ディスペンサ、貯蔵装置及び粉末の小出し方法
ディスペンサ、貯蔵装置及び粉末の小出し方法が開示される。粉末を、扁平な断面を備えたダクトから小出しして粉末を解凝集し、細かい粒径をもつスプレーを生じさせる。粉末の貯蔵チャンバは、破裂要素によって閉鎖されるのがよく、粉末を放出させるために加圧ガスが破裂要素を破裂させることができる。好ましくは、貯蔵チャンバへのガス供給源の断面は、粉末の小出し中、ガスの流れを制御する。特に、貯蔵装置は、多数の貯蔵チャンバ及び関連のダクト又はノズルを有し、従って、各投与分の粉末を別々のダクト又はノズルから小出しできるように構成されている。粉末を300kPa未満のガス圧力でダクト中へ送り込んで粉末を解凝集すると共に(或いは)スプレーを生じさせる。好ましくは、ガス圧力は、ピーク値に達し又はこれを超え、その後、破裂要素が破裂し、次に、粉末が低い圧力によって小出しされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1又は10の前文に記載された粉末を小出しするディスペンサ、請求項34の前文に記載された貯蔵装置、及び請求項47又は50の前文に記載された粉末の小出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスペンサ、特に吸入器により投与される粉末薬剤は、呼吸器系の特定部位を最適な状態で標的にするように構成されている。これら部位としては、鼻内通路、喉及び肺の中の種々の場所、例えば気管支、細気管支及び肺胞領域が挙げられる。薬剤を標的領域に投与できるかどうかは、とりわけ、粒子の空気力学的サイズで決まる。現在理解されるべきであると考えられるように、2μm未満の空気力学的直径を有する粒子は、肺の肺胞領域内での沈着に潜在的に最適であると考えられる。空気力学的直径が2ないし約5μmの粒子は、細気管支又は気管支領域への投与により適している場合がある。空気力学的サイズが6μm以上、より好ましくは10μm以上の粒子は、典型的には、喉頭領域、喉又は鼻内通路への投与に適している。
【0003】
大抵の場合、高い吸入可能なフラクション及び高い投与効率、即ち、所望領域、特に肺の中に達するフラクションを達成することが望ましい。これは、種々の要因、特に、生じさせたスプレープルームの特性、例えばプルームの伝搬速度、粒径及びその分布状態、細かい粒子のフラクション、ガスのフラクション等で決まる。本発明では、所望のスプレープルーム特性は好ましくは、小さな粒径、直径が6μm以下の薬剤粒子の高いフラクション、低い伝搬速度、長いスプレー生成時間及び(又は)長い吸入可能時間及び(又は)或る量の粉末を小出しするのに必要な少ないガス容積量を含む。
【0004】
特に、本発明は、肺への薬剤の投与のための乾燥粉末吸入器に関する。多くの乾燥粉末吸入器が、市場に出ており又は提案された。2つの主要なタイプ、即ち、受動式のもの及び能動式のものがある。受動式吸入器では、粉末を解凝集し、粉末を肺に送るのに必要なエネルギーの全てが、ユーザ又は患者の呼吸により提供される。能動式吸入器では、粉末を解凝集するのを助ける追加のエネルギー源が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大抵の粉末吸入器は、粉末が追加のエネルギー源を用いないで患者により吸入される受動式のものである。受動式吸入器に関する問題は、吸入可能なフラクション、即ち、肺に実際に入る粉末の割合が、主として、患者の呼吸に依存しているということにある。粉末の解凝集、及びこれによる吸入可能なフラクションは、吸入器を通る吸入空気の流量の関数であり、したがって、患者ごとに大きく異なっている。
【0006】
乾燥粉末吸入器は、一回分型装置と多数回分型吸入器に分けられる。多数回分型吸入器は、1回の投与分が個々に貯蔵される予計量型(あらかじめ計量される形式)の吸入器と、粉末投与量が吸入器内で計量される計量型吸入器とに更に分けられる。
【0007】
多数回分予計量型吸入器には、投与一回分を厳密な工場条件下で計量でき、粉末を大気から極めて容易に隔離できるという利点がある。多くの用途では、能動ダクト粉末は、キャリヤ、例えば乳糖と混ぜ合わされ、この乳糖は、大気からの水分を吸収する傾向があり、それにより、粉末を互いにくっ付けて解凝集するのを困難にする。
【0008】
本発明は、特に、薬剤を含有し又は薬剤から成る粉末を小出しする能動式ガス動力式予計量型多数回分又は一回分ディスペンサ、例えば乾燥粉末吸入器に関する。
【0009】
本発明の出発点をなす国際公開第92/12799号パンフレットは、流体の流れを細かい粒径のスプレーに変換する予計量型ディスペンサを開示しており、ダクトを通る環状の流れが、その流れの成分相互間の剪断力が流れをスプレーの状態に分解するのに十分な速度勾配をその流れの中に持つように構成されている。ダクトの断面形状は、好ましくは円形であるが、他の断面形状、例えば不定形断面又は多角形断面を利用できる。しかしながら、公知の装置及び方法は、粉末を解凝集し、所望の特性を備えた遅いスプレープルームを生じさせるには最適ではない。
【0010】
国際公開第2004/041326号パンフレットは、薬物を投与するシステムに用いられ、特に、液体エーロゾルを小出しする計量装置、即ち、いわゆる定量吸入器(MDI)用の管状ノズルを開示している。管状ノズルは、規定された長さ全体を通じて曲線状であり、この管状ノズルは、曲率半径が管状ノズルの内径の少なくとも2.5倍の湾曲部分を備えている。管状ノズルの断面は、多種多様な選択肢、例えば円形、長円形、正方形、矩形、多角形等から選択可能である。
【0011】
本発明の目的は、特に粉末の良好な解凝集及び(又は)所望のスプレープルーム特性を実現できる改良型ディスペンサ、改良型貯蔵装置及び改良型粉末小出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、請求項1又は10記載のディスペンサ、請求項34記載の貯蔵装置又は請求項47又は50記載の方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属形式の請求項の記載内容である。
【0013】
本発明の一特徴は、扁平な断面を備えたダクトを提供することにある。粉末を加圧ガスによりダクト中に送り込んで粉末を解凝集すると共に微小な粉末粒子を含むスプレーを生じさせる。扁平な断面の最も長い辺と最も短い辺の比は、少なくとも2.0である。驚くべきことに、特に粉末の所与の容積又は塊で少量のガスを用いて、円形又は準円形のダクトよりも、非常に良好な解凝集及びより微小な粒子を達成できる。この効果は、扁平な断面が所与の断面積に関し、非扁平断面よりも長い周長をもたらすということで説明できる。この長い周長の結果として、より広いダクト表面が、ガス及び粉末と接触することになり、したがって、断面積(水力直径)を変更させないで、即ち、流れ抵抗又は質量流量をそれほど変更しないで、高い剪断力に起因して良好な解凝集を達成できるようになる。
【0014】
好ましくは、扁平断面の最も長い辺と最も短い辺の比は、3ないし50、最も好ましくは約5ないし30である。このように、小さな粉末粒径を持つスプレーとしての良好な解凝集度を持つ粉末の高い出力を、比較的低いガス圧力、比較的少量のガス容積及び比較的低いガス流量で達成できる。ディスペンサは、吸入可能なフラクションが高く且つ所望のスプレープルーム特性を備えた解凝集状態の乾燥粉末のプルームを生じさせる。
【0015】
平均粒径が5μm未満の微粉の場合、代表的には75μm×1500μmの実質的に矩形のダクトが良好に働くことが判明した。平均粒径が30μmよりも大きな粉末の場合、代表的には200μm×1500μmのダクトが、良好に働く。非円形のダクトは好ましくは、粉末の粒径に応じて20ないし1000μmの水力直径を有するべきである。このダクトは、薬剤適合性のある任意の材料で作ったものであってよく、かかる材料として、プラスチック又は金属が挙げられる。2つ以上の非円形ダクトを並列して用いてもよい。
【0016】
非円形のダクトは好ましくは、水力直径(水力直径は、ダクト周長に対する4つの横断面積の比として定義される)の少なくとも5又は10倍、好ましくは10ないし60倍の長さを有する。圧力が任意所与の場合、非円形ダクトが長ければ長いほど、患者に投与される粉末はそれだけ一層遅くなる。しかしながら、ダクトが長すぎる場合、貯蔵/混合チャンバ内での速度は、混合チャンバが空にならない程度まで減少する場合がある。
【0017】
特に、300kPa未満のガス圧力により粉末をダクト中に送り込んで粉末を解凝集すると共に微小な粒径を持つスプレーを生じさせる。したがって、最適なスプレープルーム特性、特に低い伝搬速度を達成できる。
【0018】
口及び上気道内への粉末衝突度を最小限に抑えるためにガス及び粉末の出口速度を最小限に抑えるのが有利である。しかしながら、出口速度が高ければ高いほど、粉末はそれだけ一層良好にばらばらになる、すなわち解凝集する。これに対する一解決策は、2つ又は3つ以上の衝突ダクト又は好ましくは30°ないし180°の角度、好ましくは90°ないし150°の角度で衝突する粉末ジェットを用いることによりダクト出口のところにおけるガスと粉末の混合物の出口速度を遅くすることである。これは、本発明のもう1つの特徴である。特に、多数の、少なくとも2つの粉末スプレージェットを互いに衝突させ、即ち、これら粉末スプレージェットが互いに当たってスプレーの伝搬速度を減速すると共に(或いは)粉末を解凝集する。これは、上述したような所望のスプレープルーム特性を保つ。変形例として、漸増断面を備えるディフューザを用いると、ダクトの出口のところにおけるガス及び粉末の流れを減速させることができる。
【0019】
どのようなガスを用いてもよい。例えば、液化ガス、例えばHFA134a及びHFA227を使用できる。かかる装置では、ガスは、粉末リザーバへの連結手段を備えた計量弁を有するキャニスタ内に貯蔵される。変形例として、ピストンシリンダ装置、ベロー又は任意他のガスポンプを用いて例えば周囲空気を加圧してもよい。かかる装置は、ユーザすなわち患者が、使用に先立ってこの装置の始動準備又はプライミングを行う必要がある。さらに、圧縮ガスを使用してもよい。一回分装置の場合、圧縮空気入りの予備加圧キャニスタを使用できる。
【0020】
貯蔵チャンバ(リザーバ)及び(又は)混合チャンバを完全に空にするのに必要なガスの容積は、粉末の容積又は質量で決まる。粉末の塊が0.1ないし50mgの場合、0.2ないし300mgのガスが必要である。例えば、平均粒径が4μmの粉末が5mgの場合、100kPaないし200kPaの状態で10ないし20cm3の圧縮空気が必要であり、この場合、空気の質量は、約20ないし60mgである。粗い粉末の場合、低い圧力、代表的には100kPaゲージ圧未満の場合に必要なガス容積はこれよりも少ない。というのは、解凝集のために必要なエネルギーが小さいからである。
【0021】
粉末全てを追い出すのに必要な貯蔵チャンバ(リザーバ)及びオプションとしての混合チャンバの容積は、粉末の容積又は質量で決まる。貯蔵チャンバ及びオプションとしての混合チャンバの容積は好ましくは、粉末の投与量に応じて0.002ないし0.2cm3であることが必要である。粉末投与量が多ければ多いほど、リザーバ/混合チャンバはそれだけ一層大きいことが必要である。例えば、一回分の粉末投与量が5mgの場合、完全な混合のためには0.015ないし0.03cm3の容積が必要である。好ましくは、チャンバ容積(貯蔵チャンバ及びオプションとしての混合チャンバの容積)と粉末容積の比は、1.2ないし4であることが必要である。
【0022】
リザーバは好ましくは、尖った縁の無い円筒形のものであることが必要である。というのは、尖った縁は、粉末堆積物を引き付ける場合があるからである。1つ又は複数のガス入口は、ガスがチャンバ表面全てをスイープしてこれら表面上への粉末の堆積を阻止するように位置決めされるのが好ましい。入口は、出口から見て最も遠くに位置するチャンバ端部、即ち、非円形ダクトの近くに配置されるのが好ましい。リザーバ及び混合チャンバ内における入口と出口の相対位置は、ガスと粉末の混合物がチャンバ内に乱流による渦を形成して解凝集度を最大にし又は滑らかな乱流の無い流れがチャンバ内に達成されるような仕方で設定されてもよい。
【0023】
好ましくは、非円形ダクトの後ろの表面領域は、かかる表面上への粉末のくっ付き又は逃散を極力少なくするよう最小限に抑えられる。本発明は、吸入後において装置内に保持される粉末がほとんど無く又は全く無く、それ故に、計量された量と投与された量がほぼ同じであるという利点を有する。
【0024】
好ましくは、非円形ダクトは、非円形ダクトの後ろに流れ絞り部の無いマウスピース入口のところに配置されるべきである。
【0025】
ディスペンサ又は貯蔵装置は、その後に投与多数回分の粉末を小出しするように構成されているのがよい。本発明の独立した特徴によれば、各投与分は、互いに異なるダクト又はノズルを用いるのがよい。このようにすると、ダクトコーナー部内での粉末の蓄積又は閉塞は、性能に悪影響を及ぼさない。
【0026】
別の独立した特徴によれば、投与一回分の粉末のための貯蔵チャンバは、破裂要素又は別の感圧要素によって閉鎖されており、破裂要素又は感圧要素は、加圧ガスが破裂要素を破裂させ又は感圧要素を開いて粉末を貯蔵チャンバから放出することができるよう設計されている。特に、ガスと粉末の混合物は、ガス圧力がピーク値に達した後、好ましくは非円形のダクト、ノズル等を通るに過ぎず、この場合、混合物は、低いガス圧力により放出される。これは、感圧要素、例えば、弁、破裂要素、ダイヤフラム等を用いることにより達成できる。
【0027】
好ましくは、破裂要素は、薄いプラスチックフィルム、被覆アルミニウムフィルム又は任意他の材料で作られる。感圧要素、例えば、破裂要素は、貯蔵チャンバの前又はその後ろで、特に、粉末のための貯蔵チャンバとこれに隣接した混合チャンバとの間に配置されるのがよい。
【0028】
好ましくは、各投与分の粉末のために、即ち、各貯蔵チャンバのために別個の感圧要素又は破裂要素が用いられる。
【0029】
本発明の別の独立した特徴によれば、粉末を300kPa未満の比較的低いガス圧力でダクト又はノズル窓中へ送り込んで粉末を解凝集すると共に(或いは)スプレーを生じさせる。実験結果の示すところによれば、かかる低い圧力は、良好な解凝集を達成し、オプションとして、遅いスプレーを達成するのに十分である。
【0030】
別の独立した特徴によれば、ガスの流れは、粉末の小出し中、出口側ではなく、入口側で制限され又は制御される。これは、特に、非円形ダクトの場合に可能である。好ましくは、ガス入口は、小出し中、ガスの流れを制限し又は制御する比較的小さな断面を有する。
【0031】
別の独立した特徴によれば、ディスペンサ又は貯蔵装置は、別々の又は互いに異なる薬剤/粉末のための少なくとも2つ又は3つの別々の貯蔵チャンバを有するのがよく、かかる薬剤/粉末を次に又は同時に小出しすることができ、後者の場合、好ましくは、小出し中にのみ混合可能である。
【0032】
本発明の別の独立した特徴によれば、少なくとも2つの粉末ジェットを衝突させることにより別々の薬剤又は粉末を混合することができる。
【0033】
本発明の別の観点、利点及び特徴は、特許請求の範囲の記載及び好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図中、同一の参照符号は、同一又は類似のコンポーネントのために用いられており、この場合、同一又は類似の特性、特徴又は利点は、説明の繰り返しを省いている場合であっても実現若しくは達成され又は実現若しくは達成可能である。さらに、互いに異なる実施形態の特徴及び観点を任意所望の仕方で組み合わせることができると共に(或いは)所望に応じて他のディスペンサ又は粉末小出し方法に使用できる。
【0035】
図1は、本発明のディスペンサ1を縮尺通りではなく例示の目的のために概略断面で示している。ディスペンサ1は、能動式装置、特にガス動力式装置である。好ましくは、ディスペンサ1は、ユーザ又は患者(図示せず)用の吸入器、特に乾燥粉末吸入器である。
【0036】
ディスペンサ1は、特に少なくとも1種類の薬剤を含有し、又は1種類の薬剤から成る粉末2を小出しするよう設計されている。粉末2は、純粋な薬剤又は少なくとも2種類の薬剤の混合物であるのがよい。さらに、粉末2は、少なくとも1つの他の物質、特にキャリヤ、例えば乳糖を含有するのがよい。
【0037】
好ましくは、粉末粒子の平均直径は、約2ないし7μm、特に6μm以下である。これは、粉末2がキャリヤ、例えば乳糖を含有していない場合に特に当てはまる。
【0038】
粉末2がキャリヤ、例えば乳糖及び少なくとも1種類の薬剤を含有している場合、粉末2の粒径は、20ないし300μm、特に約30ないし60μmであるのがよい。しかしながら、以下に詳細に説明する解凝集の結果として、この場合でも、スプレー3は、例えば約10μm以下の小さな粒径を有することになる場合がある。特に、薬剤を解凝集中、キャリヤから分離して、ディスペンサを吸入器として用いた場合、主として、薬剤が約2ないし6μmのその小さな粒径に起因して吸入され、大きなキャリヤが飲み込まれるようにするのがよい。代替的に又は追加的に、キャリヤの分解又は開放が、解凝集中に可能である。
【0039】
上述すると共に後述する上述の直径は、大方の中程度の流体力学的直径として理解されると共に(或いは)スプレー3の粒子の粒径又はフラクションに適用可能である。
【0040】
図2は、粉末2を図1に類似した非常に概略的な仕方でスプレー3として小出しする際のディスペンサ1を示している。スプレー3は、微小な(粉末)粒子から成り、即ち、好ましくは6μm以下の微小な粒径を有する。特に、スプレー3は、上述したような所望のスプレープルーム特性を有する。
【0041】
ディスペンサ1は、粉末2を貯蔵する貯蔵装置4を受け入れ又はこの貯蔵装置を有するように構成されている。貯蔵装置4は、ディスペンサ1に組み込まれるのがよく又はディスペンサ1の一部をなすのがよい。変形例として、貯蔵装置4は、ディスペンサ1に挿入でき又はこれに連結でき、任意的に交換できる別個の部品、特に容器、カートリッジ、ブリスタ等であってもよい。
【0042】
ディスペンサ1又は貯蔵装置4は好ましくは、ダクト5を有し、このダクトを通って粉末2が小出しされて粉末2が解凝集されると共に(或いは)スプレー3が形成される。
【0043】
ダクト5は、図3の概略縦断面図に示すように好ましくは出口のところに位置するノズル(絞り穴)6を有するのがよい。変形例としてノズル6又は任意他の適当なノズル構造をこれに代えて又はダクト5との任意他の組み合わせの状態で用いてもよい。
