説明

ディスプレイフィルタおよびこれを含むディスプレイ装置

【課題】コントラスト比および輝度を向上させ、電磁波放射遮蔽効果が高いディスプレイフィルタおよびこれを含んだディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイフィルタは、フィルタベースと、フィルタベースの一面に形成された外部光遮蔽層230として、透明樹脂材質の基材234と、基材234の一面に一定周期に離隔して形成されて導電性物質で成されたくさび形ブラックストライプ状の遮光パターン236を含む外部光遮蔽層230と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイフィルタ(filter)およびこれを含むディスプレイ装置に関し、より詳細には、明室におけるコントラスト比(contrast ratio)および輝度を向上させることができ、電磁放射遮蔽効果(electromagnetic(EM)radiation−shielding effect)が高いディスプレイフィルタおよびこれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスプレイフィルタは、フィルタの透過率を過度に減少させる方法として、明室におけるコントラスト比を向上させるために外部光の反射量を制御することが用いられている。電磁波放射遮蔽効果を高めるために、導電性メッシュフィルムを積層した多層透明導電膜、金属薄膜、高屈折率の透明薄膜などの電磁波放射遮蔽層が使用されている。
【0003】
このうち、多層透明導電膜の場合、電磁波放射遮蔽効果を高めるために、金属薄膜を4ないし6回積層して形成するのが一般的である。多層透明導電膜に積層される金属薄膜の数が増えるほど電磁波放射遮蔽効果が高くなるが、可視光での透過率が減少して輝度が低下してしまう。さらに、金属薄膜の数が増えるほど製造時間が長くなり、製造単価が上昇してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コントラスト比および輝度を向上させながら電磁波放射遮蔽効果が高いディスプレイフィルタを提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、このようなディスプレイフィルタを含むディスプレイ装置を提供することも目的とする。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題に制限されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載によって当業者が明確に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成し、従来技術の問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係るディスプレイフィルタは、フィルタベースと、前記フィルタベースの表面に形成された外部光遮蔽層として、透明樹脂材質の基材と、基材の表面に一定周期に離隔して形成されて導電性物質で成された遮光パターンを含む外部光遮蔽層と、を含む。
【0008】
前記他の技術的課題を達成するために、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置は、前記ディスプレイフィルタを含む。
【0009】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【0010】
本発明の利点および特徴、またはそれを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照することで明確に理解することができる。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、相違する多様な形態で具現することができる。ただし、本実施形態は、本発明の開示を完璧にすると同時に、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求の範囲によって定義されるだけである。また、明細書全般に渡って記載されている同一の参照符号は、同一の構成要素を指称する。
【0011】
本発明で用いられるディスプレイ装置は、格子パターンの画素(pixel)を有してRGBを具現するPDP(Plasma Display Panel)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、LCD装置(Liquid Crystal Display)またはFED(Field Emission Display)装置などの大型ディスプレイ装置や、PDAs(Personal Digital Assistants)、小型ゲーム機表示ウィンドウ、携帯電話機表示ウィンドウなどの小型モバイルディスプレイ装置や、フレキシブルなディスプレイ装置などに多様に適用されることができる。特に、本発明のディスプレイ装置は、外部光が強い屋外での屋外用ディスプレイ装置および公共施設の室内に設置されるディスプレイ装置に効果的に適用されることができる。