説明

デジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、限定受信処理装置、デジタル放送受信方法およびデジタル放送受信プログラム

【課題】受信契約者の確実な管理ができるとともに、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を容易かつ低コストで設定可能なデジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、限定受信処理装置、デジタル放送受信方法およびデジタル放送受信プログラムを提供する。
【解決手段】CASカード40は、コマンド処理部42、STB−ID保持部43、ペアリング状態保持部44および限定受信処理部45を含む。STB−ID保持部43は、STB20のSTB−ID通知部26から与えられるSTB−IDを記憶する。ペアリング状態保持部44は、STB20とCASカード40とのペアリング(組み合わせ)に関する情報を記憶する。コマンド処理部42は、STB−ID保持部43およびペアリング状態保持部44の記憶内容に基づいて限定受信処理部45による限定受信処理を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクランブルがかけられたデジタル放送を受信して、そのスクランブルを解除するためのデジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、限定受信処理装置、デジタル放送受信方法およびデジタル放送受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送に使用される限定受信方式( Conditional Access System )に関して、スクランブルおよびその関連情報の仕様、ならびにスクランブルに関わる受信装置の仕様が、非特許文献1に規定されている。非特許文献1に規定されている限定受信方式の概要を、具体例に基づき説明する。
【0003】
図9は、限定受信方式の概要を説明するための図である。図9に示すように、例えば限定受信方式は、スクランブル部81、第1の暗号化部82、第2の暗号化部83および多重化部84を含む送信側装置80、ならびに分離部91、第1の復号化部92、第2の復号化部93およびデスクランブル部94を含む受信側装置90により実現される。
【0004】
送信側装置80において、スクランブル部81には、映像データ、音声データおよび文字データを含む放送信号VS、ならびにスクランブル鍵Ksが与えられる。スクランブル部81は、スクランブル鍵Ksを用いて放送信号VSにスクランブルをかける。スクランブルがかけられた放送信号VSは多重化部84に与えられる。
【0005】
第1の暗号化部82には、番組の属性等を含む番組情報CM、スクランブル鍵Ksならびにワーク鍵Kwが与えられる。第1の暗号化部82は、ワーク鍵Kwを用いてスクランブル鍵Ksの暗号化処理を行い、番組情報CMおよび暗号化されたスクランブル鍵KsをECM( Entitlement Control Message )として多重化部84に与える。
【0006】
第2の暗号化部83には、受信契約等の個別情報MM、ワーク鍵Kwおよびマスタ鍵Kmが与えられる。第2の暗号化部83は、マスタ鍵Kmを用いてワーク鍵Kwの暗号化処理を行い、個別情報MMおよび暗号化されたワーク鍵KwをEMM(Entitlement Management Message)として多重化部84に与える。
【0007】
多重化部84では、スクランブルがかけられた放送信号VSにECMおよびEMMが多重化される。多重化された放送信号は受信側装置90に送信される。
【0008】
受信側装置90において、送信側装置80から送信された放送信号は、分離部91に入力される。分離部91は、その放送信号からECMおよびEMMを分離し、それぞれの情報を第1の復号化部92および第2の復号化部93に与える。
【0009】
第2の復号化部93において、暗号化されたワーク鍵Kwがマスタ鍵Kmにより復号化される。それにより、復号化されたワーク鍵Kwが第1の復号化部92に与えられる。
【0010】
そして、第1の復号化部92において、暗号化されたスクランブル鍵Ksがワーク鍵Kwにより復号化される。復号化されたスクランブル鍵Ksがデスクランブル部94に与えられる。
【0011】
デスクランブル部94は、第1の復号化部92から与えられたスクランブル鍵Ksを用いて放送信号VSのデスクランブルを行う。それにより、スクランブルが解除された放送信号VSから映像データ、音声データおよび文字データが復号され、出力される。
【0012】
第1の復号化部92からデスクランブル部94へのスクランブル鍵Ksの付与は、図示しない判定部がECMおよびEMMの番組情報CMおよび個別情報MMに基づいて行う。
【0013】
具体的には、この判定部は、ECMおよびEMMの番組情報CMおよび個別情報MMに基づいてスクランブル鍵Ksの付与を許可または不許可とする。これにより、受信側装置90では、受信契約に応じた特定の番組のみが視聴可能となる。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0050333 A1号明細書
【非特許文献1】ARIB(社団法人 電波産業会) STD−B25 第3章
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、図9の点線で示すように、例えば第1の復号化部92および第2の復号化部93は、受信契約情報が予め設定されたモジュール99に内蔵される。このようなモジュール99として、近年では、受信側装置90に脱着可能なIC( Integrated Circuit )カードを用いることが一般化している。
【0015】
以下の説明では、図9のモジュール99のように、限定受信方式で用いられるICカードをCAS( Conditional Access System )カードと呼ぶ。
【0016】
CASカードは、送信側装置80を有する放送事業者(例えば、CATV(ケーブルテレビ; cable television )局等)が受信契約者の情報を管理し、受信契約された番組を各受信契約者に提供するために用いられ、受信側装置90とともに放送事業者から受信契約者に貸与または提供される。
【0017】
受信契約者は、放送局のベーシックチャネルの受信契約に加え、プレミアチャネルの追加契約、ならびにPPV(ペイ・パー・ビュー; Pay Per View )およびVOD(ビデオ・オン・デマンド; Video On Demand )コンテンツの受信契約を行うことができる。受信契約者は、これらの受信契約に応じて、例えば番組毎に視聴料金を放送局に支払う。
【0018】
上記のように、CASカードは、受信側装置90と脱着が可能である。したがって、複数の受信側装置90が存在するときには、それらの複数の受信側装置90間で、受信契約情報が設定されたCASカードを差し替えることが可能である。これにより、各受信側装置90でそのCASカードにより許可される番組を視聴することが可能となる。
【0019】
デジタル放送の一般化に伴い、受信契約者の数は年々増加している。そこで、一の放送事業者に対して、複数の受信契約者が存在する場合を考える。
【0020】
例えば複数の受信契約者が、互いに異なる番組について受信契約を行った後、各々が所有するCASカードを貸し借りすると、各受信契約者は自己が受信契約していない番組も視聴することができる。
【0021】
換言すれば、各受信契約者は、視聴料金の支払いを行うことなく、CASカードの貸し借りにより受信契約していない番組を視聴することができる。
【0022】
これに対して、放送事業者は、受信契約時に受信側装置90およびCASカードを受信契約者に与えるが、複数の受信契約者が、上記のようにCASカードを貸し借りすることを想定していない。すなわち、放送事業者は、受信側装置90およびCASカードを一対の関係で提供することを前提として、受信契約者の管理をしている。
【0023】
したがって、複数の受信契約者間でのCASカードの貸し借りは、放送事業者にとって視聴料金の回収の妨げとなる。
【0024】
近年、ハードディスクを搭載したDVR(Digital Video Recorder)機能を備える受信側装置が開発されている。このような受信側装置を用いると、その使用者は、一度蓄積した好みの番組を何度も再生視聴できる。
【0025】
一方、近年のデジタル高画質番組には、コピー制御(コピーワンスまたはコピーネバー)がかけられている。これにより、一度受信したデジタル高画質番組を記録媒体に記録して他の受信側装置で再生することは困難である。
【0026】
したがって、受信側装置の使用者は、デジタル高画質番組を視聴する際にも、自己の受信側装置でそのデジタル高画質番組を受信することを希望する。
【0027】
このような理由から、CASカードの貸し借りは、複数の受信側装置の使用者間で頻繁に行われる可能性があり、放送事業者にとってますます視聴料金の回収の妨げとなる。
【0028】
このような課題を解決するために、特許文献1に限定放送システムが提案されている。この限定放送システムにおいては、上記の受信側装置90としてSTB(セット・トップ・ボックス; Set-Top Box )が用いられ、CASカードとしてICカードが用いられている。
【0029】
このSTBの初期化を行う際には、ICカードに記録された契約者情報がSTBに与えられる。この契約者情報には、特定のSTBを示す識別番号が含まれる。そこで、STBは、自己の有する識別番号と、契約者情報として予め記憶されているSTBの識別番号とを比較する。
【0030】
STBは、両者の識別番号が一致する場合に契約者情報に含まれる鍵情報を解除(復号)してSTBの初期化を行い、両者の識別番号が一致しない場合にSTBの初期化を中止する。
【0031】
このように、STBとICカードとの間の対応付けを行うことにより、放送事業者は、STBおよびICカードを一対の関係で提供することが可能となる。
