部La,Raにはディスクd,Dから押圧力を受けるセンタリング用凸部が設けられる。セレクタ7L,7Rは、凸部を小径ディスクdが押圧したときロック用凸部3aに係止したまま開閉レバー6L,6Rを初期位置に維持すべき抵抗モーメントを発生する係合部7aを有する。セレクタ7L,7Rには、大径ディスクDによる凸部の押圧前にディスクDから押圧力を受けて、セレクタ7L,7Rを両者の係合部7aがロック用凸部3aから外れる方向に揺動させるロック解除用凸部7dが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDといったディスク(円盤状の情報記録媒体)を筺体内の回転位置に案内するスロットインタイプのディスク駆動装置に係わり、特に直径が異なる大小2種類のディスクを回転位置に案内することのできるディスク位置決め機構を備えたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声や映像の記録媒体として、従来からCDやDVDといったディスクが一般に広く知られている。そのディスクは直径12cmのものが主流であるが、それ以外に直径8cmのものもある。
【0003】
一方、その種のディスクに情報を記録したり、その記録情報を再生したりするディスク駆動装置には、ディスクをトレイに載せて搬送するトレイ搬送方式と、トレイを使用せずにディスクをローラで直接挟み込むなどして搬送するスロットイン方式と呼ばれるものとが知られる。特に、スロットイン方式のディスク駆動装置において、直径が異なる大小2種類のディスクに対応し、それらディスクを所定の回転位置に案内することのできる位置決め機構を備えたものが知られている。
【0004】
その一例として、筺体内に左右一対のストッパアームと複数個のセンサを設け、それらセンサにより大小2種類のディスクを判別し、その判別信号に基づき、小径ディスクでは左右一対のストッパアームが第1動作位置に拘束されたまま、その各先端に設けたストッパピンにて当該ディスクの位置決めが行なわれ、大径ディスクでは左右一対のストッパアームが第2動作位置まで揺動することで当該ディスクの位置決めが行なわれるようにしたものが知られる(例えば、特許文献1)。
【0005】
又、左右一対のセンタリングアームの各先端にセンタリングピンを介してロックアームを連接すると共に、そのロックアームに各々当接ピンとロックピンとを設け、小径ディスクでは左右一対のセンタリングアームがロックピンにより定位置にロックされたまま、センタリングピンによって当該ディスクの位置決めが行なわれ、大径ディスクではその端面による当接ピンの押圧で左右一対のセンタリングアームのロックが解除され、以て間隔が広がるセンタリングピンにより大径ディスクの位置決めが行なわれるようにしたものが知られる(例えば、特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開平2−183458号公報(第2頁〜第5頁)
【特許文献2】特開平7−141745号公報(段落0004〜0011、図2〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような特許文献1、2によれば、いずれも大小2種類のディスクをその中心がターンテーブルと合致する所定の回転位置に案内することができるものの、特許文献1では複数のセンサを用いてディスクの大小を判別することからコスト高となる上、センサが塵埃などを検知してストッパアームを誤動作させてしまうことが懸念される。
【0008】
一方、特許文献2では、左右一対のセンタリングアームが中間レバーを介して連結されることから部品点数が多く、全体の組立に時間を要するという問題がある。又、特許文献2において、ロックピンはセンタリングアームの揺動方向にあってバネの弾力でプレートの部位に係止されるだけであり、しかもディスクの位置決めが完了した時点で当接ピンをディスクの端面から離間させるべく、センタリングアームはロックピンがロック位置にあっても開き方向への揺動を許容されていることから、小径ディスクの挿入時においてロックピンがロック位置から外れ、その状態のまま一対のセンタリングアームが小径ディスクによって押し広げられ、同ディスクの位置決めが適切に行なわれなくなる可能性がある。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は簡易構造にして大小2種類のディスクを所定の回転位置に確実に案内することのできるディスク位置決め機構を備えたディスク駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するため、
