説明

ディスポーザ

【課題】 糸や髪の毛などの長線状のごみがモータシャフトへ巻き付くことを防止するとともに、ブラケットの排水性能を向上させ、省エネルギー、小型化のディスポーザを提供することを課題とする。
【解決手段】 防水用のオイルシール13の保護カバー17の下端外周方向に、フランジ部19を全周に亘って凸設するとともに該フランジ部19からアーム部21を延設し、該アーム部21の先端部分であり且つブラケット2の凹溝状の排水通路9の上方に位置する部分には、半円状の攪拌羽根22を下方に向けて凸設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータにより駆動され、粉砕容器内に投入された生ごみを粉砕、排出するディスポーザに関する。
【背景技術】
【0002】
モータシャフトに固定した回転刃を回転させ、生ごみを粉砕するディスポーザにおいて、糸や髪の毛などの長線状のごみを入れて運転した場合、モータの軸の回転に合わせて長線状のごみがモータシャフトに巻きつき、防水用のオイルシールと接触する場合がある。
【0003】
この場合、防水用のオイルシールを傷めたり、モータに回転負荷を与えたりすることで、粉砕性能が劣化、回転刃の回転が停止する場合がある。
【0004】
このような問題を解決する為に、ディスポーザの防水用のオイルシールの上側には保護カバーが設けてある。
【0005】
しかしながら、糸や髪の毛などの長線状のごみが多量に投入されると保護カバーに巻きついた長線状のごみが保護カバーから落ち込み、モータシャフトに巻きついて、防水用のオイルシールと接触するという問題がある。
【0006】
また、粉砕後の生ごみを含んだ水の排水性向上のために、スイングハンマーを有する回転板の下面にインペラを設け、回転板とともにインペラをモータによって回転させることによって、インペラの下流方向の排出口に排水する方法(例えば特許文献1)が提案されている。
【0007】
しかしながら、この方法では、排水用の別部品が必要となることで、モータへの回転負荷が大きくなり、製品が大きくなり、消費電力も大きくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−115808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、防水用のオイルシールの保護カバーの形状を変えるだけで、モータシャフトへの巻き付きを防止し、ブラケットの排水性能を向上させ、省エネルギー、小型化のディスポーザを提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明を、生ごみを投入する粉砕室1と、粉砕室1に固定した固定刃4と、粉砕室1の下方に連設したブラケット2と、ブラケット2の中央部に配置したモータ10と、モータ10から上方に突設したモータシャフト11と、モータシャフト11に固定した回転刃15と、ブラケット2の内底面の外周部分に凹溝状に形成した排水通路9と、モータシャフト11とブラケット2の間に介在させた防水用のオイルシール13と、防水用のオイルシール13の上方を覆うようにモータシャフト11に固定した保護カバー17とを具備し、回転刃15と固定刃4で粉砕した生ごみ8を下方の排水通路9から排出するディスポーザにおいて、保護カバー17から外周方向にフランジ部19を凸設するとともに該フランジ部19からアーム部21を延設し、該アーム部21の先端部分であり且つブラケット2の凹溝状の排水通路9の上方に位置する部分には、攪拌羽根22を下方に向けて凸設していることを特徴とするディスポーザとする。このようにすることで、フランジ部19が、長線状のごみが保護カバー17から落ち込み、モータシャフト11に巻きつくことを防止し、さらに攪拌羽根22がブラケット2の排水通路9にある粉砕後の生ごみ8と水を攪拌する。
【0011】
また、保護カバー17のアーム部21を、先端側に向かうほど固定刃4との間の上下方向の距離が広がるように傾斜させることも好ましい。このようにすることで、該攪拌羽根22の上側が固定刃4に当たることを防止し、さらに該攪拌羽根22がブラケット2の排水通路9の底部に近い部分を通ることで、粉砕後の生ごみ8と水を攪拌する範囲を広げる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明は、防水用のオイルシールの保護カバーの形状を変えるだけで、糸や髪の毛などの長線状のごみのモータシャフトへの巻き付きを防止し、ブラケットの排水性能を向上させたディスポーザを提供することができるという効果を奏する。
【0013】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、モータ回転時に上方向に応力が加わったアーム部が、固定刃に衝突するのを防ぐ効果がある。加えて、攪拌羽根がブラケットの排水通路の底部に近い部分を通ることで、粉砕後の生ごみと水を攪拌する範囲が広がり、ブラケットの排水性能を向上させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のディスポーザの実施形態を示す断面図である。
【図2】同上のディスポーザの斜視図である。
【図3】同上のディスポーザに糸や髪の毛が回転刃に巻きついた状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明のディスポーザの実施形態を示す断面図である。
【0017】