以下、説明の便宜のため、PDP装置およびこれに用いられるPDPフィルタを用いて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述した多様なディスプレイ装置およびこれに用いられるディスプレイフィルタに適用されることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のディスプレイフィルタおよびこれを含むディスプレイ装置によると、ディスプレイフィルタに導電性高分子物質で形成された遮光パターンを形成し、ディスプレイ装置のコントラスト比、輝度および電磁波放射遮蔽効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付の図を参照して、本発明の実施形態に係るPDPフィルタおよびこれを含むPDP装置に対して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るPDP装置を説明するための分解斜視図である。本発明の一実施形態に係るPDP装置100の構造は、図1に示されたように、ケース110と、ケース110の上部を覆うカバー150と、ケース110内に収容される駆動回路基板120と、ガス放電現象が起こる放電セルを含むパネルアセンブリ(panel assembly)130と、PDPフィルタ200と、で構成される。PDPフィルタ200には、透明基板上に導電性が優れた材料で形成された導電層が備えられており、該導電層はカバー150を介してケース110に接地される。すなわち、パネルアセンブリ130から発生した電磁波放射(EM放射)は、視聴者に到達する前にPDPフィルタ200の導電層を使用して接地させたカバー150とケース110によって遮蔽される。
【0015】
電磁波放射、近赤外線(NI)、外部光などを遮蔽するPDPフィルタ200を先に説明し、その後、PDPフィルタ200とパネルアセンブリ130を含むPDP装置100を説明する。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態に係るPDPフィルタを説明するための断面図であり、図3は、図2のPDPフィルタの外部光遮蔽層を説明するための斜視図である。
【0017】
図2に示されたように、本発明の一実施形態に係るPDPフィルタ200は、フィルタベース270と、色補正層240とを含む。フィルタベース270は、透明基板210と多様な遮蔽機能などを有する層を含み、透明基板210上に配置されている。
【0018】
ここで、フィルタベース270は、透明基板210、電磁波放射遮蔽層220、色補正層240または反射防止層250が積層されて形成される。以下、本発明の一実施形態においては、電磁波放射遮蔽機能、色補正機能、反射防止機能に対応する層をそれぞれ別個に分離して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の一実施形態に係るフィルタベース270は、少なくとも一つまたはそれ以上の層で構成可能であり、各層は、電磁波放射遮蔽機能、色補正機能、反射防止機能またはこれらを組み合わせた機能からなる群から少なくとも一つの機能を有したりする。また、フィルタベース270は、前述した電磁波遮蔽機能、色補正機能、反射防止機能またはこれらを組み合わせた機能をすべて有することもあるし、この中のいずれか一つのみを有することもある。
【0019】
フィルタベース270の表面に外部光遮蔽層230が配置される。図2に示された実施形態の外部光遮蔽層230は、フィルタベース270の表面に配置される。すなわち、PDPフィルタ200はPDP装置内に組み込まれている場合、視聴者側と反対側の面に配置されているが、本発明はこれに限定されず、フィルタベース270の他面に外部光遮蔽層230が配置されることもある。
【0020】
図2および図3を参照すると、外部光遮蔽層230は、支持体232と、支持体232の表面に形成された基材234と、基材234に形成された遮光パターン236とを含む。遮光パターン236は、PDPフィルタの外側の表面から入ってくる外部光320からパネルアセンブリ(panel assembly)を保護する。遮光パターン236は、基材234に沈み彫りまたは浮き彫りにより形成されていてもよく、2次元または3次元形状を有していてもよい。以下、説明の便宜のため、本実施形態においては、遮光パターン236としてくさび形ブラックストライプ(black stripe)を例に挙げて説明するが、本発明を限定するものではない。
【0021】
遮光パターン236が形成された基材234は、フィルタベース270に直接形成されるようにしてもよいが、図2に示されたように、基材234を支持体232に基材234を形成した後にフィルタベース270と結合させるようにしてもよい。支持体232は、遮光パターン236が形成された基材234を支持する。図2に示された実施形態においては、基材234とフィルタベース270の表面は、支持体232を媒介として結合されているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、支持体232は基材234を支持する役割を目的とするため、外部光遮蔽層230がフィルタベース270の他面に配置される場合、基材234とフィルタベース270が直接結合することもある。
