説明

デグレージング容易な反応性ホットメルト接着剤

【課題】良好な初期強度と優れた接着性を調整可能な機械的強度と組み合わせてグレージングを促進する反応性ホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の多官能性イソシアネート成分、少なくとも1種の単官能性反応体成分、任意にポリエステルポリオール成分、任意に熱可塑性ポリマーおよび任意にポリエーテルポリオール成分を含む窓の容易なデグレージングを可能にする、高いグリーン強度の反応性ホットメルト接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤、特に窓をデグレージング(deglazing)する改良された性能を有する反応性ホットメルト接着剤に関するものである。本発明はまた、そのような反応性ホットメルト接着剤を含む物品、特に住居用窓または商業用窓にも関する。
【背景技術】
【0002】
反応性ホットメルト接着剤は、ガラス、木材およびビニル樹脂に対する優れた接着性を有しており、そのために窓のグレージング(glazing)用途に利用され得る。反応性ホットメルト接着剤は、シリコーンシーラントおよび両面テープのような以前に使用された接着剤に関して、良好なグリーン強度と加工性を含めた有利な特性の組み合わせを提供するので、窓のグレージングに有用である。窓のグレージングに活用される反応性ホットメルトグレージング組成物は、窓ガラスと窓の周辺ガラスフレームの間の強力で永続的な接着を提供する。反応性ホットメルト接着剤のグレージング用途への使用が、改良された凝集強さと剛性を有する窓を作り出す一方では、グレージングがより困難で且つ高価になって来ている。反応性ホットメルト接着剤でグレージングされた構造上の窓をデグレージングするための現状の方法は、極めて労働集約型で且つ高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
良好な初期強度と優れた接着性を調整可能な機械的強度と組み合わせてグレージングを促進する反応性ホットメルト接着剤を提供することは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、完成された窓をデグレージングする方法を提供するものである。本発明の方法は、簡単にデグレーズされ得る窓を提供し、かくして標準の湿分硬化可能な反応性ホットメルト接着剤組成物を含有する窓をデグレージングする際の固有の困難性を解消することによって、コストを低下させる。
【0005】
本発明の一つの側面は、1種の多官能性イソシアネート、少なくとも1種の高分子ジオールまたはトリオール、1種の高分子または非高分子の単官能性反応体、および少なくとも1種の官能性または非官能性の熱可塑性樹脂を含む、湿分硬化可能なホットメルト接着剤組成物に向けられている。
【0006】
本発明のもう一つの態様は、反応性ホットメルト接着剤配合物に有効量の単官能性反応体を添加することを含む、ホットメルト接着剤のデグレージング特性を改良する方法に向けられている。
【0007】
更なる本発明のもう一つの態様は、本発明の反応性ホットメルト組成物で互いに結合された第1の基材と第2の基材を含むユニットを提供することを含む、材料を分離する方法に向けられている。反応性ホットメルト組成物の機械的強度は、第1の基材と第2の基材が容易に互いに離され得るようなものである。別の態様において、それらの材料の分離を促進する、強められた加熱のようなある条件にそのユニットが曝されても良い。
【0008】
本発明の更なる側面は、本発明の接着剤を含む製品に向けられている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
全てのパーセントは、他に断らない限り、接着剤組成物の重量によるパーセントである。
【0010】
フェネストレーション(fenestration)は、ビルディング中、即ち壁または屋根における開口である。フェネストレーション製品は、ビルディングの開口中に適したドア、窓または天窓のアセンブリーであり、そしてその開口を閉じるために使用されるものである。そのような製品において、通常ガラスの透明な窓(pane)を組み立てて保持するサッシを提供することが通常行われる。そのサッシは周囲のフレームとして考えられることが可能であり、ビルディングに埋め込まれたビルディングフレームに対して移動可能または据付可能であり、そのビルディングフレーム内にサッシが運ばれる。ある状態では、サッシが無く、窓がその製品のためのフレーム中に直接設置される。これは、時々直接設置(direct set)と言われる。
【0011】
