説明

デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理の組合せ

本発明は、サンプリングレート変換方法に関する。信号品質を向上するデジタル信号の有効なサンプリングレート変換方法を提供する本発明の目的を解決するために、デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた方法を提案し、この場合、入力信号が、フィルタ処理された出力信号に変換され、入力信号を第1のポリフェーズフィルタによってフィルタ処理して第1中間信号を生成するステップと、入力信号を第2のポリフェーズフィルタによってフィルタ処理して第2中間信号を生成するステップと、第2中間信号に利得制御信号を乗算して第3中間信号を生成するステップと、第3中間信号に第1中間信号を加算して出力信号を生成するステップとを具える。本発明の目的は、デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置及びコンピュータプログラムによっても解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた方法であって、入力信号が、フィルタ処理された出力信号に変換され、前記入力信号を第1のポリフェーズフィルタによってフィルタ処理して、第1中間信号を生成するステップと、前記入力信号を第2のポリフェーズフィルタによってフィルタ処理して、第2中間信号を生成するステップと、前記第2中間信号に利得制御信号を乗算して、第3中間信号を生成するステップと、前記第3信号を前記第1信号に加算して前記出力信号を生成するステップとを具えることを特徴とする方法に関する。また、本発明は、デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル信号処理の種々のアプリケーションの分野において、第1のサンプリングレートを有する信号を第1のサンプリングレートより小さい又は大きい第2のサンプリングレートに変換することが要求される。例えば、テレビジョン画像処理の分野において、テレビジョンセットのPicture-In-Picture(PIP)若しくはPicture-Out-of-Pictureモードで生じるように、又は、大抵のテレビ局によって現在放送されている標準(Standard Definition :SD)を、高品位(High Definition :HD)フォーマットを表示するよう設計されたテレビジョンセットに表示するのに関連して、種々の表示フォーマットで表されるテレビジョン信号の表示は、不可欠な要求である。
【0003】
サンプリングレート変換すなわちコンポーネント(VGA)ビデオのテレビジョンへの変換を行う従来の装置が、米国特許第6,281,874号に開示されている。入力ビデオ信号のスケーリングは、固定された遮断周波数及びプログラマブル遅延を有する低域通過補間フィルタとして動作するポリフェーズフィルタによって実行される。ポリフェーズフィルタの係数を変更することによって、入力ビデオ信号は、画素クロックの一部によって時間シフトされ、出力ビデオ信号のフリッカを低減するために同時に低域通過フィルタ処理される。
【0004】
そのようなポリフェーズフィルタの基本構成を図1に示す。ポリフェーズフィルタは、シフトレジスタ1を形成する複数のレジスタ1−1...1−4を処理する。シフトレジスタ1は、位相イネーブル信号3によって制御され、位相イネーブル信号3は、新たなセットのデジタル値が各レジスタ1−1...1−4にロードされたか否か又は既にレジスタに含まれるデジタル値が維持されているか否かを制御する。上記デジタル値を、デジタル入力信号4の連続するデジタル値とする。
【0005】
さらに、レジスタ1−1...1−4のレジスタ出力値は、結合回路5に入力され、結合回路5は、結合回路出力値を生じるレジスタ出力値の加算又は減算を行う。さらに、単一の結合回路出力値はそれぞれ、乗算部6−1...6−5によってフィルタ係数a1(i)...a5(i)で重み付けされ、加算部7−1...7−4によって、他の重み付けされた結合回路出力値に加算され、最終的には出力信号8のデジタル値を生成する。各乗算部6−1...6−5で適用されるフィルタ係数a1(i)...a5(i)は、固定されず、周期的な位相制御信号iに応答して、制限されたセットのフィルタ係数{a1(1)...a1(N)}...{a5(1)...a5(N)}から選択され、この場合、Nを、各乗算部6−1...6−5で利用できる互いに相違するフィルタ係数の数又はサイクルごとのフィルタ処理ステップの数とする。
【0006】
位相制御信号iによってトリガされ、各結合回路出力値に対するフィルタ係数a1(i)...a5(i)の重み付け及び出力信号8の一つのデジタル値を生成する重み付けされた結合回路出力値の加算を具える各フィルタ処理ステップにおいて、フィルタ係数a1(i)...a5(i)は、ポリフェーズフィルタのインパルス応答を規定する。ポリフェーズフィルタがサンプリングレート変換することを所望される場合、各フィルタ処理ステップにおいて、基本的には同一のフィルタ特性であるが互いに相違するフィルタの位相が達成されるように、フィルタ係数{a1(1)...a1(N)}...{a5(1)...a5(N)}のセットを選択することができる。周波数領域における互いに相違するフィルタの位相は、時間領域において互いに相違する遅延に戻され、その結果、選択された遅延に応じて、入力信号のサンプリングレートとは異なるサンプリングレートでデジタル入力信号が再びサンプリングされる。各フィルタ処理ステップにおいて、図1のポリフェーズフィルタ構成は、一つの出力信号値を発生する。アップ変換(up-conversion)1を行う、すなわち、入力信号のサンプリングレートを増大するために、出力信号値間の遅延が入力信号のサンプリングレートの逆より小さくなるようにフィルタ係数が選択される。さらに、位相イネーブル信号3に応じて、レジスタ1−1...1−4は、各フィルタ処理ステップにおいて必ずしも新たな入力信号値でロードされず、以前のフィルタ処理ステップの入力信号サンプリング値を格納する。