デジタル信号の光送信のための方法および装置
デジタル情報を送信するためのシステム100は、デジタル情報を運ぶ光信号(分散光チャネル104)を生成する送信装置102と、光信号を受信する受信装置110と、を含む。分散光チャネル104は、送信装置102から受信装置110に光信号を運ぶように設けられる。送信装置は、それぞれが1または複数のデジタル情報のビットに対応する複数のデータシンボルを含むような一連のブロックに光信号を符号化する符号化器114を含む。信号生成器118は、上記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成する。光送信器136は、光搬送波および時間変化信号に対応する光周波数領域の光側波帯を運ぶほぼ1個の情報のみを含むような光信号を作り出す光源138に時間変化信号を加えるように構成される。受信装置110は、対応する受信時間変化電気信号を作り出す光信号を検出する光検出器146を含む。受信装置は、時間変化信号から一連の受信データブロックを生成する手段166をさらに含む。等化器168は、光チャネルの分散効果を軽減する各データブロックに含まれる受信データシンボルの等化を実行して、送信データシンボルを復元できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には光通信に関し、より詳細には、光チャネル、特に高いレベルの全色分散を示す光ファイバを介して長距離にわたって送信するための光信号を生成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報信号が光搬送波上に変調される光送信は、現代の通信システムにおいて広く利用されている。特に、広域通信ネットワークは、極めて高いビットレートでデジタル情報を送信するための単一モード光ファイバを使用し、各ファイバ上で1つもしくは複数の光搬送波、または波長を使用する、長距離の送信リンクを利用する。何らかの形式の再生が必要となる前に単一モード光ファイバでデータが送信されてもよい距離は、光減衰およびパルス分散によって制限される。実用的な光増幅器の出現により、エルビウム添加ファイバ増幅器が適用可能な、特に波長が約1550nmでの第3の光通信窓で動作するシステムについての損失制限を大幅に排除してきた。しかし、パルス広がりに通じる色分散および偏波モード分散(PMD)を含む分散プロセスは、依然としてこうしたシステムにおけるひずみの重大な原因であり、うまく処理するかまたは補償しないと、光送信区間の到達範囲を厳しく制限することがある。
【0003】
光データチャネルのビットレートが増大するにつれて、色分散によってもたらされる問題は急激に増大する。これは、一方では、ビットレートが増大すると、送信チャネルのスペクトル幅が増大することになり、それ故に、色分散の結果としてパルス広がりが増大するからである。他方では、ビットレートが増大すると、ビット周期、すなわち連続したビット間の時間間隔が低減することにもなる。特に、波長分割多重デジタル送信システムでは、低い1次分散値は、非線形プロセスに起因して増大したひずみに関連するので、送信波長の近くで分散値が低くまたはゼロである光ファイバを利用することにより、パルス広がりを低減させることは実用的ではない。
【0004】
特に、高次PMDプロセスが考慮されるときには、ビット周期が低減されることにより、またある程度はスペクトルの広がりにも起因して、PMDの影響は、より高いデータ転送速度でも増大する。
【0005】
したがって、光ファイバの送信区間内の分散の影響を補償することができる方法および装置の重要性が、高容量光送信システムにおいて増大してきた。
【0006】
色分散の影響を補償するための知られている方法には、送信レーザのプリチャープ(pre-chirping)、データチャネルのミッドスパン光位相共役(mid-span optical phase conjugation)、光ファイバの送信区間の分散特性とは反対の分散特性を有するチャープファイバ・ブラッグ・グレーティング(chirped-fibre Bragg gratings)の使用、および高分散性の分散補償ファイバの使用が含まれる。
【0007】
しかし、これらの方法にも欠点がないわけではない。特に、すべての方法は、ほぼ光領域内で動作し、通常では、固定量の分散補償を提供する構成部品を使用する。したがって、これらの構成部品は、それらが設置される特定の送信区間の特性に適合するように設計および/または構成されなければならず、様々な送信区間での使用、または変化する全色分散を示すシステムでの使用に動的に適応させることは容易ではない。
【0008】
その一方で、ソフトウェア構成部品を含んでもよく、変化する要求に高い適応性のあるアナログおよび/またはデジタルシステムを備える電子システムを設計および構成することが、比較的に容易である。特に、チャネル特性を動的に補償または等化することができる無線および有線システムの両方を含む無線周波数(RF)通信システムにおいて、適応性のある電子装置が広く適用されてきた。したがって、最近では、光送信距離での分散の影響を軽減するために、より巧妙な電子的処理技法を使用できるようにする方法および装置を考案することに関心が集まってきている。たとえば、設置された光学設備を置換えまたは増強することなく、既存の送信リンクを改良するために電子的な分散補償を使用してもよい。さらに、電子的な分散補償装置は、たとえば、全光学式のスイッチングおよび送信の技術を利用するシステムで発生することがある全分散における動的な変化に適応的に応答するように設計することもできる。
【0009】
光送信システム内で電子的な分散補償を実施することに対する重大な障害は、もっとも高帯域の光学システムが、受信機における直接検出と組み合わせて、送信機において強度変調を利用することである。強度変調は、結果として、中心の光搬送周波数のまわりに配置された2つの周波数側波帯を有する光信号を生じさせ、こうした信号の直接検出は、結果として、一般的には、分散の影響、特に色分散の影響を補償することができるようにするのに必要とされる光位相情報の損失をもたらす。したがって、受信端において電子的な分散補償を実行する方法が提案されてきており、これらの方法は、強度変調の結果として生じる通常の両側波帯周波数スペクトルをもたない信号の送信を必要とする。特に、光単側波帯(OSSB)または残留側波帯(VSB)を使用する電子的な分散補償法が提案されてきており、それらの提案では、光位相情報は、光受信機での電気位相情報に直接変換される。さらに、送信される光単側波帯内にいくつかのRF副搬送波が多重化されたような信号を生成することも提案されてきた。こうした各副搬送波は、送信光信号の全体的な帯域幅よりも帯域幅が著しく狭くてもよいので、分散に対する許容度が増大することがある。
【0010】
しかし、OSSB送信および/またはRF副搬送波多重化の使用に基づく以前より提案されている電子的な分散補償技法には、いくつかの制限が残っている。まず、RFフィルタ、ミキサなどを含むRF構成部品の品質および費用は、利用してもよいRF副搬送波の数、および副搬送波多重化のスペクトル効率を制限する。さらに、同様の制限および/または費用が受信機において課せられ、受信機では、各RF副搬送波は、独立して、逆多重化され、補償または等化されなければならない。さらに、現在まで提案されてきたシステムは、比較的低い光パワー効率を示してきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、有効な分散補償を電子的な領域で実行することができ、知られている方法およびシステムの前述の欠点を軽減する、光信号を生成し送信するための改良された方法および装置が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様では、本発明は、分散光チャネル上でデジタル情報を通信する方法であって、
各ブロックが1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、前記デジタル情報を一連のブロックに符号化する工程と、
前記ブロックのそれぞれに対応する送信時間変化信号を生成する工程と、
側波帯が前記送信時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような送信光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加える工程と、
前記光チャネル上で前記光信号を送信する工程と、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す工程と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する工程と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する工程と、を含む方法を提供する。
【0013】
したがって、この方法は、ほぼ単一の光側波帯のみを有する送信光信号を提供し、それにより、受信機において電子的な分散補償がなされてもよいように、対応する光検出器において生成される電気信号内に光位相情報を保存することができるようにする。さらに、受信機における周波数領域の等化技法と組み合わせて送信信号を生成するためにブロック符号化を使用することは、個々のRF副搬送波上で運ばれる信号を処理するために、送信端または受信端で別々のRF構成部品を必要とする。したがって、この方法は、送受信端における装置の費用および/または複雑さが対応して増大することなく、高い拡張性があり、高いスペクトル効率、改善された分散許容度、および、特に色分散の影響の簡略化された等化または補償を提供する。
【0014】
他の態様では、本発明は、分散特性を有する光チャネル上で送信されたデジタル情報を受信する方法であって、前記デジタル情報は、光搬送波および光周波数領域の光側波帯を運ぶほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号によって運ばれるものであって、前記光側波帯は、一連の送信データブロックから生成された送信時間変化信号に対応するものであって、各データブロックは、1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す工程と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する工程と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する工程と、を含む方法を提供する。
【0015】
好ましい実施形態によれば、送信時間変化信号は、周波数/時間変換を使用して各ブロックから生成される。次いで、一連の受信データブロックは、対応する時間/周波数(逆)変換を使用して生成されてもよい。
【0016】
好ましい実施形態では、送信時間変化信号を符号化し生成するステップは、直交周波数分割多重化(OFDM)法によって実行される。したがって、送信時間変化信号を生成するステップは、各データブロック内のデータシンボルの離散逆フーリエ変換(IDFT)を使用して、周波数/時間変換を計算するステップを含むことが好ましい。有利には、IDFTは、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを使用して計算されてもよい。
【0017】
たとえば、データシンボルは、デジタル情報ビットとシンボル値との間の所望のマッピングに従って生成される実数値または複素数値でもよい。適切なマッピング方法は、通常の信号変調フォーマットに対応してもよく、それだけには限らないが、オン/オフ変調(OOK)、振幅偏移変調(ASK)、直交振幅変調(QAM)、位相偏移変調(PSK)、周波数偏移変調(FSK)などが含まれてもよい。
【0018】
周波数/時間変換によって生成される離散的なデジタル値は、パラレルフォーマットからシリアルフォーマットに変換され、デジタル・アナログ変換が使用されて、光信号を生成するために加えられてもよい実数の時間変化電気信号を生成することが好ましい。
【0019】
時間変化信号を生成するステップはまた、保護帯域または循環プレフィックスを加えるステップを含んでもよく、これにより、有利には受信機での検出光信号の等化を助ける。
【0020】
時間変化信号を光源に加えるステップは、送信時間変化信号に対応する光変調を加えるステップを含むことが好ましい。光源は、コヒーレントな光源、たとえば半導体レーザダイオードなどのレーザ光源であることが好ましい。
【0021】
送信時間変化信号を加えるステップには、変調された光源を光学的にフィルタリングして、少なくとも1つの光周波数側波帯を大幅に抑圧し、それにより、光周波数領域における送信時間変化信号に対応し、ほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含む光信号を生成するステップも含まれてもよい。
【0022】
フィルタリングされた光信号は、送信光信号の光搬送波を供給するために、光源の非変調出力の一部分と組み合わされてもよい。代替的には、フィルタリングは、変調信号内に存在する光搬送波の少なくとも一部分を保持するように実行されてもよい。
【0023】
光源に加えられる変調は、強度変調または位相変調であることが好ましい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、変調および光フィルタリングの連続的段階を利用するが、たとえば、送信時間変化信号から取り出された適切な電気駆動信号とともに多電極変調器(multi-electrode modulators)を使用する、知られている方法などの適切なOSSB光信号を直接生成するための代替的な方法が利用されてもよいことが理解されよう。
【0025】
光搬送波および/または光側波帯におけるパワーは、光信号内の総エネルギーの所望の分割を両者間で達成するように制御または調整されることが好ましい。こうした制御または調整は、知られている方法で達成されるパワー効率をしのいで、送信光信号のパワー効率を大幅に改善することができるので、特に有利である。光搬送波内のエネルギーと光側波帯内のエネルギーとの比率は、たとえば、0.5から2.0の間でもよく、特に、光搬送波および光側波帯内のエネルギーがほぼ等しいことが望ましい。一般的には、所与の送信信号について、最適な搬送波パワーが存在し、このパワーは、受信信号の質を最大化し、変調フォーマットおよび変調度などのパラメータに依存することが分かってきた。好ましい実施形態では、最適な搬送波パワーは、光変調器からの搬送波出力を適切に抑圧することにより実質上実現されてもよい。
【0026】
特に好ましい実施形態では、周波数保護帯域が光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間に設けられるように、時間変化信号が光源に加えられる。情報ベアリング側波帯によって占有される帯域幅と同じまたはそれよりも大きい帯域幅を有する周波数保護帯域が設けられることが特に好ましい。この構成では、情報ベアリング光側波帯の各成分間での混合により光検出器内で生成されることがあるひずみ成分が、受信信号の帯域幅のほぼ外側、および周波数保護帯域のほぼ内側に落ち、その結果、受信信号の干渉および/またはひずみが著しく低減されるという点で、具体的な利点が達成される。
【0027】
デジタルの電子(RF)領域および/または光領域内で実行される方法を含む周波数保護帯域を有する信号を生成するための様々な方法が、当業者に対して利用可能であることが理解されよう。
【0028】
光信号を送信するステップは、一般的に単一モード光ファイバを介して送信するステップを含み、こうした送信は、たとえば1,000キロメートルを超える長距離にわたってもよい。実際には、発明性のある方法のパラメータを適切に選択することで、およそ1,000,000キロメートル程度の距離にわたる光信号の送信が可能になることもある。送信チャネルには、単一モード光ファイバの損失または減衰を補償するための光増幅器が含まれてもよい。
【0029】
光信号を検出するステップは、たとえば、要求に応じて電気的な増幅とともに、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード(APD)、または同様のものなどの検出器を使用して、光・電子変換を実行するステップを含むことが好ましい。
【0030】
一連の受信データブロックを生成するステップは、受信時間変化電気信号をサンプリングして、一連の離散的なデジタル値を生成するステップを含むことが好ましい。好ましい実施形態では、離散的なデジタル値は、送信時間変化信号を生成する際に使用される周波数/時間変換に対応する時間/周波数変換を使用して変換される。好ましい一実施形態では、一連の受信シンボル値を計算するために、有利にはFFTアルゴリズムを使用して、サンプリングされた信号の離散フーリエ変換(DFT)が実行される。
【0031】
次いで、受信データシンボルの等化を実行するステップは、送信光信号への光チャネルの色分散の影響をほぼ等化するために、少なくとも各受信シンボル値の位相調整を実行するステップを含み、その結果、受信シンボル値および等化シンボル値が送信シンボル値により近づくことが好ましい。等化にはまた、各受信シンボル値の振幅調整を実行するステップが含まれてもよい。
【0032】
有利には、この方法には、等化された受信シンボル値から元の情報ビットを復元するさらなるステップが含まれてもよい。元の情報ビットを復元するために、符号化ステップで適用されるマッピングに対応するデマッピング法が使用されることが特に好ましい。前述の通り、適切なマッピング法およびデマッピング法は、OOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどを含む通常の信号変調フォーマットに対応する。
【0033】
他の態様では、本発明は、分散光チャネル上で送信されたデジタル情報を受信する装置であって、