窓は通常透明であって、単一の窓であり得る。但し、外部環境と内部環境の間の温度差によって、熱の損失がしばしば生じる。例えば、冬季において通常温められている内側に比べて外側が冷たく、そして夏季には内側が空調されており外側よりも涼しい。その熱損失および/または結露の問題を最小にするために、断熱ガラスユニットがしばしば使用されて、そこでは多層スペースを有し且つ平行な窓ガラスが共にシールされて、サッシまたはフレーム中に設置される副集成部品を形成する。その窓ガラス間の空隙は断熱されており、時々気体で充填されて、内側と外側の窓ガラスを分離する。この間隔または断熱は、結露および熱損失を最小にする。
【0012】
ここで用いられるように、窓(window)とは、取替え窓と同様に、新しい建造物内での設置を意図した窓を言うものであって、非限定的に、シングルハング式上げ下げ窓、ダブルハング式上げ下げ窓、引き窓、回転窓、開き窓、パティオ(patio)ドア、画像窓、出窓および雨戸を含む。住居、即ち単一および複数世帯、アパートメント、店舗用建築物に使用されるためにデザインされた窓が含まれる。断熱性ガラスユニットと共に単層窓は、本発明の実施での使用のために意図されている。本発明に従って作製される窓は、正方形、長方形、円形、半円形等のようないかなる所望の形であっても良く、いかなる所望の大きさであっても良い。
【0013】
本発明は、中央の開口とステップ状の棚表面、またはその中央開口内に保持するように位置された窓ガラスを受け止め保持するためのその中央窓に隣接したグレージングレッグ(glazing leg)、そのフレーム状部材内にその窓を確保してその窓の容易なデグレージングを提供するグレージング成形材料を画定する、周辺フレーム状の部材を含む改良された窓配置(fenestration)の建造物を提供する。
【0014】
グレージング成形材料(glazing compound)の語は、バックベッディング(backbedding)成形材料またはグレージングシーラントとして当分野で通常言われているものであって、窓のフレームまたはサッシ中に確実に窓ガラスを保持するために機能するものを言うためにここでは使用される。デグレージング(deglazing)の語は、窓ガラスと窓フレームの交差部分からグレージング成形材料が切断され、そしてその窓ガラスが窓フレームまたはサッシから取り除かれるプロセスを言うためにここでは使用される。
【0015】
本発明の実施においてグレージング成形材料としての使用を意図した組成物は、液状のポリウレタン、熱可塑性接着剤、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、反応性シリコーンホットメルトおよび反応性ポリウレタンホットメルトを含み、特にそれらの発泡した配合物を含む。本発明の好ましい態様において、グレージング成形材料は湿分硬化可能な反応性ホットメルト接着剤である。シリコーンおよびポリウレタンホットメルト接着剤類、発泡した湿分硬化可能なシリコーンおよびポリウレタンホットメルト接着剤類が、強度、コストおよび作業時間の点で好ましい。
【0016】
柔軟で容易にデグレージング可能なグリーン強度の高い反応性ホットメルト接着剤が、イソシアネートであって、イソシアネートと反応可能またはウレタン結合を形成し得る単官能性基を使用して製造され得ることが、この度見出された。本発明の接着剤は良好なグリーン強度を有しており、迅速な硬化性および架橋性を保持している。
【0017】
好ましい態様は、ビニル樹脂、アルミニウム、木材またはガラス繊維複合体で出来た窓ガラスフレームまたはサッシのデグレージングを含むが、サッシおよびその類似物も本発明に包含される。本発明の実施において、窓ガラスがビルディングの外側からデグレージング(外側デグレージング)、またはビルディングの内側からデグレージング(内側デグレージング)され得る。
【0018】
反応性ホットメルトポリウレタン接着剤の観点で本発明が後述されるが、本発明がそのように限定されないことが理解されよう。
【0019】
本発明の湿分硬化可能なホットメルトポリウレタン接着剤は、非重合体または重合体の単官能性反応体の、多官能性イソシアネート含有可能物、1種以上の重合体ジオールまたはトリオール、および好ましくは熱可塑性ポリマーとの混合物の、約90°F〜約350°F(約32℃〜約177℃)の温度での反応によって製造され得る。別の態様では、単官能性イソシアネートまたは単官能性シランがより確実な成形材料を形成するために使用され得る。本発明の接着剤は、最も好ましくは、a)多官能性イソシアネート、好ましくはMDI、b)約0.1〜約80重量%、好ましくは約1〜約50重量%、最も好ましくは約3〜約20重量%の範囲の単官能性反応体、c)約0重量%〜約90重量%、好ましくは約10〜約70重量%の範囲のポリエステルポリオール、およびd)約0〜約95重量%、好ましくは約5〜約80重量%、最も好ましくは約10〜約70重量%の範囲のポリエーテルポリオールを含む。その接着剤は、好ましくは約70未満のショアーA型硬度、最も好ましくは約50未満のショアーA型硬度を有する。
