説明

ディスプレイコントローラ及び表示装置並びに映像信号出力装置

【課題】本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、ディジタル伝送路のデータレートを変更することなく、ディスプレイ伝送路で送る信号自体は規格内(60Hz)のまま、高速画面切替方式の画像表示を行えるディスプレイコントローラ及び表示装置並びに映像信号出力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ディジタル伝送路を介して送られてきた信号を基に少なくとも二つの画像信号を順次出力して、該画像信号に応じた画像をディスプレイに表示させるディスプレイコントローラであって、出力する画像信号のうち、第1の出力画像の画像信号と第2の出力画像の画像信号とは、それぞれの画像輝度値を画素ごとに加算したときに、第1の出力画像とは相関の無い画像となる関係にあり、画像信号を出力する際のフレーム周波数は、入力画像の画像信号のフレーム周波数の2以上の整数倍であることを特徴とするディスプレイコントローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイコントローラ及び表示装置並びに映像信号出力装置に関し、特に、特定の使用者・認証された人にその内容を提示するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイをはじめとするフラットパネルディスプレイは、携帯電話端末といったモバイル機器から、街頭に設置される公衆ディスプレイといった大型装置にまで幅広く適用されている。こういったディスプレイの多くは、広視野角、高輝度、高画質といった点に開発の重点が置かれており、どのような角度からでも、綺麗に見やすく表示することが求められてきた。
【0003】
一方、ディスプレイで表示するコンテンツの中には、秘密情報やプライベートデータなど他人には見られたくない内容のものもある。よって、情報機器の発達に伴うユビキタス化が進展する現在、不特定の人たちがいる公衆下であっても、他の人に表示コンテンツを見られないようにすることも重要な課題となっている。
【0004】
加えて、オフィス内のような特定の人しかいない場所であっても、座席の後ろを通る人に見られたくない秘密情報を扱う場合もある。
【0005】
携帯電話端末などの中には、光学的な遮蔽板(ルーバー)を設けて、特定の方向からのみ表示内容を視認できるようなディスプレイが搭載されているものもある。しかし、それでもユーザの真後ろからは表示内容を盗み見ることができてしまうため、機密保持の点からは十分であるとは言えない。
【0006】
これらの問題を解決することに関連する技術としては、特許文献1に開示される「画像表示装置」がある。この画像表示装置は、画像選択機能を有する眼鏡をユーザに着用させることによって、眼鏡をかけた者(ユーザ)にのみ特定の画像(以下、秘密画像という)を視認可能とし、それ以外の者には別の画像(以下、公衆画像という)を提示する装置である。
【0007】
具体的には、図1に示す画像表示装置は、1フレーム分の入力画像信号11をフレーム信号13に基づいて画像情報蓄積メモリ12に蓄積する。その後、フレーム周期の2倍の速度でメモリ12から画像情報を読み出し(すなわち、1フレーム期間中に2回読み出し)、最初に読み出した信号は2分の1に圧縮して第一画像信号14として合成回路15に入力し、次に読み出した画像信号は彩度及び輝度を変換した後、第二画像信号17として合成回路15に入力する。従って、画像表示器18には、第一画像信号14と第二画像信号17とが交互に表示される。
【0008】
一方、フレーム信号13は、眼鏡シャッタタイミング発生回路19にも入力される。眼鏡シャッタタイミング発生回路19は、眼鏡21のシャッタを駆動し、第二画像信号17による画像がユーザから見えないように眼鏡シャッタを制御する。
【0009】
このような構成、動作によって、眼鏡21をかけていない者には、第一画像信号14と第二画像信号17との合成画像であり第一画像信号14とは関係のない灰色画像又は第三の画像(公衆画像)が見えることとなり、眼鏡21をかけた者には第一画像信号14による所望の画像(秘密画像)が見えることとなる。
【0010】