直径が異なる大小2種類のディスクd,Dを筐体1内における所定の回転位置に案内するディスク位置決め機構2を備えたディスク駆動装置であって、
ディスク位置決め機構2は、
筐体1に形成されるスリット状の挿入口1aに挿入されたディスクd,Dの片面に臨むベース3と、
ベース3に揺動可能に取り付けられて各々の一端外周に形成された伝動ギア部6bの噛み合いによりベース3に沿って互いに逆方向に揺動する一対の開閉レバー6L,6Rと、
一対の開閉レバー6L,6Rの各先端に連接して当該開閉レバーとの連接部La,Raを中心にベース3に沿って揺動する一対のセレクタ7L,7Rと、を有し、
一対の開閉レバー6L,6Rは、両者の先端が挿入口1a側に向いて小径ディスクdの直径より小さい間隔で最も寄り合う状態となる初期位置と、両者の先端が挿入口1aの長さ方向に沿って最も離れた状態となる全開位置との間で揺動可能とされると共に、前記初期位置に向けて付勢され、
連接部La,Raには、挿入口1aに挿入された大小2種類のディスクd,Dの端面と接触して、それらディスクから一対の開閉レバー6L,6Rを全開位置に向かわせる方向の押圧力を受けるセンタリング用凸部7eが設けられ、
ベース3は、一対のセレクタ7L,7Rを介して一対の開閉レバー6L,6Rを前記初期位置に拘束するロック用凸部3aを有し、
一対のセレクタ7L,7Rは、センタリング用凸部7eを小径ディスクdが押圧したときロック用凸部3aに係止したまま一対の開閉レバー6L,6Rを初期位置に維持すべき抵抗モーメントを発生する係合部7aを有して、その係合部7aがロック用凸部3aに係止する方向に付勢されると共に、
一対のセレクタ7L,7Rには、大径ディスクDがセンタリング用凸部7eを押圧したとき一対の開閉レバー6L,6Rの全開位置への揺動変位を許容すべく、大径ディスクDによるセンタリング用凸部7eの押圧前に当該大径ディスクDから押圧力を受けて、一対のセレクタ7L,7Rを両者の係合部7aがロック用凸部3aから外れる方向に揺動させるロック解除用凸部7dが設けられていることを特徴とする。
【0011】
加えて、ベース3には、一対のセレクタ7L,7Rの姿勢制御用として、ロック解除用凸部7dを接触子とする所定形状のカム輪郭部3cが形成されていることを特徴とする。
【0012】
又、一対のセレクタ7L,7Rの外周縁には、係合部7aに連続して該係合部をロック用凸部3aに係止する位置に案内する傾斜状のロックガイド7bが形成されていることを特徴とする。
【0013】
更に、ベース3には、一方向に回転駆動するターンテーブル5と協同して大小2種類のディスクd,Dの中心をクランプするクランプ盤4が回転自在に取り付けられ、その中心が一対の開閉レバー6L,6Rの対称軸線CL上に位置していることを特徴とする。
【0014】
特に、ターンテーブル5はディスクd,Dの中心孔hに嵌るテーパ状ハブ5aを有し、そのテーパ状ハブ5aがディスクd,Dのクランプ時に中心孔hに嵌り込みながらディスクd,Dを挿入口1a側に押し戻す構成とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一対の開閉レバーとセレクタとの連接部に設けられるセンタリング用凸部に対し、大小2種類のディスクの端面を接触させることにより、特許文献1のように複数のセンサを用いることなくそれらディスクを所定の回転位置に位置決めすることができる。特に、小径ディスクによりセンタリング用凸部が押圧されたとき、一対の開閉レバーを初期位置に拘束すべき抵抗モーメントが発生するようにしていることから、開閉レバーを初期位置に維持したまま小径ディスクを所定の回転位置に確実に案内することができる。しかも、一対の開閉レバーの各一端に伝動ギア部が形成され、その伝動ギア部同士が噛み合わされることから、特許文献2のように中間レバーを用いることなく一対の開閉レバーを同調的に揺動させることができる。
【0016】
加えて、ディスク位置決め機構のベースには、一対のセレクタの姿勢制御用としてロック解除用凸部を接触子とする所定形状のカム輪郭部が形成されることから、ユーザによって大径ディスクが移動中に引き抜かれるなどした場合でも、一対のセレクタがロック用凸部側に揺動するのを抑制しながら、それらセレクタを両者の係合部がロック用凸部に係止する位置まで復帰させることができる。