例えば、5/4のサンプリングレートアップ変換比が所望される場合、四つの入力信号値が五つの出力信号値を発生し、1サイクルの五つのフィルタ処理ステップのうちの一つにおいて、以前の値が、新たな入力信号のサンプリング値の代わりにレジスタ1−1...1−4に格納される。位相イネーブル信号3は、シフトレジスタ1の動作をトリガし、それに対して、位相制御信号iによって、1サイクルの各フィルタ処理ステップにおいて適切なフィルタ係数が乗算部6−1...6−5に適用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像処理におけるアップ変換(up-conversion)のアプリケーションの分野に戻ると、アップ変換が入力画像のナイキスト制限より上の周波数を生じないのは一般的な欠点である。視聴者は、アップ変換された画像の拡張されたスペクトルにおいて高周波数成分を予測するが、これら高周波成分を欠く結果、アップ変換された画像が先鋭でないことを感じる。
【0008】
したがって、画像処理のこのアプリケーション特有の例に由来して、本発明の一般的な目的は、画像品質が向上する、デジタル信号のサンプリングレート変換の有効な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を解決するために、デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた方法であって、入力信号が、フィルタ処理された出力信号に変換され、前記入力信号を第1のポリフェーズフィルタによってフィルタ処理して、第1中間信号を生成するステップと、前記入力信号を第2のポリフェーズフィルタによってフィルタ処理して、第2中間信号を生成するステップと、前記第2中間信号に利得制御信号を乗算して、第3中間信号を生成するステップと、前記第3信号を前記第1信号に加算して前記出力信号を生成するステップとを具えることを特徴とする方法を提案する。
【発明の効果】
【0010】
第1及び第2のポリフェーズフィルタの使用により、入力デジタル信号のサンプリングレート変換及び2段階のフィルタ処理を実現することができる。フィルタ係数によって規定される第1及び第2のポリフェーズフィルタの設計において、第1及び第2のポリフェーズフィルタのフィルタ位相を、同一のサンプリングレート変換を達成するよう等しく選択することができ、それに対して、第1及び第2のポリフェーズフィルタのフィルタ特性を固定する再の自由度を、十分に相違する二つのフィルタ関数を実現するように設定することができる。例えば、第1のポリフェーズフィルタを、補間のために低域通過フィルタとして実現する場合、第2のフィルタを、信号品質を向上するために、選択した周波数範囲を増幅するよう設計することができる。第2中間信号を乗算した利得制御信号は、第3中間信号の振幅を制御し、加算された出力信号が更に多くの雑音を搬送するのを防止するとともに過度のクリッピングを行うのを防止する。利得制御がない場合、両方のポリフェーズフィルタの係数が結合され、サンプリングレート変換及びフィルタ処理の際に一つのポリフェーズフィルタしか必要としない。しかしながら、第2のフィルタのダイナミックの制御はもはや不可能であり、出力信号のダイナミックレンジが制御不可能になり、したがって、知覚的な魅力がない。
【0011】
本発明によれば、前記第1のポリフェーズフィルタが、周波数領域で低域通過フィルタ特性を有するのが有利である。この場合、第1のポリフェーズフィルタは、低域通過補間フィルタとして動作する。
【0012】
前記第2のポリフェーズフィルタが、周波数領域で帯域通過フィルタ特性を有するのが更に好適である。第2のポリフェーズフィルタの帯域通過フィルタ特性は、デジタル信号の高周波成分のみを増幅し、その結果、加算された出力信号において、第1中間信号における高周波成分の知覚の欠如が、第3中間信号、すなわち、利得制御された第2中間信号の加算によって補償される。本発明を画像処理に適用する場合、第2のポリフェーズフィルタの帯域通過特性によって、ピーキング法又は非線形的な輝度遷移改善(Luminance Transition Improvement: LTI)の実現を許容する。しかしながら、これらピーキング及びLTI法は、新たな高周波成分を増幅し及び形成し、これによって、先鋭な出力信号が、専用のダイナミックレンジを超えることがあり、その結果、出力信号が更に多くの雑音を搬送するとともに過度のクリッピングを行う。したがって、第3中間信号のダイナミックレンジは、第1中間信号に加算される前に利得制御信号によって制御される。
【0013】
本発明によれば、前記利得制御信号を、前記第3のポリフェーズフィルタによって前記入力信号をフィルタ処理することによって発生した信号から取得するのが、更に好ましい。第1及び第2のポリフェーズフィルタの遅延に従う遅延を達成するとともに、第2中間信号値の各々に対して利得制御値を取得する機能、例えば、本発明を画像処理に適用する場合にはエッジ勾配検出器を実現するフィルタ特性を達成するように、第3のポリフェーズフィルタの係数を設計することができる。
【0014】
好適には、利得制御信号を、微分フィルタ特性を有するポリフェーズフィルタから取得する。画像処理に関連して、そのような微分フィルタは、例えばエッジ勾配検出器を実現する。
【0015】
本発明によれば、好適には、前記ポリフェーズフィルタの各乗算タップに対するフィルタ係数を、ルックアップテーブルに格納し、位相制御信号に応答して周期的に読み出す。
【0016】
本発明によるデジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた方法の有効な実現は、前記ポリフェーズフィルタがシフトレジスタを共有することを特徴とする。これは、各レジスタが高価なラインメモリを表す垂直テレビジョン信号処理の分野に特に関連する。
【0017】
入力信号をビデオ信号とする場合、好適には、前記入力信号が、前記ポリフェーズフィルタによってフィルタ処理される前にガンマ補正によって線形的な光領域に変換され、前記出力信号が、逆ガンマ補正によってガンマ領域に戻される。線形的な光領域のフィルタ処理によってエイリアジングが低減する。さらに、第2のポリフェーズフィルタ(LTI及びピーキング)のパフォーマンスが向上される。