前記デジタル情報は、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号によって運ばれるものであって、前記光側波帯は、一連の送信データブロックから生成された送信時間変化信号に対応するものであって、各データブロックは、1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す光検出器と、
時間/周波数変換を用いて前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する手段と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する等価器と、を備える装置を提供する。
【0034】
他の態様では、本発明は、デジタル情報を送信するシステムであって、
前記デジタル情報を運ぶ光信号を生成するための送信装置は、
各ブロックが前記デジタル情報の1または複数のビットに対応する複数のデータシンボルを含むものであって、デジタル情報を一連のブロックに符号化するように構成された符号化器と、
前記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成するように構成された信号生成器と、
側波帯が前記時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加えるように構成された光送信器と、を含み、
前記デジタル情報を運ぶ前記光信号を受信する受信装置は、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出すように構成された光検出器と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する手段と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を行うことによって前記送信装置によって送信されたデータシンボルを復元する等化器と、を含み、
前記送信装置から前記受信装置に前記光信号を運ぶように設けられた分散光チャネルと、を含むシステムを提供する。
【0035】
好ましい一実施形態では、符号化器は、デジタル情報のビットを受信し、対応する複数のシンボル値を生成する複数のマッピングユニットを備える。マッピングユニットは、OOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどの通常の変調フォーマットに対応するマッピングを含む、いくつかの適切なマッピング法のうちの任意の1つまたは複数の方法を実施してもよい。好ましい実施形態では、マッピングユニットは、デジタル信号処理の技術分野でよく知られたデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を使用して実施されてもよい。
【0036】
信号生成器は、周波数/時間変換器を含んでもよく、デジタル時間領域信号を生成する周波数/時間変換を実施するためのデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を組み込むことが好ましい。特に好ましい実施形態では、周波数/時間変換器はIDFTを実施し、FFTアルゴリズムを使用することが好ましい。信号生成器は、変換器の出力からデジタルサンプルの時系列を生成するための少なくとも1つのパラレル・シリアル変換器、および継続的な時間変化電気信号を生成するための少なくとも1つの対応するデジタル・アナログ変換器(DAC)がさらに含まれてもよい。好ましい実施形態では、信号生成器は、時間変化信号に保護時間および/または循環プレフィックスを挿入して、対応する受信機において周波数領域内の受信信号の等化を助けるように、さらに構成される。
【0037】
光送信器の光源は、コヒーレントな光源、たとえば半導体レーザダイオードなどのレーザ光源であることが好ましい。光送信器は、光源を直接変調する電気的な駆動回路をさらに含んでもよく、あるいは、マッハツェンダもしくは電子吸収タイプの強度変調器、光位相変調器、または同様のものなどの外部の光変調器を含むことが好ましい。
【0038】
光送信器には、変調された光源からの変調信号出力のうちの1つの光周波数側波帯を少なくとも大幅に抑圧するための光フィルタがさらに含まれてもよい。これにより、有利には、光フィルタの出力は、光周波数領域内のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを有する光信号を含む。光送信器には、光源の非変調出力の一部分を抽出し、光信号の光搬送波を提供するために、これを変調器出力と組み合わせるための光学構成部品がさらに含まれてもよい。
【0039】
代替的な実施形態では、光送信器には、変調された信号内に存在する光搬送波の少なくとも一部分を保持し、その結果、光フィルタの出力が、光搬送波およびほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含む光信号であるように構成される光フィルタが含まれてもよい。
【0040】
しかし、代替的な光送信器構成が可能であり、たとえば、時間変化信号から取り出された信号で各電極を駆動する適切な駆動電子装置を有する多電極光変調器を使用して、OSSB光信号の直接的生成を実現する構成を含むことが、当業者には理解されよう。
【0041】
好ましい実施形態では、光検出器は、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード(APD)または同様のものなどの光信号の光・電子変換のための適切な装置を備える。光検出器には、信号レベルを調整し、受信信号を調整するための増幅器、フィルタなどの電子装置がさらに含まれてもよい。
【0042】
受信データブロックを生成する手段は、検出信号をサンプリングし、信号を表すデジタル化された時系列を生成するためのアナログ・デジタル変換器(ADC)を備えることが好ましい。
【0043】
生成手段は、サンプリングされたデータのシリアル・パラレル変換を実行するためのデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段がさらに含まれてもよい。さらに、好ましい実施形態では、生成手段は、時間/周波数変換を計算するためのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を含み、この手段は、たとえばFFTアルゴリズムを使用して実施されるDFTであることがもっとも好ましい。好ましい実施形態によれば、前記変換の出力は、受信データブロック内に構成される複数の受信データシンボルである。
【0044】
等化器は、光チャネルの色分散の影響をほぼ等化するために、少なくとも各受信データシンボル値の位相を調整するための複数のフィルタを含む等化器バンク(equaliser bank)を備えることが好ましい。等化器バンクはまた、各受信データシンボルの振幅を調整してもよい。受信装置は、等化シンボル値を受信し、デジタル情報の対応するビットを生成するための複数のデマッピングユニットをさらに備えることが好ましい。理解されるように、デマッピングユニットは、対応する送信機で利用されるマッピングユニットに対応してもよく、したがって、OOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどを含む通常の変調フォーマットに対応するデマッピングなどのいかなる適切なデマッピング法を実施してもよい。好ましい実施形態では、デマッピングユニットは、デジタル信号処理の技術分野でよく知られたデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を使用して実施されてもよい。
【0045】
光チャネルは、単一モード光ファイバであることが好ましい。
【0046】
本発明の好ましい実施形態の以下の記述から、本発明のさらなる好ましい特徴および利点が当業者には明白になるであろうが、これらの実施形態は、前述の説明または本明細書に添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
まず図1に戻ると、本発明の一実施形態に係る長距離区間の分散単一モードファイバ上でデジタル情報を通信するためのシステム100を概略的に示している。
【0048】
例示的なシステム100は、増幅された単一モードファイバ区間104上で送信するための、デジタル情報を運ぶ光信号を生成する装置102を備える。送信区間104には、概して、単一モードファイバリンクの減衰の結果として生じる信号パワーにおける損失を克服するために、それらの間に挿入された損失補償増幅器、たとえば108を有する複数の個々の単一モードファイバセクション、たとえば106が含まれてもよい。
【0049】
システム100は、ファイバ区間104上で送信装置102から送信されるデジタル情報を受信するための受信装置110も備える。
【0050】
ファイバ区間104上で送信するためのデジタル情報は、パラレル入力ポート112を介して送信機102に入力される。入力されたデジタル情報は、送信機102内においてブロック単位で処理され、各ブロックは、入力ポート112のパラレル入力に対応するいくつかのビットの情報を含む。シリアル入力ポートなどのデジタル情報のための他の形式の入力が代替的に設けられてもよいことが理解されよう。各ブロック内に含まれる情報のビット数は通常は所定の値であり、任意の具体的な実施形態においては、固定されたビット数でもよく、または所望の情報ビットレートおよび/または他のシステムパラメータなどの様々な要因に従って、時間とともに変化してもよい。
【0051】
符号化器114は、対応する複数のデータシンボルを生成するための複数のマッピングユニット、たとえば116を備え、データシンボルのそれぞれは、概して、1または複数の入力情報ビット112を符号化する複素数値である。システム100の好ましい一実施形態によれば、結果として符号化されたデータシンボル値を提供するために、マッピングユニット116によってQAMマッピングが使用されて、入力データビットを符号化する。各QAM信号値は、送信信号の対応する周波数搬送波に加えられる振幅変調および位相変調を表す複素数である。しかし、入力データの符号化については、OOK、ASK、PSK、FSKなどを含む符号化方式に限らず、代替的なマッピング方式が使用されてもよいことが理解されよう。
【0052】
送信機102は、符号化されたデータシンボルブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成する信号生成器118をさらに備える。システム100の例示的な実施形態によれば、時間変化信号を生成するためにOFDM法が使用される。周波数/時間変換器120は、FFTアルゴリズムを利用する離散逆フーリエ変換(IDFT)を使用して実施されることが好ましく、パラレル・シリアル変換器122に入力される変換値のブロックを生成する。理解されるように、IDFTは、当技術分野でよく知られた、デジタル電子ハードウェアもしくはソフトウェア手段、またはハードウェアとソフトウェアの組合せのいずれかを使用して、容易に実施されてもよい。
【0053】
一般的には、周波数/時間変換器120、およびその先のパラレル・シリアル変換器122のパラレル出力は、実数成分および虚数成分を含む一連の複素数値である。システム100の例示的な実施形態によれば、実数成分および虚数成分は、2つの別々の出力ストリームに分割され、各ストリームは、デジタル・アナログ変換器(DAC)124、126により、それぞれ連続的に変化する時間変化電気信号に変換される。結果として得られる時間変化信号は、ミキサ128,130を使用して、周波数fRFのRF周波数搬送波にアップコンバートされる。パラレル・シリアル変換器出力の実数成分に対応する時間変化信号は、ミキサ128内でアップコンバートされて同相信号を生成するが、虚数成分に対応する時間変化信号は、ミキサ130内でアップコンバートされて直交信号を生成する。同相成分および直交成分は、加算素子132内で組み合わされて、入力データ112のすべての情報コンテンツを含む合計出力の時間変化電気信号を生成する。
【0054】
システム100の例示的な実施形態では、一定の追加オフセットがバイアス入力134の形で時間変化信号に加えられて、光搬送波を変調する際に使用するのに適した時間変化信号を生成する。
【0055】
例示的なシステム100では、光送信器136は、信号生成器118からの時間変化信号出力を光源138に加えるように構成される。光送信器136は、光源138を備え、光源138は、コヒーレントな光源、たとえば半導体レーザダイオードなどのレーザ光源であることが好ましい。信号生成器118によって生成される時間変化信号は、例示的な実施形態100において使用されて、光送信器136の外部変調器140を駆動する。外部変調器140は、マッハツェンダまたは電子吸収タイプの強度変調器、光位相変調器、または同様のものでもよい。しかし、代替的な実施形態では、光源を変調するために、たとえば集積化されたレーザ変調器、または適切なレーザ源もしくは他の光源の直接変調などの他の手段が使用されてもよいことが理解されよう。様々なタイプの変調器、様々な変調フォーマット、および一連の変調度を使用する送信の性能特性が、図11を参照しながら後述される。
【0056】
光送信器136は光フィルタ142も備え、光フィルタ142は、光変調器140からの強度変調された信号出力のうちの1つの光周波数側波帯を少なくともほぼ抑圧するように構成される。したがって、光フィルタ142の出力は、光周波数領域内のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含み、信号生成器118からの時間変化信号出力に対応し、光変調器140を駆動するために使用される。光フィルタ142は、光単側波帯のみを選択してもよく、または光搬送波パワーのすべてもしくは一部分とともに光単側波帯を選択してもよい。
【0057】
例示的なシステム100では、光フィルタ142によりほぼ光単側波帯のみが通過することが可能になり、それにより光フィルタ142の出力内の光搬送波が抑圧される。したがって、追加の光路144が設けられ、それに沿って光源138の非変調出力の一部分が送信され、光フィルタ142の出力においてフィルタリングされた光側波帯と再結合されて、光搬送波およびほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含む光信号を生成する。
【0058】
有利には、光搬送波パワーは、本発明の実施形態において選択されまたは調整されて、光搬送波と側波帯の間の合計信号エネルギーの所望の分割を達成してもよい。これにより、改善された光パワー効率および/または受信信号の質について、送信機136からの光信号出力を最適化することができる。たとえば、所望の光搬送波レベルは、分割成分および/または結合成分を適切に選択することにより、あるいは並列な光路144内に適切な減衰器を備えることにより、達成されてもよい。
【0059】
追加の代替実施形態では、光搬送波の少なくとも一部分は、並列な光路144を設けることに加えて、光フィルタ142によって通過させられてもよい。したがって、光フィルタ138の出力において、変調されていない搬送波が信号と再結合されるとき、光搬送波レベルは、組み合わされた各搬送波間の位相関係に応じて、増加または低減されてもよい。したがって、このような構成を使用して、送信光信号の光搬送波パワーの制御または調整を行ってもよい。
【0060】
光搬送波と情報ベアリング側波帯との間の合計信号エネルギーの所望の分割を達成するためのさらなる手段および方法が、当業者には明白になるであろう。
【0061】
光信号は、一連の光増幅器、たとえば108、およびファイバ送信セグメント、たとえば106からなるファイバ区間104を介して送信される。ファイバ区間104内では、光ファイバセグメント106の分散に対する補償が行われないので、分散の影響は区間の全長にわたって蓄積する。
【0062】
分散に影響され、結果として得られる信号は、受信装置110によって受信され、受信装置110は、光検出器146、検出器146からの時間変化電気信号出力から一連の受信データブロックを生成する信号処理構成部品166、および蓄積した分散の影響を軽減する等化器168を備える。受信装置110は、最初に送信されたデジタル情報を復元するためのデマッピングユニット172も備える。
【0063】
例示的な実施形態100では、光検出器146は、構成部品166による追加の処理に適した特性を有する受信時間変化電気信号を生成するために、フォトダイオード148、および増幅器、フィルタなどを含む関連する電子回路150を備える。
【0064】
パワースプリッタ152は、受信時間変化信号を2つの別々の処理経路に分割し、これらの経路において、送信信号の同相成分および直交成分が復元され、それぞれRFミキサ154,156を使用してダウンコンバートされる。結果として得られる信号は、周波数/時間変換120の複素数値出力の、それぞれ実数成分および虚数成分に対応する。これら2つの信号は、サンプリングされ、アナログ・デジタル変換器(ADC)158,160を使用して、対応するデジタル値のシーケンスに変換される。デジタル化されたシリアル・サンプル値(serial-digitised samples)は、シリアル・パラレル変換器162内でパラレル形式に変換され、対応する実数値および虚数値は、時間/周波数変換器164への複素入力に再配列される。
【0065】
例示的な実施形態100によれば、時間/周波数変換器164は、FFTアルゴリズムを使用して実施されることが好ましい離散フーリエ変換器(DFT)であり、周波数/時間変換器120によって実施されるIDFTに対応する逆変換である。
【0066】