【0017】
又、一対のセレクタの外周縁には、係合部に連続して該係合部をロック用凸部に係止する位置に案内する傾斜状のロックガイドが形成されていることから、セレクタの復帰動作に際してロックガイドをロック用凸部に押し付けながら、係合部をロック用凸部に係止する位置まで確実に案内することができる。
【0018】
更に、ベースには大小2種類のディスクの中心をクランプするクランプ盤が回転自在に取り付けられ、その中心が一対の開閉レバーの対称軸線上に位置していることから、そのクランプ盤により、ディスクの中心を所定の回転位置にて適切にクランプすることができる。
【0019】
特に、ターンテーブルがディスクの中心孔に嵌るテーパ状ハブを有し、そのテーパ状ハブがディスククランプ時にその中心孔に嵌り込みながらディスクを挿入口側に押し戻す構成とされていることから、特別な部品を付加せずしてディスクを開閉レバー等から離して無負荷状態で安定回転させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。図1は本発明に係るディスク駆動装置の内部を示した平面概略図である。図1において、1は装置の筺体であり、その一端面(前面)には直径が異なる大小2種類のディスク(小径ディスクdおよび大径ディスクD)を挿入可能なスリット状の挿入口1aが形成されている。ディスクd,Dはオーディオ信号やビジュアル信号などを記録することのできる光ディスクであり、本例において小径ディスクdの直径は8cm、大径ディスクDの直径は12cmとされている。
【0021】
そして、係るディスク駆動装置によれば、挿入口1aに挿入されたディスクd,Dを筺体1内における所定の回転位置まで搬送して一方向に回転させながら、それらディスクd,Dに所望の情報を記録したり、その記録情報を読み出したりすることができる。
【0022】
2は図示せぬ送りローラなどにより挿入口1aから筺体1内に搬送されるディスクd,Dを所定の回転位置に案内するディスク位置決め機構であり、これは筺体1内の上部(図1において手前側)に位置付けられている。
【0023】
図2は、そのディスク位置決め機構2を示した拡大平面図である。図1および図2において、3はディスク位置決め機構2を構成する平板状のベースであり、このベース3は図示せぬベースシャーシで一端両側を回動可能に支持され、挿入口1aから図1の上方(図1の矢印方向)に向かって筺体1内に挿入されたディスクd,Dの片面(非記録面側)に臨むようになっている。ベース3には、回動支点となる一端側とは反対の端縁中央部においてクランプ盤4が回転自在に取り付けられており、そのクランプ盤4とターンテーブル5(図5参照)によってディスクd,Dの中心部がクランプされるようになっている。つまり、上記回転位置とは、ディスクd,Dの中心がクランプ盤4とターンテーブル5とでクランプされる位置であり、当該回転位置にディスクd,Dの中心が位置したとき、ベース3の回動(回転移動)によりクランプ盤4がターンテーブル5側に移動され、その両者4,5でディスクd,Dの中心がクランプされる構成とされている。
【0024】
又、ベース3には、左右一対の開閉レバー6L,6Rが揺動可能に取り付けられている。6aは開閉レバー6L,6Rをベース3に結節する一対の支点軸であり、開閉レバー6L,6Rは各々その支点軸6aを中心に、図1および図2に示される位置を初期位置として後述する全開位置との間でベース3に沿って揺動可能とされている。
【0025】
ここに、開閉レバー6L,6Rは、上記初期位置において両者の先端が挿入口1a側に向いて小径ディスクdの直径より小さい間隔で最も寄り合う状態となり、上記全開位置では両者の先端が挿入口1aの長さ方向(図1および図2の左右方向)に沿って最も離れた状態となる。特に、開閉レバー6L,6Rの支点側の各一端外周には、各支点軸6aを中心とする円弧状の伝動ギア部6bが形成され、その伝動ギア部6b,6bの噛み合いをもって開閉レバー6L,6Rが互いに逆向きに揺動するようになっている。そして、それら開閉レバー6L,6Rは、一方の開閉レバー6Rとベース3との間に掛け渡されるバネ6cにより初期位置に向けて(図1および図2において、左側の開閉レバー6Lは反時計回りに、右側の開閉レバー6Rは時計回りに)付勢され、無負荷時において初期位置に保持されるようになっている。
【0026】
