説明

ディスプレイ上でズームを行うための方法及び装置

本発明は、指示手段に反応するタッチ感応部を有するディスプレイ画面内に表示されたデジタルコンテンツの縮尺を拡大または縮小するための改善された方法に関し、前記指示手段を用いてあるポイントに時間的に特定されるタッチの形式での指示部分の操作が、前記ディスプレイ内の前記デジタルコンテンツが表示された部分の拡大操作または縮小操作を指定するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル機器のディスプレイのコンテンツの一部をズームインおよび/またはアウトすることに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、グラフィカル・ユーザ・インタフェースを有する携帯電話、デジタルカメラ、小型コンピュータといった携帯用機器の人気が益々高まっている。小型コンピュータの最も典型的な例はスマートフォンであり、様々な異なった形態で実現されている。
【0003】
一般的に、携帯用機器にも画像の記録及び閲覧のためのカメラが設けられている。
【0004】
グラフィックな表示は、タッチ感応式なのが一般的で、スタイラスやペン、ユーザの指などのポインティングツールによって操作されうる。他の機器はさらに、タッチ感応式ディスプレイを主要な入力装置としてより多く依存しており、それゆえハードウェア・キーボードが省略されている。
【0005】
携帯用機器は携帯端末として用いられ、例えば、カレンダー、文書処理やゲームといった、一般的な小型コンピュータサービスの提供に加え、音声通話、ファクシミリ送信、電子メール、インターネット・ブラウジングなどに類する移動体通信システムと連動しても使用されうる。
【0006】
ラップトップまたはデスクトップコンピュータに比べ、筐体のサイズ、ディスプレイのサイズ、データ処理能力及び入力装置の点で、著しく資源が制限されているので、ラップトップやデスクトップコンピュータに周知のユーザインタフェースソリューションは、小型コンピュータには一般的に適応性や相関性がないことがよく知られている。一例がポインティングデバイスを用いてある領域を選択することで、コンテンツの一部を拡大もしくはズームすることである。
【0007】
一般的に、利便性を高め、小型コンピュータを使用する際にユーザの能率を改善できるような小型コンピュータなどのユーザインタフェースを改善することが望まれている。一般にコンピュータでは、特に小型コンピュータでは、現在のディスプレイに表示可能なものよりも大きなコンテンツを検索する必要がある。これは特に、小型コンピュータでウェブブラウザアプリケーションを使用する際に明らかである。これは特に、ウェブページが通常、小型コンピュータのディスプレイよりはるかに大きい標準的なコンピュータのディスプレイに表示されるように設計されているように、小型コンピュータでウェブブラウザアプリケーションを使用する際に明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
要約すると、この観点からの先行技術の問題点は、効率的かつ直感的に、小型コンピュータまたは携帯通信機器のような携帯用機器に表示されたコンテンツの一部を、高度なハードウェアや複雑なソフトウェアを用いることなく、単純だが効率的な方法でズームする方法にある。
【0009】
よって、少なくとも表示コンテンツの一部をユーザが使いやすくかつ安全にズームイン(拡大)およびズームアウト(縮小)できるようにする発明が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの理由から、デジタルズーミング方法は、機器のディスプレイ内に表示されたデジタルコンテンツの縮尺を拡大または縮小するために提供される。ディスプレイは、上記指示手段に反応するタッチ感応部を有し、上記指示手段を用いてあるポイントに時間的に特定されるタッチの形式での指示部分の操作が、上記ディスプレイ画面内に表示されたデジタルコンテンツの一部の拡大操作または縮尺操作を指定する。上記拡大または縮小する操作は、予め決められた境界に限定される。この拡大または縮小する操作は、上記タッチ感応部のタッチの回数に基づいている。
【0011】
また、本発明は、タッチ感応式のデジタルディスプレイとコントローラとを備える装置に関し、当該コントローラがディスプレイからの信号を受信し、当該タッチが縮尺を変更するタッチに対応していれば、上記ディスプレイ上のコンテンツの縮尺を変更する。この装置はさらに、他の機器またはシステムとの通信を可能とする送受信手段を搭載しうる。上記装置は、携帯端末もしくは携帯電話、デジタルメディアプレイヤー、カメラ、携帯情報端末(PDA)、またはコンピュータのいずれかに組み込まれうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面に符号が付与され、同じ参照番号の表示を持つ要素は全体を通じて同等の要素を表わしている。
