説明

ディスプレイ付き撮像装置

【課題】縦型タイプのディスプレイ付き撮像装置の再生時の画面サイズを大型化する。
【解決手段】デジタルカメラ10は、略直方体形状をした縦長のカメラ本体11を有している。背面にはLCDパネル25が設けられており、このLCDパネル25は、その表示画面23の長手方向と、カメラ本体11の長手方向とが一致する向きで配置されている。表示画面23の下方部分には、タッチパネルが設けられており、このタッチパネルを通じて操作がなされる。撮影モードでは、表示画面23の上方部分に撮影画像が表示される。再生時には、カメラ本体11を90°回転させて横向きにする。再生モードでは、撮影画像の表示姿勢も90°回転し、表示画面23の全画面に撮影画像が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ付き撮像装置及び画像表示装置に関し、特に、LCD等の横長のディスプレイを装置本体に設けたディスプレイ付き撮像装置及び画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCDイメージセンサ等の撮像手段によって撮像した撮影画像をデジタルデータに変換して、メモリに記憶するデジタルカメラが知られている。このデジタルカメラの本体には、その背面に、LCDなどの撮影画像を表示するディスプレイが設けられている。このディスプレイは、撮影時には、被写体のライブ画像をスルー表示して、電子ビューファインダとして機能するとともに、再生時には、メモリに記憶した撮影画像を再生表示する。
【0003】
デジタルカメラの普及に伴って、カメラの本体サイズの小型化及び薄型化が進む一方、ディスプレイについては、視認性の向上や、迫力のある画像表示を目的として、表示画面の大型化が進んでいる。表示画面を大型化すると、必然的にカメラ本体の背面を占有する面積が多くなり、カメラ本体を把持するためのグリップスペースが相対的に小さくならざるを得ないが、そうすると、撮影時のようにカメラ本体をしっかりとホールドする必要があるときには、カメラ本体を把持する手が表示画面にかかってしまい、表示画面の一部が覆い隠されてしまう。こうなると、撮影画像を表示画面全体に表示しても、却って視認性を低下させてしまうおそれも生じる。
【0004】
そこで、再生時には、表示画面全体に撮影画像を表示し、撮影時には、撮影画像の表示サイズを再生時よりも一回り小さくすることで、表示画面のうち上記グリップスペースに相当する領域を撮影画像を表示しないブランクエリアとするカメラが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
下記特許文献1のカメラがそうであるように、カメラ本体のデザインは略直方体形状のものが多く、この本体を横に寝かせて、本体の長手方向を水平方向に略一致させた横長の姿勢を正姿勢とする横型タイプのものがポピュラーである。ここで、カメラの正姿勢とは、例えば、4:3の標準的なアスペクト比(縦横比)を持つ撮影画像を横長の姿勢(いわゆる横位置)で撮影可能な姿勢をいう。このような横型タイプのカメラでは、撮影時には、横方向の一端が手で包み込むように把持されてホールドされる。また、本体が横長であるため、他端をもう一方の手で支えやすく、両手でカメラを把持する場合には安定した状態でホールドしやすい。
【0006】
横型タイプのカメラでは、正面から見て本体の左側端部がグリップ位置(把持位置)となるため、上記グリップスペースは、背面から見ると右側に位置する。そのため、上記ブランク領域は、表示画面の右側に設定され、撮影画像は、その表示サイズを表示画面全体のサイズよりも縮小され、その画像が表示画面の左上方に寄せて表示される。記録した撮影画像の再生は、カメラをテーブルに置いたり、手のひらに載せた状態でできるので、撮影時のように上記グリップスペースを確保する必要性がなく、表示画面全体に撮影画像が表示される。これにより、迫力のある大画面の映像を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−289484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人が最近行った調査によれば、カメラ本体の小型化や薄型化が進むと片手でホールドする場合が多くなり、従来一般的だった横型タイプよりも、正姿勢が縦長になる(本体の長手方向を垂直方向に略一致させる)縦型タイプの方が、安定してホールドできるという調査結果が得られている。この理由は、カメラを片手でホールドする場合、横型タイプでは、横長の本体の横方向の側端部分をグリップしてホールドするのに対して、縦型タイプの場合には、縦長の本体の下方部分をグリップしてホールドするので、本体の重心位置に近い位置で支えやすくなり、本体のふらつきが抑制されるためと考えられる。
