説明

ディーゼル燃料のセタン価バレルを増加するための触媒転換方法

触媒転換反応装置内で、原料油を、比較的均質な活性を有し、主に大細孔ゼオライトを含む触媒分解触媒に接触させる工程を含むプロセスであって、上記原料油を触媒に接触させる工程において、反応温度、オイル蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比が、反応生成物を得るために十分なものであり、反応生成物には、原料油の重量に対する流動触媒分解軽油の量が、約12重量%〜約60重量%で含まれ、ディーゼル燃料を含み、反応温度が約420℃〜約550℃の範囲内であり、オイル蒸気滞留時間が約0.1秒〜約5秒の範囲内であり、触媒分解触媒/原料油の重量比が約1〜約10である、ディーゼル燃料のセタン価バレルを増加するための触媒転換プロセス。流動触媒分解軽油を、さらに処理するために、他のユニットに供給、又は、初期の触媒転換反応装置に供給する。上記プロセスにより、高いセタン価のディーゼル燃料を最大限に生成することができ、粗い粒子サイズ分布を有する分解触媒は、乾燥ガス及びコークスの選択性を改良することができ、触媒の破砕傾向及び触媒の消費量を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、触媒転換プロセスに関する。本発明は、特に、重質原料(heavy feedstocks)から高いセタン価のディーゼル燃料へ最大限に転換するための触媒転換プロセスに関する。
【0002】
〔背景技術〕
高品質ディーゼル燃料の世界的な需要は、ますます増大している。一方で、重油の需要が減少している。ディーゼル燃料の世界的な需要の増大速度は、地域で需要が異なるものの、ガソリンの需要の増大速度を上回る。そのため、触媒分解(FCC)により製造される低いセタン価のライト・ディーゼル燃料が、ディーゼルの高調和成分として用いられている。高品質ディーゼルの需要を満たすために、FCCライト・ディーゼル燃料を改質する必要、又は、高品質のFCCライト・ディーゼル燃料をFCCにより高生産率で製造する必要がある。
【0003】
先行技術における触媒のライト・ディーゼル燃料の改質プロセスには、水素化反応及びアルキル化反応が含まれる。米国特許第5543036号には、水素化反応により、FCCリサイクルされた軽油(ライト・オイル)を改質するプロセスが開示されている。また、中国公開公報第1289832号には、いかなる中間分離も行わず、連続した単一段階で、水素化条件下、原料を順に水素化処理触媒(hydrotreating catalyst)及び水素化分解触媒(hydrocracking catalyst)に通す工程を含む、水素化反応による、触媒分解ディーゼル燃料を改質するためのプロセスが開示されている。上記プロセスにおいて、ディーゼル燃料のフラクションのセタン価は、原料に比べて、10ユニットまで増加し、硫黄の含有量及び窒素の含有量は、顕著に減少する。米国特許第4871444号には、固体の酸触媒存在下における、FCCリサイクルされた軽油の、3〜9の炭素原子を有する直鎖アルキレンとの、アルキル化反応の工程を含む、FCCリサイクルされた軽油のセタン価を増加させるプロセスが開示されている。米国特許第5171916号には、固体の酸触媒における、FCCリサイクルされた軽油の、α−C14アルキレン又はコーカ軽油とのアルキル化反応の工程を含む、FCCリサイクルされた軽油を改質するためのプロセスが開示されている。
【0004】
触媒のライト・ディーゼル燃料の品質を増大させる他のプロセスは、触媒分解の処理パラメーター又は触媒を変化させることにより、直接達成される。中国公開公報第1900226号には、さらなるディーゼル燃料を製造するための触媒分解プロモータ及びその製造方法が開示されている。一定量の上記プロモータを添加することにより、FCC触媒ユニットのディーゼル燃料生成量は増加し、そして、生成物の品質分布は、生成ユニットで初期に用いられる触媒のいかなる変化も伴わないで、改良され得る。しかしながら、上記プロセスの文献には、ディーゼル燃料の性質のいかなる改良も示されていない。また、中国公開公報第1683474号には、さらなるディーゼル燃料を製造するための触媒分解プロモータ、及び、その製造方法に関する内容が開示されている。中国公開公報第1473908号には、重油及びCa2+−EDTA触媒分解を伴う蒸留残油からディーゼル燃料を製造するためのプロセスに関する内容が開示されている。中国公開公報第101171063号には、ディーゼル燃料の高調和オイルとして有用な、蒸留物の品質を改良するための流動触媒分解(FCC)プロセスに関する内容が開示されている。FCCプロセスは、段階FCC転換と、多環式アレン類の中間分離との組み合わせである。低い程度及び高い程度の反応領域、及び、FCC反応装置のライザーにおける分子量の選択的分離は、共に、高品質ディーゼル燃料を伴う蒸留残油の生産量を増加する。上記プロセスは、メンブレン分離により、高いセタン価を伴うディーゼル燃料フラクションを濃縮した飽和炭化水素を得ることを重視している。
【0005】
触媒のライト・ディーゼル燃料の質を増大する他のプロセスとしては、水素化反応及び触媒分解の二重の組み合わせを用いるプロセスが挙げられる。例えば、中国公開公報第1896192号には、リサイクルされた触媒分解の重油、及び、触媒分解のライト・ディーゼル燃料と共に、ワックス・オイルを、水素化ユニットに供給すること、及び、水素化トール油(hydrogenation tail oil)を触媒分解ユニットに供給することが開示されている。上記プロセスでは、ディーゼル燃料における芳香族化合物及び硫黄を減らすことができ、そして、そのセタン価を増加させることができる。中国公開公報第1382776号は、蒸留残油の水素化、及び、重油の触媒分解を組み合わせたプロセスに関する内容が開示されている。上記特許のプロセスは、触媒分解の手順における必要要件を定めていないが、水素化反応によりディーゼル燃料を還元している。
【0006】
中国公開公報第101362959号には、分解が困難な原料を熱再生触媒(熱再生された触媒)に接触させる工程、並びに、以下の条件下で分解反応を行う工程(600℃〜750℃の温度、100h−1〜800h−1の重量空間速度(weight hourly space velocity)、0.10MPa〜1.0MPaの圧力、30〜150の触媒の原料に対する比、0.05〜1.0の蒸気の原料に対する比);反応蒸気を原料に混合し、容易に、以下の条件下で分解又は分解反応を行う工程(450℃〜620℃の温度、0.1h−1〜100h−1の重量空間速度、0.10MPa〜1.0MPaの圧力、1.0〜30の触媒の原料に対する比、0.05〜1.0の蒸気の原料に対する比);使用済み触媒と反応オイルの蒸気とを分離してストリッパ(回収装置)に使用済み触媒を供給する工程;触媒を回収し、コークス燃焼し、再生触媒(再生された触媒)を反応装置にリサイクルする工程;及び、反応オイルの蒸気を分離し、プロピレン及び高いオクタン価を備えるガソリンを得る工程を含む、プロピレン及び高いオクタン価を備えるガソリンを製造するための触媒転換プロセスが開示されている。再分解された原料には、180℃〜260℃の範囲内で蒸留したフラクション、及び、高沸点芳香族のラフィネートが含まれる。プロピレンの生成率及び選択性は、上記プロセスを用いることにより著しく増加する。また、ガソリンの生成率及びオクタン価は、顕著に増加する。乾燥ガスの生成量は80重量%又はそれ以上減少する。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、より高いディーゼル燃料のセタン価、及び、より高いディーゼル燃料の生成率の両方(即ち、ディーゼル燃料のより高いセタン・バレル)を有する、重質原料を高いセタン価のディーゼル燃料に最大転換するためのプロセスを提供することである(ここで、セタン・バレルという用語は、生成物のディーゼル燃料のセタン価及びディーゼル燃料の生成率を意味している)。本発明は、主に、触媒が原料における炭化水素(例えば、アルカン、アルキル基の側鎖及びそれらに類するもの)を選択的に分解すること、同時に、ディーゼル燃料フラクションへの原料における芳香族の流入を最小限にすること、芳香族化及びそれに類する反応を介して芳香族を生成することにより、他の組成物が、ディーゼル燃料フラクション内に留まることを防ぐこと、に関する。原料が、高いセタン価のディーゼル燃料に分解される一方で、乾燥ガス及びコークスの生成量は、大幅に減少し、その結果、石油燃料の有効利用を達成する。
【0008】
本発明の一つの形態として、本発明は、ディーゼル燃料のセタン・バレルを増加するための、触媒転換プロセスであって、大細孔ゼオライト(large pore zeolite)を主に含み、且つ、比較的均質な活性を備える触媒に、原料油を、触媒の転換反応装置内で接触させるプロセスを提供する(ここで、反応温度、オイル蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比は、ディーゼル燃料を含む反応生成物を得るために十分なものであり、原料油の重量に対する流動触媒分解軽油(FGO)(fluid catalytic cracking gas oil)の量は約12重量%〜約60重量%;反応温度は約420℃〜約550℃の範囲内;オイル蒸気滞留時間は約0.1秒〜約5秒の範囲内;触媒分解触媒/原料油の重量比は約1〜約10である)。
【0009】
より好ましい実施形態において、反応温度は、約430℃〜約500℃の範囲内であり、約430℃〜約480℃の範囲内であることが好ましい。
【0010】
より好ましい実施形態において、オイル蒸気滞留時間は、約0.5秒〜約4秒の範囲内であり、約0.8秒〜約3秒の範囲内であることが好ましい。
【0011】
より好ましい実施形態において、触媒/原料油の重量比は約2〜約8であり、約3〜約6であることが好ましい。
【0012】
より好ましい実施形態において、反応圧は約0.10MPa〜約1.0MPaの範囲内であり、約0.15MPa〜約0.6MPaの範囲内であることが好ましい。
【0013】
より好ましい実施形態において、上記原料油は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油から選ばれるもの、又は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油を含むものであり、石油系炭化水素は、減圧軽油、常圧軽油、コーカ軽油、脱アスファルト油、減圧蒸留残油、及び、常圧蒸留残油、又は、それらのうち二種又はそれ以上の混合物(以下のその他の鉱油との二種を含む混合物であってもよい)からなる一群から選ばれるものであり、その他の鉱油は、液化石油(coal liquefied oil)、油砂油(oil sand oil)、及び、頁岩油(shale oil)、又は、それらのうち二種又はそれ以上の混合物からなる一群から選ばれるものである。
【0014】
より好ましい実施形態において、上記触媒は、主に、ゼオライト、無機酸化物、及び、粘土(乾燥ベースでの触媒の総重量に対して、約5重量%〜約50重量%(好ましくは約10重量%〜約30重量%)のゼオライト、約0.5重量%〜約50重量%の無機酸化物、及び、0重量%〜約70重量%の粘土)を含む大細孔ゼオライトを含み、ここで、ゼオライトが活性成分として用いられて大細孔ゼオライトから選ばれる。大細孔ゼオライトは、レア・アースY、レア・アースH−Y(レア・アース水素Y)、様々な方法で得られる超安定Y(ultra-stable Y)、及び、高シリカY(high-silica Y)のうち一つ又はそれ以上から選ばれるものである。
【0015】
基質としての無機酸化物は、SiO及び/又はAlからなる一群から選ばれるものである。乾燥ベースにおいて、無機酸化物は、約50重量%〜約90重量%のシリカ、及び、約10重量%〜約50重量%のアルミナを含む。
【0016】
バインダとしての粘土は、カオリン、メタハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻土(ダイアトマイト)、ハロイサイト、サポナイト、レクトライト、海泡石(セピオライト)、アタパルガイト(アパルジャイト)、ハイドロタルサイト、及び、ベントナイトからなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものである。
【0017】
比較的均質な活性を備える触媒は、約80以下の初期活性、好ましくは約75以下の初期活性、より好ましくは約70以下の初期活性を有し、約0.1h〜約50hの範囲内の自動均衡時間(self-balancing time)、好ましくは約0.2h〜約30hの範囲内の自動均衡時間、より好ましくは約0.5h〜約10hの範囲内の自動均衡時間を有し、約35〜約60の範囲内の平衡活性、好ましくは約40〜約55の範囲内の平衡活性を有する。
【0018】
触媒の上記初期活性、又は、以下に言及されるような新しい触媒の活性は、軽油マイクロ・リアクション・ユニットにより評価される触媒活性を意味している。それは先行技術の測定方法(触媒分解の新しい触媒のためのエンタープライズ・スタンダードRIPP 92-90−マイクロ−リアクション活性試験(石油化学分析法(RIPP試験法)(Yang Cuiding et al, 1990)(以下「RIPP 92-90」として言及する)))により測定され得る。触媒の初期活性は、軽油のマイクロ・リアクション活性(MA)により表され、以下の公式により計算される:
MA
=((生成物中の204℃未満の温度を有するガソリンの生産量+ガスの生産量+コークスの生産量)/原料油の総量)×100%
=生成物中の204℃未満の温度を有するガソリンの生成率+ガスの生成率+コークスの生成率