【0032】
しかしながら、特許文献1の限定放送システムでは、以下の点で新たな課題が生じる。すなわち、近年ではSTBのマルチベンダ化が進んでいるので、上記の機能を多機種のSTBに適用するためには、STBの開発工数が増大し、製造コストも増大する。
【0033】
さらに、通常、ICカード供給者とSTB供給者とは異なる。そのため、ICカード供給者は、ICカードを供給する際に、予めそのICカードと対応して使用するSTBの識別番号を記憶させておく必要がある。それにより、ICカードの供給に関わる作業が煩雑になり、工数が増大する問題がある。
【0034】
また、STBとICカードとの間の対応付けを再設定する場合、およびICカードのみを交換する場合には、予めICカードにSTBの情報(上記の識別番号)を記録する必要がある。このような事前準備は、現地での作業が困難であり、限定放送システムの運用が煩雑となる。
【0035】
後述する本願発明の説明においては、上述の受信側装置90およびSTB等の放送信号を受信する装置をデジタル放送受信装置と称し、モジュール99およびICカード等の放送信号のスクランブルを解除するための装置を限定受信処理装置と称する。
【0036】
本発明の目的は、受信契約者の確実な管理ができるとともに、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を容易かつ低コストで設定可能なデジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、限定受信処理装置、デジタル放送受信方法およびデジタル放送受信プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
(1)第1の発明に係るデジタル放送受信システムは、デジタル放送受信装置と、デジタル放送受信装置に接続および取り外し可能に設けられる限定受信処理装置と、判定部と、解除制御部とを備え、デジタル放送受信装置は、受信された放送信号のスクランブルを解除してコンテンツを出力するスクランブル解除部と、当該デジタル放送受信装置に固有の第1の識別子を保持する第1の保持部とを含み、限定受信処理装置は、予め許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報をスクランブル解除部に供給する解除情報供給部と、デジタル放送受信装置との対応関係を設定するための設定動作時に、第1の保持部により保持された第1の識別子に対応する第2の識別子を対応関係を示す情報として保持する第2の保持部とを含み、判定部は、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、第1の保持部により保持された第1の識別子と第2の保持部により保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定し、解除制御部は、デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、第1の識別子と第2の識別子とが対応することを判定部の判定結果が示している場合にスクランブル解除部に解除情報が供給されるように解除情報供給部を制御するものである。
【0038】
この発明に係るデジタル放送受信システムにおいては、スクランブルのかけられた放送信号を受信するデジタル放送受信装置に、限定受信処理装置が接続および取り外し可能に設けられる。
【0039】
ここで、デジタル放送受信装置は第1の保持部を含み、第1の保持部には、当該デジタル放送受信装置に固有の第1の識別子が保持される。また、限定受信処理装置は、第2の保持部を含む。
【0040】
デジタル放送受信装置との対応関係を設定するための設定動作時においては、第2の保持部に、第1の識別子に対応する第2の識別子が対応関係を示す情報として保持される。これにより、限定受信処理装置とデジタル放送受信装置との対応関係が設定される。
【0041】
デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時において、第1の保持部により保持された第1の識別子と第2の保持部により保持された第2の識別子とが対応するか否かが判定部により判定される。
【0042】
デジタル放送受信装置による放送信号の受信時において、第1の識別子と第2の識別子とが対応することを判定部の判定結果が示している場合、解除情報制御部により解除情報供給部が制御される。
【0043】
このとき、解除情報供給部により、予め許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報がスクランブル解除部に供給される。そして、スクランブル解除部により放送信号のスクランブルが解除情報に基づいて解除され、コンテンツが出力される。
【0044】
上記のように、設定動作時において、限定受信処理装置の第2の保持部に第1の識別子に対応する第2の識別子が保持されるので、予め対応関係を示す情報を作成して、限定受信処理装置およびデジタル放送受信装置に設定する必要がない。これにより、限定受信処理装置とデジタル放送受信装置との対応関係を容易かつ低コストで設定することができる。
【0045】
また、デジタル放送受信装置に対応しない限定受信処理装置が接続されている場合には放送信号のスクランブルが解除されず、コンテンツが出力されない。
【0046】
したがって、一部のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者が、他のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者の限定受信処理装置を借りることにより、許可されていないコンテンツを不正に視聴することを防止することができる。
【0047】
(2)デジタル放送受信システムは、判定部の判定結果を記憶する記憶部をさらに備え、解除制御部は、デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、第1の識別子と第2の識別子とが対応することを記憶部に記憶された判定結果が示している場合にスクランブル解除部に解除情報が供給されるように解除情報供給部を制御してもよい。
【0048】
この場合、判定部の判定結果が記憶部に記憶される。デジタル放送受信装置による放送信号の受信時において、解除情報供給部は、記憶部に記憶された判定結果が第1の識別子と第2の識別子とが対応することを示す場合に、スクランブル解除部に解除情報を供給する。これにより、コンテンツが出力される。
【0049】
このように、判定結果を記憶部に記憶しておくことにより、デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、判定部が第1の識別子と第2の識別子との対応関係を判定する必要がなくなる。それにより、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否の判定動作が容易かつ迅速に行われる。
【0050】
(3)デジタル放送受信システムは、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作を指令する判定指令部をさらに備え、記憶部は、判定指令部の指令に応答して判定動作前の対応関係の適否の記憶内容を消去するまたは記憶された対応関係を否としてもよい。
【0051】
この場合、判定指令部がデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作を指令することにより、記憶部の判定動作前の対応関係の適否の記憶内容が消去され、または記憶された対応関係が否とされる。
【0052】
このように、判定指令部による判定動作の指令ごとに記憶部の判定動作前の記憶内容が消去され、または記憶された対応関係が否とされるので、記憶部に記憶された過去の判定結果に基づいてデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否が誤って判定されることを十分に防止できる。
【0053】
(4)判定指令部は、対応関係の適否の放送信号受信時、デジタル放送受信装置への電力供給を開始する際、デジタル放送受信装置を初期化する際、限定受信処理装置への電力供給を開始する際、およびデジタル放送受信装置に限定受信処理装置を接続する際の少なくともいずれかにおいて、判定部による判定動作を指令してもよい。
【0054】
判定指令部がデジタル放送受信装置への電力供給を開始する際に判定部による判定動作を指令する場合、デジタル放送受信装置への電力供給が開始されるごとにデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否が判定される。
【0055】
判定指令部がデジタル放送受信装置を初期化する際に判定部による判定動作を指令する場合、デジタル放送受信装置が初期化されるごとにデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否が判定される。
【0056】
判定指令部が限定受信処理装置への電力供給を開始する際に判定部による判定動作を指令する場合、限定受信処理装置への電力供給が開始されるごとにデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否が判定される。
【0057】
判定指令部がデジタル放送受信装置に限定受信処理装置を接続する際に判定部による判定動作を指令する場合、デジタル放送受信装置に限定受信処理装置が接続されるごとにデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否が判定される。
【0058】