【0022】
基材234は、テレフタル酸塩、アクリル酸、ポリカーボネート、ウレタン、アクリル酸塩、ポリエステル、エポキシアクリレート、アクリレートブロミドのような化合物を含有していてもよい。これらの化合物は、単独で使用してもよいが複数組み合わせて使用してもよい。
【0023】
遮光パターン236は、断面がくさび形であり、パネルアセンブリ(未図示)に対応する基材234の表面に形成されて、外部光320がパネルアセンブリ内部に流入することを防止する。
【0024】
遮光パターン236は、金属、カーボン、導電性高分子物質からなる群から選択される。ここで、導電性高分子物質は、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(p−フェニレン)およびこれらの誘導体で成された群から選択された少なくとも一つの高分子物質が挙げられる。このような導電性高分子物質は、カーボンナノチューブ、金属粉末または金属酸化物粉末からなる群から選択される少なくとも一つの材料を含んでいてもよい。
【0025】
遮光パターン236は、外部光320を吸収する外部光遮蔽層230を含んでおり、パネルアセンブリから入ってくる外部光320を遮蔽し、総合的に視聴者へパネルアゼンブリから外部光310を総合的に反映する。
【0026】
PDP装置は、可視光線に対して高い透過率と高いコントラスト比を有することが好ましい。ここで、コントラスト比は数1のように表すことができる。
【0027】
【数1】

【0028】
PDP装置の透過率を高めるために、パネルアセンブリから放出される光をPDPフィルタで濾さずに通過させる場合、白色光の輝度と黒色光の輝度も両方とも高くなる。したがって、PDP装置の輝度を高める場合、全体的なコントラスト比は相対的に低くなる。
【0029】
本発明のPDPフィルタ200は、コントラスト比を高めるために光を吸収する遮光パターン236を用いる。ここで、遮光パターン236は、パネルアセンブリから放出される入射光310を一部吸収して白色光および黒色光の輝度を所定量低めることでコントラスト比を高める役割を遂行する。また、数1によると、コントラスト比は反射光の輝度に対する関数であり、反射光は、外部光320がパネルアセンブリに流入した後に反射した光を含む。ここで、外部光320は、遮光パターン236に直接吸収されたり、間接的に遮光パターン236を吸収されるので、パネルアセンブリに反射が起きても、反射光の輝度を低くすることができる。したがって、黒色光と白色光に対して同一の反射光が生成されても、数1の分母に位置する“反射光の輝度”が低くなる。したがって、コントラスト比を高めることができる。
【0030】
また、外部光遮蔽層230は、電磁波放射遮蔽効果を補完する。すなわち、外部光遮蔽層230を成す遮光パターン236は導電性高分子物質を含有し、電磁波放射遮蔽効果を有する。さらに、図3に示されたように、ブラックストライプ状の遮光パターン236の両端に遮光パターン236と垂直に配列されて遮光パターン236を連結する電極パターン238を形成することで、電磁波放射遮蔽ループ(loop)を形成することができる。ここで、電極パターン238は導電性物質で成されるのが好ましく、例えば、遮光パターン236のように導電性高分子物質で形成されたりする。このような電磁波放射遮蔽ループによってPDPフィルタ200の電磁波放射遮蔽性能を向上することができる。
【0031】
再び図2を参照すると、フィルタベース270は、透明基板210と、透明基板210の表面に形成された電磁波放射遮蔽層220と、透明基板210の他面に形成された色補正層240と、反射防止層250と、を含む。ただし、本発明はこのような積層順序に限定されず、フィルタベース270は、透明基板210、色補正層240、反射防止層250または電磁波放射遮蔽層220がランダムに積層された構造を有することができる。
【0032】
電磁波放射遮蔽効果を有する高導電性材料で、ディスプレイ表面を覆う必要がある。本発明の一実施形態に係る電磁波放射遮蔽効果を有する電磁波放射遮蔽層220としては、金属薄膜と高屈折率透明薄膜が積層された多層透明導電膜を用いたりする。
【0033】
ここで、多層透明導電膜は、ITO(Indium Tin Oxide)、AZO(Aluminum Zinc Oxide)などに代表される高屈折透明薄膜を電磁波放射遮蔽のために用いたりする。多層透明導電膜としては、金、銀、銅、白金、パラジウムなどの金属薄膜と、酸化インジウム、酸化第二錫、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ネオジム、酸化ニオブなどの高屈折率透明薄膜を交互に積層した多層薄膜などがある。多層透明導電膜の金属薄膜は高い導電性を有し、NI放射遮蔽効果は、広い波長領域に渡った金属の反射および吸収によって大きくなる。しかし、可視光線での透過率は、低くなる。また、多層透明導電膜の高屈折率透明薄膜は、金属薄膜を用いたものに比べて導電性や近赤外線(NI)の反射率は相対的に低いものの、透明性は優れている。したがって、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層透明導電膜は、金属薄膜の長所と高屈折率透明薄膜の長所が結合して、導電性、NI放射遮蔽効果および可視光線の透過率が優れているという特性を有している。