【0020】
本発明の接着剤を得るために、ヒドロキシル、カルボキシル、チオール、アミン、メルカプトおよびアミドのような、イソシアネートと反応し得る種々の単官能性反応体が使用されることが出来て、それらは重合体、または非重合体である。ポリウレタンの連鎖延長を停止し得るいかなる単官能性グラフト剤も、この目的のために使用され得る。その連鎖停止剤の分子量の範囲は、2個または4個の炭素含有のような非常に小さな分子から、オリゴマーまたはポリマーにまで広がり得る。一つの好ましい反応体は、UNILINとしてBaker Petrolites社から商業的に入手可能な、低分子量の線状ポリエチレンモノアルコールである。これらの材料は、約60℃〜約110℃の範囲の融点を有する。ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート末端基のモノアルコールとの部分的キャッピングによって、湿分下で架橋し得るホットメルトが得られる。そのメルトからの冷却で、プレポリマーの末端の短いポリエチレンセグメントの硬化が全体の鎖の動きを固定させ、そのホットメルト接着剤の硬化をもたらす。もう一つの好ましい反応体は、UNITHOX(Baker Petrolites社)として商業的に入手可能な、ポリエチレン‐ブロック‐ポリエチレン グリコールである。モノアルコール反応体とのように、ポリマーベースのテールがグリーン強度を生むであろうが、そのキャップされていない‐NCO末端が依然として架橋されたポリウレタン網状結合の硬化および形成に利用可能であろう。更に好ましい態様には、Solvay社からのポリカプロラクトンのような開環したポリエステル、および単官能性であるポリアミドがある。
【0021】
本発明の反応性ホットメルト組成物は、非限定的に木材、金属、重合体プラスチック、ガラスおよび布を含む、広く種々の基材(材料)からなる物品を結合するのに有用である。そのようなものとして、これらの接着剤は、貯水塔での使用のような外表面への結合のための用途、並びに例えば船舶用途および自動車用途において特別の用途を見出す。他の非限定的な用途には、布の接着用途(カーペットおよび衣料)、履物(靴)の製造での使用、窓の製造におけるグレージング/バックベッディング成形材料としての使用、玄関ドア、ガレージドア等を含むドアの製造における使用、建築パネルの製造における使用、車の外装での部品の取り付けにおける用途等が含まれる。
【0022】
本発明の接着剤の製造に使用可能なウレタンプレポリマーは、ポリウレタンホットメルト接着剤組成物の製造に通常使用されるものである。1種以上のイソシアネート基を含有する好適ないかなる化合物も、ウレタンプレポリマーの製造に使用され得る。
【0023】
本発明を実施するのに使用されることの出来る有機ポリイソシアネート類には、アルキレンジイソシアネート、シクロアルキレンジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートおよび脂肪族‐芳香族ジイソシアネートが含まれる。好適なイソシアネート含有化合物の特定の例には、非限定的に、エチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、シクロペンチレン‐1,3‐ジイソシアネート、シクロへキシレン‐1,4‐ジイソシアネート、シクロへキシレン‐1,2‐ジイソシアネート、4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2‐ジフェニルプロパン‐4,4’‐ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,4‐ナフチレンジイソシアネート、1,5‐ナフチレンジイソシアネート、m‐フェニレンジイソシアネート、p‐フェニレンジイソシアネート、ジフェニル‐4,4’‐ジイソシアネート、アゾベンゼン‐4,4’‐ジイソシアネート、ジフェニルスルホン‐4,4’‐ジイソシアネート、2,4‐トリレンジイソシアネート、ジクロロヘキサ‐メチレンジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、1‐クロロベンゼン‐2,4‐ジイソシアネート、4,4’,4’’‐トリイソシアナトトリフェニルメタン、1,3,5‐トリイソシアナト‐ベンゼン、2,4,6‐トリイソシアナト‐トルエン、4,4’‐ジメチルジフェニル‐メタン‐2,2’,5,5‐テトライソシアネート等が含まれる。そのような化合物は商業的に入手可能であるが、かかる化合物を合成する方法は当分野で周知である。好ましいイソシアネート含有化合物は、メチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート(HMDI)およびトルエンジイソシアネート(TDI)である。上記の化合物に加えて、その組成物中に単官能性イソシアネートを利用することも望ましい。