また、上記の問題を解決する別の関連技術としては、特許文献2に開示される「公衆が見ることのできるディスプレイでプライベートに見ることができるデータを提供する方法」がある。特許文献2に開示される方法は、許可されたユーザのみがディスプレイ上のプライベート画像(秘密画像)を解読できるようにすると同時に、許可されていないユーザには、単にランダムなパターンや判読しにくいパターン、又はスクリーン・セイバー画像といった画像を公衆画像として見せるようにするものである。
【0011】
この目的を助長するために、特許文献2に開示される発明では、データ隠蔽パターン及び交番パターンを含む画像処理技法を、画像処理技術によって作られた画像を組み込んだディスプレイと同期する(例えば、アクティブ・グラスなどのウェアラブル・デバイスと組み合わせる。)。最後に、人間の視覚系の「似ていない画像を単一の画像に融合させる既知の能力」によって、公衆が見ることのできるディスプレイでプライベートに見ることのできるデータを提供する能力が完成する。
【0012】
このように、上記特許文献1や特許文献2に開示される発明においては、高速に画像を切り替えるため、フリッカを感じさせないようにフレーム周波数を、(切り替える画像数)×50Hz以上とする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭63−312788号公報
【特許文献2】特開2001−255844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1に開示される発明においては、高フレームレートで秘密画像、反転画像、公衆画像を順次送出するため、合成回路と画像表示器との間のデータレートが高くなり、現在主流のディジタル伝送(LVDSやDVI、HDMI)では転送できないという問題がある。また、特許文献2に開示される発明においても、全ての画像の生成をCPU内のソフトで行っているため、同様の問題が生じる。
【0015】
このような画像信号の生成部(コンピュータ)と表示部(ディスプレイ)との間の伝送路は、一般にDVIやHDMIのように規格化されているものが主流であり、この規格を超える伝送容量を伝送するためには、この規格外の動作を行うか、並列化を行うこととなる。しかし、規格外の動作を行ったり、並列化したりして画像信号をコンピュータからディスプレイへ伝送することは、現実的な方法ではない。
【0016】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、ディジタル伝送路のデータレートを変更することなく、ディスプレイ伝送路で送る信号自体は規格内(60Hz)のまま、高速画面切替方式の画像表示を行えるディスプレイコントローラ及び表示装置並びに映像信号出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、ディジタル伝送路を介して送られてきた信号を基に少なくとも二つの画像信号を順次出力して、該画像信号に応じた画像をディスプレイに表示させるディスプレイコントローラであって、出力する画像信号のうち、第1の出力画像の画像信号と第2の出力画像の画像信号とは、それぞれの画像輝度値を画素ごとに加算したときに、第1の出力画像とは相関の無い画像となる関係にあり、画像信号を出力する際のフレーム周波数は、入力画像の画像信号のフレーム周波数の2以上の整数倍であることを特徴とするディスプレイコントローラを提供するものである。
【0018】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、少なくとも二つの画像信号を順次出力して、該画像信号に応じた画像をディスプレイに表示させるディスプレイコントローラであって、第1の出力画像を含む全ての出力画像輝度値を画素ごとに加算したときに、入力画像の一つであり不特定多数の者の閲覧に供するための画像である第2の入力画像となるように第2の出力画像を生成する画像生成手段を有し、画像信号を出力する際のフレーム周波数は、入力画像の画像信号のフレーム周波数の2以上の整数倍であることを特徴とするディスプレイコントローラを提供するものである。
【0019】
本発明の第2の態様においては、出力する前記画像信号のうち、第1の出力画像の画像信号と第2の出力画像の画像信号とは、それぞれの画像輝度値を画素ごとに加算したときに、第1の出力画像とは相関の無い画像となる関係にあっても良い。また、ディジタル伝送路を介して送られてきた信号を基に前記画像信号を出力しても良い。
【0020】
