説明

デジタルカメラ

【課題】無線通信機能を利用しない場合に、無線通信機能に関するボタンの誤操作が発生しないデジタルカメラを提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1の側面に設置されたアンテナカバー部材31はアンテナ24が実装された無線基板32を内蔵し、上下に移動させることができる。アンテナカバー部材31を無線使用位置に移動させると、デジタルカメラ1の側面に位置する無線ボタン13aが露出すると同時に、移動検知回路によりアンテナカバー部材31の移動が検知される。これにより、制御回路はアクセスポイントの探索を開始する。アクセスポイントが見つかると、制御回路は、デジタルカメラ1が撮影画像の再生中か否かに応じて異なる処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機能を有するデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラには、電波を用いた無線通信機能を有するものが存在する。一般に、無線通信機能を有するカメラには、無線通信機能を呼び出すための操作部材が設けられている。このようなカメラの例としては、特許文献1に示す、無線通信に関わる操作を行うための操作ボタンが3つ設けられているカメラが挙げられる。このカメラでは、上記の操作ボタンを押下すると、例えば無線通信情報が表示されたり、撮影画像が無線通信により送信されたりする。
【0003】
【特許文献1】特開2006−238018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示したカメラは、無線通信に関する操作を行うための操作ボタンを、カメラ背面に常時操作可能な形で設けている。そのため、ユーザが無線通信機能を利用したくない場合であっても、無線通信機能に関するボタンを誤って操作してしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、無線通信に用いられるアンテナと、前記アンテナが設けられた可動部材であって、少なくとも第1の位置と第2の位置とに移動させることが可能な可動部材と、前記無線通信と関連する操作に用いられる操作部材と、を有するカメラであって、前記操作部材は、前記可動部材が前記第1の位置にあるときには前記可動部材により遮蔽され操作不可能であり、前記可動部材が前記第2の位置にあるときには前記可動部材により遮蔽されず操作可能であることを特徴とするデジタルカメラである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、無線通信機能を利用しない場合に、無線通信機能に関するボタンが操作されることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
――第1の実施の形態――
図面を用いて、本発明の一実施の形態によるデジタルカメラについて説明する。この実施の形態のデジタルカメラは無線LAN通信用のアンテナを有し、特定のサーバあるいはメールアドレスに対して撮影画像を送信することができる。
【0008】
図1は、本実施の形態によるデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。デジタルカメラ1は、入力装置13,焦点調節装置14,撮像素子15,制御回路16,DRAM17,フラッシュメモリ18,液晶モニタ20,メモリカードインタフェース(I/F)21,通信回路23,アンテナ24,および移動検知回路25を備える。
【0009】
撮像素子15は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCCDやCMOSイメージセンサによって構成される。撮像素子15は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号(画像信号)を出力する。撮像素子15の撮像面には、それぞれR(赤)、G(緑)およびB(青)のカラーフィルタが画素位置に対応するように設けられている。撮像素子15がカラーフィルタを通して被写体像を撮像するため、各撮像素子から出力される画像信号は、それぞれRGB表色系の色情報を有する。
【0010】
撮像素子15から出力された画像信号は制御回路16に入力される。制御回路16は、画像信号に対して種々の画像処理を行い、画像データを生成する。そして、制御回路16は生成された画像データに対してJPEGなどの所定の方式により圧縮処理を行い、EXIFなどの形式で記録媒体22へ記録する。制御回路16は、たとえばRISCなどで構成され、図1に示す各回路を制御する。
【0011】
焦点調節装置14は、撮像素子15から出力される撮像信号に基づいて周知の焦点評価値演算を行い、演算結果を制御回路16へ出力する。制御回路16は、上記演算結果に基づいて、焦点評価値が最大となる位置へ撮影レンズ10を移動する。
【0012】
DRAM17は、画像処理、画像圧縮処理および表示用画像データ作成処理の途中や処理後のデータを一時的に格納するために使用される。表示用画像データは、制御回路16が撮像素子15からの出力に基づいて生成した画像データ、もしくは記録媒体22に記録されている画像データに基づいて、制御回路16により生成される。生成された表示用画像データは、制御回路16によりDRAM17に格納される。フラッシュメモリ18は、たとえば制御回路16が演算を行なうための各種の処理プログラムが記憶された不揮発性メモリである。