【0034】
本実施形態においては、高屈折率透明薄膜と金属薄膜が積層された透明導電積層体を1ないし3層に連続的に形成された電磁波放射遮蔽層220用いても、十分な電磁波放射遮蔽効果を得ることができる。1ないし3層の多層透明導電膜は、高屈折率を有する透明薄膜と、金属薄膜の積層によって形成される。従来の電磁波放射遮蔽層の場合、電磁波放射遮蔽効果を高めるために金属薄膜を4ないし6回積層したが、本実施形態においては、導電性高分子物質の遮光パターン236を備えた外部光遮蔽層230を用いることにより、1ないし3回、(好ましくは1回または2回)の連続で積層された透明導電積層体が備えられた電磁波放射遮蔽層220を用いても十分な電磁波放射遮蔽効果を得ることができる。ここで、高屈折透明薄膜は、少なくとも上述した物質のうち一つ以上成された薄膜で形成されたり、金属薄膜も少なくとも上述した物質のうち一つ以上の薄膜で形成される。また、高屈折透明薄膜と金属薄膜との間には、電磁波放射遮蔽効果を有する多様な薄膜が追加されることがある。
【0035】
電磁波放射は、電磁波放射遮蔽層220の電磁波の反射および吸収の効果によって遮蔽される。電磁波放射を吸収するために、電磁波放射遮蔽層220に導電性金属薄膜が求められる。また、ディスプレイ装置から発生する電磁波放射をすべて吸収するためには、導電性金属薄膜が所定値以上の厚さを必要とするものの、導電性金属薄膜の厚さが厚くなるほど可視光線透過率が低くなる。高屈折率透明薄膜を用いて金属薄膜と交互に積層した多層透明導電膜は反射界面を増加させ、電磁波の反射を増加させることができる。
【0036】
金属薄膜は、銀または銀を含有した合金で成された薄膜層である。その中でも銀は、導電性、赤外線反射性および多層積層をする際の可視光線透過性が優れているため好ましく用いることができる。しかし、銀は化学的、物理的安全性が低く、周囲環境の汚染物質、水蒸気、熱、光などによって劣化するため、銀に金、白金、パラジウム、銅、インジウム、錫などの周囲環境に安定的な金属を1種以上含有した合金も好ましく用いられたりする。一般的に、銀に他の金属を添加すると、銀の優れた導電性、光学特性が阻害されるため、多層透明導電膜を構成する多数の金属薄膜の中で少なくとも1つの層は、銀のみで成された金属薄膜を用いることが好ましい。すべての金属薄膜が合金ではない銀で成された場合、優れた導電性および光学特性を有する電磁波放射遮蔽層220を得ることはできるものの、周囲環境に影響によって劣化しやすい傾向を伴う。この場合、銀で成された金属薄膜の上下に高屈折率透明薄膜を形成することで銀の劣化を防止することができる。このような金属薄膜の形成には、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、めっきなど、従来から公知されている方法のいずれでも採用することができる。
【0037】
また、高屈折率透明薄膜は可視光に対して透明性を有しており、金属薄膜との屈折率の差によって金属薄膜により可視光線が反射することを防止する効果を有する。このような高屈折率透明薄膜を形成する具体的な材料としては、例えば、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビズマス、錫、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、カリウム、アルミニウム、ニオブなどの酸化物、またはこれら酸化物の混合物や硫化亜鉛などを挙げることができる。これらの酸化物または硫化物は、金属と酸素または硫黄と化学量論的な調整に差異があっても、光学特性を大きく変えない範囲であれば支障はない。その中でも酸化亜鉛や酸化アルミニウムと酸化亜鉛の混合物(AZO)、または酸化インジウムや酸化インジウムと酸化錫の混合物(ITO)は、透明性、屈折率が高く、膜成長速度が速く、金属薄膜との密着性が良好であるため好ましく用いることができる。また、AZO、ITOのような比較的高い導電性を有する酸化物半導体薄膜を用いることで電磁波の吸光性を増加させ、電磁波放射遮蔽層220の導電性を高めることができる。このような高屈折率透明薄膜の形成には、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト、真空蒸着、湿式コーティングなど、従来から公知されている方法のいずれでも採用することができる。
【0038】