結果として得られる周波数領域の値は、ブロック単位でDFT164から出力される。各ブロックは、周波数/時間変換器120に入力される送信データシンボルに対応し、ファイバ区間104内の分散の影響にさらされる1組の受信データシンボルを含む。送信データシンボルを復元するために、ひとそろいの等化フィルタ、たとえば170を備える等化器168が設けられて、受信データシンボル上の分散の影響を軽減する。もっとも簡略的な場合には、また実際には例示的な構成100において、各フィルタ170は、送信信号への色分散の影響をほぼ等化するために、DFT 164から出力された対応する受信シンボル値のうちの少なくとも位相を調整する複素乗算器である。こうした等化は、送信および受信装置102,110の様々な電子および光・電子構成部品の非理想的な周波数依存特性をさらに補償してもよいことが理解されよう。ファイバ送信区間104のこうした特性および他の特性に応じて、各フィルタ170が、対応する受信シンボル値の振幅および位相を調整することがさらに望ましい。ファイバ区間104の時間変化特性、ならびにPMDおよび何らかの非線形プロセスを含む他の送信成分の影響を軽減するために、適応等化が利用されてもよい。
【0067】
結果として得られる等化シンボル値はデマッパ172に入力され、デマッパ172は、個々のデマッピングユニット174を備え、送信装置102に含まれるシンボルマッパ114に対応する。デマッピングユニット174は、等化シンボル値を受信し、デジタル情報の対応するビットを生成する。結果として得られる復号化された情報は、パラレル出力176で提供される。システム100内の雑音および/またはひずみのレベルが過度に高くはない場合には、出力デジタル情報は、入力112で提供される元のデジタル情報ビットに概して一致することになる。もちろん、誤りは、いかなる通信システム内の雑音および/またはひずみによっても引き起こされることがあるので、送信情報ビットにおける誤り率ゼロは達成されなくてもよいことが当業者には理解されよう。しかし、こうしたビット誤りを検出および/または訂正するために、デジタル情報内に挿入される誤り検出および誤り訂正符号を含め、追加の対策を利用してもよいことも理解されよう。
【0068】
例示的なシステム100の動作が、コンピュータシミュレーションを使用して確認検査されてきており、その結果が図2から図10に例示されている。シミュレーションでは、1,024ビットのブロック長で10Gb/sのデータ転送速度が使用された。マッピングおよびデマッピングブロック114,172では、4QAMシンボルマッピングが使用されて、全体的なシンボルレートは毎秒5ギガシンボルが得られた。fRF=7.5GHzのRF搬送周波数が使用されて、193.1THzに設定された光搬送波から、5GHzから10GHzの間の周波数帯を占有するOFDM情報信号が得られた。平均送信パワーは1ミリワットであり、長さが4,000kmの損失補償された光ファイバの送信区間104が使用され、全分散は64ns/nmであった。理解されるように、10Gb/sで動作し、通常のベースバンド強度変調法を使用するシステムでのこのレベルの分散により、結果として、受信機での検出に先立って光領域内で適切な分散補償法を使用することなしには、受信信号からは送信デジタル情報の復元が不可能になる。
【0069】
図2には、信号生成器118の出力で生成される例示的な送信変調器駆動波形200が示してある。134をバイアスする結果として、駆動波形200は、正の平均信号レベル202を有し、波形のピーク、たとえば204のクリッピングがほとんどまたは全く発生しないように確立される。図3には、駆動波形200の対応する電気的なスペクトル300が示してある。見て分かるように、信号生成器118で利用されるOFDM変調法によれば、スペクトル300は、送信すべき情報信号に対応し、5GHzから10GHzの間の範囲を占有する明確に定義された周波数帯302を含む。
【0070】
図4には、光変調器140の出力で生成される対応する光スペクトル400が示してある。光スペクトル400は、レーザ光源138の狭線幅出力に対応する光搬送波信号402を含む。搬送波を強度変調することにより、結果として、変調器駆動スペクトル300に対応する下方側波帯404および上方側波帯406が発生する。図4に示すように、搬送波レベル408は、情報ベアリング下方側波帯および上方側波帯404,406よりも著しくパワーが大きく、送信信号波形200のクリップを確実に最小限に抑えるために使用される相対的に高いバイアスレベルに対応する。理解されるように、この高い搬送波レベルは、低い送信光パワー効率に対応する。しかし、本発明の形態によれば、また図6および11を参照してより詳細に説明するように、システム100の送信光パワー効率および/または受信信号の質を最適化または少なくとも改善するために、送信搬送波レベルは低減されてもよい。
【0071】
図5には、光フィルタ142の出力における光スペクトル500が示してある。見て分かるように、光フィルタ142は、下方側波帯404および光搬送波402をほぼ抑圧し、その結果、単一の情報ベアリング側波帯506のみを含むスペクトルが生じる。
【0072】
図6には、送信区間104内の光増幅器、たとえば108の出力における例示的な光スペクトルが示してある。レーザ138によって生成され、光送信器136内の並列な経路144に沿って送られる光搬送波の一部分は、フィルタ142の出力に組み合わされているので、光スペクトル600は、光搬送波602およびほぼ単一の情報ベアリング光側波帯606のみを有する光信号を含む。再結合された光搬送波602のレベル608は、搬送波内の総パワーが、情報ベアリング側波帯606内の総パワーに概して匹敵するように設定された。搬送波レベル608を適切に調整することにより、結果として、光パワー効率およびその先の全体的なシステム性能を最適にまたは少なくとも著しく改善することができることが分かった。例示的なシステムシミュレーションでは、最適のシステム性能は、変調された信号をフィルタ142の出力で再結合する前に、搬送波を25dBだけ減衰させることで得られた。性能における最大の改善は、光搬送波602および情報ベアリング側波帯606におけるパワーの比率をほぼ等しくすることによって達成されてもよく、たとえば、搬送波エネルギーと側波帯エネルギーの間の比率が0.5から2.0の間である場合に、合理的な性能が達成されてもよい。しかし、図11を参照して後述するように、搬送波減衰量の最適レベルは、光変調フォーマットなどの信号の特徴に依存してもよい。
【0073】
図7は、代替的な光フィルタ142の出力を示す例示的な光スペクトル700であり、光フィルタ142は、所望の光側波帯706を選択する際に、こうした光搬送波702の完全抑圧を行わない。したがって、残留搬送波レベル708が、この光フィルタの出力内に存在する。通過帯域特性が適切に調整されたこのタイプのフィルタは、たとえば、単側波帯、および十分な光搬送波パワーを通過させるための残留側波帯(VSB)フィルタとして使用することもでき、その結果、元の光源出力の一部分を再結合することは必要とされなくてもよい。すなわち、フィルタ142の特性を適切に選択することにより、適切な比率での搬送波パワーおよび信号パワーを含む送信光信号が生成されてもよい。
【0074】
図8には、光検出器146の出力における例示的なRFスペクトル800が示してある。スペクトル800の特徴には、混合雑音(intermixing noise)810、情報ベアリングOFDM信号帯域806、およびシステムノイズフロア812が含まれる。送信装置102内の信号生成器118によって生成されるRFスペクトル300と比較すると、光学的なおよび電気的な雑音源に起因する蓄積された雑音のレベルは、受信OFDM信号806のスペクトルパワーにおける変動808として明らかになる。しかし、雑音変動は、平均信号レベルと比較して相対的に小さいことが明白である。
【0075】
混合雑音810は、光検出器148におけるOFDM信号成分の混合の結果として生じる。光検出器148でのこうした混合雑音の生成の主な理由は、OFDM信号を適切なRF搬送周波数にアップコンバートすることが好ましいからである。具体的には、DCと信号帯域の間(RF領域内)の周波数保護帯域、または同じことであるが、光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間(光領域内)の周波数保護帯域を設けるために、情報ベアリング信号をアップコンバートすることにより、混合雑音810の影響が大幅に軽減されるか、または完全に回避され得る。具体的には、周波数保護帯域幅が、情報ベアリング信号によって占有される帯域幅と同じまたはそれよりも大きい場合には、各信号成分間に生成される差周波数の結果として生じる混合雑音成分が、光検出器146における保護帯域内に落ちることにより、受信信号の質に及ぼすそれらの影響が大幅に低減することになる。こうした理由で、例示的なシミュレーションでは、OFDM信号は5から10GHzの間のRF周波数帯を占有し、0から5GHzの間の低い周波数の保護帯域を提供し、この帯域内で、光検出器146において混合雑音成分810が生成される。
【0076】
周波数保護帯域によってもたらされるさらなる利点は、例示的なシステム100において、光フィルタ142の技術仕様がいくらか緩和されてもよいことである。抑圧すべき側波帯は、保護帯域幅の2倍だけ所望の側波帯から分離されているので、保護帯域がない場合に許容できる帯域よりも広い遷移帯域を有するフィルタを利用することが可能である。
【0077】
図1に示す例示的なシステム100において、周波数/時間変換器120には、いくつかの未使用の入力178が設けられ、時間/周波数変換器164には、対応する数の未使用の出力180が設けられることに留意されよう。未使用の入力178には、ゼロシンボルが供給されることが好ましい。理解されるように、これら未使用の入力および出力の効果は、デジタル信号処理内でのオーバーサンプリングを提供することである。こうしたオーバーサンプリングは必要ではないが、デジタル領域内での様々な演算を実行するために、様々な目的に使用されてもよい。具体的には、オーバーサンプリングされたシステムは、不要な混合雑音成分810および/または812を、時間周波数変換器164の未使用の出力180において「放出(dumped)」されるようにしてもよい。したがって、オーバーサンプリングを効果的に使用して、デジタル領域でのこれらの雑音成分をフィルタリングし、それにより、電子および/または光領域に設けられるフィルタへの要求を緩和する。実際には、一般的に、信号生成器118および受信機信号処理構成部品166で示される演算の多くは、処理、構成部品の品質、費用、および他の要求に応じて、アナログ領域またはデジタル領域のいずれかで実行されてもよいことが理解されよう。したがって、システム100で示されるデジタル領域とアナログ領域の間での処理タスクの具体的な分割は、例示的なものに過ぎないと理解され、この点において、多くの変形形態が可能であることが当業者には理解されよう。
【0078】
図9には、等化がない場合にDFT164の出力に現れる受信データシンボルの例示的な信号点配置パターン900が示してある。信号点配置の各点902は、円周の回りに均一に分散され、送信データシンボルの位相へのファイバリンク104の色分散の影響を明白に示している。システム100内の光および電子構成部品に起因する振幅雑音の影響もまた、信号点配置パターン900において明白である。色分散によって誘起される位相シフトの結果として、信号点配置パターン900を構成する受信データシンボルから送信データシンボルを復元することは、明らかに不可能である。
【0079】
シミュレーションされたシステムは、知られているデータの単一のブロックを使用してトレーニングされた。トレーニングデータに基づいて、等化器バンク168は、元の送信シンボル値を復元するのに必要となる適切な位相シフトを各受信シンボルに加えるように構成された。このようにして等化器バンク168が構成されると、データの追加ブロックがシステム100を介して送信され、受信装置110内で同じ等化が加えられた。図10には、結果として得られる信号点配置パターン1000が示してあり、4つの互いに異なる信号点配置点1002、1004、1006、1008を明確に区別され、送信データシンボルの復元が可能であることを示している。したがって、例示的なシステム100は、光搬送波および光周波数領域内のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含む光信号の送信と組み合わせて適切な信号処理を使用することによって、もっぱら電子的な領域内で、極めて大きいレベルの色分散の影響を大幅に軽減することができることが明白である。
【0080】
等化された信号点配置パターン1000は、相対的に高い信号対雑音比(SNR)を有する信号を表すと思われるので、より高い送信容量を達成するために、たとえば16QAMなどの高次のQAMマッピングを利用することが、例示的なシステムにおいては実用的になるはずであることも注目に値する。
【0081】
先に述べたように、信号生成器118からの時間変化信号出力を光源138に加えるために、様々な光変調フォーマットが利用されてもよい。たとえば、適用可能な変調フォーマットには、強度変調および位相変調が含まれる。さらには、任意の選択された変調フォーマットに対応する、様々なタイプの外部変調器140が利用されてもよい。たとえば、当技術分野で知られているように、変調の線形性を改善するために、マッハツェンダまたは電子吸収タイプの変調器を使用し、線形化技法を用いてまたは用いずに、強度変調が加えられてもよい。さらに、変調度は、信号生成器118からの時間変化信号出力を光源138に加える際に変更されてもよい、追加のパラメータである。他のパラメータの中でも、変調フォーマットおよび変調度の選択は、送信パワー効率および/または受信信号の質に影響を及ぼすことがある。
【0082】
図11には、光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間の光エネルギーの選択された分割が信号の質に影響を及ぼす様子を示すシミュレーション結果のグラフ1100が示してある。具体的には、3つの異なるタイプの変調器、および5つの異なるレベルの変調度を使用し、光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間のエネルギーの分割を制御するために、それぞれの場合で光搬送波を可変的に減衰させて、シミュレーションが実施されてきた。したがって、グラフ1100内の各曲線のそれぞれにおける各点は、選択された変調度および選択されたレベルの搬送波減衰量で、選択されたタイプの変調器を使用する、単一のシミュレーション実行に対応する。それぞれの場合では、信号のQ値が計算される。シミュレーションでは、QAMマッピングが利用され、QAM信号の対応する成分の分散値(variance)によって除算された適切な判定閾値に対するサンプル値の平均距離の2乗として、従来の方式でQが定義される。
グラフ1100で表されるシミュレーションは、強度変調および位相変調を利用する。位相変調の場合には、90度を超える大きさの位相シフトがクリップされるように、位相変調器駆動が抑制された。2つのタイプのマッハツェンダ強度変調器がシミュレーションされたが、それらは線形化されたマッハツェンダ変調器および線形化なしのマッハツェンダ変調器であった。両方の場合では、各マッハツェンダ変調器への駆動は、ゼロパーセントから100パーセントの間の送信で抑制された。したがって、あらゆる場合において、変調器に加えられる時間変化するOFDM信号の正および負のピークは、高い変調度においてクリッピングを生じる。様々なシミュレーション実行において、5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、および40パーセントの変調度が利用された。
【0083】
グラフ1100における各曲線は、利用される変調のタイプを示すためにラベル付けされており、PMは位相変調を示し、MZIは線形化なしの強度変調を示し、またLMZIは線形化ありの強度変調を示す。各曲線上のシンボルは、差込み図の符号に従って、対応する変調度を示す。X軸は、搬送波の減衰量をデシベル単位で表し、Y軸は、やはりデシベル単位で表されるQ値である。
【0084】
グラフ1100内の各曲線から明確に分かるように、変調フォーマットと変調度の各組合せに対して、送信光信号の光搬送波と情報ベアリング側波帯との間の光エネルギーの対応する最適の分割を提供するために、適切なレベルの搬送波減衰量を選択することにより、最大信号品質を得ることが可能である。搬送波減衰量の最適レベルは、各曲線の極大値に対応する。シミュレーションされたすべての変調器の元々非線形な性質、および具体的には、高振幅の入力の場合にそれぞれによって加えられるクリッピングにより、一般的には、より低い変調度において、より良好な信号品質が達成されることが注目に値する。約15dBの最大Q値は、シミュレーションにおいては、送信経路内の増幅器雑音の結果として生じる光信号対雑音比(OSNR)によって制限されるが、シミュレーションされる変調フォーマットのすべてを使用して達成することができることも注目に値する。線形化されたMZI変調器は、約30パーセントまでの変調度においてこの最大Q値を維持することができるので、最適の結果を得るのに、より低いレベルの搬送波減衰量を利用可能にし、それにより、光源から入手可能な光パワー出力をより効率的に使用してもよい。比較すると、それらのより高い非線形性の度合いに起因して、(非線形化された)MZI変調器または位相変調器のいずれかを約10パーセントを超えるあらゆる変調度で使用して、より低い最大Qが使用可能になる。特に、非線形化されたMZIおよび位相変調器の両方の性能は、この点において極めて似ている。しかし、マッハツェンダ強度変調器は元々、結果として光源のパワーが少なくとも3dBだけ減衰するが、ほぼ無損失の位相変調が原則として可能であることを理解すべきである。変調された光パワーが送信機において3dB増大すると、光増幅がない場合には、結果として受信電気信号が6dB増大する。さらに、レーザ送信機に一体化するには、位相変調器はMZI構造よりも簡略になることがある。
【0085】
前述の議論から明白なように、本発明の様々な実施形態において、様々な変調器、変調フォーマット、および変調度を利用することが可能である。シミュレーションによって試みられてきた例示的な変調構成のそれぞれは、具体的な得失を示し、具体的な用途の要求に基づいて、変調器が適切に選択されてもよい。重要なことには、どんな変調フォーマットが選択されても、光搬送波および/または情報ベアリング光側波帯のエネルギーを、それらの間の光信号の総エネルギーの最適な分割を達成するように適切に制御または調整することにより、送信される光パワーの効率および/または受信信号の質を最適化することが可能である。