【0018】
入力信号をビデオ信号とする場合、少なくとも前記第1及び第2のポリフェーズフィルタ内のレジスタの各出力値に対してガンマ補正を実行し、前記出力信号を、逆ガンマ補正によってガンマ領域に戻すことも好ましい。この場合、レジスタ出力値が複数のガンマ補正回路に供給されて、結合回路5のガンマ補正されたレジスタ出力値の組合せを行う前にガンマ領域から線形的な光領域への変換を行う。線形的な光領域におけるフィルタ処理によってエイリアジングが低減する。さらに、第2のポリフェーズフィルタ(LTI及びピーキング)のパフォーマンスが向上される。ガンマ補正は、一般的にはビデオ信号のワード長を増大し、その結果、レジスタ前でガンマ補正を適用することは、全てのレジスタを更に広くし、したがって、更に高価なものにすることを意味する。レジスタ後に配置されたガンマ補正回路によりガンマ補正を複数回適用すると、更に廉価になる。これを、ガンマ補正回路の廉価な近似が利用できる場合にのみ達成することができる。レジスタの後方でガンマ補正を適用する他の利点は、エッジ検出用の第3のポリフェーズフィルタが線形的な光領域で作動するかわりにガンマ領域で好適に作動し続けることができることである。逆ガンマ補正は、出力信号に対して一度だけ実行される。
【0019】
テレビジョン画像処理の分野における本発明による方法の好適なアプリケーションは、前記入力信号を標準テレビジョン放送(SDTV)信号とし、前記出力信号を高品位テレビジョン放送(HDTV)信号とし、前記第1のポリフェーズフィルタが空間スケーリングを実行し、前記第2のポリフェーズフィルタがピーキング及び/又はLTIを実行し、前記第3のポリフェーズフィルタがエッジ勾配検出を行うことを特徴とする。したがって、SDTV信号をHDTV上で見ることができ、高品位ディスプレイは、陰極線管(CRT)ディスプレイとマトリックスディスプレイの両方を含む。
【0020】
本発明の第1例によれば、デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置であって、入力信号が、フィルタ処理された出力信号に変換され、位相イネーブル信号によって一体的に制御される複数のレジスタを具え、前記デジタル信号の連続する値を格納するシフトレジスタと、各レジスタの出力に第1のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して第1中間信号を生成する回路と、各レジスタの出力に第2のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して第2中間信号を生成する回路と、前記第2中間値に利得制御信号を乗算して第3中間信号を生成する回路と、前記第1中間信号及び第3中間信号を加算して前記出力信号を生成する回路と、前記第1及び第2のタイプのフィルタ係数を、位相制御信号に応答してサイクル的に変更する手段とを具えることを特徴とする。第1及び第2のタイプのフィルタ係数を独立して調整して、サンプリングレート変換及び互いに相違する周波数領域でのフィルタ特性による2段階のフィルタ処理を実行することができ、この場合、利得制御信号によって、規定されたダイナミックレンジを第3中間信号が超えるのを防止する。第1及び第2のポリフェーズフィルタの両方が同一のシフトレジスタを共有するが、互いに相違するフィルタ係数を用いる。
【0021】
本発明の第1例によれば、前記第1のタイプのフィルタ係数を、フィルタ直流利得が常に1となるように選択するのが好ましい。直流利得を1に固定すると、補間を実現することができる低域通過フィルタに対する要求が最小になる。
【0022】
本発明の第1例によれば、前記第2のタイプのフィルタ係数を、フィルタ直流利得が零に近づくように選択するのが更に好適である。第2のポリフェーズフィルタを零直流利得に設計すると、簡単な帯域通過フィルタを実現する。画像処理に関連して、そのような帯域通過フィルタは、入力信号のLTI及びピーキングに適しており、この場合、第2のポリフェーズフィルタの共振周波数は、入力信号のスペクトルに対して一定である。
【0023】
本発明の第1例によれば、前記装置が、各フィルタの出力に第3のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して、前記利得制御信号の基準としての役割を果たす信号を生成する回路を具えるのが更に好適である。
【0024】
第3のタイプのフィルタ係数は、重み付けされた第2中間信号の各値に対して利得制御信号の決定の基準としての役割を果たす信号を取得するように設計され、この場合、第3のポリフェーズフィルタの遅延を、第1及び第2のポリフェーズフィルタの遅延に等しくし、第3のポリフェーズフィルタのフィルタ特性は、利得制御信号の基準としての役割を果たす基準信号の発生、例えば、画像処理のアプリケーションの分野におけるエッジ勾配検出器を実現する。絶対値を形成し、最も急勾配のエッジのピークを減少するためにルックアップテーブルのような非線形回路を適用し、かつ、雑音信号のピークを減少するためにコア機能(coring function)を適用することによって、利得制御信号を、第3のポリフェーズフィルタによる出力としての信号から取得することができる。
【0025】