【0024】
最も一般的には、そのプレポリマーは、ポリイソシアネートのポリオールとの重合、最も好ましくはジイソシアネートのジオールとの重合によって製造される。使用されるポリオール類には、ポリヒドロキシエーテル(置換または非置換のポリアルキレンエーテルグリコールまたはポリヒドロキシポリアルキレンエーテル)、ポリヒドロキシポリエステル、ポリオールおよびグリセロールのモノ置換エステルのエチレンまたはプロピレンオキシド付加物、およびそれらの混合物が含まれる。そのポリオールは、通常約10〜約70重量部の量で使用される。
【0025】
好ましくは、接着剤は熱可塑性ポリマーを含んで製造される。その熱可塑性ポリマーは、官能性の、または非官能性の熱可塑性樹脂のいずれであっても良い。好適な熱可塑性ポリマー類には、アクリルポリマー、官能性アクリルポリマー、非官能性アクリルポリマー、ヒドロキシ官能性アクリルポリマー、ポリビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、メチレンポリビニルエーテル、セルロースアセテート、スチレンアクリロニトリル、非晶質ポリオレフィン、熱可塑性ウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエンジオール、イソブチレンジオールおよびそれらの混合物が含まれる。
【0026】
ポリエーテルポリオールの例には、複数のエーテル結合および1個以上のヒドロキシル基を有する線状および/または枝分れ状のポリエーテルが含まれるが、ヒドロキシル基以外の官能基は実質上含まれない。そのポリエーテルポリオールの例には、ポリオキシアルキレンポリオール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が含まれる。更に、ポリオキシアルキレンポリオール類のホモポリマーおよびコポリマーも使用され得る。ポリオキシアルキレンポリオール類の特に好ましいコポリマー類には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、2‐エチルへキサンジオール‐1,3、グリセリン、1,2,6‐へキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミンおよびエタノールアミンから成る群から選択された少なくとも1種の化合物の、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドから成る群から選択された少なくとも1種の化合物との付加物が含まれ得る。
【0027】
多くの好適なポリオールが商業的に入手可能である。非限定的な例には、CP4701(Dow Chemicals社)、Niax 11−34(Union Carbide社)、Desmorphen 3900(Bayer社)、Propylan M12(Lankro Chemicals社)、Highflex 303(第一工業製株式会社)およびDaltocel T32−75(ICI社)が含まれる。重合体ポリール、即ち一部のビニルモノマーを含むグラフトポリオールで、現場で重合されるもの、例えばNiax 34−28も好適である。
【0028】
ポリエステルポリオールは、2〜15の炭素原子を有する1種以上の多価アルコールの、2〜14の炭素原子を有する1種以上のポリカルボン酸との縮合から形成される。好適な多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2‐プロピレングリコールおよび1,3‐プロピレングリコールのようなプロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、1,4,6‐オクタントリオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンジオール、オクタンジオール、クロロペンタンジオール、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、2‐エチルヘキサンジオール‐1,4、シクロヘキサンジオール‐1,4、1,2,6‐ヘキサントリオール、1,3,5‐ヘキサントリオール、1,3‐ビス‐(2‐ヒドロキシエトキシ)プロパン等が含まれる。ポリカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、ドデシルマレイン酸、オクタデセニルマレイン酸、フマル酸、アコニット酸、トリメリット酸、トリカルバリル酸、3,3’‐チオジプロピオン酸、琥珀酸、アジピン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、シクロヘキサン‐1,2‐ジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサジエン‐1,2‐ジカルボン酸、3‐メチル‐3,5‐シクロヘキサジエン‐1,2‐ジカルボン酸、並びにフタル酸無水物、フタロイルクロリドおよびフタル酸のジメチルエステルのような対応する酸無水物、酸塩化物および酸エステルが含まれる。好ましいポリカルボン酸は、14以下の炭素原子を含有する脂肪族および脂環式ジカルボン酸、並びに14以下の原子を含有する芳香族ジカルボン酸である。
【0029】
本発明の実施に用いられ得る、商業的に入手可能なポリオール類には、ARCOL PPG2025(Bayer社)、PolyG 20−56(Arch社)およびPluracol P−2010(BASF社)のようなポリエーテル、Dynacoll 7360(Creanova社)、Fomrez 66−32(Crompton社)およびRucoflex S−105−30(Bayer社)のようなポリエステル、並びにPolyBD R−45HTLO(Elf Atochem社)のようなポリブタジエンが含まれる。
【0030】
加えて、ウレタンプレポリマーは、ジアミノポリプロピレングリコールまたはジアミノポリエチレングリコールのようなポリアミノまたはポリメルカプト含有化合物、或いはチオジグリコール単独の、またはエチレングリコール、1,2‐プロピレングリコールのような他のグリコールと、或いは上記の他のポリヒドロキシ化合物と組合せた縮合生成物のようなポリチオエーテルと、ポリイソシアネートの反応によって製造され得る。本発明の一つの態様により、ヒドロキシル含有アクリルポリマーがポリオール成分として機能しても良く、その場合には追加のポリオールがその反応に添加される必要が無い。
【0031】
更に、飽和および不飽和グリコール類、例えばエチレングリコール、またはジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のようなその縮合物;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等;エタノールアミン、プロパノールアミン、N‐メチルジエタノールアミン等のような、少量の低分子量のジヒドロキシ、ジアミノ、またはアミノヒドロキシ化合物が使用されても良い。
【0032】
実質的には、平均1の官能性を含むいかなるエチレン性不飽和モノマーも、本発明の組成物中に用いられ得る。官能性モノマー類には、酸、ヒドロキシ、アミン、イソシアネートおよびチオ官能性モノマーが非限定的に含まれる。ヒドロキシル官能性が好ましく、ここで詳細に記載される。
【0033】
ヒドロキシル置換のメチルアクリレート、エチルアクリレート、n‐ブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、イソブチルアクリレート、n‐プロピルまたはイソプロピルアクリレート或いはその対応するメタクリレートを非限定的に含むアクリル酸およびメタクリル酸のヒドロキシル置換C1〜C12エステルが、最も普通に用いられる。互換性のある(メタ)アクリレートモノマー類の混合物も使用され得る。使用され得る追加のモノマー類には、ヒドロキシル置換のビニルエステル(ビニルアセテートおよびビニルプロピオネート)、ビニルエーテル、フマレート、マレエート、スチレン、アクリロニトリル、並びにそれらのコモノマーが含まれる。
【0034】
これらのモノマーは、約−60℃〜105℃、好ましくは15℃〜85℃のような、広範囲のTg値を有するように配合されるように、他の共重合可能なコモノマーとブレンドされても良い。好適なコモノマー類には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n‐ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、n‐プロピルまたはイソプロピルアクリレート或いはその対応するメタクリレートを非限定的に含むアクリル酸およびメタクリル酸のC1〜C12エステルが含まれる。互換性のある(メタ)アクリレートモノマー類の混合物も使用され得る。使用され得る追加のモノマー類には、ビニルエステル(ビニルアセテートおよびビニルプロピオネート)、ビニルエーテル、フマレート、マレエート、スチレン、アクリロニトリル、エチレン等、並びにそれらのコモノマーが含まれる。ヒドロキシル含有モノマーは、アクリル重合の残留物中の使用されたモノマーと同一または異なっていても良い。選択される特定のモノマーは、その接着剤が意図される最終用途に大きく依存している。従って、感圧接着剤用途または金属への接着が要求される用途において使用されるべき接着剤は、非感圧用途またはより簡単に接着される基材を含むそれらの用途において望まれるよりも低いTgのポリマーを得るために選択される。