【0044】
ディスペンサ1は、加圧ガスを用いて粉末2をダクト5/ノズル6中へ送り込んで粉末2を解凝集すると共に(或いは)微小な粒径をもつスプレー3を生じさせる。好ましくは、ディスペンサ1は、加圧ガスを提供する手段、この実施形態では、空気ポンプ7を有し、この空気ポンプを好ましくは取っ手又はアクチュエータ8で指示されているように手動で作動でき又は操作できる。特に、空気ポンプ7は、ベローから成り又はベローにより形成される。しかしながら、空気ポンプは、ピストンシリンダ装置であってもよい。空気ポンプ7に代えて、加圧ガスを提供する手段は、例えば、ディスペンサ1に動力供給するための、即ち、粉末2を所望に応じて小出しするための加圧又は液化ガスを収容したカプセル、容器等であってもよい。
【0045】
空気ポンプ7は、300kPa未満、特に、約50ないし200kPaのガス圧力を提供することができる。これは、好ましくは、ディスペンサ1を作動させるのに十分である。液化ガス又は加圧ガス入りの容器を用いる場合、ガス圧力は、100kPaないし約700kPaであるのがよい。この場合、圧力を好ましい圧力範囲まで減少させ又は抑制し、その後、圧力を貯蔵装置4、特にその貯蔵チャンバ10に供給するのがよい。
【0046】
好ましくは、本明細書及び特許請求の範囲に記載された圧力の値は全て、ゲージ圧、即ち、圧力差である。全ての圧力値は、ガス貯蔵手段、例えば、加圧又は液化ガス入りの容器内の圧力又は空気ポンプ7により提供される圧力に関連し、或いは、少なくとも破裂要素が以下に説明するように破裂する前にチャンバ10,14内で且つ(或いは)ダクト5内で作用する圧力に関している。
【0047】
ディスペンサ1は、図1及び図2に破線で指示するように、ガス流量及び(又は)圧力を調整し、抑制し且つ(或いは)制御する調整又は制御手段9、特に、弁、フローレストリクタ、毛管等を有しているが、このようにするかどうかは任意である。
【0048】
ディスペンサ1又は貯蔵装置4は、一回の小出し操作で小出しされるべき投与一回分の粉末2を収容した少なくとも1つの貯蔵チャンバ10を有する。
【0049】
小出しのため、ガスを圧力下でガス入口11等を経由して貯蔵チャンバ10/粉末2に供給する。好ましくは、入口11は、加圧ガスを提供する手段、即ち、特に空気ポンプ7又は調整若しくは制御手段9に連結され又は連結可能である。
【0050】
本実施形態では、貯蔵チャンバ10は、好ましくは、破裂要素12により覆われ又は閉鎖されている。特に、破裂要素12は、水分侵入、空気との接触等を阻止するよう貯蔵チャンバ10内の粉末2を密封している。
【0051】
ガスが貯蔵チャンバ10に供給されると、破裂要素12は、所定の圧力差及び(又は)所定の圧力増加速度に達し又はこれを超えた場合(圧力パルスの発生が生じた場合)、壊れ又は破裂する。好ましくは、破裂要素12は、300kPa未満、より好ましくは約50ないし200kPaの圧力差で且つ(或いは)0.5MPa/秒よりも高く、特に、1MPa/秒よりも高い圧力増加速度の圧力パルスで破裂するよう設計されている。
【0052】
破裂要素12は、例えば、プラスチック又は金属で作られるのがよい。破裂要素は、特にアルミニウムの薄い箔及び(又は)任意適当なメンブレンであってもよい。
【0053】
破裂要素12は、本発明では、平均直径が少なくとも5mm、好ましくは7mm以上の貯蔵チャンバ10の断面領域を覆っている。好ましくは、破裂要素12は、図4に参照符号13で指示するように、破裂を容易にするためにあらかじめかき傷が付けられ若しくはあらかじめ刻み目が付けられ又は少なくとも1つの弱め部分を有し、図4は、破裂要素12を備えた貯蔵チャンバ10の拡大斜視図である。特に、破裂要素12は、図4に示すように、それぞれの貯蔵チャンバ10と関連の混合チャンバ14との間に配置されている。
【0054】
破裂要素12が破裂し又は壊れると、貯蔵チャンバ10は突然開かれ、それぞれの投与分の粉末2が小出しされ、即ち、ガスと混合され、ダクト5中へ送り込まれ、そして図2に示すようにスプレー3として放出される。
【0055】
ガスは、貯蔵チャンバ10内にそれぞれの流れを生じさせて粉末2の全てを出口、即ち、ダクト5中へ送り込む。混合チャンバ14は、オプションとしての破裂要素12の開放空間を形成するのがよく、従って、破裂要素12は、これが破裂すると十分に開くことができるように構成されている。
【0056】
破裂要素12は、或る特定のガス圧力(ピーク圧力)に達し又はこれを超えた場合にのみそれぞれの粉末2を小出しするために開き又は貯蔵チャンバ10を通るガスの流れを可能にする感圧要素として理解できる。しかしながら、破裂圧力にいったん達し、破裂要素12が破裂し又は感圧要素が開くと、ガスが膨張し、圧力は、著しく且つ(或いは)突然に低下して粉末2を圧力パルス中、非常に効率的にガスと混合させることができ、特に、スワール又は渦が、ガスと粉末2の混合を支援するが、粉末2は、低い、即ち比較的低いガス圧力(好ましくは、300kPa未満、特に約50ないし200kPa)で放出され、特に、ダクト5中へ送り込まれるようになる。先行技術のディスペンサにおけるガス圧力よりも著しく低いこの低ガス圧力は、それぞれ低い放出速度の実現を可能にし、従って、低い伝搬速度を持つ低速スプレー3の実現を可能にする。
【0057】
破裂要素12の効果は又、加圧ガス等のための任意他の適当な感圧要素、特に、弁又はそれぞれ寸法決めされたリザーバによって実現でき若しくは支援でき或いは増強させることさえできることは注目されなければならない。
【0058】
ガスの突然の膨張は、チャンバ10,14内でのガスと粉末2の良好な混合を保証し、次に、混合物をダクト5中へ送り込む。
【0059】
既に述べたように、破裂要素12は、オプションに過ぎない。幾つかの場合では、破裂要素12は、不要である。その代わり、例えば粉末2を小出しする直前に開くことができる密封要素等を設けるのがよい。変形例として、貯蔵チャンバ10内の粉末2を密封するためにダクト5及び(又は)ノズル6の出口端部を閉鎖してもよい。小出し操作のためにのみ、ダクト5/ノズル6は、例えば切断、穴開け等により開かれ、すると、粉末2を放出することができる。
【0060】
別の変形例によれば、ダクト5/ノズル6を適当なプラグ又はキャップで閉鎖してもよく、かかるプラグ又はキャップは、使用していない間、貯蔵チャンバ10内の粉末2を密封する。このプラグ又はキャップを、小出し操作の直前に取り外し又は小出し操作中にガス圧力により開くことができ、このプラグ又はキャップは、破裂要素12とほぼ同じ機能を有する。プラグの吸入を阻止するため、それぞれのフィルタを設け又はプラグを任意適当な仕方で別の部品に連結してプラグが完全には分離することができないようにしてもよい。
【0061】
好ましくは、貯蔵装置4は、ガスと粉末2を混合する混合チャンバ14を形成する。チャンバ10,14は、好ましくは、ガスが粉末2とガスを良好に混合させるスワール又は渦を生じさせることができるように設計されている。好ましくは、チャンバ10,14は、断面が実質的に円形であり、特に、円筒形である。しかしながら、他の形状も又、採用可能である。
【0062】
さらに、貯蔵装置4、特にチャンバ10,14は、尖った縁部、コーナ部等が無い状態で形成されるが、ガスがチャンバ表面全てをスイープしてチャンバ表面上への粉末2の堆積を阻止すると共に粉末2の完全な放出を保証し又は可能にするよう滑らかな輪郭を有する。特に、ガス入口11は、軸方向又は出口方向に関し粉末出口、即ち、ダクト5及び(又は)ノズル6と反対側に設けられる。
【0063】
貯蔵装置4は、一回分のためのたった1つの貯蔵チャンバ10を有する場合があり、この場合、貯蔵装置4は、投与一回分だけのためであり、又は、多数の貯蔵キャビティ10を有してもよく、このように、次々に小出しできる投与多数回分の粉末2を収容してもよい。
【0064】
ディスペンサ1により提供されるガス供給源、特に空気ポンプ7を好ましくは小出し操作に必要な場合一時的にのみ任意適当な仕方でそれぞれの貯蔵装置4若しくは貯蔵チャンバ10、特にそれぞれのガス入口11に連結するのがよい。例えば、穴開け要素、連結要素等を特にこれをそれぞれの密封要素、ダイヤフラム、メンブレン、壁部分等に押し込むことによりガス入口11/それぞれの貯蔵チャンバ10に流体結合してガス供給源を開き又はそれぞれの貯蔵チャンバ10へのガス供給を可能にするのがよい。
【0065】
図5は、貯蔵装置4又は貯蔵チャンバ10の別の実施形態を非常に概略的なスケッチで示しており、この場合、側壁、特に混合チャンバ14の側壁又は断面は、ダクト5に向かってテーパしており、その目的は、粉末2がガスの流れにもかかわらず留まる場合のある尖った縁部、コーナ部等を無くすことにある。
【0066】
本発明の一特徴によれば、ダクト5は、扁平な(内部)断面を有している。図6aないし図6cは、ダクト5の考えられる断面を示している。図6aは、実質的に矩形の断面を示している。図6bは、2つの反対側の真っ直ぐな側部が2つの湾曲した部分で連結された扁平な断面を示している。図6cは、長円形又は楕円形断面を示している。
【0067】
本発明では、断面は、この断面の最も長い辺d1と最も短い辺d2の比が、少なくとも2.0である場合に扁平であると考えられる。好ましくは、この比は、3ないし50、特に約5ないし70である。図6に示す断面は、縮尺通りではないことが指摘される。
【0068】
最も長い辺d1は、好ましくは、0.5ないし5mm、特に1ないし3mmである。最も好ましくは、最も長い辺d1と(望ましい)微小な粒径(スプレー3の粉末粒子又は薬剤粒子の大方の平均直径)の比は、500未満、好ましくは300未満、特に約30ないし300である。
【0069】
最も短い辺d2は、好ましくは、0.05ないし0.5mm、特0.07ないし0.25mmである。最も好ましくは、最も短い辺d2と大方の平均的な(望ましい)微小粒径(スプレー3の粉末粒子又は薬剤粒子の大方の平均直径)の比は、50未満、好ましくは30未満、特に約3ないし20である。
【0070】
ダクト5の長さは、扁平な断面に関する長さを意味している。このように、ダクト5は、大きい方の長さ、即ち、別の断面形状及び(又は)大きな断面積を有する別の部分を有し、従って、扁平な断面を持つダクト5の部分と比較して、ガスと粉末2の混合物に対するこれら他の部分の影響が低くなるように構成されている。しかしながら、扁平断面の断面積及び(又は)形状は、ダクト5(扁平断面を持つ部分)の長さにわたり様々であってよい。このように、ダクト5の断面領域は、入口から出口までテーパし、或いはこの逆の状態にあることが可能である。
【0071】
最も好ましくは、ダクト5は、一定断面積を有し、即ち、一定の直径及び(又は)形状を持つ扁平断面の少なくとも一部分から成る。
【0072】
ダクト5、即ち、扁平断面を持つ部分の長さは、3mmないし80mm、特に5ないし15mmであるのがよい。好ましくは、ダクト長さは、ダクト5の平均水力直径に適合しており、従って、ダクト5の長さと平均水力直径の比が少なくとも5、特に、約10、好ましくは20ないし60以上であるようになっており、この場合、水力直径は、ダクト周長に対する4つの断面積の比として定義される。
【0073】
好ましくは円形又は円筒形若しくは円錐形のチャンバ10,14の直径は、それぞれ投与一回分の粉末2の塊の容積で決まる。投与一回分が、例えば1ないし2mg(キャリヤを含まない純粋な薬剤)又は2ないし10mg(薬剤とキャリヤ、特に乳糖の配合物)であるのがよい。最初の場合、直径の範囲は、好ましくは、1.5ないし2.5mmである。第2の場合、直径の範囲は、好ましくは、2ないし5mmである。好ましくは、ダクト5の断面は、同様に様々である。例えば、最も短い辺d2は、第1の場合、約0.07ないし0.1mmであり、第2の場合、約0.15ないし0.25mmである。長い方の(内側)辺d1は、粉末又は粒径にはそれほど強くは依存しない。好ましくは、この大きい方の辺d1は、第1の場合、約1ないし2mmであり、第2の場合、1ないし3mmである。
【0074】
ダクト5の平均水力直径は、好ましくは、1mm未満、特に0.1mmないし0.6mmである。
【0075】
好ましくは、ダクト5は、成形されると共に(或いは)カバー付きの扁平な溝により形成される。
【0076】
ディスペンサ1又は貯蔵装置4は、一回分の粉末2を同時に小出しし、特に、小出しされる粉末2の全質量流量又は出力を増大させて所望の投与量を所望に応じ且つ(或いは)必要に応じて十分に短い時間で放出し又は小出しできるようにするための多数のダクト5を有するのがよい。
【0077】
図7は、貯蔵装置4の別の実施形態を図5に類似した概略的な表し方で示している。この場合、2つのダクト5が1つの貯蔵チャンバ10/混合チャンバ14に関連付けられ又は連結されている。
【0078】
図8は、別の実施形態を同じような表し方で示しており、この場合、混合チャンバ14及びダクト5は、貯蔵装置4及び貯蔵チャンバ10とは別体の部品により形成されている。この別の部品は、カバー15等を形成するのがよく、この別個の部品は、ガスが供給されて粉末2が小出しする前においては、貯蔵装置4と接触状態に又は破裂要素12を覆った状態で配置される。この別個の部品は、1つだけのダクト5又は多数のダクト5を有してよく、特に、図示のように2つのダクト5を有するのがよい。多数のダクト5は、1つのダクト5が塞がれた場合であっても、ディスペンサ1が依然として働き、例えば、粉末2を依然として小出しできるという利点を有する。
【0079】
貯蔵装置4がそれぞれの投与分の粉末2入りの多数の貯蔵キャビティ10を有する場合、貯蔵装置4の出口側を覆う別個の部品を1つの貯蔵チャンバ10又は14から次の貯蔵チャンバに動かし、粉末2を1つの貯蔵チャンバ10から別の貯蔵チャンバへと次々と放出するのがよい。
【0080】
図9は、図7に類似した別の実施形態を示しているが、多数のダクト5が設けられており、これらダクトは、好ましくは、フィルタが形成されるよう一方が他方の側に直接配置され、この場合、フィルタの細孔が、ダクト5によって形成されている。
【0081】
図10は、破裂要素12の無い貯蔵装置4の別の実施形態を示している。その代わり、貯蔵チャンバ10は、ダクト5又は任意他の適当な方法で開かれ、例えば、穴開けされてダクト5及び(又は)ノズル6に連結できる密封要素等によって閉鎖されている。この実施形態では、別個の混合チャンバ14は、不要である。その代わり、貯蔵チャンバ10は、粉末2によって完全には満たされない容積を有し、従って、ガスと粉末2を貯蔵チャンバ10内で直接混合することができ、即ち、貯蔵チャンバ10が、混合チャンバも又形成するように構成されている。
【0082】
この実施形態の別の特徴は、ガス供給及び混合チャンバ14の出口の方向が、先の実施形態の場合のように横方向である必要がないということにある。その代わり、ガス入口方向及び貯蔵チャンバ10からの出口方向は、互いに平行な平面内にあってもよいが、好ましくは、互いにオフセットすると共に(或いは)互いに平行である。
【0083】
図10は、既に挿入又は連結状態のダクト5を備えたディスペンサ1又は貯蔵装置4を示している。しかしながら、図5及び図7ないし図10では、空気供給源は、貯蔵チャンバ10又はその入口11にまだ連結されていない。
【0084】
図11は、ダクト5の別の実施形態の縦断面図である。この場合、ディスペンサ1又は特にダクト5は、出口速度を減速させ、この結果、スプレー3の伝搬速度を減速させる手段を有している。この実施形態では、速度を減速させる手段は、ダクト5の出口のところに設けられ又はこれに連結されたディフューザ16である。ディフューザ16は、出口速度を減少させるのに適した角度を有する。
【0085】
追加的に又は代替的に、ダクト5は、図11と同様な縦断面図である図12に示されているようにテーパした入口断面17を更に有するのがよい。テーパした断面17は、任意適当な内部輪郭を有してよく、このテーパ断面は、テーパ断面17への移行部又はテーパ断面17からダクト5への移行部のところに尖った縁部が生じるのを回避するよう湾曲しているのがよい。このテーパ入口断面17は、1つのダクト5又は多数のダクト5を備えた全ての実施形態に使用できる。これは又、図11の実施形態、即ち、出口速度を減速させる手段にも当てはまる。
【0086】
図13は、速度を減速させる別の手段を備えた別のダクト構造を概略断面図で示しており、この別の手段は、多粉末ジェットスプレー衝突手段18を形成している。この手段18は、図13に指示されているように互いに衝突し、即ち、互いに打ち当たる多数の、少なくとも2つの粉末スプレージェットPを形成する。この実施形態では、ダクト5は、2つの区分5a,5bに分けられており、これら区分は、開口部又は出口が互いに傾けられていて区分5a,5bから出た粉末ジェットPが互いに傾けられて衝突するよう設計されている。例えば、分流器19又は任意の案内手段を流路中に設けて図13に示すようにダクト5の少なくとも2つの区分5a,5bを形成するのがよい。
【0087】
粉末ジェットP相互間の衝突角度αは、30°ないし180°、好ましくは少なくとも90°、特に約90°ないし150°である。粉末ジェットPの衝突の結果として、スプレー3の速度が減少すると共に(或いは)粉末2の解凝集が生じると共に(或いは)薬剤粒子がキャリヤから分離されると共に(或いは)スプレー3の良好な集束が得られる。これら作用効果は、衝突角度αで決まる。衝突角度αが大きいと、良好な作用効果が得られる。液体ジェットとは対照的に、90°以上の衝突角度が可能であり且つ好ましい。これら角度は、以下の実施形態にも当てはまる。
【0088】
ダクト5は、好ましくは、図13に示す実施形態では、貯蔵チャンバ10/混合チャンバ14に少なくとも接線方向に連結されている。好ましくは、ダクト5は、円筒形チャンバ14の一方の軸方向端部のところで混合チャンバ14に連結され、ガス入口11は、チャンバ10の他方の軸方向端部に連結されている。特に、ガス入口11は、これ又、貯蔵チャンバ10に接線方向に連結されていて、ガスを流入させたときにスワールが生じ、スワール方向は、ダクト5を介するガスと粉末2の混合物の放出を支援し、ダクト5は、スワールの回転方向に接線方向に向いている。
【0089】
図14は、粉末ジェット衝突手段18の別の実施形態を概略断面図で示している。この場合、2つ又は3つ以上のダクト5は、傾斜又は出口区分5cを有し、これら区分5cは、出口区分5cから噴出した粉末ジェットPが互いに衝突するよう互いに傾けられている。
【0090】