本発明の第1又は第2の態様においては、少なくとも第1出力画像の画像信号を出力している期間には、ディスプレイとユーザの目との間に配置されるシャッタを光透過状態とするように制御する光シャッタ制御手段を有することが好ましい。
【0021】
本発明の第1又は第2の態様のいずれの構成においても、ディジタル伝送路を介して外部から送られてきた信号から入力画像の画像信号と同期信号とを生成するレシーバを有し、レシーバの出力する入力画像の画像信号を外部のメモリへ送出し、同期信号に基づいてメモリから入力画像の画像信号を読み出して出力する画像信号を生成することが好ましく、これに加えて、ディジタル伝送路を介して送られてきた信号の少なくとも一部は第1の出力画像そのものの画像信号であることがより好ましい。
【0022】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、ディジタル伝送路を介して送られてきた信号を基に少なくとも二つの画像信号を順次表示手段へ出力して、該画像信号に応じた画像を表示手段に表示させる表示装置であって、出力する画像信号のうち、第1の出力画像の画像信号と第2の出力画像の画像信号とは、それぞれの画像輝度値を画素ごとに加算したときに、第1の出力画像とは相関の無い画像となる関係にあり、画像信号を出力する際のフレーム周波数は、入力画像の画像信号のフレーム周波数の2以上の整数倍であることを特徴とする表示装置を提供するものである。
【0023】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第4の態様として、少なくとも二つの画像信号を順次表示手段へ出力して、該画像信号に応じた画像を表示手段に表示させる表示装置であって、第1の出力画像を含む全ての出力画像輝度値を画素ごとに加算したときに、入力画像の一つであり不特定多数の者の閲覧に供するための画像である第2の入力画像となるように第2の出力画像を生成する画像生成手段を有し、画像信号を出力する際のフレーム周波数は、入力画像の画像信号のフレーム周波数の2以上の整数倍であることを特徴とする表示装置を提供するものである。
【0024】
本発明第4の態様においては、出力する前記画像信号のうち、第1の出力画像の画像信号と第2の出力画像の画像信号とは、それぞれの画像輝度値を画素ごとに加算したときに、第1の出力画像とは相関の無い画像となる関係にあっても良い。また、ディジタル伝送路を介して送られてきた信号を基に画像信号を出力しても良い。
【0025】
本発明の第3又は第4の態様においては、少なくとも第1出力画像の画像信号を出力している期間には、表示手段とユーザの目との間に配置されるシャッタを光透過状態とするように制御する光シャッタ制御手段を有することが好ましい。
【0026】
本発明の第3又は第4の態様のいずれの構成においても、ディジタル伝送路を介して外部から送られてきた信号から入力画像の画像信号と同期信号とを生成するレシーバを有し、レシーバの出力する入力画像の画像信号を外部のメモリへ送出し、同期信号に基づいてメモリから入力画像の画像信号を読み出して出力する画像信号を生成することが好ましく、これに加えて、ディジタル伝送路を介して送られてきた信号の少なくとも一部は第1の出力画像そのものの画像信号であることがより好ましい。
【0027】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第5の態様として、第1の画像の画像信号と、不特定多数の者の閲覧に供するための画像である第2の画像の画像信号とを少なくとも含む映像信号を、画像信号に応じた画像を表示するディスプレイへの入力伝送路の規格に適合する周波数で出力する手段を有することを特徴とする映像信号出力装置を提供するものである。本発明の第5の態様においては、映像信号は、画像輝度値を第1の画像と画素ごとに加算したときに該第1の画像とは相関の無い画像となる関係にある第3の画像の画像信号を含んでも良く、これに加えて、映像信号において、第1の画像の画像信号が占める時間割合と第3の画像の画像信号が占める時間割合とが同じであっても良い。