軽油のマイクロ・リアクション・ユニットの評価条件には、以下の条件で触媒を粒子に微粉砕し評価することが含まれる:約420〜841μmの粒径;5gの粒子の質量;直留ライト・ディーゼル燃料であり235℃〜337℃の範囲内の蒸留範囲を有する反応原料;460℃の反応温度;16h−1の重量空間速度;及び、3.2の触媒/オイルの比。
【0019】
触媒の自動均衡時間は、800℃で熟成し100%の水蒸気の平衡活性を達成するために必要な時間である(「RIPP 92-90」による)。
【0020】
比較的均質な活性を有する触媒は、例えば、以下の三つの処理方法により得ることができる。
【0021】
触媒処理方法1:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気と接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0022】
特に、上記処理方法1は、例えば、以下の条件で実行される。
【0023】
新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、そして、水蒸気を流動床の底に供給する。触媒の流動化は水蒸気の作用下で達成され、そして、同時に触媒を水蒸気により熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る。熟成温度は、約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度(superficial linear velocity)は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。
【0024】
触媒処理方法2:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体に接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0025】
特に、触媒処理方法2の技術的解決法は、例えば、以下の条件で実行される。
【0026】
触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体を流動床の底に供給する。触媒の流動化は、水蒸気を含む熟成媒体の活性下で達成され、同時に、触媒を、水蒸気を含む熟成媒体により熟成し、比較的均一な活性を有する触媒を得る。熟成温度は約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0.20〜約0.9の範囲内であり、好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。熟成媒体には、空気、乾燥ガス、再生燃料ガス、空気を燃焼することにより得られるガス、並びに、空気を燃焼すること、及び、オイルを燃焼することにより得られる乾燥ガス又はガス、若しくは窒素ガスのようなその他のガスを含む。水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0.2〜約0.9の範囲内であり、好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内である。
【0027】
触媒処理方法3:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、再生装置内の熱再生触媒を流動床に供給し、流動床内で熱交換を行う工程;
(2)熱交換された新しい触媒を水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体と接触し、特定の水熱条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(3)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0028】
特に、本発明の技術的解決法を、例えば、以下の条件で実行する。
【0029】
新しい触媒を、流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、同時に、再生装置内の熱再生触媒を、流動床内に取り込む。水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体を、流動床の底に供給する。新しい触媒の流動化は、水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体下で達成される。同時に、新しい触媒は、水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体により熟成され、比較的均質な活性を有する触媒を得る。熟成温度は約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。水蒸気を含む熟成媒体条件下で、水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0〜約4の範囲内であり、好ましくは約0.5〜約1.5の範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。さらに、熟成工程後、水蒸気を反応系(回収蒸気(stripping steam)、コークス化防止蒸気(anticoking steam)、噴霧蒸気、及び、揚力蒸気(lifting steam)からなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、それぞれ、回収装置、沈降装置(settler)、原料ノズル及び前揚力ゾーン(prelifting zone)に加える)、又は、再生系に供給する。熟成工程後、水蒸気を含む熟成媒体を再生系に供給し、熱交換された再生触媒を再生装置にリサイクル・バックする。熟成媒体は、空気、乾燥ガス、再生燃料ガス、空気を燃焼することにより得られるガス、並びに、空気を燃焼すること、及び、オイルを燃焼することにより得られる乾燥ガス又はガス、若しくは窒素ガスのようなその他のガスを含む。
【0030】
上述の処理方法に関して、産業反応ユニットにおける触媒の活性分布及び選択性分布はより均質である:触媒の選択性を、乾燥ガス及びコークスの収率が有意に減少するために、顕著に向上させる。
【0031】
触媒の粒子サイズ分布は、従来の触媒分解の触媒の粒子サイズ分布、又は、粗い粒子サイズ分布であってもよい。より好ましい実施形態において、触媒は、粗い粒子サイズ分布を有する触媒を用いることにより特徴付けられる。
【0032】
上記粗い粒子サイズ分布を有する触媒は、全粒子の体積に対して、約10体積%未満(好ましくは5体積%未満)で40μm未満の粒子サイズを有する粒子を含み、全粒子の体積に対して、約15体積%未満(好ましくは約10体積%未満)で80μmより大きい粒子サイズを有する粒子を含み、且つ、残りが40μm〜80μmの粒子サイズを有する粒子である。
【0033】
より好ましい実施形態において、反応装置は、ライザー、均等な線速度(linear velocity)を備える流動床、均等な直径を備える流動床、上流コンベヤーライン(upstream conveyor line)、及び、下流コンベヤーライン(downstream conveyor line)、又はそれらの組み合わせ、若しくは二つ又はそれ以上の同一反応装置の組み合わせであり、その組み合わせには、直列又は/及び並列の組み合わせが含まれる。ライザーは、均等な直径を備える従来のライザー、又は、可変の直径を備える様々なライザーである。
【0034】
より好ましい実施形態において、原料油は、一点から反応装置に供給され、又は、同一の高さ又は異なる高さで多数の点から反応装置に供給される。
【0035】
より好ましい実施形態において、上記プロセスは、さらに、反応生成物を触媒から分離する工程、使用済み触媒を回収しコークス燃焼する工程、及び、それを反応装置にリサイクルする工程を含み、分離された生成物には、高いセタン価を有するディーゼル燃料及び流動触媒分解軽油が含まれる。
【0036】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、少なくとも330℃の初留点を有し、且つ、少なくとも10.8重量%の水素含有量を有するフラクションである。
【0037】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、少なくとも350℃の初留点を有し、且つ、少なくとも11.5重量%の水素含有量を有するフラクションである。
【0038】
本発明の他の形態において、本発明は、ディーゼル燃料のセタン・バレルを増大するための触媒転換プロセスを提供するものであり、当該プロセスは、原料油を、触媒の転換反応装置内で、比較的均質な活性を有し主に大細孔ゼオライトを含む触媒分解の触媒と接触させる工程(ここで、反応温度、オイル蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比は、ディーゼル燃料を含む反応生成物を得るために十分なものであり、原料油の重量に対する流動触媒分解軽油の量は約12重量%〜約60重量%;反応温度は約420℃〜約550℃の範囲内;オイル蒸気滞留時間は約0.1秒〜約5秒の範囲内;触媒分解触媒/原料油の重量比は約1〜約10である)、及び、流動触媒分解軽油の全て又は一部を、従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザーに導入し、さらに、ディーゼル燃料及びガソリンを含む生成物を生産する工程、及び/又は、流動触媒分解軽油を初めの触媒の転換反応装置に戻す工程、若しくは、他の触媒の転換反応装置に供給する工程を含む。
【0039】
より好ましい実施形態において、反応温度は、約430℃〜約500℃の範囲内であり、好ましくは約430℃〜約480℃の範囲内である。
【0040】
より好ましい実施形態において、オイル蒸気滞留時間は、約0.5秒〜約4秒の範囲内であり、約0.8秒〜約3秒の範囲内であることが好ましい。
【0041】
より好ましい実施形態において、触媒/原料油の重量比は約2〜約8であり、約3〜約6であることが好ましい。
【0042】
より好ましい実施形態において、反応圧は約0.10MPa〜約1.0MPaの範囲内であり、約0.15MPa〜約0.6MPaの範囲内であることが好ましい。
【0043】
より好ましい実施形態において、上記原料油は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油から選ばれるもの、又は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油を含むものであり、石油系炭化水素は、減圧軽油、常圧軽油、コーカ軽油、脱アスファルト油、減圧蒸留残油、及び、常圧蒸留残油、又は、それらのうち二種又はそれ以上の混合物からなる一群から選ばれるものであり、その他の鉱油は、液化石油、油砂油、及び、頁岩油、又は、それらのうち二種又はそれ以上の混合物からなる一群から選ばれるものである。
【0044】
より好ましい実施形態において、上記触媒は、主に、ゼオライト、無機酸化物、及び、粘土(乾燥ベースでの触媒の総重量に対して、約5重量%〜約50重量%、好ましくは約10重量%〜約30重量%のゼオライト、約0.5重量%〜約50重量%の無機酸化物、及び、0重量%〜約70重量%の粘土)を含む大細孔ゼオライトを含み、ここで、ゼオライトが活性成分として用いられて大細孔ゼオライトから選ばれる。大細孔ゼオライトは、レア・アースY、レア・アースH−Y(レア・アース水素Y)、様々な方法で得られる超安定Y、及び、高シリカYのうち一つ又はそれ以上から選ばれるものである。
【0045】
基質としての無機酸化物は、SiO及び/又はAlからなる一群から選ばれるものである。乾燥ベースにおいて、無機酸化物は、約50重量%〜約90重量%のシリカ、及び、約10重量%〜約50重量%のアルミナを含む。
【0046】
バインダとしての粘土は、カオリン、メタハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻土(ダイアトマイト)、ハロイサイト、サポナイト、レクトライト、海泡石(セピオライト)、アタパルガイト(アパルジャイト)、ハイドロタルサイト、及び、ベントナイトからなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものである。
【0047】
比較的均質な活性を備える触媒は、約80以下の初期活性、好ましくは約75以下の初期活性、より好ましくは約70以下の初期活性を有し、約0.1h〜約50hの範囲内の自動均衡時間、好ましくは約0.2h〜約30hの範囲内の自動均衡時間、より好ましくは約0.5h〜約10hの範囲内の自動均衡時間を有し、約35〜約60の範囲内の平衡活性、好ましくは約40〜約55の範囲内の平衡活性を有する。
【0048】
触媒の上記初期活性、又は、以下に言及されるような新しい触媒の活性は、軽油マイクロ・リアクション・ユニットにより評価される触媒活性を意味している。それは先行技術の測定方法(触媒分解の新しい触媒のためのエンタープライズ・スタンダードRIPP 92-90−マイクロ−リアクション活性試験(石油化学分析法(RIPP試験法)(Yang Cuiding et al, 1990)(以下「RIPP 92-90」として言及する)))により測定され得る。触媒の初期活性は、軽油のマイクロ・リアクション活性(MA)により表され、以下の公式により計算される。
MA
=((生成物中の204℃未満の温度を有するガソリンの生産量+ガスの生産量+コークスの生産量)/原料油の総量)×100%
