説明

デシカント空調装置

【課題】 低温熱源であっても除湿湿度差を大きくとることができ、それにより、特に盛夏時の外気を通常の室内設定湿度以下まで除湿することができるようなデシカント空調装置を提供する。
【解決手段】 このデシカント空調装置においては、処理空気流路24は、デシカントロータ10の第1および第2の吸着ゾーン28a,28bを処理空気が順次通過する際に処理空気の水分が吸着されるように構成され、再生空気流路26は、デシカントロータ10の再生ゾーン30a,30bを再生空気が通過する際にデシカントロータ10の水分が脱着されるように構成されている。さらに、再生ゾーン30a,30bに入る前の再生空気を加熱する高熱源熱交換器42aと、第1の吸着ゾーン28aと第2の吸着ゾーン28bとの間において処理空気を冷却する低熱源熱交換器46が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デシカントにより処理空気の吸着を行うことによって効率的に空調を行うデシカント空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デシカント空調装置は、例えば、特許文献1等において多くの提案がなされている。そして、室内の環境を維持するために外気を処理空気として湿度および温度を調整し、室内に導入するデシカント空調装置として、図8に示すように、処理空気流路24と再生空気流路26に跨って配置されたデシカントロータ10と、これに高温熱源42および低温熱源46を提供するヒートポンプ36組み合わせて用いるものが周知である。デシカントロータ10は、円盤状のハニカム構造の中に、吸湿および再生効率が高いデシカント素材が保持された通気性部材であり、モータ14によって低速で回転する。
【0003】
この空調装置により夏季の冷房を行う場合、高温多湿の外気(処理空気)はデシカントロータ10の処理空気流路24内の部分である吸着ゾーン28を通過する際に水分を吸着され、ヒートポンプ36の低温熱源である蒸発器46により冷却されてから室内に供給される。一方、室内からの還気は、再生空気流路26においてヒートポンプ36の高温熱源である凝縮器42によって加熱され、デシカントロータ10の再生空気流路26内の部分である再生ゾーン30を通過する際に水分を脱着してデシカント10を再生し、外部に排気される。デシカントロータ10の各部は、一定サイクルで処理空気流路24と再生空気流路26を出入りする間に、処理空気からの水分吸着と、再生空気による再生を交互に繰り返す。
【0004】
このような空調装置には、熱源として蒸気圧縮冷凍機のようなヒートポンプ36が用いられるが、COP(成績係数)が高い高熱源温度は実用上65℃程度までである。このような装置で、例えば東京の盛夏時の最高温多湿外気条件を想定した35℃、22g/kgDA(乾燥空気)の外気を処理して導入する場合を、図9の湿り空気線図に示す。この場合、室内空気が乾球温度27℃、絶対湿度10.5g/kgDA(5)であるとすると、再生空気は乾球温度60℃、相対湿度9%(6)程度にしかならず、処理空気である外気を等エンタルピー変化(1→2)で吸着しても、室内空気と同じ絶対湿度10.5g/kgDAにまで下げることはできない。そのため、室内湿度が高くなる問題があり、これを解決するためには、COPが低いヒートポンプや、70℃以上の高温熱源が必要であった。
【0005】
また、このような装置では、処理空気がデシカントロータ10内を流れる間の水分吸着過程において、吸着のための駆動力となるデシカントと処理空気の含水率の差が順次縮小し、デシカントロータ10の出口側部分での水分吸着量が大きく低下する。このため、処理空気の吸着に寄与するのはデシカントロータ10の空気流入側部分のみであり、デシカントロータ全体として十分に水分を吸脱着できず、除湿量当りの所要デシカント量が多くなり、コストがかかっていた。
【0006】
【特許文献1】特開平9−196482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、低温熱源であっても除湿湿度差を大きくとることができ、それにより、特に盛夏時の外気(例えば22g/kgDA)を通常の室内設定湿度(例えば10.5g/kgDA)以下まで除湿することができるようなデシカント空調装置を提供することを目的とする。