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ディジタル伝送路のデータレートを変更することなく、ディスプレイ伝送路で送る信号自体は規格内(60Hz)のまま、高速画面切替方式の画像表示を行えるディスプレイコントローラ及び表示装置並びに映像信号出力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】関連技術に係る画像表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明を好適に実施した第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る液晶表示部の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る液晶表示装置の各制御信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る液晶表示装置の各制御信号のタイミングチャートの別の一例を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る液晶表示装置の別の構成を示す図である。
【図7】本発明を好適に実施した第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図8】本発明を好適に実施した第3の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図9】画像源からの送信画像とそのフレーム周波数との構成を示す図である。
【図10】本発明を好適に実施した第4の実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。
【図11】第4の実施形態に係る表示装置の各制御信号のタイミングチャートを示す図である。
【図12】第4の実施形態に係る表示装置の各制御信号のタイミングチャートの別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図2に、本実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す。この液晶表示装置は、レシーバ121、メモリ101、反転画像生成回路104、ディスプレイコントローラ102、シャッタ眼鏡制御信号生成回路103及び液晶表示部105を有する。
【0031】
レシーバ121は、画像伝送規格(LVDSやDVI、HDMIなど)に沿って規格された伝送路110を通って映像源から送出された信号を、画像信号と同期信号とに分離する。メモリ101は、レシーバ121から出力され、順次入力される画像信号を秘密画像として蓄積し、かつ順次入力とは別にプリセットされている公衆画像を蓄積する。反転画像生成回路104は、メモリ101から入力された秘密画像を基に反転画像を生成して出力する。ディスプレイコントローラ102は、同期信号に基づいてメモリ101から順次出力される秘密画像及び公衆画像と、反転画像生成回路104から出力される反転画像とを液晶表示部105で表示できるようにデータを割り当て、液晶表示部105を駆動するための制御信号及び画像信号を生成する。シャッタ眼鏡制御信号生成回路103は、入力される同期信号をもとに、シャッタ眼鏡の光透過状態及び遮光状態を制御する。
【0032】
ここで、メモリ101と反転画像生成回路104からの出力信号を符号111、ディスプレイコントローラ102からの出力信号を符号112、シャッタ眼鏡制御信号生成回路103からの出力信号を符号113でそれぞれ表す。
【0033】
ディスプレイコントローラ102では、期間ごとに秘密画像、反転画像及び公衆画像のいずれかのデータを割り当てて順次出力する画像信号と、液晶表示部105を駆動するための制御信号とを液晶表示部105へ出力する。
【0034】
図3に、液晶表示部105の構成を示す。液晶表示部105は、互いに交差する複数の走査線31及び複数の信号線32、複数の走査線31に入力する信号を制御する走査線ドライバ33、複数の信号線32に入力する信号を制御する信号線ドライバ34、各交差部にマトリクス状に薄膜トランジスタ(TFT)を介して設けられた複数の画素35、及び並列接続された補助容量36を少なくとも備える。画素35のうち、画像を実際に表示する領域をまとめて有効表示領域38とする。
【0035】
図4に、出力信号111、112及び113の1フレーム期間のタイミングチャートの例を示す。このタイミングチャートを基に、ディスプレイコントローラ102の処理について説明する。ここでは、1フレームを六つのサブフレームに分割し、秘密画像を2サブフレーム、反転画像を2サブフレーム、公衆画像を2サブフレーム表示する構成について説明しているが、サブフレーム数や各画像への割り当ては、秘密画像表示と反転画像表示の輝度合成演算を行ったときに秘密画像と相関の無い画像となるのであれば、任意に設定できる。
