説明

ディスプレイへの動画の表示方法

【課題】 動画の表示を簡単にさせる。
【解決手段】画像情報を表示するために、複数の画像周期(6,7,9)の期間中それぞれディスプレイのすべてのピクセル行(2)をアドレス化し、画像情報を表示するために、バックライトがピクセル行(2)を背景照明するディスプレイへの動画の表示方法において、第1の画像周期(6)の期間中およびこの第1の画像周期に続く第2の画像周期(7)の期間中、同じ画像情報を表示するために、ピクセルアドレスを不変に維持し、第1の画像周期(6)が終了した後であって待機時間(8)が経過した後にバックライトがピクセル行(2)を背景照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報を表示するために、複数の画像周期の期間中それぞれディスプレイのすべてのピクセル行をアドレス化し、画像情報を表示するために、バックライトがピクセル行を背景照明する、ディスプレイへの動画の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイを背景照明するために、いわゆるバックライトが使用される。バックライトは、行ごとに配置されるCCFL発光手段(Cold Cathode Fluorescent Lamp)により光を発生させる。光はディスプレイ内のすべての方向へ放射され、後方へ放射された光をLCD表示器の方向へ反射させるリフレクタが設けられている。この種のディスプレイは、特に、診断の段階で高コントラストの画像表示が望ましい医療分野で使用することができる。さらに、医療分野においては、ディスプレイのLCD表示器上に表示可能な動く対象物の動画ぼけが少ないのが望ましい。
LCDディスプレイは、1つのフレーム(1つの画像周期)が継続している期間中は画像内容が維持されるいわゆるホールドタイプのディスプレイに属している。LCDディスプレイの液晶の反応時間のために、すなわち1つの画像ピクセルの明度を10%から90%に変化させるための時間を表わす反応時間(たとえば約8ms)のために、アドレス化された1つの画像行は直ちに「適正な」明度で発光しない。このため、表示時間にわたる明度集中により、表示される動く対象物のエッジは視聴者にとって不鮮明に見え、或いはぶれて見える。この不具合な動画ぼけは、ディスプレイ上に表示可能な対象物の本来の動きが人間の眼の解像限界以上であることによっても増幅される。通常人間の眼は約0.15mmの間隔を認識するのに対し、アドレス化された1つの画像行は、画像再生速度が60Hzであれば約17msの時間の間人間の眼で見ることができ、その間、たとえば0.1mm/sの速度で移動する対象物は1.7mmの距離を走破する。
【0003】
非特許文献1には、いわゆるブリンキングバックライトが記載されている。このブリンキングバックライトは1つのフレームが終了する前に背景照明を短時間切断させ、これにより画像点灯後の光強度をゼロに減少させ、それによって明度集中が低下し、よってエッジぶれも減少する。欠点は、液晶(ピクセル)がまだ配向されず、前の画像の情報がまだ得られる場合、或いは、液晶がすでに新たに再配向され、それ故すでに次の画像の情報が得られる場合に、動く対象物のいわゆる前ゴーストまたは後ゴーストが見られることである。動画表示はいわゆるスキャンニングバックライトで改善することができる。この場合、1つの画像周期の期間中に、複数の行に配置されている発光手段が画像構築と同期して行ごとにオンオフされる。欠点は、複数の行に配置される多数の発光手段が必要なことである。
【0004】
特許文献1では、各画像構築の期間中にすべてのピクセル行がアドレス化されるLCDディスプレイへの動画の表示方法が提案される。各画像構築後の待機時間経過後にバックライトがピクセル行を背景照明することによって動画の表示が改善される。欠点は、「電気フレーム」も「光学フレーム」も延長され、高価な電子系を必要とすることである。
【0005】
【特許文献1】独国特許出願第102007009014.7号
【非特許文献1】「フラットパネルディスプレイの動画表示を改善するための高速の時間、技術」、c't 2005年第9巻
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、動画の表示を簡単にさせる冒頭で述べた種類の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、画像情報を表示するために、複数の画像周期の期間中それぞれディスプレイのすべてのピクセル行をアドレス化し、画像情報を表示するために、バックライトがピクセル行を背景照明する、ディスプレイへの動画の表示方法において、第1の画像周期の期間中およびこの第1の画像周期に続く第2の画像周期の期間中、同じ画像情報を表示するために、ピクセルアドレスを不変に維持し、第1の画像周期が終了した後であって待機時間が経過した後にバックライトがピクセル行を背景照明することによって解決される。