【0009】
このように小型で薄型のカメラでは、撮影時には、縦型タイプの方がホールド性が高くなるものの、縦型タイプにすると、当然ながら横型タイプと比較してボディの横幅が狭くなるため、ディスプレイの横幅を広げにくくなり、ディスプレイの大画面化がしにくいという問題が生じる。ディスプレイをフレーミング用に用いる撮影時には、表示画面が多少小さくてもそれほど支障はないが、再生時の映像の迫力を得るためには、表示画面はできるだけ大きい方がよいため、そうした不都合に対する対策が望まれていた。
【0010】
また、こうしたカメラに限らず、装置本体に横長のディスプレイを持つ画像表示装置で、その表示画面に横長のアスペクト比を持つ画像を表示させる場合には、画像の表示姿勢が固定されていると、装置本体の姿勢変化に対応できず、不便な場合も多い。
【0011】
本発明の目的は、再生時の表示画面のサイズを大型化することができる縦型タイプのディスプレイ付き撮像装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の別の目的は、横長のディスプレイを持つ画像表示装置の利便性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のディスプレイ付き撮像装置は、撮影レンズによって結像された被写体像を光電変換して撮影画像を得る撮像手段と、この撮像手段が設けられた略直方体形状の装置本体と、この装置本体の背面に配置され、前記撮影画像を表示する略長方形の画面を持つディスプレイとを有し、このディスプレイを、その画面の長手方向が前記装置本体の長手方向と一致するように配置したディスプレイ付き撮像装置において、前記撮像手段によって得られた横長のアスペクト比を持つ撮影画像を、その横方向と前記ディスプレイの長手方向とが直交する表示姿勢で、前記ディスプレイに表示する第1表示モードと、この第1表示モードにおける前記撮影画像の表示姿勢を90°回転させることにより、前記撮影画像の横方向と前記ディスプレイの長手方向とを略一致させた表示姿勢で前記撮影画像を前記ディスプレイに表示する第2表示モードとからなる2つの表示モードを切換制御する表示制御手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
前記表示制御手段は、例えば、前記撮像手段による撮影が行われる撮影モードのときに前記第1表示モードを実行し、撮影済みの撮影画像を再生する再生モードのときに前記第2表示モードを実行する。
【0015】
前記第1表示モードで前記ディスプレイに表示される撮影画像は、例えば、撮影の際に前記撮像手段によって取得され前記ディスプレイにスルー表示されるライブ画像であり、前記第2表示モードで前記ディスプレイに表示される撮影画像は、撮影後に再生される再生画像である。
【0016】
前記表示制御手段は、例えば、前記第2表示モードにおいて、前記撮影画像を全画面表示するとともに、前記第1表示モードにおいて、前記撮影画像を、そのアスペクト比を保ちつつ前記ディスプレイの画面の幅と前記撮影画像の横の長さとが略一致する大きさで部分表示することにより、前記ディスプレイの画面内に前記撮影画像を表示しないブランクエリアを生じさせる。
【0017】
前記ブランクエリアに、前記撮影画像とは別の情報を表示してもよい。この別の情報には、例えば、撮影条件及びコマ番号の少なくとも一方が含まれる。また、前記ブランクエリアを、前記装置本体に対する操作信号の入力が可能なタッチパネルとしてもよい。このタッチパネル内には、前記第1表示モードのときに、例えば、少なくとも撮影指示を与えるレリーズボタンが表示される。さらに、前記タッチパネル内には、前記第2表示モードのときに、少なくとも再生コマ切換ボタンが表示されることが好ましい。さらに、前記ブランクエリアは、前記装置本体が縦姿勢のときに、前記撮影画像の下方部分に設けられることが好ましい。