=生成物中の204℃未満の温度を有するガソリンの生成率+ガスの生成率+コークスの生成率
軽油のマイクロ・リアクション・ユニットの評価条件には、以下の条件で触媒を粒子に微粉砕し評価することが含まれる:約420〜841μmの粒径;5gの粒子の質量;直留ライト・ディーゼル燃料であり235℃〜337℃の範囲内の蒸留範囲を有する反応原料;460℃の反応温度;16h−1の重量空間速度;及び、3.2の触媒/オイルの比。
【0049】
触媒の自動均衡時間は、800℃で熟成し100%の水蒸気の平衡活性を達成するために必要な時間である(「RIPP 92-90」による)。
【0050】
比較的均質な活性を有する触媒は、例えば、以下の三つの処理方法により得ることができる。
【0051】
触媒処理方法1:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気と接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0052】
特に、上記処理方法1は、例えば、以下の条件で実行される。
【0053】
新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、そして、水蒸気を流動床の底に供給する。触媒の流動化は水蒸気の作用下で達成され、そして、同時に触媒を水蒸気により熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る。熟成温度は、約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。
【0054】
触媒処理方法2:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体に接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0055】
特に、触媒処理方法2の技術的解決法は、例えば、以下の条件で実行される。
【0056】
触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体を流動床の底に供給する。触媒の流動化は、水蒸気を含む熟成媒体の活性下で達成され、同時に、触媒を、水蒸気を含む熟成媒体により熟成し、比較的均一な活性を有する触媒を得る。熟成温度は約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0.20〜約0.9の範囲内であり、好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。熟成媒体には、空気、乾燥ガス、再生燃料ガス、空気を燃焼することにより得られるガス、並びに、空気を燃焼すること、及び、オイルを燃焼することにより得られる乾燥ガス又はガス、若しくは窒素ガスのようなその他のガスを含む。水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0.2〜約0.9の範囲内であり、好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内である。
【0057】
触媒処理方法3:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、再生装置内の熱再生触媒を流動床に供給し、流動床内で熱交換を行う工程;
(2)熱交換された新しい触媒を水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体と接触し、特定の水熱条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(3)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0058】
特に、本発明の技術的解決法を、例えば、以下の条件で実行する。
【0059】
新しい触媒を、流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、同時に、再生装置内の熱再生触媒を、流動床内に取り込む。水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体を、流動床の底に供給する。新しい触媒の流動化は、水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体下で達成される。同時に、新しい触媒は、水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体により熟成され、比較的均質な活性を有する触媒を得る。熟成温度は約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。水蒸気を含む熟成媒体条件下で、水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0〜約4の範囲内であり、好ましくは約0.5〜約1.5の範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。さらに、熟成工程後、水蒸気を反応系(回収蒸気、コークス化防止蒸気、噴霧蒸気、及び、揚力蒸気からなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、それぞれ、回収装置、沈降装置、原料ノズル及び前揚力ゾーンに加える)、又は、再生系に供給する。熟成工程後、水蒸気を含む熟成媒体を再生系に供給し、熱交換された再生触媒を再生装置にリサイクル・バックする。熟成媒体は、空気、乾燥ガス、再生燃料ガス、空気を燃焼することにより得られるガス、並びに、空気を燃焼すること、及び、オイルを燃焼することにより得られる乾燥ガス又はガス、若しくは窒素ガスのようなその他のガスを含む。
【0060】
上述の処理方法に関して、産業反応ユニットにおける触媒の活性分布及び選択性分布はより均質である:触媒の選択性を、乾燥ガス及びコークスの収率が有意に減少するために、顕著に向上させる。
【0061】
触媒の粒子サイズ分布は、従来の触媒分解の触媒の粒子サイズ分布、又は、粗い粒子サイズ分布であってもよい。より好ましい実施形態において、触媒は、粗い粒子サイズ分布を有する触媒を用いることにより特徴付けられる。
【0062】
上記粗い粒子サイズ分布を有する触媒は、全粒子の体積に対して、約10体積%未満(好ましくは5体積%未満)で40μm未満の粒子サイズを有する粒子を含み、全粒子の体積に対して、約15体積%未満(好ましくは約10体積%未満)で80μmより大きい粒子サイズを有する粒子を含み、且つ、残りが40μm〜80μmの粒子サイズを有する粒子である。
【0063】
流動触媒分解軽油を導入する可変の直径を備えるライザー反応装置の詳細については、中国公開公報第1237477号を参照してもよい。
【0064】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、分解反応のための他の転換反応装置に供給され、生成するオイル蒸気は、特定の反応条件下で水素転移反応及び異性化反応に晒し、低オレフィン・ガソリンを含む反応生成物は、分離することで得られる。転換反応装置は、二つの反応ゾーン(各反応ゾーンで以下の反応条件を有する)に分割することができる。
【0065】
第1の反応ゾーンは、主に、分解反応の役割を果たし、約480℃〜約600℃(好ましくは約485℃〜約580℃)の範囲内の反応温度;約0.1秒〜約3秒(好ましくは約0.5秒〜約2秒)の範囲内の反応時間;約0.5:1〜約25:1(好ましくは約1:1〜約15:1)の範囲内の流動触媒分解軽油に対する強い転換触媒の重量比;約0.01〜約2:1(好ましくは約0.05:1〜約1:1)の範囲内の流動触媒分解軽油に対する前揚力媒体(prelifting medium)の重量比;約130kPa〜約450kPa(好ましくは約250kPa〜約400kPa)の範囲内の反応圧を有する。
【0066】
第2の反応ゾーンは、主に、水素転移反応及び異性化反応の役割を果たし、約450℃〜約550℃(好ましくは約460℃〜約530℃)の範囲内の反応温度;第2の反応ゾーン内で濃密相の作用が維持されるということ;約100kg/m〜約700kg/m(好ましくは約120kg/m〜約500kg/m)の範囲内の、触媒床の濃縮相の密度;約1h−1〜約50h−1(好ましくは約1h−1〜約40h−1)の範囲内の第2の反応ゾーンにおける重量空間速度;及び、約130kPa〜約450kPa(好ましくは約250kPa〜約400kPa)の範囲内の反応圧を有する。
【0067】
より好ましい実施形態において、上記プロセスは、さらに、他の転換反応の生成物、及び、転換触媒を分離する工程、転換触媒を回収しコークス燃焼する工程、他の転換反応装置にリサイクルする工程を含み、分離された生成物は低オレフィン・ガソリン及びそれに類するものを含む。
【0068】
より好ましい実施形態において、反応装置は、ライザー、均等な線速度を備える流動床、均等な直径を備える流動床、上流コンベヤーライン、及び、下流コンベヤーライン、又はそれらの組み合わせ、若しくは二つ又はそれ以上の同一反応装置の組み合わせから選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、その組み合わせには、直列又は/及び並列の組み合わせが含まれる。ライザーは、均等な直径を備える従来のライザー、又は、可変の直径を備える様々なライザーである。
【0069】
より好ましい実施形態において、原料油は、一点から反応装置に供給され、又は、同一の高さ又は異なる高さで多数の点から反応装置に供給される。
【0070】
より好ましい実施形態において、上記プロセスは、さらに、反応生成物を触媒から分離する工程、使用済み触媒を回収しコークス燃焼する工程、及び、それを反応装置にリサイクルする工程を含み、分離された生成物には、高いセタン価を有するディーゼル燃料及び流動触媒分解軽油が含まれる。
【0071】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、少なくとも330℃の初留点を有し、且つ、少なくとも10.8重量%の水素含有量を有するフラクションである。
【0072】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、少なくとも350℃の初留点を有し、且つ、少なくとも11.5重量%の水素含有量を有するフラクションである。
【0073】
本発明の他の形態において、本発明は、ディーゼル燃料のセタン・バレルを増大するための触媒転換プロセスを提供するものであり、当該プロセスは、原料油を、触媒の転換反応装置内で、比較的均質な活性を有し主に大細孔ゼオライトを含む触媒分解の触媒と接触させる工程を含む(ここで、反応温度、オイル蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比は、ディーゼル燃料を含む反応生成物を得るために十分なものであり、原料油の重量に対する流動触媒分解軽油の量は約12重量%〜約60重量%;反応温度は約420℃〜約550℃の範囲内;オイル蒸気滞留時間は約0.1秒〜約5秒の範囲内;触媒分解触媒/原料油の重量比は約1〜約10であり、高いセタン価を有するディーゼル燃料のさらなる生産のために、流動触媒分解軽油の全て又は一部を水素化分解ユニットに導入する)。
【0074】
好ましい実施形態において、処理された水素化分解されたトール油(hydrocracked tail oil)を、従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザーに導入し、さらに、ディーゼル燃料及びガソリンを含む生成物を製造することができる。好ましい実施形態において、水素化分解されたトール油を、触媒分解反応装置に戻して導入することができる。
【0075】
より好ましい実施形態において、反応温度は、約430℃〜約500℃の範囲内であり、好ましくは約430℃〜約480℃の範囲内である。
【0076】
より好ましい実施形態において、オイル蒸気滞留時間は、約0.5秒〜約4秒の範囲内であり、約0.8秒〜約3秒の範囲内であることが好ましい。
【0077】
より好ましい実施形態において、触媒/原料油の重量比は約2〜約8であり、約3〜約6であることが好ましい。
【0078】
より好ましい実施形態において、反応圧は約0.10MPa〜約1.0MPaの範囲内であり、約0.15MPa〜約0.6MPaの範囲内であることが好ましい。
【0079】
より好ましい実施形態において、上記原料油は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油から選ばれるもの、又は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油を含むものであり、石油系炭化水素は、減圧軽油、常圧軽油、コーカ軽油、脱アスファルト油、減圧蒸留残油、及び、常圧蒸留残油、又は、それらのうち二種又はそれ以上の混合物からなる一群から選ばれるものであり、その他の鉱油は、液化石油、油砂油、及び、頁岩油、又は、それらのうち二種又はそれ以上の混合物からなる一群から選ばれるものである。
【0080】
より好ましい実施形態において、上記触媒は、主に、ゼオライト、無機酸化物、及び、粘土(乾燥ベースでの触媒の総重量に対して、約5重量%〜約50重量%、好ましくは約10重量%〜約30重量%のゼオライト、約0.5重量%〜約50重量%の無機酸化物、及び、0重量%〜約70重量%の粘土)を含む大細孔ゼオライトを含み、ここで、ゼオライトが活性成分として用いられて大細孔ゼオライトから選ばれる。大細孔ゼオライトは、レア・アースY、レア・アースH−Y(レア・アース水素Y)、様々な方法で得られる超安定Y、及び、高シリカYのうち一つ又はそれ以上から選ばれるものである。
