説明

ディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシ

【課題】ディスプレイパネル表面の清掃において、微粉除去効果と線状痕防止効果に優れたディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシを提供する。
【解決手段】ナイロン製モノフィラメント2の集合から成るブラシ材の基部をU形チャンネルで挟着保持してチャンネル形ブラシを形成し、該チャンネル形ブラシをロールに螺旋巻きして回転ロールブラシを形成し、ディスプレイパネルの表面に洗浄液をかけながら該回転ロールブラシのブラシ材毛先でディスプレイパネルの表面を摺擦し清掃を行うディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシにおいて、上記ブラシ材を構成するナイロン製モノフィラメント2は0.05〜0.1mmφの太さを有し、且つ全長に亘り波形に付形した波形ナイロン製モノフィラメント2であり、該モノフィラメントの波形の波長S′が2〜5mm、同波高Hが0.1〜0.3mmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等のディスプレイパネルの表面を清掃する目的で使用されるディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等のディスプレイパネルの清掃には、ナイロン製モノフィラメントの集合から成るブラシ材の基部をU形チャンネルで挟着保持してチャンネル形ブラシをロールに螺旋巻きした回転ロールブラシが多く用いられており、ディスプレイパネルの表面に純水やアルカリ液等の洗浄液をかけながら、該回転ロールブラシのブラシ材毛先でディスプレイパネルの表面を摺擦し清掃を行う方法が採られている。
【0003】
上記ディスプレイパネルはガラス製であり、静電気による微粉が付着し易く、ブラシ材の摺擦によって微細な線状痕を生じ易い。
【0004】
従って上記回転ロールブラシのブラシ材としては上記微粉除去効果に優れ、且つディスプレイパネルの表面にブラシ材自身の摺擦による、或いは微粉の介在に起因する線状痕防止効果に優れたものであることが要求される。
【0005】
従来は上記課題に応えるにはできるだけ極細のモノフィラメントを用いることが有効であるとの発想から、上記ブラシ材として既存の0.02〜0.1mmφの範囲の極細で且つ直線の合成樹脂製モノフィラメントが選択的に使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然しながら、上記0.02〜0.1mmφの極細で直線のモノフィラメントはディスプレイパネル表面に対する摺擦時の線状痕の発生を有効に防止できる反面、腰が弱く微粉除去効果に劣る問題を有している。
【0007】
殊にディスプレイパネルの表面清掃に当たっては洗浄液を併用するものであるが、上記0.02〜0.1mmφの極細で直線のモノフィラメントは回転ロールブラシによる摺擦時に洗浄液を媒体として相互に密着する現象を禁じ得ない。
【0008】
上記現象は回転ロールブラシの回転に伴って多くの箇所にモノフィラメントの水密着ブラシ塊を生成し、同ロールブラシの表面に多くの巣を生成することを意味する。該水密着ブラシ塊と巣の生成が上記微粉除去効果を大幅に損なう結果を招来する。この水密着ブラシ塊を生成する現象は0.02〜0.05mmφの極細で直線のモノフィラメントにおいて顕著である。
【0009】
又上記悪現象を防止するためにモノフィラメントの腰の強さを確保できる1〜2mmの太さにすると、上記線状痕の発生を禁じ得ず、加えて微粉除去効果にも劣り、その解決が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記微粉除去効果と上記洗浄痕防止効果の相対する命題に有効に応えるディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシを提供するものである。
【0011】
本発明の清掃対象は液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等のディスプレイパネルであり、その本体パネルはガラス製である。
【0012】
本発明は上記ディスプレイパネルの清掃手段として、ナイロン製モノフィラメントの集合から成るブラシ材の基部をU形チャンネルで挟着保持してチャンネル形ブラシを形成し、該チャンネル形ブラシをロールに螺旋巻きして形成した回転ロールブラシを適用し、該回転ロールブラシのブラシ材の毛先でディスプレイパネルの表面を摺擦しながら洗浄液をかけ、清掃を行うディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシである。
【0013】