【0013】
LCD駆動回路19は制御回路16の命令に基づいて液晶モニタ20を駆動し、液晶モニタ20は画像を表示する。また、液晶モニタ20は、デジタルカメラの各種設定メニュー画面の表示を行なう。入力装置13は、レリーズボタンや再生ボタン、無線ボタンなどの種々の操作ボタンを含み、使用者による各操作ボタンの操作信号を制御回路16へ出力する。
【0014】
通信回路23は無線LAN通信機能を備えた通信回路であり、アンテナ24を用いて所定のアクセスポイントとの無線LAN通信を行う。移動検知回路25は、後述するアンテナカバー部材が無線使用位置に移動したことを検知し、制御回路16へ検知信号を出力する。
【0015】
次に、デジタルカメラ1が備えるアンテナカバー部材について説明する。デジタルカメラ1は金属製の外装に覆われている。外装の内側にアンテナを設置した場合、外装により電波が減衰したり、外装に反射した電波が雑音となったりするため、無線LAN通信が阻害される可能性がある。そこで、本発明では、アンテナを本体に取り付けられたアンテナカバー部材に設置し、アンテナカバー部材を可動とすることで、アンテナ使用時にはアンテナが金属製の外装に接しない構成とした。
【0016】
図2は、アンテナカバー部材が収納位置にある状態のデジタルカメラ1の外観図である。デジタルカメラ1の側面にはアンテナカバー部材31が設置されている。また、アンテナカバー部材31の内部には無線基板32が設置され、無線基板32の表面にはアンテナ24が実装されている。アンテナカバー部材31は、デジタルカメラ1の外装とは異なり、樹脂等の非導通部材により構成される。従って、アンテナカバー部材31はアンテナ24による無線LAN通信を妨げない。
【0017】
アンテナ24は指向性を有し、無線基板32のアンテナ24が実装されている側の表面へ向けて電波の送受信を行う。なお、本発明はアンテナの種類、指向性の有無、および取付方向を問わず適用することができる。また、アンテナカバー部材31を、無線LAN通信を妨げない範囲で一部のみ非導通部材とし、残りの範囲を導通部材としてもよい。
【0018】
アンテナカバー部材31は、デジタルカメラ1の上下方向へ垂直に移動させることができる。アンテナカバー部材31の下方向への移動は、図2に示した収納位置までしか行うことができない。また、アンテナカバー部材31の上方向への移動は、後述する無線使用位置までしか行うことができない。アンテナカバー部材31が無線使用位置にないとき、デジタルカメラ1の無線LAN通信機能を利用することはできない。すなわち、アンテナカバー部材31が無線使用位置にないときには、通信回路23は不活性状態となっている。
【0019】
図3は、アンテナカバー部材31が無線使用位置にある状態のデジタルカメラ1の外観図である。アンテナカバー部材31が無線使用位置にあるとき、無線使用位置にない場合と比べ、アンテナ24はデジタルカメラ1の外装からより離れた場所に位置している。
【0020】
アンテナカバー部材31を無線使用位置に移動させると、デジタルカメラ1の側面に位置する無線ボタン13aが露出する。無線ボタン13aは、デジタルカメラ1の無線LAN通信機能に関連する操作に用いられる操作ボタンである。アンテナカバー部材31が無線使用位置にない場合、無線ボタン13aはアンテナカバー部材31により遮蔽されている。従って、無線ボタン13aを押下することはできない。
【0021】
アンテナカバー部材31が無線通信位置に移動すると、移動検知回路25はこの移動を検知し、制御回路16へ移動検知信号を出力する。移動検知信号を受信した制御回路16は、無線通信に関連する所定の処理の実行を開始する。
【0022】
図4は、アンテナカバー部材31の移動機構を示す断面図である。図4(a)はデジタルカメラ1を正面から見た図、図4(b)は上面から見た図である。アンテナカバー部材31はガイドレール43を備える。ガイドレール43にはスライダー41が嵌合されており、スライダー41は留め具42a,42bによりデジタルカメラ1の外装に固定されている。アンテナカバー部材31は上記の機構により、収納位置から無線使用位置まで移動可能となっている。
【0023】
ガイドレール43の下端には凸部45が存在する。アンテナカバー部材31が無線使用位置まで移動したとき、凸部45は移動検知スイッチ44を押下する。移動検知回路25は、移動検知スイッチ44の押下によって、アンテナカバー部材31が無線使用位置まで移動したことを検知する。
【0024】
デジタルカメラ1の外装にはバネを備えたストッパー46が設けられている。ストッパー46は、アンテナカバー部材31が収納位置にあるときにはアンテナカバー部材31に設けられた凹部47aに嵌合する。また、ストッパー46は、アンテナカバー部材31が無線使用位置にあるときにはアンテナカバー部材31に設けられた凹部47bに嵌合する。このストッパー46により、アンテナカバー部材31は収納位置および無線使用位置に固定される。
【0025】