(5)デジタル放送受信システムは、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作を指令する識別子設定指令部をさらに備え、デジタル放送受信装置は、識別子設定指令部の指令に応答して第1の保持部により保持された第1の識別子を限定受信処理装置に通知する通知部をさらに備え、限定受信処理装置の第2の保持部は、通知部から通知される第1の識別子を第2の識別子として保持してもよい。
【0059】
この場合、識別子設定指令部から通知部にデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作が指令される。これにより、第1の保持部により保持された第1の識別子が通知部により限定受信処理装置に通知される。
【0060】
限定受信処理装置において、第2の保持部には、通知部から通知される第1の識別子が第2の識別子として保持される。
【0061】
これにより、限定受信処理装置の第2の保持部に、デジタル放送受信装置の通知部から通知される第1の識別子を第2の識別子として保持させることにより、限定受信処理装置にデジタル放送受信装置との対応関係を示す情報を十分容易に設定することができる。
【0062】
(6)第2の保持部は、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作時に、通知部からの第1の識別子の通知に応答して設定動作前の保持内容を消去した後、新たな対応関係を設定する、または設定動作前の保持内容に新たな対応関係を上書きしてもよい。
【0063】
この場合、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作時に、第2の保持部に保持される設定動作前の保持内容が、通知部からの第1の識別子の通知に応答して消去した後、新たな対応関係が設定され、または設定動作前の保持内容に新たな対応関係が上書きされる。
【0064】
このように、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作ごとに第2の保持部の設定動作前の保持内容が消去され、新たな対応関係が設定される、または設定動作前の保持内容に新たな対応関係が上書きされるので、第2の保持部に保持された過去の第2の識別子に基づいてデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否が誤って判定されることが十分に防止できる。
【0065】
(7)デジタル放送受信システムは、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、第1の識別子と第2の識別子とが対応しないことを判定部の判定結果が示している場合に、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置とが対応しない旨の信号を出力する出力装置をさらに備えてもよい。
【0066】
この場合、第1の識別子と第2の識別子とが対応しないことを判定部の判定結果が示している場合に、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置とが対応しない旨の信号が出力装置により出力される。これにより、受信契約者はデジタル放送受信装置と限定受信処理装置とが対応しない旨を容易に認識することができる。
【0067】
(8)第2の発明に係るデジタル信号受信装置は、予め視聴を許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報を生成する限定受信処理装置が接続および取り外し可能なデジタル放送受信装置であって、限定受信処理装置が接続された状態で、限定受信処理装置により生成される解除情報に基づいて受信された放送信号のスクランブルを解除し、コンテンツを出力するスクランブル解除部と、当該デジタル放送受信装置に固有の第1の識別子を保持する第1の保持部と、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作時に、第1の保持部に保持された第1の識別子を限定受信処理装置に通知して、当該第1の識別子に対応する第2の識別子として保持させる通知部とを備えるものである。
【0068】
この発明に係るデジタル信号受信装置においては、限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作時に、通知部が第1の保持部に保持された第1の識別子を限定受信処理装置に通知し、第2の識別子として保持させる。これにより、限定受信処理装置にこのデジタル放送受信装置との対応関係を示す情報を十分容易に設定することができる。
【0069】
そして、このデジタル放送受信装置に対応する限定受信処理装置が接続されているか否かが、第1の保持部に保持された第1の識別子および限定受信処理装置に保持された第2の識別子に基づいて判定される。
【0070】
このデジタル放送受信装置に対応する限定受信処理装置が接続されていると判定された場合、予め視聴を許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報が限定受信処理装置からこのデジタル信号受信装置のスクランブル解除部に供給される。
【0071】
そして、スクランブル解除部により放送信号のスクランブルが解除情報に基づいて解除され、コンテンツが出力される。
【0072】
上記のように、設定動作時において、限定受信処理装置に第1の識別子に対応する第2の識別子が保持されるので、予め対応関係を示す情報を作成して、限定受信処理装置およびデジタル放送受信装置に設定する必要がない。これにより、このデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を示す情報を容易かつ低コストで設定することができる。
【0073】
また、このデジタル放送受信装置に対応しない限定受信処理装置が接続されている場合には放送信号のスクランブルが解除されず、コンテンツが出力されない。
【0074】
したがって、一部のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者が、他のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者の限定受信処理装置を借りることにより、視聴を許可されていないコンテンツを不正に視聴することを防止することができる。
【0075】
(9)デジタル信号受信装置は、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、第1の保持部により保持された第1の識別子と限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果を記憶する記憶部と、デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、記憶部に保持された判定結果に基づいて限定受信処理装置によるスクランブル解除部への解除情報の供給を制御する解除制御部とをさらに備えてもよい。
【0076】
この場合、このデジタル信号受信装置において、このデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、判定部が、第1の保持部により保持された第1の識別子と限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定する。判定部による判定結果は、記憶部に記憶される。
【0077】
このデジタル放送受信装置による放送信号の受信時において、限定受信処理装置によるスクランブル解除部への解除情報の供給が、記憶部に保持された判定結果に基づいて解除制御部により制御される。これにより、コンテンツが出力される。
【0078】
このように、判定結果を記憶部に記憶しておくことにより、このデジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、第1の識別子と第2の識別子との対応関係を判定する必要がなくなる。それにより、このデジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否の判定動作が容易かつ迅速に行われる。
【0079】
(10)第3の発明に係る限定受信処理装置は、スクランブルのかけられた放送信号を受信可能で固有の第1の識別子を保持するデジタル放送受信装置に接続および取り外し可能に設けられる限定受信処理装置であって、予め視聴を許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報をデジタル放送受信装置に供給する解除情報供給部と、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作時に、デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子を保持する第2の保持部とを含み、解除情報供給部は、第1の識別子と第2の識別子との対応関係に基づいて解除情報をデジタル放送受信装置に供給するものである。
【0080】
この発明に係る限定受信処理装置においては、デジタル放送受信装置との対応関係を設定するための設定動作時に、第2の保持部に、デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子が保持される。これにより、この限定受信処理装置にデジタル放送受信装置との対応関係を示す情報を十分容易に設定することができる。
【0081】
そして、この限定受信処理装置が対応するデジタル放送受信装置に接続されているか否かが、デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子および第2の保持部に保持された第2の識別子に基づいて判定される。
【0082】
この限定受信処理装置が対応するデジタル放送受信装置に接続されていると判定された場合、予め視聴を許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報が解除情報供給部からデジタル信号受信装置に供給される。
【0083】