本発明の第2例によれば、デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置であって、入力信号が、フィルタ処理された出力信号に変換され、位相イネーブル信号によって一体的に制御される複数のレジスタを具え、前記デジタル信号の連続する値を格納するシフトレジスタと、互いに隣接するレジスタの出力間の差を形成し、これらの差に第1のタイプのフィルタ係数を乗算し、これらの積に少なくとも一つのレジスタの出力を加算して第1中間信号を生成する回路と、前記差に第2のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して第2中間信号を生成する回路と、前記第2中間値に利得制御信号を乗算して第3中間信号を生成する回路と、前記第1中間信号及び第3中間信号を加算して前記出力信号を生成する回路と、前記第1及び第2のタイプのフィルタ係数を、位相制御信号に応答してサイクル的に変更する手段とを具えることを特徴とする。第1及び第2のタイプのフィルタ係数を独立して調整して、サンプリングレート変換及び互いに相違する周波数領域でのフィルタ特性による2段階のフィルタ処理を実行することができ、この場合、利得制御信号によって、規定されたダイナミックレンジを第3中間信号が超えるのを防止する。第1及び第2のポリフェーズフィルタの両方が同一のシフトレジスタを共有するが、互いに相違するフィルタ係数を用いる。互いに相違するレジスタの出力間の差をフィルタ係数の乗算前に形成することによって、第2のポリフェーズフィルタに対する直流利得が零になる。第1のポリフェーズフィルタは、これらの差によっても動作するが、レジスタ出力の重み付けされた差の総和に少なくとも一つのレジスタの出力を加算することによって表された直流経路を付加的に具える。
【0026】
本発明の第2例によれば、前記装置が、前記差に第3のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して、前記利得制御信号の基準としての役割を果たす信号を生成する回路を具えるのが更に好適である。
【0027】
第3のタイプのフィルタ係数は、重み付けされた第2中間信号の各値に対して利得制御信号の決定の基準としての役割を果たす信号を取得するように設計され、この場合、第3のポリフェーズフィルタの遅延を、第1及び第2のポリフェーズフィルタの遅延に等しくし、第3のポリフェーズフィルタのフィルタ特性は、利得制御信号の基準としての役割を果たす基準信号の発生、例えば、画像処理のアプリケーションの分野におけるエッジ勾配検出器を実現する。絶対値を形成し、最も急勾配のエッジのピークを減少するためにルックアップテーブルのような非線形回路を適用し、かつ、雑音信号のピークを減少するためにコア機能(coring function)を適用することによって、利得制御信号を、第3のポリフェーズフィルタによる出力としての信号から取得することができる。
【0028】
本発明の第1及び第2例によれば、前記装置が、位相制御信号に応答して前記第1及び第2のタイプのフィルタ係数を発生するルックアップテーブルを更に具えるのが更に好適である。本発明の第1及び第2例によれば、前記装置が、前記入力信号にガンマ補正を適用する一つのガンマ補正回路と、前記出力信号に逆ガンマ補正を適用する一つの逆ガンマ補正回路とを具えるのが更に好適である。ガンマ補正回路は、入力信号をガンマ領域から線形的な光領域に変換する。線形的な光領域におけるフィルタ処理は、エイリアジングを低減し、第2のポリフェーズフィルタのパフォーマンス(LTI及びピーキング)を向上する。逆ガンマ補正が、逆ガンマ補正回路によって出力信号に対して実行される。
【0029】
本発明の第1及び第2例によれば、特に画像処理のアプリケーションに対して、前記装置が、前記レジスタの出力にガンマ補正を適用する複数のガンマ補正回路と、前記出力信号に逆ガンマ補正を適用する一つの逆ガンマ補正回路とを具えるのが更に好適である。レジスタ出力がガンマ補正回路に供給されて、ガンマ領域から線形的な光領域への変換が行われる。線形的な光領域のフィルタ処理は、エイリアジングを低減する。さらに、第2のポリフェーズフィルタのパフォーマンス(LTI及びピーキング)を向上する。ガンマ補正は、一般的にビデオ信号のワード長を増大し、その結果、レジスタ前でガンマ補正を適用することは、全てのレジスタを更に広くし、したがって、更に高価にすることを意味する。レジスタの後方に配置されたガンマ補正回路によってガンマ補正を複数回適用することは、更に廉価である。これを、ガンマ補正回路の廉価な近似が利用できる場合にのみ達成できる。レジスタの後方にガンマ補正を適用することの他の利点は、エッジ検出用の第3のポリフェーズフィルタが線形的な光領域で作動する代わりにガンマ領域で好適に作動し続けることができることである。逆ガンマ補正が出力信号に対して実行される。ガンマ補正回路が単なる近似であるとしても、逆ガンマ補正回路は、以前のガンマ補正回路の逆の機能を正確に実現する必要がある。逆ガンマ補正を一度だけ適用するので、設計を少しだけ高価にするだけでよい。
【0030】
テレビジョン画像処理の分野における本発明の第1及び第2例の好適なアプリケーションは、前記入力信号を標準テレビジョン放送(SDTV)信号とし、前記出力信号を高品位テレビジョン放送(HDTV)信号とし、前記第1のタイプのフィルタ係数が空間スケーリングを実現し、前記第2のタイプのフィルタ係数がピーキング及び/又はLTIを実現し、前記第3のタイプのフィルタ係数がエッジ勾配検出を実現することを特徴とする。
【0031】
本発明は、デジタルコンピュータの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で実行されるときに請求項1のステップを実行するソフトウェアコード部を具えることを特徴とするコンピュータプログラムも言及する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明のこれら及び他の態様を、後に説明する実施の形態を参照しながら明らかにする。
【0033】
互いに相違する図面の構成要素の番号付けにおいて、繰り返される構成要素には常に同一番号を付す。
【0034】