【0018】
前記装置本体の前面に設けられた撮影レンズを、その上端部分が、その下端部分よりも、前記装置本体の背面に設けられた前記ディスプレイの表示画面に近づくように、後傾させて配置することが好ましい。
【0019】
前記装置本体の縦姿勢と横姿勢の2つの姿勢を検知する姿勢検知手段を設け、この姿勢検知手段によって検知された姿勢に応じて、前記撮影モードと前記再生モードの2つのモードを切り替えることが好ましい。
【0020】
本発明の画像表示装置は、略直方体形状の装置本体と、この装置本体に設けられ、画像を表示する略長方形の画面を持つディスプレイとを有し、このディスプレイを、その画面の長手方向が前記装置本体の長手方向と一致するように配置した画像表示装置において、横長のアスペクト比を持つ画像を、その横方向と前記ディスプレイの長手方向とが直交する表示姿勢で、前記ディスプレイに表示する第1表示モードと、この第1表示モードにおける前記画像の表示姿勢を90°回転させることにより、前記画像の横方向と前記ディスプレイの長手方向とを略一致させた表示姿勢で、前記画像を前記ディスプレイに表示する第2表示モードとからなる2つの表示モードを切換制御する表示制御手段を設けたことを特徴とする。
【0021】
前記第2表示モードでは、前記画像が前記ディスプレイに全画面表示されることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、表示画面が横長のディスプレイに、横長のアスペクト比を持つ画像を表示する場合に、画像の長手方向と表示画面の長手方向とが直交する第1の表示姿勢と、画像の長手方向と表示画面の長手方向とが略一致する第2の表示姿勢とを切換可能にしたから、再生時の表示画面のサイズを大型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】デジタルカメラの前面斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面斜視図である。
【図3】デジタルカメラを横向きの姿勢にした状態を示す説明図である。
【図4】電気構成の概略構成を示すブロック図である。
【図5】レリーズボタン及びマルチファンクションキーを側面に配置したデジタルカメラの説明図である。
【図6】撮影レンズを上方に向けて傾けて配置したデジタルカメラの説明図である。
【図7】ジャイロセンサを用いた場合の電気構成のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態であるデジタルカメラ10の構成を示す斜視図である。デジタルカメラ10は、略直方体形状のカメラ本体11を持っており、その長手方向が垂直方向と略一致する姿勢を正姿勢とする縦型タイプのカメラである。このカメラ本体11は、撮影時には、例えば、ユーザの手17で、その下方部分をグリップしてホールドされる。カメラ本体11の前面には、上方部分に、撮影レンズ12と、ストロボ発光部14が設けられており、中央部分に、レリーズボタン16が設けられている。レリーズボタン16は、グリップした手17の人差し指17aによって操作しやすい位置に配置される。デジタルカメラ10は、この正姿勢で撮影が実行されると、4:3の標準的なアスペクト比を持つ横長の撮影画像を取得する。
【0025】
カメラ本体11の下面には、撮影画像のデータを記憶するメモリカード(図4の符合55参照)が着脱自在に挿抜されるカードスロット(図示せず)と、メモリカード内のデータをPCなどの外部装置へ転送するためのUSBコネクタ(図4の符合57参照)とが配置されている。
【0026】
カメラ本体11の一方の側面には、撮影画像をメモリカードに記録する撮影モード、メモリカードに記録済みの画像データを再生する再生モード、各種の設定を行うセットアップモードなどのカメラの動作モードを切り替えるモード切替ダイヤル21と、各動作モードで割り当てられる機能が切り替わるマルチファンクションキー22とが設けられている。マルチファンクションキー22は、例えば、撮影モードでは、ズームキーとして機能し、再生モードでは、コマ切り替えキーとして機能し、セットアップモードでは、設定画面上のカーソル移動キーとして機能する。また、カメラ本体11の他方の側面には、電源スイッチ24が設けられている。
【0027】