そして、デジタル信号受信装置において、放送信号のスクランブルが解除情報に基づいて解除され、コンテンツが出力される。
【0084】
上記のように、設定動作時において、この限定受信処理装置の第2の保持部に第1の識別子に対応する第2の識別子が保持されるので、予め対応関係を示す情報を作成して、この限定受信処理装置およびデジタル放送受信装置に設定する必要がない。これにより、デジタル放送受信装置との対応関係を示す情報を容易かつ低コストで設定することができる。
【0085】
また、この限定受信処理装置が対応しないデジタル放送受信装置に接続されている場合には、放送信号のスクランブルが解除されず、コンテンツが出力されない。
【0086】
したがって、一部のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者が、他のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者の限定受信処理装置を借りることにより、視聴を許可されていないコンテンツを不正に視聴することを防止することができる。
【0087】
(11)限定受信処理装置は、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と第2の保持部に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果を記憶する記憶部と、デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、記憶部に保持された判定結果に基づいて解除情報供給部によるデジタル放送受信装置への解除情報の供給を制御する解除制御部とをさらに備えてもよい。
【0088】
この場合、この限定受信処理装置において、デジタル放送受信装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、判定部が、デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と第2の保持部に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定する。判定部による判定結果は、記憶部に記憶される。
【0089】
デジタル放送受信装置による放送信号の受信時において、解除情報供給部によるスクランブル解除部への解除情報の供給が、記憶部に保持された判定結果に基づいて解除制御部により制御される。これにより、コンテンツが出力される。
【0090】
このように、判定結果を記憶部に記憶しておくことにより、デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、第1の識別子と第2の識別子との対応関係を判定する必要がなくなる。それにより、この限定受信処理装置とデジタル放送受信装置との対応関係の適否の判定動作が容易かつ迅速に行われる。
【0091】
(12)第4の発明に係るデジタル放送受信方法は、スクランブルのかけられた放送信号を受信可能なデジタル放送受信装置と、デジタル放送受信装置に接続および取り外し可能に設けられる限定受信処理装置とを備えるデジタル放送受信システムを用いたデジタル放送受信方法であって、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定時に、デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子を限定受信処理装置に保持させるステップと、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定するステップと、判定するステップにより得られる判定結果を保持するステップと、デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、判定結果を保持するステップにより保持された判定結果に基づいて、限定受信処理装置からデジタル放送受信装置へのスクランブルのかけられた放送信号を解除するための解除情報の供給を制御するステップとを備えるものである。
【0092】
この発明に係るデジタル放送受信方法においては、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定時に、デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子が限定受信処理装置に保持される。
【0093】
そして、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かが判定され、この判定結果が保持される。
【0094】
デジタル放送受信装置による放送信号の受信時には、保持された判定結果に基づいて、デジタル放送受信装置に解除情報が供給される。それにより、スクランブルのかけられた放送信号が解除され、コンテンツが出力される。
【0095】
上記のように、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定時において、限定受信処理装置に第1の識別子に対応する第2の識別子が保持されるので、予め対応関係を示す情報を作成して、限定受信処理装置およびデジタル放送受信装置に設定する必要がない。これにより、限定受信処理装置とデジタル放送受信装置との対応関係を容易かつ低コストで設定することができる。
【0096】
また、デジタル放送受信装置に対応しない限定受信処理装置が接続されている場合には放送信号のスクランブルが解除されず、コンテンツが出力されない。
【0097】
したがって、一部のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者が、他のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者の限定受信処理装置を借りることにより、視聴を許可されていないコンテンツを不正に視聴することを防止することができる。
【0098】
(13)第4の発明に係るデジタル放送受信プログラムは、スクランブルのかけられた放送信号を受信可能なデジタル放送受信装置と、デジタル放送受信装置に接続および取り外し可能に設けられる限定受信処理装置とを備えるデジタル放送受信システムを制御するために処理装置により実行可能なデジタル放送受信プログラムであって、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定時に、デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子を限定受信処理装置に保持させる処理と、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定する処理と、判定する処理により得られる判定結果を保持する処理と、デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、判定結果を保持する処理により保持された判定結果に基づいて、デジタル放送受信装置へのスクランブルのかけられた放送信号を解除するための解除情報の供給を制御する処理とを、処理装置に実行させるものである。
【0099】
この発明に係るデジタル放送受信プログラムにおいては、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定時に、デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子が限定受信処理装置に保持される。
【0100】
そして、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かが判定され、この判定結果が保持される。
【0101】
デジタル放送受信装置による放送信号の受信時には、保持された判定結果に基づいて、デジタル放送受信装置に解除情報が供給される。それにより、スクランブルのかけられた放送信号が解除され、コンテンツが出力される。
【0102】
上記のように、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定時において、限定受信処理装置に第1の識別子に対応する第2の識別子が保持されるので、予め対応関係を示す情報を作成して、限定受信処理装置およびデジタル放送受信装置に設定する必要がない。これにより、限定受信処理装置とデジタル放送受信装置との対応関係を容易かつ低コストで設定することができる。
【0103】
また、デジタル放送受信装置に対応しない限定受信処理装置が接続されている場合には放送信号のスクランブルが解除されず、コンテンツが出力されない。
【0104】
したがって、一部のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者が、他のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者の限定受信処理装置を借りることにより、視聴を許可されていないコンテンツを不正に視聴することを防止することができる。
【発明の効果】
【0105】
本発明に係るデジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、限定受信処理装置、デジタル放送受信方法およびデジタル放送受信プログラムによれば、デジタル放送受信装置と限定受信処理装置との対応関係の設定動作時において、限定受信処理装置の第2の保持部に第1の識別子に対応する第2の識別子が保持されるので、予め対応関係を示す情報を作成して、限定受信処理装置およびデジタル放送受信装置に設定する必要がない。これにより、限定受信処理装置とデジタル放送受信装置との対応関係を容易かつ低コストで設定することができる。
【0106】
また、デジタル放送受信装置に対応しない限定受信処理装置が接続されている場合には放送信号のスクランブルが解除されず、コンテンツが出力されない。
【0107】