図2は、デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた方法の線形的な表示であり、この場合、ビデオ信号9のY(輝度)成分の垂直サンプリングレート変換及び垂直ピーキングをとる。図2の構成は、画素の行及び列からなる入力ビデオ信号9の複数の互いに隣接するラインを格納する複数のメモリ10−1...10−6を具える。本例では、6ラインメモリの代わりに、テレビジョンシステムに応じて、2を超える数のラインメモリを用いることができる。ここでは垂直画像処理のみを考察し、したがって、ラインメモリ10−1...10−6の同一列の垂直方向で互いに隣接する画素に対して、サンプリングレート変換及びピーキングが課される。ラインメモリ10−1...10−6に格納された垂直方向で互いに隣接する画素は、ポリフェーズフィルタ11のバンクによってフィルタ処理され、このバンクは、垂直スケーリング用のポリフェーズフィルタ11−1、垂直ピーキング用のポリフェーズフィルタ11−2及び垂直ダイナミックの計算用のポリフェーズフィルタ11−3用の三つのポリフェーズフィルタを具える。これらポリフェーズフィルタは、第1中間信号12、第2中間信号13及び利得制御信号14をそれぞれ生成する。第2中間信号は、乗算部15によって利得制御信号14に乗算されて第3中間信号を生成し、第3中間信号は、加算部17によって第1中間信号に加算され、最終的には、スケーリング及びピーキングされた出力信号8を生成する。
【0035】
サンプリングレート変換(垂直スケーリング)及び利得制御されたフィルタ処理(ピーキング)の組合せは、低域通過スフィルタとしての第1のポリフェーズフィルタ11−1、帯域通過フィルタとしての第2のポリフェーズフィルタ11−2及び微分フィルタとしての第3のポリフェーズフィルタ11−3を実現することによって達成される。この場合、第1中間信号12は、従来知られているようなスケーリングされ及び低域通過フィルタ処理された出力信号を表し、これは、元の入力信号スペクトルのナイキスト制限より上の高周波数を欠いている。ピーキングが行われる第2中間信号13を第1中間信号12に加算することによって、少なくともナイキスト制限より下の周波数成分の増強(boosting)が、和信号で達成され、したがって、画像品質の人工的な向上が達成される。非線形LTIによって、和信号の空のスペクトルを充填する高次の高調波を生成することができる。技術的に実現可能な範囲の和信号のダイナミックゲインを保持するとともに、過度の画像クリッピング及び和信号の雑音の増大を防止するために、第2中間信号13が利得制御信号14に乗算され、結果的に得られる第3中間信号16が第1中間信号12に加算される。利得制御信号は、エッジ勾配検出器(edge steepness detector)としての第3のポリフェーズフィルタ11−3を実現することによって垂直画像ダイナミック(vertical image dynamics)から取得される。高周波数の増強が、雑音の増大を回避するために信号の著しいエッジ振幅に対してのみ行われる。三つ全てのポリフェーズフィルタ11−1...11−3は、同一のレジスタを用いる。サンプリングレート変換を許容する、垂直方向で隣接する画素の再サンプリングを行うために、ポリフェーズフィルタの周波数領域のフィルタ特性が各フィルタ処理ステップに対してほぼ等しくなるとともに、フィルタの位相が位相制御信号iに応答して周期的に変化するように、ポリフェーズフィルタのフィルタ係数が規定される。図2に示さない移相イネーブル信号3によって、ラインメモリ10−1,...,10−6の適切な移相が行われ、その結果、サイクルの各フィルタ処理ステップにおいて、フィルタ係数及びシフトレジスタ(ラインメモリ)の画素成分の正確な整合が行われ、これは、アップ変換(サンプリングレートの増大)を行えるようにするためにサイクルの一部のフィルタ処理ステップにおいてラインメモリの画素成分を移相しないステップを含む。ピーキングを行うポリフェーズフィルタの共振周波数を、元の画像において、常に重大な成分が存在する高周波数にできることは、スケーリングおよびピーキングを同時に実現するには有益である。この周波数は、アップ変換比に依存しない。それに対して、スケーリング及びピーキングが2ステップの手順(最初にスケーリングした後にピーキング)で実行される場合、元の周波数を同一に保持するためにピーキングフィルタをアップ変換比に適合させる必要がある。既に説明したように、アップ変換された画像のピーキングによる先鋭は、元の画像が含む最高周波数を増強することによって達成される。しかしながら、LTIのような非線形的な方法によって、アップ変換後に更に広いスペクトルを充填するのを試みる際に、そのような周波数の高次の高調波を発生することができる。
【0036】
図3は、本発明によるビデオ信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置の第1の好適な実施の形態を示す。図3は、レジスタ1−1...1−4を具えるとともに位相イネーブル信号3に応答して動作するシフトレジスタ1を示す。ビデオストリームの画素、ライン及びフレームからなる入力ビデオ信号を表す入力信号4が、シフトレジスタ1に供給される。したがって、シフトレジスタ1は、図1に示すようなラインメモリのセットの1列を表す。テレビジョンシステムに応じて、2を超える任意の数のレジスタを、この特定の実施の形態に示した4個のレジスタの代わりにシフトレジスタ1で用いることができる。さらに、シフトレジスタ1の機能を、巡回的な乗算器スイッチ又は他の制御自在の記憶装置を有する巡回バッファによって良好に設けることができる。
【0037】
各レジスタの出力は、ガンマ補正回路19−1...19−4を通過して、ガンマ補正されたレジスタ出力信号を生成し、その後、乗算部6−1...6−4を具える重み付けブロック20に供給され、この場合、ガンマ補正されたレジスタ出力信号はそれぞれ、フィルタ係数a1(i)...a4(i)に乗算され、重み付けされるガンマ補正されたレジスタ出力信号は、加算部7−1...7−3によって加算が施されて第2中間信号12を生成する。レジスタ1及び第1の重み付けブロック20は、図1に示すような第1のポリフェーズフィルタを表す。しかしながら、図1の結合回路5は、ここでは必要とされない。
【0038】
乗算部6−1...6−4、フィルタ係数b1(i)...b4(i)及び加算部7−1...7−3を有するとともに第2中間信号を発生する第2の重み付けブロック21を設ける。シフトレジスタ1及び第2の重み付けブロック21は、第2中間信号13を生成する第2のポリフェーズフィルタを表す。
【0039】