【0036】
ディスプレイコントローラ102には、秘密画像、反転画像及び公衆画像が入力され、期間Ton1、Ton2に秘密画像のデータ割り当てを行い、期間Toff1、Toff2に反転画像及び公衆画像のデータ割り当てを行う。なお、秘密画像Sと反転画像Rとは、各画素ごとにS+Rの演算を行って画像を合成したときに、秘密画像とは相関のない画像となるものとする。
【0037】
期間Ton1では、まず、データ書き込み期間Wで画面の各画素に秘密画像であるS画像の階調値を液晶表示部105へ出力する。その後、次の書き込み期間Wまで光透過状態又は遮光状態を維持する。
【0038】
次に、期間Toff1でも秘密画像と同様の過程(書き込み過程及び光透過状態維持過程)により、反転画像R及び公衆画像Pのデータ割り当てを行い、それぞれの画像の階調を再現する。
【0039】
シャッタ眼鏡へ送られる出力信号113は、期間Tonの間はシャッタ眼鏡を光透過状態とし、期間Toffの間は遮光状態とする信号である。出力信号113は、映像の同期信号を基にシャッタ眼鏡制御信号生成回路103で生成される。
【0040】
なお、ディスプレイコントローラ102は、1フレーム期間に秘密画像S、反転画像R及び公衆画像Pを生成しているが、これらを生成する順番は原則として基本的に任意である。例えば、図5のように、図4のタイミングチャートから反転画像Rの出力期間と公衆画像Pの出力期間とを交換しても、シャッタ眼鏡をかけている人、かけていない人とも知覚する画像に差は無い。同様に、秘密画像Sの表示期間の間、シャッタ眼鏡が光透過状態となるようにシャッタ眼鏡制御信号生成回路103の出力信号113が生成されれば、秘密画像、反転画像及び公衆画像の順番は任意でよい。
【0041】
ここで重要となるのは、反転画像生成回路104での反転画像Rの生成方法である。反転画像Rは、各画素に対してS+Rの輝度演算を行って画像を合成したときに、秘密画像とは相関のない画像となるように生成する。網膜上では階調ではなく輝度を積分して知覚するからである。この時、入力信号は階調値であるから、反転画像を生成する際には輝度値に変換し、さらに輝度演算後の出力信号は階調値に戻さなければならない。そのために、液晶表示部105のγ特性(階調−輝度特性)を予め知る必要がある。そして、液晶表示部105のγ特性は、それぞれ異なり、温度といった周囲環境によっても異なるため、適応的に反転画像の生成を行うには、反転画像生成回路104は表示装置内部に設けることが好ましい。
【0042】
そして、公衆画像はメモリ101にプリセットすることで、映像源から常時伝送する必要が無くなり、映像源からは60Hzの秘密画像が順次伝送するのみとなる。このように反転画像生成回路104及び公衆画像を蓄積するメモリ101、並びに伝送路で規定されたフレーム周波数よりも高い周波数で画像切替表示を行うためのディスプレイコントローラ102を設けることで、伝送路の仕様を一切変更することなく、且つ、映像源も通常の画像と同じフォーマットで映像信号を送出するだけで、裸眼の人からは閲覧困難に秘密画像を表示できる液晶表示装置を実現できる。
【0043】
なお、本実施形態においては、ディスプレイコントローラ102と反転画像生成回路104とを別ブロックとして構成したが、反転画像生成回路104の機能をディスプレイコントローラ102に含めても構わない。さらに、シャッタ眼鏡制御信号生成回路103や、レシーバ121の機能をディスプレイコントローラ102に含めてももちろん構わない。レシーバ121の機能をディスプレイコントローラ102に含める場合には、図6に示すように、メモリ101’はディスプレイコントローラ102’とデータのやりとりを行う接続となる。
【0044】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る液晶表示装置は、第1の実施形態に係る液晶表示装置とほぼ同様の構成であるが、秘密画像と公衆画像とが任意の割合で伝送路を介して映像源から液晶表示装置へ送られてくる点で第1の実施形態とは相違する。
【0045】
図7に、本実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す。レシーバ121から出力された画像のメモリ101Aへの書き込み位置が秘密画像と公衆画像とで異なる。また、第1の実施形態とは異なり、公衆画像はメモリ101Aにプリセットされておらず、レシーバ121から出力された画像のうち、公衆画像としてメモリ101Aに書き込まれることで適宜更新される。