したがって、一部のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者が、他のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者の限定受信処理装置を借りることにより、許可されていないコンテンツを不正に視聴することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0108】
本発明の一実施の形態に係るデジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、限定受信処理装置、デジタル放送受信方法およびデジタル放送受信プログラムについて図面を参照しつつ説明する。
【0109】
以下では、デジタル放送受信装置の一例としてSTB(セット・トップ・ボックス; Set-Top Box )を説明し、限定受信処理装置の一例としてCAS( Conditional Access System )カードを説明する。STBには、予め固有の番号として識別番号(以下、STB−IDと呼ぶ)が割り当てられている。
【0110】
また、本実施の形態において、デジタル放送受信システムは、放送事業者(例えば、CATV(ケーブルテレビ; Cable Television )局)が受信契約者を管理し、その受信契約者に契約した番組を限定して提供するために用いられる。
【0111】
(1) デジタル放送受信システムの構成
図1は、本発明の一実施の形態に係るデジタル放送受信システム1の構成を示すブロック図である。
【0112】
図1に示すように、デジタル放送受信システム1は、STB20およびCASカード40からなる。STB20は、ケーブルによりCATV局10のヘッドエンド11に接続されている。
【0113】
STB20は、CATV局10のヘッドエンド11から送信されるスクランブルのかけられた放送信号を受信し、その放送信号に基づいて映像データ、音声データ、文字データ等を表示装置50および音声出力装置60に出力する。
【0114】
表示装置50は、例えば陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイパネル等により構成される。また、音声出力装置60は、例えばスピーカ等により構成される。なお、音声出力装置60は、表示装置50が音声出力機能を有する場合には、表示装置50を音声出力装置として兼用することにより必ずしも設ける必要はない。
【0115】
本実施の形態において、ヘッドエンド11により送信される放送信号には、背景技術において説明したECM( Entitlement Control Message )およびEMM(Entitlement Management Message)が多重化される。
【0116】
ECMは、番組情報および暗号化されたスクランブル鍵の情報をいう。また、EMMは、個別情報および暗号化されたワーク鍵の情報をいう。EMMには個別情報として、本発明の目的を達成するために後述するペアリング設定指示信号が付加される。
【0117】
以下の説明では、背景技術において説明したスクランブル鍵、ワーク鍵およびマスタ鍵を鍵情報と総称する。
【0118】
(1−a) STBの構成
図1に示すように、STB20は、フロントエンド21、フィルタリング部22、デスクランブル部23、デコーダ部24、制御部25、STB−ID通知部26、STB−ID保持部27、カードインターフェイス28、接続状態検出部29および電源スイッチ30を備える。
【0119】
フロントエンド21は、チューナおよび復調回路を含む。フロントエンド21のチューナは、例えばヘッドエンド11から送信される放送信号の周波数を選択することにより選局を行い、選局された放送信号を復調回路に与える。復調回路は、チューナから与えられた放送信号を復調し、MPEG( Motion Picture Experts Group )規格に準拠したトランスポートストリーム(以下、TSと略記する)をフィルタリング部22に与える。
【0120】
フィルタリング部22は、フロントエンド21から与えられるTSをフィルタリングし、ECMおよびEMMを抽出する。デスクランブル部23は、フロントエンド21からフィルタリング部22を通して与えられるTSのデスクランブルを行う。これにより、TSのスクランブルが解除される。
【0121】
デコーダ部24は、デスクランブル部23から与えられるTSを映像信号および音声信号に復号し、それぞれ表示装置50および音声出力装置60に出力する。
【0122】
制御部25は、CPU(中央演算処理装置)および記憶装置またはマイクロコンピュータにより構成される。制御部25は、STB20の各構成部の動作を制御する。
【0123】
STB−ID保持部27は、例えばメモリからなり、予めSTB20に割り当てられたSTB−IDを記憶する。カードインターフェイス28は、後述するCASカード40のSTBインターフェイス41と電気的に接続される。STB−ID通知部26は、後述するSTB−ID通知要求信号に応答して、STB−ID保持部27に記憶されているSTB−IDを、カードインターフェイス28を通してCASカード40へ与える。
【0124】
接続状態検出部29は、カードインターフェイス28とCASカード40のSTBインターフェイス41との接続を検出する。
【0125】
電源スイッチ30は、使用者(例えば、受信契約者)により操作される。電源スイッチ30がオンにされると、STB20の各部に電力が供給されるとともに、電源がオンした旨の信号が制御部25に与えられる。
【0126】
なお、図1の点線で示すように、STB20には、必要に応じてリモートコントローラ31および設定用スイッチ32を設けてもよい。リモートコントローラ31および設定用スイッチ32の詳細は後述する。
【0127】
(1−b) CASカードの構成
CASカード40は、STBインターフェイス41、コマンド処理部42、STB−ID保持部43、ペアリング状態保持部44および限定受信処理部45を備える。
【0128】
STBインターフェイス41は、STB20のカードインターフェイス28と電気的に接続される。コマンド処理部42は、CPU(中央演算処理装置)および記憶装置またはマイクロコンピュータにより構成される。コマンド処理部42は、CASカード40の各構成部の動作を制御する。
【0129】
STB−ID保持部43は、例えばメモリからなり、STB20のSTB−ID通知部26から与えられるSTB−IDを記憶する。ペアリング状態保持部44は、STB20とCASカード40とのペアリング(組み合わせ)に関する情報を記憶する。
【0130】
限定受信処理部45は、図9の第1および第2の復号化部92,93と同様の機能を有する第1および第2の復号化部を備える。これにより、限定受信処理部45は、STB20から与えられるECMおよびEMM中の暗号化された鍵情報を復号化し、復号化された鍵情報をSTB20に与える(限定受信処理)。
【0131】
(2) 各構成部の動作および信号の流れ
(2−a) ペアリング設定時
本実施の形態においては、予めSTB20に割り当てられたSTB−IDをCASカード40のSTB−ID保持部43に記憶させる。それにより、STB20と、そのSTB20のSTB−IDが記憶されたCASカード40との間で固有の組み合わせが設定される(ペアリング設定)。
【0132】
ペアリング設定は、例えばCATV局10が受信契約者に契約した番組を提供するためにデジタル放送受信システム1(STB20およびCASカード40)を受信契約者に与える際に行われる。すなわち、受信契約者の家屋にSTB20およびCASカード40を設置する際にペアリング設定が行われる。
【0133】
ペアリング設定時におけるSTB20およびCASカード40の各構成部の動作および信号の流れを図1に基づき説明する。
【0134】
ペアリング設定は、CATV局10が、ペアリング設定を開始すべき旨の指示信号(以下、ペアリング設定指示信号と呼ぶ)を設定対象となるSTB20に送信することにより開始される(矢印a)。このペアリング設定指示信号は、放送信号に多重化されてヘッドエンド11から送信されるEMMに付加される。
【0135】
STB20において、フロントエンド21からTSがフィルタリング部22を通してデスクランブル部23に与えられる(矢印b,c)。
【0136】
上述のように、フィルタリング部22はTSからECMおよびEMMを抽出する。フィルタリング部22により抽出されたECMおよびEMMは、CASカード40に与えられる(矢印d,e)。
【0137】
CASカード40において、ECMおよびEMMは、STBインターフェイス41を通じてコマンド処理部42に与えられる(矢印f)。
【0138】
ここで、コマンド処理部42は、EMMにペアリング設定指示信号が付加されている場合、STB20のSTB−IDを通知すべき旨の要求信号(以下、STB−ID通知要求信号と呼ぶ)をSTB20に与える(矢印g,h)。
【0139】
STB20において、STB−ID通知要求信号は、カードインターフェイス28からSTB−ID通知部26に与えられる(矢印i)。
【0140】
STB−ID通知部26は、STB−ID通知要求信号に応答して、STB−ID保持部27に予め記憶されているSTB−IDを読み込み(矢印j)、読み込んだSTB−ID、およびそのSTB−IDを保持すべき旨の指令信号(以下、ID保持指令信号と呼ぶ)をCASカード40に与える(矢印l,e)。
【0141】
CASカード40において、STB20から与えられたSTB−IDおよびID保持指令信号は、STBインターフェイス41からコマンド処理部42に与えられる(矢印f)。
【0142】
コマンド処理部42は、ID保持指令信号に応答して、与えられたSTB−IDをSTB−ID保持部43に記憶する(矢印o1)。また、コマンド処理部42は、現在接続されているSTB20のSTB−IDと、STB−ID保持部43に記憶されたSTB−IDとが一致している旨、すなわち、ペアリングが一致状態である旨をペアリング状態保持部44に記憶する(矢印p1)。