図15は、粉末スプレージェット衝突手段18の別の実施形態を概略断面図で示している。この場合、ダクト5は、全体として互いに傾けられていて、粉末ジェットPの設計された衝突を達成するように構成されている。図示のように、傾斜ダクト5の入口が関連の混合チャンバ14又は貯蔵チャンバ10の側壁のところで開口することが可能である。オプションとしての分流器19を混合チャンバ14又は貯蔵チャンバ10内に設けて所望の流れ及びガスと粉末2の混合を保証するのがよい。
【0091】
図13ないし図15の実施形態は又、3つ以上の粉末ジェットPを衝突させるのにも適している。例えば、同様な構造を図面の平面に垂直な断面平面内に設け、その結果、4つの出口方向及びコーヌス(conus)の平面上に配置された粉末ジェットPが得られるようにすることが可能である。しかしながら、ほぼ同じ作用効果を持つ多数の他の構造が使用可能である。
【0092】
付け加えられるべきこととして、ダクト区分5aないし5cの断面が好ましくは扁平ではなく、任意適当な断面形状を有してよい。
【0093】
別の(図示していない)実施形態によれば、ダクト5は、粉末2のリザーバ(貯蔵チャンバ10)としても使用できる。この場合、別個の貯蔵チャンバ10と混合チャンバ14は、不要である。この場合、ダクト5は、ガスと粉末2の十分な混合及び粉末2の十分な解凝集を可能にするよう設計される。
【0094】
好ましくは、ガス入口11又はガス供給源は、ダクト5又はノズル6よりも小さな横断面積を有し、従って、ガスの流量が、小出し中、出口側ではなく、即ち、ダクト5又はノズル6によってではなく入口によって定められるようになる。この結果、圧力は、破裂要素12又は別の感圧要素が開く直前において小出し操作の開始時にピーク値に達する。破裂要素12又は任意他の感圧要素を開いた状態で、突然の圧力減少の結果として、ガスと粉末2が貯蔵チャンバ10及び混合チャンバ14内で極めて良好且つ迅速に混ざり合う。次に、ガスと粉末2の混合物は、既に低くなっているガス圧力によってダクト5及び(又は)任意他の適当な出口、例えばノズル6中へ送り込まれ、ここで、ガス流量は、この段階中、少なくとも主としてガス入口11又はガス入口11の上流側の任意他の絞り穴の断面によって制御される。粉末2をダクト5及び(又は)ノズル6中へ放出するガス圧力が比較的低いので、スプレー3の低い放出速度及び、したがって低い伝搬速度を達成できる。粉末2の良好な解凝集は、ダクト5の扁平な断面、更にダクト5内の比較的低い放出速度により達成できる。さらに、スプレー3の伝搬速度を減速させる手段、特に、ディフューザ16又は粉末ジェット衝突手段18を用いると、スプレー3の伝搬速度を一段と減少させることができる。
【0095】
好ましくは、スプレー3は、2m/秒未満、特に1m/秒未満の平均速度(出口/マウスピースから10cmのところで測定された)を有する。好ましくは、スプレー3の平均持続時間は、少なくとも0.2又は0.3秒、特に約0.5ないし2秒である。
【0096】
図16は、多数の貯蔵キャビティ10を備えたディスペンサ1又は貯蔵装置4の別の実施形態を示している。特に、貯蔵装置4は、円板であり、貯蔵キャビティ10は、互いに間隔を置いた状態で円板の周囲に沿って好ましくは半径方向の向きで位置決めされ、従って、関連の混合チャンバ14が半径方向外方に且つ(或いは)貯蔵キャビティ10に隣接して位置決めされると共にそれぞれの破裂要素12によって互いに分けられるように構成されている。
【0097】
円板は、成形プラスチックのものであってもよく、又は任意他の適当な仕方で作られたものであってもよく、若しくは任意他の適当な材料のものであってよい。貯蔵キャビティ10及び(又は)混合チャンバ14は、円筒形又は円錐形の形態を有するのがよい。破裂要素12は、好ましくは円板状であり、例えば円錐形ホルダ20等により定位置に固定されてそれぞれの貯蔵チャンバ10を好ましくは半径方向に覆っている。ホルダ20を例えば外側リング21等により固定するのがよい。
【0098】
図16は、上部カバーが設けられておらず又は貯蔵キャビティ10及び混合チャンバ14を覆って図面で見て上からこれらを閉鎖する透明なカバーを備えた状態で円板を示している。しかしながら、ガス入口11及びダクト5又は他の適当な出口ポートは、カバー及び(又は)円板に形成され又は図16に示すようにちょうど小出し操作のために挿入される。変形例として、円板にはそれぞれ入口ポート及び(又は)ポートが形成される。一回分の粉末2を小出しするため、ガス入口11又はそれぞれの連結要素及びダクト5又はそれぞれの連結要素を密封カバーを介してそれぞれのポート内に押し込む。次に、ガス供給源を開き又は空気ポンプ7を作動させ、破裂要素12が破裂し、ガス圧力がガス粉末混合物を連結状態のダクト5及び(又は)ノズル6中へ送り込む。その後又は次の小出し操作の直前に、円板を次の位置まで回転させる。
【0099】
図17は、多数の粉末リザーバ(貯蔵キャビティ10)を備えた同様なディスペンサ1又は貯蔵装置4の部分軸方向断面を示している。好ましくは、このディスペンサ1又は貯蔵装置4は、幾つかの層又は円板が軸方向に互いに上下に配置された円形又は円筒形の構造体である。粉末2は、大気湿度から完全に隔離され(これは、各実施形態に当てはまる)、この結果、乾燥状態に保たれる。
【0100】
図示の実施形態では、好ましくは箔で作られ、特に薄い被覆アルミニウム箔で作られた第1の密封層22が、湿度バリヤとして働き、軸方向一方の側部でそれぞれの貯蔵キャビティ10内の粉末2を覆う。貯蔵キャビティ10は、例えばプラスチックで作られた第1の円板23に形成されるのがよい。第1の密封層22は、好ましくは、第1の円板23に結合されている。他方の側では、第2の密封層24が、第1の円板23に結合され、貯蔵キャビティ10をこの他方の側から覆い、このようにして、破裂要素12を形成している。第2の層24も又、好ましくは、箔、特に薄い被覆アルミニウム箔等であり、貯蔵キャビティ10内の粉末2を隔離する第2の湿度バリヤとして働く。
【0101】
第2の密封層24は、混合チャンバ14をそれぞれ形成する凹部を備えた第2の円板25により覆われるのがよく、混合チャンバ14は、第2の密封層24により分離された関連の貯蔵キャビティ10の上方に軸方向に配置されている。
【0102】
混合チャンバ24を覆うフィルタ層26又は任意他の適当なカバーを第2の円板に結合するのがよい。この層26又はカバーは、ダクト5、ノズル6又は任意他の適当な出口手段、例えばメッシュを直接形成してもよく、或いは小出し操作のために層26を介して混合チャンバ14内にそれぞれ挿入できる出口要素、例えばダクト5の支持体及び(又は)シールであってもよい。
【0103】
第3の円板27を第1の円板23と反対側で第1の密封層22に結合するのがよい。この第3の円板27は、例えばプラスチックで作られるのがよく、この第3の円板は、ガス入口11を形成する凹部等を有する。これらガス入口11は、好ましくは、軸方向ガス供給ではなく、横方向又は接線方向ガス供給が可能であるように貯蔵キャビティ10に対してずらされている。
【0104】
軟質密封要素28が、好ましくは、ガス入口11と対向して第1の円板23内に設けられている。小出し操作のため、ガス供給要素29又は任意他の適当な要素を1つのガス入口11内に押し込み、そして第1の密封層22を通って押し込んで、ついには、対応の軟質密封要素28が十分に変形して関連の(隣接の)貯蔵チャンバ10内へのガスの流入が可能になる。ガス供給源が開かれ、例えば調整若しくは制御手段9又は空気ポンプ7が作動されて圧力がピークレベルに達すると、第2の層24及びガスと粉末の混合物により形成されたそれぞれの破裂要素12が、フィルタ層26又は任意他の適当な出力要素、例えばダクト5又はノズル6中へ押し込まれる。
【0105】
指摘されなければならないこととして、第3の円板27は、オプションである。例えば、ガス入口11を特に第1の密封層22と軟質密封要素28との間で第1の円板23に形成してもよく、或いは省いてもよい。
【0106】
さらに、図18a及び図18bの別の実施形態で示されているように、貯蔵チャンバ10の壁を直接穴開けし又は開放することが可能である。ディスペンサ1又は貯蔵装置4は、少なくとも1つの貯蔵チャンバ10又は多数の貯蔵チャンバ10を備えたベース30を有する。後者の場合、貯蔵チャンバ10は、好ましくは、ベース30がストライプを形成するのがよい列の状態で又はホルダ30が円板を形成するのがよい円に沿って配置される。第1の密封層22が、貯蔵チャンバ10を覆って湿度バリヤとして働き、従って、粉末2は、大気から隔離されて乾燥状態に保たれるようになる。
【0107】
小出し操作のため、ガス供給要素29を例えば軸方向に、ベース30を通り又は側壁を通り若しくは密封層22を通って図18aに示すようにそれぞれの貯蔵チャンバ10内に押し込まれる。ガスが供給され、ガス圧力が破裂圧力を超えると、破裂要素12を形成している層22は、破裂し、粉末2は、図18bに示すように放出される。粉末2は、図8に示すように少なくとも1つのダクト5を備えたカバー15内に放出されるのがよい。ただし、このカバー15が、ガスの供給前にそれぞれの貯蔵チャンバ10の上方で層22上に配置されていることを条件とする。
【0108】
図19は、ディスペンサ1の別の実施形態を非常に概略的な断面図で示している。この実施形態では、貯蔵装置4は、好ましくは、多数の貯蔵キャビティを備えた円板状カートリッジ、容器、ブリスタ等である。貯蔵装置4を段階的に回転させ又は割り出して、粉末2を貯蔵キャビティ10から次々に小出しできるようにするのがよい。この実施形態では、ガスを軸方向に供給するのがよく、ガスと粉末2の混合物を特にユーザ又は患者(図示せず)のマウスピース31内へ半径方向に小出しするのがよい。好ましくは、粉末2を少なくとも1つのダクト5及び(又は)ノズル6中へ小出しし、このダクト5及び(又は)ノズル6は、マウスピース31内に配置され、特に、マウスピース31の開口部に対して引っ込められている。これは、好ましくは、図1及び図2に示すディスペンサ1にも当てはまる。
【0109】
図20は、多数の貯蔵キャビティ10を備えた貯蔵装置4の別の実施形態を図19のディスペンサ1内に使用できる円形又は円板状構成で示している。
【0110】
貯蔵装置4は、図20に示すように半径方向に差し向けることができるダクト5を有している。この構成は、各投与分の粉末2を別個の、即ち、未使用状態のダクト5中へ小出しできるという利点を備えている。所望ならば、破裂要素12を図20に示すように各貯蔵チャンバ10とそれぞれのダクト5との間に配置するのがよい。さらに、混合チャンバ14を所望ならば特に破裂要素12とダクト5の間で各貯蔵チャンバ10に関連付けるのがよい。変形例として、各貯蔵チャンバ10は又、図10の実施形態と関連して上述したように混合チャンバを形成してもよい。他の実施形態の特徴、例えば、粉末ジェット衝突手段18等も又、図20の実施形態で実現できることが指摘される。
【0111】
ガスを貯蔵キャビティ10内へ、例えば、それぞれのガス供給要素29等を挿入することにより特に軸方向又は接線方向に供給するのがよい。
【0112】
注目されなければならないこととして、本発明、具体的には、ディスペンサ1及び(又は)貯蔵装置4を1種類の薬剤、薬剤の配合物又は少なくとも2種類又は3種類の別々の薬剤を小出しするのに使用できる。後者の場合、別々の薬剤は、別々の貯蔵チャンバ10内に貯蔵され、小出し操作の際、これら薬剤は、共通の混合チャンバ14内か別々の混合チャンバ14内かガスの入ったこれらのそれぞれの貯蔵チャンバ10内かのいずれかで混合させる。さらに、別々の薬剤を共通ダクト5又はノズル6若しくは別々のダクト5又はノズル6中へ放出するのがよい。後者の場合、別々の薬剤は、別々のダクト5/ノズル6を出た後、又はマウスピース31内で若しくは任意他の適当な(追加の)混合チャンバ内で混合されることになろう。また、別々の薬剤の粉末ジェットを衝突させることにより別々の薬剤を混合することが可能である。別々の薬剤を小出しするため、共通のガス供給源又はガスを加圧する手段、例えば空気ポンプ7若しくは別々のガス供給源/加圧ガスを提供する手段を用いることが可能である。
【0113】
図21は、少なくとも2種類又は3種類の別々の粉末2、即ち、別々の薬剤の入ったディスペンサ1/貯蔵装置4の別の実施形態を示しており、これら粉末2は、別々の貯蔵チャンバ10′,10″,10′″内に貯蔵され、これら貯蔵チャンバは、中間壁32によって形成されるのがよく、各貯蔵チャンバをオプションとしての破裂要素12′,12″又は12′″によって覆うのがよい。加圧ガスを提供する共通の手段、特に、空気ポンプ7及び(又は)調整若しくは制御手段9から別々のガス入口11′,11″,11′″を介して加圧ガスを供給するのがよい。変形例として、別々のガス供給源を設けてもよい。
【0114】
ガス圧力が貯蔵チャンバ10′,10″,10′″内でピーク又は破裂圧力に達すると、それぞれの破裂要素12′,12″,12′″が破裂し、別々の薬剤/粉末2′,2″,2′″が、共通混合チャンバ14内で混ざり合うことができ、混合物は、一緒になってスプレー3(図示せず)として少なくとも1つの共通ダクト5、ノズル6等を通って小出しされる。
【0115】
注目されなければならないこととして、破裂要素12′,12″,12′″を1つの共通材料層、特に、箔等で形成するのがよい。
【0116】
変形例として、中央貯蔵チャンバ10″を少なくとも1つの好ましくは環状の貯蔵チャンバで包囲してもよい。この場合、壁32は、円筒形であるのがよく、参照符号10′,10′″は、同一の環状貯蔵チャンバを示しており、その結果、図21の実施形態では、2種類の互いに異なる薬剤/粉末2だけが、2つの別々の貯蔵チャンバ(中央チャンバ及び環状チャンバ)内に入れられる。この場合、参照符号12′,12′″は、環状チャンバを覆う同一の環状破裂要素を示している。
【0117】
図22は、ディスペンサ1及び貯蔵装置4の別の実施形態を概略断面図で示している。2種類の互いに異なる薬剤/粉末2′,2″が、それぞれ、別々の貯蔵/混合チャンバ10′/14′及び10″/14″内に入れられている。ガスを別々のガス入口11′,11″を介してチャンバ11′/14′,10″/14″に供給するのがよい。粉末2′,2″を別々のダクト5′,5″又は別々のノズル(図示せず)等により小出しして解凝集するのがよい。別々のダクト5′,5″から噴出した別々の又は互いに異なる薬剤/粉末2′,2″の粉末ジェットPを好ましくは、互いに衝突させて別々の薬剤/粉末2′,2″をちょうどスプレー3(図示せず)を形成したときに混合する。粉末ジェット衝突手段18は、別々の薬剤/粉末2′,2″を混合するが、スプレー3の伝搬速度を減速させると共に(或いは)粉末2′,2″の解凝集を支援し或いはそれぞれの薬剤をキャリヤから分離するのにも役立ちうる。
【実施例】
【0118】
以下において、本発明の作用効果を示す2つの実施例を説明する。
実施例1:90.0重量%の乳糖200、9.7重量%の高純度乳糖及び0.3重量%のチオトロピウム(Tiotropium)の配合物を使用した。乳糖200の平均粒子直径は、約45μm、高純度乳糖の平均粒子直径は、約4μm、チオトロピウムの平均粒子直径は、約4μmであった。約5.5mgの配合物を粉末2として貯蔵及び混合チャンバ10/14内に配置し、この貯蔵及び混合チャンバ10/14は、直径が3mm、軸方向長さは3mmの実質的に円筒形の形をしていた。5mlの圧縮空気をゲージ圧が約100kPaの状態で、0.5mmの入口オリフィスを備えたガス入口を介してチャンバ10/14内へ供給した。粉末2を最も短い辺が約0.18mm、最も長い辺が約1.5mmの実質的に矩形の断面のダクト5を介して小出しした。ダクト5は、2つのダクト区分5a,5b(特に、図13に示されている)に分かれており、各区分は、最も短い辺が約0.18mm、最も長い辺が約0.75mmの実質的に矩形の断面を有していた。区分5a,5bを含むダクト5の全長は、約8mmであった。その結果、チャンバ10/14内の100%の計量された状態の塊、即ち、全ての粉末2を小出しした。直径平均微小フラクションと質量平均微小フラクションの両方のうち約50%を30l/分と60l/分の両方でアンダーソン・カスケード・インパクタ(Anderson Cascade Impactor)で測定した。
【0119】
実施例2:平均粒子直径が4μmのフェノテロール(Fenoterol)を約1.5mg、粉末2として貯蔵及び混合チャンバ10/14内に配置し、この貯蔵及び混合チャンバは、直径が2mm、軸方向長さが2mmの実質的に円筒形の形をしていた。5mlの圧縮空気をゲージ圧が約150kPaの状態で、0.5mmの入口オリフィスを備えたガス入口を介してチャンバ10/14内へ供給した。粉末2を最も短い辺が約0.075mm、最も長い辺が約1.5mmの実質的に矩形の断面のダクト5を介して小出しした。ダクト5は、2つのダクト区分5a,5b(特に、図13に示されている)に分かれており、各区分は、最も短い辺が約0.075mm、最も長い辺が約0.75mmの実質的に矩形の断面を有していた。区分5a,5bを含むダクト5の全長は、約8mmであった。その結果、チャンバ10/14内の100%の計量された状態の塊、即ち、全ての粉末2を小出しした。直径平均微小フラクションと質量平均微小フラクションの両方のうち約45%を30l/分と60l/分の両方でアンダーソン・カスケード・インパクタ(Anderson Cascade Impactor)で測定した。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の一実施形態としてのディスペンサの概略断面図である。
【図2】小出し中における図1のディスペンサの概略断面図である。
【図3】ノズルを備えたダクトの概略縦断面図である。
【図4】破裂要素により分離された貯蔵チャンバと混合チャンバの部分断面図である。
【図5】ダクトを備えた貯蔵装置の概略断面図である。
【図6】分図6a、6b、6cは、互いに異なる断面を備えたダクトの横断面図である。
【図7】2つのダクトを備えた貯蔵装置の概略断面図である。
【図8】貯蔵装置及び2つのダクトを備えた関連のカバーの概略断面図である。
【図9】多数のダクトを備えた貯蔵装置の概略断面図である。
【図10】破裂要素が設けられていない貯蔵装置の概略横断面図である。
【図11】ディフューザの概略縦断面図である。
【図12】テーパした入口区分を備えたダクトの概略縦断面図である。
【図13】多粉末ジェット衝突手段を備えたディスペンサ及び貯蔵装置の概略断面図である。
【図14】別の多粉末ジェット衝突手段の概略断面図である。
【図15】別の多粉末ジェット衝突手段を備えた貯蔵装置の概略断面図である。
【図16】別の貯蔵装置の概略部分図である。
【図17】別の貯蔵装置の概略部分断面図である。