【0046】
ここで、秘密画像と公衆画像との送信割合であるが、60フレームごとといった一定期間ごとに公衆画像を送信しても良いし、公衆画像の重要度に応じて適宜変更しても良い。秘密画像の表示のみが重要視されるのであれば、秘密画像表示の開始時にのみ公衆画像を送信することで、60フレームの秘密画像の動画表示を実現できる。一方、秘密画像と公衆画像とが同じくらい重要視されるのであれば、秘密画像と公衆画像とを交互に(すなわち、毎秒30フレームずつ)送信すればよい。表示装置においては各々の画像を60フレーム/秒で表示する必要があるため、この場合には、メモリ101Aから同じ秘密画像及び公衆画像を2回続けて出力することによって60フレーム/秒に変換することとなるが、主な表示画像が静止画であれば、同じ画像を2回出力することによってフレームレートを上げても画質の劣化などは生じない。
【0047】
以上のように、規格化された伝送路で送信する画像の一部を公衆画像にすることで、第1の実施形態と同様の効果に加え、公衆画像も適宜変更可能な液晶表示装置を実現できる。
【0048】
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。図8に、本実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す。この液晶表示装置は、第1の実施形態に係る液晶表示装置とほぼ同様であるが、反転画像生成回路を備えておらず、映像源から任意の割合で秘密画像、反転画像及び公衆画像を伝送路を介して送られてくる点で第1の実施形態に係る液晶表示装置と相違する。
【0049】
レシーバ121から出力された画像は、メモリ101Bで秘密画像、反転画像及び公衆画像としてそれぞれ蓄積される。第1の実施形態とは異なり、公衆画像はメモリ101Bにプリセットされておらず、レシーバ121から出力された画像のうち、公衆画像としてメモリ101Bに書き込まれることで適宜更新される。
【0050】
ここで、秘密画像、反転画像及び公衆画像の送信割合であるが、秘密画像と反転画像との割合は同じであることが好ましい。秘密画像を常に打ち消すためには、その対となる反転画像は秘密画像ごとに必要となるためである。秘密画像と公衆画像との割合は第2の実施形態と同様である。
【0051】
この他の動作については第1の実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0052】
このように、反転画像生成回路を設けずとも伝送路で規定されたフレーム周波数よりも高い周波数で画像切替表示を行うためのディスプレイコントローラを設けることで、動画の滑らかさという点では第1の実施形態や第2の実施形態に係る液晶表示装置に劣るものの、伝送路の仕様を一切変更すること無く、裸眼の人からは閲覧困難に秘密画像を表示できる液晶表示装置を実現できる。
【0053】
図9は、第1〜第3の実施形態において、ディジタル伝送路を介して規格内のフレーム周波数で送出された映像信号を液晶表示部105で表示するときの伝送路のフレーム周波数を示す図である。図中左の(1)は、第3の実施形態、(2)は第1の実施形態、(3)は第2の実施形態に対応している。
【0054】
例えば、(1)秘密画像、反転画像、公衆画像を1秒間に20回、計60Hzで伝送し、フレーム周波数変換回路で3倍の180Hzとして同じ画像を3度液晶表示部105で表示することで、ディジタル伝送路の規格内で画像を送出しながら、高速画像切替方式で画像を表示する液晶表示装置を実現できる。また、別の方法として、(2)秘密画像のみを60Hzで伝送し、フレーム周波数変換回路内に反転画像生成回路をさらに持たせることで、秘密画像、反転画像の高速切替を実現する。(3)秘密画像と公衆画像とを1秒間に30回、計60Hzで伝送し、(2)と同様の反転画像生成回路を使用することで、秘密画像、反転画像、公衆画像の高速切替を実現するといった構成が考えられる。
【0055】
一方、関連技術では、伝送路で規定されたフレーム周波数よりも高い180Hzという周波数で映像信号を伝送することとなるため、並列化などの構成変更が不可欠である。
【0056】