【0143】
このように、STB20およびCASカード40が、それぞれ共通のSTB−IDを保持することにより、ペアリング設定が完了する。
【0144】
本例では、ヘッドエンド11からデジタル放送受信システム1にペアリング設定指示信号が送信される旨を説明したが、CASカード40へのペアリング設定指示信号の送信方法はこれに限られない。
【0145】
例えば、リモートコントローラ31または設定用スイッチ32からSTB20の制御部25にペアリング設定指示信号を与えてもよい。この場合、作業者(例えば、STB20およびCASカード40の設置作業者)がリモートコントローラ31または設定用スイッチ32を操作することによりSTB20とCASカード40との間のペアリング設定が受信契約者宅で容易に行われる。
【0146】
また、リモートコントローラ31または設定用スイッチ32からSTB20の制御部25を介してSTB−ID通知部26にSTB−ID通知要求信号を与えてもよく、リモートコントローラ31または設定用スイッチ32からSTB20の制御部25を介してCASカード40のコマンド処理部42にID保持指令信号を与えてもよい。この場合においても、作業者がリモートコントローラ31または設定用スイッチ32を操作することによりSTB20とCASカード40との間のペアリング設定が受信契約者宅で容易に行われる。
【0147】
上記の動作は、後述するペアリング設定プログラムに基づいて、STB20の制御部25およびSTB−ID通知部26、ならびにCASカード40のコマンド処理部42により行われる。
【0148】
(2−b) ペアリングチェック時
本実施の形態に係るデジタル放送受信システム1では、上記のペアリング設定がなされることにより、STB20の電源スイッチ30をオンする際、STB20を初期化する際、およびSTB20にCASカード40を接続する際に、STB20のSTB−IDと、CASカード40に記憶されたSTB−IDとが一致しているか否かが判別される。STB20の電源はリモートコントローラ31でオンしてもよい。
【0149】
すなわち、STB20と、そのSTB20に接続されたCASカード40との間で、ペアリングが一致状態であるか否かが判別される(ペアリングチェック)。
【0150】
ペアリングチェック時におけるSTB20およびCASカード40の各構成部の動作および信号の流れを図1に基づき説明する。
【0151】
受信契約者が電源スイッチ30をオンにすると、電源オン後に発生する初期化信号がペアリングチェックを開始する旨の信号(以下、ペアリングチェック開始信号と呼ぶ)として電源スイッチ30から制御部25に与えられる(矢印2a)。
【0152】
また、受信契約者がSTB20の図示しない操作部を操作してSTB20を初期化すると、初期化信号がペアリングチェック開始信号として制御部25に与えられる。
【0153】
さらに、受信契約者がSTB20にCASカード40を接続すると、STB20とCASカード40とが接続された旨の信号がペアリングチェック開始信号として接続状態検出部29から制御部25に与えられる(矢印2b)。
【0154】
STB20の制御部25は、ペアリングチェック開始信号に応答して、STB−IDをCASカード40に通知すべき旨の信号をSTB−ID通知部26に与える(矢印n)。これにより、STB−ID通知部26は、STB−ID保持部27に予め記憶されているSTB−IDをCASカード40に与える(矢印l,e)。
【0155】
また、制御部25は、ペアリングチェック開始信号に応答して、STB20からCASカード40に与えられたSTB−IDとSTB−ID保持部43に記憶されたSTB−IDとを比較すべき旨の指令信号(以下、ID確認比較信号と呼ぶ)をCASカード40に与える(矢印m,e)。
【0156】
CASカード40において、STB20から与えられたSTB−IDおよびID確認比較信号は、STBインターフェイス41からコマンド処理部42に与えられる(矢印f)。
【0157】
コマンド処理部42は、ID確認比較信号に応答して、与えられたSTB−IDとSTB−ID保持部43に記憶されているSTB−IDとを比較する(矢印o2)。
【0158】
コマンド処理部42は、与えられたSTB−IDとSTB−ID保持部43に記憶されたSTB−IDとが一致するときにペアリングが一致状態である旨をペアリング状態保持部44に記憶する(矢印p1)。
【0159】
一方、コマンド処理部42は、与えられたSTB−IDとSTB−ID保持部43に記憶されたSTB−IDとが一致しないときにペアリングが不一致状態である旨をペアリング状態保持部44に記憶する(矢印p1)。
【0160】
このように、本実施の形態に係るデジタル放送受信システム1においては、電源スイッチ30をオンしたとき、STB20を初期化したとき、またはSTB20にCASカード40を接続したときにペアリングチェックが開始される。
【0161】
ペアリングが一致状態または不一致状態である旨がCASカード40のペアリング状態保持部44に記憶されることにより、ペアリングチェックが完了する。
【0162】
なお、上記のペアリングチェックの開始時には、初めにCASカード40のペアリング状態保持部44の記憶内容が消去または不一致状態とされる。これにより、予めペアリング状態保持部44にペアリングが一致状態である旨が記憶されている場合でも、ペアリングチェックの開始とともに、ペアリングが一致状態である旨が消去され、または不一致状態とされる。
【0163】
上記のほか、CASカード40がSTB20に接続されることにより、CASカード40が通電され、その通電に基づきCASカード40が初期化されることにより、CASカード40はペアリングチェックを開始してもよい。
【0164】
また、コマンド処理部42は、ID確認比較信号が与えられない場合、CASカード40のペアリング状態保持部44のペアリング状態を不一致状態としてもよい。
【0165】
したがって、ペアリングチェックの機能を有さないSTB20、すなわちID確認比較信号をCASカード40に出力しないSTB20で、予めペアリングが一致状態である旨が記憶されたCASカード40を用いて不正に番組を視聴することが防止される。
【0166】
上記の動作は、後述するペアリングチェックプログラムに基づいて、STB20の制御部25およびSTB−ID通知部26、ならびにCASカード40のコマンド処理部42により行われる。
【0167】
(2−c) STBにおける放送信号の受信時
本実施の形態に係るデジタル放送受信システム1においては、STB20とCASカード40とのペアリングが一致状態である場合に限り、限定受信処理部45による限定受信処理が実行される。
【0168】
一方、STB20とCASカード40とのペアリングが一致状態でない場合には、限定受信処理部45による限定受信処理は実行されず、デスクランブル部23によるTSのデスクランブルも行われない。
【0169】
STB20における放送信号の受信時のSTB20およびCASカード40の各構成部の動作および信号の流れを図1に基づき説明する。
【0170】
上述のように、STB20のフロントエンド21はECMおよびEMMが多重化された放送信号を受信する(矢印a)。
【0171】
STB20において、フロントエンド21からフィルタリング部22にTSが与えられる(矢印b)。フィルタリング部22によりTSから抽出されたECMおよびEMMは、CASカード40に与えられる(矢印d,e)。
【0172】
CASカード40において、ECMおよびEMMはSTBインターフェイス41からコマンド処理部42に与えられる(矢印f)。
【0173】
このとき、コマンド処理部42は、ペアリング状態保持部44の記憶内容を読み込む(矢印p2)。コマンド処理部42は、ペアリング状態保持部44にペアリングが一致状態である旨が記憶されている場合に、限定受信処理を行う旨の指令信号を限定受信処理部45に与える(矢印q)。
【0174】
限定受信処理を行う旨の指令信号を受けると、限定受信処理部45は、ECMおよびEMMに基づいて、そのECMに関する番組が受信契約者により契約された番組であるか否かを判別する。
【0175】
そして、限定受信処理部45は、そのECMに関する番組が受信契約者により契約された番組である場合に、EMMおよびECMに基づいてその番組の鍵情報を復号化し、復号化した鍵情報をSTB20の制御部25に与える(矢印r,g,h,u)。
【0176】
それにより、制御部25は、与えられた鍵情報をデスクランブル部23に与える(矢印v)。これにより、デスクランブル部23は、TSのデスクランブルを行う。それにより、スクランブルが解除されたTSがデコーダ部24に与えられる(矢印w)。デコーダ部24により復号化された映像信号および音声信号が表示装置50および音声出力装置60に出力される(矢印x1,x2)。
【0177】
一方、限定受信処理部45は、そのECMに関する番組が受信契約者により契約された番組でない場合に、その番組の鍵情報を復号化しない。
【0178】
この場合、限定受信処理部45は、選局された番組が契約されていない旨の信号をSTB20に与える(矢印r,g,h)。
【0179】
これにより、STB20においては、選局された番組が契約されていない旨の信号がTSに多重されデコーダ部24から表示装置50に出力される(矢印x1)。それにより、選局された番組が契約されていない旨が表示装置50に表示される。
【0180】
上記に対して、コマンド処理部42は、ペアリング状態保持部44にペアリングが不一致状態である旨が記憶されている場合に、限定受信処理を行わない旨の指令信号を限定受信処理部45に与える(矢印q)。これにより、限定受信処理部45は限定受信処理を行わない。
【0181】
この場合、コマンド処理部42は、ペアリングが不一致状態である旨の信号をSTB20に与える(矢印g,h)。STB20においては、ペアリングが不一致状態である旨の信号がTSに多重されデコーダ部24から表示装置50に出力される(矢印x1)。それにより、ペアリングが不一致状態である旨が表示装置50に表示される。