【0086】
前述の説明から、本発明の多くの変形形態が可能であり、本発明が、本明細書に記述される特定の実施形態に限定されるべきではないことが、当業者には明らかになろう。むしろ本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって画定される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る長距離の分散単一モードファイバ(dispersive single-mode fibre)上でデジタル情報を通信するためのシステムを概略的に示す図である。
【図2】図1に示すシステムの送信機内で生成される例示的な送信変調器駆動波形を示す図である。
【図3】図2の駆動波形の例示的なスペクトルを示す図である。
【図4】図1に示すシステムの光変調器の出力での例示的な光スペクトルを示す図である。
【図5】図1に示すシステムの具体的な一実施形態に係る光側波帯フィルタの出力での例示的な光スペクトルを示す図である。
【図6】図1のシステムの単一モードファイバ区間内にある光増幅器の出力での例示的な光スペクトルを示す図である。
【図7】図1のシステムの他の実施形態の代替的な光側波帯フィルタの出力での例示的な光スペクトルを示す図である。
【図8】図1に示すシステムの光検出器の出力での例示的なRFスペクトルを示す図である。
【図9】図1に示すシステムの受信機内で生成される例示的な等化されていない出力信号点配置パターンを示す図である。
【図10】図1に示すシステムの受信機内で生成される例示的な等化された出力信号点配置パターンを示す図である。
【図11】様々な変調フォーマットおよび変調度に対する搬送波減衰量の最適化を示すシミュレーション結果のグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には光通信に関し、より詳細には、光チャネル、特に高いレベルの全色分散を示す光ファイバを介して長距離にわたって送信するための光信号を生成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報信号が光搬送波上に変調される光送信は、現代の通信システムにおいて広く利用されている。特に、広域通信ネットワークは、極めて高いビットレートでデジタル情報を送信するための単一モード光ファイバを使用し、各ファイバ上で1つもしくは複数の光搬送波、または波長を使用する、長距離の送信リンクを利用する。何らかの形式の再生が必要となる前に単一モード光ファイバでデータが送信されてもよい距離は、光減衰およびパルス分散によって制限される。実用的な光増幅器の出現により、エルビウム添加ファイバ増幅器が適用可能な、特に波長が約1550nmでの第3の光通信窓で動作するシステムについての損失制限を大幅に排除してきた。しかし、パルス広がりに通じる色分散および偏波モード分散(PMD)を含む分散プロセスは、依然としてこうしたシステムにおけるひずみの重大な原因であり、うまく処理するかまたは補償しないと、光送信区間の到達範囲を厳しく制限することがある。
【0003】
光データチャネルのビットレートが増大するにつれて、色分散によってもたらされる問題は急激に増大する。これは、一方では、ビットレートが増大すると、送信チャネルのスペクトル幅が増大することになり、それ故に、色分散の結果としてパルス広がりが増大するからである。他方では、ビットレートが増大すると、ビット周期、すなわち連続したビット間の時間間隔が低減することにもなる。特に、波長分割多重デジタル送信システムでは、低い1次分散値は、非線形プロセスに起因して増大したひずみに関連するので、送信波長の近くで分散値が低くまたはゼロである光ファイバを利用することにより、パルス広がりを低減させることは実用的ではない。
【0004】
特に、高次PMDプロセスが考慮されるときには、ビット周期が低減されることにより、またある程度はスペクトルの広がりにも起因して、PMDの影響は、より高いデータ転送速度でも増大する。
【0005】
したがって、光ファイバの送信区間内の分散の影響を補償することができる方法および装置の重要性が、高容量光送信システムにおいて増大してきた。
【0006】
色分散の影響を補償するための知られている方法には、送信レーザのプリチャープ(pre-chirping)、データチャネルのミッドスパン光位相共役(mid-span optical phase conjugation)、光ファイバの送信区間の分散特性とは反対の分散特性を有するチャープファイバ・ブラッグ・グレーティング(chirped-fibre Bragg gratings)の使用、および高分散性の分散補償ファイバの使用が含まれる。
【0007】
しかし、これらの方法にも欠点がないわけではない。特に、すべての方法は、ほぼ光領域内で動作し、通常では、固定量の分散補償を提供する構成部品を使用する。したがって、これらの構成部品は、それらが設置される特定の送信区間の特性に適合するように設計および/または構成されなければならず、様々な送信区間での使用、または変化する全色分散を示すシステムでの使用に動的に適応させることは容易ではない。
【0008】
その一方で、ソフトウェア構成部品を含んでもよく、変化する要求に高い適応性のあるアナログおよび/またはデジタルシステムを備える電子システムを設計および構成することが、比較的に容易である。特に、チャネル特性を動的に補償または等化することができる無線および有線システムの両方を含む無線周波数(RF)通信システムにおいて、適応性のある電子装置が広く適用されてきた。したがって、最近では、光送信距離での分散の影響を軽減するために、より巧妙な電子的処理技法を使用できるようにする方法および装置を考案することに関心が集まってきている。たとえば、設置された光学設備を置換えまたは増強することなく、既存の送信リンクを改良するために電子的な分散補償を使用してもよい。さらに、電子的な分散補償装置は、たとえば、全光学式のスイッチングおよび送信の技術を利用するシステムで発生することがある全分散における動的な変化に適応的に応答するように設計することもできる。
【0009】
光送信システム内で電子的な分散補償を実施することに対する重大な障害は、もっとも高帯域の光学システムが、受信機における直接検出と組み合わせて、送信機において強度変調を利用することである。強度変調は、結果として、中心の光搬送周波数のまわりに配置された2つの周波数側波帯を有する光信号を生じさせ、こうした信号の直接検出は、結果として、一般的には、分散の影響、特に色分散の影響を補償することができるようにするのに必要とされる光位相情報の損失をもたらす。したがって、受信端において電子的な分散補償を実行する方法が提案されてきており、これらの方法は、強度変調の結果として生じる通常の両側波帯周波数スペクトルをもたない信号の送信を必要とする。特に、光単側波帯(OSSB)または残留側波帯(VSB)を使用する電子的な分散補償法が提案されてきており、それらの提案では、光位相情報は、光受信機での電気位相情報に直接変換される。さらに、送信される光単側波帯内にいくつかのRF副搬送波が多重化されたような信号を生成することも提案されてきた。こうした各副搬送波は、送信光信号の全体的な帯域幅よりも帯域幅が著しく狭くてもよいので、分散に対する許容度が増大することがある。
【0010】
しかし、OSSB送信および/またはRF副搬送波多重化の使用に基づく以前より提案されている電子的な分散補償技法には、いくつかの制限が残っている。まず、RFフィルタ、ミキサなどを含むRF構成部品の品質および費用は、利用してもよいRF副搬送波の数、および副搬送波多重化のスペクトル効率を制限する。さらに、同様の制限および/または費用が受信機において課せられ、受信機では、各RF副搬送波は、独立して、逆多重化され、補償または等化されなければならない。さらに、現在まで提案されてきたシステムは、比較的低い光パワー効率を示してきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、有効な分散補償を電子的な領域で実行することができ、知られている方法およびシステムの前述の欠点を軽減する、光信号を生成し送信するための改良された方法および装置が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様では、本発明は、分散光チャネル上でデジタル情報を通信する方法であって、
各ブロックが1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、前記デジタル情報を一連のブロックに符号化する工程と、
前記ブロックのそれぞれに対応する送信時間変化信号を生成する工程と、
側波帯が前記送信時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような送信光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加える工程と、
前記光チャネル上で前記光信号を送信する工程と、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す工程と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する工程と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する工程と、を含む方法を提供する。
【0013】
したがって、この方法は、ほぼ単一の光側波帯のみを有する送信光信号を提供し、それにより、受信機において電子的な分散補償がなされてもよいように、対応する光検出器において生成される電気信号内に光位相情報を保存することができるようにする。さらに、受信機における周波数領域の等化技法と組み合わせて送信信号を生成するためにブロック符号化を使用することは、個々のRF副搬送波上で運ばれる信号を処理するために、送信端または受信端で別々のRF構成部品を必要とする。したがって、この方法は、送受信端における装置の費用および/または複雑さが対応して増大することなく、高い拡張性があり、高いスペクトル効率、改善された分散許容度、および、特に色分散の影響の簡略化された等化または補償を提供する。
【0014】
他の態様では、本発明は、分散特性を有する光チャネル上で送信されたデジタル情報を受信する方法であって、前記デジタル情報は、光搬送波および光周波数領域の光側波帯を運ぶほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号によって運ばれるものであって、前記光側波帯は、一連の送信データブロックから生成された送信時間変化信号に対応するものであって、各データブロックは、1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す工程と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する工程と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する工程と、を含む方法を提供する。
【0015】
好ましい実施形態によれば、送信時間変化信号は、周波数/時間変換を使用して各ブロックから生成される。次いで、一連の受信データブロックは、対応する時間/周波数(逆)変換を使用して生成されてもよい。
【0016】
好ましい実施形態では、送信時間変化信号を符号化し生成するステップは、直交周波数分割多重化(OFDM)法によって実行される。したがって、送信時間変化信号を生成するステップは、各データブロック内のデータシンボルの離散逆フーリエ変換(IDFT)を使用して、周波数/時間変換を計算するステップを含むことが好ましい。有利には、IDFTは、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを使用して計算されてもよい。
【0017】
たとえば、データシンボルは、デジタル情報ビットとシンボル値との間の所望のマッピングに従って生成される実数値または複素数値でもよい。適切なマッピング方法は、通常の信号変調フォーマットに対応してもよく、それだけには限らないが、オン/オフ変調(OOK)、振幅偏移変調(ASK)、直交振幅変調(QAM)、位相偏移変調(PSK)、周波数偏移変調(FSK)などが含まれてもよい。
【0018】
周波数/時間変換によって生成される離散的なデジタル値は、パラレルフォーマットからシリアルフォーマットに変換され、デジタル・アナログ変換が使用されて、光信号を生成するために加えられてもよい実数の時間変化電気信号を生成することが好ましい。
【0019】
時間変化信号を生成するステップはまた、保護帯域または循環プレフィックスを加えるステップを含んでもよく、これにより、有利には受信機での検出光信号の等化を助ける。
【0020】
時間変化信号を光源に加えるステップは、送信時間変化信号に対応する光変調を加えるステップを含むことが好ましい。光源は、コヒーレントな光源、たとえば半導体レーザダイオードなどのレーザ光源であることが好ましい。
【0021】
送信時間変化信号を加えるステップには、変調された光源を光学的にフィルタリングして、少なくとも1つの光周波数側波帯を大幅に抑圧し、それにより、光周波数領域における送信時間変化信号に対応し、ほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含む光信号を生成するステップも含まれてもよい。
【0022】
フィルタリングされた光信号は、送信光信号の光搬送波を供給するために、光源の非変調出力の一部分と組み合わされてもよい。代替的には、フィルタリングは、変調信号内に存在する光搬送波の少なくとも一部分を保持するように実行されてもよい。
【0023】
光源に加えられる変調は、強度変調または位相変調であることが好ましい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、変調および光フィルタリングの連続的段階を利用するが、たとえば、送信時間変化信号から取り出された適切な電気駆動信号とともに多電極変調器(multi-electrode modulators)を使用する、知られている方法などの適切なOSSB光信号を直接生成するための代替的な方法が利用されてもよいことが理解されよう。
【0025】
光搬送波および/または光側波帯におけるパワーは、光信号内の総エネルギーの所望の分割を両者間で達成するように制御または調整されることが好ましい。こうした制御または調整は、知られている方法で達成されるパワー効率をしのいで、送信光信号のパワー効率を大幅に改善することができるので、特に有利である。光搬送波内のエネルギーと光側波帯内のエネルギーとの比率は、たとえば、0.5から2.0の間でもよく、特に、光搬送波および光側波帯内のエネルギーがほぼ等しいことが望ましい。一般的には、所与の送信信号について、最適な搬送波パワーが存在し、このパワーは、受信信号の質を最大化し、変調フォーマットおよび変調度などのパラメータに依存することが分かってきた。好ましい実施形態では、最適な搬送波パワーは、光変調器からの搬送波出力を適切に抑圧することにより実質上実現されてもよい。
【0026】
特に好ましい実施形態では、周波数保護帯域が光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間に設けられるように、時間変化信号が光源に加えられる。情報ベアリング側波帯によって占有される帯域幅と同じまたはそれよりも大きい帯域幅を有する周波数保護帯域が設けられることが特に好ましい。この構成では、情報ベアリング光側波帯の各成分間での混合により光検出器内で生成されることがあるひずみ成分が、受信信号の帯域幅のほぼ外側、および周波数保護帯域のほぼ内側に落ち、その結果、受信信号の干渉および/またはひずみが著しく低減されるという点で、具体的な利点が達成される。
【0027】
デジタルの電子(RF)領域および/または光領域内で実行される方法を含む周波数保護帯域を有する信号を生成するための様々な方法が、当業者に対して利用可能であることが理解されよう。
【0028】
光信号を送信するステップは、一般的に単一モード光ファイバを介して送信するステップを含み、こうした送信は、たとえば1,000キロメートルを超える長距離にわたってもよい。実際には、発明性のある方法のパラメータを適切に選択することで、およそ1,000,000キロメートル程度の距離にわたる光信号の送信が可能になることもある。送信チャネルには、単一モード光ファイバの損失または減衰を補償するための光増幅器が含まれてもよい。
【0029】
光信号を検出するステップは、たとえば、要求に応じて電気的な増幅とともに、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード(APD)、または同様のものなどの検出器を使用して、光・電子変換を実行するステップを含むことが好ましい。
【0030】
一連の受信データブロックを生成するステップは、受信時間変化電気信号をサンプリングして、一連の離散的なデジタル値を生成するステップを含むことが好ましい。好ましい実施形態では、離散的なデジタル値は、送信時間変化信号を生成する際に使用される周波数/時間変換に対応する時間/周波数変換を使用して変換される。好ましい一実施形態では、一連の受信シンボル値を計算するために、有利にはFFTアルゴリズムを使用して、サンプリングされた信号の離散フーリエ変換(DFT)が実行される。
【0031】
次いで、受信データシンボルの等化を実行するステップは、送信光信号への光チャネルの色分散の影響をほぼ等化するために、少なくとも各受信シンボル値の位相調整を実行するステップを含み、その結果、受信シンボル値および等化シンボル値が送信シンボル値により近づくことが好ましい。等化にはまた、各受信シンボル値の振幅調整を実行するステップが含まれてもよい。
【0032】