次に、アンテナカバー部材31を移動させたことによりデジタルカメラ1が実行する処理について、図5を用いて説明する。図5は、液晶モニタ20に表示される画面の例を示す図である。
【0026】
デジタルカメラ1のユーザは、無線LAN通信を行わない場合には、アンテナカバー部材31を収納位置に固定させてデジタルカメラ1を利用する。無線LAN通信を実行する際には、ユーザによりアンテナカバー部材31が無線使用位置まで移動される。前述の通り、アンテナカバー部材31を収納位置から無線使用位置まで移動させると、移動検知回路25は移動検知信号を制御回路16へ出力する。制御回路16は、移動検知信号の入力に応じて以下で説明する動作を行う。
【0027】
移動検知信号が入力された制御回路16は、まず通信回路23への通電を開始し、通信回路23を不活性状態から活性状態へと遷移させる。これにより、通信回路23を用いた無線LAN通信が行えるようになる。続いて制御回路16は、通信回路23およびアンテナ24を用いて、無線LAN通信の通信先となるアクセスポイントを探索する。無線LAN通信はデジタルカメラ1とアクセスポイントとの間で行われるので、利用可能なアクセスポイントが存在しなかった場合には無線LAN通信を行うことができない。
【0028】
利用可能なアクセスポイントが見つかった場合には、図5(a)に示す画面51が液晶モニタ20に表示される。このとき、画面51に含まれるアイコン51aには、アクセスポイントとアンテナ24との間の電界強度に応じて異なる表示が行われる。他方、利用可能なアクセスポイントが見つからなかった場合には、図5(a)に示す画面52が液晶モニタ20に表示され、アクセスポイントが見つからないため無線LAN通信を行えないことをユーザに通知する。その後、通信回路23は再び不活性状態となる。
【0029】
なお、アクセスポイントが見つからなかったとき、アクセスポイントの探索を繰り返し行うようにしてもよい。この場合、例えば試行回数が所定回数に到達するまで繰り返し探索を行ってもよいし、ユーザがアンテナカバー部材31を収納位置に戻すまで回数を定めず探索を繰り返してもよい。
【0030】
アクセスポイントが見つかり画面51を表示した場合、デジタルカメラ1は自身の状態に応じてその後に実行する処理を切り替える。以下、記録媒体22に記録されている撮影画像を再生中であった場合と再生中ではなかった場合について順に説明する。
【0031】
撮影画像を再生中であった場合には、図5(b)に示す画面53が液晶モニタ20に表示される。画面53は、撮影画像の転送先を選択する画面である。本実施形態におけるデジタルカメラ1は、撮影画像を所定のサーバに送信する機能と、撮影画像を添付した電子メールを所定のメールアドレス宛に送信する機能を備える。そのため、画面53には転送先の候補として、所定のサーバとメールアドレスが一覧表示されている。ユーザは画面53に表示された転送先候補の中から撮影画像の転送先を選択し、無線ボタン13aを押下する。無線ボタン13aが押下されると、ユーザが選択した転送先へ、再生中の撮影画像が通信回路23により送信される。
【0032】
次に、アクセスポイントが見つかったときに撮影画像を再生中ではなかった場合について説明する。撮影画像の再生中ではなかった場合、デジタルカメラ1は撮影動作を行うことが可能な撮影状態となる。ユーザがレリーズボタンを押下し撮影動作が行われると、記録媒体22に新たな撮影画像が記録された後、液晶モニタ20に図5(c)に示す画面54が表示される。画面54は、撮影画像を無線LAN通信により転送するか否かをユーザに問い合わせる画面である。ここでユーザが無線ボタン13aを押下すると、上記の撮影動作により記録媒体22に記録された新たな撮影画像が、ユーザがあらかじめ選択しておいた転送先へ通信回路23により送信される。
【0033】
次に、アンテナカバー部材31を無線使用位置へ移動させたときに実行される制御回路16の処理の詳細について、図を用いて説明する。図6は、アンテナカバー部材31を無線使用位置へ移動させたときに実行される制御回路16の処理を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートのプログラムは、フラッシュメモリ18に記録されている。図6のフローチャートにおいて、ユーザによりアンテナカバー部材31が無線使用位置に移動されると、本フローチャートの処理が開始する。
【0034】
まずステップS10では、制御回路16は、通信回路23への通電を開始し通信回路23を活性状態とする。ステップS11では、制御回路16は、通信回路23を用いて無線LAN通信のアクセスポイントを探索する。ステップS12では、制御回路16は、アクセスポイントを発見し、画面51(図5)を表示してユーザへ利用可能なアクセスポイントが見つかったことを通知する。なお、アクセスポイントが見つからなかった場合には、画面52(図5)を表示して処理を終了する。
【0035】
ステップS13では、制御回路16は、現在デジタルカメラ1が撮影画像の再生中か否かを判定する。撮影画像の再生中であった場合にはステップS14へ進む。ステップS14では、制御回路16は、画面53(図5)のように、撮影画像の転送先候補を液晶モニタ20へ一覧表示する。ステップS15では、制御回路16は、ユーザにより転送先候補の中から撮影画像の転送先の選択を受け付け、ステップS16では、制御回路16は、ユーザにより無線ボタン13aが押下されたことを検出する。これによりステップS17へ進み、制御回路16は、再生中であった撮影画像を通信回路23により転送先へ送信する。