本発明の一実施形態において、電磁波放射遮蔽層220として金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層透明導電膜を用いる場合には、多層透明導電膜が近赤外線(NI)を遮蔽するという付加的な効果がある。したがって、この場合、近赤外線放射遮蔽層を別途形成せず、電磁波放射遮蔽層220のみで近赤外線と電磁波を遮蔽する二つの機能を有する。もちろん、この場合にも、図示されてはいないが、本発明の一実施形態に係るフィルタベース270は独立して近赤外線放射遮蔽層を含んでいてもよい。近赤外線放射遮蔽層はパネルアセンブリから発生して、無線電話機やリモコンなどの電子機器の誤動作を引き起こす強力な近赤外線を遮蔽する。
【0039】
以下、実施例と比較例を介して、本発明のPDPフィルタに用いられる外部光遮蔽層の機能に対してより詳細に説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明が下記実施例によって限定されるものではない。なお、ここに記載されていない内容は、本技術分野において熟練された者によって技術的に十分に類推することができるものであるため説明を省略する。
【実施例】
【0040】
[実施例1]
三つの透明導電性膜は、透明基板の表面に直流スパッタリング方法により、高屈折率透明薄膜である酸化ニオブ(Nb)膜と金属薄膜である銀薄膜の順序で積層された透明導電積層体を連続的に積層させることにより形成し、このような透明導電積層体の積層構造上に酸化ニオブ膜を積層して電磁波放射遮蔽層を形成した。ここで、酸化ニオブ膜の場合、酸化ニオブ(Nb)ターゲットとアルゴンガスをスパッタリングガスとして形成した。銀薄膜の場合、銀ターゲットとアルゴンガスをスパッタリングガスとして用いて形成した。
【0041】
この後、導電性高分子物質で成されたくさび形ブラックストライプ状の遮光パターンを含む外部光遮蔽層を電磁波放射遮蔽層上に形成した。さらに、透明基板の他面に色補正層および近赤外線遮蔽層を形成してPDPフィルタを完成した。このようなPDPフィルタは、D65標準光源の380〜78nmの波長範囲において平均透過率が約50%となるようにした。
【0042】
[実施例2]
電磁波放射遮蔽層以外は、実験例1と実質的に同一のPDPフィルタを準備した。実施例2では、透明基板の表面に透明導電積層体を2回連続で形成し、このような透明導電積層体上に酸化ニオブ膜を積層して電磁波放射遮蔽層を形成した。
【0043】
[比較例1]
比較実験例1のPDPフィルタは、実施例1で外部光遮蔽層がない場合である。
【0044】
[比較例2]
比較実験例2のPDPフィルタは、実施例2で外部光遮蔽層がない場合である。
【0045】
このように、実施例1、2と比較例1、2で得たPDPフィルタに対して下記表1のように電磁波放射遮蔽量と外部光反射量を測定した。
【0046】
ここで、電磁波放射遮蔽量とは、PDPフィルタをパネルアセンブリに装着した状態と未装着の状態でPDP装置から発生する電磁波放射値の差を指す。電磁波放射値は、米国規格基準(ANSI)であるC63.4−1992を満たすシールドルーム(shield room)でClass B規定に従って測定された。
【0047】
また、外部光反射量とは、PDPフィルタをパネルアセンブリに装着した場合、外部光がPDPフィルタに反射した反射光の輝度値を指す。このとき、人為的に形成された外部光は150luxの照明度を有しており、全黒画面を表示するPDP装置に対して輝度計を用いて380〜780nmの波長範囲で反射光の輝度値を測定した。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示されたように、比較例1と実施例1を比較すると、外部光遮蔽層によって電磁波放射遮蔽量は増加し、外部光反射量は減少した。同様に、比較例2と実施例2を比較すると、外部光遮蔽層によって電磁波放射遮蔽量は増加し、外部光反射量は減少した。
【0050】
実施例2と比較例1をすると、実施例2のPDPフィルタは、透明伝導積層体が2層積層された電磁波放射遮蔽層と外部光遮蔽層とを含む。一方、比較例1のPDPフィルタは、透明導電積層体が3回積層された電磁波遮蔽層を含み、外部光遮蔽層を含まない。実施例2と比較例1のPDPフィルタの電磁波放射遮蔽量は、それぞれ15dBμV/mと同一の値を示している。一般的に、透明導電積層体が厚いほど電磁波放射遮蔽量が増加するが、実施例2のPDPフィルタの場合、相対的に薄い透明導電積層体を使用したのにも係わらず、外部光遮蔽層が電磁波放射遮蔽効果を補完していることがわかる。すなわち、外部光遮蔽層が透明導電積層体の役割を果たし、外部光遮蔽層を用いることで透明導電積層体の積層回数を減らすことができる。これによってPDPフィルタの製造原価を抑えることができる。また、外部光遮蔽層によって外部光反射量が減少した。
【0051】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。
【0052】
すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るPDP装置を説明するための分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るPDPフィルタを説明するための断面図である。