【図18】分図18a及び18bは、粉末の小出し前及び小出し中における更に別の貯蔵装置の概略部分断面図である。
【図19】別の実施形態としてディスペンサの概略断面図である。
【図20】半径方向ダクトを備えた貯蔵装置の略図である。
【図21】別のディスペンサ及び貯蔵装置の概略部分断面図である。
【図22】別のディスペンサ及び貯蔵装置の概略断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1又は10の前文に記載された粉末を小出しするディスペンサ、請求項34の前文に記載された貯蔵装置、及び請求項47又は50の前文に記載された粉末の小出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスペンサ、特に吸入器により投与される粉末薬剤は、呼吸器系の特定部位を最適な状態で標的にするように構成されている。これら部位としては、鼻内通路、喉及び肺の中の種々の場所、例えば気管支、細気管支及び肺胞領域が挙げられる。薬剤を標的領域に投与できるかどうかは、とりわけ、粒子の空気力学的サイズで決まる。現在理解されるべきであると考えられるように、2μm未満の空気力学的直径を有する粒子は、肺の肺胞領域内での沈着に潜在的に最適であると考えられる。空気力学的直径が2ないし約5μmの粒子は、細気管支又は気管支領域への投与により適している場合がある。空気力学的サイズが6μm以上、より好ましくは10μm以上の粒子は、典型的には、喉頭領域、喉又は鼻内通路への投与に適している。
【0003】
大抵の場合、高い吸入可能なフラクション及び高い投与効率、即ち、所望領域、特に肺の中に達するフラクションを達成することが望ましい。これは、種々の要因、特に、生じさせたスプレープルームの特性、例えばプルームの伝搬速度、粒径及びその分布状態、細かい粒子のフラクション、ガスのフラクション等で決まる。本発明では、所望のスプレープルーム特性は好ましくは、小さな粒径、直径が6μm以下の薬剤粒子の高いフラクション、低い伝搬速度、長いスプレー生成時間及び(又は)長い吸入可能時間及び(又は)或る量の粉末を小出しするのに必要な少ないガス容積量を含む。
【0004】
特に、本発明は、肺への薬剤の投与のための乾燥粉末吸入器に関する。多くの乾燥粉末吸入器が、市場に出ており又は提案された。2つの主要なタイプ、即ち、受動式のもの及び能動式のものがある。受動式吸入器では、粉末を解凝集し、粉末を肺に送るのに必要なエネルギーの全てが、ユーザ又は患者の呼吸により提供される。能動式吸入器では、粉末を解凝集するのを助ける追加のエネルギー源が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大抵の粉末吸入器は、粉末が追加のエネルギー源を用いないで患者により吸入される受動式のものである。受動式吸入器に関する問題は、吸入可能なフラクション、即ち、肺に実際に入る粉末の割合が、主として、患者の呼吸に依存しているということにある。粉末の解凝集、及びこれによる吸入可能なフラクションは、吸入器を通る吸入空気の流量の関数であり、したがって、患者ごとに大きく異なっている。
【0006】
乾燥粉末吸入器は、一回分型装置と多数回分型吸入器に分けられる。多数回分型吸入器は、1回の投与分が個々に貯蔵される予計量型(あらかじめ計量される形式)の吸入器と、粉末投与量が吸入器内で計量される計量型吸入器とに更に分けられる。
【0007】
多数回分予計量型吸入器には、投与一回分を厳密な工場条件下で計量でき、粉末を大気から極めて容易に隔離できるという利点がある。多くの用途では、能動ダクト粉末は、キャリヤ、例えば乳糖と混ぜ合わされ、この乳糖は、大気からの水分を吸収する傾向があり、それにより、粉末を互いにくっ付けて解凝集するのを困難にする。
【0008】
本発明は、特に、薬剤を含有し又は薬剤から成る粉末を小出しする能動式ガス動力式予計量型多数回分又は一回分ディスペンサ、例えば乾燥粉末吸入器に関する。
【0009】
本発明の出発点をなす国際公開第92/12799号パンフレットは、流体の流れを細かい粒径のスプレーに変換する予計量型ディスペンサを開示しており、ダクトを通る環状の流れが、その流れの成分相互間の剪断力が流れをスプレーの状態に分解するのに十分な速度勾配をその流れの中に持つように構成されている。ダクトの断面形状は、好ましくは円形であるが、他の断面形状、例えば不定形断面又は多角形断面を利用できる。しかしながら、公知の装置及び方法は、粉末を解凝集し、所望の特性を備えた遅いスプレープルームを生じさせるには最適ではない。
【0010】
国際公開第2004/041326号パンフレットは、薬物を投与するシステムに用いられ、特に、液体エーロゾルを小出しする計量装置、即ち、いわゆる定量吸入器(MDI)用の管状ノズルを開示している。管状ノズルは、規定された長さ全体を通じて曲線状であり、この管状ノズルは、曲率半径が管状ノズルの内径の少なくとも2.5倍の湾曲部分を備えている。管状ノズルの断面は、多種多様な選択肢、例えば円形、長円形、正方形、矩形、多角形等から選択可能である。
【0011】
本発明の目的は、特に粉末の良好な解凝集及び(又は)所望のスプレープルーム特性を実現できる改良型ディスペンサ、改良型貯蔵装置及び改良型粉末小出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、請求項1又は10記載のディスペンサ、請求項34記載の貯蔵装置又は請求項47又は50記載の方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属形式の請求項の記載内容である。
【0013】
本発明の一特徴は、扁平な断面を備えたダクトを提供することにある。粉末を加圧ガスによりダクト中に送り込んで粉末を解凝集すると共に微小な粉末粒子を含むスプレーを生じさせる。扁平な断面の最も長い辺と最も短い辺の比は、少なくとも2.0である。驚くべきことに、特に粉末の所与の容積又は塊で少量のガスを用いて、円形又は準円形のダクトよりも、非常に良好な解凝集及びより微小な粒子を達成できる。この効果は、扁平な断面が所与の断面積に関し、非扁平断面よりも長い周長をもたらすということで説明できる。この長い周長の結果として、より広いダクト表面が、ガス及び粉末と接触することになり、したがって、断面積(水力直径)を変更させないで、即ち、流れ抵抗又は質量流量をそれほど変更しないで、高い剪断力に起因して良好な解凝集を達成できるようになる。
【0014】
好ましくは、扁平断面の最も長い辺と最も短い辺の比は、3ないし50、最も好ましくは約5ないし30である。このように、小さな粉末粒径を持つスプレーとしての良好な解凝集度を持つ粉末の高い出力を、比較的低いガス圧力、比較的少量のガス容積及び比較的低いガス流量で達成できる。ディスペンサは、吸入可能なフラクションが高く且つ所望のスプレープルーム特性を備えた解凝集状態の乾燥粉末のプルームを生じさせる。
【0015】
平均粒径が5μm未満の微粉の場合、代表的には75μm×1500μmの実質的に矩形のダクトが良好に働くことが判明した。平均粒径が30μmよりも大きな粉末の場合、代表的には200μm×1500μmのダクトが、良好に働く。非円形のダクトは好ましくは、粉末の粒径に応じて20ないし1000μmの水力直径を有するべきである。このダクトは、薬剤適合性のある任意の材料で作ったものであってよく、かかる材料として、プラスチック又は金属が挙げられる。2つ以上の非円形ダクトを並列して用いてもよい。
【0016】
非円形のダクトは好ましくは、水力直径(水力直径は、ダクト周長に対する4つの横断面積の比として定義される)の少なくとも5又は10倍、好ましくは10ないし60倍の長さを有する。圧力が任意所与の場合、非円形ダクトが長ければ長いほど、患者に投与される粉末はそれだけ一層遅くなる。しかしながら、ダクトが長すぎる場合、貯蔵/混合チャンバ内での速度は、混合チャンバが空にならない程度まで減少する場合がある。
【0017】
特に、300kPa未満のガス圧力により粉末をダクト中に送り込んで粉末を解凝集すると共に微小な粒径を持つスプレーを生じさせる。したがって、最適なスプレープルーム特性、特に低い伝搬速度を達成できる。
【0018】
口及び上気道内への粉末衝突度を最小限に抑えるためにガス及び粉末の出口速度を最小限に抑えるのが有利である。しかしながら、出口速度が高ければ高いほど、粉末はそれだけ一層良好にばらばらになる、すなわち解凝集する。これに対する一解決策は、2つ又は3つ以上の衝突ダクト又は好ましくは30°ないし180°の角度、好ましくは90°ないし150°の角度で衝突する粉末ジェットを用いることによりダクト出口のところにおけるガスと粉末の混合物の出口速度を遅くすることである。これは、本発明のもう1つの特徴である。特に、多数の、少なくとも2つの粉末スプレージェットを互いに衝突させ、即ち、これら粉末スプレージェットが互いに当たってスプレーの伝搬速度を減速すると共に(或いは)粉末を解凝集する。これは、上述したような所望のスプレープルーム特性を保つ。変形例として、漸増断面を備えるディフューザを用いると、ダクトの出口のところにおけるガス及び粉末の流れを減速させることができる。
【0019】
どのようなガスを用いてもよい。例えば、液化ガス、例えばHFA134a及びHFA227を使用できる。かかる装置では、ガスは、粉末リザーバへの連結手段を備えた計量弁を有するキャニスタ内に貯蔵される。変形例として、ピストンシリンダ装置、ベロー又は任意他のガスポンプを用いて例えば周囲空気を加圧してもよい。かかる装置は、ユーザすなわち患者が、使用に先立ってこの装置の始動準備又はプライミングを行う必要がある。さらに、圧縮ガスを使用してもよい。一回分装置の場合、圧縮空気入りの予備加圧キャニスタを使用できる。
【0020】
貯蔵チャンバ(リザーバ)及び(又は)混合チャンバを完全に空にするのに必要なガスの容積は、粉末の容積又は質量で決まる。粉末の塊が0.1ないし50mgの場合、0.2ないし300mgのガスが必要である。例えば、平均粒径が4μmの粉末が5mgの場合、100kPaないし200kPaの状態で10ないし20cm3の圧縮空気が必要であり、この場合、空気の質量は、約20ないし60mgである。粗い粉末の場合、低い圧力、代表的には100kPaゲージ圧未満の場合に必要なガス容積はこれよりも少ない。というのは、解凝集のために必要なエネルギーが小さいからである。
【0021】
粉末全てを追い出すのに必要な貯蔵チャンバ(リザーバ)及びオプションとしての混合チャンバの容積は、粉末の容積又は質量で決まる。貯蔵チャンバ及びオプションとしての混合チャンバの容積は好ましくは、粉末の投与量に応じて0.002ないし0.2cm3であることが必要である。粉末投与量が多ければ多いほど、リザーバ/混合チャンバはそれだけ一層大きいことが必要である。例えば、一回分の粉末投与量が5mgの場合、完全な混合のためには0.015ないし0.03cm3の容積が必要である。好ましくは、チャンバ容積(貯蔵チャンバ及びオプションとしての混合チャンバの容積)と粉末容積の比は、1.2ないし4であることが必要である。
【0022】
リザーバは好ましくは、尖った縁の無い円筒形のものであることが必要である。というのは、尖った縁は、粉末堆積物を引き付ける場合があるからである。1つ又は複数のガス入口は、ガスがチャンバ表面全てをスイープしてこれら表面上への粉末の堆積を阻止するように位置決めされるのが好ましい。入口は、出口から見て最も遠くに位置するチャンバ端部、即ち、非円形ダクトの近くに配置されるのが好ましい。リザーバ及び混合チャンバ内における入口と出口の相対位置は、ガスと粉末の混合物がチャンバ内に乱流による渦を形成して解凝集度を最大にし又は滑らかな乱流の無い流れがチャンバ内に達成されるような仕方で設定されてもよい。
【0023】
好ましくは、非円形ダクトの後ろの表面領域は、かかる表面上への粉末のくっ付き又は逃散を極力少なくするよう最小限に抑えられる。本発明は、吸入後において装置内に保持される粉末がほとんど無く又は全く無く、それ故に、計量された量と投与された量がほぼ同じであるという利点を有する。
【0024】
好ましくは、非円形ダクトは、非円形ダクトの後ろに流れ絞り部の無いマウスピース入口のところに配置されるべきである。
【0025】
ディスペンサ又は貯蔵装置は、その後に投与多数回分の粉末を小出しするように構成されているのがよい。本発明の独立した特徴によれば、各投与分は、互いに異なるダクト又はノズルを用いるのがよい。このようにすると、ダクトコーナー部内での粉末の蓄積又は閉塞は、性能に悪影響を及ぼさない。
【0026】
別の独立した特徴によれば、投与一回分の粉末のための貯蔵チャンバは、破裂要素又は別の感圧要素によって閉鎖されており、破裂要素又は感圧要素は、加圧ガスが破裂要素を破裂させ又は感圧要素を開いて粉末を貯蔵チャンバから放出することができるよう設計されている。特に、ガスと粉末の混合物は、ガス圧力がピーク値に達した後、好ましくは非円形のダクト、ノズル等を通るに過ぎず、この場合、混合物は、低いガス圧力により放出される。これは、感圧要素、例えば、弁、破裂要素、ダイヤフラム等を用いることにより達成できる。
【0027】
好ましくは、破裂要素は、薄いプラスチックフィルム、被覆アルミニウムフィルム又は任意他の材料で作られる。感圧要素、例えば、破裂要素は、貯蔵チャンバの前又はその後ろで、特に、粉末のための貯蔵チャンバとこれに隣接した混合チャンバとの間に配置されるのがよい。
【0028】
好ましくは、各投与分の粉末のために、即ち、各貯蔵チャンバのために別個の感圧要素又は破裂要素が用いられる。
【0029】
本発明の別の独立した特徴によれば、粉末を300kPa未満の比較的低いガス圧力でダクト又はノズル窓中へ送り込んで粉末を解凝集すると共に(或いは)スプレーを生じさせる。実験結果の示すところによれば、かかる低い圧力は、良好な解凝集を達成し、オプションとして、遅いスプレーを達成するのに十分である。
【0030】
別の独立した特徴によれば、ガスの流れは、粉末の小出し中、出口側ではなく、入口側で制限され又は制御される。これは、特に、非円形ダクトの場合に可能である。好ましくは、ガス入口は、小出し中、ガスの流れを制限し又は制御する比較的小さな断面を有する。
【0031】
別の独立した特徴によれば、ディスペンサ又は貯蔵装置は、別々の又は互いに異なる薬剤/粉末のための少なくとも2つ又は3つの別々の貯蔵チャンバを有するのがよく、かかる薬剤/粉末を次に又は同時に小出しすることができ、後者の場合、好ましくは、小出し中にのみ混合可能である。
【0032】
本発明の別の独立した特徴によれば、少なくとも2つの粉末ジェットを衝突させることにより別々の薬剤又は粉末を混合することができる。
【0033】
本発明の別の観点、利点及び特徴は、特許請求の範囲の記載及び好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図中、同一の参照符号は、同一又は類似のコンポーネントのために用いられており、この場合、同一又は類似の特性、特徴又は利点は、説明の繰り返しを省いている場合であっても実現若しくは達成され又は実現若しくは達成可能である。さらに、互いに異なる実施形態の特徴及び観点を任意所望の仕方で組み合わせることができると共に(或いは)所望に応じて他のディスペンサ又は粉末小出し方法に使用できる。
【0035】
図1は、本発明のディスペンサ1を縮尺通りではなく例示の目的のために概略断面で示している。ディスペンサ1は、能動式装置、特にガス動力式装置である。好ましくは、ディスペンサ1は、ユーザ又は患者(図示せず)用の吸入器、特に乾燥粉末吸入器である。
【0036】
ディスペンサ1は、特に少なくとも1種類の薬剤を含有し、又は1種類の薬剤から成る粉末2を小出しするよう設計されている。粉末2は、純粋な薬剤又は少なくとも2種類の薬剤の混合物であるのがよい。さらに、粉末2は、少なくとも1つの他の物質、特にキャリヤ、例えば乳糖を含有するのがよい。
【0037】
好ましくは、粉末粒子の平均直径は、約2ないし7μm、特に6μm以下である。これは、粉末2がキャリヤ、例えば乳糖を含有していない場合に特に当てはまる。
【0038】
粉末2がキャリヤ、例えば乳糖及び少なくとも1種類の薬剤を含有している場合、粉末2の粒径は、20ないし300μm、特に約30ないし60μmであるのがよい。しかしながら、以下に詳細に説明する解凝集の結果として、この場合でも、スプレー3は、例えば約10μm以下の小さな粒径を有することになる場合がある。特に、薬剤を解凝集中、キャリヤから分離して、ディスペンサを吸入器として用いた場合、主として、薬剤が約2ないし6μmのその小さな粒径に起因して吸入され、大きなキャリヤが飲み込まれるようにするのがよい。代替的に又は追加的に、キャリヤの分解又は開放が、解凝集中に可能である。
【0039】
上述すると共に後述する上述の直径は、大方の中程度の流体力学的直径として理解されると共に(或いは)スプレー3の粒子の粒径又はフラクションに適用可能である。
【0040】
図2は、粉末2を図1に類似した非常に概略的な仕方でスプレー3として小出しする際のディスペンサ1を示している。スプレー3は、微小な(粉末)粒子から成り、即ち、好ましくは6μm以下の微小な粒径を有する。特に、スプレー3は、上述したような所望のスプレープルーム特性を有する。
【0041】
ディスペンサ1は、粉末2を貯蔵する貯蔵装置4を受け入れ又はこの貯蔵装置を有するように構成されている。貯蔵装置4は、ディスペンサ1に組み込まれるのがよく又はディスペンサ1の一部をなすのがよい。変形例として、貯蔵装置4は、ディスペンサ1に挿入でき又はこれに連結でき、任意的に交換できる別個の部品、特に容器、カートリッジ、ブリスタ等であってもよい。
【0042】
ディスペンサ1又は貯蔵装置4は好ましくは、ダクト5を有し、このダクトを通って粉末2が小出しされて粉末2が解凝集されると共に(或いは)スプレー3が形成される。
【0043】
ダクト5は、図3の概略縦断面図に示すように好ましくは出口のところに位置するノズル(絞り穴)6を有するのがよい。変形例としてノズル6又は任意他の適当なノズル構造をこれに代えて又はダクト5との任意他の組み合わせの状態で用いてもよい。
【0044】
ディスペンサ1は、加圧ガスを用いて粉末2をダクト5/ノズル6中へ送り込んで粉末2を解凝集すると共に(或いは)微小な粒径をもつスプレー3を生じさせる。好ましくは、ディスペンサ1は、加圧ガスを提供する手段、この実施形態では、空気ポンプ7を有し、この空気ポンプを好ましくは取っ手又はアクチュエータ8で指示されているように手動で作動でき又は操作できる。特に、空気ポンプ7は、ベローから成り又はベローにより形成される。しかしながら、空気ポンプは、ピストンシリンダ装置であってもよい。空気ポンプ7に代えて、加圧ガスを提供する手段は、例えば、ディスペンサ1に動力供給するための、即ち、粉末2を所望に応じて小出しするための加圧又は液化ガスを収容したカプセル、容器等であってもよい。