カメラ本体11の背面には、撮影画像を表示するLCD(LiquidCrystal Display)パネル25が設けられている。LCDパネル25は、撮影モードでは、被写体のライブ画像をリアルタイムでスルー表示する電子ビューファインダとして機能し、再生モードでは、メモリカードに記録済みの撮影画像を再生表示する再生モニタとして機能する。また、セットアップモードでは、各種の設定画面が表示される。
【0028】
LCDパネル25は、略長方形の表示画面23を有し、その長手方向が、カメラ本体11の長手方向と一致する向きで配置される。表示画面23の長辺と短辺の比は、例えば、撮影画像のアスペクト比(縦横比)とほぼ同様のアスペクト比を持っており、カメラ本体11を正姿勢の状態から90°回転させて横向きにしたときに、表示画面23が横長になって、横長の撮影画像の姿勢と一致するようになっている。
【0029】
カメラ本体11が正姿勢のときには、LCDパネル25の表示画面23の向きは縦長になる。撮影モードでは、表示画面23のうち、上方部分の領域が画像表示エリア23aとして使用される。この画像表示エリア23aには、被写体のライブ画像(撮影画像)がスルー表示される。撮影画像は、この画像表示エリア23aに、例えば、4:3のアスペクト比を保ったまま、その横方向の長さが表示画面23の短辺方向の幅と略一致する表示サイズで表示される。
【0030】
撮影モードにおいては、表示画面23の下方部分は、撮影画像が表示されないブランク領域23bとなる。デジタルカメラ10は、正姿勢のときには、本体11の下方部分が把持されてホールドされるので、ブランクエリア23bは、グリップスペースとなる。このスペースに撮影画像は表示されないので、フレーミング時にカメラ本体11を把持する手17によって撮影画像が隠されてしまうことがない。
【0031】
このブランクエリア23bには、撮影条件や撮影枚数などの撮影画像以外の各種の情報が表示される。この情報としては、例えば、選択されている撮影モードの種類(遠景撮影モード、近接撮影モード、ポートレート撮影モード、オートモードなど)や、ストロボ発光モードの種類(赤目軽減モード、強制発光モード、発光禁止モードなど)や、バッテリーの残量、撮影枚数などである。この他、F値やシャッタスピードを表示してもよい。
【0032】
また、ブランクエリア23bには、操作信号を入力するタッチパネル(図4の符合56参照)が設けられており、このタッチパネルがデジタルカメラ10の操作部として使用される。
【0033】
撮影モードにおいては、ブランクエリア23bに、例えば、レリーズキー26,ズームキー27が表示され、タッチパネルには、その表示位置に対応する位置にそれぞれの操作信号を入力するスイッチが割り当てられる。この他、ブランクエリア23b上の操作部として、モード切替キーなど他のキーを設けてもよい。ブランクエリア23bには、手17の親指17bが位置するので、各操作キーは、親指17bによって操作しやすい位置に配置される。これらレリーズキー26やズームキー27と、上記レリーズボタン16やマルチファンクションキー22とはともに有効な状態になっており、ユーザの好みに応じて、操作しやすい方を選択することができる。もちろん、設定によってどちらか一方を有効化し、他方を無効化できるようにしてもよい。
【0034】
図3に示すように、記録した撮影画像の再生は、カメラ本体11の姿勢を、縦長の正姿勢から90°回転させた横向きの姿勢で行われる。横向きにすると、LCDパネル25の表示画面23は横長になる。再生モードでは、表示画面23の全域が画像表示エリアとなる。撮影画像は、その表示姿勢が撮影モードのときの姿勢から90°回転するとともに、表示サイズも、横方向の長さが表示画面23の長手方向の長さに合うように拡大される。これにより、表示画面23に撮影画像が全画面表示される。このため、再生時には、迫力のある映像を楽しむことができる。
【0035】
再生時には、撮影時と比較して、カメラ本体11をしっかりとホールドする必要性はないため、カメラ本体11は、手17のひらに載せたり、テーブルなどに置かれる。このため、表示画面23がグリップする手17によって覆われることはない。
【0036】