【図1】以下に述べる方法およびシステムが実施されうる例示的なシステムの図。
【図2】本発明に係るディスプレイの概略図。
【図3】本発明に係るディスプレイの概略図。
【図4】図1のシステムによる処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の本発明の詳細な記述は添付図面を参照する。異なる図の同一の参照番号は同一もしくは類似の要素を示す。また、以下の詳細な記述は本発明を限定しない。代わりに、本発明の範囲は付属の特許請求の範囲および同等物によって定義される。
【0014】
図1は、以下に述べる方法およびシステムが実施されうる例示的なシステム100の図である。システム100は、バス110、プロセッサ120、メモリ130、読み出し専用メモリ(ROM)140、記憶装置150、入力装置160、出力装置170、そして通信インタフェース180を含みうる。バス110は、システム100の構成要素の間での通信を許容する。システム100は、1つもしくはそれ以上の電源(不図示)を含みうる。当業者であれば、システム100が他の多くの方法によって構成されうること、また他のまたは異なる要素を含みうることが認識されるであろう。
【0015】
プロセッサ120は命令を解釈して実行するあらゆるタイプのプロセッサもしくはマイクロプロセッサを含みうる。また、プロセッサ120は、音声ファイル、映像ファイル、マルチメディアファイル、画像ファイル、ビデオゲームなどのメディアファイルを復号でき、例えばスピーカやディスプレイなどに出力を生成することができる論理回路を含みうる。メモリ130は、プロセッサ120による実行の命令もしくは情報を蓄えるランダム・アクセス・メモリ(RAM)その他の動的記憶装置を含みうる。また、メモリ130は、プロセッサ120による実行命令中における一時変数もしくは他の中間情報を蓄えるために使用されうる。
【0016】
ROM140は、静的な情報やプロセッサ120への命令を蓄積する従来型のROMおよび/またはその他の静的記憶装置を含みうる。記憶装置150は、磁気ディスクや光学ディスク、それに対応するドライブ、および/または、別のタイプの磁気もしくは光記録媒体と命令や情報を蓄積するそれに対応するドライブを含みうる。また、記憶装置150は、情報や命令を蓄積するための電気的に消去およびプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)装置も含みうる。
【0017】
入力装置160は、1つまたはそれ以上の、ユーザがシステム110に対して情報の入力を行える、キーボード、キーパッド、指向性パッド、マウス、ペン、音声認識、タッチスクリーンおよび/または生体認証手段などの従来の手段を含みうる。出力装置170は、1つまたはそれ以上の、ユーザに対して情報を出力する、ディスプレイ、プリンタ、1つまたはそれ以上のスピーカなどを含む従来の手段を含みうる。通信インタフェース180は、システム100が他の装置および/またはシステムと通信できるようにする何らかの送受信機に類似した手段を含みうる。例えば、通信インタフェース180は、モデムやLANへのイーサネット(登録商標)インタフェースを含みうる。代替または追加として、通信インタフェース180は、無線ネットワークなどのネットワークを介して通信する他の手段を含みうる。例えば、通信インタフェースは、無線(RF)送信機および受信機、並びに無線データを送信および受信するための1つまたはそれ以上のアンテナを含みうる。
【0018】
システム100は、本発明に従い、ユーザが、音楽ファイル、映像ファイル、画像ファイル、ゲーム、マルチメディアファイルなどの様々なメディアを再生および/または閲覧しえるプラットフォームを提供する。また、システム100は、以下に詳細に記述するように、システム100のユーザによって再生および/または閲覧されたメディアに関連する情報をグラフィカルな形式で表示しうる。例示的な実施によれば、システム100は、プロセッサ120がメモリ130に格納された命令手順を実行するプロセッサ120に応答して様々な処理を実行しうる。そのような命令は、記憶装置150などの他のコンピュータ読み取り可読な記憶媒体、通信インタフェース180を介して別体の装置からメモリ130へ読み込まれる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、1つまたはそれ以上のメモリデバイスもしくは搬送波を含むことは理解されるであろう。メモリ130に格納される命令手順を実行することで、プロセッサ120に後述する機能を実行させる。変形した実施形態では、本発明に合致する観点の実施のため、配線回路がソフトウェア命令に代わって、もしくはソフトウェア命令と組み合わせて使用されうる。このため、本発明は、配線回路とソフトウェアとのどのような特定の組み合わせにも限定されない。
【0019】
図2は、入力装置としてのシステム100のタッチスクリーン1601を示している。タッチスクリーンは当業者に周知の従来のタイプでありうる。
【0020】