また、この発明の他の目的は、デシカントの作用湿度差が大きくとることができ、それにより少ないデシカントで十分な除湿ができるコンパクトでコストの安いデシカント空調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のデシカント空調装置は、処理空気が流れる処理空気流路と、再生空気が流れる再生空気流路と、これらの処理空気流路および再生空気流路を交差するように回転するデシカントロータとを備え、前記処理空気流路は、前記デシカントロータの第1および第2の吸着ゾーンを処理空気が順次通過する際に前記処理空気の水分が吸着されるように構成され、前記再生空気流路は、前記デシカントロータの再生ゾーンを再生空気が通過する際にデシカントロータの水分が脱着されるように構成され、さらに、前記再生ゾーンに入る前の再生空気を加熱する高熱源熱交換器と、前記第1の吸着ゾーンと第2の吸着ゾーンとの間において前記処理空気を冷却する低熱源熱交換器とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明においては、処理空気がデシカントロータの第1の吸着ゾーンを通過する際に水分吸着がなされた後、さらに、処理空気が低熱源熱交換器を通過する際に冷却されてから第2の吸着ゾーンへ流入し、第1の吸着ゾーンでの吸着処理を終えた後のデシカントの吸着駆動力を向上させた状態で水分吸着がなされる。これにより、吸着駆動力が低下した状態で吸着処理を継続する従来の場合に比べて吸着反応速度を向上させて、全体的な除湿性能を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載のデシカント空調装置は、請求項1に記載の発明において、前記第1および第2の吸着ゾーンは互いの処理空気が対向流をなすように流れることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、第1および第2の吸着ゾーンは互いの処理空気が対向流をなすように流れるので、第2の吸着ゾーンでは第1の吸着ゾーンにおける処理で含水量が比較的少ない出口側から処理空気が流入し、デシカントの厚み方向に均等に含水量が分布する効率の良い水分吸着が行われる。
【0012】
請求項3に記載のデシカント空調装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記再生ゾーンは、互いに隣接しかつ再生空気が対向流をなすように流れる第1および第2の再生ゾーンからなり、前記第1の再生ゾーンと第2の再生ゾーンとの間において前記再生空気を加熱する第2の高熱源熱交換器とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、再生空気がデシカントロータの第1の再生ゾーンを通過する際に水分脱着がなされた後、さらに、再生空気が第2の高熱源熱交換器を通過する際に加熱されてから第2の再生ゾーンへ流入し、第1の再生ゾーンでの脱着処理を終えた後のデシカントの再生駆動力を向上させた状態で水分脱着がなされる。これにより、再生駆動力が低下した状態で脱着処理を継続する従来の場合に比べて脱着反応速度を向上させて、全体的な除湿性能を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載のデシカント空調装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記低熱源熱交換器を低熱源とし、前記高熱源熱交換器を高熱源とするヒートポンプを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明においては、ヒートポンプの低熱源熱交換器を低熱源とし、高熱源熱交換器を高熱源とすることで、コンパクトで実用的なデシカント空調装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし請求項4に記載のデシカント空調装置によれば、低温の再生熱源であっても除湿湿度差を大きくとることができ、それにより、特に盛夏時の高温多湿の条件下でも快適な室内環境を提供することができる。また、デシカントの作用湿度差が大きくとることができ、それにより少ない量のデシカントで十分な除湿ができるコンパクトでコストの安いデシカント空調装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の第1の実施の形態のデシカント空調機を示すもので、円盤状のデシカントロータ10が、円筒状の内部空間を形成するケーシング12(一部のみ表示)の内部に同軸に配置され、駆動装置であるモータ14によって緩やかに回転するようになっている。デシカントロータ10としては、所定の多孔質なデシカント(吸着剤)を、ハニカム状補強構造を有する円盤状部材に成形した周知のものを採用することができる。
【0018】