【0045】
空気ポンプ7は、300kPa未満、特に、約50ないし200kPaのガス圧力を提供することができる。これは、好ましくは、ディスペンサ1を作動させるのに十分である。液化ガス又は加圧ガス入りの容器を用いる場合、ガス圧力は、100kPaないし約700kPaであるのがよい。この場合、圧力を好ましい圧力範囲まで減少させ又は抑制し、その後、圧力を貯蔵装置4、特にその貯蔵チャンバ10に供給するのがよい。
【0046】
好ましくは、本明細書及び特許請求の範囲に記載された圧力の値は全て、ゲージ圧、即ち、圧力差である。全ての圧力値は、ガス貯蔵手段、例えば、加圧又は液化ガス入りの容器内の圧力又は空気ポンプ7により提供される圧力に関連し、或いは、少なくとも破裂要素が以下に説明するように破裂する前にチャンバ10,14内で且つ(或いは)ダクト5内で作用する圧力に関している。
【0047】
ディスペンサ1は、図1及び図2に破線で指示するように、ガス流量及び(又は)圧力を調整し、抑制し且つ(或いは)制御する調整又は制御手段9、特に、弁、フローレストリクタ、毛管等を有しているが、このようにするかどうかは任意である。
【0048】
ディスペンサ1又は貯蔵装置4は、一回の小出し操作で小出しされるべき投与一回分の粉末2を収容した少なくとも1つの貯蔵チャンバ10を有する。
【0049】
小出しのため、ガスを圧力下でガス入口11等を経由して貯蔵チャンバ10/粉末2に供給する。好ましくは、入口11は、加圧ガスを提供する手段、即ち、特に空気ポンプ7又は調整若しくは制御手段9に連結され又は連結可能である。
【0050】
本実施形態では、貯蔵チャンバ10は、好ましくは、破裂要素12により覆われ又は閉鎖されている。特に、破裂要素12は、水分侵入、空気との接触等を阻止するよう貯蔵チャンバ10内の粉末2を密封している。
【0051】
ガスが貯蔵チャンバ10に供給されると、破裂要素12は、所定の圧力差及び(又は)所定の圧力増加速度に達し又はこれを超えた場合(圧力パルスの発生が生じた場合)、壊れ又は破裂する。好ましくは、破裂要素12は、300kPa未満、より好ましくは約50ないし200kPaの圧力差で且つ(或いは)0.5MPa/秒よりも高く、特に、1MPa/秒よりも高い圧力増加速度の圧力パルスで破裂するよう設計されている。
【0052】
破裂要素12は、例えば、プラスチック又は金属で作られるのがよい。破裂要素は、特にアルミニウムの薄い箔及び(又は)任意適当なメンブレンであってもよい。
【0053】
破裂要素12は、本発明では、平均直径が少なくとも5mm、好ましくは7mm以上の貯蔵チャンバ10の断面領域を覆っている。好ましくは、破裂要素12は、図4に参照符号13で指示するように、破裂を容易にするためにあらかじめかき傷が付けられ若しくはあらかじめ刻み目が付けられ又は少なくとも1つの弱め部分を有し、図4は、破裂要素12を備えた貯蔵チャンバ10の拡大斜視図である。特に、破裂要素12は、図4に示すように、それぞれの貯蔵チャンバ10と関連の混合チャンバ14との間に配置されている。
【0054】
破裂要素12が破裂し又は壊れると、貯蔵チャンバ10は突然開かれ、それぞれの投与分の粉末2が小出しされ、即ち、ガスと混合され、ダクト5中へ送り込まれ、そして図2に示すようにスプレー3として放出される。
【0055】
ガスは、貯蔵チャンバ10内にそれぞれの流れを生じさせて粉末2の全てを出口、即ち、ダクト5中へ送り込む。混合チャンバ14は、オプションとしての破裂要素12の開放空間を形成するのがよく、従って、破裂要素12は、これが破裂すると十分に開くことができるように構成されている。
【0056】
破裂要素12は、或る特定のガス圧力(ピーク圧力)に達し又はこれを超えた場合にのみそれぞれの粉末2を小出しするために開き又は貯蔵チャンバ10を通るガスの流れを可能にする感圧要素として理解できる。しかしながら、破裂圧力にいったん達し、破裂要素12が破裂し又は感圧要素が開くと、ガスが膨張し、圧力は、著しく且つ(或いは)突然に低下して粉末2を圧力パルス中、非常に効率的にガスと混合させることができ、特に、スワール又は渦が、ガスと粉末2の混合を支援するが、粉末2は、低い、即ち比較的低いガス圧力(好ましくは、300kPa未満、特に約50ないし200kPa)で放出され、特に、ダクト5中へ送り込まれるようになる。先行技術のディスペンサにおけるガス圧力よりも著しく低いこの低ガス圧力は、それぞれ低い放出速度の実現を可能にし、従って、低い伝搬速度を持つ低速スプレー3の実現を可能にする。
【0057】
破裂要素12の効果は又、加圧ガス等のための任意他の適当な感圧要素、特に、弁又はそれぞれ寸法決めされたリザーバによって実現でき若しくは支援でき或いは増強させることさえできることは注目されなければならない。
【0058】
ガスの突然の膨張は、チャンバ10,14内でのガスと粉末2の良好な混合を保証し、次に、混合物をダクト5中へ送り込む。
【0059】
既に述べたように、破裂要素12は、オプションに過ぎない。幾つかの場合では、破裂要素12は、不要である。その代わり、例えば粉末2を小出しする直前に開くことができる密封要素等を設けるのがよい。変形例として、貯蔵チャンバ10内の粉末2を密封するためにダクト5及び(又は)ノズル6の出口端部を閉鎖してもよい。小出し操作のためにのみ、ダクト5/ノズル6は、例えば切断、穴開け等により開かれ、すると、粉末2を放出することができる。
【0060】
別の変形例によれば、ダクト5/ノズル6を適当なプラグ又はキャップで閉鎖してもよく、かかるプラグ又はキャップは、使用していない間、貯蔵チャンバ10内の粉末2を密封する。このプラグ又はキャップを、小出し操作の直前に取り外し又は小出し操作中にガス圧力により開くことができ、このプラグ又はキャップは、破裂要素12とほぼ同じ機能を有する。プラグの吸入を阻止するため、それぞれのフィルタを設け又はプラグを任意適当な仕方で別の部品に連結してプラグが完全には分離することができないようにしてもよい。
【0061】
好ましくは、貯蔵装置4は、ガスと粉末2を混合する混合チャンバ14を形成する。チャンバ10,14は、好ましくは、ガスが粉末2とガスを良好に混合させるスワール又は渦を生じさせることができるように設計されている。好ましくは、チャンバ10,14は、断面が実質的に円形であり、特に、円筒形である。しかしながら、他の形状も又、採用可能である。
【0062】
さらに、貯蔵装置4、特にチャンバ10,14は、尖った縁部、コーナ部等が無い状態で形成されるが、ガスがチャンバ表面全てをスイープしてチャンバ表面上への粉末2の堆積を阻止すると共に粉末2の完全な放出を保証し又は可能にするよう滑らかな輪郭を有する。特に、ガス入口11は、軸方向又は出口方向に関し粉末出口、即ち、ダクト5及び(又は)ノズル6と反対側に設けられる。
【0063】
貯蔵装置4は、一回分のためのたった1つの貯蔵チャンバ10を有する場合があり、この場合、貯蔵装置4は、投与一回分だけのためであり、又は、多数の貯蔵キャビティ10を有してもよく、このように、次々に小出しできる投与多数回分の粉末2を収容してもよい。
【0064】
ディスペンサ1により提供されるガス供給源、特に空気ポンプ7を好ましくは小出し操作に必要な場合一時的にのみ任意適当な仕方でそれぞれの貯蔵装置4若しくは貯蔵チャンバ10、特にそれぞれのガス入口11に連結するのがよい。例えば、穴開け要素、連結要素等を特にこれをそれぞれの密封要素、ダイヤフラム、メンブレン、壁部分等に押し込むことによりガス入口11/それぞれの貯蔵チャンバ10に流体結合してガス供給源を開き又はそれぞれの貯蔵チャンバ10へのガス供給を可能にするのがよい。
【0065】
図5は、貯蔵装置4又は貯蔵チャンバ10の別の実施形態を非常に概略的なスケッチで示しており、この場合、側壁、特に混合チャンバ14の側壁又は断面は、ダクト5に向かってテーパしており、その目的は、粉末2がガスの流れにもかかわらず留まる場合のある尖った縁部、コーナ部等を無くすことにある。
【0066】
本発明の一特徴によれば、ダクト5は、扁平な(内部)断面を有している。図6aないし図6cは、ダクト5の考えられる断面を示している。図6aは、実質的に矩形の断面を示している。図6bは、2つの反対側の真っ直ぐな側部が2つの湾曲した部分で連結された扁平な断面を示している。図6cは、長円形又は楕円形断面を示している。
【0067】
本発明では、断面は、この断面の最も長い辺d1と最も短い辺d2の比が、少なくとも2.0である場合に扁平であると考えられる。好ましくは、この比は、3ないし50、特に約5ないし70である。図6に示す断面は、縮尺通りではないことが指摘される。
【0068】
最も長い辺d1は、好ましくは、0.5ないし5mm、特に1ないし3mmである。最も好ましくは、最も長い辺d1と(望ましい)微小な粒径(スプレー3の粉末粒子又は薬剤粒子の大方の平均直径)の比は、500未満、好ましくは300未満、特に約30ないし300である。
【0069】
最も短い辺d2は、好ましくは、0.05ないし0.5mm、特0.07ないし0.25mmである。最も好ましくは、最も短い辺d2と大方の平均的な(望ましい)微小粒径(スプレー3の粉末粒子又は薬剤粒子の大方の平均直径)の比は、50未満、好ましくは30未満、特に約3ないし20である。
【0070】
ダクト5の長さは、扁平な断面に関する長さを意味している。このように、ダクト5は、大きい方の長さ、即ち、別の断面形状及び(又は)大きな断面積を有する別の部分を有し、従って、扁平な断面を持つダクト5の部分と比較して、ガスと粉末2の混合物に対するこれら他の部分の影響が低くなるように構成されている。しかしながら、扁平断面の断面積及び(又は)形状は、ダクト5(扁平断面を持つ部分)の長さにわたり様々であってよい。このように、ダクト5の断面領域は、入口から出口までテーパし、或いはこの逆の状態にあることが可能である。
【0071】
最も好ましくは、ダクト5は、一定断面積を有し、即ち、一定の直径及び(又は)形状を持つ扁平断面の少なくとも一部分から成る。
【0072】
ダクト5、即ち、扁平断面を持つ部分の長さは、3mmないし80mm、特に5ないし15mmであるのがよい。好ましくは、ダクト長さは、ダクト5の平均水力直径に適合しており、従って、ダクト5の長さと平均水力直径の比が少なくとも5、特に、約10、好ましくは20ないし60以上であるようになっており、この場合、水力直径は、ダクト周長に対する4つの断面積の比として定義される。
【0073】
好ましくは円形又は円筒形若しくは円錐形のチャンバ10,14の直径は、それぞれ投与一回分の粉末2の塊の容積で決まる。投与一回分が、例えば1ないし2mg(キャリヤを含まない純粋な薬剤)又は2ないし10mg(薬剤とキャリヤ、特に乳糖の配合物)であるのがよい。最初の場合、直径の範囲は、好ましくは、1.5ないし2.5mmである。第2の場合、直径の範囲は、好ましくは、2ないし5mmである。好ましくは、ダクト5の断面は、同様に様々である。例えば、最も短い辺d2は、第1の場合、約0.07ないし0.1mmであり、第2の場合、約0.15ないし0.25mmである。長い方の(内側)辺d1は、粉末又は粒径にはそれほど強くは依存しない。好ましくは、この大きい方の辺d1は、第1の場合、約1ないし2mmであり、第2の場合、1ないし3mmである。
【0074】
ダクト5の平均水力直径は、好ましくは、1mm未満、特に0.1mmないし0.6mmである。
【0075】
好ましくは、ダクト5は、成形されると共に(或いは)カバー付きの扁平な溝により形成される。
【0076】
ディスペンサ1又は貯蔵装置4は、一回分の粉末2を同時に小出しし、特に、小出しされる粉末2の全質量流量又は出力を増大させて所望の投与量を所望に応じ且つ(或いは)必要に応じて十分に短い時間で放出し又は小出しできるようにするための多数のダクト5を有するのがよい。
【0077】
図7は、貯蔵装置4の別の実施形態を図5に類似した概略的な表し方で示している。この場合、2つのダクト5が1つの貯蔵チャンバ10/混合チャンバ14に関連付けられ又は連結されている。
【0078】
図8は、別の実施形態を同じような表し方で示しており、この場合、混合チャンバ14及びダクト5は、貯蔵装置4及び貯蔵チャンバ10とは別体の部品により形成されている。この別の部品は、カバー15等を形成するのがよく、この別個の部品は、ガスが供給されて粉末2が小出しする前においては、貯蔵装置4と接触状態に又は破裂要素12を覆った状態で配置される。この別個の部品は、1つだけのダクト5又は多数のダクト5を有してよく、特に、図示のように2つのダクト5を有するのがよい。多数のダクト5は、1つのダクト5が塞がれた場合であっても、ディスペンサ1が依然として働き、例えば、粉末2を依然として小出しできるという利点を有する。
【0079】
貯蔵装置4がそれぞれの投与分の粉末2入りの多数の貯蔵キャビティ10を有する場合、貯蔵装置4の出口側を覆う別個の部品を1つの貯蔵チャンバ10又は14から次の貯蔵チャンバに動かし、粉末2を1つの貯蔵チャンバ10から別の貯蔵チャンバへと次々と放出するのがよい。
【0080】
図9は、図7に類似した別の実施形態を示しているが、多数のダクト5が設けられており、これらダクトは、好ましくは、フィルタが形成されるよう一方が他方の側に直接配置され、この場合、フィルタの細孔が、ダクト5によって形成されている。
【0081】
図10は、破裂要素12の無い貯蔵装置4の別の実施形態を示している。その代わり、貯蔵チャンバ10は、ダクト5又は任意他の適当な方法で開かれ、例えば、穴開けされてダクト5及び(又は)ノズル6に連結できる密封要素等によって閉鎖されている。この実施形態では、別個の混合チャンバ14は、不要である。その代わり、貯蔵チャンバ10は、粉末2によって完全には満たされない容積を有し、従って、ガスと粉末2を貯蔵チャンバ10内で直接混合することができ、即ち、貯蔵チャンバ10が、混合チャンバも又形成するように構成されている。
【0082】
この実施形態の別の特徴は、ガス供給及び混合チャンバ14の出口の方向が、先の実施形態の場合のように横方向である必要がないということにある。その代わり、ガス入口方向及び貯蔵チャンバ10からの出口方向は、互いに平行な平面内にあってもよいが、好ましくは、互いにオフセットすると共に(或いは)互いに平行である。
【0083】
図10は、既に挿入又は連結状態のダクト5を備えたディスペンサ1又は貯蔵装置4を示している。しかしながら、図5及び図7ないし図10では、空気供給源は、貯蔵チャンバ10又はその入口11にまだ連結されていない。
【0084】
図11は、ダクト5の別の実施形態の縦断面図である。この場合、ディスペンサ1又は特にダクト5は、出口速度を減速させ、この結果、スプレー3の伝搬速度を減速させる手段を有している。この実施形態では、速度を減速させる手段は、ダクト5の出口のところに設けられ又はこれに連結されたディフューザ16である。ディフューザ16は、出口速度を減少させるのに適した角度を有する。
【0085】
追加的に又は代替的に、ダクト5は、図11と同様な縦断面図である図12に示されているようにテーパした入口断面17を更に有するのがよい。テーパした断面17は、任意適当な内部輪郭を有してよく、このテーパ断面は、テーパ断面17への移行部又はテーパ断面17からダクト5への移行部のところに尖った縁部が生じるのを回避するよう湾曲しているのがよい。このテーパ入口断面17は、1つのダクト5又は多数のダクト5を備えた全ての実施形態に使用できる。これは又、図11の実施形態、即ち、出口速度を減速させる手段にも当てはまる。
【0086】
図13は、速度を減速させる別の手段を備えた別のダクト構造を概略断面図で示しており、この別の手段は、多粉末ジェットスプレー衝突手段18を形成している。この手段18は、図13に指示されているように互いに衝突し、即ち、互いに打ち当たる多数の、少なくとも2つの粉末スプレージェットPを形成する。この実施形態では、ダクト5は、2つの区分5a,5bに分けられており、これら区分は、開口部又は出口が互いに傾けられていて区分5a,5bから出た粉末ジェットPが互いに傾けられて衝突するよう設計されている。例えば、分流器19又は任意の案内手段を流路中に設けて図13に示すようにダクト5の少なくとも2つの区分5a,5bを形成するのがよい。
【0087】
粉末ジェットP相互間の衝突角度αは、30°ないし180°、好ましくは少なくとも90°、特に約90°ないし150°である。粉末ジェットPの衝突の結果として、スプレー3の速度が減少すると共に(或いは)粉末2の解凝集が生じると共に(或いは)薬剤粒子がキャリヤから分離されると共に(或いは)スプレー3の良好な集束が得られる。これら作用効果は、衝突角度αで決まる。衝突角度αが大きいと、良好な作用効果が得られる。液体ジェットとは対照的に、90°以上の衝突角度が可能であり且つ好ましい。これら角度は、以下の実施形態にも当てはまる。
【0088】
ダクト5は、好ましくは、図13に示す実施形態では、貯蔵チャンバ10/混合チャンバ14に少なくとも接線方向に連結されている。好ましくは、ダクト5は、円筒形チャンバ14の一方の軸方向端部のところで混合チャンバ14に連結され、ガス入口11は、チャンバ10の他方の軸方向端部に連結されている。特に、ガス入口11は、これ又、貯蔵チャンバ10に接線方向に連結されていて、ガスを流入させたときにスワールが生じ、スワール方向は、ダクト5を介するガスと粉末2の混合物の放出を支援し、ダクト5は、スワールの回転方向に接線方向に向いている。
【0089】
図14は、粉末ジェット衝突手段18の別の実施形態を概略断面図で示している。この場合、2つ又は3つ以上のダクト5は、傾斜又は出口区分5cを有し、これら区分5cは、出口区分5cから噴出した粉末ジェットPが互いに衝突するよう互いに傾けられている。
【0090】
図15は、粉末スプレージェット衝突手段18の別の実施形態を概略断面図で示している。この場合、ダクト5は、全体として互いに傾けられていて、粉末ジェットPの設計された衝突を達成するように構成されている。図示のように、傾斜ダクト5の入口が関連の混合チャンバ14又は貯蔵チャンバ10の側壁のところで開口することが可能である。オプションとしての分流器19を混合チャンバ14又は貯蔵チャンバ10内に設けて所望の流れ及びガスと粉末2の混合を保証するのがよい。
【0091】
図13ないし図15の実施形態は又、3つ以上の粉末ジェットPを衝突させるのにも適している。例えば、同様な構造を図面の平面に垂直な断面平面内に設け、その結果、4つの出口方向及びコーヌス(conus)の平面上に配置された粉末ジェットPが得られるようにすることが可能である。しかしながら、ほぼ同じ作用効果を持つ多数の他の構造が使用可能である。