【0081】
基質としての無機酸化物は、SiO及び/又はAlからなる一群から選ばれるものである。乾燥ベースにおいて、無機酸化物は、約50重量%〜約90重量%のシリカ、及び、約10重量%〜約50重量%のアルミナを含む。
【0082】
バインダとしての粘土は、カオリン、メタハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻土(ダイアトマイト)、ハロイサイト、サポナイト、レクトライト、海泡石(セピオライト)、アタパルガイト(アパルジャイト)、ハイドロタルサイト、及び、ベントナイトからなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものである。
【0083】
比較的均質な活性を備える触媒は、約80以下の初期活性、好ましくは約75以下の初期活性、より好ましくは約70以下の初期活性を有し、約0.1h〜約50hの範囲内の自動均衡時間、好ましくは約0.2h〜約30hの範囲内の自動均衡時間、より好ましくは約0.5h〜約10hの範囲内の自動均衡時間を有し、約35〜約60の範囲内の平衡活性、好ましくは約40〜約55の範囲内の平衡活性を有する。
【0084】
触媒の上記初期活性、又は、以下に言及されるような新しい触媒の活性は、軽油マイクロ・リアクション・ユニットにより評価される触媒活性を意味している。それは先行技術の測定方法(触媒分解の新しい触媒のためのエンタープライズ・スタンダードRIPP 92-90−マイクロ−リアクション活性試験(石油化学分析法(RIPP試験法)(Yang Cuiding et al, 1990)(以下「RIPP 92-90」として言及する)))により測定され得る。触媒の初期活性は、軽油のマイクロ・リアクション活性(MA)により表され、以下の公式により計算される:
MA
=((生成物中の204℃未満の温度を有するガソリンの生産量+ガスの生産量+コークスの生産量)/原料油の総量)×100%
=生成物中の204℃未満の温度を有するガソリンの生成率+ガスの生成率+コークスの生成率
軽油のマイクロ・リアクション・ユニットの評価条件には、以下の条件で触媒を粒子に微粉砕し評価することが含まれる:約420〜841μmの粒径;5gの粒子の質量;直留ライト・ディーゼル燃料であり235℃〜337℃の範囲内の蒸留範囲を有する反応原料;460℃の反応温度;16h−1の重量空間速度;及び、3.2の触媒/オイルの比。
【0085】
触媒の自動均衡時間は、800℃で熟成し100%の水蒸気の平衡活性を達成するために必要な時間である(「RIPP 92-90」による)。
【0086】
比較的均質な活性を有する触媒は、例えば、以下の三つの処理方法により得ることができる。
【0087】
触媒処理方法1:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気と接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0088】
特に、上記処理方法1は、例えば、以下の条件で実行される。
【0089】
新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、そして、水蒸気を流動床の底に供給する。触媒の流動化は水蒸気の作用下で達成され、そして、同時に触媒を水蒸気により熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る。熟成温度は、約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。
【0090】
触媒処理方法2:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体に接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0091】
特に、触媒処理方法2の技術的解決法は、例えば、以下の条件で実行される。
【0092】
触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体を流動床の底に供給する。触媒の流動化は、水蒸気を含む熟成媒体の活性下で達成され、同時に触媒を、水蒸気を含む熟成媒体により熟成し、比較的均一な活性を有する触媒を得る。熟成温度は約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0.20〜約0.9の範囲内であり、好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。熟成媒体には、空気、乾燥ガス、再生燃料ガス、空気を燃焼することにより得られるガス、並びに、空気を燃焼すること、及び、オイルを燃焼することにより得られる乾燥ガス又はガス、若しくは窒素ガスのようなその他のガスを含む。水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0.2〜約0.9の範囲内であり、好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内である。
【0093】
触媒処理方法3:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、再生装置内の熱再生触媒を流動床に供給し、流動床内で熱交換を行う工程;
(2)熱交換された新しい触媒を水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体と接触し、特定の水熱条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(3)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0094】
特に、本発明の技術的解決法を、例えば、以下の条件で実行する。
【0095】
新しい触媒を、流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、同時に、再生装置内の熱再生触媒を、流動床内に取り込む。水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体を、流動床の底に供給する。新しい触媒の流動化は、水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体下で達成される。同時に、新しい触媒は、水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体により熟成され、比較的均質な活性を有する触媒を得る。熟成温度は約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。水蒸気を含む熟成媒体条件下で、水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0〜約4の範囲内であり、好ましくは約0.5〜約1.5の範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。さらに、熟成工程後、水蒸気を反応系(回収蒸気、コークス化防止蒸気、噴霧蒸気、及び、揚力蒸気からなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、それぞれ、回収装置、沈降装置、原料ノズル及び前揚力ゾーンに加える)、又は、再生系に供給する。熟成工程後、水蒸気を含む熟成媒体を再生系に供給し、熱交換された再生触媒を再生装置にリサイクル・バックする。熟成媒体は、空気、乾燥ガス、再生燃料ガス、空気を燃焼することにより得られるガス、並びに、空気を燃焼すること、及び、オイルを燃焼することにより得られる乾燥ガス又はガス、若しくは窒素ガスのようなその他のガスを含む。
【0096】
上述の処理方法に関して、産業反応ユニットにおける触媒の活性分布及び選択性分布はより均質である:触媒の選択性を、乾燥ガス及びコークスの収率が有意に減少するために、顕著に向上させる。
【0097】
触媒の粒子サイズ分布は、従来の触媒分解の触媒の粒子サイズ分布、又は、粗い粒子サイズ分布であってもよい。より好ましい実施形態において、触媒は、粗い粒子サイズ分布を有する触媒を用いることにより特徴付けられる。
【0098】
上記粗い粒子サイズ分布を有する触媒は、全粒子の体積に対して、約10体積%未満(好ましくは5体積%未満)で40μm未満の粒子サイズを有する粒子を含み、全粒子の体積に対して、約15体積%未満(好ましくは約10体積%未満)で80μmより大きい粒子サイズを有する粒子を含み、且つ、残りが40μm〜80μmの粒子サイズを有する粒子である。
【0099】
流動触媒分解軽油を導入する可変の直径を備えるライザー反応装置の詳細については、中国公開公報第1237477号を参照してもよい。
【0100】
より好ましい実施形態において、反応装置は、ライザー、均等な線速度を備える流動床、均等な直径を備える流動床、上流コンベヤーライン、及び、下流コンベヤーライン、又はそれらの組み合わせ、若しくは二つ又はそれ以上の同一反応装置の組み合わせから選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、その組み合わせには、直列又は/及び並列の組み合わせが含まれる。ライザーは、均等な直径を備える従来のライザー、又は、可変の直径を備える様々なライザーである。
【0101】
より好ましい実施形態において、原料油は、一点から反応装置に供給され、又は、同一の高さ又は異なる高さで多数の点から反応装置に供給される。
【0102】
より好ましい実施形態において、上記プロセスは、さらに、反応生成物を触媒から分離する工程、使用済み触媒を回収しコークス燃焼する工程、及び、それを反応装置にリサイクルする工程を含み、分離された生成物には、高いセタン価を有するディーゼル燃料及び流動触媒分解軽油が含まれる。
【0103】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、少なくとも330℃の初留点を有し、且つ、少なくとも10.8重量%の水素含有量を有するフラクションである。
【0104】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、少なくとも350℃の初留点を有し、且つ、少なくとも11.5重量%の水素含有量を有するフラクションである。
【0105】
水素化分解反応システムには、処理装置及び分解反応装置が含まれ、その両方が固定相反応装置である。他のタイプの反応装置を用いてもよい。
【0106】
処理反応装置及び分解反応装置に、ぞれぞれ、通常、水素化処理触媒及び水素化分解触媒を取り込む。
【0107】
上記水素化処理触媒は、アモルファスのアルミナ担体又は/及びシリコン−アルミニウム担体に支持された、第VIB族又は/および第VIII族の非貴金属の触媒であり、上記水素化分解触媒は、モレキュラーシーブに支持された、第VIB族又は/および第VIII族の非貴金属の触媒である(ただし、上記第VIB族の非貴金属は、モリブデン又は/及びタングステンであり、上記第VIII族の非貴金属は、ニッケル、コバルト及び鉄から選ばれる一つ又はそれ以上の金属である)。水素化分解触媒を支持するモレキュラーシーブは、Yモレキュラーシーブ、βモレキュラーシーブ、ZSM−5モレキュラーシーブ、SAPOモレキュラーシーブからなる一群から選ばれるモレキュラーシーブのうち一つ又はそれ以上のものである。
【0108】
水素化分解は、約4.0MPa〜約20.0MPaの水素分圧、約280℃〜約450℃の反応温度、約0.1h−1〜約20h−1の体積空間速度(volume hourly space velocity)、約300〜約2000v/vの水素/オイルの比の条件下で行われる。本明細書において、水素/オイルの比は、流動触媒分解軽油に対する水素の体積比を意味している。
【0109】
本発明の一つの形態において、本発明は、ディーゼル燃料のセタン・バレルを増大するための触媒転換プロセスを提供するものであり、原料油は、触媒の転換反応装置内で、比較的均質な活性を有し主に大細孔ゼオライトを含む触媒分解の触媒と接触されられる(ここで、反応温度、オイル蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比は、ディーゼル燃料を含む反応生成物を得るために十分なものであり、原料油の重量に対する流動触媒分解軽油の量は約12重量%〜約60重量%;反応温度は約420℃〜約550℃の範囲内;オイル蒸気滞留時間は約0.1秒〜約5秒の範囲内;触媒分解触媒/原料油の重量比は約1〜約10であり、さらに処理し高品質の水素化された流動触媒分解軽油を得るために、流動触媒分解軽油の全て又は一部を水素化処理ユニットに導入する)。
【0110】
好ましい実施形態において、水素化処理された流動触媒分解軽油を、従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザーを導入し、さらに、ディーゼル燃料及びガソリンを含む生成物を製造することができる。好ましい実施形態において、水素化された流動触媒分解軽油を、触媒転換反応装置に戻して導入することができる。
【0111】
より好ましい実施形態において、反応温度は、約430℃〜約500℃の範囲内であり、好ましくは約430℃〜約480℃の範囲内である。
【0112】
より好ましい実施形態において、オイル蒸気滞留時間は、約0.5秒〜約4秒の範囲内であり、約0.8秒〜約3秒の範囲内であることが好ましい。
【0113】
より好ましい実施形態において、触媒/原料油の重量比は約2〜約8であり、約3〜約6であることが好ましい。