ケーシング12内には、デシカントロータ10の前後の内部空間を軸線を含む面で区分する仕切板16a,16b,18,20,22が設けられている。図においてデシカントロータ10より左側の空間では、水平方向に延びる一対の仕切板16a,16bと、上下に延びる仕切板18,20があり、これによりそれぞれ中心角90度ずつの扇状断面を有する4つの部分空間が形成されている。一方、デシカントロータ10より右側の空間では、水平方向に延びる1枚の仕切板22があり、上下に2つの部分空間が形成されている。水平方向に延びる仕切板16a,16b,22は、内部空間を上側の処理空気流路24と下側の再生空気流路26に分けている。また、縦方向の仕切板18,20と右側のケーシング12の密閉構造により、上下の処理空気流路24と再生空気流路26がそれぞれデシカントロータ10を2度通過してUターンする空気流路として形成されている。
【0019】
処理空気流路24にあるデシカントロータ10の部分は高温高湿度の処理空気と接触して処理空気中の水分を吸着するので、その部分を吸着ゾーンと称し、再生空気流路26にあるデシカントロータ10の部分は低温低湿度の再生空気と接触して再生空気中に水分を脱着するので、その部分を再生ゾーンと称する。この実施の形態では、縦方向の仕切板18,22により、それぞれ第1および第2の吸着ゾーン28a,28bおよび第1および第2の再生ゾーン30a,30bが形成されている。処理空気および再生空気の流入口はそれぞれ第1の吸着ゾーン28aおよび第1の再生ゾーン30aに対応して設けられており、また、それぞれに送風機32,34が設けられている。
【0020】
この実施の形態では、第1の吸着ゾーン28aと第2の吸着ゾーン28bはデシカントロータ10の回転方向に逆順に隣接し、第1の再生ゾーン30aと第2の再生ゾーン30bはデシカントロータ10の回転方向に同順に隣接している。従って、デシカントロータ10上のデシカントは第2の吸着ゾーン28b→第1の吸着ゾーン28a→第1の再生ゾーン30a→第2の再生ゾーン30bの順に回転移動する。このような配置は、これまでの実験では、図2に示すような第1および第2の吸着ゾーンおよび再生ゾーンがともにデシカントロータ10の回転方向に沿って同順に隣接している場合よりも良い成績が得られた。
【0021】
このように形成された処理空気流路24と再生空気流路26に、図示するように蒸気圧縮冷凍機(ヒートポンプ)36の低熱源および高熱源がそれぞれ配置され、これらの流路の空気と熱交換を行うようになっている。このヒートポンプ36は所定の冷媒が循環する冷媒流路38に、圧縮機40、第1および第2の凝縮器(高熱源熱交換器)42a,42b、膨張弁44、および蒸発器(低熱源熱交換器)46が順次設けられている。そして、蒸発器46は、処理空気流路24中の第1の吸着ゾーン28aと第2の吸着ゾーンの間の空間に配置され、また、第1の凝縮器42aは、再生空気流路26中の第1の再生ゾーン30aの上流側に、第2の凝縮器42bは第1の再生ゾーン30aと第2の再生ゾーン30bの間の空間に配置されている。
【0022】
以下、従来例の場合と同様に、図1のデシカント空調機を、東京の盛夏時の最高温多湿外気条件を想定した35℃、22g/kgDAの外気を処理して導入する空調運転の際の動作を、経験的なデータを基にシミュレートした結果について、図3の湿り空気線図を参照して説明する。なお、室内空気の設定は乾球温度27℃、絶対湿度10.5g/kgDA(5)であるとする。また、以下の説明では、図1および図3に示された装置の各場所を表す符号を文中に示す。
【0023】
室内空間から再生空気として送風機34により再生空気流路26に取り込まれた室内の空気は、第1の凝縮器において昇温し(6)、デシカントロータ10の第1の再生ゾーン30aを通過する際にデシカントロータ10の水分を脱着し、等エンタルピー過程で温度低下する(6→7)。この室内空気は、さらに第2の凝縮器42bにおいて昇温し(8)、デシカントロータ10の第2の再生ゾーン30bを通過する際にデシカントロータ10の水分を脱着し、等エンタルピー過程で温度低下(8→9)した後、外部に排気される。
【0024】
現在入手可能な蒸気圧縮冷凍機では、このように2つの熱源を設定した場合には、この蒸気圧縮冷凍機は、ヒートポンプとして従来と同じ程度の能力のものを使用し、エンタルピー差Δhを小さくした場合、高熱源が分割されているために高熱源温度は特に第2の高熱源温度はΔTだけ低くなり、55℃程度で運転される。このようなヒートポンプの運転条件は、蒸気圧縮冷凍機によって高いCOPで運転できる範囲内である。
【0025】
一方、室外空間から処理空気として送風機32により処理空気流路24に取り込まれた高温多湿の外気(1)は、デシカントロータ10の第1の吸着ゾーン28aを通過する際に、第1の再生ゾーン30aで脱着された量にほぼ対応する量の水分を吸着され、等エンタルピー過程で温度上昇する(1→2)。この処理空気は、さらに蒸発器46において冷却され、飽和線に沿って水分を結露させた後(3)、デシカントロータ10の第2の吸着ゾーン28bを通過する際にさらに第2の再生ゾーン30bで脱着された量にほぼ対応する量の水分を吸着され、等エンタルピー過程で温度上昇する(3→4)。