【0008】
本発明は、アドレス化された1個の画像ピクセルの状態が変化している期間中、すなわち当該画像ピクセルの明度が変化している期間中この画像ピクセルを背景照明せず、しかしながら「電気フレーム」を延長するべきでないという考えから出発している。これは、LCDディスプレイに関しては、ディスプレイの液晶の配向中は液晶を背景照明しないことを意味している。背景照明は、すべてのピクセル行、たとえばそれぞれ1280ピクセルの1024個のピクセル行が1つの画像周期の期間中にアドレス化され、この画像周期後の待機時間経過後に配向された後に、はじめて投入される。次の画像周期の期間中はアドレスを変化させず、すなわち同じ画像情報を新たに「記入する」。これは、液晶を新たに配向させる必要がないことを意味している。次の画像周期の一部である待機時間中にすでにピクセル行を新たにアドレス化し、しかしながらこの待機時間経過後にはじめてバックライトがピクセル行の背景照明を行なうことは、「光学フレーム」のみが変化し、他方「電気フレーム」は不変であることを意味している。視聴者にとっては、動く対象物の表示が鮮明な画像として見え、120Hz以上の非常に高い画像再生周波数を適宜選定することにより、ちらつき画像が回避される。
【0009】
背景照明のために、行内に配置された多数の発光ダイオードと高価な電子駆動回路とを備えた高コストのLEDバックライトを設ける必要がないので有利である。ピクセル行を背景照明するためにたとえばランプの形態のただ1つの発光手段を設ければ十分である。
【0010】
本発明の実施態様では、待機時間は、実質的に、1個のピクセルのアドレス化後に当該ピクセルの状態を変化させるための時間に相当している。これにより、いかなる場合も、画像ピクセルの「移動」中、或いは、明度変化を生じさせる液晶の配向中、バックライトの切断が維持されることが保証される。
【0011】
本発明の他の実施態様によれば、バックライトはピクセル行を第2の画像周期が終了するまで背景照明し、これによってバックライトによって発生した光の輝度を減少させることができる。すなわち、バックライトはピクセル行を、待機時間後の第2の画像周期の期間中の第1の時点からまたは第2の時点から、第3の時点まで、または第4の時点で第2の画像周期が終了するまで背景照明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の1実施形態を示す図面を用いて、本発明およびその構成並びに利点を詳細に説明する。
【0013】
まず図3を参照すると、図3には、周波数120Hzで1つの画像周期(フレーム)の期間中におけるLCDディスプレイの表示器1での画像構築が図示されている。なお、この画像周期の期間中に1024個の行2すべてがそれぞれ1280ピクセル(液晶セル)でアドレス化され、行ごとに適当な電圧が液晶セルに印加される。液晶セルはその反応時間に応じて配向され、バックライトによる液晶セルの背景照明により、LCDディスプレイの表示器上の画像情報が視聴者に見えるようになる。液晶の反応時間は、液晶が配向され1個の画像ピクセルの明度を約10%から約90%へ変化させるための時間を表わし、たとえば4msである。この画像周期の後に、次の更なる画像周期の期間中に他の画像が構築される。これを図2では、それぞれ8.3ms(120Hzに対応)の各画像周期4内での画像スクロールバー3の形状で示した。それぞれの画像スクロールバー3の幅は、液晶のアドレス化または駆動に従って液晶を配向させるための時間を表わしている。時間間隔5でライトニングする期間中、すなわちバックライトによってピクセル行を背景照明する期間中、液晶はまだ完全に配向されておらず、或いは、液晶は次の画像周期の新たな画像情報によりすでに新たに再配向されていることによって、「前ゴースト」または「後ゴースト」の形で動画ぼけが発生し、表示器1の視聴者を妨害する。
【0014】
液晶の配向中の背景照明を回避するため、各画像周期の後で、当該画像周期に続く次の画像周期の一部である待機時間の経過後にはじめてピクセル行の背景照明を行なう。この次の画像周期の期間中、前回の画像周期と同じ画像情報を表示するために、ピクセルアドレスは不変である。
【0015】