本発明は上記ディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシのブラシ材として、0.05〜0.1mmφの太さのナイロン製モノフィラメントを用い、該ナイロン製モノフィラメントに2〜5mmの波長を有し、且つ0.1〜0.3mmの波高を有する微小な波形成形を施した波形ナイロン製モノフィラメントを適用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記極細のナイロン製モノフィラメントの線状痕を発生し難い効果を享受しながら、その腰の弱さを補完し、ディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシの本来の目的である微粉除去効果を有効に達成しながら、上記洗浄液併用に起因する水密着ブラシ塊の生成と巣の生成を有効に解消し、上記微粉除去効果を遺憾なく発揮せしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明に係るディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシの最良の形態を図1乃至図4に基づき説明する。
【0016】
上記回転ロールブラシ1の清掃対象は液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等のディスプレイパネルであり、その本体パネルはガラス製であり、ブラシ材として適性であるとして多用されているナイロン製モノフィラメント2を用いる。該ナイロン製モノフィラメント2としてはナイロン610(ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+ セバシン酸(炭素数10)が最適材である。
【0017】
図1に示すように、上記ナイロン製モノフィラメント2の集合から成るブラシ材3の基部を金属製又は合成樹脂製のU形チャンネル4で挟着保持してチャンネル形ブラシ5を形成し、該チャンネル形ブラシ5をロール6に螺旋巻きして回転ロールブラシ1を形成する。
【0018】
図2に示すように、上記チャンネル形ブラシ5は各巻きのチャンネル4側面が密接するようにロール6外周面に螺旋巻きする。この螺旋巻きの方法として長尺のチャンネル形ブラシ5をロール6の一端から他端に亘って巻き付けロールブラシ1を形成する方法、又はコイル状に螺旋巻きしたコイル形チャンネルブラシを事前に形成し、該コイル形チャンネルブラシの一本又は二本以上をロール6の一端から挿入し、ロールブラシ1を構成する方法を採る。
【0019】
上記回転ロールブラシ1はブラシ材3の毛先でディスプレイパネルの表面を摺擦しながら純水、アルカリ液に代表される洗浄液をかけ、清掃を行うディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシであり、該ディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシのブラシ材3として、図4に示すように、0.05〜0.1mmφの太さ(直径R)のナイロン製モノフィラメント2を用いる。
【0020】
前記のように、ディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシとしては、従来0.02〜0.1mmφの極細で直線のナイロン製モノフィラメントが用いられていた。
【0021】
本発明においては、過度に腰の弱い0.02〜0.04mmφのモノフィラメントを排除し、0.05〜0.1mmφの範囲の極細のナイロン製モノフィラメント2を適材として選択したものである。
【0022】
ブラシ材3として用いられるモノフィラメント2の腰の強弱は太さと密接に関連し、上記微粉除去効果と線状痕防止効果に影響を与え、更には水密着ブラシ塊の生成に大きな影響を与える。この観点から0.06〜0.08mmφのモノフィラメント2の使用が好ましい。
【0023】
図3の拡大図(倍率25)に示すように、上記ナイロン製モノフィラメント2に、2〜5mmの波長S′(隣接する単位波形7の軸線Xと平行な頂点間の長さ)を有し、且つ0.1〜0.3mmの波高H(隣接する単位波形7の軸線Xと直交する頂点間の高さ)を有する微小な波形成形を施し、波形ナイロン製モノフィラメント2を形成する。
【0024】
7は該波形ナイロン製モノフィラメント2の単位波形を示し、各単位波形7は同モノフィラメント2の全長において同一波高Hと同一波長S′を有する。
【0025】
上記波形ナイロン製モノフィラメント2のチャンネル4口縁部からの毛丈Sは11〜44mmとし、該モノフィラメント2の毛先、即ちブラシ材3の毛先をディスプレイパネルの表面に対し殆ど無加圧で接触させつつ回転して清掃を行う。
【0026】