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。図10に、本実施形態に係る表示装置の構成を示す。この表示装置は第1の実施形態に係る液晶表示装置とほぼ同様であるが、第1の実施形態における液晶表示部105の代わりに表示部106を備えており、その駆動方式としてパルス幅変調(PWM)駆動を用いている点で相違する。表示部106はPWM駆動方式であれば特に制限はなく、プラズマディスプレイ、MEMSスイッチを用いたディスプレイ、有機電界発光ディスプレイなどが挙げられる。ここではPWM駆動を行うため、ディスプレイコントローラが第1の実施形態とは異なる動作をする。また、ディスプレイコントローラ102Aの出力信号を符号112Aで表す。この他については第1の実施形態と同様である。
【0057】
図11に、出力信号111、112A、113の1フレーム期間のタイミングチャートの一例を示す。メモリ101に蓄積された秘密画像、反転画像及び公衆画像は、ディスプレイコントローラ102Aに送られる。ディスプレイコントローラ102Aでは、期間T1に秘密画像のデータを割り当て、期間T2に反転画像及び公衆画像のデータを割り当てる。
【0058】
期間T1では、まずデータ書き込み期間Wで画面の各画素が発光・光透過状(オン状態)、又は非発光・遮光状態(オフ状態)のどちらであるかを表示部106へ通知する。その後期間S2で画素の発光(プラズマディスプレイや有機電界発光ディスプレイのような自発光型ディスプレイの場合)又は光透過状態(MEMSスイッチを用いたディスプレイなどの光制御型ディスプレイの場合)、若しくは非発光・遮光状態を維持する。その後、データ書き込みを再び行い、期間S2と異なる長さの期間S1で画素のオン・オフ状態を維持する。期間S2とS1とのオン・オフ状態の組合せによって、秘密画像の階調を再現する。
【0059】
次に、期間T2でも秘密画像の生成と同様の過程(書き込み過程及び発光・光透過状態維持過程)により、反転画像及び公衆画像のデータを割り当て、それぞれの画像の階調を再現する。反転画像はS2及びS1と同じ長さのオン・オフ状態の維持期間R2及びR1を用いて階調を再現する。この場合、ある画素においてS2がオン状態であるならばR2はオフ状態、S2がオフ状態であるならR2はオン状態という関係にある。S1とR1とも同様の関係にある。公衆画像はP4、P3、P2及びP1を用いて階調を再現する。
【0060】
シャッタ眼鏡へ送られる出力信号113は、期間T1の間はシャッタ眼鏡を光透過状態とし、期間T2の間は遮光状態とする信号である。これは、映像の同期信号を基にシャッタ眼鏡制御信号生成回路103で生成される。
【0061】
なお、ディスプレイコントローラ102Aでは、1フレーム期間に秘密画像S、反転画像R、公衆画像Pを順番に生成しているが、このような順番は原則として基本的に任意である。
【0062】
例えば、図12に示すように、図11のタイミングチャートからR2とP2との期間を交換したとしても、シャッタ眼鏡をかけている人、かけていない人とも、知覚される画像に差は生じない。同様に、秘密画像Sの表示期間にシャッタ眼鏡が光透過状態となるようにシャッタ眼鏡制御信号生成回路103の出力信号113が生成されれば、秘密画像と反転画像、公衆画像の順番は基本的に任意である。
【0063】
以上のように、液晶表示装置に限らず、その他の表示装置においても第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、第2の実施形態、第3の実施形態と同様の効果についても同様に得られることは言うまでもない。
【0064】
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記各実施形態においては、RGB信号それぞれについて格別な記載は無いが、それぞれの信号成分について、上記実施形態と同様の処理を行うことによってカラー画像についても同様の効果が得られる。
また、ラスタ画像は必ずしも複数色の画像信号からなるカラー画像である必要はなく、単色画像であっても良い。すなわち、上記各実施形態において示した構成が必ずしも各色並列に設けられている必要はない。
また、秘密画像を知覚するためにシャッタ眼鏡を使用する構成で説明したが、表示部とユーザの目との間に設置可能であるならば、必ずしも眼鏡形状である必要はない。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【0065】