図3に示さない第3のポリフェーズフィルタは、シフトレジスタ1及び第3の重み付けブロックからなる。このポリフェーズフィルタは、利得制御信号14を生じる利得制御部の一部であり、利得制御信号14に第2中間信号13が乗算されて第3中間信号16を生成し、第3中間信号16は、加算部17によって第1中間信号12に加算される。和信号が逆ガンマ(anti-gamma)補正回路28に供給され、最終的には出力信号8を生成する。利得制御部は、絶対値回路と、ポリフェーズフィルタによって検出された最も急峻な勾配のピークを低減する小ルックアップテーブル又は他の非線形機能と、雑音信号のピークを低減するコア回路(coring circuit)の構成要素とのうちの一つ以上を更に有する。
【0040】
各サイクルにおける係数a1(i)...a4(i)の総和を、直流利得が常に1となって低域通過フィルタを実現するように選択する。サイクルの各フィルタ処理ステップに対するフィルタ係数a1(i)...a4(i)は、インデックスとしての位相制御信号iによってルックアップテーブルから取り出される。各サイクルにおける係数b1(i)...b4(i)の総和は、直流利得を常に零にして、ピーキング及びLTIに適した帯域通過フィルタを実現するように選択される。したがって、第3のポリフェーズフィルタに対する微分フィルタを実現する係数は、ルックアップテーブルに格納され、入力信号の適切な遅延を行うよう現在のフィルタ処理サイクルに従って読み出される。
【0041】
ガンマ補正回路19−1...19−4は、線形的な光領域で垂直スケーリング及びピーキングを実行するのを許容し、垂直方向のエイリアジングを減少するとともにピーキングを向上する。利得制御信号の計算は、好適にはガンマ領域で実行される。ガンマ補正は、一般的にはビデオ信号のワード長を増大し、その結果、レジスタ以前のガンマ補正の適用は、全てのレジスタ1−1...1−4を更に広くし、したがって、更に高価なものにする必要があることを意味する。レジスタ1−1...1−4以前にガンマ補正を適用する代わりに、図3に示すようにレジスタ1−1...1−4の後に配置したガンマ補正回路19−1...19−4によって複数回ガンマ補正を適用すると更に廉価になると仮定される。これを、ガンマ補正回路19−1...19−4の廉価な近似が設計された場合にのみ達成することができる。レジスタ1−1...1−4の後方でガンマ補正を適用する他の利点は、エッジ検出用の第3のポリフェーズフィルタが線形光領域で作動する代わりにガンマ領域で良好に作動し続けることができることである。ガンマ補正回路が近似的なものにすぎないとしても、逆ガンマ補正回路28は、以前のガンマ補正回路19−1...19−4と全く逆の機能を実現する必要がある。逆ガンマ補正が1度だけ適用されるので、設計をやや高価なものにするだけでよい。
【0042】
図4は、本発明によるビデオ信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理の組合せの装置の第2の好適な実施の形態を示す。図4は、レジスタ1−1...1−4を具えるとともに位相イネーブル信号3に応答して動作するシフトレジスタ1を示す。ビデオストリームの画素、ライン及びフレームからなる入力ビデオ信号を表す入力信号4は、シフトレジスタ1に供給される。したがって、シフトレジスタ1は、図1に示すようなラインメモリのセットの1列を表す。テレビジョンシステムに応じて、この特定の実施の形態に示した4個のレジスタの代わりに、2を超える任意の数のレジスタを用いることができる。シフトレジスタ1の機能を、巡回乗算器スイッチ又は他の制御可能な記憶装置を有する巡回バッファによって良好に設けることができる。各レジスタの出力がガンマ補正回路19−1...19−4を通過し、ガンマ補正されたレジスタ出力信号を生じる。その後、結合回路5は、インバータ部22−1...22−3及び加算部23−1...23−3によって互いに隣接する二つのガンマ補正されたレジスタ出力信号の差をペアワイズで形成し、結果的に得られる差信号を、変更されていない第1のガンマ補正されたレジスタ出力信号とともに、乗算部6−1...6−3を具える重み付けブロック24に供給し、この場合、結合回路5による出力としての差信号にフィルタ係数a1(i)...a3(i)が乗算され、重み付けされた差信号及び変更されていない第1のガンマ補正されたレジスタ出力信号が、過信部7−1...7−3によって互いに加算されて第1中間信号12を生成する。シフトレジスタ1及び第1の重み付けブロック24は、図1に示す第1のポリフェーズフィルタを表す。重み付けブロック24内では、変更されていない第1のガンマ補正されたレジスタ出力信号は、係数が乗算されず、重み付けされた差信号の和に加算される。この経路に番号25を付す。しかしながら、図1で導入したようなポリフェーズフィルタの形式上の規定を維持するために、この経路25を、一定の重み付けa0(i)=1...Nが乗算される重み付けブロック入力値として良好に想定することができる。この単一の重み付けは、明らかに一つのルックアップテーブル及び一つの乗算部を省略し、したがって、パフォーマンスが向上する。
【0043】
第1の重み付けブロック24に対応して、乗算部6−1...6−4、フィルタ係数b1(i)...b3(i)及び加算部7−1...7−3を有する第2の重み付けブロック26を設ける。シフトレジスタ1及び第2の重み付けブロック26は、第2中間信号13を生成する第2のポリフェーズフィルタを表す。第2の重み付けブロック26において、変更されない第1のガンマ補正されたレジスタ出力値は、重み付けされた差信号の和に加算されない。対応する経路に番号27を付し、この経路を、図1のようなポリフェーズフィルタの規定に従って、一定の重み付けb0(i),i=0...Nを乗算した重み付けブロック入力値と解釈することができる。このような零の重み付けは、明らかに、一つのルックアップテーブル、一つの乗算部及び一つの加算部を省略することができ、したがって、パフォーマンスが向上する。その理由は、直流利得が零に保障されるからである。
【0044】