尚、開閉レバー6L,6Rは、伝動ギア部6b,6bのピッチ円の接点(ピッチ点)における接線を対称軸線CLとして左右対称に配置され(図1参照)、その対称軸線CL上に上記クランプ盤4が位置している。
【0027】
一方、開閉レバー6L,6Rの各先端には平板状のセレクタ7L,7Rが連接され、そのセレクタ7L,7Rが開閉レバー6L,6Rとの連接部La,Raを中心にベース3に沿って揺動可能とされている。セレクタ7L,7Rには、それぞれ相対向する内側縁に入隅が直角に切り欠かれた凹角状の係合部7aが形成されるほか、その係合部7aに連続して傾斜状のロックガイド7bが形成される。尚、ベース3には、一対のセレクタ7L,7Rの内側において、係合部7aに対応する左右一対のロック用凸部3aが形成されている。そして、一対のセレクタ7L,7Rは、開閉レバー6L,6Rとの間に掛けられるバネ7cにより、係合部7aがロック用凸部3aに係止する方向に付勢され、その係合部7aとロック用凸部3aとの係合をもって開閉レバー6L,6Rが図1、図2に示される初期位置に拘束されるようになっている。
【0028】
又、セレクタ7L,7Rには、ディスクd,Dの進路上に垂下するロック解除用凸部7dが形成されている。それらロック解除用凸部7dは、挿入口1aの長さ方向に沿って配列し、その両者7d,7dの間隔が小径ディスクdの直径より大きく、且つ大径ディスクDの直径よりも小さくなるよう設定されており、挿入口1aに大径ディスクDが挿入されたときに当該大径ディスクDからの押圧力を受けて左右一対のセレクタ7L,7Rを各々その両者の係合部7aがロック用凸部3aから外れる方向に揺動させる働きをする。
【0029】
従って、小径ディスクdの挿入時にはロック解除用凸部7dが同時に押圧されず、係合部7a,7aの少なくとも一方がロック用凸部3aに係止したままとなるため、伝動ギア部6b,6bが噛み合った一対の開閉レバー6L,6Rは初期位置に維持され、大径ディスクDの挿入時にはセレクタ7L,7Rの係合部7aがロック用凸部3aから共に外されて初期位置にある開閉レバー6L,6Rが全開位置への揺動変位を許容される。
【0030】
尚、図1および図2において、3bは開閉レバー6L,6Rとセレクタ7L,7Rとの連接部La,Raに対応してベース3に形成した円弧状の長孔、3cはセレクタ7L,7Rの姿勢制御用としてベース3に形成したカム輪郭部であり、このカム輪郭部3cは、ロック解除用凸部7dを接触子(カム従節)として該ロック解除用凸部7dを摺接させながら、その移動案内を行なってセレクタ7L,7Rの揺動姿勢を制御する働きをする。
【0031】
次に、図3は小径ディスクdの挿入時において開閉レバーが初期位置に維持される状態を示し、図4には大径ディスクDによって開閉レバーが全開位置に移動(揺動変位)された状態を示す。これら図で明らかなように、セレクタ7L,7Rには、開閉レバー6L,6Rとの連接部La,Raにおいて、大小2種類のディスクd,Dの端面と接触するセンタリング用凸部7eが設けられる。センタリング用凸部7eは、図1および図2に示した長孔3bを通じてセレクタ7L,7Rの各一端からディスクd,Dの進路上に垂下される円筒状のボス7eと、このボス7eからその半径方向に突出する突片7eとにより構成され、開閉レバー6L,6Rの各先端にはボス7e内に嵌る連接ピン6dが突設されている。
【0032】
ここに、小径ディスクdは、図3に示されるようロック解除用凸部7d,7dの間を通って筺体内に進行し、やがて進行方向側の端面2箇所がセンタリング用凸部7e,7eに接触して進行を阻止されるようになる。このとき、開閉レバー6L,6Rに対し、セレクタ7L,7Rのボス7eに嵌る連接ピン6dを通じて全開位置に向かう方向(左側の開閉レバー6Lには図3の時計回り、右側の開閉レバー6Rには図3の反時計回り)のトルクが作用するが、セレクタ7L,7Rには図2に示したバネ7cの付勢力に加えて係合部7aがロック用凸部3aに係止する方向のトルク(モーメント)が作用し、その反力が開閉レバー6L,6Rを初期位置に維持すべき拘束力(抵抗モーメント)として開閉レバー6L,6Rに作用することにより、その両開閉レバー6L,6Rが初期位置に維持される。このため、小径ディスクdはその端面をセンタリング用凸部7eに接触させたまま進行を阻止される。
【0033】