【0036】
他方、ステップS13において撮影画像の再生中ではなかった場合にはステップS18へ進む。ステップS18では、制御回路16は、ユーザによるレリーズボタンの押下に応じて撮影動作を実行する。ステップS19では、制御回路16は、ステップS18の撮影動作により作成された撮影画像を液晶モニタ20に表示し、その後画面54(図5)のように、液晶モニタ20に撮影画像を転送するか否かを問い合わせる画面を表示する。ステップS20では、制御回路16は、ユーザにより無線ボタン13aが押下されたことを検出するとステップS21へ進み、制御回路16は、ステップS18の撮影動作により作成された撮影画像を通信回路23により所定の転送先へ送信する。
【0037】
なお、ステップS21において、制御回路16は、所定の転送先以外へ撮影画像を送信してもよい。この場合、例えばステップS21の直前に、ステップS14と同様に転送先を選択する画面を表示し、ユーザが転送先を選択できるようにしてもよい。また、ステップS17で、再生中の撮影画像を転送するのではなく、ユーザが選択した複数枚の撮影画像を転送するようにしてもよい。また、ステップS15,S16において、ユーザによる所定の操作を所定時間受け付けなかった場合は、アクセスポイントとの通信を切断してもよい。
【0038】
上述した第1の実施の形態によるデジタルカメラによれば、次の作用効果が得られる。
(1)アンテナ24を内蔵し、収納位置と無線使用位置とに移動させることができるアンテナカバー部材31は、収納位置にあるときには無線ボタン13aを遮蔽し、無線使用位置にあるときには無線ボタン13aを遮蔽しない。すなわち、アンテナカバー部材31が収納位置にあるときには無線ボタン13aを操作不可能であり、アンテナカバー部材31が無線使用位置にあるときには無線ボタン13aは操作可能である。これにより、無線操作を行わない場合の無線ボタン13aの誤操作が抑止される。
【0039】
(2)アンテナカバー部材31を無線使用位置に移動させると、移動検知回路25により移動検知信号が制御回路16へ出力され、制御回路16がアクセスポイントの探索を開始する。これにより、無線LAN通信の開始処理が、無線LAN通信に不可欠なアンテナカバー部材31の移動操作と一体となり、無線LAN通信機能の使い勝手が向上する。
【0040】
(3)撮影画像の再生中にアンテナカバー部材31を無線使用位置へ移動させると、撮影画像の転送先を選択する画面が液晶モニタ20に表示され、ユーザに転送先の選択を促す。これにより、特別なボタン操作なしで撮影画像の転送先を選択することができるので、操作性が向上する。
【0041】
(4)撮影画像の再生中ではないときにアンテナカバー部材31を無線使用位置へ移動させると、撮影動作の後に、撮影画像を転送するか否かをユーザへ問い合わせる。これにより、上記の問い合わせを行うか否かを別途メニュー等で設定する必要がなく、操作性が向上する。
【0042】
(5)無線LAN機能を利用する際にはアンテナカバー部材31が常に無線使用位置へ移動している。すなわち、アンテナ24が常にデジタルカメラ1の外装から遠ざかった場所に位置している。これにより、アンテナ24を用いた無線LAN通信の感度が向上する。
【0043】
上述した第1の実施の形態では、アンテナカバー部材31はガイドレール43により上下に移動するよう構成されていた。以下に詳述する第2の実施の形態では、アンテナカバー部材31は回転移動するよう構成される。
【0044】
――第2の実施の形態――
図7は、アンテナカバー部材が収納位置にある状態の第2の実施の形態によるデジタルカメラの外観図である。図8は、アンテナカバー部材が無線使用位置にある状態の第2の実施の形態によるデジタルカメラの外観図である。図7および図8に示したデジタルカメラ101は、無線基板132を設置したアンテナカバー部材131を備える。アンテナカバー部材131は回転軸161を中心に360度回転するよう構成されている。
【0045】
アンテナカバー部材131の側面には無線ボタン113a(図8)が設けられている。アンテナカバー部材131を無線使用位置に移動させると無線ボタン113aが露出し、第1の実施の形態と同様に無線ボタン113aを用いた操作が可能となる。このように、本発明は水平移動するアンテナカバー部材だけでなく、回転移動するアンテナカバー部材に対しても適用可能である。上述した第2の実施の形態によるデジタルカメラによれば、第1の実施の形態によるデジタルカメラと同様の作用効果が得られる。
【0046】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(1)上述した実施の形態ではレンズ一体型のデジタルカメラについて説明したが、例えば一眼レフカメラなど交換レンズを用いる撮像装置についても本発明を適用可能である。
【0047】
(2)アンテナカバー部材が収納位置にあるときには、アンテナカバー部材が金属製の外装に覆われるようにしてもよい。この場合、アンテナカバー部材を無線使用位置に移動するとアンテナが金属製の外装から露出するよう無線使用位置を定める。