再生モードでは、上記マルチファンクションキー22がコマ切り替えキーとして機能する。メモリカードに複数の撮影画像(撮影コマ)が記録されている場合には、マルチファンクションキー22を操作することで、表示画面に表示する撮影コマが切り替えられる。また、表示画面23の右下には、メモリーカードに記録された撮影画像の総数(「030」)と表示コマのコマ番号(「015」)とが表示される。
【0037】
また、コマ番号の上には、コマ切り替えキー29が表示される。表示画面23の右側(正姿勢のときに下方部分に相当する領域)には、上述したとおり、タッチパネルが設けられており、コマ切り替えキー29は、その部分に表示される。このコマ切り替えキー29を操作して表示コマの切り替えを行うことも可能である。
【0038】
図4は、デジタルカメラ10の電気的構成を示すブロック図である。撮影レンズ12の背後には、撮影レンズ12を透過した被写体光が結像される撮像面を持ち、この撮像面で受光した被写体光を光電変換する撮像手段であるCCD40が配置されている。CCD40は、タイミングジェネレータ(TG)42を介して、システムコントローラ41に接続されている。システムコントローラ41は、操作信号の入力に応じて、デジタルカメラ10の全体を制御する制御手段である。
【0039】
撮影モードにおいては、システムコントローラ41は、TG42を制御してタイミング信号(クロックパルス)を発生させ、CCD40は、TG42から入力されるタイミング信号(クロックパルス)によって駆動される。
【0040】
CCD40から出力された撮像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)43に入力され、CCD40の各セルの蓄積電荷量に対応したR,G,Bの画像データとして出力される。CDS43から出力された画像データは、増幅器(AMP)44で増幅され、A/D変換器(A/D)45によって、アナログ信号からデジタルな画像データに変換される。
【0041】
画像入力コントローラ46は、データバス47を介してシステムコントローラ41に接続されている。また、データバス47には、内部メモリ48が接続されており、この内部メモリ48としては、例えば、SDRAMが用いられる。システムコントローラ41は、画像入力コントローラ46を制御して、A/D45から出力された画像データを内部メモリ48に記憶させる。
【0042】
画像信号処理回路51は、内部メモリ48に記憶された画像データにアクセスして、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理等の各種画像処理を施す。また、YC変換処理回路52は、各種画像処理が施された画像データを輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとに変換する。
【0043】
撮影モードでは、所定のフレームレートでCCD40が撮像処理を行い、取得した画像データに対して上記画像処理が施され、処理済みの撮影画像がライブ画像としてLCDパネル25にスルー表示される。LCDパネル25は、LCDドライバ49によって駆動される。LCDドライバ49は、画像メモリやD/Aコンバータを備えており、画像メモリに一時的に蓄積した処理済みの画像データを、D/Aコンバータで、例えば、NTSC方式のアナログ信号に変換して、LCDパネル25に出力する。
【0044】
レリーズ操作が行われると、CCD40によって、スルー表示用のライブ画像よりも画素数の大きな本画像データが取得される。この本画像データに対しては、上記画像処理がなされるとともに、圧縮伸張処理回路53によって、所定の圧縮形式(例えば、JPEG形式)で圧縮処理が施される。圧縮処理が施された本画像データは、メディアコントローラ54を介してメモリカード55に記憶される。
【0045】
再生モードでは、メモリカード55に記録された本画像データがいったん内部メモリ48に読み出されて、圧縮伸張処理回路53によって伸張処理が施された後、LCDドライバ49に出力され、LCDパネル25に再生表示される。
【0046】
システムコントローラ41は、LCDドライバ49等を通じて、撮影画像の表示姿勢や表示サイズを制御する。すなわち、撮影モードの時には、LCD25の表示画面23のうち、上方部分(画像表示エリア23a)が撮影画像表示に使用されるので、撮影画像の横幅(長手方向の長さ)が表示画面23の短辺方向に合うように表示サイズが調節される。さらに、撮影画像は、その表示姿勢が、表示画面23の長手方向と、撮影画像の長手方向(横方向)が直交する向きで表示される。これにより、カメラ本体11を正姿勢(図2参照)にしたときのカメラ本体11の天地左右と、撮影画像の天地左右が一致する。