【0114】
より好ましい実施形態において、反応圧は約0.10MPa〜約1.0MPaの範囲内であり、約0.15MPa〜約0.6MPaの範囲内であることが好ましい。
【0115】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油の水素化分解されたトール油を、さらに処理するために、従来の触媒分解反応装置、及び/又は、可変の直径を備えるライザー、及び/又は、本発明の触媒転換ユニット、及び/又は、水素化分解ユニットに供給する。
【0116】
より好ましい実施形態において、上記原料油は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油から選ばれるもの、又は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油を含むものであり、石油系炭化水素は、減圧軽油、常圧軽油、コーカ軽油、脱アスファルト油、減圧蒸留残油、及び、常圧蒸留残油、又は、それらのうち二種又はそれ以上の混合物からなる一群から選ばれるものであり、その他の鉱油は、液化石油、油砂油、及び、頁岩油、又は、それらのうち二種又はそれ以上の混合物からなる一群から選ばれるものである。
【0117】
より好ましい実施形態において、上記触媒は、主に、ゼオライト、無機酸化物、及び、粘土(乾燥ベースでの触媒の総重量に対して、約5重量%〜約50重量%、好ましくは約10重量%〜約30重量%のゼオライト、約0.5重量%〜約50重量%の無機酸化物、及び、0重量%〜約70重量%の粘土)を含む大細孔ゼオライトを含み、ここで、ゼオライトが活性成分として用いられて大細孔ゼオライトから選ばれる。大細孔ゼオライトは、レア・アースY、レア・アースH−Y(レア・アース水素Y)、様々な方法で得られる超安定Y、及び、高シリカYのうち一つ又はそれ以上から選ばれるものである。
【0118】
基質としての無機酸化物は、SiO及び/又はAlからなる一群から選ばれるものである。乾燥ベースにおいて、無機酸化物は、約50重量%〜約90重量%のシリカ、及び、約10重量%〜約50重量%のアルミナを含む。
【0119】
バインダとしての粘土は、カオリン、メタハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻土(ダイアトマイト)、ハロイサイト、サポナイト、レクトライト、海泡石(セピオライト)、アタパルガイト(アパルジャイト)、ハイドロタルサイト、及び、ベントナイトからなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものである。
【0120】
比較的均質な活性を備える触媒は、約80以下の初期活性、好ましくは約75以下の初期活性、より好ましくは約70以下の初期活性を有し、約0.1h〜約50hの範囲内の自動均衡時間、好ましくは約0.2h〜約30hの範囲内の自動均衡時間、より好ましくは約0.5h〜約10hの範囲内の自動均衡時間を有し、約35〜約60の範囲内の平衡活性、好ましくは約40〜約55の範囲内の平衡活性を有する。
【0121】
触媒の上記初期活性、又は、以下に言及されるような新しい触媒の活性は、軽油マイクロ・リアクション・ユニットにより評価される触媒活性を意味している。これは先行技術の測定方法(触媒分解の新しい触媒のためのエンタープライズ・スタンダードRIPP 92-90−マイクロ−リアクション活性試験(石油化学分析法(RIPP試験法)(Yang Cuiding et al, 1990)(以下「RIPP 92-90」として言及する)))により測定され得る。触媒の初期活性は、軽油のマイクロ・リアクション活性(MA)により表され、以下の公式により計算される:
MA
=((生成物中の204℃未満の温度を有するガソリンの生産量+ガスの生産量+コークスの生産量)/原料油の総量)×100%
=生成物中の204℃未満の温度を有するガソリンの生成率+ガスの生成率+コークスの生成率
軽油のマイクロ・リアクション・ユニットの評価条件には、以下の条件で触媒を粒子に微粉砕し評価することが含まれる:約420〜841μmの粒径;5gの粒子の質量;直留ライト・ディーゼル燃料であり235℃〜337℃の範囲内の蒸留範囲を有する反応原料;460℃の反応温度;16h−1の重量空間速度;及び、3.2の触媒/オイルの比。
【0122】
触媒の自動均衡時間は、800℃で熟成し100%の水蒸気の平衡活性を達成するために必要な時間である(「RIPP 92-90」による)。
【0123】
比較的均質な活性を有する触媒は、例えば、以下の三つの処理方法により得ることができる。
【0124】
触媒処理方法1:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気と接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0125】
特に、上記処理方法1は、例えば、以下の条件で実行される。
【0126】
新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、そして、水蒸気を流動床の底に供給する。触媒の流動化は水蒸気の作用下で達成され、そして、同時に触媒を水蒸気により熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る。熟成温度は、約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。
【0127】
触媒処理方法2:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体に接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0128】
特に、触媒処理方法2の技術的解決法は、例えば、以下の条件で実行される。
【0129】
触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体を流動床の底に供給する。触媒の流動化は、水蒸気を含む熟成媒体の活性下で達成され、同時に触媒を、水蒸気を含む熟成媒体により熟成し、比較的均一な活性を有する触媒を得る。熟成温度は約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0.20〜約0.9の範囲内であり、好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。熟成媒体には、空気、乾燥ガス、再生燃料ガス、空気を燃焼することにより得られるガス、並びに、空気を燃焼すること、及び、オイルを燃焼することにより得られる乾燥ガス又はガス、若しくは窒素ガスのようなその他のガスを含む。水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0.2〜約0.9の範囲内であり、好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内である。
【0130】
触媒処理方法3:
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、再生装置内の熱再生触媒を流動床に供給し、流動床内で熱交換を行う工程;
(2)熱交換された新しい触媒を水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体と接触し、特定の水熱条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(3)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程。
【0131】
特に、本発明の技術的解決法を、例えば、以下の条件で実行する。
【0132】
新しい触媒を、流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、同時に、再生装置内の熱再生触媒を、流動床内に取り込む。水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体を、流動床の底に供給する。新しい触媒の流動化は、水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体下で達成される。同時に、新しい触媒は、水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体により熟成され、比較的均質な活性を有する触媒を得る。熟成温度は約400℃〜約850℃の範囲内であり、好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内であり、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内である。流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内であり、好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内である。熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内であり、好ましくは約5h〜約360hの範囲内である。水蒸気を含む熟成媒体条件下で、水蒸気の熟成媒体に対する重量比は、約0〜約4の範囲内であり、好ましくは約0.5〜約1.5の範囲内である。産業ユニットにおける必要要件に従って、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットに取り込み、好ましくは、比較的均質な活性を有する触媒を、産業ユニットの再生装置に取り込む。さらに、熟成工程後、水蒸気を反応系(回収蒸気、コークス化防止蒸気、噴霧蒸気、及び、揚力蒸気からなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、それぞれ、回収装置、沈降装置、原料ノズル及び前揚力ゾーンに加える)、又は、再生系に供給する。熟成工程後、水蒸気を含む熟成媒体を再生系に供給し、熱交換された再生触媒を再生装置にリサイクル・バックする。熟成媒体は、空気、乾燥ガス、再生燃料ガス、空気を燃焼することにより得られるガス、並びに、空気を燃焼すること、及び、オイルを燃焼することにより得られる乾燥ガス又はガス、若しくは窒素ガスのようなその他のガスを含む。
【0133】
上述の処理方法に関して、産業反応ユニットにおける触媒の活性分布及び選択性分布はより均質である:触媒の選択性を、乾燥ガス及びコークスの収率が有意に減少するために、顕著に向上させる。
【0134】
触媒の粒子サイズ分布は、従来の触媒分解の触媒の粒子サイズ分布、又は、粗い粒子サイズ分布であってもよい。より好ましい実施形態において、触媒は、粗い粒子サイズ分布を有する触媒を用いることにより特徴付けられる。
【0135】
上記粗い粒子サイズ分布を有する触媒は、全粒子の体積に対して、約10体積%未満(好ましくは5体積%未満)で40μm未満の粒子サイズを有する粒子を含み、全粒子の体積に対して、約15体積%未満(好ましくは約10体積%未満)で80μmより大きい粒子サイズを有する粒子を含み、且つ、残りが40μm〜80μmの粒子サイズを有する粒子である。
【0136】
流動触媒分解軽油を導入する可変の直径を備えるライザー反応装置の詳細については、中国公開公報第1237477号を参照してもよい。
【0137】
より好ましい実施形態において、反応装置は、ライザー、均等な線速度を備える流動床、均等な直径を備える流動床、上流コンベヤーライン、及び、下流コンベヤーライン、又はそれらの組み合わせ、若しくは二つ又はそれ以上の同一反応装置の組み合わせから選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、その組み合わせには、直列又は/及び並列の組み合わせが含まれる。ライザーは、均等な直径を備える従来のライザー、又は、可変の直径を備える様々なライザーである。
【0138】
より好ましい実施形態において、原料油は、一点から反応装置に供給され、又は、同一の高さ又は異なる高さで多数の点から反応装置に供給される。
【0139】
より好ましい実施形態において、上記プロセスは、さらに、反応生成物を触媒から分離する工程、使用済み触媒を回収しコークス燃焼する工程、及び、それを反応装置にリサイクルする工程を含み、分離された生成物には、高いセタン価を有するディーゼル燃料及び流動触媒分解軽油が含まれる。
【0140】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、少なくとも330℃の初留点を有し、且つ、少なくとも10.8重量%の水素含有量を有するフラクションである。
【0141】
より好ましい実施形態において、流動触媒分解軽油は、少なくとも350℃の初留点を有し、且つ、少なくとも11.5重量%の水素含有量を有するフラクションである。
【0142】
水素化処理のための反応システムは、通常、固定相反応装置が含まれ、同時に、他のタイプの反応装置も用いてもよい。
【0143】