図4に示さない第3のポリフェーズフィルタは、シフトレジスタ1及び第3の重み付けブロックからなる。このポリフェーズフィルタは、利得制御信号を生成する利得制御部の一部であり、利得制御信号14は、第2中間信号が乗算されて第3中間信号16を生成し、第3中間信号16は、加算部17によって第1中間信号12に加算される。その後、和信号が逆ガンマ補正回路28に供給され、最終的には出力信号8が生じる。利得制御部は、絶対値回路と、ポリフェーズフィルタによって検出された最も急峻な勾配のピークを低減する小ルックアップテーブル又は他の非線形機能と、雑音信号のピークを低減するコア回路(coring circuit)の構成要素とのうちの一つ以上を更に有する。
【0045】
第1の重み付けブロック24内の経路25は直流経路を表し、それに対して、乗算部6−1...6−3は、交流信号を表す互いに隣接するガンマ補正されたレジスタ出力信号からのペアワイスの差信号上で動作する。直流経路25の信号を、重み付けされた信号に加算することによって、低域通過フィルタが実現される。
【0046】
サイクルの各フィルタ処理ステップに対するフィルタ係数a1(i)...a3(i)が、インデックスとしての位相制御信号によりルックアップテーブルから取り出される。
【0047】
第2の重み付けブロックにおいて、直流経路が存在せず、乗算部6−1...6−3が、交流信号のみを表す互いに隣接するガンマ補正されたレジスタ出力信号からのペアワイズの差信号上で動作する。したがって、第2のポリフェーズフィルタのフィルタ特性は、ピーキング及びLTIに適した零直流利得の帯域通過特性となる。サイクルの各フィルタ処理ステップに対するフィルタ係数b1(i)...b3(i)は、インデックスとしての位相制御信号iによってルックアップテーブルから取り出される。
【0048】
したがって、第3のポリフェーズフィルタに対して微分フィルタを実現するための係数が、ルックアップテーブルに格納され、入力信号の適切な遅延を達成するために現在のフィルタサイクルに従って読み出される。
【0049】
ガンマ補正回路19−1...19−4は、線形的な光領域で垂直スケーリング及びピーキングを実行するのを許容し、垂直方向のエイリアジングを減少するとともにピーキングを向上する。利得制御信号の計算は、好適にはガンマ領域で実行される。ガンマ補正は、一般的にはビデオ信号のワード長を増大し、その結果、レジスタ以前のガンマ補正の適用は、全てのレジスタ1−1...1−4を更に広くし、したがって、更に高価なものにする必要があることを意味する。レジスタ1−1...1−4以前にガンマ補正を適用する代わりに、図4に示すようにレジスタ1−1...1−4の後に配置したガンマ補正回路19−1...19−4によって複数回ガンマ補正を適用すると更に廉価になると仮定する。これを、ガンマ補正回路19−1...19−4の廉価な近似が設計された場合にのみ達成することができる。レジスタ1−1...1−4の後方でガンマ補正を適用する他の利点は、エッジ検出用の第3のポリフェーズフィルタが、線形光領域で作動する代わりにガンマ領域で良好に作動し続けることができることである。ガンマ補正回路が近似的なものにすぎないとしても、逆ガンマ補正回路28は、従来のガンマ補正回路19−1...19−4と全く逆の機能を実現する必要がある。逆ガンマ補正が1度だけ適用されるので、設計をやや高価なものにするだけでよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ポリフェーズフィルタの一般的な構成を示す。
【図2】本発明によるビデオ信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた方法を線形的に示す。
【図3】本発明によるビデオ信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置の第1の実施の形態を線形的に示す。
【図4】本発明によるビデオ信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置の第2の実施の形態を線形的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた方法であって、入力信号が、フィルタ処理された出力信号に変換され、
前記入力信号を第1のポリフェーズフィルタによってフィルタ処理して、第1中間信号を生成するステップと、
前記入力信号を第2のポリフェーズフィルタによってフィルタ処理して、第2中間信号を生成するステップと、
前記第2中間信号に利得制御信号を乗算して、第3中間信号を生成するステップと、
前記第3信号を前記第1信号に加算して前記出力信号を生成するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のポリフェーズフィルタが、周波数領域で低域通過フィルタ特性を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2のポリフェーズフィルタが、周波数領域で帯域通過フィルタ特性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記利得制御信号を、前記第3のポリフェーズフィルタによって前記入力信号をフィルタ処理することによって発生した信号から取得することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第3のポリフェーズフィルタを微分フィルタとすることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ポリフェーズフィルタの各乗算タップに対するフィルタ係数を、ルックアップテーブルに格納し、位相制御信号に応答して周期的に読み出すことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリフェーズフィルタがシフトレジスタを共有することを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記入力信号をビデオ信号とし、前記入力信号が、前記ポリフェーズフィルタによってフィルタ処理される前にガンマ補正によって線形的な光領域に変換され、前記出力信号が、逆ガンマ補正によってガンマ領域に戻されることを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記入力信号をビデオ信号とし、少なくとも前記第1及び第2のポリフェーズフィルタ内のレジスタの各出力値に対してガンマ補正を実行し、前記出力信号を、逆ガンマ補正によってガンマ領域に戻すことを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記入力信号を標準テレビジョン放送(SDTV)信号とし、