【0035】
その接着剤がモノマー材料を利用して製造される場合、各々のモノマーがポリオールに添加されそしてプレポリマーの形成前にそこで重合されても良く、或いはすでに形成されたプレポリマーに個々のモノマーが添加され引き続きアクリル重合が行われても良い。ポリアミノまたはポリメルカプト含有プレポリマーの場合には、現場でのビニル重合が予備形成されたプレポリマー中でのみ実施されねばならない。
【0036】
ヒドロキシル含有のエチレン性不飽和モノマーは、通常のラジカル重合の手順を用いて、比較的低い分子量まで重合される。明確化のために、「低分子量」の語の使用は、好ましい使用では約5,000から約30,000の範囲の平均分子量を有するモノマーである、およそ1,000〜50,000の範囲の数平均分子量を意味するものである。分子量分布は、毎分1ミリリットルの流量のテトラヒドロフランキャリアー溶剤を用いる、島津製のモデルRID6A検出器PL Gel混合10ミクロンカラムを使用したゲル透過クロマトグラフィーによって特定される。反応状態を注意深く監視し制御することによって、そして一般的にはドデシルメルカプタンのような連鎖移動剤の存在下で反応を行うことによって、その低分子量が得られる。そのエチレン性不飽和モノマーの重合に引き続いて、ポリイソシアネート、およびウレタンプレポリマー形成反応に必要な全ての追加成分が添加され、そして通常の縮合重合手順を用いてその反応が実施される。この方法において、得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーが、約2〜約90%の低分子量ヒドロキシル含有ポリマーを含む、上記の反応性の硬化性ホットメルト接着剤を形成する。
【0037】
既に形成されたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの存在下で、低分子量ポリマーを重合することも可能である。この方法は、アクリル重合の間に、枝分れ、粘度増加、必要なイソシアネート基の減少および起こり得るゲル化をもたらし得るものを加熱する、不必要な加熱にプレポリマーが曝されると言う欠点を有する。これらの不利益は制御しやすいものではあるが、非イソシアネート官能性ウレタン成分における重合に比較して、より厳格な条件制御が要求される。その反応がポリオールまたは他の非イソシアネート含有成分中で実施される場合、より少ない熱量を必要とすることにより、より低い反応粘度およびイソシアネート蒸気への曝露の低減と言った利点もある。
【0038】
任意には、ヒドロキシル含有官能性が、予備重合された低分子量のヒドロキシル含有ポリマーの形でその接着剤に導入されても良い。後者の場合において、代表的なポリマー類には、ヒドロキシル置換のブチルアクリレート、水酸基含有ブチルアクリレート/メチルメタクリレート コポリマー、水酸基含有エチルアクリレート/メチルメタクリレート コポリマー等が含まれる。好ましいポリマー類は、5,000〜30,000の数平均分子量、および4〜30のヒドロキシル価を有する。低分子量のポリマーの形で使用された場合には、それとイソシアネートとの反応の前にそのポリマーがポリオールとブレンドされ、またはイソシアネート末端プレポリマーにポリマーが直接添加されても良い。
【0039】
接着剤が上記のように直接使用されても良いが、所望に応じて、組成物と相溶性のある通常の添加剤と共に、本発明の接着剤が配合されても良い。そのような添加剤類には、可塑剤、相溶性の粘着付与剤、硬化触媒、解離触媒、充填剤、抗酸化剤、顔料、定着剤、安定剤、脂肪族C5〜C10テルペンオリゴマー等が含まれる。本発明による組成物と相溶性のある通常の添加剤は、可能性のある添加剤をその組成物と組み合わせ、そして相溶性か否かを判定することによって簡単に決定され得る。生成物中で均質であれば、添加剤が相溶性である。好適な添加剤類の非限定的な例には、ロジン、ロジン誘導体、ロジンエステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、芳香族変性脂肪族炭化水素、テルペン、テルペンフェノール、変性テルペン、高分子量ヒンダードフェノールおよび多官能性フェノール、例えば硫黄および燐含有フェノール、テルペンオリゴマー、2,2‐ジモルホリノジエチルエーテル、またはDMDEE、アミン触媒、錫触媒、有機金属触媒、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ひまし油および水素化ひまし油が非限定的に含まれる。