【0182】
上記の動作は、後述する放送信号受信プログラムに基づいて、STB20の制御部25およびSTB−ID通知部26、ならびにCASカード40のコマンド処理部42により行われる。
【0183】
(3) デジタル放送受信プログラム
本実施の形態に係るデジタル放送受信プログラムは、ペアリング設定プログラム、ペアリングチェックプログラムおよび放送信号受信プログラムからなる。以下、各プログラムをフローチャートを用いて説明する。
【0184】
STB20における処理は制御部25またはSTB−ID通知部26により制御され、CASカード40における処理はコマンド処理部42により制御される。
【0185】
(3−a) ペアリング設定プログラム
図2および図3は、ペアリング設定プログラムのフローチャートである。図2にSTB20におけるペアリング設定プログラムが示され、図3にCASカード40におけるペアリング設定プログラムが示されている。以下では、ペアリング設定プログラムに基づくSTB20およびCASカード40の動作を個別に説明する。
【0186】
図2に示すように、STB20においては、初めに、図1の制御部25が、EMMを受信したか否かを判別する(ステップS10)。EMMを受信していない場合、制御部25はEMMを受信するまで待機する。
【0187】
EMMを受信した場合、制御部25は、受信したEMMをCASカード40に与える(ステップS11)。
【0188】
続いて、STB20のSTB−ID通知部26は、CASカード40からSTB−ID通知要求信号が与えられたか否かを判別する(ステップS12)。STB−ID通知要求信号が与えられていない場合、制御部25は、STB−ID通知要求信号が与えられるまで待機する。
【0189】
ここで、制御部25は、所定の待機時間内にSTB−ID通知要求信号が与えられない場合、この処理を終了してもよい。
【0190】
STB−ID通知要求信号が与えられた場合、制御部25は、図1のSTB−ID保持部27に予め記憶されているSTB−IDおよびID保持指令信号をCASカード40に与える(ステップS13)。このようにして、ペアリング設定プログラムに基づく制御部25の動作が終了する。
【0191】
図3に示すように、CASカード40においては、初めに、コマンド処理部42が、STB20からEMMが与えられたか否かを判別する(ステップS21)。STB20からEMMが与えられていない場合、コマンド処理部42はEMMが与えられるまで待機する。
【0192】
STB20からEMMが与えられた場合、コマンド処理部42は、与えられたEMMにペアリング設定指示信号が付加されているか否かを判別する(ステップS22)。
【0193】
EMMにペアリング設定指示信号が付加されている場合、コマンド処理部42は、STB−ID通知要求信号をSTB20に与える(ステップS23)。
【0194】
その後、コマンド処理部42は、STB20からSTB−IDおよびID保持指令信号が与えられたか否かを判別する(ステップS24)。STB−IDおよびID保持指令信号が与えられていない場合、コマンド処理部42はSTB−IDおよびID保持指令信号が与えられるまで待機する。
【0195】
ここで、制御部25は、所定の待機時間内にSTB−IDおよびID保持指令信号が与えられない場合、ペアリング不一致である旨を図1のペアリング状態保持部44に記憶し、この処理を終了してもよい。ここで、ペアリング不一致である旨を記憶するとは、例えばペアリングの状態を示すメモリ上の値が「一致:1」で、「不一致:0」の場合にペアリングの状態を示すメモリ上の値を「不一致:0」に設定または上書きすることをいう。このように、ペアリング状態保持部44にペアリング状態が不一致である旨が記憶される。
【0196】
STB20からSTB−IDおよびID保持指令信号が与えられた場合、コマンド処理部42は、与えられたSTB−IDを図1のSTB−ID保持部43に記憶する(ステップS25)。
【0197】
そして、コマンド処理部42は、STB20から与えられたSTB−IDと、STB−ID保持部43に記憶されたSTB−IDとが一致している旨、すなわち、ペアリングが一致状態である旨を図1のペアリング状態保持部44に記憶する(ステップS26)。
【0198】
これにより、ペアリング設定プログラムに基づくコマンド処理部42の動作が終了する。
【0199】
また、上記ステップS22において、EMMにペアリング設定指示信号が付加されていない場合、コマンド処理部42はペアリング設定プログラムに基づく動作を終了する。
【0200】
(3−b) ペアリングチェックプログラム
図4および図5は、ペアリングチェックプログラムのフローチャートである。図4にSTB20におけるペアリングチェックプログラムが示され、図5にCASカード40におけるペアリングチェックプログラムが示されている。以下では、ペアリングチェックプログラムに基づくSTB20およびCASカード40の動作を個別に説明する。
【0201】
図4に示すように、STB20においては、初めに、制御部25が、ペアリングチェック開始信号が与えられたか否かを判別する(ステップS31)。なお、ペアリングチェック開始信号は、上述のように、STB20の電源をオンする際、STB20を初期化する際、およびSTB20にCASカード40を接続する際に制御部25に与えられる。
【0202】
ペアリングチェック開始信号が与えられた場合、制御部25は、そのペアリングチェック開始信号をCASカード40に与える(ステップS32)。
【0203】
また、制御部25は、ペアリングチェック開始信号に応答してSTB−ID通知部26を制御する。これにより、STB−ID通知部26は、図1のSTB−ID保持部27に予め記憶されたSTB−IDおよびID確認比較信号をCASカード40に与える(ステップS33)。
【0204】
次に、制御部25は、ペアリングが一致状態または不一致状態である旨の信号をCASカード40から受けることにより、現在のペアリングが一致状態であるか否かを判別する(ステップS34)。
【0205】
ペアリングが一致状態である場合、制御部25は、ペアリングチェックプログラムに基づく動作を終了する。一方、ペアリングが一致状態でない場合、制御部25は、ペアリングが不一致状態である旨を外部(例えば、図1の表示装置50)に出力する(ステップS36)。そして、制御部25は、ペアリングチェックプログラムに基づく動作を終了する。
【0206】
図5に示すように、CASカード40においては、初めに、コマンド処理部42が、STB20からペアリングチェック開始信号が与えられたか否かを判別する(ステップS41)。STB20からペアリングチェック開始信号が与えられていない場合、コマンド処理部42は、ペアリングチェック開始信号が与えられるまで待機する。
【0207】
STB20からペアリングチェック開始信号が与えられた場合、コマンド処理部42は、図1のペアリング状態保持部44に既に記憶されているペアリングの状態に関する記憶内容を消去する(ステップS42)。
【0208】
続いて、コマンド処理部42は、STB20からSTB−IDおよびID確認比較信号が与えられたか否かを判別する(ステップS43)。STB20からSTB−IDおよびID確認比較信号が与えられていない場合、コマンド処理部42は、STB−IDおよびID確認比較信号が与えられるまで待機する。
【0209】
ここで、コマンド処理部42は、所定の待機時間内にSTB−IDおよびID確認比較信号が与えられない場合、ペアリングが不一致状態である旨をペアリング状態保持部44に記憶してもよい(後述するステップS48)。
【0210】
STB20からSTB−IDおよびID確認比較信号が与えられた場合、コマンド処理部42は、図1のSTB−ID保持部43に記憶されたSTB−IDと、与えられたSTB−IDとを比較し(ステップS44)、それらのSTB−IDが一致しているか否かを判別する(ステップS45)。
【0211】
それらのSTB−IDが一致している場合、コマンド処理部42は、ペアリングが一致状態である旨をペアリング状態保持部44に記憶し(ステップS46)、ペアリングが一致状態である旨の信号をSTB20に与える(ステップS47)。
【0212】
それらのSTB−IDが一致していない場合、コマンド処理部42は、ペアリングが不一致状態である旨をペアリング状態保持部44に記憶し(ステップS48)、ペアリングが不一致状態である旨の信号をSTB20に与える(ステップS49)。このようにして、ペアリングチェックプログラムに基づくコマンド処理部42の動作が終了する。
【0213】
なお、ステップS42においては、ペアリング状態保持部44に既に記憶されているペアリングの状態に関する記憶内容が消去されるが、これに代えて、ペアリングチェック信号が与えられることにより、ペアリング状態保持部44に既に記憶されているペアリングの状態に関する記憶内容をペアリングが不一致状態であるとして再設定してもよい。
【0214】
また、ステップS42の動作は必ずしも行われる必要はない。ステップS42の動作を行う代わりに、ステップS46またはステップS48において、ペアリング状態保持部44に既に記憶されているペアリングの状態に関する記憶内容にペアリングが一致状態または不一致状態である旨を上書きしてもよい。
【0215】
(3−c) 放送信号受信プログラム
図6および図7は、放送信号受信プログラムのフローチャートである。図6にSTB20における放送信号受信プログラムが示され、図7にCASカード40における放送信号受信プログラムが示されている。以下では、放送信号受信プログラムに基づくSTB20およびCASカード40の動作を個別に説明する。
【0216】
図6に示すように、STB20においては、初めに、制御部25が、受信される放送信号から抽出されたECMおよびEMMをCASカード40に与える(ステップS51)。
【0217】