【0047】
他方、再生モードの時には、撮影画像が表示画面23に全画面表示されるように、撮影画像の表示サイズが拡大されるとともに、撮影画像の表示姿勢は、撮影モードの姿勢から90°回転して、表示画面23の長手方向と、撮影画像の長手方向(横方向)が一致する向きに変更される。これにより、カメラ本体11を横向き(図3参照)にしたときのカメラ本体11の天地左右と、撮影画像の天地左右が一致する。
【0048】
タッチパネル56は、レリーズボタン16やマルチファンクションキー22とともに、システムコントローラ41に対して操作信号を入力する。タッチパネル56としては、その配置位置に応じて、表示画面23の下に配置するタイプと、透明なスクリーンで形成され表示画面23を覆うタイプがあり、また、接触の検知方式として、パネル上の圧力の変化を感知する感圧式と、静電気による電気信号を感知する静電式などの検知方式があり、いずれを用いてもよい。
【0049】
USBコネクタ57は、PCなどの外部装置とケーブルを介して接続して、メモリカード55に記憶された画像データを転送したり、外部装置からデータを取り込むための通信インターフェースである。
【0050】
以下、上記構成による作用について説明する。ユーザはデジタルカメラ10で撮影する場合には、モード切替ダイヤル21で撮影モードを選択して、図1及び図2に示すようにカメラ本体11を正姿勢にしてその下方部分をグリップしてホールドする。デジタルカメラ10は、縦型タイプなので、こうしたグリップ方法によって、安定したホールド感が得られる。
【0051】
撮影モードでは、画像表示エリア23aに撮影画像がスルー表示される。画像表示エリア23aの撮影画像は、その横方向(長手方向)が表示画面23の長手方向と直交する姿勢で表示される。画像表示エリア23aの下方部分は、ブランクエリア23bになっているので、撮影画像の一部が手17によって隠れてしまうようなことはない。この画面を見てフレーミングを行い、フレーミング終了後、レリーズボタン16又はレリーズキー26を用いてレリーズ操作を行う。レリーズ操作がなされると、本画像データがメモリーカード55に記録される。
【0052】
記録した撮影画像を再生する場合には、モード切替ダイヤル21で再生モードを選択し、図3に示すように、カメラ本体11を正姿勢の状態から90°回転させて横向きにする。再生モードが選択されると、メモリーカード55内の撮影画像が表示画面23に表示される。再生モードにおいては、撮影画像は、撮影モードのときの表示姿勢から90°回転して、撮影画像の横方向(長手方向)と表示画面23の長手方向とが一致する向きで、表示画面23に全画面表示される。これにより、迫力のある映像を楽しむことができる。
【0053】
上記実施形態で示した表示画面内の操作キーの種類や、そのレイアウトは一例であり、それらは、適宜変更が可能である。例えば、右利きのユーザと左利きユーザとでは、それぞれに適した操作キーのレイアウトが異なる。こうした場合を考慮して、右利き用の操作キーのレイアウトと、左利き用のそれとを設定によって切り替えられるようにしてもよい。この場合には、設定情報に基づいて、システムコントローラが操作キーの表示位置を変更することで、レイアウトが切り替えられる。
【0054】
また、再生モードのときに、撮影画像を表示画面に全画面表示する例で説明したが、全画面表示でなくてもよく、撮影時の表示サイズよりも大きく表示されればよい。また、撮影途中に、記録した撮影画像を少しの間再生表示して確認したい場合もある。そのような画像確認のためにカメラ本体の姿勢を横向きにするのは面倒なので、再生モードにおいても、撮影モードと同じ姿勢で撮影画像を表示できるようにしてもよい。
【0055】