流動触媒分解軽油のための水素化処理触媒は、活性成分としての元素周期表の第VIII族/第VIB族の金属、及び、支持材としてのアルミナ及びゼオライトを用いる。特に、水素化処理触媒には、支持材、並びに、それに支持されたモリブデン及び/又はタングステン、並びに、ニッケル及び/又はコバルトが含まれる。水素化処理触媒には、触媒の総重量に基づく酸化物に対して、約10重量%〜約35重量%(好ましくは約18重量%〜約32重量%)の量のモリブデン及び/又はタングステン;並びに、約1重量%〜約15重量%(好ましくは約3重量%〜約12重量%)の量のニッケル及び/又はコバルトが含まれる。上記支持材は、アルミナのゼオライトに対する重量比が約90:10〜約50:50(好ましくは約90:10〜約60:40)の範囲内となる量のアルミナ及びゼオライトから構成されている。アルミナは、小細孔アルミナ及び大細孔アルミナが、約75:25〜約50:50の範囲内の重量比となるように混合されており、上記小細孔アルミナには、細孔の総体積に対して、95体積%又はそれ以上の80オングストローム未満の直径を有する細孔が含まれ、上記大細孔アルミナには、細孔の総体積に対して、70体積%又はそれ以上の60〜600オングストロームの直径を有する細孔が含まれる。上記ゼオライトは、フージャサイト(ファージャサイト)、モルデナイト(モルデン沸石)、エリオナイト(エリオン沸石)、L型ゼオライト、Ωゼオライト、ZSM−4ゼオライト及びベータ・ゼオライトからなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、好ましくはY型ゼオライトであり、特に好ましくは、全ての酸の量が約0.02mmol/g〜約0.5mmol/g(好ましくは約0.05mmol/g〜約0.2mmol/g)の範囲内であるY型ゼオライトである。
【0144】
水素化処理は、約3.0MPa〜約20.0MPaの水素分圧、約280℃〜約450℃の反応温度、約0.1h−1〜約20h−1の体積空間速度(volume hourly space velocity)、約300〜約2000v/vの水素/オイルの比の条件下で行われる。本明細書において、水素/オイルの比は、流動触媒分解軽油に対する水素の体積比を意味している。
【0145】
流動触媒分解軽油のための水素化処理触媒は、以下の工程を含むプロセスにより得られる。
【0146】
アルミナの前駆材料及びゼオライトを混合して成形し、焼成し、ニッケル及び/又はコバルト、並びに、モリブデン及び/又はタングステンを含む水溶液に浸漬し、その後、乾燥し、焼成する。アルミナの前駆材料は、細孔の総体積に対して95体積%又はそれ以上の80オングストローム未満の直径を有する細孔が含まれる小細孔アルミナの前駆材料、及び、細孔の総体積に対して70体積%又はそれ以上の60〜600オングストロームの直径を有する細孔が含まれる大細孔アルミナの前駆材料の混合物である。小細孔アルミナの前駆材料の量、大細孔アルミナの前駆材料の量、及び、ゼオライトの量は、約75:25〜約50:50の範囲内の大細孔アルミナに対する小細孔アルミナの重量比、約90:10〜約50:50(好ましくは約90:10〜約60:40)の範囲内のゼオライトに対するアルミナの総重量の重量比、の範囲内で選ばれる量である。小細孔アルミナの前駆材料は、アルミナ一水和物を60重量%以上含むアルミナ水和物であり、大細孔アルミナの前駆体は、アルミナ一水和物を50重量%以上含むアルミナ水和物である。
【0147】
本発明の技術的解決法は、低水素含有量の重質原料からの、高いセタン価を有するディーゼル燃料の最大限の生産量が達成できるように、触媒分解、水素化処理、及び、水素化分解を組み合わせることである。
【0148】
本発明は、先行技術に比べて、以下の技術的利点を有している:
1.原料におけるアルカン、アルキル芳香族の側鎖等を、選択的に、最大限の生産量で、生成物のディーゼル燃料フラクションに分解する(その分解は、ディーゼル燃料の主成分がアルカンとなるように、処理パラメーター及び触媒の特質を最適に制御することで行う)(例えば、高いセタン価を有するディーゼル燃料を、触媒転換により生成することができる)。
【0149】
2.多様な性質を有する炭化水素を、各々、適切な反応条件下で選択的に反応し、乾燥ガス及びコークスの選択性を改良し、粗い粒子サイズ分布を有する触媒により、さらに、乾燥ガス及びコークスの選択性を改良する。
【0150】
3.重油を、本発明のプロセスにより触媒転換する(例えば、流動触媒分解軽油は、主に、芳香族化合物成分を含む)。この性質は、原料の性質を伴い相対的に低く変化する(水素化処理ユニット及び/又は水素化分解ユニットへの供給が安定し、これに対して、稼動サイクルが長くなる)。
【0151】
4.粒子がより均質なので、再生反応中の触媒の局所的温度分布がより均一になり、これに対して、触媒の破砕傾向が減少する。
【0152】
5.触媒の消費量が減少し、且つ、流動触媒分解軽油に含まれる触媒含有量が減少する。
【0153】
別段で明示が無い限り、本発明で用いられている全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されている方法及び材料と同様又は等しい方法及び材料を、実施又は試験にて用いることができるが、適切な方法及び材料を以下に示す。矛盾点がある場合、定義を含む明細書により制御され得る。さらに、材料、方法、実施例は説明のみを目的とするものであり、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0154】
本明細書にて用いられている「〜を含む」という用語は、最終結果に影響しない他の工程及び他の材料が加わっているということを意味している。この用語には、「〜からなる」及び「本質的に〜からなる」という用語が含まれる。
【0155】
「方法」又は「工程」という用語は、限定するわけではないが、既知である様式、手段、技法、及び、手順、又は、化学の熟練者及び化学の技術者により、既知である様式、手段、技法、及び、手順から容易に開発できる様式、手段、技法、及び、手順を含む、既知の作業を達成するための様式、手段、技法、及び、手順を示している。
【0156】
本公開において、本発明の様々な形態を範囲形式で示すことができる。範囲形式の記載は、単に、便宜のために及び簡潔に表現するためのものであると理解するべきであり、本発明の範囲を頑なに制限するものであると解釈するべきではない。その結果、範囲の記載は、その範囲における個別の数値に加えて、可能な部分的範囲を全て示すものであると考えるべきである。1〜6のような範囲の記載は、例えば、1、2、3、4、5及び6のような範囲内の個別の数値に加えて、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等のような部分的範囲を示すものであると考えるべきである。これは、範囲の幅の無視を適用する。
【0157】
本明細書で示されている数値範囲はいつでも、示された範囲内で、いかなる範囲の数(分数又は整数)も示していることを意味している。本明細書で用いられている、置き換え可能な「(第1表示数)と(第2表示数)の間」、及び、「(第1表示数)〜(第2表示数)の範囲内」という表現は、(第1表示数)及び(第2表示数)並びにその範囲内の全ての分数及び整数を含むことを意味している。
【0158】
〔図面の簡単な説明〕
本発明は、明細書にて、添付の図面に関して、実施例の方法のみに基づき説明される。詳細に記載された特定の図面と共に示された事項は、実施例の方法に基づき、且つ、本発明の好ましい実施形態のみを図解で説明することを目的としており、最も有用で容易に理解できる、本発明に係る原理及び概念形態の記載の内容を提供するために示しているということを強く主張する。この点で、本発明の基本的理解のため以上に、必要な詳細な本発明の細部構造を示すことを意図しておらず、発明の様々な形態を実際にどのように具体化するのかを、当業者において明確である図面を伴う描写以上に、必要な詳細な本発明の細部構造を示すことを意図していない。
【0159】
図1は、本発明に係る一実施例の概略のフローチャートである。
【0160】
図2は、本発明に係る一実施例の概略の図である。
【0161】
〔概略のフローチャートの詳細な説明〕
図面は、本発明が提供するプロセスを説明することを意図し、制限することを意図しない。
【0162】
図1は、本発明に係る一実施例の概略のフローチャートである。
【0163】
概略のフローチャートは以下のような内容を示す:
図1に示されたように、原料油を触媒分解反応装置1’に導入し、触媒ディーゼル燃料、流動触媒分解ガス等の組成物を得た。ここで、触媒ディーゼル燃料は、経路5’経由で引き出され、流動触媒分解軽油の全て又は一部を経路6’及び経路8’経由で引き出す。
【0164】
又は/及び、流動触媒分解軽油の全て又は一部を、経路6’及び経路7’経由で従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザー2’に導入し、ディーゼル燃料、ガソリン及びその他の生成物を得る。
【0165】
又は/及び、流動触媒分解軽油の全て又は一部を、経路6’,経路9’及び経路10’経由の水素化処理ユニット2’に導入し、水素化処理された流動触媒分解軽油を、経路11’経由で従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザー3’に導入し、ディーゼル燃料、ガソリン及びその他の生成物を得る。
【0166】
又は/及び、流動触媒分解軽油の全て又は一部を、経路6’,経路9’及び経路12’経由の水素化分解ユニット4’に導入し、流動触媒分解軽油の水素化分解されたトール油を引き出し、従来の触媒分解反応装置、可変の直径を備えるライザー、及び、発明に係るユニットに導入し、ディーゼル燃料、ガソリン及びその他の生成物を得る。
【0167】
〔実施例の詳細な説明〕
図面は、本発明が提供するプロセスを説明することを意図し、制限することを意図しない。
【0168】
技術的プロセスは以下のような内容を示す。
【0169】
図2に示すように、再生触媒は、再生スタンドパイプ12及びスライド・バルブ11経由で、ライザー4の底の前揚力セクション(prelifting section)2に入る。前揚力媒体(prelifting medium)も経路1経由で前揚力セクション2に入る。前揚力媒体の作用下で、再生触媒は、前揚力セクション2を通じてライザー4のより低い部分の反応ゾーンIに入る。触媒の原料油も、経路3経由で、ライザー4のより低い部分の反応ゾーンIに入り、触媒と接触して反応し、反応ゾーンIIへと上方に流れる。反応後のオイル/触媒混合物は、ライザーの排出口からサイクロン分離装置7に入り、サイクロン分離装置7によりガス−固体分離がなされる。分離後のオイル蒸気は、反応装置容器の回収室6に入る。オイル蒸気と分離した使用済み触媒は、回収セクション5へと下方に流れ、そこで、過熱蒸気と共に回収される。回収された使用済み触媒は、再生のために、使用済み触媒スタンドパイプ8及びスライド・バルブ9を経由して、再生装置10に入る。主要な空気は、経路20経由で再生装置10に入る。使用済み触媒上でコークスを燃焼させ、不活性な使用済み触媒を再生し、燃料ガスは、パイプライン21経由で排気装置に入る。再生触媒は、再利用のために、スタンドパイプ12及びスライド・バルブ11経由で、揚力セクション2に供給され戻される。
【0170】
回収室6内のオイル蒸気は、主要オイル蒸気パイプライン13経由で、次の分離システム14に供給される。分離後に得られる乾燥ガス、液化ガス、ガソリン、ディーゼル燃料及び流動触媒分解軽油は、それぞれ、経路15,経路16,経路17,経路18及び経路19経由で引き出される。
【0171】
経路19からの流動触媒分解軽油の全て又は一部は、直接排出されることができ、又は/及び、従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザーに導入されることができ、又は/及び、ライザーに供給される水素化処理された流動触媒分解軽油を得るために、水素化処理ユニットに導入されることができ、又は/及び、水素化分解反応装置に導入されることができる。従って、流動触媒分解軽油は、目的の生成物を得るために、更に処理される。
【0172】
以下の実施例は、本発明の効果を説明するために用いられ、本発明の範囲を本明細書に示された詳細な実施例に限定することを意図するものではない。
【0173】
実施例で用いられている原料油は、減圧軽油(VGO−D)及び常圧蒸留残油(AR)であり、それらの性質を表1にまとめる。
【0174】
本発明の実施例で用いた触媒のゼオライトは、熟成された高シリカ・ゼオライトである。当該高シリカ・ゼオライトは、以下の工程により得られた:NaYを用い、SiCl蒸気相処理及びレアアースイオン交換を行い、18のシリカ/アルミナの比、及び、2重量%(REに対して算出される)のレア・アース含有量を有するサンプルを得る工程;このサンプルを800℃且つ100%の蒸気で熟成させる工程。ハロイサイト(「China Kaolin Clay Company」社製、固体含有量73%)969gを、脱カチオン水(decationic water)4300gを用いて懸濁した。擬ベーマイト(「Shandong Zibo Boehmite Factory」社製、固体含有量64%)781g、及び、塩酸(濃度30%、比重1.56)144mLをここに添加して均等に撹拌し、60℃で1時間熟成させた。そのpHを2〜4に維持し、その温度を室温まで下げた。次に、予め用意した高シリカ・ゼオライト800g(乾燥ベース)及び化学水2000gを含むゼオライト・スラリーをそこに添加して均質に撹拌し、スプレー法により乾燥し、遊離Naを洗浄除去した後、触媒を得た(新しい触媒の触媒活性79、800℃且つ100%の蒸気の条件下での自動均衡時間10h、平衡活性55を有する)。得られた触媒を800℃且つ100%の蒸気で熟成させた。こうして熟成させた触媒をAとした。熟成させた触媒Aの一部を選別し、細かい粒子を除去した。得られた粗い粒子サイズ分布を有する触媒としての、100μmより大きい粒子サイズを有する粒子をBとした。これらの触媒の性質を表2に示した。
【0175】
実施例で用いられる水素化処理触媒及び水素化分解触媒は、それぞれ、RN−2及びRT−1の商品番号を有し、その両方は、「SINOPEC Catalyst Company」の「Changling catalyst factory」製である。