【0092】
付け加えられるべきこととして、ダクト区分5aないし5cの断面が好ましくは扁平ではなく、任意適当な断面形状を有してよい。
【0093】
別の(図示していない)実施形態によれば、ダクト5は、粉末2のリザーバ(貯蔵チャンバ10)としても使用できる。この場合、別個の貯蔵チャンバ10と混合チャンバ14は、不要である。この場合、ダクト5は、ガスと粉末2の十分な混合及び粉末2の十分な解凝集を可能にするよう設計される。
【0094】
好ましくは、ガス入口11又はガス供給源は、ダクト5又はノズル6よりも小さな横断面積を有し、従って、ガスの流量が、小出し中、出口側ではなく、即ち、ダクト5又はノズル6によってではなく入口によって定められるようになる。この結果、圧力は、破裂要素12又は別の感圧要素が開く直前において小出し操作の開始時にピーク値に達する。破裂要素12又は任意他の感圧要素を開いた状態で、突然の圧力減少の結果として、ガスと粉末2が貯蔵チャンバ10及び混合チャンバ14内で極めて良好且つ迅速に混ざり合う。次に、ガスと粉末2の混合物は、既に低くなっているガス圧力によってダクト5及び(又は)任意他の適当な出口、例えばノズル6中へ送り込まれ、ここで、ガス流量は、この段階中、少なくとも主としてガス入口11又はガス入口11の上流側の任意他の絞り穴の断面によって制御される。粉末2をダクト5及び(又は)ノズル6中へ放出するガス圧力が比較的低いので、スプレー3の低い放出速度及び、したがって低い伝搬速度を達成できる。粉末2の良好な解凝集は、ダクト5の扁平な断面、更にダクト5内の比較的低い放出速度により達成できる。さらに、スプレー3の伝搬速度を減速させる手段、特に、ディフューザ16又は粉末ジェット衝突手段18を用いると、スプレー3の伝搬速度を一段と減少させることができる。
【0095】
好ましくは、スプレー3は、2m/秒未満、特に1m/秒未満の平均速度(出口/マウスピースから10cmのところで測定された)を有する。好ましくは、スプレー3の平均持続時間は、少なくとも0.2又は0.3秒、特に約0.5ないし2秒である。
【0096】
図16は、多数の貯蔵キャビティ10を備えたディスペンサ1又は貯蔵装置4の別の実施形態を示している。特に、貯蔵装置4は、円板であり、貯蔵キャビティ10は、互いに間隔を置いた状態で円板の周囲に沿って好ましくは半径方向の向きで位置決めされ、従って、関連の混合チャンバ14が半径方向外方に且つ(或いは)貯蔵キャビティ10に隣接して位置決めされると共にそれぞれの破裂要素12によって互いに分けられるように構成されている。
【0097】
円板は、成形プラスチックのものであってもよく、又は任意他の適当な仕方で作られたものであってもよく、若しくは任意他の適当な材料のものであってよい。貯蔵キャビティ10及び(又は)混合チャンバ14は、円筒形又は円錐形の形態を有するのがよい。破裂要素12は、好ましくは円板状であり、例えば円錐形ホルダ20等により定位置に固定されてそれぞれの貯蔵チャンバ10を好ましくは半径方向に覆っている。ホルダ20を例えば外側リング21等により固定するのがよい。
【0098】
図16は、上部カバーが設けられておらず又は貯蔵キャビティ10及び混合チャンバ14を覆って図面で見て上からこれらを閉鎖する透明なカバーを備えた状態で円板を示している。しかしながら、ガス入口11及びダクト5又は他の適当な出口ポートは、カバー及び(又は)円板に形成され又は図16に示すようにちょうど小出し操作のために挿入される。変形例として、円板にはそれぞれ入口ポート及び(又は)ポートが形成される。一回分の粉末2を小出しするため、ガス入口11又はそれぞれの連結要素及びダクト5又はそれぞれの連結要素を密封カバーを介してそれぞれのポート内に押し込む。次に、ガス供給源を開き又は空気ポンプ7を作動させ、破裂要素12が破裂し、ガス圧力がガス粉末混合物を連結状態のダクト5及び(又は)ノズル6中へ送り込む。その後又は次の小出し操作の直前に、円板を次の位置まで回転させる。
【0099】
図17は、多数の粉末リザーバ(貯蔵キャビティ10)を備えた同様なディスペンサ1又は貯蔵装置4の部分軸方向断面を示している。好ましくは、このディスペンサ1又は貯蔵装置4は、幾つかの層又は円板が軸方向に互いに上下に配置された円形又は円筒形の構造体である。粉末2は、大気湿度から完全に隔離され(これは、各実施形態に当てはまる)、この結果、乾燥状態に保たれる。
【0100】
図示の実施形態では、好ましくは箔で作られ、特に薄い被覆アルミニウム箔で作られた第1の密封層22が、湿度バリヤとして働き、軸方向一方の側部でそれぞれの貯蔵キャビティ10内の粉末2を覆う。貯蔵キャビティ10は、例えばプラスチックで作られた第1の円板23に形成されるのがよい。第1の密封層22は、好ましくは、第1の円板23に結合されている。他方の側では、第2の密封層24が、第1の円板23に結合され、貯蔵キャビティ10をこの他方の側から覆い、このようにして、破裂要素12を形成している。第2の層24も又、好ましくは、箔、特に薄い被覆アルミニウム箔等であり、貯蔵キャビティ10内の粉末2を隔離する第2の湿度バリヤとして働く。
【0101】
第2の密封層24は、混合チャンバ14をそれぞれ形成する凹部を備えた第2の円板25により覆われるのがよく、混合チャンバ14は、第2の密封層24により分離された関連の貯蔵キャビティ10の上方に軸方向に配置されている。
【0102】
混合チャンバ24を覆うフィルタ層26又は任意他の適当なカバーを第2の円板に結合するのがよい。この層26又はカバーは、ダクト5、ノズル6又は任意他の適当な出口手段、例えばメッシュを直接形成してもよく、或いは小出し操作のために層26を介して混合チャンバ14内にそれぞれ挿入できる出口要素、例えばダクト5の支持体及び(又は)シールであってもよい。
【0103】
第3の円板27を第1の円板23と反対側で第1の密封層22に結合するのがよい。この第3の円板27は、例えばプラスチックで作られるのがよく、この第3の円板は、ガス入口11を形成する凹部等を有する。これらガス入口11は、好ましくは、軸方向ガス供給ではなく、横方向又は接線方向ガス供給が可能であるように貯蔵キャビティ10に対してずらされている。
【0104】
軟質密封要素28が、好ましくは、ガス入口11と対向して第1の円板23内に設けられている。小出し操作のため、ガス供給要素29又は任意他の適当な要素を1つのガス入口11内に押し込み、そして第1の密封層22を通って押し込んで、ついには、対応の軟質密封要素28が十分に変形して関連の(隣接の)貯蔵チャンバ10内へのガスの流入が可能になる。ガス供給源が開かれ、例えば調整若しくは制御手段9又は空気ポンプ7が作動されて圧力がピークレベルに達すると、第2の層24及びガスと粉末の混合物により形成されたそれぞれの破裂要素12が、フィルタ層26又は任意他の適当な出力要素、例えばダクト5又はノズル6中へ押し込まれる。
【0105】
指摘されなければならないこととして、第3の円板27は、オプションである。例えば、ガス入口11を特に第1の密封層22と軟質密封要素28との間で第1の円板23に形成してもよく、或いは省いてもよい。
【0106】
さらに、図18a及び図18bの別の実施形態で示されているように、貯蔵チャンバ10の壁を直接穴開けし又は開放することが可能である。ディスペンサ1又は貯蔵装置4は、少なくとも1つの貯蔵チャンバ10又は多数の貯蔵チャンバ10を備えたベース30を有する。後者の場合、貯蔵チャンバ10は、好ましくは、ベース30がストライプを形成するのがよい列の状態で又はホルダ30が円板を形成するのがよい円に沿って配置される。第1の密封層22が、貯蔵チャンバ10を覆って湿度バリヤとして働き、従って、粉末2は、大気から隔離されて乾燥状態に保たれるようになる。
【0107】
小出し操作のため、ガス供給要素29を例えば軸方向に、ベース30を通り又は側壁を通り若しくは密封層22を通って図18aに示すようにそれぞれの貯蔵チャンバ10内に押し込まれる。ガスが供給され、ガス圧力が破裂圧力を超えると、破裂要素12を形成している層22は、破裂し、粉末2は、図18bに示すように放出される。粉末2は、図8に示すように少なくとも1つのダクト5を備えたカバー15内に放出されるのがよい。ただし、このカバー15が、ガスの供給前にそれぞれの貯蔵チャンバ10の上方で層22上に配置されていることを条件とする。
【0108】
図19は、ディスペンサ1の別の実施形態を非常に概略的な断面図で示している。この実施形態では、貯蔵装置4は、好ましくは、多数の貯蔵キャビティを備えた円板状カートリッジ、容器、ブリスタ等である。貯蔵装置4を段階的に回転させ又は割り出して、粉末2を貯蔵キャビティ10から次々に小出しできるようにするのがよい。この実施形態では、ガスを軸方向に供給するのがよく、ガスと粉末2の混合物を特にユーザ又は患者(図示せず)のマウスピース31内へ半径方向に小出しするのがよい。好ましくは、粉末2を少なくとも1つのダクト5及び(又は)ノズル6中へ小出しし、このダクト5及び(又は)ノズル6は、マウスピース31内に配置され、特に、マウスピース31の開口部に対して引っ込められている。これは、好ましくは、図1及び図2に示すディスペンサ1にも当てはまる。
【0109】
図20は、多数の貯蔵キャビティ10を備えた貯蔵装置4の別の実施形態を図19のディスペンサ1内に使用できる円形又は円板状構成で示している。
【0110】
貯蔵装置4は、図20に示すように半径方向に差し向けることができるダクト5を有している。この構成は、各投与分の粉末2を別個の、即ち、未使用状態のダクト5中へ小出しできるという利点を備えている。所望ならば、破裂要素12を図20に示すように各貯蔵チャンバ10とそれぞれのダクト5との間に配置するのがよい。さらに、混合チャンバ14を所望ならば特に破裂要素12とダクト5の間で各貯蔵チャンバ10に関連付けるのがよい。変形例として、各貯蔵チャンバ10は又、図10の実施形態と関連して上述したように混合チャンバを形成してもよい。他の実施形態の特徴、例えば、粉末ジェット衝突手段18等も又、図20の実施形態で実現できることが指摘される。
【0111】
ガスを貯蔵キャビティ10内へ、例えば、それぞれのガス供給要素29等を挿入することにより特に軸方向又は接線方向に供給するのがよい。
【0112】
注目されなければならないこととして、本発明、具体的には、ディスペンサ1及び(又は)貯蔵装置4を1種類の薬剤、薬剤の配合物又は少なくとも2種類又は3種類の別々の薬剤を小出しするのに使用できる。後者の場合、別々の薬剤は、別々の貯蔵チャンバ10内に貯蔵され、小出し操作の際、これら薬剤は、共通の混合チャンバ14内か別々の混合チャンバ14内かガスの入ったこれらのそれぞれの貯蔵チャンバ10内かのいずれかで混合させる。さらに、別々の薬剤を共通ダクト5又はノズル6若しくは別々のダクト5又はノズル6中へ放出するのがよい。後者の場合、別々の薬剤は、別々のダクト5/ノズル6を出た後、又はマウスピース31内で若しくは任意他の適当な(追加の)混合チャンバ内で混合されることになろう。また、別々の薬剤の粉末ジェットを衝突させることにより別々の薬剤を混合することが可能である。別々の薬剤を小出しするため、共通のガス供給源又はガスを加圧する手段、例えば空気ポンプ7若しくは別々のガス供給源/加圧ガスを提供する手段を用いることが可能である。
【0113】
図21は、少なくとも2種類又は3種類の別々の粉末2、即ち、別々の薬剤の入ったディスペンサ1/貯蔵装置4の別の実施形態を示しており、これら粉末2は、別々の貯蔵チャンバ10′,10″,10′″内に貯蔵され、これら貯蔵チャンバは、中間壁32によって形成されるのがよく、各貯蔵チャンバをオプションとしての破裂要素12′,12″又は12′″によって覆うのがよい。加圧ガスを提供する共通の手段、特に、空気ポンプ7及び(又は)調整若しくは制御手段9から別々のガス入口11′,11″,11′″を介して加圧ガスを供給するのがよい。変形例として、別々のガス供給源を設けてもよい。
【0114】
ガス圧力が貯蔵チャンバ10′,10″,10′″内でピーク又は破裂圧力に達すると、それぞれの破裂要素12′,12″,12′″が破裂し、別々の薬剤/粉末2′,2″,2′″が、共通混合チャンバ14内で混ざり合うことができ、混合物は、一緒になってスプレー3(図示せず)として少なくとも1つの共通ダクト5、ノズル6等を通って小出しされる。
【0115】
注目されなければならないこととして、破裂要素12′,12″,12′″を1つの共通材料層、特に、箔等で形成するのがよい。
【0116】
変形例として、中央貯蔵チャンバ10″を少なくとも1つの好ましくは環状の貯蔵チャンバで包囲してもよい。この場合、壁32は、円筒形であるのがよく、参照符号10′,10′″は、同一の環状貯蔵チャンバを示しており、その結果、図21の実施形態では、2種類の互いに異なる薬剤/粉末2だけが、2つの別々の貯蔵チャンバ(中央チャンバ及び環状チャンバ)内に入れられる。この場合、参照符号12′,12′″は、環状チャンバを覆う同一の環状破裂要素を示している。
【0117】
図22は、ディスペンサ1及び貯蔵装置4の別の実施形態を概略断面図で示している。2種類の互いに異なる薬剤/粉末2′,2″が、それぞれ、別々の貯蔵/混合チャンバ10′/14′及び10″/14″内に入れられている。ガスを別々のガス入口11′,11″を介してチャンバ11′/14′,10″/14″に供給するのがよい。粉末2′,2″を別々のダクト5′,5″又は別々のノズル(図示せず)等により小出しして解凝集するのがよい。別々のダクト5′,5″から噴出した別々の又は互いに異なる薬剤/粉末2′,2″の粉末ジェットPを好ましくは、互いに衝突させて別々の薬剤/粉末2′,2″をちょうどスプレー3(図示せず)を形成したときに混合する。粉末ジェット衝突手段18は、別々の薬剤/粉末2′,2″を混合するが、スプレー3の伝搬速度を減速させると共に(或いは)粉末2′,2″の解凝集を支援し或いはそれぞれの薬剤をキャリヤから分離するのにも役立ちうる。
【実施例】
【0118】
以下において、本発明の作用効果を示す2つの実施例を説明する。
実施例1:90.0重量%の乳糖200、9.7重量%の高純度乳糖及び0.3重量%のチオトロピウム(Tiotropium)の配合物を使用した。乳糖200の平均粒子直径は、約45μm、高純度乳糖の平均粒子直径は、約4μm、チオトロピウムの平均粒子直径は、約4μmであった。約5.5mgの配合物を粉末2として貯蔵及び混合チャンバ10/14内に配置し、この貯蔵及び混合チャンバ10/14は、直径が3mm、軸方向長さは3mmの実質的に円筒形の形をしていた。5mlの圧縮空気をゲージ圧が約100kPaの状態で、0.5mmの入口オリフィスを備えたガス入口を介してチャンバ10/14内へ供給した。粉末2を最も短い辺が約0.18mm、最も長い辺が約1.5mmの実質的に矩形の断面のダクト5を介して小出しした。ダクト5は、2つのダクト区分5a,5b(特に、図13に示されている)に分かれており、各区分は、最も短い辺が約0.18mm、最も長い辺が約0.75mmの実質的に矩形の断面を有していた。区分5a,5bを含むダクト5の全長は、約8mmであった。その結果、チャンバ10/14内の100%の計量された状態の塊、即ち、全ての粉末2を小出しした。直径平均微小フラクションと質量平均微小フラクションの両方のうち約50%を30l/分と60l/分の両方でアンダーソン・カスケード・インパクタ(Anderson Cascade Impactor)で測定した。
【0119】
実施例2:平均粒子直径が4μmのフェノテロール(Fenoterol)を約1.5mg、粉末2として貯蔵及び混合チャンバ10/14内に配置し、この貯蔵及び混合チャンバは、直径が2mm、軸方向長さが2mmの実質的に円筒形の形をしていた。5mlの圧縮空気をゲージ圧が約150kPaの状態で、0.5mmの入口オリフィスを備えたガス入口を介してチャンバ10/14内へ供給した。粉末2を最も短い辺が約0.075mm、最も長い辺が約1.5mmの実質的に矩形の断面のダクト5を介して小出しした。ダクト5は、2つのダクト区分5a,5b(特に、図13に示されている)に分かれており、各区分は、最も短い辺が約0.075mm、最も長い辺が約0.75mmの実質的に矩形の断面を有していた。区分5a,5bを含むダクト5の全長は、約8mmであった。その結果、チャンバ10/14内の100%の計量された状態の塊、即ち、全ての粉末2を小出しした。直径平均微小フラクションと質量平均微小フラクションの両方のうち約45%を30l/分と60l/分の両方でアンダーソン・カスケード・インパクタ(Anderson Cascade Impactor)で測定した。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の一実施形態としてのディスペンサの概略断面図である。
【図2】小出し中における図1のディスペンサの概略断面図である。
【図3】ノズルを備えたダクトの概略縦断面図である。
【図4】破裂要素により分離された貯蔵チャンバと混合チャンバの部分断面図である。
【図5】ダクトを備えた貯蔵装置の概略断面図である。
【図6】分図6a、6b、6cは、互いに異なる断面を備えたダクトの横断面図である。
【図7】2つのダクトを備えた貯蔵装置の概略断面図である。
【図8】貯蔵装置及び2つのダクトを備えた関連のカバーの概略断面図である。
【図9】多数のダクトを備えた貯蔵装置の概略断面図である。
【図10】破裂要素が設けられていない貯蔵装置の概略横断面図である。
【図11】ディフューザの概略縦断面図である。
【図12】テーパした入口区分を備えたダクトの概略縦断面図である。
【図13】多粉末ジェット衝突手段を備えたディスペンサ及び貯蔵装置の概略断面図である。
【図14】別の多粉末ジェット衝突手段の概略断面図である。
【図15】別の多粉末ジェット衝突手段を備えた貯蔵装置の概略断面図である。
【図16】別の貯蔵装置の概略部分図である。
【図17】別の貯蔵装置の概略部分断面図である。
【図18】分図18a及び18bは、粉末の小出し前及び小出し中における更に別の貯蔵装置の概略部分断面図である。
【図19】別の実施形態としてディスペンサの概略断面図である。
【図20】半径方向ダクトを備えた貯蔵装置の略図である。
【図21】別のディスペンサ及び貯蔵装置の概略部分断面図である。