【0026】
このシミュレーション結果によれば、第1および第2の吸着ゾーン28a,28bにおける2度の吸着により、比較的低温の熱源を用いて、盛夏時の外気22g/kgDAを通常の室内設定10.5g/kgDA以下まで除湿することができた。この理由は、処理空気の吸着およびデシカントの脱着の工程をそれぞれ2つのゾーンで行うことにより、図8に示す従来の場合と比較して、吸着および脱着のそれぞれの工程での効率が上昇しているからであるが、以下に詳しく説明する。
【0027】
デシカントロータ10による水分の吸着および脱着の過程は、それぞれデシカントが各流路に存在する限定された時間に行われるので、完全に平衡状態に到達することはない、非平衡な過程である。従って、吸着または脱着の効率は、これらの反応の速度に依存し、これはデシカントが吸着できる最大の含水率αと実際の含水率βの差(α−β)(以下、吸着駆動力と言う。)に依存すると考えられる。吸着できる最大の含水率αは、図4に示すようにデシカントの相対湿度に比例する。
【0028】
まず、吸着工程について説明すると、デシカントロータ10では空気の入口側から吸着現象が進行するので、相対湿度はデシカントの厚み方向において入口から出口に向かうに従い低下し、従って最大含水率αも同様に低下する。また、実際の含水率βは当然に処理の進行に伴って入口側から順次増加し、そして全体としても増加するので、吸着駆動力は処理の進行とともに全体として低下する。
【0029】
例えば、図8に示す従来の例では、吸着処理が終わる時点での出口側の相対湿度は9%であるので最大含水率αは3.6%と低下しており、実際の含水率βの値に拘わらず、最終段階での吸着処理の効率はかなり低くなっていたと判断される。
【0030】
これに対して、図1の装置では、第1段階の吸着工程は従来の場合の約半分の時間で終わり、この時の出口側の相対湿度は約30%であるので最大含水率αは12%とまだ高く、吸着駆動力も高い段階である。そして、ここで処理空気を蒸発器46により冷却することで相対湿度が上昇(この例では100%まで)するので、図4に点Cで示すように第2の吸着ゾーン28bの最大含水率αは40%となり、デシカントの吸着駆動力が回復した状態で吸着処理が継続される。このようにして、総計の処理時間あるいはデシカントの量は同じでも、従来の場合のように吸着駆動力の落ちた状態で処理を継続するのではなく、2つの処理の間で処理空気を冷却することにより吸着駆動力を回復させ、反応速度を高めているので、所定の処理時間においてより高い吸着作用を得ることができると考えられる。
【0031】
また、吸着効率向上の第2の理由として、この実施の形態では、第1の吸着ゾーン28aの下流で処理空気流路24を反転させて第2の吸着ゾーン28bに第1の吸着ゾーン28aと反対側から流入させていることが挙げられる。吸着ゾーンの出口側は上述したように実際の含水率βは低い状態であるので、冷却により最大含水率αが上昇することで吸着駆動力が高くなり、これにより吸着量の偏在を修正してデシカントの全体を活用して吸着量を増大させることができる。
【0032】
次に、脱着工程について説明する。脱着工程も基本的に考え方は吸着工程と同じである。すなわち、図4に示す吸着駆動力と同じように脱着駆動力を最大含水率α’とその時の実際の含水率β’の差として定義すれば、間に再生空気の再加熱を挟む2段階の再生工程とすることにより、高い温度の熱源を使って1回の脱着を行う従来の場合より高い脱着量を達成することができる。これは、従来の場合の図9の点(7)と本発明の図3の点(9)の縦軸位置(絶対湿度)を比較すると、後者の方が高い位置に有ることから理解できる。
【0033】
なお、図1の実施の形態では、吸着ゾーンと再生ゾーンの比率は等しく設定されており、これは吸着と脱着の工程が同じであることを意味している。しかしながら、使用するデシカント素材の特性や熱源の温度条件等によって最適な吸着・脱着処理時間比率は変化するので、これらの条件に応じて適宜に設定することが望ましい。また、各ゾーンにおける第1および第2のゾーンの比率も同様に適宜の比率に設定することができる。これらの調整は仕切板16a,16b,18,20,22の位置を変えて各ゾーンの中心角を変更することで容易に行うことができる。また、この実施の形態では、吸着処理後の処理空気の温度が室内空気より高くなっているが、これは例えば第2の吸着ゾーン28bの出口に第2の低熱源熱交換器を設けて顕熱を取り除くようにすることで対処できる。
【0034】