基本的なタッチスクリーンは、3つの主要な構成要素:タッチセンサ、コントローラ、ソフトウェアドライバを有する。タッチスクリーンセンサは、タッチに反応する表面を有する。昨今の市場では、異なるいくつかのタッチセンサ技術が存在し、いずれもタッチ入力を検出するために異なった方法を用いている。通常、センサは一般的に、そこを流れる電流や信号を備え、スクリーンにタッチすることで電圧や信号の変化を生じさせる。この電圧変化は、画面に対するタッチ位置を判定するのに使用される。コントローラは、タッチセンサからの情報を得て、例えば、プロセッサ120が理解可能な情報へ翻訳する。1つの実施形態では、コントローラおよびプロセッサ120は統合されうる。
【0021】
本発明によれば、ポイント1602がスクリーン1601上で”タップ”されると、コントローラは、それをタップへ翻訳し、信号がプロセッサ120へ送られる。タップはズーム(イン/アウト)機能として解釈される。この解釈は、もちろんアプリケーションに依存しており、別のアプリケーションでは別の機能として、プロセッサが画像の表示などを行うあるアプリケーションにおいてこのズームの機能を使用できるようになる。
【0022】
本願で使用される「タップ」および「タッピング」という用語は、コントローラのプログラムなどにおいて予め決められた特定の量の時間および/または圧力で画面の一部をタッチすることを意味している。タッピングは、直前に画面にタッチし、指またはスタイラス(または他の機器)をすぐに持ち上げること、あるいはある期間画面の同じ部分をタッチし続けることである。
【0023】
本願で使用される「ズームアウト」および「ズームイン」という用語は、ディスプレイ上に表示された画像/コンテンツの縮尺を増加及び減少することを意味している。
【0024】
本願は、例えば図2に破線で示されているズームエリア1603のように、ズーム用の境界を使用するように予めプログラムされる。実質的には、ズームエリアのすべてのコンテンツが拡大もしくは縮小される。ズームエリアは長方形、円、楕円などの1つもしくはいくつかの形状に設定される。通常、境界はユーザには視認できない。しかしながら、1つの実施形態では、ズームエリアはユーザに視認でき、ズームエリアの大きさを変更可能である。
【0025】
タッピング信号が受信され、プロセッサによってシステムにて実行中のアプリケーションがタッピング機能に関係すると判定されると、表示コンテンツ1604の一部をズームするズーミング処理を開始する。これは、図3に示されるように、ズームエリア1603が実質的に表示エリア1601の全体に及ぶように拡大されている。
【0026】
ズーム機能を元に戻すため、システムはダブルタッピングなどの他のタイプのタッピングを検知するように構成され、この場合、システムは、ズームエリアの大きさを予め決められた、元のサイズまたは中間のサイズに縮小(もしくは拡大)する。
【0027】
図4は、システム100による処理例を示すフローチャートである。システム100の電源が入ったときに処理を開始する。システム100のユーザが、画像(静止画もしくは動画)といった表示コンテンツを有すると仮定する。画像データは、例えば記憶装置またはメモリ150に格納される。
【0028】
1つの実施例において、システム100が図2のような記号を表示しているとする。この例では、プロセッサ120はその像に関連する情報を識別する。ユーザがスクリーンをタップするとき、コントローラはタッチのタイプを検知する(401)。例えば、コントローラもしくはシステムのメモリに格納されているタイミングテーブルを比較することで、またはタッチのタイプを検索するためにプロセッサ120へタイミング情報を送信することで、タッチのタイプが判定される(402)。ズーム(イン/アウト)タッピングがなされたと判定されると、プロセッサはディスプレイドライバへ、ズームエリア内のズームに対応する画像メモリコンテンツを再計算・出力する命令を出す(403)。
【0029】
加えて、ユーザに提供されるグラフィック表示は、システム100から局所的に読み出されたコンテンツを表わす。いくつかの実施例では、コンテンツは、例えばネットワークなどを介してシステム100にアクセス可能なサーバなどの外部装置からアクセスされたコンテンツを表わす。
【0030】
さらに、一連の動作が図4を参照して記述される一方で、動作の順序は本発明に合致する他の実施例では変形しうる。その上、依存関係にない動作は並列に実行されうる。
【0031】
上述したように、本発明の観点は、タッチ感応画面を用いてコンテンツを表示可能なあらゆる装置/システムにおいて実施されうることは、当業者に明らかである。
【0032】