有利には、この方法には、等化された受信シンボル値から元の情報ビットを復元するさらなるステップが含まれてもよい。元の情報ビットを復元するために、符号化ステップで適用されるマッピングに対応するデマッピング法が使用されることが特に好ましい。前述の通り、適切なマッピング法およびデマッピング法は、OOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどを含む通常の信号変調フォーマットに対応する。
【0033】
他の態様では、本発明は、分散光チャネル上で送信されたデジタル情報を受信する装置であって、
前記デジタル情報は、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号によって運ばれるものであって、前記光側波帯は、一連の送信データブロックから生成された送信時間変化信号に対応するものであって、各データブロックは、1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す光検出器と、
時間/周波数変換を用いて前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する手段と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する等価器と、を備える装置を提供する。
【0034】
他の態様では、本発明は、デジタル情報を送信するシステムであって、
前記デジタル情報を運ぶ光信号を生成するための送信装置は、
各ブロックが前記デジタル情報の1または複数のビットに対応する複数のデータシンボルを含むものであって、デジタル情報を一連のブロックに符号化するように構成された符号化器と、
前記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成するように構成された信号生成器と、
側波帯が前記時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加えるように構成された光送信器と、を含み、
前記デジタル情報を運ぶ前記光信号を受信する受信装置は、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出すように構成された光検出器と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する手段と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を行うことによって前記送信装置によって送信されたデータシンボルを復元する等化器と、を含み、
前記送信装置から前記受信装置に前記光信号を運ぶように設けられた分散光チャネルと、を含むシステムを提供する。
【0035】
好ましい一実施形態では、符号化器は、デジタル情報のビットを受信し、対応する複数のシンボル値を生成する複数のマッピングユニットを備える。マッピングユニットは、OOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどの通常の変調フォーマットに対応するマッピングを含む、いくつかの適切なマッピング法のうちの任意の1つまたは複数の方法を実施してもよい。好ましい実施形態では、マッピングユニットは、デジタル信号処理の技術分野でよく知られたデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を使用して実施されてもよい。
【0036】
信号生成器は、周波数/時間変換器を含んでもよく、デジタル時間領域信号を生成する周波数/時間変換を実施するためのデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を組み込むことが好ましい。特に好ましい実施形態では、周波数/時間変換器はIDFTを実施し、FFTアルゴリズムを使用することが好ましい。信号生成器は、変換器の出力からデジタルサンプルの時系列を生成するための少なくとも1つのパラレル・シリアル変換器、および継続的な時間変化電気信号を生成するための少なくとも1つの対応するデジタル・アナログ変換器(DAC)がさらに含まれてもよい。好ましい実施形態では、信号生成器は、時間変化信号に保護時間および/または循環プレフィックスを挿入して、対応する受信機において周波数領域内の受信信号の等化を助けるように、さらに構成される。
【0037】
光送信器の光源は、コヒーレントな光源、たとえば半導体レーザダイオードなどのレーザ光源であることが好ましい。光送信器は、光源を直接変調する電気的な駆動回路をさらに含んでもよく、あるいは、マッハツェンダもしくは電子吸収タイプの強度変調器、光位相変調器、または同様のものなどの外部の光変調器を含むことが好ましい。
【0038】
光送信器には、変調された光源からの変調信号出力のうちの1つの光周波数側波帯を少なくとも大幅に抑圧するための光フィルタがさらに含まれてもよい。これにより、有利には、光フィルタの出力は、光周波数領域内のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを有する光信号を含む。光送信器には、光源の非変調出力の一部分を抽出し、光信号の光搬送波を提供するために、これを変調器出力と組み合わせるための光学構成部品がさらに含まれてもよい。
【0039】
代替的な実施形態では、光送信器には、変調された信号内に存在する光搬送波の少なくとも一部分を保持し、その結果、光フィルタの出力が、光搬送波およびほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含む光信号であるように構成される光フィルタが含まれてもよい。
【0040】
しかし、代替的な光送信器構成が可能であり、たとえば、時間変化信号から取り出された信号で各電極を駆動する適切な駆動電子装置を有する多電極光変調器を使用して、OSSB光信号の直接的生成を実現する構成を含むことが、当業者には理解されよう。
【0041】
好ましい実施形態では、光検出器は、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード(APD)または同様のものなどの光信号の光・電子変換のための適切な装置を備える。光検出器には、信号レベルを調整し、受信信号を調整するための増幅器、フィルタなどの電子装置がさらに含まれてもよい。
【0042】
受信データブロックを生成する手段は、検出信号をサンプリングし、信号を表すデジタル化された時系列を生成するためのアナログ・デジタル変換器(ADC)を備えることが好ましい。
【0043】
生成手段は、サンプリングされたデータのシリアル・パラレル変換を実行するためのデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段がさらに含まれてもよい。さらに、好ましい実施形態では、生成手段は、時間/周波数変換を計算するためのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を含み、この手段は、たとえばFFTアルゴリズムを使用して実施されるDFTであることがもっとも好ましい。好ましい実施形態によれば、前記変換の出力は、受信データブロック内に構成される複数の受信データシンボルである。
【0044】
等化器は、光チャネルの色分散の影響をほぼ等化するために、少なくとも各受信データシンボル値の位相を調整するための複数のフィルタを含む等化器バンク(equaliser bank)を備えることが好ましい。等化器バンクはまた、各受信データシンボルの振幅を調整してもよい。受信装置は、等化シンボル値を受信し、デジタル情報の対応するビットを生成するための複数のデマッピングユニットをさらに備えることが好ましい。理解されるように、デマッピングユニットは、対応する送信機で利用されるマッピングユニットに対応してもよく、したがって、OOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどを含む通常の変調フォーマットに対応するデマッピングなどのいかなる適切なデマッピング法を実施してもよい。好ましい実施形態では、デマッピングユニットは、デジタル信号処理の技術分野でよく知られたデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を使用して実施されてもよい。
【0045】
光チャネルは、単一モード光ファイバであることが好ましい。
【0046】
本発明の好ましい実施形態の以下の記述から、本発明のさらなる好ましい特徴および利点が当業者には明白になるであろうが、これらの実施形態は、前述の説明または本明細書に添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
まず図1に戻ると、本発明の一実施形態に係る長距離区間の分散単一モードファイバ上でデジタル情報を通信するためのシステム100を概略的に示している。
【0048】
例示的なシステム100は、増幅された単一モードファイバ区間104上で送信するための、デジタル情報を運ぶ光信号を生成する装置102を備える。送信区間104には、概して、単一モードファイバリンクの減衰の結果として生じる信号パワーにおける損失を克服するために、それらの間に挿入された損失補償増幅器、たとえば108を有する複数の個々の単一モードファイバセクション、たとえば106が含まれてもよい。
【0049】
システム100は、ファイバ区間104上で送信装置102から送信されるデジタル情報を受信するための受信装置110も備える。
【0050】
ファイバ区間104上で送信するためのデジタル情報は、パラレル入力ポート112を介して送信機102に入力される。入力されたデジタル情報は、送信機102内においてブロック単位で処理され、各ブロックは、入力ポート112のパラレル入力に対応するいくつかのビットの情報を含む。シリアル入力ポートなどのデジタル情報のための他の形式の入力が代替的に設けられてもよいことが理解されよう。各ブロック内に含まれる情報のビット数は通常は所定の値であり、任意の具体的な実施形態においては、固定されたビット数でもよく、または所望の情報ビットレートおよび/または他のシステムパラメータなどの様々な要因に従って、時間とともに変化してもよい。
【0051】
符号化器114は、対応する複数のデータシンボルを生成するための複数のマッピングユニット、たとえば116を備え、データシンボルのそれぞれは、概して、1または複数の入力情報ビット112を符号化する複素数値である。システム100の好ましい一実施形態によれば、結果として符号化されたデータシンボル値を提供するために、マッピングユニット116によってQAMマッピングが使用されて、入力データビットを符号化する。各QAM信号値は、送信信号の対応する周波数搬送波に加えられる振幅変調および位相変調を表す複素数である。しかし、入力データの符号化については、OOK、ASK、PSK、FSKなどを含む符号化方式に限らず、代替的なマッピング方式が使用されてもよいことが理解されよう。
【0052】
送信機102は、符号化されたデータシンボルブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成する信号生成器118をさらに備える。システム100の例示的な実施形態によれば、時間変化信号を生成するためにOFDM法が使用される。周波数/時間変換器120は、FFTアルゴリズムを利用する離散逆フーリエ変換(IDFT)を使用して実施されることが好ましく、パラレル・シリアル変換器122に入力される変換値のブロックを生成する。理解されるように、IDFTは、当技術分野でよく知られた、デジタル電子ハードウェアもしくはソフトウェア手段、またはハードウェアとソフトウェアの組合せのいずれかを使用して、容易に実施されてもよい。
【0053】
一般的には、周波数/時間変換器120、およびその先のパラレル・シリアル変換器122のパラレル出力は、実数成分および虚数成分を含む一連の複素数値である。システム100の例示的な実施形態によれば、実数成分および虚数成分は、2つの別々の出力ストリームに分割され、各ストリームは、デジタル・アナログ変換器(DAC)124、126により、それぞれ連続的に変化する時間変化電気信号に変換される。結果として得られる時間変化信号は、ミキサ128,130を使用して、周波数fRFのRF周波数搬送波にアップコンバートされる。パラレル・シリアル変換器出力の実数成分に対応する時間変化信号は、ミキサ128内でアップコンバートされて同相信号を生成するが、虚数成分に対応する時間変化信号は、ミキサ130内でアップコンバートされて直交信号を生成する。同相成分および直交成分は、加算素子132内で組み合わされて、入力データ112のすべての情報コンテンツを含む合計出力の時間変化電気信号を生成する。
【0054】
システム100の例示的な実施形態では、一定の追加オフセットがバイアス入力134の形で時間変化信号に加えられて、光搬送波を変調する際に使用するのに適した時間変化信号を生成する。
【0055】
例示的なシステム100では、光送信器136は、信号生成器118からの時間変化信号出力を光源138に加えるように構成される。光送信器136は、光源138を備え、光源138は、コヒーレントな光源、たとえば半導体レーザダイオードなどのレーザ光源であることが好ましい。信号生成器118によって生成される時間変化信号は、例示的な実施形態100において使用されて、光送信器136の外部変調器140を駆動する。外部変調器140は、マッハツェンダまたは電子吸収タイプの強度変調器、光位相変調器、または同様のものでもよい。しかし、代替的な実施形態では、光源を変調するために、たとえば集積化されたレーザ変調器、または適切なレーザ源もしくは他の光源の直接変調などの他の手段が使用されてもよいことが理解されよう。様々なタイプの変調器、様々な変調フォーマット、および一連の変調度を使用する送信の性能特性が、図11を参照しながら後述される。
【0056】
光送信器136は光フィルタ142も備え、光フィルタ142は、光変調器140からの強度変調された信号出力のうちの1つの光周波数側波帯を少なくともほぼ抑圧するように構成される。したがって、光フィルタ142の出力は、光周波数領域内のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含み、信号生成器118からの時間変化信号出力に対応し、光変調器140を駆動するために使用される。光フィルタ142は、光単側波帯のみを選択してもよく、または光搬送波パワーのすべてもしくは一部分とともに光単側波帯を選択してもよい。
【0057】
例示的なシステム100では、光フィルタ142によりほぼ光単側波帯のみが通過することが可能になり、それにより光フィルタ142の出力内の光搬送波が抑圧される。したがって、追加の光路144が設けられ、それに沿って光源138の非変調出力の一部分が送信され、光フィルタ142の出力においてフィルタリングされた光側波帯と再結合されて、光搬送波およびほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含む光信号を生成する。
【0058】
有利には、光搬送波パワーは、本発明の実施形態において選択されまたは調整されて、光搬送波と側波帯の間の合計信号エネルギーの所望の分割を達成してもよい。これにより、改善された光パワー効率および/または受信信号の質について、送信機136からの光信号出力を最適化することができる。たとえば、所望の光搬送波レベルは、分割成分および/または結合成分を適切に選択することにより、あるいは並列な光路144内に適切な減衰器を備えることにより、達成されてもよい。
【0059】
追加の代替実施形態では、光搬送波の少なくとも一部分は、並列な光路144を設けることに加えて、光フィルタ142によって通過させられてもよい。したがって、光フィルタ138の出力において、変調されていない搬送波が信号と再結合されるとき、光搬送波レベルは、組み合わされた各搬送波間の位相関係に応じて、増加または低減されてもよい。したがって、このような構成を使用して、送信光信号の光搬送波パワーの制御または調整を行ってもよい。
【0060】
光搬送波と情報ベアリング側波帯との間の合計信号エネルギーの所望の分割を達成するためのさらなる手段および方法が、当業者には明白になるであろう。
【0061】
光信号は、一連の光増幅器、たとえば108、およびファイバ送信セグメント、たとえば106からなるファイバ区間104を介して送信される。ファイバ区間104内では、光ファイバセグメント106の分散に対する補償が行われないので、分散の影響は区間の全長にわたって蓄積する。
【0062】
分散に影響され、結果として得られる信号は、受信装置110によって受信され、受信装置110は、光検出器146、検出器146からの時間変化電気信号出力から一連の受信データブロックを生成する信号処理構成部品166、および蓄積した分散の影響を軽減する等化器168を備える。受信装置110は、最初に送信されたデジタル情報を復元するためのデマッピングユニット172も備える。
【0063】
例示的な実施形態100では、光検出器146は、構成部品166による追加の処理に適した特性を有する受信時間変化電気信号を生成するために、フォトダイオード148、および増幅器、フィルタなどを含む関連する電子回路150を備える。
【0064】
パワースプリッタ152は、受信時間変化信号を2つの別々の処理経路に分割し、これらの経路において、送信信号の同相成分および直交成分が復元され、それぞれRFミキサ154,156を使用してダウンコンバートされる。結果として得られる信号は、周波数/時間変換120の複素数値出力の、それぞれ実数成分および虚数成分に対応する。これら2つの信号は、サンプリングされ、アナログ・デジタル変換器(ADC)158,160を使用して、対応するデジタル値のシーケンスに変換される。デジタル化されたシリアル・サンプル値(serial-digitised samples)は、シリアル・パラレル変換器162内でパラレル形式に変換され、対応する実数値および虚数値は、時間/周波数変換器164への複素入力に再配列される。
【0065】