一方、大径ディスクDは、図4のようにその端面でロック解除用凸部7d,7dを押圧しながら筺体内に進行し、次いでその端面がセンタリング用凸部7e,7eを押圧するようになる。大径ディスクDの端面がセンタリング用凸部7e,7eに接触するとき、セレクタ7L,7Rの係合部7aがロック用凸部3aから既に外されて開閉レバー6L,6Rが全開位置への揺動変位を許容された状態にあり、このため大径ディスクDは図4のようにセンタリング用凸部7e,7eを介して開閉レバー6L,6Rを全開位置に向けて押し広げながら更に進行を続け、開閉レバー6L,6Rが図4に示す全開位置に達した段階で大径ディスクDがその端面をセンタリング用凸部7e,7eに接触させたまま進行を阻止されるようになる。
【0034】
又、図3および図4から明らかなように、一方の開閉レバー6Lにはその中間部分においてトリガアーム8がピン8aを中心に揺動自在に連結されている。このトリガアーム8は、図2に示したベース3を介して開閉レバー6L,6Rとは反対側に配置され、その先端がディスクd,Dの進路上にあってディスクd,Dの端面と接触するようになっている。又、ベース3には、トリガアーム8とは反対側の面にスライド板9とロックレバー10が設けられている。
【0035】
スライド板9は、ディスクd,Dの進行方向に沿って移動可能とされており、その板面には、移動方向に対して直交する長孔9aと、移動方向に沿って延びるL字形のロック孔9bとが穿設され、トリガアーム8の基端に突設したピン8bが長孔9aに嵌め込まれている。一方、ロックレバー10は軸10aを中心に揺動可能とされ、その一部に突設したピン10bがスライド板9のロック孔9bに嵌め込まれている。
【0036】
そして、ディスクd,Dの挿入時において、それらディスクd,Dの端面でトリガアーム8の先端が押圧されると、スライド板9がピン8bに押されて図3、図4に示される一点鎖線の位置から実線で示される挿入口1a側に移動し、図示せぬベースシャーシの側面に設けたスライドカム11を同方向に移動させ、このスライドカム11に形成されるラック部を図示せぬ駆動ピニオンに噛み合わせるようになっている。
【0037】
このスライドカム11は、上記クランプ盤4とターンテーブル5とによるディスクd,Dのクランプが遂行されるようベース3を作動(回動)させるもので、ディスククランプ時には図示せぬ送りローラをディスクd,Dから離間させる働きもする。
【0038】
ここに、スライドカム11がそのラック部と上記駆動ピニオンとの噛み合いをもって挿入口1a側に移動すると、ベース3の回動が始まり、その回動をもってスライド板9が図示せぬベースシャーシの部位で押圧されつつ更に挿入口1a側に移動され、これによってトリガアーム8の先端がディスクd,Dの端面から離間するようになっている。特に、図4に示されるように、大径ディスクDにより開閉レバー6L,6Rが全開位置まで移動されたとき、一対の開閉レバー6L,6Rはその一方6Lの先端部に形成した突角部6eに対してロックレバー10が係止することにより全開位置に拘束される。
【0039】
尚、スライド板9は、スライドカム11の移動によるベース3の回動によって復帰動作を阻止され、そのロック孔9bの一端部に嵌り込んだピン10bを介してロックレバー10の揺動を拘束するのであり、このため全開位置に達した開閉レバー6L,6Rが同位置に拘束されることになる。
【0040】
又、スライド板9が挿入口1a側の移動端に達する直前までディスクd,Dはその端面をセンタリング用凸部7e(大径ディスクDにおいてはセンタリング用凸部7eおよびロック解除用凸部7d)に接触させた状態にあるが、スライドカム11の移動に伴い、図5に示されるようベース3を介してクランプ盤4がターンテーブル5側に移動し、その両者4,5によるディスクd,Dのクランプが開始されると、ディスクd,Dの中心孔hにターンテーブル5のテーパ状ハブ5aが嵌り込みつつ、そのテーパ状ハブ5aのテーパ面に沿ってディスクd,Dが挿入口1a側(図5の矢印方向)に僅かに移動される。つまり、ターンテーブル5の軸線は、クランプ直前のディスク中心mよりも挿入口1a側に長さαだけずれており、しかもターンテーブル5(テーパ状ハブ5a)のテーパ幅βが上記のずれ長αよりも大きくなる設計とされている。
【0041】
このため、ディスクd,Dがクランプ盤4とターンテーブル5とにより中心孔hの周囲をクランプされて所定の回転位置に位置決めされたとき、図6のようにセンタリング用凸部7eおよびロック解除用凸部7dに対してディスクd,Dが非接触となる。これにより、ディスクd,Dは回転位置においてセンタリング用凸部7eなどから摩擦抵抗を受けることなく、無負荷状態で回転されることになる。