例えば、図1乃至4を参照して上述した実施例において、本発明の観点は、携帯電話といった移動端末/電話機に実装されうる。加えて、本発明の観点は、デジタルメディアプレイヤー、カメラ、携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、あるいはコンテンツを表示し、タッチパネル機能を有する他のあらゆる装置に実装されうる。また、本発明の観点は、方法および/またはコンピュータプログラムプロダクトでも実現可能である。したがって、本発明は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)の形態でも実施可能である。さらにまた、本発明は、命令実行システムによってまたはそれに接続されて使用するために、媒体として具現化されたコンピュータが利用可能もしくは読み出し可能なプログラムコードを有するコンピュータが利用可能もしくは読み出し可能な記憶媒体上のコンピュータプログラムプロダクトという形態をとりうる。本発明の原理に合致する特徴を実現するために使用される実際のソフトウェアコードまたは特化された制御ハードウェアは本発明を限定しない。従って、上記特徴の操作や動作は、特定のソフトウェアコードを参照しないで記述される。当業者が、本明細書の記述に基づく特徴を実現するために、ソフトウェアを設計し、ハードウェアを制御できることは当然である。
【0033】
さらに、本発明のいくつかの部分は1つ以上の機能を実行する「論理回路」として実装されうる。この論理回路はプロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレー、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせなどのハードウェアを含みうる。
【0034】
この明細書で用いられる際の「備える(comprises/comprising)」という用語は、言及される特徴、整数、ステップ又は構成要素が存在することを規定すると解釈されるが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素又はグループが存在すること又は追加されることを除外するものではないことを強調しておかなければならない。
【0035】
本願の記述中で使用される要素、動き、あるいは命令は、そのように明言されていない限り、本発明に重要なもしくは必須であるように解釈されるべきではない。また、本明細書で使用されているように、「a」という冠詞は1つかそれ以上の項目を含むことを意図している。1つだけの項目が意図されている場合には、用語「1つ」もしくは類似語が用いられる。さらに、本明細書で用いた「〜を基づく」という言い回しは、他を明確に言及されていない限り、「少なくとも一部に基づく」を意味することを意図している。
【0036】
本発明の範囲は付属の特許請求の範囲および同等物によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のディスプレイ(1601)内に表示されたデジタルコンテンツ(1604)を拡大または縮小する方法であって、前記ディスプレイは、指示手段に反応するタッチ感応部を有しており、
前記指示手段を用いてあるポイントに時間的に特定されるタッチを識別すること、
前記時間的に特定されるタッチが、前記ディスプレイ画面内の前記デジタルコンテンツが表示された部分を拡大する操作または縮小する操作に対応するか判定すること、
前記拡大する操作または縮小する操作を実行することを含む方法。
【請求項2】
前記拡大する操作または縮小する操作は、予め決められた境界(1603)に限定される請求項1の方法。
【請求項3】
前記予め決められた境界は、前記タッチのポイントにおける中心を含む請求項2の方法。
【請求項4】
前記拡大または縮小する操作は、前記タッチ感応部のタッチの回数に基づいている請求項1の方法。
【請求項5】
タッチ入力を受け付けるタッチ感応式のデジタルディスプレイ(160)と、
コントローラ(120)と、を備え、
前記コントローラ(120)が、前記ディスプレイからの信号を受信し、前記受信したタッチ入力が縮尺を変更するタッチに対応していると判定された場合に、前記ディスプレイ(160)上のコンテンツの縮尺を変更する装置(100)。
【請求項6】
他の機器またはシステムとの通信を可能とする送受信手段をさらに備える請求項5の装置。
【請求項7】
携帯端末もしくは携帯電話、デジタルメディアプレイヤー、カメラ、携帯情報端末(PDA)、またはコンピュータのいずれかに組み込まれる請求項5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−502630(P2013−502630A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525096(P2012−525096)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052044
【国際公開番号】WO2011/020626
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(502087507)ソニーモバイルコミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】