これに関連して図1を参照すると、図1には画像周期のタイムチャートが図示されている。画像構築は、同様に、図2の画像周期4(周期時間8.3ms)に一致する画像周期の期間中に行われる。第1の画像周期6の期間中およびこの第1の画像周期6に続く第2の画像周期7の期間中、同じ画像情報を表示するためにピクセルアドレスは不変である。このことは、これら画像周期6,7の期間中、画像内容は同一であることを意味している。換言すれば、「フレーム」は二重に「書き込みされている」。なお、液晶の配向をすでに行なった場合の同じ「フレーム」の書き込みは状態変化を生じさせない。待機時間8に相当する時間間隔中にバックライトがまだ配向していない液晶を背景照明しないようにするため、この待機時間8の期間中バックライトは暗であり、この第1の画像周期6の後であってこの待機時間8が経過した後にはじめて、バックライトは次の第2の画像周期7の期間中にピクセル行を背景照明する。待機時間8は第2の画像周期7の一部であり、実質的には、1個のピクセルをアドレス化した後に、或いは、1個の画像ピクセルの明度を約10%から約90%へ変化させるための時間を表わす反応時間の後に、当該1個のピクセルの状態を変化させるための時間に相当する。この待機時間8が経過した後にバックライトを投入し、これによって画像情報が表示器の視聴者に見えるようになる。バックライトの投入は第4の時点t4で第2の画像周期7が終了するまで続けられ、これによって、バックライトにより発生した光の輝度を減少させることができる。もちろん、必ずしも第2の画像周期7の終了までバックライトを投入する必要はなく、すでに第3の時点t3で背景照明を切断させてもよい。しかしながら、バックライトは遅くとも第4の時点t4で第2の画像周期7が終了するまでに切断し、第5の時点t5まで切断し続けるよう保証されていなければならない。この時点t5はすでに画像周期9に続く画像周期内にある。また、必ずしも第1の時点t1で待機時間8が終了したときに同時にバックライトを投入する必要はない。これは単に背景照明の最も早い開始時点を表わしているにすぎない。この待機時間8が終了した後の第2の画像周期7の期間中の第2の時点t2ではじめて背景照明を投入してもよい。表示器に表示され視聴者に見える画像に、ちらつきがないよう保証するため、120Hz以上の適当な高さの画像再生速度を選定する。この種の画像再生速度を備えたLCDディスプレイは将来市場で入手できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像周期と時間との関係を示すグラフ
【図2】画像周期と時間との関係を示すグラフ
【図3】LCDの画像構築を説明するための図
【符号の説明】
【0017】
1 表示器
2 行
3 スクロールバー
4 各画像周期
6 第1の画像周期
7 第2の画像周期
8 待機時間
9 画像周期
t1 第1の時点
t2 第2の時点
t3 第3の時点
t4 第4の時点
t5 第5の時点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を表示するために、複数の画像周期(6,7,9)の期間中それぞれディスプレイのすべてのピクセル行(2)をアドレス化し、
画像情報を表示するために、バックライトがピクセル行(2)を背景照明する、ディスプレイへの動画の表示方法において、
第1の画像周期(6)の期間中およびこの第1の画像周期(6)に続く第2の画像周期(7)の期間中、同じ画像情報を表示するために、ピクセルアドレスを不変に維持し、第1の画像周期(6)が終了した後であって待機時間(8)が経過した後にバックライトがピクセル行(2)を背景照明することを特徴とするディスプレイへの動画の表示方法。
【請求項2】
待機時間(8)が、実質的に、1個のピクセルのアドレス化後に当該ピクセルの状態を変化させるための時間(8)に相当していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
バックライトはピクセル行を、待機時間(8)後の第2の画像周期(7)の期間中の第1の時点(t1)からまたは第2の時点(t2)から、第3の時点(t3)まで、または第4の時点(t4)で第2の画像周期(7)が終了するまで背景照明することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−225479(P2008−225479A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64244(P2008−64244)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(508041976)エイゾー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】