例示的な実施形態100によれば、時間/周波数変換器164は、FFTアルゴリズムを使用して実施されることが好ましい離散フーリエ変換器(DFT)であり、周波数/時間変換器120によって実施されるIDFTに対応する逆変換である。
【0066】
結果として得られる周波数領域の値は、ブロック単位でDFT164から出力される。各ブロックは、周波数/時間変換器120に入力される送信データシンボルに対応し、ファイバ区間104内の分散の影響にさらされる1組の受信データシンボルを含む。送信データシンボルを復元するために、ひとそろいの等化フィルタ、たとえば170を備える等化器168が設けられて、受信データシンボル上の分散の影響を軽減する。もっとも簡略的な場合には、また実際には例示的な構成100において、各フィルタ170は、送信信号への色分散の影響をほぼ等化するために、DFT 164から出力された対応する受信シンボル値のうちの少なくとも位相を調整する複素乗算器である。こうした等化は、送信および受信装置102,110の様々な電子および光・電子構成部品の非理想的な周波数依存特性をさらに補償してもよいことが理解されよう。ファイバ送信区間104のこうした特性および他の特性に応じて、各フィルタ170が、対応する受信シンボル値の振幅および位相を調整することがさらに望ましい。ファイバ区間104の時間変化特性、ならびにPMDおよび何らかの非線形プロセスを含む他の送信成分の影響を軽減するために、適応等化が利用されてもよい。
【0067】
結果として得られる等化シンボル値はデマッパ172に入力され、デマッパ172は、個々のデマッピングユニット174を備え、送信装置102に含まれるシンボルマッパ114に対応する。デマッピングユニット174は、等化シンボル値を受信し、デジタル情報の対応するビットを生成する。結果として得られる復号化された情報は、パラレル出力176で提供される。システム100内の雑音および/またはひずみのレベルが過度に高くはない場合には、出力デジタル情報は、入力112で提供される元のデジタル情報ビットに概して一致することになる。もちろん、誤りは、いかなる通信システム内の雑音および/またはひずみによっても引き起こされることがあるので、送信情報ビットにおける誤り率ゼロは達成されなくてもよいことが当業者には理解されよう。しかし、こうしたビット誤りを検出および/または訂正するために、デジタル情報内に挿入される誤り検出および誤り訂正符号を含め、追加の対策を利用してもよいことも理解されよう。
【0068】
例示的なシステム100の動作が、コンピュータシミュレーションを使用して確認検査されてきており、その結果が図2から図10に例示されている。シミュレーションでは、1,024ビットのブロック長で10Gb/sのデータ転送速度が使用された。マッピングおよびデマッピングブロック114,172では、4QAMシンボルマッピングが使用されて、全体的なシンボルレートは毎秒5ギガシンボルが得られた。fRF=7.5GHzのRF搬送周波数が使用されて、193.1THzに設定された光搬送波から、5GHzから10GHzの間の周波数帯を占有するOFDM情報信号が得られた。平均送信パワーは1ミリワットであり、長さが4,000kmの損失補償された光ファイバの送信区間104が使用され、全分散は64ns/nmであった。理解されるように、10Gb/sで動作し、通常のベースバンド強度変調法を使用するシステムでのこのレベルの分散により、結果として、受信機での検出に先立って光領域内で適切な分散補償法を使用することなしには、受信信号からは送信デジタル情報の復元が不可能になる。
【0069】
図2には、信号生成器118の出力で生成される例示的な送信変調器駆動波形200が示してある。134をバイアスする結果として、駆動波形200は、正の平均信号レベル202を有し、波形のピーク、たとえば204のクリッピングがほとんどまたは全く発生しないように確立される。図3には、駆動波形200の対応する電気的なスペクトル300が示してある。見て分かるように、信号生成器118で利用されるOFDM変調法によれば、スペクトル300は、送信すべき情報信号に対応し、5GHzから10GHzの間の範囲を占有する明確に定義された周波数帯302を含む。
【0070】
図4には、光変調器140の出力で生成される対応する光スペクトル400が示してある。光スペクトル400は、レーザ光源138の狭線幅出力に対応する光搬送波信号402を含む。搬送波を強度変調することにより、結果として、変調器駆動スペクトル300に対応する下方側波帯404および上方側波帯406が発生する。図4に示すように、搬送波レベル408は、情報ベアリング下方側波帯および上方側波帯404,406よりも著しくパワーが大きく、送信信号波形200のクリップを確実に最小限に抑えるために使用される相対的に高いバイアスレベルに対応する。理解されるように、この高い搬送波レベルは、低い送信光パワー効率に対応する。しかし、本発明の形態によれば、また図6および11を参照してより詳細に説明するように、システム100の送信光パワー効率および/または受信信号の質を最適化または少なくとも改善するために、送信搬送波レベルは低減されてもよい。
【0071】
図5には、光フィルタ142の出力における光スペクトル500が示してある。見て分かるように、光フィルタ142は、下方側波帯404および光搬送波402をほぼ抑圧し、その結果、単一の情報ベアリング側波帯506のみを含むスペクトルが生じる。
【0072】
図6には、送信区間104内の光増幅器、たとえば108の出力における例示的な光スペクトルが示してある。レーザ138によって生成され、光送信器136内の並列な経路144に沿って送られる光搬送波の一部分は、フィルタ142の出力に組み合わされているので、光スペクトル600は、光搬送波602およびほぼ単一の情報ベアリング光側波帯606のみを有する光信号を含む。再結合された光搬送波602のレベル608は、搬送波内の総パワーが、情報ベアリング側波帯606内の総パワーに概して匹敵するように設定された。搬送波レベル608を適切に調整することにより、結果として、光パワー効率およびその先の全体的なシステム性能を最適にまたは少なくとも著しく改善することができることが分かった。例示的なシステムシミュレーションでは、最適のシステム性能は、変調された信号をフィルタ142の出力で再結合する前に、搬送波を25dBだけ減衰させることで得られた。性能における最大の改善は、光搬送波602および情報ベアリング側波帯606におけるパワーの比率をほぼ等しくすることによって達成されてもよく、たとえば、搬送波エネルギーと側波帯エネルギーの間の比率が0.5から2.0の間である場合に、合理的な性能が達成されてもよい。しかし、図11を参照して後述するように、搬送波減衰量の最適レベルは、光変調フォーマットなどの信号の特徴に依存してもよい。
【0073】
図7は、代替的な光フィルタ142の出力を示す例示的な光スペクトル700であり、光フィルタ142は、所望の光側波帯706を選択する際に、こうした光搬送波702の完全抑圧を行わない。したがって、残留搬送波レベル708が、この光フィルタの出力内に存在する。通過帯域特性が適切に調整されたこのタイプのフィルタは、たとえば、単側波帯、および十分な光搬送波パワーを通過させるための残留側波帯(VSB)フィルタとして使用することもでき、その結果、元の光源出力の一部分を再結合することは必要とされなくてもよい。すなわち、フィルタ142の特性を適切に選択することにより、適切な比率での搬送波パワーおよび信号パワーを含む送信光信号が生成されてもよい。
【0074】
図8には、光検出器146の出力における例示的なRFスペクトル800が示してある。スペクトル800の特徴には、混合雑音(intermixing noise)810、情報ベアリングOFDM信号帯域806、およびシステムノイズフロア812が含まれる。送信装置102内の信号生成器118によって生成されるRFスペクトル300と比較すると、光学的なおよび電気的な雑音源に起因する蓄積された雑音のレベルは、受信OFDM信号806のスペクトルパワーにおける変動808として明らかになる。しかし、雑音変動は、平均信号レベルと比較して相対的に小さいことが明白である。
【0075】
混合雑音810は、光検出器148におけるOFDM信号成分の混合の結果として生じる。光検出器148でのこうした混合雑音の生成の主な理由は、OFDM信号を適切なRF搬送周波数にアップコンバートすることが好ましいからである。具体的には、DCと信号帯域の間(RF領域内)の周波数保護帯域、または同じことであるが、光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間(光領域内)の周波数保護帯域を設けるために、情報ベアリング信号をアップコンバートすることにより、混合雑音810の影響が大幅に軽減されるか、または完全に回避され得る。具体的には、周波数保護帯域幅が、情報ベアリング信号によって占有される帯域幅と同じまたはそれよりも大きい場合には、各信号成分間に生成される差周波数の結果として生じる混合雑音成分が、光検出器146における保護帯域内に落ちることにより、受信信号の質に及ぼすそれらの影響が大幅に低減することになる。こうした理由で、例示的なシミュレーションでは、OFDM信号は5から10GHzの間のRF周波数帯を占有し、0から5GHzの間の低い周波数の保護帯域を提供し、この帯域内で、光検出器146において混合雑音成分810が生成される。
【0076】
周波数保護帯域によってもたらされるさらなる利点は、例示的なシステム100において、光フィルタ142の技術仕様がいくらか緩和されてもよいことである。抑圧すべき側波帯は、保護帯域幅の2倍だけ所望の側波帯から分離されているので、保護帯域がない場合に許容できる帯域よりも広い遷移帯域を有するフィルタを利用することが可能である。
【0077】
図1に示す例示的なシステム100において、周波数/時間変換器120には、いくつかの未使用の入力178が設けられ、時間/周波数変換器164には、対応する数の未使用の出力180が設けられることに留意されよう。未使用の入力178には、ゼロシンボルが供給されることが好ましい。理解されるように、これら未使用の入力および出力の効果は、デジタル信号処理内でのオーバーサンプリングを提供することである。こうしたオーバーサンプリングは必要ではないが、デジタル領域内での様々な演算を実行するために、様々な目的に使用されてもよい。具体的には、オーバーサンプリングされたシステムは、不要な混合雑音成分810および/または812を、時間周波数変換器164の未使用の出力180において「放出(dumped)」されるようにしてもよい。したがって、オーバーサンプリングを効果的に使用して、デジタル領域でのこれらの雑音成分をフィルタリングし、それにより、電子および/または光領域に設けられるフィルタへの要求を緩和する。実際には、一般的に、信号生成器118および受信機信号処理構成部品166で示される演算の多くは、処理、構成部品の品質、費用、および他の要求に応じて、アナログ領域またはデジタル領域のいずれかで実行されてもよいことが理解されよう。したがって、システム100で示されるデジタル領域とアナログ領域の間での処理タスクの具体的な分割は、例示的なものに過ぎないと理解され、この点において、多くの変形形態が可能であることが当業者には理解されよう。
【0078】
図9には、等化がない場合にDFT164の出力に現れる受信データシンボルの例示的な信号点配置パターン900が示してある。信号点配置の各点902は、円周の回りに均一に分散され、送信データシンボルの位相へのファイバリンク104の色分散の影響を明白に示している。システム100内の光および電子構成部品に起因する振幅雑音の影響もまた、信号点配置パターン900において明白である。色分散によって誘起される位相シフトの結果として、信号点配置パターン900を構成する受信データシンボルから送信データシンボルを復元することは、明らかに不可能である。
【0079】
シミュレーションされたシステムは、知られているデータの単一のブロックを使用してトレーニングされた。トレーニングデータに基づいて、等化器バンク168は、元の送信シンボル値を復元するのに必要となる適切な位相シフトを各受信シンボルに加えるように構成された。このようにして等化器バンク168が構成されると、データの追加ブロックがシステム100を介して送信され、受信装置110内で同じ等化が加えられた。図10には、結果として得られる信号点配置パターン1000が示してあり、4つの互いに異なる信号点配置点1002、1004、1006、1008を明確に区別され、送信データシンボルの復元が可能であることを示している。したがって、例示的なシステム100は、光搬送波および光周波数領域内のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含む光信号の送信と組み合わせて適切な信号処理を使用することによって、もっぱら電子的な領域内で、極めて大きいレベルの色分散の影響を大幅に軽減することができることが明白である。
【0080】
等化された信号点配置パターン1000は、相対的に高い信号対雑音比(SNR)を有する信号を表すと思われるので、より高い送信容量を達成するために、たとえば16QAMなどの高次のQAMマッピングを利用することが、例示的なシステムにおいては実用的になるはずであることも注目に値する。
【0081】
先に述べたように、信号生成器118からの時間変化信号出力を光源138に加えるために、様々な光変調フォーマットが利用されてもよい。たとえば、適用可能な変調フォーマットには、強度変調および位相変調が含まれる。さらには、任意の選択された変調フォーマットに対応する、様々なタイプの外部変調器140が利用されてもよい。たとえば、当技術分野で知られているように、変調の線形性を改善するために、マッハツェンダまたは電子吸収タイプの変調器を使用し、線形化技法を用いてまたは用いずに、強度変調が加えられてもよい。さらに、変調度は、信号生成器118からの時間変化信号出力を光源138に加える際に変更されてもよい、追加のパラメータである。他のパラメータの中でも、変調フォーマットおよび変調度の選択は、送信パワー効率および/または受信信号の質に影響を及ぼすことがある。
【0082】
図11には、光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間の光エネルギーの選択された分割が信号の質に影響を及ぼす様子を示すシミュレーション結果のグラフ1100が示してある。具体的には、3つの異なるタイプの変調器、および5つの異なるレベルの変調度を使用し、光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間のエネルギーの分割を制御するために、それぞれの場合で光搬送波を可変的に減衰させて、シミュレーションが実施されてきた。したがって、グラフ1100内の各曲線のそれぞれにおける各点は、選択された変調度および選択されたレベルの搬送波減衰量で、選択されたタイプの変調器を使用する、単一のシミュレーション実行に対応する。それぞれの場合では、信号のQ値が計算される。シミュレーションでは、QAMマッピングが利用され、QAM信号の対応する成分の分散値(variance)によって除算された適切な判定閾値に対するサンプル値の平均距離の2乗として、従来の方式でQが定義される。
グラフ1100で表されるシミュレーションは、強度変調および位相変調を利用する。位相変調の場合には、90度を超える大きさの位相シフトがクリップされるように、位相変調器駆動が抑制された。2つのタイプのマッハツェンダ強度変調器がシミュレーションされたが、それらは線形化されたマッハツェンダ変調器および線形化なしのマッハツェンダ変調器であった。両方の場合では、各マッハツェンダ変調器への駆動は、ゼロパーセントから100パーセントの間の送信で抑制された。したがって、あらゆる場合において、変調器に加えられる時間変化するOFDM信号の正および負のピークは、高い変調度においてクリッピングを生じる。様々なシミュレーション実行において、5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、および40パーセントの変調度が利用された。
【0083】
グラフ1100における各曲線は、利用される変調のタイプを示すためにラベル付けされており、PMは位相変調を示し、MZIは線形化なしの強度変調を示し、またLMZIは線形化ありの強度変調を示す。各曲線上のシンボルは、差込み図の符号に従って、対応する変調度を示す。X軸は、搬送波の減衰量をデシベル単位で表し、Y軸は、やはりデシベル単位で表されるQ値である。
【0084】
グラフ1100内の各曲線から明確に分かるように、変調フォーマットと変調度の各組合せに対して、送信光信号の光搬送波と情報ベアリング側波帯との間の光エネルギーの対応する最適の分割を提供するために、適切なレベルの搬送波減衰量を選択することにより、最大信号品質を得ることが可能である。搬送波減衰量の最適レベルは、各曲線の極大値に対応する。シミュレーションされたすべての変調器の元々非線形な性質、および具体的には、高振幅の入力の場合にそれぞれによって加えられるクリッピングにより、一般的には、より低い変調度において、より良好な信号品質が達成されることが注目に値する。約15dBの最大Q値は、シミュレーションにおいては、送信経路内の増幅器雑音の結果として生じる光信号対雑音比(OSNR)によって制限されるが、シミュレーションされる変調フォーマットのすべてを使用して達成することができることも注目に値する。線形化されたMZI変調器は、約30パーセントまでの変調度においてこの最大Q値を維持することができるので、最適の結果を得るのに、より低いレベルの搬送波減衰量を利用可能にし、それにより、光源から入手可能な光パワー出力をより効率的に使用してもよい。比較すると、それらのより高い非線形性の度合いに起因して、(非線形化された)MZI変調器または位相変調器のいずれかを約10パーセントを超えるあらゆる変調度で使用して、より低い最大Qが使用可能になる。特に、非線形化されたMZIおよび位相変調器の両方の性能は、この点において極めて似ている。しかし、マッハツェンダ強度変調器は元々、結果として光源のパワーが少なくとも3dBだけ減衰するが、ほぼ無損失の位相変調が原則として可能であることを理解すべきである。変調された光パワーが送信機において3dB増大すると、光増幅がない場合には、結果として受信電気信号が6dB増大する。さらに、レーザ送信機に一体化するには、位相変調器はMZI構造よりも簡略になることがある。