【0042】
ここで、小径ディスクdが挿入口1aに対し左右いずれか一方寄りに挿入された場合を想定する。例えば、図7のように小径ディスクdが左側に偏って挿入された場合、この小径ディスクdは図8のように左側セレクタ7Lのロック解除用凸部7dを押圧し、セレクタ7Lを同図時計回りに揺動させ、その係合部7aを一方のロック用凸部3aから外しながら進行し、次いで左側のセンタリング用凸部7eを押圧するようになる。その押圧力は伝動ギア部6b,6bから右側の開閉レバー6Rにも伝達されて左右双方の開閉レバー6L,6Rを全開位置に向かわせる方向に作用するが、右側のセレクタ7Rはロック解除用凸部7dが小径ディスクdで押圧されず、その係合部7aがロック用凸部3aに係止したままであり、しかも同係合部7aが伝達トルクによってロック用凸部7aに対しより強力に係止するようになり、その反力が一対の開閉レバー6L,6Rを初期位置に維持する抵抗モーメントとして作用するため、一対の開閉レバー6L,6Rは揺動せずして初期位置に維持される。
【0043】
この結果、小径ディスクdは左側のセンタリング用凸部7eとロック解除用凸部7dでガイドされながら右側に寄せられていき、最終的に図9に示されるようその端面2箇所が左右一対のセンタリング用凸部7e,7eに接して上述の如く回転位置に位置決めされることになる。尚、開閉レバー6L,6Rは、その先端部がベース3に形成される長孔3bの端部に突き当たることで初期位置より内側への揺動が規制される。
【0044】
一方、大径ディスクDの挿入時には、図10に示されるよう先ずその端面で左右一対のセレクタ7L,7Rのロック解除用凸部7dが押圧されることにより、図11のように両者の係合部7aがそれぞれロック用凸部3aから外される。そして、その状態のまま大径ディスクDは更に進行し、その端面が左右一対のセンタリング用凸部7e,7eに突き当たるようになる。このとき、左右一対のセレクタ7L,7Rの係合部7aがロック用凸部3aから既に外れて開閉レバー6L,6Rが全開位置側への揺動を許容された状態にあるので、大径ディスクDは左右一対の開閉レバー6L,6Rを押し広げながら進行を続け、図12のように開閉レバー6L,6Rが全開位置に達した段階で大径ディスクDが上述の如く回転位置に位置決めされることになる。
【0045】
尚、開閉レバー6L,6Rは、ベース3に形成される孔3dの端部にピン8aが突き当たることで全開位置よりも外側への揺動が規制される。
【0046】
ここに、大径ディスクDが移動中にユーザによって強制的に引き抜かれるなどした場合でも、カム輪郭部3cに対するロック解除用凸部7dの摺接をもってセレクタ7L,7Rがロック用凸部3a側に揺動するのを抑制されるようにしてあるので、セレクタ7L,7Rが開閉レバー6L,6Rとロック用凸部3a,3aとの間に挟み込まれてしまうことがなく、ロックガイド7bをロック用凸部3aに摺接させながら、左右一対のセレクタ7L,7Rを両者の係合部7aがロック用凸部3aに係止する位置まで適切に復帰させることができる。
【0047】
以上、本発明の具体的な構成例を説明したが、センタリング用凸部7eはセレクタ7L,7R側に設けることに限らず、開閉レバー6L,6Rとセレクタ7L,7Rとの連接部La,Raにおいて開閉レバー6L,6R側に設けてもよく、その形態もボス7eと突片7eとを連ねたものに限らず、突片7eを省略するなどしてもよい。
【0048】
又、対象とするディスクは直径8cmと12cmのものに限らない。但し、両者の直径差に応じてセンタリング用凸部7eやロック解除用凸部7dの位置関係を変更すること勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るディスク駆動装置の内部構造を示す平面概略図
【図2】ディスク位置決め機構を示す拡大平面図
【図3】小径ディスクを挿入したときの状態を示す説明図
【図4】大径ディスクを挿入したときの状態を示す説明図
【図5】ディスクが回転位置にてクランプされる状態を示す説明図
【図6】ディスク回転時の状態を示す説明図
【図7】小径ディスクが左寄りに挿入された状態を示す説明図
【図8】小径ディスクが左側のセレクタを揺動させた状態を示す説明図
【図9】小径ディスクが回転位置に案内された状態を示す説明図
【図10】大径ディスクの挿入時の状態を示す説明図
【図11】大径ディスクが一対のセレクタを揺動させた状態を示す説明図