【0048】
(3)アンテナカバー部材の移動と通信回路23への通電とを連動させなくてもよい。例えば、通信回路23は常に活性状態とし、アンテナカバー部材の移動により状態が変更されることがないようにしてもよい。
【0049】
(4)アンテナカバー部材を、デジタルカメラの側面以外に設けてもよい。例えばデジタルカメラの底面や上面にアンテナカバー部材を設けてもよい。
【0050】
(5)アンテナおよび通信回路は、無線LAN通信以外の通信方式を用いたものであってもよい。例えば、携帯電話網による通信を基地局との間で行うようにしてもよい。
【0051】
(6)無線ボタンは、例えば接触を感知するタッチセンサなど、ボタン以外の操作部材であってもよい。
【0052】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施の形態によるデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図2】アンテナカバー部材31が収納位置にある状態のデジタルカメラ1の外観図である。
【図3】アンテナカバー部材31が無線使用位置にある状態のデジタルカメラ1の外観図である。
【図4】アンテナカバー部材31の移動機構を示す断面図である。
【図5】液晶モニタ20に表示される画面の例を示す図である。
【図6】アンテナカバー部材31を無線使用位置へ移動させたときに実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】アンテナカバー部材131が収納位置にある状態のデジタルカメラ101の外観図である。
【図8】アンテナカバー部材131が無線使用位置にある状態のデジタルカメラ101の外観図である。
【符号の説明】
【0054】
1,101 デジタルカメラ
24,124 アンテナ
31,131 アンテナカバー部材
32,132 無線基板
13a,113a 無線ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信に用いられるアンテナと、
前記アンテナが設けられた可動部材であって、少なくとも第1の位置と第2の位置とに移動させることが可能な可動部材と、
前記無線通信と関連する操作に用いられる操作部材と、
を有するデジタルカメラであって、
前記操作部材は、前記可動部材が前記第1の位置にあるときには前記可動部材により遮蔽され操作不可能であり、前記可動部材が前記第2の位置にあるときには前記可動部材により遮蔽されず操作可能であることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
記録媒体に記録されている撮影画像を再生する再生手段と、
前記再生手段が再生した撮影画像を表示する表示手段と、
前記アンテナを用いた無線通信により、所定の撮影画像を送信する送信手段とをさらに備え、
前記送信手段は、前記再生手段が撮影画像の再生中の場合、前記操作部材の操作に応じて、前記再生手段が再生中の撮影画像を無線通信により送信することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のデジタルカメラにおいて、
前記可動部材が前記第2の位置に移動したことを検知する移動検知手段と、
前記移動検知手段による検知に応じて、前記アンテナを用いた無線通信に関連する所定の処理を実行する制御手段と、
をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、
前記アンテナを用いた無線通信の通信先を探索する探索手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記移動検知手段による検知に応じて、前記所定の処理として前記探索手段に通信先を探索させることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】
請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、
前記制御手段は、前記再生手段が撮影画像の再生中の場合、前記移動検知手段による検知に応じて、前記所定の処理として、撮影画像の送信先を問い合わせる画面を前記表示手段に表示させることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項6】
請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、
前記制御手段は、前記再生手段が撮影画像の再生中ではない場合、前記移動検知手段による検知と前記デジタルカメラの撮影操作とに応じて、前記所定の処理として、前記撮影操作により作成された撮影画像を前記送信手段により送信するか否かを問い合わせる画面を前記表示手段に表示させることを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−93483(P2010−93483A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260586(P2008−260586)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】