【0085】
前述の議論から明白なように、本発明の様々な実施形態において、様々な変調器、変調フォーマット、および変調度を利用することが可能である。シミュレーションによって試みられてきた例示的な変調構成のそれぞれは、具体的な得失を示し、具体的な用途の要求に基づいて、変調器が適切に選択されてもよい。重要なことには、どんな変調フォーマットが選択されても、光搬送波および/または情報ベアリング光側波帯のエネルギーを、それらの間の光信号の総エネルギーの最適な分割を達成するように適切に制御または調整することにより、送信される光パワーの効率および/または受信信号の質を最適化することが可能である。
【0086】
前述の説明から、本発明の多くの変形形態が可能であり、本発明が、本明細書に記述される特定の実施形態に限定されるべきではないことが、当業者には明らかになろう。むしろ本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって画定される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る長距離の分散単一モードファイバ(dispersive single-mode fibre)上でデジタル情報を通信するためのシステムを概略的に示す図である。
【図2】図1に示すシステムの送信機内で生成される例示的な送信変調器駆動波形を示す図である。
【図3】図2の駆動波形の例示的なスペクトルを示す図である。
【図4】図1に示すシステムの光変調器の出力での例示的な光スペクトルを示す図である。
【図5】図1に示すシステムの具体的な一実施形態に係る光側波帯フィルタの出力での例示的な光スペクトルを示す図である。
【図6】図1のシステムの単一モードファイバ区間内にある光増幅器の出力での例示的な光スペクトルを示す図である。
【図7】図1のシステムの他の実施形態の代替的な光側波帯フィルタの出力での例示的な光スペクトルを示す図である。
【図8】図1に示すシステムの光検出器の出力での例示的なRFスペクトルを示す図である。
【図9】図1に示すシステムの受信機内で生成される例示的な等化されていない出力信号点配置パターンを示す図である。
【図10】図1に示すシステムの受信機内で生成される例示的な等化された出力信号点配置パターンを示す図である。
【図11】様々な変調フォーマットおよび変調度に対する搬送波減衰量の最適化を示すシミュレーション結果のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散光チャネル上でデジタル情報を通信する方法であって、
各ブロックが1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、前記デジタル情報を一連のブロックに符号化する工程と、
前記ブロックのそれぞれに対応する送信時間変化信号を生成する工程と、
側波帯が前記送信時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような送信光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加える工程と、
前記光チャネル上で前記光信号を送信する工程と、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す工程と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する工程と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記送信時間変化信号を生成する工程は、周波数/時間変換を用いて、前記ブロックのそれぞれに対応する信号を生成する工程を含み、前記一連の受信データブロックを生成する工程は、対応する時間/周波数変換を用いて、前記受信時間変化電気信号から前記データブロックを生成する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記符号化する工程は、所定の変調フォーマットに従って対応するシンボル値に前記デジタル情報のビットをマッピングすることによって前記複数の送信データシンボルを生成する工程を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の変調フォーマットは、オン/オフ変調(OOK)、振幅偏移変調(ASK)、直交振幅変調(QAM)、位相偏移変調(PSK)、および周波数偏移変調(FSK)を含むグループから選択される請求項3に記載の分散光チャネル上でデジタル情報を通信する方法。
【請求項5】
前記符号化する工程および前記送信時間変化信号を生成する工程は、直交周波数分割多重(OFDM)法に従って実行される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記送信時間変化信号を生成する工程は、保護時間および/または循環プレフィックスを挿入する工程を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記時間変化信号を前記光源に加える工程は、前記送信時間変化信号に対応する光変調を加える工程と、前記変調された光源を光学的にフィルタリングして、少なくとも1つの光周波数側波帯が大幅に抑えられるようにフィルタリングされた光信号を作り出す工程と、を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記光源の変調されていない出力の一部と前記フィルタリングされた光信号とを組み合わせる工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光学的にフィルタリングする工程は、前記変調された光信号に存在する光搬送波の少なくとも一部を保持するように実行される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記光変調は、強度変調または位相変調のいずれかである請求項7ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記光搬送波および/または前記光側波帯の出力を制御または調整して、それらの間で前記光信号の総エネルギーの所定の分割を得る工程をさらに含む請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記光搬送波のエネルギーと前記光側波帯のエネルギーとの間の比率は約0.5ないし約2.0である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光搬送波のエネルギーおよび前記光側波帯のエネルギーは、ほぼ等しい請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記時間変化信号は、前記光搬送波と前記情報ベアリング光側波帯との間に周波数保護帯域が供給されるように、前記光源に対して生成され且つ加えられる請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記周波数保護帯域は、前記情報ベアリング側波帯によって占有された帯域以上の帯域幅を有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
分散特性を有する光チャネル上で送信されたデジタル情報を受信する方法であって、
前記デジタル情報は、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号によって運ばれるものであって、前記光側波帯は、一連の送信データブロックから生成された送信時間変化信号に対応するものであって、各データブロックは、1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す工程と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する工程と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する工程と、を含む方法。
【請求項17】
前記生成する工程は、時間/周波数変換を用いて、前記時間変化電気信号から前記一連の受信データ信号を生成する工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記周波数領域等化を実行する工程は、前記送信光信号上の光チャネルの分散効果がほぼ等しくなるように各受信データシンボル値の振幅および/または位相の調整を実行して、前記送信シンボル値をより密接に近似するような等化シンボル値を供給する工程を含む請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記等化された受信データシンボルを復号化して、前記等化シンボル値から前記送信デジタル情報のビットを復元する工程をさらに含む請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記復号化する工程は、所定の変調フォーマットに従って前記等化シンボル値にディマッピング法を適用する工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記所定の変調フォーマットは、OOK、ASK、QAM、PSK、およびFSKを含むグループから選択される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
デジタル情報を送信するシステムであって、
前記デジタル情報を運ぶ光信号を生成するための送信装置は、
各ブロックが前記デジタル情報の1または複数のビットに対応する複数のデータシンボルを含むものであって、デジタル情報を一連のブロックに符号化するように構成された符号化器と、
前記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成するように構成された信号生成器と、
側波帯が前記時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加えるように構成された光送信器と、を含み、
前記デジタル情報を運ぶ前記光信号を受信する受信装置は、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出すように構成された光検出器と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する手段と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を行うことによって前記送信装置によって送信されたデータシンボルを復元する等化器と、を含み、
前記送信装置から前記受信装置に前記光信号を運ぶように設けられた分散光チャネルと、を含むシステム。
【請求項23】
前記送信装置の符号化器は、前記情報ビットを受信し、対応する複数のデータシンボル値を生成する複数のマッピングユニットを有するマッパを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記マッピングユニットは、所定の変調フォーマットに従ってマッピングを実行するように構成された請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記送信装置の前記信号生成器は、入力時の前記データシンボル値を受信し、対応するデジタル時間領域信号を出力するように構成された周波数/時間変換器を含む請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記送信装置の前記信号生成器は、前記周波数/時間変換器の出力からデジタルサンプルの時系列を生成するように構成されたパラレル・シリアル変換器と、連続的な時間変化信号を生成するデジタル・アナログ変換器と、をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記送信装置の前記信号生成器は、前記デジタルサンプルの時系列の中に保護時間および/または循環プレフィックスを挿入するようにさらに構成された請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記送信装置の前記光源は、直接変調された半導体レーザダイオードである請求項22ないし27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記送信装置の前記光源は、分割または統合された外部の変調器と組み合わされた連続波光源を含む請求項22ないし27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記変調器は、光強度変調器または光位相変調器である請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記送信装置の前記光送信器は、前記光源から出力された変調信号の光周波数側波帯の少なくとも1つを大幅に抑えるように構成された光フィルタをさらに含む請求項22ないし29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記送信装置の前記光送信器は、前記光源の非変調出力の一部を抽出し、前記光信号の前記光搬送波を供給するために前記非変調出力と前記光変調器の出力を組み合わせる光学部品をさらに含む請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記光フィルタは、前記変調信号出力に存在する光搬送波の少なくとも一部を保持するように構成された請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記送信装置の前記光送信器は、光搬送波および/または光側波帯の出力を制御または調整して、それらの間で前記光信号の総エネルギーの所定の分割を得るように構成された請求項22ないし33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記光搬送波のエネルギーと前記光側波帯のエネルギーとの間の比率は約0.5ないし約2.0である請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記光搬送波のエネルギーおよび前記光側波帯のエネルギーは、ほぼ等しい請求項34または35に記載のシステム。
【請求項37】
前記光送信器は、前記光搬送波と前記情報ベアリング光側波帯との間に周波数保護帯域が供給されるように、前記時間変化信号を前記光源に加える請求項22ないし36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記周波数保護帯域は、前記情報ベアリング側波帯によって占有される帯域幅以上の帯域幅を有する請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
分散光チャネル上で送信されたデジタル情報を受信する装置であって、
前記デジタル情報は、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号によって運ばれるものであって、前記光側波帯は、一連の送信データブロックから生成された送信時間変化信号に対応するものであって、各データブロックは、1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す光検出器と、
時間/周波数変換を用いて前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する手段と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する等価器と、を備える装置。
【請求項40】
前記一連のデータブロックを生成する手段は、
前記光検出器から出力された電気信号をサンプリングし、前記信号を代表するデジタル時系列を生成するアナログ・デジタル変換器と、
シリアルフォーマットからパラレルフォーマットへ前記デジタル時系列を変換するように構成されたシリアル・パラレル変換器と、
前記パラレルフォーマットのデジタル時系列を対応する一連の周波数領域の受信シンボル値へ変換するように構成された時間/周波数変換器と、を含む装置。
【請求項41】
前記等化器は、前記送信信号上の分散光チャネル効果をほぼ等化するために、各受信シンボル値の振幅および/または位相を調整する複数のフィルタを有する等化器列を含む装置。
【請求項42】
デジタル情報を運ぶ光信号を生成する方法であって、
各ブロックが1または複数の前記デジタル情報に対応する複数のデータシンボルを含むものであって、前記デジタル情報を一連のブロックに符号化する工程と、
前記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成する工程と、
光側波帯が前記時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および/または光側波帯の出力が制御または調整されて、それらの間で前記光信号の総エネルギーの所定の分割が得られるものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加える工程と、を含む方法。
【請求項43】
前記光搬送波のエネルギーと前記光側波帯のエネルギーとの間の比率は約0.5ないし約2.0である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記光搬送波のエネルギーおよび前記光側波帯のエネルギーは、ほぼ等しい請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
デジタル情報を運ぶ光信号を生成する方法であって、