また、例えば、デシカントの素材が充分な吸着または脱着性能を持っている場合、ゾーンの分割をいずれか一方の工程だけに行うようにしてもよい。図5は、脱着性能が高いデシカントを用いる場合に、吸着ゾーンのみを分割するようにしたものである。さらに、図6は、図1の実施の形態に対して再生空気流路26と処理空気流路24の流入口・流出口の位置が反対側に来るようにしたものである。これは、単にこれらの空気流路への外部配管の都合を考慮したもので、状況に合わせて図1のタイプと図6のタイプのいずれかを選択すればよい。
【0035】
また、上記の実施の形態では、熱源として低熱源および高熱源を供給できるヒートポンプである蒸気圧縮冷凍機36を用いたが、もちろん他の形式の適宜なヒートポンプを使用することができる。また、空調装置が設置される状況において入手可能な個別の熱源を適宜に採用することによって省エネルギー効果を得ることもできる。図7は、そのような構成を示す実施の形態であって、高熱源として例えば工場からの低温廃熱48を、低熱源として大地熱52や地下水をそれぞれ利用するものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態のデシカント空調装置の構成を示す図である。
【図2】図1のデシカント空調装置の変形例の構成を示す図である。
【図3】図1のデシカント空調装置の動作を説明する湿り空気線図である。
【図4】図1のデシカント空調装置における吸着駆動力を説明する図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態のデシカント空調装置の構成を示す図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態のデシカント空調装置の構成を示す図である。
【図7】この発明の第4の実施の形態のデシカント空調装置の構成を示す図である。
【図8】従来のデシカント空調装置の構成を示す図である。
【図9】図8のデシカント空調装置の動作を説明する湿り空気線図である。
【符号の説明】
【0037】
10 デシカントロータ
12 ケーシング
14 モータ
16a,16b,22 仕切板(横)
18,20 仕切板(縦)
24 処理空気流路
26 再生空気流路
28 吸着ゾーン
28a 第1の吸着ゾーン
28b 第2の吸着ゾーン
30 再生ゾーン
30a 第1の再生ゾーン
30b 第2の再生ゾーン
32,34 送風機
36 ヒートポンプ(蒸気圧縮冷凍機)
38 冷媒流路
40 圧縮機
42 凝縮器(高熱源熱交換器)
42a 第1の凝縮器(第1の高熱源熱交換器)
42b 第2の凝縮器(第2の高熱源熱交換器)
44 膨張弁
46 蒸発器(低熱源熱交換器)
48 低温廃熱
50a,50b 高熱源熱交換器
52 大地熱
54 低熱源熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理空気が流れる処理空気流路と、
再生空気が流れる再生空気流路と、
これらの処理空気流路および再生空気流路に跨って回転するデシカントロータとを備え、
前記処理空気流路は、前記デシカントロータの第1および第2の吸着ゾーンを処理空気が順次通過する際に前記デシカント処理空気の水分が吸着されるように構成され、
前記再生空気流路は、前記デシカントロータの再生ゾーンを再生空気が通過する際に前記再生空気がデシカントロータの水分を脱着するように構成され、
さらに、前記再生ゾーンに入る前の再生空気を加熱する高熱源熱交換器と、
第1の吸着ゾーンと第2の吸着ゾーンとの間において前記処理空気を冷却する低熱源熱交換器とを備えたことを特徴とするデシカント空調装置。
【請求項2】
前記第1および第2の吸着ゾーンは互いの処理空気が対向流をなすように流れることを特徴とする請求項1に記載のデシカント空調装置。
【請求項3】
前記再生ゾーンは、互いに隣接しかつ再生空気が対向流をなすように流れる第1および第2の再生ゾーンからなり、前記第1の再生ゾーンと第2の再生ゾーンとの間において前記再生空気を加熱する第2の高熱源熱交換器とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデシカント空調装置。
【請求項4】
前記低熱源熱交換器を低熱源とし、前記高熱源熱交換器を高熱源とするヒートポンプを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデシカント空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−121698(P2009−121698A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292790(P2007−292790)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000004053)日本エクスラン工業株式会社 (58)
【Fターム(参考)】