なお、上記実施形態では、ブランクエリアを、撮影画像以外の各種の情報を表示する情報表示エリアとして使用したり、操作キーを表示するとともにタッチパネルを設けて操作部として機能するようにしているが、そうしなくてもよく、単にブラックアウトさせたグリップスペースとして使用するのみでもよい。また、ブランクエリアを設けずに、例えば、上方部分に撮影画像の全体を表示し、下方部分に前記撮影画像の一部を拡大した画像を表示するなど、下方部分(ブランクエリアに相当する領域)についても画像表示エリアとして使用してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、操作信号入力手段として、カメラ本体に設けられる操作部材(レリーズボタン、マルチファンクションキーなど)に加えて、ブランクエリアに配置されるタッチパネルを設けた例で説明しているが、いずれか一方のみでもよい。操作信号入力手段として、タッチパネルのみを使用すれば、操作部材をカメラ本体に設ける必要がなくなるので、カメラ本体表面の凹凸がなくなり、デザイン性が向上する。
【0057】
また、カメラ本体に設けられる操作部材のレイアウトは、一例であり、グリップ位置等に応じて、適宜変更することができる。図5に示すように、デジタルカメラ71の持ち方としては、カメラ本体72の前面を手17の平で包み込むようにして、その両側面を指でグリップする持ち方も考えられる。このような場合には、側面に位置する指でレリーズ操作やズーム操作を行うことができるように、カメラ本体72の一方の側面にレリーズボタン73とマルチファンクションキー74を並べて配置してもよい。なお、図5において、上記実施形態と同様の部位や部材については便宜上同一の符合を付す。
【0058】
また、上記実施形態では、LCDパネルの表示画面に対して、光軸が垂直になるように、撮影レンズが設けられているが、図6に示すデジタルカメラ81のように、LCDパネル82の表示画面82aに対して、撮影レンズ83の光軸84を傾けてもよい。撮影レンズ83は、カメラ本体85を正姿勢にした状態で表示画面82aを鉛直方向と平行にしたときに、撮影レンズ83の集光面が若干上を向くように、後傾させた姿勢で取り付けられている。すなわち、撮影レンズ83は、その上端部分が、下端部分よりも、後方に配置されるLCDパネル25に近づくように傾けて配置される。このため、撮影レンズ83の光軸84は、表示画面82aに対して垂直ではなく、上方に向けて傾く。この光軸84の傾きに応じて、CCD86の撮像面も傾けられる。
【0059】
こうすると、図6(B)に示すように、ユーザが撮影レンズ83を被写体に向けると、カメラ本体85の姿勢が前傾するので、表示画面82aが上方に向けて傾く。このため、ユーザがデジタルカメラ81をユーザの顔よりも下方で構えるような場合には、目の方向に表示画面82aが向くので画面が見やすくなる。また、手首の角度も緩やかになるので、持ちやすい。この場合には、撮影レンズ83の向きに合わせて、CCD86も、表示画面82aに対して傾けて配置される。
【0060】
また、上記実施形態では、撮影モードと再生モードの切り替えを、モード切替ダイヤルなどを通じてマニュアルで行うようにしているが、カメラ本体の姿勢を検出する姿勢検知手段を設けて、この姿勢検知手段が縦向きを検知したときは撮影モードに、横向きを検知したときは再生モードにというように、カメラ本体の姿勢に応じて自動的にモード切替を行うようにしてもよい。姿勢検知手段としては、例えば、図7に示すように、ジャイロセンサ(角速度センサ)91などが使用される。システムコントローラ41は、ジャイロセンサ91からの信号に応じて、LCDパネル25の表示を制御する。
【0061】
また、上記実施形態では、撮影モードと再生モードの切り換えに応じて、撮影画像の表示姿勢が切り換えるようにしているが、撮影モードと、再生モードのそれぞれの動作モードにおいて、2つの表示姿勢を切り換え可能にしてもよい。例えば、ユーザーの使い方によっては、撮影モードにおいてもカメラ本体の姿勢を横向きにしたり、その反対に、再生モードにおいて、カメラ本体の姿勢を縦向きにしたい場合もある。そのような場合を考慮して、撮影モード及び再生モードのどちらの動作モードにおいても、ディスプレイの表示画面の長手方向と撮影画像の長手方向とが直交する第1の表示姿勢と、この第1の表示姿勢を90°回転させることにより、前記表示画面の長手方向と撮影画像の長手方向とが略一致する第2の表示姿勢を切り換え可能にすれば、ユーザーの利便性をより向上させることができる。この場合には、撮影モードと再生モードの動作モードを切り換える動作モード切換操作部材の他に、撮影画像の表示モードを切り換える表示モード切換操作部材を設けるとよい。
【0062】