【0176】
〔実施例1〕
本実施例では、選択的分解反応を通じて高品質のライト・ディーゼル燃料及び流動触媒分解軽油を得るための本発明に係るプロセスを用いる場合を説明する。
【0177】
パイロット・スケールの触媒分解ユニットのフローチャートを図2に示した。原料油VGO−Dを経路3からライザー反応装置に注入し、ライザー反応装置の低い部分で蒸気揚力触媒(steam-lifted catalyst)Bを接触させ反応させた。ライザー反応装置内の原料油に対する触媒Bの重量比は4:1であった。ライザー反応装置内の原料油の滞留時間は1.6秒であった。反応温度は460℃であった。回収室内の圧力は0.15MPaであった。サイクロン分離装置により分離した後、ライザーからのオイル蒸気を、下流のフラクション・システムに供給した。コークスを含む使用済み触媒を、回収セクションに導入した。回収された使用済み触媒を再生装置内で再生し、再生された触媒を、再利用するために、ライザー反応装置に供給して戻した。実験条件及び実験結果を表3にまとめ、ディーゼル燃料の性質を表4にまとめた。
【0178】
〔比較例1〕
本実験を、上記実施例1で用いたライザー反応装置と同様のライザー反応装置を用いて行った。原料油、実験工程及び方法は、上記実施例1で用いた触媒Bを、触媒Aに変更した点以外は、上記実施例1の原料油、実験工程及び方法と同様とした。実験条件及び生成物の分布を表3にまとめた。実験結果を表3にまとめ、ディーゼル燃料の性質を表4にまとめ、そして、流動触媒分解軽油の性質を表5にまとめた。
【0179】
表3から判るように、本発明の実施例における乾燥ガスの生成率、及び、コークスの生成率は、比較例に比べて、有意義に低くなっている。表4から判るように、本発明の実施形態におけるディーゼル燃料の性質は、比較例に比べて、僅かに改善している(セタン価53と52)。
【0180】
【表1】

【0181】
【表2】

【0182】
【表3】

【0183】
【表4】

【0184】
【表5】

【0185】
〔実施例2〕
本実施例では、選択的分解反応を通じて高品質のライト・ディーゼル燃料及び低オレフィン・ガソリンを得るための本発明に係るプロセスを用いた場合を説明する。
【0186】
パイロット・スケールの触媒分解ユニットのフローチャートを図2に示した。原料油VGO−Dを経路3からライザー反応装置に注入し、ライザー反応装置の低い部分で蒸気揚力触媒Bを接触させ反応させた。ライザー反応装置内の原料油に対する触媒Bの重量比は4:1であった。ライザー反応装置内の原料油の滞留時間は1.6秒であった。反応温度は460℃であった。回収室内の圧力は0.15MPaであった。サイクロン分離装置により分離した後、分離することによってディーゼル燃料の目的生成物、流動触媒分解軽油等を得るために、ライザーから回収されたオイル蒸気を、下流のフラクション・システムに供給した。コークスを含む使用済み触媒を、回収セクションに導入した。回収された使用済み触媒を再生装置内で再生し、再生された触媒を、再利用するために、ライザー反応装置に供給して戻した。
【0187】
こうして得られた流動触媒分解軽油を、触媒転換のために、可変の直径のライザー反応装置に直接導入した。上記と同様の触媒Bを用い、可変の直径を備えるライザー反応装置における流動触媒分解軽油に対する触媒Bの重量比は6:1であった。ライザー反応装置における流動触媒分解軽油の滞留時間は5.5秒であった。第1反応ゾーン(ゾーンIと略す)の温度は510℃であり、一方で、第2反応ゾーン(ゾーンIIと略す)の温度は490℃であった。可変の直径を備えるライザーからのオイル蒸気を、サイクロン分離装置により分離した後、分離することによってディーゼル燃料、ガソリン等の目的生成物を得るため、下流の分別システムに供給した。ディーゼル燃料の性質を実施例1と比較できるように、実験条件及び実験結果を表6にまとめ、ガソリンの性質を表7にまとめた。
【0188】
表6から判るように、本実施例では、乾燥ガスの生成率が0.96%のみであり、コークスの生成率が2.78%のみであり、重油の生成率が2.24%のみであり、一方で、総液体の生成率(液体石油ガスの生成率+ガソリンの生成率+ライト・ディーゼルの生成率+ライト・サイクル・オイルの生成率)は、93.63%程度の高さであった。高品質のディーゼル燃料が生成された一方で、低オレフィン含有量のガソリン生成物が生成された。
【0189】
【表6】

【0190】
【表7】

【0191】
〔実施例3〕
本実施例では、触媒分解及び水素化分解を組み合わせたプロセスによる、選択的分解反応を通じて、高品質ライト・ディーゼル燃料を得るための本発明に係るプロセスを用いた場合を説明する。
【0192】
パイロット・スケールの触媒分解ユニットのフローチャートを図2に示した。原料油(VGO−D)を経路3からライザー反応装置に注入し、ライザー反応装置の低い部分で蒸気揚力触媒Bを接触させて反応させた。ライザー反応装置内の原料油に対する触媒Bの重量比は4:1であった。ライザー反応装置内の原料油の滞留時間は1.6秒であった。反応温度は460℃であった。回収室内の圧力は0.15MPaであった。サイクロン分離装置により分離した後、分離することによってディーゼル燃料の目的生成物及び流動触媒分解軽油を得るために、ライザーからのオイル蒸気を、下流のフラクション・システムに供給した。コークスを含む使用済み触媒を、回収セクションに導入した。回収された使用済み触媒を再生装置内で再生し、再生された触媒を、再利用するために、ライザー反応装置に供給して戻した。流動触媒分解軽油を、下流の水素化分解ユニットに供給した。水素化分解のための反応条件は:処理反応温度370℃、分解反応温度380℃、水素分圧12.0MPa、体積空間速度1.2h−1であった。試験の条件及び方法を表8にまとめた。触媒ディーゼル燃料の性質を、実施例1のライト・ディーゼル燃料と比較するために、水素化分解ディーゼル燃料の性質を表9にまとめ、水素化分解されたトール油の性質を表10にまとめた。
【0193】
表8から判るように、本実施例では、触媒ディーゼル燃料の生成率は、29.76重量%程度の高さであり、水素化分解ディーゼル燃料の生成率は18.63重量%程度の高さであり、乾燥ガスの生成率は0.48重量%だけであり、コークスの生成率は1.78重量%のみとなった。表4及び表9から判るように、実施例1により得られる触媒ディーゼル燃料のセタン価は53程度の高さであり、実施例3により得られる水素化分解ディーゼル燃料のセタン価は68.2程度の高さであり、ディーゼル燃料のセタン・バレルは、2847.846程度の高さであり(即ち、29.76×53+18.63×68.2)、そして、副生成物としての水素化トール油のBMCI値は、15.6に達し、触媒分解反応装置のような反応装置のための比較的有利な性質を備える原料として有用である。
【0194】
【表8】

【0195】
【表9】

【0196】
〔実施例4〕
本実施例では、触媒分解及び水素化処理を組み合わせたプロセスによる、選択的分解反応を通じて、高品質ライト・ディーゼル燃料を得るための本発明に係るプロセスを用いた場合を説明する。
【0197】
パイロット・スケールの触媒分解ユニットのフローチャートを図2に示した。常圧蒸留残油(AR)を経路3からライザー反応装置に注入し、ライザー反応装置の低い部分で蒸気揚力触媒Aを接触させ反応させた。ライザー反応装置内の原料油に対する触媒Bの重量比は3:1であった。ライザー反応装置内の原料油の滞留時間は1.6秒であった。反応温度は450℃であった。回収室内の圧力は0.2MPaであった。サイクロン分離装置により分離した後、分離することによってディーゼル燃料の目的生成物、流動触媒分解軽油等を得るために、ライザーからの蒸気を、下流のフラクション・システムに供給した。コークスを含む使用済み触媒を、回収セクションに導入した。回収された使用済み触媒を再生装置内で再生し、再生された触媒を、再利用するために、ライザー反応装置に供給して戻した。流動触媒分解軽油を、下流の水素化処理ユニットに供給した。水素化処理のための反応条件は:水素分圧14MPa、反応温度385℃、及び、体積空間速度0.235h−1であった。ユニットから水素化処理流動触媒分解軽油は、触媒分解ユニットに供給され戻された。試験条件及び試験結果を表10にまとめた。ディーゼル燃料の性質を表11にまとめた。
【0198】
表10から判るように、本実施例において、ディーゼル燃料の生成率は、46.51重量%程度の高さであり。表11から判るように、本実施例において、ディーゼル燃料のセタン価は52.5程度の高さであり、ディーゼル燃料のセタン・バレルは、2441.78程度の高さである。
【0199】
〔実施例5〕
本実験を、上記実施例4で用いたライザー反応装置と同様のライザー反応装置を用いて行った。原料油、実験工程及び方法は、上記実施例4で用いた粗い粒子サイズを有する触媒Bを、従来の粒子サイズを有する触媒Aに変更した点以外は、上記実施例1の原料油、実験工程及び方法と同様とした。試験の条件及び結果を表10にまとめ、ディーゼル燃料の性質を表11にまとめた。
【0200】
表10から判るように、本実施例において、ディーゼル燃料の生成率は45.88重量%程度の高さである。表11から判るように、本実施例において、ディーゼル燃料のセタン価は、51.4程度の高さであり、ディーゼル燃料のセタン・バレルは、2358.23程度の高さである。
【0201】
表10から判るように、実施例5における、乾燥ガス及びコークスの生成率は、実施例4に比べて、有意義に高くなっており、粗い粒子サイズを有する触媒Bは、従来の粒子サイズを有する触媒Aに比べて、乾燥ガスの生成率を減らす。
【0202】
【表10】

【0203】
【表11】

【0204】
明確に、個々の実施形態として文脈に記載されている、本発明の特定の形態及び特徴は、組み合わせることによって、単一の形態として提供されてもよい。逆に、簡潔に、単一の実施形態として文脈に記載されている、本発明の様々な形態及び特徴は、単独で提供されてもよいし、何れかの適したサブコンビネーションとしても提供されてもよい。
【0205】
各出版物、特許又は特許出願を具体的に且つ個別に示し援用する場合と同一程度に、本明細書に引用された全ての出版物、特許及び特許出願を本願に援用する。さらに、何れかの引用文献の言及内容又は識別内容を、上記引用文献が先行技術として本発明で利用可能であるということを承認するものであると、解釈するべきではない。
【0206】
本発明は、その特定の実施形態及び実施例に沿って記述されている一方で、その代替手段、改良方法及びバリエーションが、当業者により明確に理解されるということが明白である。従って、本発明は、添付された特許請求の範囲における技術精神及び技術範囲内の、全ての代替手段、改良方法及びバリエーションを含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】本発明に係る一実施例の概略のフローチャートである。
【図2】本発明に係る一実施例の概略の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒転換反応装置内で、原料油を、比較的均質な活性を有し、主に大細孔ゼオライトを含む触媒に接触させる工程を含むプロセスであって、
上記原料油を触媒に接触させる工程において、
反応温度、オイル蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比が、ディーゼル燃料を含む反応生成物を得るために十分なものであり、
原料油の重量に対する流動触媒分解軽油の量が、約12重量%〜約60重量%であり、
反応温度が約420℃〜約550℃の範囲内であり、
オイル蒸気滞留時間が約0.1秒〜約5秒の範囲内であり、
触媒/原料油の重量比が約1〜約10であることを特徴とするディーゼル燃料のセタン・バレルを増加するための触媒転換プロセス。
【請求項2】
触媒転換反応装置内で、原料油を、比較的均質な活性を有し、主に大細孔ゼオライトを含む触媒に接触させる工程、並びに、
流動触媒分解軽油の全て又は一部を、従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザーに導入し、さらにディーゼル燃料及びガソリンを含む生成物を得る工程、及び/又は、
流動触媒分解軽油を、初期の触媒転換反応装置に導入して戻す、若しくは、流動触媒分解軽油を、その他の触媒転換反応装置に導入する工程を含むプロセスであって、
上記原料油を触媒に接触させる工程において、
反応温度、オイル蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比が、ディーゼル燃料を含む反応生成物を得るために十分なものであり、
原料油の重量に対する流動触媒分解軽油の量が、約12重量%〜約60重量%であり、
反応温度が約420℃〜約550℃の範囲内であり、
オイル蒸気滞留時間が約0.1秒〜約5秒の範囲内であり、
触媒/原料油の重量比が約1〜約10であることを特徴とするディーゼル燃料のセタン・バレルを増加するための触媒転換プロセス。
【請求項3】
触媒転換反応装置内で、原料油を、比較的均質な活性を有し、主に大細孔ゼオライトを含む触媒に接触させる工程、及び、
高いセタン価を有するディーゼル燃料をさらに生産するために、流動触媒分解軽油の全て又は一部を、触媒分解ユニットに導入する工程を含むプロセスであって、
上記原料油を触媒に接触させる工程において、
反応温度、蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比が、ディーゼル燃料を含む反応生成物を得るために十分なものであり、
原料油の重量に対する流動触媒分解軽油の量が、約12重量%〜約60重量%であり、