各ブロックが1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数のデータシンボルをものであって、前記デジタル情報を一連のブロックに符号化する工程と、
前記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成する工程と、
側波帯が前記時間変化信号に対応するものであって、周波数保護帯域が光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間に供給されるものであって、
光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加える工程と、を含む方法。
【請求項46】
前記周波数保護帯域の帯域幅は、前記情報ベアリング側波帯によって占有される帯域幅以上である請求項45に記載の方法。
【請求項1】
分散光チャネル上でデジタル情報を通信する方法であって、
各ブロックが1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、前記デジタル情報を一連のブロックに符号化する工程と、
前記ブロックのそれぞれに対応する送信時間変化信号を生成する工程と、
側波帯が前記送信時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような送信光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加える工程と、
前記光チャネル上で前記光信号を送信する工程と、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す工程と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する工程と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記送信時間変化信号を生成する工程は、周波数/時間変換を用いて、前記ブロックのそれぞれに対応する信号を生成する工程を含み、前記一連の受信データブロックを生成する工程は、対応する時間/周波数変換を用いて、前記受信時間変化電気信号から前記データブロックを生成する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記符号化する工程は、所定の変調フォーマットに従って対応するシンボル値に前記デジタル情報のビットをマッピングすることによって前記複数の送信データシンボルを生成する工程を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の変調フォーマットは、オン/オフ変調(OOK)、振幅偏移変調(ASK)、直交振幅変調(QAM)、位相偏移変調(PSK)、および周波数偏移変調(FSK)を含むグループから選択される請求項3に記載の分散光チャネル上でデジタル情報を通信する方法。
【請求項5】
前記符号化する工程および前記送信時間変化信号を生成する工程は、直交周波数分割多重(OFDM)法に従って実行される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記送信時間変化信号を生成する工程は、保護時間および/または循環プレフィックスを挿入する工程を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記時間変化信号を前記光源に加える工程は、前記送信時間変化信号に対応する光変調を加える工程と、前記変調された光源を光学的にフィルタリングして、少なくとも1つの光周波数側波帯が大幅に抑えられるようにフィルタリングされた光信号を作り出す工程と、を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記光源の変調されていない出力の一部と前記フィルタリングされた光信号とを組み合わせる工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光学的にフィルタリングする工程は、前記変調された光信号に存在する光搬送波の少なくとも一部を保持するように実行される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記光変調は、強度変調または位相変調のいずれかである請求項7ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記光搬送波および/または前記光側波帯の出力を制御または調整して、それらの間で前記光信号の総エネルギーの所定の分割を得る工程をさらに含む請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記光搬送波のエネルギーと前記光側波帯のエネルギーとの間の比率は約0.5ないし約2.0である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光搬送波のエネルギーおよび前記光側波帯のエネルギーは、ほぼ等しい請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記時間変化信号は、前記光搬送波と前記情報ベアリング光側波帯との間に周波数保護帯域が供給されるように、前記光源に対して生成され且つ加えられる請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記周波数保護帯域は、前記情報ベアリング側波帯によって占有された帯域以上の帯域幅を有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
分散特性を有する光チャネル上で送信されたデジタル情報を受信する方法であって、
前記デジタル情報は、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号によって運ばれるものであって、前記光側波帯は、一連の送信データブロックから生成された送信時間変化信号に対応するものであって、各データブロックは、1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す工程と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する工程と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する工程と、を含む方法。
【請求項17】
前記生成する工程は、時間/周波数変換を用いて、前記時間変化電気信号から前記一連の受信データ信号を生成する工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記周波数領域等化を実行する工程は、前記送信光信号上の光チャネルの分散効果がほぼ等しくなるように各受信データシンボル値の振幅および/または位相の調整を実行して、前記送信シンボル値をより密接に近似するような等化シンボル値を供給する工程を含む請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記等化された受信データシンボルを復号化して、前記等化シンボル値から前記送信デジタル情報のビットを復元する工程をさらに含む請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記復号化する工程は、所定の変調フォーマットに従って前記等化シンボル値にディマッピング法を適用する工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記所定の変調フォーマットは、OOK、ASK、QAM、PSK、およびFSKを含むグループから選択される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
デジタル情報を送信するシステムであって、
前記デジタル情報を運ぶ光信号を生成するための送信装置は、
各ブロックが前記デジタル情報の1または複数のビットに対応する複数のデータシンボルを含むものであって、デジタル情報を一連のブロックに符号化するように構成された符号化器と、
前記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成するように構成された信号生成器と、
側波帯が前記時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加えるように構成された光送信器と、を含み、
前記デジタル情報を運ぶ前記光信号を受信する受信装置は、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出すように構成された光検出器と、
前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する手段と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を行うことによって前記送信装置によって送信されたデータシンボルを復元する等化器と、を含み、
前記送信装置から前記受信装置に前記光信号を運ぶように設けられた分散光チャネルと、を含むシステム。
【請求項23】
前記送信装置の符号化器は、前記情報ビットを受信し、対応する複数のデータシンボル値を生成する複数のマッピングユニットを有するマッパを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記マッピングユニットは、所定の変調フォーマットに従ってマッピングを実行するように構成された請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記送信装置の前記信号生成器は、入力時の前記データシンボル値を受信し、対応するデジタル時間領域信号を出力するように構成された周波数/時間変換器を含む請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記送信装置の前記信号生成器は、前記周波数/時間変換器の出力からデジタルサンプルの時系列を生成するように構成されたパラレル・シリアル変換器と、連続的な時間変化信号を生成するデジタル・アナログ変換器と、をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記送信装置の前記信号生成器は、前記デジタルサンプルの時系列の中に保護時間および/または循環プレフィックスを挿入するようにさらに構成された請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記送信装置の前記光源は、直接変調された半導体レーザダイオードである請求項22ないし27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記送信装置の前記光源は、分割または統合された外部の変調器と組み合わされた連続波光源を含む請求項22ないし27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記変調器は、光強度変調器または光位相変調器である請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記送信装置の前記光送信器は、前記光源から出力された変調信号の光周波数側波帯の少なくとも1つを大幅に抑えるように構成された光フィルタをさらに含む請求項22ないし29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記送信装置の前記光送信器は、前記光源の非変調出力の一部を抽出し、前記光信号の前記光搬送波を供給するために前記非変調出力と前記光変調器の出力を組み合わせる光学部品をさらに含む請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記光フィルタは、前記変調信号出力に存在する光搬送波の少なくとも一部を保持するように構成された請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記送信装置の前記光送信器は、光搬送波および/または光側波帯の出力を制御または調整して、それらの間で前記光信号の総エネルギーの所定の分割を得るように構成された請求項22ないし33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記光搬送波のエネルギーと前記光側波帯のエネルギーとの間の比率は約0.5ないし約2.0である請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記光搬送波のエネルギーおよび前記光側波帯のエネルギーは、ほぼ等しい請求項34または35に記載のシステム。
【請求項37】
前記光送信器は、前記光搬送波と前記情報ベアリング光側波帯との間に周波数保護帯域が供給されるように、前記時間変化信号を前記光源に加える請求項22ないし36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記周波数保護帯域は、前記情報ベアリング側波帯によって占有される帯域幅以上の帯域幅を有する請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
分散光チャネル上で送信されたデジタル情報を受信する装置であって、
前記デジタル情報は、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号によって運ばれるものであって、前記光側波帯は、一連の送信データブロックから生成された送信時間変化信号に対応するものであって、各データブロックは、1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数の送信データシンボルを含むものであって、
前記光信号を検出して、対応する受信時間変化電気信号を作り出す光検出器と、
時間/周波数変換を用いて前記時間変化電気信号から一連の受信データブロックを生成する手段と、
前記受信データブロックのそれぞれに含まれる受信データシンボルの周波数領域等化を実行して、前記光チャネルの分散効果を軽減することによって、前記送信データシンボルを復元する等価器と、を備える装置。
【請求項40】
前記一連のデータブロックを生成する手段は、
前記光検出器から出力された電気信号をサンプリングし、前記信号を代表するデジタル時系列を生成するアナログ・デジタル変換器と、
シリアルフォーマットからパラレルフォーマットへ前記デジタル時系列を変換するように構成されたシリアル・パラレル変換器と、
前記パラレルフォーマットのデジタル時系列を対応する一連の周波数領域の受信シンボル値へ変換するように構成された時間/周波数変換器と、を含む装置。
【請求項41】
前記等化器は、前記送信信号上の分散光チャネル効果をほぼ等化するために、各受信シンボル値の振幅および/または位相を調整する複数のフィルタを有する等化器列を含む装置。
【請求項42】
デジタル情報を運ぶ光信号を生成する方法であって、
各ブロックが1または複数の前記デジタル情報に対応する複数のデータシンボルを含むものであって、前記デジタル情報を一連のブロックに符号化する工程と、
前記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成する工程と、
光側波帯が前記時間変化信号に対応するものであって、光搬送波および/または光側波帯の出力が制御または調整されて、それらの間で前記光信号の総エネルギーの所定の分割が得られるものであって、光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加える工程と、を含む方法。
【請求項43】
前記光搬送波のエネルギーと前記光側波帯のエネルギーとの間の比率は約0.5ないし約2.0である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記光搬送波のエネルギーおよび前記光側波帯のエネルギーは、ほぼ等しい請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
デジタル情報を運ぶ光信号を生成する方法であって、
各ブロックが1または複数の前記デジタル情報のビットに対応する複数のデータシンボルをものであって、前記デジタル情報を一連のブロックに符号化する工程と、
前記ブロックのそれぞれに対応する時間変化信号を生成する工程と、
側波帯が前記時間変化信号に対応するものであって、周波数保護帯域が光搬送波と情報ベアリング光側波帯との間に供給されるものであって、
光搬送波および光周波数領域のほぼ単一の情報ベアリング光側波帯のみを含むような光信号を作り出す光源に前記時間変化信号を加える工程と、を含む方法。
【請求項46】
前記周波数保護帯域の帯域幅は、前記情報ベアリング側波帯によって占有される帯域幅以上である請求項45に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−512285(P2009−512285A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534823(P2008−534823)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001511
【国際公開番号】WO2007/041799
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508109922)モナシュ、ユニバーシティ (6)
【氏名又は名称原語表記】MONASH UNIVERSITY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001511
【国際公開番号】WO2007/041799
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508109922)モナシュ、ユニバーシティ (6)
【氏名又は名称原語表記】MONASH UNIVERSITY
【Fターム(参考)】
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