【図12】大径ディスクが回転位置に案内された状態を示す説明図
【符号の説明】
【0050】
1 筺体
1a 挿入口
2 ディスク位置決め機構
3 ベース
3a ロック用凸部
3c カム輪郭部
4 クランプ盤
5 ターンテーブル
6L,6R 開閉レバー
6b 伝動ギア部
7L,7R セレクタ
7a 係合部
7b ロックガイド
7d ロック解除用凸部
7e センタリング用凸部
d 小径ディスク
D 大径ディスク
La,Ra 開閉レバーとセレクタとの連接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が異なる大小2種類のディスクを筐体内における所定の回転位置に案内するディスク位置決め機構を備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスク位置決め機構は、
前記筐体に形成されるスリット状の挿入口に挿入されたディスクの片面に臨むベースと、
前記ベースに揺動可能に取り付けられて各々の一端外周に形成された伝動ギア部の噛み合いにより前記ベースに沿って互いに逆方向に揺動する一対の開閉レバーと、
前記一対の開閉レバーの各先端に連接して当該開閉レバーとの連接部を中心に前記ベースに沿って揺動する一対のセレクタと、を有し、
前記一対の開閉レバーは、両者の先端が前記挿入口側に向いて小径ディスクの直径より小さい間隔で最も寄り合う状態となる初期位置と、両者の先端が前記挿入口の長さ方向に沿って最も離れた状態となる全開位置との間で揺動可能とされると共に、前記初期位置に向けて付勢され、
前記連接部には、前記挿入口に挿入された大小2種類のディスクの端面と接触して、それらディスクから前記一対の開閉レバーを全開位置に向かわせる方向の押圧力を受けるセンタリング用凸部が設けられ、
前記ベースは、前記一対のセレクタを介して前記一対の開閉レバーを前記初期位置に拘束するロック用凸部を有し、
前記一対のセレクタは、前記センタリング用凸部を小径ディスクが押圧したとき前記ロック用凸部に係止したまま一対の開閉レバーを初期位置に維持すべき抵抗モーメントを発生する係合部を有して、その係合部が前記ロック用凸部に係止する方向に付勢されると共に、
前記一対のセレクタには、大径ディスクが前記センタリング用凸部を押圧したとき一対の開閉レバーの全開位置への揺動変位を許容すべく、前記大径ディスクによる前記センタリング用凸部の押圧前に当該大径ディスクから押圧力を受けて、一対のセレクタを両者の係合部が前記ロック用凸部から外れる方向に揺動させるロック解除用凸部が設けられていることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
前記ベースには、前記一対のセレクタの姿勢制御用として、前記ロック解除用凸部を接触子とする所定形状のカム輪郭部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のディスク駆動装置。
【請求項3】
前記一対のセレクタの外周縁には、前記係合部に連続して該係合部を前記ロック用凸部に係止する位置に案内する傾斜状のロックガイドが形成されていることを特徴とする請求項1、又は2記載のディスク駆動装置。
【請求項4】
前記ベースには、一方向に回転駆動するターンテーブルと協同して大小2種類のディスクの中心をクランプするクランプ盤が回転自在に取り付けられ、その中心が一対の開閉レバーの対称軸線上に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディスク駆動装置。
【請求項5】
前記ベースには、一方向に回転駆動するターンテーブルと協同して大小2種類のディスクの中心をクランプするクランプ盤が回転自在に取り付けられ、その中心が一対の開閉レバーの対称軸線上に位置している一方、
前記ターンテーブルは前記ディスクの中心孔に嵌るテーパ状ハブを有し、そのテーパ状ハブが前記ディスクのクランプ時に前記中心孔に嵌り込みながら前記ディスクを前記挿入口側に押し戻す構成とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−252318(P2009−252318A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101345(P2008−101345)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】