【0040】
本発明の反応性ホットメルト接着剤は、難燃性成分も含有し得る。ポリウレタン組成物に耐燃性を付与するために当分野で既知の難燃性添加剤が添加されても良い。そのような成分類には、硼素化合物、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン等のような無機化合物、並びにトリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3‐ジクロロプロピル)‐ホスフェート等のようなハロゲン含有ホスフェート化合物を含む他のハロゲン化合物が含まれる。好ましい態様において、エチレンビステトラブロモフタルイミドおよび/またはトリス(2,3‐ジブロモプロピル)‐イソシアヌレートが主な難燃性成分として添加される。そのエチレンビステトラブロモフタルイミドおよび/またはトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレートは、他の難燃剤と共にまたは他の難燃剤無しで使用され得る。その組成物は、更なる難燃性成分として、塩素化パラフィンおよび/またはアリールホスフェートエステルを更に含んでも良い。その任意の塩素化パラフィンは、粘度変性剤として作用すると同時に、難燃性を付与する。アリールホスフェートエステルは、基材に対して改良された粘着性を更に付与する。難燃性ポリウレタン系の反応性ホットメルト接着剤は、本発明に実施に使用される場合、そのベースポリマーの目標とする特性、例えば良好なグリーン強度、制御された硬化速度および高温での良好な熱安定性を維持したままで、優れた難燃性を与える。
【0041】
ここで用いられるように、「不可逆性固体形状」(irreversible solid form)は、前述のポリウレタンプレポリマーから伸長されたポリウレタンポリマーを含む固体形状を意味する。その不可逆性固体形状を有する組成物は、通常150℃までの温度に耐えることが可能である。難燃剤を使用することによって、不可逆性固体の熱安定性が改善され得る。
【実施例】
【0042】
以下の非限定的な実施例によって、本発明を更に説明する。
【0043】
実施例1
表1に示される配合物(重量%)を有する反応性ホットメルト接着剤を調製した。減圧下において、ポリオールおよびアクリルポリマー(反応性または非反応性)の全てを添加して溶融させ、均質で水分の無くなるまで混合した。次いで、MDIを添加し、減圧下で反応が完結するまで混合しながら重合を進行させた。得られたプレポリマーを次いで、湿気に曝されるのを防ぐために乾燥窒素ヘッドスペースの下で、容器中に入れた。配合物CおよびDは単官能性グラフト剤を含有するが、配合物AおよびBは含有していない。
【0044】
【表1】

【0045】
表2には、表1の配合物に関する試験結果を示す。
【表2】

【0046】
表2は、単官能性グラフト剤を含有する反応性ホットメルトの凝集強さが大幅に低減されること、およびその接着剤が柔軟で容易に切断されることを示している。単官能性グラフト剤を有する接着剤は、より低い弾性率、より低い最大応力およびより低い破断エネルギーを有する一方で、その接着剤は単官能性グラフト剤無しの接着剤に匹敵する破断%まで歪を維持する。
【0047】
実施例2
配合物A,BおよびDをガラスに適用して、その物質をデグレージングするための時間を評価した。1/8インチのビーズを、窓フレームのグレージングレッグ(glazing leg)に適用した。配合物Aを180°F(82℃)で、配合物Bを260°F(127℃)で、配合物Dを150°F(66℃)で適用した。接着剤のビーズを、窓フレームのグレージングレッグの中心、またはフレームと窓ガラスの間に隙間を提供するグレージングレッグの立ち上がり部分である結び目(nub)の近傍のいずれかに据えた。ガラスとグレージングレッグの間に隙間がある場合と無い場合の両方で、試験を行った。標準のユーティリティナイフか或いはPURFECT(商標)のデグレージング道具(「PDG」)のいずれかで、その窓のデグレージングを行った。そのデグレージングのプロセスは、そのフレームの内周に沿って、ガラスおよびその窓フレームのグレージングレッグの間に、ナイフまたはデグレージング道具を装入する工程を含んだ。そのガラスをフレームから取り外すことが出来るようにグレージング材料を切断するために要した全体の時間として、デグレージングの時間を測定した。その試験結果を表3に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)複数の基材を提供する工程、