前記出力信号を高品位テレビジョン放送(HDTV)信号とし、
前記第1のポリフェーズフィルタが空間スケーリングを実行し、
前記第2のポリフェーズフィルタがピーキング及び/又はLTIを実行し、
前記第3のポリフェーズフィルタがエッジ勾配検出を行うことを特徴とする請求項1から9のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置であって、入力信号が、フィルタ処理された出力信号に変換され、
位相イネーブル信号によって一体的に制御される複数のレジスタを具え、前記デジタル信号の連続する値を格納するシフトレジスタと、
各レジスタの出力に第1のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して第1中間信号を生成する回路と、
各レジスタの出力に第2のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して第2中間信号を生成する回路と、
前記第2中間値に利得制御信号を乗算して第3中間信号を生成する回路と、
前記第1中間信号及び第3中間信号を加算して前記出力信号を生成する回路と、
前記第1及び第2のタイプのフィルタ係数を、位相制御信号に応答してサイクル的に変更する手段とを具えることを特徴とする装置。
【請求項12】
前記第1のタイプのフィルタ係数を、フィルタ直流利得が常に1となるように選択したことを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記第2のタイプのフィルタ係数を、フィルタ直流利得が零に近づくように選択したことを特徴とする請求項11又は12記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、各フィルタの出力に第3のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して、前記利得制御信号の基準としての役割を果たす信号を生成する回路を更に具えることを特徴とする請求項11から13のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
デジタル信号のサンプリングレート変換及び利得制御されたフィルタ処理を組み合わせた装置であって、入力信号が、フィルタ処理された出力信号に変換され、
位相イネーブル信号によって一体的に制御される複数のレジスタを具え、前記デジタル信号の連続する値を格納するシフトレジスタと、
互いに隣接するレジスタの出力間の差を形成し、これらの差に第1のタイプのフィルタ係数を乗算し、これらの積に少なくとも一つのレジスタの出力を加算して第1中間信号を生成する回路と、
前記差に第2のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して第2中間信号を生成する回路と、
前記第2中間値に利得制御信号を乗算して第3中間信号を生成する回路と、
前記第1中間信号及び第3中間信号を加算して前記出力信号を生成する回路と、
前記第1及び第2のタイプのフィルタ係数を、位相制御信号に応答してサイクル的に変更する手段とを具えることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記装置が、前記差に第3のタイプのフィルタ係数を乗算するとともに、これらの積を互いに加算して、前記利得制御信号の基準としての役割を果たす信号を生成する回路を更に具えることを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記装置が、位相制御信号に応答して前記第1及び第2のタイプのフィルタ係数を発生するルックアップテーブルを更に具えることを特徴とする請求項11から16のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、前記入力信号にガンマ補正を適用する一つのガンマ補正回路と、前記出力信号に逆ガンマ補正を適用する一つの逆ガンマ補正回路とを更に具えることを特徴とする請求項11から17のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置が、前記レジスタの出力にガンマ補正を適用する複数のガンマ補正回路と、前記出力信号に逆ガンマ補正を適用する一つの逆ガンマ補正回路とを更に具えることを特徴とする請求項11から17のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記入力信号を標準テレビジョン放送(SDTV)信号とし、
前記出力信号を高品位テレビジョン放送(HDTV)信号とし、
前記第1のタイプのフィルタ係数が空間スケーリングを実現し、
前記第2のタイプのフィルタ係数がピーキング及び/又はLTIを実現し、
前記第3のタイプのフィルタ係数がエッジ勾配検出を実現することを特徴とする請求項14,16,18又は19記載の方法。
【請求項21】
デジタルコンピュータの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で実行されるときに請求項1のステップを実行するソフトウェアコード部を具えることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−524463(P2006−524463A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506881(P2006−506881)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050490
【国際公開番号】WO2004/095838
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】