また、上記実施形態では、撮影画像のアスペクト比を4:3として説明したが、もちろん、16:9など他のアスペクト比でもよい。また、上記実施形態では、静止画を撮影するデジタルカメラの例で説明したが、動画を撮影するデジタルカメラに本発明を適用してもよい。また、上記実施形態では、本発明をデジタルカメラに適用した例で説明したが、これに限るものはなく、携帯電話,PDA(Personal Digital Assistance)など、撮像機能を有する携帯端末などの各種のディスプレイ付き撮像装置に適用することができる。
【0063】
さらに、撮像機能を有するディスプレイ付き撮像装置だけでなく、静止画像や動画像を再生する画像再生プレーヤーなどの撮像機能を持たない画像表示装置にも本発明の適用が可能である。画像表示装置の場合でも、装置本体の姿勢に応じて、画像の表示姿勢を切換可能にすれば、ユーザーの利便性も向上する。
【0064】
また、ディスプレイとして、LCDを例に説明したが、もちろん、LCDに限定されるものではなく、例えば、EL(エレクトロルミネセンス)素子を用いたディスプレイなど各種のディスプレイを使用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 デジタルカメラ
11 カメラ本体
12 撮影レンズ
16 レリーズボタン
23 表示画面
23a 画像表示エリア
23b ブランクエリア
25 LCDパネル
41 システムコントローラ
56 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズによって結像された被写体像を光電変換して撮影画像を得る撮像手段と、
前記撮像手段が設けられた装置本体であり、縦長の単一の略直方体形状を有する装置本体と、
前記装置本体に設けられ、長手方向が前記装置本体の長手方向と一致するように配置した略長方形の表示画面を持つディスプレイと、
前記ディスプレイの上方に設けられ、撮影モードにおいて、スルー画像を表示する画像表示エリアと、
前記ディスプレイに表示されるタッチパネル式の操作部であり、前記撮影モードにおいて、前記撮影画像を記録するためのレリーズキーとが設けられており、
前記撮影レンズは、前記装置本体において、前記ディスプレイが配置される第1面とは反対側の第2面の上方部分に配置されており、
前記レリーズキーは、手の親指で操作可能な位置であり、前記装置本体の下方部分において前記第1面を前記親指で前記第2面を前記親指以外の指で挟み込むように前記装置本体の下方部分をホールドしたときに、前記親指と前記第2面を支える前記親指以外の指とを対向させた状態で操作可能な位置に配置されていることを特徴とするディスプレイ付き撮像装置。
【請求項2】
前記ディスプレイの下方に設けられ、前記撮影モードにおいて、前記スルー画像を表示しないブランクエリアを有しており、
前記レリーズキーは、前記ブランクエリアに設けられていることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ付き撮像装置。
【請求項3】
前記ブランクエリアには、選択されている撮影モードの種類が表示されることを特徴とする請求項2記載のディスプレイ付き撮像装置。
【請求項4】
動画撮影が可能なことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイ付き撮像装置。
【請求項5】
前記撮影画像を再生する再生モードを有しており、前記再生モードのときに、前記撮影画像を前記表示画面に全画面表示することが可能なことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のディスプレイ付き撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−130025(P2012−130025A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11007(P2012−11007)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【分割の表示】特願2009−185553(P2009−185553)の分割
【原出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】