反応温度が約420℃〜約550℃の範囲内であり、
蒸気滞留時間が約0.1秒〜約5秒の範囲内であり、
触媒/原料油の重量比が約1〜約10であることを特徴とするディーゼル燃料のセタン・バレルを増加するための触媒転換プロセス。
【請求項4】
触媒転換反応装置内で、原料油を、比較的均質な活性を有し、主に大細孔ゼオライトを含む触媒に接触させるプロセスであって、
上記原料油を触媒に接触させる工程において、
反応温度、オイル蒸気滞留時間、触媒/原料油の重量比が、ディーゼル燃料を含む反応生成物を得るために十分なものであり、
原料油の重量に対する流動触媒分解軽油の量が、約12重量%〜約60重量%であり、
反応温度が約420℃〜約550℃の範囲内であり、
オイル蒸気滞留時間が約0.1秒〜約5秒の範囲内であり、
触媒/原料油の重量比が約1〜約10であり、
流動触媒分解軽油の全て又は一部を水素化処理ユニットに導入し、ディーゼル燃料及びガソリンを含む生成物を得ることを特徴とするディーゼル燃料のセタン・バレルを増加するための触媒転換プロセス。
【請求項5】
水素化分解されたトール油を、従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザーに導入し、さらにディーゼル燃料及びガソリンを含む生成物を得ることを特徴とする請求項3に記載の触媒転換プロセス。
【請求項6】
水素化処理された流動触媒分解軽油の全て又は一部を、従来の触媒分解反応装置又は可変の直径を備えるライザーに導入し、さらにディーゼル燃料及びガソリンを含む生成物を得る、及び/又は、
水素化処理された流動触媒分解軽油の全て又は一部を、触媒分解反応装置に導入して戻すことを特徴とする請求項4に記載の触媒転換プロセス。
【請求項7】
原料油が、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油から選ばれるもの、又は、石油系炭化水素及び/又はその他の鉱油を含むものであり、
石油系炭化水素は、減圧軽油、常圧軽油、コーカ軽油、脱アスファルト油、減圧蒸留残油、及び、常圧蒸留残油、又は、それらの組み合わせのうち一つ又はそれ以上から選ばれるものであり、
その他の鉱油は、液化石油、油砂油、及び、頁岩油、又は、それらの組み合わせのうち一つ又はそれ以上から選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項8】
上記触媒は、ゼオライト、無機酸化物、及び、粘土を含み、
乾燥ベースでの触媒の総重量に対して、それぞれ、
上記ゼオライトが、約5重量%〜約35重量%(好ましくは約10重量%〜約30重量%)であり、
上記無機酸化物が、約0.5重量%〜約50重量%であり、
上記粘土が、0重量%〜約70重量%であり、
活性成分としての上記ゼオライトは、大細孔ゼオライトから選ばれ、
上記大細孔ゼオライトは、レア・アースY、レア・アースH−Y、様々な方法で得られる超安定Y、及び、高シリカYのうち一つ又はそれ以上から選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項9】
上記触媒の粒子サイズ分布が、従来の触媒分解触媒の粒子サイズ分布、又は、粗い粒子サイズ分布であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項10】
上記粗い粒子サイズ分布を有する触媒は、
全粒子の体積に対して、約10体積%未満(好ましくは5体積%未満)で40μm未満の粒子サイズを有する粒子を含み、
全粒子の体積に対して、約15体積%未満(好ましくは約10体積%未満)で80μmより大きい粒子サイズを有する粒子を含み、且つ、
そのうち残りが40μm〜80μmの粒子サイズを有する粒子であることを特徴する請求項9に記載の触媒転換プロセス。
【請求項11】
上記触媒転換反応装置は、ライザー、均等な線速度を備える流動床、均等な直径を備える流動床、上流コンベヤーライン、及び、下流コンベヤーライン、又はそれらの組み合わせ、若しくは二つ又はそれ以上の同一反応装置の組み合わせからなる一群から選ばれる一つ又はそれ以上のものであり、
上記同一反応装置の組み合わせには、直列又は/及び並列の組み合わせが含まれ、
上記ライザーは、均等な直径を備える従来のライザー、又は、可変の直径を備える様々なライザーであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項12】
上記原料油は、一点から触媒転換反応装置に供給され、又は、同一の高さ又は異なる高さで多数の点から触媒転換反応装置に供給されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項13】
触媒転換の反応温度は、約430℃〜約500℃の範囲内(好ましくは約430℃〜約480℃の範囲内)であり、
オイル蒸気滞留時間は、約0.5秒〜約4秒の範囲内(約0.8秒〜約3秒の範囲内)であり、
触媒/原料油の重量比は、約2〜約8(好ましくは約3〜約6)であり、
反応圧は、約0.10MPa〜約1.0MPaの範囲内(好ましくは約0.15MPa〜約0.6MPaの範囲内)であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項14】
流動触媒分解軽油は、少なくとも350℃の初留点を有し、且つ、少なくとも11.5重量%(好ましくは少なくとも12.0重量%)の水素含有量を有するフラクションであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項15】
触媒転換のための比較的均質な活性を備える触媒は、
約80以下(好ましくは約75以下、より好ましくは約70以下)の初期活性を有し、
約0.1h〜約50hの範囲内(好ましくは約0.2h〜約30hの範囲内、より好ましくは約0.5h〜約10hの範囲内)の自動均衡時間を有し、且つ、
約35〜約60の範囲内(好ましくは約40〜約55の範囲内)の平衡活性を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項16】
触媒転換反応装置における触媒転換のための触媒は、以下の処理方法により得ることができるものであり;
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気と接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程;
上記特定の熱水条件において、
熟成温度は、約400℃〜約850℃の範囲内(好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内)であり、
流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内(好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内)であり、
熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内(好ましくは約5h〜約360hの範囲内)であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項17】
触媒転換反応装置における触媒転換のための触媒は、以下の処理方法により得ることができるものであり;
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、水蒸気を含む熟成媒体に接触させ、特定の熱水条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;
(2)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程;
上記特定の熱水条件において、
熟成温度は、約400℃〜約850℃の範囲内(好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内)であり、
流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内(好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内)であり、
熟成媒体に対する水蒸気の重量比は、約0.20〜約0.9の範囲内(好ましくは約0.40〜約0.60の範囲内)であり、
熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内(好ましくは約5h〜約360hの範囲内)であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項18】
触媒転換反応装置における触媒転換のための触媒は、以下の処理方法により得ることができるものであり;
(1)新しい触媒を流動床(好ましくは濃密相の流動床)に取り込み、再生装置内の熱再生触媒を流動床に供給し、流動床内で熱交換を行う工程;
(2)熱交換された新しい触媒を水蒸気又は水蒸気を含む熟成媒体と接触し、特定の水熱条件下で熟成し、比較的均質な活性を有する触媒を得る工程;及び、
(3)比較的均質な活性を有する触媒を対応する反応ユニットに取り込む工程;
上記特定の熱水条件において、
熟成温度は、約400℃〜約850℃の範囲内(好ましくは約500℃〜約750℃の範囲内、より好ましくは約600℃〜約700℃の範囲内)であり、
流動床の空塔速度は、約0.1m/s〜約0.6m/sの範囲内(好ましくは約0.15m/s〜約0.5m/sの範囲内)であり、
熟成時間は、約1h〜約720hの範囲内(好ましくは約5h〜約360hの範囲内)であり、
熟成媒体(何れの熟成媒体の場合であっても)に対する水蒸気の重量比は、約0〜約4の範囲内(好ましくは約0.5〜約1.5の範囲内)であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒転換プロセス。
【請求項19】
水素化処理を、
約3.0MPa〜約20.0MPaの水素分圧、
約300℃〜約450℃の反応温度、
約0.1h−1〜約3h−1の体積空間速度、
約300v/v〜約2000v/vの水素/オイルの比の条件下で行うことを特徴とする請求項4に記載の触媒転換プロセス。
【請求項20】
水素化処理触媒は、支持材、及び、当該支持材上におけるモリブデン及び/又はタングステン、並びに、ニッケル及び/又はコバルトを含み、
上記支持材は、アルミナ及びゼオライトからなり、
ゼオライトに対するアルミナの重量比は、約90:10〜約50:50の範囲内であり、
上記アルミナは、約75:25〜約50:50の範囲内の小細孔アルミナ及び大細孔アルミナからなり、
上記小細孔アルミナには、細孔の総体積に対して、95体積%又はそれ以上の80オングストローム未満の直径を有する細孔が含まれ、
上記大細孔アルミナには、細孔の総体積に対して、70体積%又はそれ以上の60〜600オングストロームの直径を有する細孔が含まれることを特徴とする請求項4に記載の触媒転換プロセス。
【請求項21】
水素化処理触媒は、触媒の総重量に基づく酸化物に対して、
約10重量%〜約35重量%の量のモリブデン及び/又はタングステン、並びに、
約1重量%〜約15重量%の量のニッケル及び/又はコバルトが含まれることを特徴とする請求項20に記載の触媒転換プロセス。
【請求項22】
ゼオライトに対するアルミナの重量比は、約90:10〜約60:40の範囲内であることを特徴とする請求項20に記載の触媒転換プロセス。
【請求項23】
上記ゼオライトは、Y型ゼオライトであることを特徴とする請求項20に記載の触媒転換プロセス。
【請求項24】
流動触媒分解軽油を、その他の転換反応装置内で、分解反応に晒し、
得られたオイル蒸気を、特定の反応条件下で水素転移反応及び異性化反応に晒し、且つ、
低オレフィン・ガソリンを含む反応生成物を、分離することで得ることを特徴とする請求項2に記載の触媒転換プロセス。
【請求項25】
分解反応の反応条件には、
約480℃〜約600℃(好ましくは約485℃〜約580℃)の範囲内の反応温度、
約0.1秒〜約3秒(好ましくは約0.5秒〜約2秒)の範囲内の反応時間、
約0.5:1〜約25:1(好ましくは約1:1〜約15:1)の範囲内の流動触媒分解軽油に対する転換触媒の重量比、
約0.01:1〜約2:1(好ましくは約0.05:1〜約1:1)の範囲内の流動触媒分解軽油に対する前揚力媒体の重量比が含まれることを特徴とする請求項24に記載の触媒転換プロセス。
【請求項26】
水素転移反応及び異性化反応の反応条件には、
約450℃〜約550℃(好ましくは約460℃〜約530℃)の範囲内の反応温度、
約1h−1〜約50h−1(好ましくは約1h−1〜約40h−1)の範囲内の第2の反応ゾーンにおける重量空間速度が含まれることを特徴とする請求項24に記載の触媒転換プロセス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−508479(P2013−508479A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534520(P2012−534520)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001645
【国際公開番号】WO2011/047540
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(503191287)中国石油化工股▲ふん▼有限公司 (35)
【出願人】(509059424)中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院 (14)
【Fターム(参考)】