b)該複数の基材の少なくとも一つに反応性ホットメルト接着剤を適用する工程、および
c)該反応性ホットメルト接着剤が該基材間で結合を形成するように該複数の基材を組み合わせる工程、
を含む窓の製造方法であって、該反応性ホットメルト接着剤が、少なくとも1種の多官能性イソシアネート成分、少なくとも1種の単官能性反応体成分、任意にポリエステルポリオール成分、任意に熱可塑性ポリマーおよび任意にポリエーテルポリオール成分を含むものである、窓の製造方法。
【請求項2】
前記反応性ホットメルト接着剤が、約70未満のショアーA型硬度を有するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応性ホットメルトが、シリコーン反応性ホットメルトである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応性ホットメルトが、ポリウレタン反応性ホットメルトである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記反応性ホットメルトが、発泡シリコーン反応性ホットメルトである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記反応性ホットメルトが、発泡ポリウレタン反応性ホットメルトである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の基材が、少なくとも一つの窓ガラスと少なくとも一つのフレームを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フレームが、ビニル樹脂、アルミニウム、木材またはガラス繊維複合体である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a)反応性ホットメルト接着剤を使用してフレームにグレーズされる一つ以上の窓ガラスを有する窓を提供する工程、および
b)該窓ガラスと窓フレームが互いに離れ得るように該反応性ホットメルト接着剤を切断する工程、
を含む窓のデグレージング方法であって、該反応性ホットメルト接着剤が、少なくとも1種の多官能性イソシアネート成分、少なくとも1種の単官能性反応体成分、任意にポリエステルポリオール成分、任意に熱可塑性ポリマーおよび任意にポリエーテルポリオール成分を含むものである、窓のデグレージング方法。
【請求項10】
前記反応性ホットメルト接着剤が、約70未満のショアーA型硬度を有するものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反応性ホットメルトが、シリコーン反応性ホットメルトである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応性ホットメルトが、ポリウレタン反応性ホットメルトである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記反応性ホットメルトが、発泡シリコーン反応性ホットメルトである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記反応性ホットメルトが、発泡ポリウレタン反応性ホットメルトである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記フレームが、ビニル樹脂、アルミニウム、木材またはガラス繊維複合体である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記反応性ホットメルト接着剤が切断される前に、該反応性ホットメルト接着剤に熱を適用する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。

【公開番号】特開2011−127126(P2011−127126A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−6341(P2011−6341)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【分割の表示】特願2006−507399(P2006−507399)の分割
【原出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【出願人】(590000824)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション (112)
【Fターム(参考)】