ホッパー20内に形成された粉砕室1に防水パッキン3を介して、下方に椀状のブラケット2を連設している。該防水パッキン3を介して、粉砕室1とブラケット2の間に固定刃4を連設している。固定刃4の外周方向に位置するブラケット2には、ステンレスなどの金属でできたリング状のストッパーリング6を設けている。また、ブラケット2の内底面の外周部分には断面半円形状の凹溝状に排水通路9を形成する。
【0018】
ブラケット2の中央下部にはモータ10が配置され、モータ10からモータシャフト11は上方に突設している。モータシャフト11は、ブラケット2の中央下部の開口部12に固定された防水用のオイルシール13の開口部14と、底部を上にした有底筒状の保護カバー17の該底部に設けた開口部23を通る。さらに該モータシャフト11の先端部分は、回転刃15の中央開口部を通り、締結部材5で固定されている。ここで、該締結部材5によって保護カバー17もモータシャフト11に固定される。
【0019】
保護カバー17の下端外周方向に、フランジ部19を全周に亘って凸設するとともに該フランジ部19から一対のアーム部21を延設し、該アーム部21の先端部分であり且つブラケット2の凹溝状の排水通路9の上方に位置する部分に、半円状の攪拌羽根22を下方に向けて凸設する。
【0020】
上記のディスポーザは、モータ10を回転させることで、生ごみ8を回転刃15で破砕し、さらに該回転刃15の回転による遠心力で外周方向に押しながら回転し、固定刃4でさらに微細に破砕し、固定刃4の外周端とストッパーリング6の隙間7、もしくは固定刃4に設けられた上下方向の開口部16からブラケット2の排水通路9に排出する。
【0021】
図2は、固定刃4、回転刃15を外した場合のディスポーザの斜視図である。
【0022】
図3は、同上のディスポーザに糸や髪の毛が回転刃に巻きついた状態を示す要部断面図である。
【0023】
保護カバー17の下端外周方向にフランジ部19を全周に亘って凸設することによって、長線状の糸や髪の毛18が保護カバー17からモータシャフト11へ落ち込み、防水用のオイルシール13を傷つけることを防止することができる。
【0024】
また、保護カバー17の該フランジ部19からアーム部21を延設し、該アーム部21の先端部分であり且つブラケットの凹溝状の排水通路9の上方に位置する部分には、半円状の攪拌羽根22を下方に向けて凸設することで、ディスポーザ運転時の通水量が少ない場合でも、アーム部21の攪拌羽根22部分で粉砕された生ごみ8と水を攪拌することができ、ブラケット2の排水通路9から排出することができる。さらに、該アーム21があることで、長線状のごみ18が保護カバー17のフランジ部19を越えた場合でも、該アーム21に引っかかって、モータシャフト11まで落ち込むことを防ぐ効果がある。
【0025】
また同一線上のみにアーム部21を設けることで、モータ10の回転負荷を抑えながらも、排水性能を確保している。
【0026】
さらに、保護カバー17のアーム部21を、先端側に向かうほど固定刃4との間の上下方向の距離が広がるように、下方に向けて傾斜させることで、モータ10回転時、該アーム部21に発生する上方向の応力によって、該攪拌羽根22の上側が、固定刃4に当たることを防止する。
【0027】
さらに攪拌羽根22がブラケット2の排水通路9の底部に近い部分を通ることで、粉砕後の生ごみ8と水を攪拌する範囲を広げ、ブラケット2の排水性能を向上させるという効果を奏する。
【0028】
以上のように、従来からあった保護カバー17の形状を変えることで部品を追加することなく、安価に効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 粉砕室
2 ブラケット
3 防水パッキン
4 固定刃
5 回転刃の締結部材
6 ストッパーリング
7 固定刃とストッパーリングの隙間
8 生ごみ
9 ブラケットの排水通路
10 モータ
11 モータシャフト
12 ブラケットの防水用のオイルシール取付け開口部
13 オイルシール
14 オイルシールの開口部
15 回転刃
16 固定刃の排水用開口部
17 保護カバー
18 糸や髪の毛
19 フランジ部
20 ホッパー
21 アーム部
22 攪拌羽根
23 保護カバーの開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを投入する粉砕室と、粉砕室に固定した固定刃と、粉砕室の下方に連設したブラケットと、ブラケットの中央部に配置したモータと、モータから上方に突設したモータシャフトと、モータシャフトに固定した回転刃と、ブラケットの内底面の外周部分に凹溝状に形成した排水通路と、モータシャフトとブラケットの間に介在させた防水用のオイルシールと、防水用のオイルシールの上方を覆うようにシャフトに固定した保護カバーとを具備し、回転刃と固定刃で粉砕した生ごみを下方の排水通路から排出するディスポーザにおいて、保護カバーから外周方向にフランジ部を凸設するとともに該フランジ部からアーム部を延設し、該アーム部の先端部分であり且つブラケットの凹溝状の排水通路の上方に位置する部分には、攪拌羽根を下方に向けて凸設していることを特徴とするディスポーザ。
【請求項2】
前記保護カバーのアーム部は、先端側に向かうほど固定刃との間の上下方向の距離が広がるように傾斜させたものであることを特徴とする請求項1に記載のディスポーザ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−179288(P2010−179288A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27711(P2009−27711)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】