この出願は、2007年2月16日に出願された日本出願特願2007−036443を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0066】
31 走査線
32 信号線
33 走査線ドライバ10
34 信号線ドライバ
35 画素
36 補助容量
37 薄膜トランジスタ(TFT)
38 有効表示領域
101、101’、101A、101B メモリ
102、102’、102A、 ディスプレイコントローラ
103 シャッタ眼鏡制御信号生成回路
104 反転画像生成回路
105 液晶表示部20
106 表示部
110 伝送路
111 出力信号(メモリ)
112、112’ 出力信号(ディスプレイコントローラ)
113 出力信号(シャッタ眼鏡制御信号生成回路)
121 レシーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの画像信号を順次出力して、該画像信号に応じた画像をディスプレイに表示させるディスプレイコントローラであって、
第1の出力画像を含む全ての出力画像輝度値を画素ごとに加算したときに、入力画像の一つであり不特定多数の者の閲覧に供するための画像である第2の入力画像となるように第2の出力画像を生成する画像生成手段を有し、
前記画像信号を出力する際のフレーム周波数は、入力画像の画像信号のフレーム周波数の2以上の整数倍であることを特徴とするディスプレイコントローラ。
【請求項2】
出力する前記画像信号のうち、前記第1の出力画像の画像信号と前記第2の出力画像の画像信号とは、それぞれの画像輝度値を画素ごとに加算したときに、前記第1の出力画像とは相関の無い画像となる関係にあることを特徴とする請求項1記載のディスプレイコントローラ。
【請求項3】
ディジタル伝送路を介して送られてきた信号を基に前記画像信号を出力することを特徴とする請求項1又は2記載のディスプレイコントローラ。
【請求項4】
少なくとも二つの画像信号を順次表示手段へ出力して、該画像信号に応じた画像を前記表示手段に表示させる表示装置であって、
第1の出力画像を含む全ての出力画像輝度値を画素ごとに加算したときに、入力画像の一つであり不特定多数の者の閲覧に供するための画像である第2の入力画像となるように第2の出力画像を生成する画像生成手段を有し、
前記画像信号を出力する際のフレーム周波数は、入力画像の画像信号のフレーム周波数の2以上の整数倍であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
出力する前記画像信号のうち、第1の出力画像の画像信号と第2の出力画像の画像信号とは、それぞれの画像輝度値を画素ごとに加算したときに、前記第1の出力画像とは相関の無い画像となる関係にあることを特徴とする請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
ディジタル伝送路を介して送られてきた信号を基に前記画像信号を出力することを特徴とする請求項4又は5記載の表示装置。
【請求項7】
第1の画像の画像信号と、不特定多数の者の閲覧に供するための画像である第2の画像の画像信号とを少なくとも含む映像信号を、画像信号に応じた画像を表示するディスプレイへの入力伝送路の規格に適合する周波数で出力する手段を有することを特徴とする映像信号出力装置。
【請求項8】
前記映像信号は、画像輝度値を前記第1の画像と画素ごとに加算したときに該第1の画像とは相関の無い画像となる関係にある第3の画像の画像信号を含むことを特徴とする請求項7記載の映像信号出力装置。
【請求項9】
前記映像信号において、前記第1の画像の画像信号が占める時間割合と前記第3の画像の画像信号が占める時間割合とが同じであることを特徴とする請求項8記載の映像信号出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−8035(P2013−8035A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165737(P2012−165737)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【分割の表示】特願2008−558063(P2008−558063)の分割
【原出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】