【図3】図2のPDPフィルタの外部光遮蔽層の斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
100 PDP装置
110 ケース
120 駆動回路基板
130 パネルアセンブリ
150 カバー
200 PDPフィルタ
210 透明基板
220 電磁波放射遮蔽層
230 外部光遮蔽層
232 支持体
234 基材
236 遮光パターン
238 電極パターン
240 色補正層
250 反射防止層
270 フィルタベース
310 入射光
320 外部環境光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタベースと、
前記フィルタベースの表面に形成されている外部光遮蔽層と、を備え、
前記外部光遮蔽層は、透明樹脂と、導電性物質を含む所定の基材の表面上に等間隔に並べられた遮光パターンと、を含むディスプレイフィルタ。
【請求項2】
前記フィルタベースは、金属薄膜と高屈折率透明薄膜が積層された多層透明導電膜で形成された電磁波放射遮蔽層を含む請求項1に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項3】
前記電磁波放射遮蔽層は、前記高屈折率透明薄膜と前記金属薄膜が連続的に1ないし3層に積層している多層透明導電膜からなる請求項2に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項4】
前記電磁波放射遮蔽層は、前記1ないし3層に積層している多層透明導電膜が、酸化ニオブ膜と銀薄膜を連続的に積層することによって形成され、前記酸化ニオブ膜は、前記多層構造に形成されている多層構造からなる請求項3に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項5】
前記遮光パターンは、くさび形ブラックストライプ状を有する請求項1に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項6】
前記基材は、テレフタル酸塩、アクリル酸、ポリカーボネート、ウレタン、アクリル酸塩、ポリエステル、エポキシアクリレートまたはブロムアクリレートからなる群から少なくとも一つ選択される化合物からなる請求項1に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項7】
前記遮光パターンは、金属、カーボンまたは導電性高分子物質からなる群から選択される少なくとも一つである特徴とする請求項1に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項8】
前記導電性高分子物質は、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(p−フェニレン)およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの高分子物質、または前記導電性高分子物質は、カーボンナノチューブ、金属粉末および金属酸化物粉末からなる群から選択される少なくとも一つの材料である請求項7に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項9】
前記遮光パターンの両端に前記遮光パターンと垂直に配列されて前記遮光パターンを連結する電極パターンをさらに含む請求項1に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項10】
前記電極パターンは、導電性高分子物質からなる請求項10に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項11】
前記フィルタベースは、電磁波放射遮蔽機能、色補正機能、反射防止機能、近赤外線放射遮蔽機能からなる群から少なくとも一つの機能を有する請求項1に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項12】
前記フィルタベースは、透明基板と、前記透明基板の表面に形成された前記電磁波放射遮蔽層と、色補正層と、前記透明基板の他面に形成された反射防止層と、を含む請求項1に記載のディスプレイフィルタ。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の前記ディスプレイフィルタを含むディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−243185(P2007−243185A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52004(P2007−52004)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(501379281)三星コーニング株式会社 (16)
【Fターム(参考)】