【図22】別のディスペンサ及び貯蔵装置の概略断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、薬剤を含有、又は薬剤から成る粉末(2)を、微小な粉末粒子を含むスプレー(3)として小出しするディスペンサ(1)であって、前記ディスペンサは、ダクト(5)を有し、前記粉末(2)を解凝集できるように、前記粉末(2)がガス圧力によって前記ダクトを通して小出し可能であるディスペンサにおいて、
前記ダクト(5)は扁平な断面を有し、前記扁平な断面の最も長い辺(d1)と最も短い辺(d2)の比が少なくとも2.0である、
ことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
前記比は3ないし50、好ましくは約5ないし30である、請求項1記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記最も長い辺(d1)は、0.5ないし5mm、好ましくは約1ないし3mmである、請求項2記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記最も長い辺(d1)と前記微小粉末粒子のサイズの比は、500未満、好ましくは300未満、特に約30ないし300である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記最も短い辺(d2)は、0.05ないし0.5mm、好ましくは約0.07ないし0.25mmである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記最も短い辺(d2)と前記微小粉末粒子のサイズの比は、50未満、好ましくは30未満、特に約3ないし20である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記扁平な断面は、実質的に長円形又は矩形である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記ディスペンサ(1)は、前記粉末(2)を前記ダクト(5)中へ送り込むと共に(或いは)前記粉末(2)を小出しするための加圧ガス、特に空気を提供する手段を有する、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記ディスペンサ(1)は、投与一回分の前記粉末(2)又は別々の投与多数回分の前記粉末(7)入りの交換可能な貯蔵装置(4)を受け入れ又はこの交換可能な貯蔵装置を有するようになっていて、前記投与分が次々に小出し可能であるように構成されている、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項10】
特に薬剤を含む又は特に薬剤から成る粉末(2)を、微小な粉末粒子を含むスプレー(3)として小出しする、好ましくは請求項1ないし9のいずれか1項に記載のディスペンサ(1)であって、
前記ディスペンサ(1)は、投与一回分の前記粉末(2)を収容した少なくとも1つの貯蔵チャンバ(10)を備えた貯蔵装置(4)を受け入れ又はこの貯蔵装置を有するようになっており、
前記ディスペンサ(1)は、好ましくはダクト(5)又はノズル(6)を通って前記粉末(2)を小出しする加圧ガス、特に空気を提供する手段を有するディスペンサにおいて、
前記貯蔵チャンバ(10)は、破裂要素(12)又は別の感圧要素によって閉鎖されており、前記破裂要素又は感圧要素は、前記加圧ガスが前記破裂要素(12)を破裂させ又は前記感圧要素を開いて前記粉末(2)を前記関連の貯蔵チャンバ(10)から放出して前記粉末(2)を小出しすることができるよう設計されており、
前記貯蔵チャンバ(10)へのガス供給源又は入口(11)の第1の断面は、前記粉末(2)のための出口の第2の断面よりも小さく、それにより、前記第1の断面による前記粉末(2)の小出し中、前記ガスの流れを実質的に制御し又は制限するように構成されている、ディスペンサ。
【請求項11】
前記破裂要素(12)は、プラスチック又は金属及び(又は)箔で作られている、請求項10記載のディスペンサ。
【請求項12】
前記破裂要素(12)の形状は、円板状又は長円形若しくは多角形である、請求項10又は11記載のディスペンサ。
【請求項13】
前記破裂要素(12)は、平均直径が少なくとも5mm、好ましくは7mm以上の前記貯蔵チャンバ(10)の断面領域を覆っている、請求項10ないし12のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記破裂要素(12)は、破裂を容易にするためにあらかじめかき傷が付けられ若しくは刻み目が付けられ或いは少なくとも1つの弱め部分(13)を有する、請求項10ないし13のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項15】
前記破裂要素(12)は、300kPa未満、好ましくは約50ないし200kPaの圧力差で破裂するよう設計されていることを請求項10ないし14のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項16】
前記破裂要素(12)は、圧力パルスで、特に0.5MPa/秒よりも高い、好ましくは1MPa/秒よりも高い圧力増加速度で破裂するよう設計されている、請求項10ないし15のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項17】
前記貯蔵装置(4)は、各々が破裂要素(12)により閉鎖され、各々が投与一回分の粉末(2)を収容している多数の別々の貯蔵チャンバ(10)を有する、請求項9ないし16のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記破裂要素(12)は、共通層(24)により相互連結され又は形成されている、請求項17記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記貯蔵装置(4)は、各投与分の粉末(2)が別々のダクト(5)又はノズル(6)を通って小出しされるよう構成されている、請求項9ないし18のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記貯蔵装置(4)は、カートリッジ、ブリスタ、カプセル又は容器である、請求項9ないし19のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項21】
前記貯蔵装置(4)は、請求項34ないし46のうちいずれか一の記載内容に従って設計されている、請求項9ないし20のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項22】
前記ディスペンサ(1)は、加圧ガスを提供する手段として空気ポンプ(7)を有し、前記空気ポンプ(7)は、好ましくは手動式である、請求項1ないし21のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項23】
前記粉末(2)を小出しする前記ガスゲージ圧は、300kPa未満、好ましくは約50ないし200kPaである、請求項1ないし22のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項24】
前記ダクト(5)の長さと前記ダクト(5)の平均水力直径の比は、少なくとも5、好ましくは約10以上である、請求項1ないし23のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項25】
前記ダクト(5)の前記平均水力直径は、1mm未満、好ましくは約0.1ないし0.6mmである、請求項1ないし24のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項26】
前記ディスペンサ(1)は、特に小出しされる粉末(2)の全質量流量を増大させるために投与一回分の粉末(2)を同時に小出しする多数のダクト(5)を有する、請求項1ないし25のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項27】
前記ディスペンサ(1)及び(又は)前記貯蔵装置(4)は、各投与分の粉末(2)が別々の又は未使用状態のダクト(5)を通って小出しされるよう構成されている、請求項1ないし26のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項28】
前記ディスペンサ(1)又は前記貯蔵装置(4)は、別々の貯蔵チャンバ(10)内に少なくとも2種類又は3種類の粉末(2)を受け入れ又は収容するようになっており、前記粉末(2)は、好ましくは、小出し操作の際でしか混ぜ合わすことができない、請求項1ないし27のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項29】
前記ディスペンサ(1)は、前記スプレー(3)の伝搬速度を減速する手段、特にディフューザ(16)を好ましくは前記ダクト(5)の出口のところに有する、請求項1ないし28のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項30】
前記ディスペンサ(1)は、前記粉末(2)を解凝集すると共に(或いは)前記スプレー(3)の前記伝搬速度を減速させると共に(或いは)別々の粉末(2)を混合するよう少なくとも2つの粉末ジェット(P)を互いに衝突させる粉末ジェット衝突手段(18)を有する、請求項1ないし29のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項31】
前記粉末ジェット(P)相互間の衝突角度(α)は、30°ないし180°、好ましくは少なくとも90°、特に約90°ないし150°である、請求項28記載のディスペンサ。
【請求項32】
前記粉末粒子の平均サイズは、前記粉末(2)が純粋な薬剤又は薬剤の配合物である場合、2ないし7μmであり、前記粉末粒子の平均サイズは、前記粉末(2)がキャリヤ、例えば乳糖と少なくとも1つの薬剤の配合物である場合、20ないし300μmである、請求項1ないし31のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項33】
前記ディスペンサ(1)は、乾燥粉末吸入器である、請求項1ないし32のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項34】
特に薬剤を含有し又は特に薬剤から成る粉末(2)の貯蔵装置(4)であって、各々がガス圧力により小出しされるべき投与一回分の前記粉末(2)を収容した少なくとも1つ、好ましくは多数の別々の貯蔵チャンバ(10)を有する貯蔵装置において、
前記少なくとも1つの貯蔵チャンバ(10)は、破裂要素(12)によって閉鎖されており、前記破裂要素は、前記粉末(2)を関連の前記貯蔵チャンバ(10)から放出して前記粉末(2)を小出しするために前記破裂要素(12)を破裂させることができると共に(或いは)前記貯蔵装置(4)は、ダクト(5)及び(又は)ノズル(6)を有し、前記ダクト及び(又は)前記ノズルは、各投与分の前記粉末(2)を前記ガス圧力により別々のダクト(5)又はノズル(6)から小出しできるよう前記貯蔵チャンバ(10)に連係している、貯蔵装置。
【請求項35】
前記破裂要素(12)は、プラスチック又は金属及び(又は)箔で作られている、請求項34記載の貯蔵装置。
【請求項36】
前記破裂要素(12)の形状は、円板状又は長円形若しくは多角形である、請求項34又は35記載の貯蔵装置。
【請求項37】
前記破裂要素(12)は、共通層(24)により相互連結され又は形成されている、請求項34ないし36のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項38】
前記破裂要素(12)は、平均直径が少なくとも5mm、好ましくは7mm以上の前記貯蔵チャンバ(10)の断面領域を覆っている、請求項34ないし37のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項39】
前記破裂要素(12)は、破裂を容易にするためにあらかじめかき傷が付けられ若しくは刻み目が付けられ或いは少なくとも1つの弱め部分(13)を有する、請求項34ないし38のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項40】
前記破裂要素(12)は、300kPa未満、好ましくは約50ないし200kPaの圧力差で破裂するよう設計されていることを請求項34ないし39のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項41】
前記破裂要素(12)は、圧力パルスで、特に0.5MPa/秒よりも高い、好ましくは1MPa/秒よりも高い圧力増加速度で破裂するよう設計されている、請求項34ないし40のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項42】
前記ダクト(5)の長さと前記ダクト(5)の平均水力直径の比は、少なくとも5、好ましくは約10以上である、請求項34ないし41のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項43】
各前記ダクト(5)の前記平均水力直径は、1mm未満、好ましくは約0.1ないし0.6mmである、請求項34ないし42のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項44】
前記ダクト(5)は、扁平な断面を有し、好ましくは、前記扁平な断面の最も長い辺(d1)と最も短い辺(d2)の比は、少なくとも2.0である、請求項34ないし43のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項45】
前記貯蔵装置(4)は、カートリッジ、ブリスタ又は容器である、請求項34ないし44のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項46】
前記貯蔵装置(4)は、別々の貯蔵チャンバ(10)内に少なくとも2種類又は3種類の粉末(2)を収容し、前記粉末(2)は、好ましくは小出し操作の際でしか混ぜ合わすことができない、請求項34ないし45のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項47】
特に薬剤を含有し又は特に薬剤から成る粉末(2)を、微小な粉末粒子を含むスプレー(3)としてガス圧力によって小出しする方法において、
前記粉末(2)を300kPa未満のガスゲージ圧によりダクト(5)中に送り込んで前記粉末(2)を解凝集すると共に(或いは)前記スプレー(3)を生じさせると共に(或いは)少なくとも2つの粉末ジェット(P)を互いに衝突させて少なくとも2種類の別々の薬剤又は粉末(2)を混合する、方法。
【請求項48】
約50ないし200kPaのガスゲージ圧を用いて前記粉末(2)を解凝集すると共に前記スプレー(3)を生じさせる、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記粉末ジェット(P)相互間の衝突角度(α)は、30°ないし180°、好ましくは少なくとも90°、特に約90°ないし150°である、請求項47又は48記載の方法。
【請求項50】
特に薬剤を含有し又は薬剤から成る粉末(2)を、微小な粉末粒子を含むスプレー(3)として小出しする、好ましくは請求項47ないし49のいずれか1項に記載の方法において、
貯蔵チャンバ(10)内に入っている前記粉末(2)にガス圧力を及ぼして、前記ガス圧力がピーク値に達し又はこれを超えた時に、前記貯蔵チャンバ(10)を閉鎖している関連の破裂要素(12)が破裂し又は関連の感圧要素が開いて前記粉末(2)と前記ガスをいきなり混合させ、次に前記粉末(2)を前記貯蔵チャンバ(10)から放出して前記粉末(2)を小出しすると共に(或いは)前記ガス圧力がピーク値に達し又はこれを超え、その後、前記粉末(2)が小出しされ、前記ガス圧力は、前記粉末(2)の小出し中、前記ピーク値よりも低い、方法。
【請求項51】
300kPa未満、好ましくは約50ないし200kPaの圧力差を生じさせ又は用いて前記破裂要素(12)を破裂させる、請求項50記載の方法。
【請求項52】
圧力パルスを生じさせ又は用いて前記破裂要素(12)を破裂させる、請求項50又は51記載の方法。
【請求項53】
前記圧力パルスは、0.5MPa/秒よりも高く、好ましくは、1MPa/秒よりも高い圧力増加速度を有する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記ガスの流れは、前記粉末(2)の小出し中、前記粉末(2)の上流側に位置するガス供給源又は入口(11)の断面により制限し又は定められる、請求項47ないし53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記粉末(2)を大気圧で小出しするために用いられるガスの容積と小出しされる粉末(2)の容積の比は、約10000以下、好ましくは約200ないし2000である、請求項47ないし54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
空気を加圧し、前記ガスとして用いる、請求項47ないし55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
空気ポンプ(7)を手動で作動させることにより空気を加圧する、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記粉末粒子の平均サイズは、前記粉末(2)が純粋な薬剤又は薬剤の配合物である場合、2ないし7μmであり、前記粉末粒子の平均サイズは、前記粉末(2)がキャリヤ、例えば乳糖と少なくとも1つの薬剤の配合物である場合、20ないし300μmである、請求項47ないし57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも2種類又は3種類の粉末(2)を別々の貯蔵チャンバ(10)内に貯蔵し、小出し中にのみ前記粉末を混合する、請求項47ないし58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
特に、薬剤を含有、又は薬剤から成る粉末(2)を、微小な粉末粒子を含むスプレー(3)として小出しするディスペンサ(1)であって、前記ディスペンサは、ダクト(5)を有し、前記粉末(2)を解凝集できるように、前記粉末(2)がガス圧力によって前記ダクトを通して小出し可能であるディスペンサにおいて、
前記ダクト(5)は扁平な断面を有し、前記扁平な断面の最も長い辺(d1)と最も短い辺(d2)の比が少なくとも2.0である、
ことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
前記比は3ないし50、好ましくは約5ないし30である、請求項1記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記最も長い辺(d1)は、0.5ないし5mm、好ましくは約1ないし3mmである、請求項2記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記最も長い辺(d1)と前記微小粉末粒子のサイズの比は、500未満、好ましくは300未満、特に約30ないし300である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記最も短い辺(d2)は、0.05ないし0.5mm、好ましくは約0.07ないし0.25mmである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記最も短い辺(d2)と前記微小粉末粒子のサイズの比は、50未満、好ましくは30未満、特に約3ないし20である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記扁平な断面は、実質的に長円形又は矩形である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記ディスペンサ(1)は、前記粉末(2)を前記ダクト(5)中へ送り込むと共に(或いは)前記粉末(2)を小出しするための加圧ガス、特に空気を提供する手段を有する、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記ディスペンサ(1)は、投与一回分の前記粉末(2)又は別々の投与多数回分の前記粉末(7)入りの交換可能な貯蔵装置(4)を受け入れ又はこの交換可能な貯蔵装置を有するようになっていて、前記投与分が次々に小出し可能であるように構成されている、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項10】
特に薬剤を含む又は特に薬剤から成る粉末(2)を、微小な粉末粒子を含むスプレー(3)として小出しする、好ましくは請求項1ないし9のいずれか1項に記載のディスペンサ(1)であって、
前記ディスペンサ(1)は、投与一回分の前記粉末(2)を収容した少なくとも1つの貯蔵チャンバ(10)を備えた貯蔵装置(4)を受け入れ又はこの貯蔵装置を有するようになっており、
前記ディスペンサ(1)は、好ましくはダクト(5)又はノズル(6)を通って前記粉末(2)を小出しする加圧ガス、特に空気を提供する手段を有するディスペンサにおいて、
前記貯蔵チャンバ(10)は、破裂要素(12)又は別の感圧要素によって閉鎖されており、前記破裂要素又は感圧要素は、前記加圧ガスが前記破裂要素(12)を破裂させ又は前記感圧要素を開いて前記粉末(2)を前記関連の貯蔵チャンバ(10)から放出して前記粉末(2)を小出しすることができるよう設計されており、
前記貯蔵チャンバ(10)へのガス供給源又は入口(11)の第1の断面は、前記粉末(2)のための出口の第2の断面よりも小さく、それにより、前記第1の断面による前記粉末(2)の小出し中、前記ガスの流れを実質的に制御し又は制限するように構成されている、ディスペンサ。
【請求項11】
前記破裂要素(12)は、プラスチック又は金属及び(又は)箔で作られている、請求項10記載のディスペンサ。
【請求項12】
前記破裂要素(12)の形状は、円板状又は長円形若しくは多角形である、請求項10又は11記載のディスペンサ。
【請求項13】
前記破裂要素(12)は、平均直径が少なくとも5mm、好ましくは7mm以上の前記貯蔵チャンバ(10)の断面領域を覆っている、請求項10ないし12のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記破裂要素(12)は、破裂を容易にするためにあらかじめかき傷が付けられ若しくは刻み目が付けられ或いは少なくとも1つの弱め部分(13)を有する、請求項10ないし13のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項15】
前記破裂要素(12)は、300kPa未満、好ましくは約50ないし200kPaの圧力差で破裂するよう設計されていることを請求項10ないし14のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項16】
前記破裂要素(12)は、圧力パルスで、特に0.5MPa/秒よりも高い、好ましくは1MPa/秒よりも高い圧力増加速度で破裂するよう設計されている、請求項10ないし15のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項17】
前記貯蔵装置(4)は、各々が破裂要素(12)により閉鎖され、各々が投与一回分の粉末(2)を収容している多数の別々の貯蔵チャンバ(10)を有する、請求項9ないし16のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記破裂要素(12)は、共通層(24)により相互連結され又は形成されている、請求項17記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記貯蔵装置(4)は、各投与分の粉末(2)が別々のダクト(5)又はノズル(6)を通って小出しされるよう構成されている、請求項9ないし18のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記貯蔵装置(4)は、カートリッジ、ブリスタ、カプセル又は容器である、請求項9ないし19のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項21】
前記貯蔵装置(4)は、請求項34ないし46のうちいずれか一の記載内容に従って設計されている、請求項9ないし20のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項22】
前記ディスペンサ(1)は、加圧ガスを提供する手段として空気ポンプ(7)を有し、前記空気ポンプ(7)は、好ましくは手動式である、請求項1ないし21のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項23】
前記粉末(2)を小出しする前記ガスゲージ圧は、300kPa未満、好ましくは約50ないし200kPaである、請求項1ないし22のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項24】
前記ダクト(5)の長さと前記ダクト(5)の平均水力直径の比は、少なくとも5、好ましくは約10以上である、請求項1ないし23のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項25】
前記ダクト(5)の前記平均水力直径は、1mm未満、好ましくは約0.1ないし0.6mmである、請求項1ないし24のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項26】
前記ディスペンサ(1)は、特に小出しされる粉末(2)の全質量流量を増大させるために投与一回分の粉末(2)を同時に小出しする多数のダクト(5)を有する、請求項1ないし25のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項27】
前記ディスペンサ(1)及び(又は)前記貯蔵装置(4)は、各投与分の粉末(2)が別々の又は未使用状態のダクト(5)を通って小出しされるよう構成されている、請求項1ないし26のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項28】
前記ディスペンサ(1)又は前記貯蔵装置(4)は、別々の貯蔵チャンバ(10)内に少なくとも2種類又は3種類の粉末(2)を受け入れ又は収容するようになっており、前記粉末(2)は、好ましくは、小出し操作の際でしか混ぜ合わすことができない、請求項1ないし27のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項29】
前記ディスペンサ(1)は、前記スプレー(3)の伝搬速度を減速する手段、特にディフューザ(16)を好ましくは前記ダクト(5)の出口のところに有する、請求項1ないし28のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項30】
前記ディスペンサ(1)は、前記粉末(2)を解凝集すると共に(或いは)前記スプレー(3)の前記伝搬速度を減速させると共に(或いは)別々の粉末(2)を混合するよう少なくとも2つの粉末ジェット(P)を互いに衝突させる粉末ジェット衝突手段(18)を有する、請求項1ないし29のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項31】
前記粉末ジェット(P)相互間の衝突角度(α)は、30°ないし180°、好ましくは少なくとも90°、特に約90°ないし150°である、請求項28記載のディスペンサ。
【請求項32】
前記粉末粒子の平均サイズは、前記粉末(2)が純粋な薬剤又は薬剤の配合物である場合、2ないし7μmであり、前記粉末粒子の平均サイズは、前記粉末(2)がキャリヤ、例えば乳糖と少なくとも1つの薬剤の配合物である場合、20ないし300μmである、請求項1ないし31のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項33】
前記ディスペンサ(1)は、乾燥粉末吸入器である、請求項1ないし32のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項34】
特に薬剤を含有し又は特に薬剤から成る粉末(2)の貯蔵装置(4)であって、各々がガス圧力により小出しされるべき投与一回分の前記粉末(2)を収容した少なくとも1つ、好ましくは多数の別々の貯蔵チャンバ(10)を有する貯蔵装置において、
前記少なくとも1つの貯蔵チャンバ(10)は、破裂要素(12)によって閉鎖されており、前記破裂要素は、前記粉末(2)を関連の前記貯蔵チャンバ(10)から放出して前記粉末(2)を小出しするために前記破裂要素(12)を破裂させることができると共に(或いは)前記貯蔵装置(4)は、ダクト(5)及び(又は)ノズル(6)を有し、前記ダクト及び(又は)前記ノズルは、各投与分の前記粉末(2)を前記ガス圧力により別々のダクト(5)又はノズル(6)から小出しできるよう前記貯蔵チャンバ(10)に連係している、貯蔵装置。
【請求項35】
前記破裂要素(12)は、プラスチック又は金属及び(又は)箔で作られている、請求項34記載の貯蔵装置。
【請求項36】
前記破裂要素(12)の形状は、円板状又は長円形若しくは多角形である、請求項34又は35記載の貯蔵装置。
【請求項37】
前記破裂要素(12)は、共通層(24)により相互連結され又は形成されている、請求項34ないし36のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項38】
前記破裂要素(12)は、平均直径が少なくとも5mm、好ましくは7mm以上の前記貯蔵チャンバ(10)の断面領域を覆っている、請求項34ないし37のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項39】
前記破裂要素(12)は、破裂を容易にするためにあらかじめかき傷が付けられ若しくは刻み目が付けられ或いは少なくとも1つの弱め部分(13)を有する、請求項34ないし38のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項40】
前記破裂要素(12)は、300kPa未満、好ましくは約50ないし200kPaの圧力差で破裂するよう設計されていることを請求項34ないし39のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項41】
前記破裂要素(12)は、圧力パルスで、特に0.5MPa/秒よりも高い、好ましくは1MPa/秒よりも高い圧力増加速度で破裂するよう設計されている、請求項34ないし40のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項42】
前記ダクト(5)の長さと前記ダクト(5)の平均水力直径の比は、少なくとも5、好ましくは約10以上である、請求項34ないし41のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項43】
各前記ダクト(5)の前記平均水力直径は、1mm未満、好ましくは約0.1ないし0.6mmである、請求項34ないし42のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項44】
前記ダクト(5)は、扁平な断面を有し、好ましくは、前記扁平な断面の最も長い辺(d1)と最も短い辺(d2)の比は、少なくとも2.0である、請求項34ないし43のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項45】
前記貯蔵装置(4)は、カートリッジ、ブリスタ又は容器である、請求項34ないし44のいずれか1項に記載の貯蔵装置。
【請求項46】
前記貯蔵装置(4)は、別々の貯蔵チャンバ(10)内に少なくとも2種類又は3種類の粉末(2)を収容し、前記粉末(2)は、好ましくは小出し操作の際でしか混ぜ合わすことができない、請求項34ないし45のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項47】
特に薬剤を含有し又は特に薬剤から成る粉末(2)を、微小な粉末粒子を含むスプレー(3)としてガス圧力によって小出しする方法において、
前記粉末(2)を300kPa未満のガスゲージ圧によりダクト(5)中に送り込んで前記粉末(2)を解凝集すると共に(或いは)前記スプレー(3)を生じさせると共に(或いは)少なくとも2つの粉末ジェット(P)を互いに衝突させて少なくとも2種類の別々の薬剤又は粉末(2)を混合する、方法。
【請求項48】
約50ないし200kPaのガスゲージ圧を用いて前記粉末(2)を解凝集すると共に前記スプレー(3)を生じさせる、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記粉末ジェット(P)相互間の衝突角度(α)は、30°ないし180°、好ましくは少なくとも90°、特に約90°ないし150°である、請求項47又は48記載の方法。
【請求項50】
特に薬剤を含有し又は薬剤から成る粉末(2)を、微小な粉末粒子を含むスプレー(3)として小出しする、好ましくは請求項47ないし49のいずれか1項に記載の方法において、
貯蔵チャンバ(10)内に入っている前記粉末(2)にガス圧力を及ぼして、前記ガス圧力がピーク値に達し又はこれを超えた時に、前記貯蔵チャンバ(10)を閉鎖している関連の破裂要素(12)が破裂し又は関連の感圧要素が開いて前記粉末(2)と前記ガスをいきなり混合させ、次に前記粉末(2)を前記貯蔵チャンバ(10)から放出して前記粉末(2)を小出しすると共に(或いは)前記ガス圧力がピーク値に達し又はこれを超え、その後、前記粉末(2)が小出しされ、前記ガス圧力は、前記粉末(2)の小出し中、前記ピーク値よりも低い、方法。
【請求項51】
300kPa未満、好ましくは約50ないし200kPaの圧力差を生じさせ又は用いて前記破裂要素(12)を破裂させる、請求項50記載の方法。
【請求項52】
圧力パルスを生じさせ又は用いて前記破裂要素(12)を破裂させる、請求項50又は51記載の方法。
【請求項53】
前記圧力パルスは、0.5MPa/秒よりも高く、好ましくは、1MPa/秒よりも高い圧力増加速度を有する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記ガスの流れは、前記粉末(2)の小出し中、前記粉末(2)の上流側に位置するガス供給源又は入口(11)の断面により制限し又は定められる、請求項47ないし53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記粉末(2)を大気圧で小出しするために用いられるガスの容積と小出しされる粉末(2)の容積の比は、約10000以下、好ましくは約200ないし2000である、請求項47ないし54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
空気を加圧し、前記ガスとして用いる、請求項47ないし55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
空気ポンプ(7)を手動で作動させることにより空気を加圧する、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記粉末粒子の平均サイズは、前記粉末(2)が純粋な薬剤又は薬剤の配合物である場合、2ないし7μmであり、前記粉末粒子の平均サイズは、前記粉末(2)がキャリヤ、例えば乳糖と少なくとも1つの薬剤の配合物である場合、20ないし300μmである、請求項47ないし57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも2種類又は3種類の粉末(2)を別々の貯蔵チャンバ(10)内に貯蔵し、小出し中にのみ前記粉末を混合する、請求項47ないし58のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2008−515499(P2008−515499A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535090(P2007−535090)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010768
【国際公開番号】WO2006/037636
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010768
【国際公開番号】WO2006/037636
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】
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