上記波形ナイロン製モノフィラメント2はその集合材(ブラシ材3)を二つ折りしつつ、該二つ折り基部をU形チャンネル4で挟着保持してチャンネル形ブラシ5を形成し、該チャンネル形ブラシ5をロール6に螺旋巻きして回転ロールブラシ1を形成するものである。
【0027】
上記回転ロールブラシ1はディスプレイパネルの表面に洗浄液をかけながらブラシ材3毛先でディスプレイパネルの表面を摺擦し清掃を行うディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシであり、該回転ロールブラシ1のブラシ材3として0.02〜0.1mmφの極細のモノフィラメント2が適性材であることは既に検証されている。
【0028】
本発明は上記ブラシ材3の適材として0.05〜0.1mmφの直径Rを有する極細のナイロン製モノフィラメント2を適用しつつ、該ナイロン製モノフィラメント2の全長に亘り2〜5mmの波長S′を有し、且つ0.1〜0.3mmの波高Hを有する微小な波形成形を施した波形ナイロン製モノフィラメント2を適用する。
【0029】
上記波形ナイロン製モノフィラメント2に付与した0.1〜0.3mmの波高Hの微小波形は、既知の鋼板洗浄用の極太のブラシ材(モノフィラメント)に付与した水密着ブラシ塊が生じない波高1〜3mm程度の波形とは技術的意味が全く異なる。
【0030】
本発明はナイロン製モノフィラメント2相互が洗浄液を媒体として水密着ブラシ塊を生成し、清掃効果を著しく損なう問題を有効に解消する目的で、0.05〜0.1mmφのナイロン製モノフィラメント2に上記2〜5mmの波長S′を有し、且つ0.1〜0.3mmの波高Hを有する波形ナイロン製モノフィラメント2を適用したものである。
【0031】
試用の結果、上記波形ナイロン製モノフィラメント2は水密着ブラシ塊の生成を有効に防止し、上記微粉除去効果と上記洗浄痕防止効果の相対する命題に有効に応えることができる結果が認められた。
【0032】
又上記微小な波高Hを有する波形ナイロン製モノフィラメント2は回転時における水切れが良好であり、上記水密着ブラシ塊の生成を防止する効果を向上する。
【0033】
特に直径Rが0.06〜0.08mmφのナイロン製モノフィラメント2を用い、波長S′が3〜4mmで、波高Hが0.2〜0.3mmである時に、優れた清掃効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】チャンネル形ブラシの斜視図。
【図2】上記チャンネル形ブラシを螺旋巻きしたディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシの断面図。
【図3】上記ディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシのブラシ材を形成する波形ナイロン製モノフィラメントの拡大側面図。
【図4】上記波形ナイロン製モノフィラメントの断面図。
【符号の説明】
【0035】
1…回転ロールブラシ、2…波形ナイロン製モノフィラメント、3…ブラシ材、4…U形チャンネル、5…チャンネル形ブラシ、6…ロール、7…単位波形、R…波形ナイロン製モノフィラメントの直径、S…同毛丈、S′…同波長、H…同波高、X…軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイロン製モノフィラメントの集合から成るブラシ材の基部をU形チャンネルで挟着保持してチャンネル形ブラシを形成し、該チャンネル形ブラシをロールに螺旋巻きして回転ロールブラシを形成し、ディスプレイパネルの表面に洗浄液をかけながら該回転ロールブラシのブラシ材毛先でディスプレイパネルの表面を摺擦し清掃を行うディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシにおいて、上記ブラシ材を構成するナイロン製モノフィラメントは0.05〜0.1mmφの太さを有し、且つ全長に亘り波形に付形した波形ナイロン製モノフィラメントであり、該波形ナイロン製モノフィラメントの波形の波長が2〜5mm、同波高が0.1〜0.3mmであることを特徴とするディスプレイパネル清掃用回転ロールブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−283241(P2007−283241A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114985(P2006−114985)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(391061510)株式会社藤森技術研究所 (20)
【出願人】(591084872)昭和工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】