そして、制御部25は、CASカード40から視聴する番組に関する鍵情報が与えられたか否かを判別する(ステップS52)。
【0218】
CASカード40から鍵情報が与えられた場合、制御部25は、その鍵情報を図1のデスクランブル部23に与える。それにより、デスクランブル部23がTSのデスクランブルを行う(ステップS55)。
【0219】
これにより、上述のように、スクランブルが解除されたTSがデコーダ部24に与えられ、デコーダ部24により復号化された映像信号および音声信号が図1の表示装置50および音声出力装置60に出力される。
【0220】
CASカード40から鍵情報が与えられない場合、制御部25は、CASカード40から選局された番組が契約されていない旨の信号が与えられたか否かを判別する(ステップS53)。
【0221】
CASカード40から番組が契約されていない旨の信号が与えられた場合、制御部25は、番組が契約されていない旨の信号を外部(例えば、表示装置50)に出力する(ステップS56)。
【0222】
CASカード40から番組が契約されていない旨の信号が与えられていない場合、制御部25は、CASカード40からペアリングが不一致状態である旨の信号が与えられたか否かを判別する(ステップS54)。
【0223】
CASカード40からペアリングが不一致状態である旨の信号が与えられた場合、制御部25は、ペアリングが不一致状態である旨の信号を外部(例えば、表示装置50)に出力する(ステップS57)。
【0224】
CASカード40からペアリングが不一致状態である旨の信号が与えられていない場合、制御部25は、ステップS52に戻る。このように、放送信号受信プログラムに基づく制御部25の動作は、ステップS55〜S57のいずれかにより終了する。
【0225】
なお、ステップS53とステップS54の順序は入れ替わってもよい。
【0226】
図7に示すように、CASカード40においては、初めに、コマンド処理部42が、STB20からECMおよびEMMが与えられたか否かを判別する(ステップS61)。STB20からECMおよびEMMが与えられない場合、コマンド処理部42は、ECMおよびEEMが与えられるまで待機する。
【0227】
STB20からECMおよびEMMが与えられた場合、コマンド処理部42は、図1のペアリング状態保持部44に記憶された記憶内容、すなわちペアリングの状態の読み込みを行う(ステップS62)。そして、コマンド処理部42は、読み込んだ記憶内容に基づいて、ペアリングが一致状態であるか否かを判別する(ステップS63)。
【0228】
ペアリングが一致状態である場合、コマンド処理部42は、図1の限定受信処理部45を制御して限定受信処理を行うことにより、復号化された鍵情報、または番組が契約されていない旨の信号をSTB20に与える(ステップS64)。
【0229】
ステップS63において、ペアリングが一致状態でない場合、コマンド処理部42は、ペアリングが不一致状態である旨の信号をSTB20に与える(ステップS66)。このようにして、放送信号受信プログラムに基づくコマンド処理部42の動作が終了する。
【0230】
(4) 他の実施の形態
デジタル放送受信システム1は、以下の構成を有してもよい。
【0231】
(4−1)
上記実施の形態では、CASカード40のコマンド処理部42がSTB20のSTB−IDとSTB−ID保持部43に記憶されているSTB−IDとを比較し、2つのSTB−IDが一致するか否かを判定しているが、この比較動作および判定動作は、STB20の制御部25が行ってもよい。
【0232】
(4−2)
上記のように、制御部25が比較動作および判定動作を行う場合、デジタル放送受信システム1は以下の構成を有してもよい。
【0233】
図8は、本発明の他の実施の形態に係るデジタル放送受信システム1の構成を示す図である。図8のデジタル放送受信システム1が、図1のデジタル放送受信システム1と異なる点を説明する。
【0234】
図8のデジタル放送受信システム1は、図1のデジタル放送受信システム1と同様に、STB20およびCASカード40からなる。
【0235】
本例のデジタル放送受信システム1においては、STB20にSTB−IDが割り当てられる代わりに、CASカード40に予め固有の番号として識別番号(以下、CAS−IDと呼ぶ)が割り当てられている。
【0236】
図8のデジタル放送受信システム1において、STB20には、図1のSTB−ID通知部26およびSTB−ID保持部27に代えて、CAS−ID保持部270が設けられる。
【0237】
また、CASカード40には、図1のSTB−ID保持部43に代えて、CAS−ID通知部430およびCAS−ID保持部431が設けられる。CAS−IDは、CASカード40のCAS−ID保持部431に保持されている。
【0238】
本例では、STB20とCASカード40とが接続された状態で、CAS−ID通知部430が予めCASカード40に割り当てられたCAS−IDをCAS−ID保持部431からSTB20に通知する。それにより、STB20においては、CAS−IDがCAS−ID保持部270に記憶される。
【0239】
これにより、CASカード40と、そのCAS−IDが記憶されたSTB20との間で固有の組み合わせが設定される(ペアリング設定)。
【0240】
この組み合わせの設定は、STB20の制御部25が行う。そして、さらに制御部25は、CASカード40のCAS−IDとCAS−ID保持部270に記憶されているCAS−IDとを比較し、2つのCAS−IDが一致するか否かを判定する。
【0241】
それにより、図1のデジタル放送受信システム1と同様に、デジタル放送受信プログラム(ペアリング設定プログラム、ペアリングチェックプログラムおよび放送信号受信プログラム)に基づく処理が行われる。
【0242】
また、図8の点線で示すように、CASカード40にペアリング状態保持部44を設ける代わりに、STB20にペアリング状態保持部44を設けてもよい。この場合、図8のSTB20に設けられるペアリング状態保持部44にSTB20とCASカード40とのペアリングに関する情報が記憶される。
【0243】
(4−3)
さらに、上記実施の形態に係るデジタル放送受信システム1においては、放送信号のスクランブルを解除するための装置(デジタル放送受信装置)としてSTB20を例示しているが、デジタル放送受信装置はSTB20に限らない。
【0244】
デジタル放送受信装置は、放送信号のスクランブルを解除する機能を有すれば、パーソナルコンピュータ、DVD( Digital Versatile Disc )レコーダ、携帯電話等のデジタル放送受信機能を備える種々のデジタル放送受信装置であってもよい。
【0245】
(4−4)
また、上記実施の形態では、放送信号の限定受信処理を行う装置(限定受信処理装置)としてCASカード40を例示しているが、限定受信処理装置はCASカード40に限らない。
【0246】
限定受信処理装置は、放送信号の限定受信処理を行う機能を有すれば、パーソナルコンピュータ、携帯型の小型コンピュータ、携帯電話、CASカード以外のICカード等の記憶機能を備える処理装置であってもよい。
【0247】
(4−5)
上記実施の形態では、デジタル放送受信システム1をCATV局10から放送される有線デジタル放送を受信するシステムとして説明したが、デジタル放送受信システム1は、有線デジタル放送に限らず、地上波デジタル放送、BS(放送衛星)デジタル放送等の他のデジタル放送にも同様に適用できる。
【0248】
また、上記の実施の形態では、ペアリング設定指示信号を放送信号に多重して送信したが、ケーブルモデムを有するSTBの場合、ケーブル局からIP通信で対象STBに送信してもよい。
【0249】
(5) 各構成部の実現方法
上記実施の形態においては、図1および図8で示すSTB20およびCASカード40の構成部の一部がソフトウェアにより機能的に実現され、他の部分が電気回路等のハードウェアにより実現されてもよい。または、STB20およびCASカード40の構成部の全てがハードウェアにより実現されてもよい。
【0250】
なお、STB−ID通知部26および限定受信処理部45はソフトウェアにより機能的に実現されることが好ましい。
【0251】
特に、STB−ID通知部26をソフトウェアにより構成することにより、そのソフトウェアをCATV局10からSTB20にダウンロードすることで、既存のSTBに容易に本デジタル放送受信システム1の構成を設けることができる。
【0252】
(6) 効果
本実施の形態に係るデジタル放送受信システム1においては、ペアリング設定時に、CASカード40のSTB−ID保持部43に接続されたSTB20のSTB−IDが保持されるので、予めSTB20とCASカード40との対応関係を示す情報を作成して、STB20およびCASカード40に設定する必要がない。これにより、STB20とCASカード40との対応関係を容易かつ低コストで設定することができる。
【0253】
また、STB20に対応しないCASカード40が接続されている場合には放送信号のスクランブルが解除されず、コンテンツが出力されない。
【0254】
したがって、一部のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者が、他のコンテンツの視聴を許可されている受信契約者の限定受信処理装置を借りることにより、許可されていないコンテンツを不正に視聴することを防止することができる。
【0255】
(7) 請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0256】
上記実施の形態においては、STB20がデジタル放送受信装置に相当し、CASカード40が限定受信処理装置に相当し、コマンド処理部42が判定部および解除制御部に相当し、デスクランブル部23がスクランブル解除部に相当し、STB−ID保持部27に保持され、予めSTB20に割り当てられたSTB−IDが第1の識別子に相当し、STB−ID保持部27が第1の保持部に相当する。
【0257】
また、限定受信処理部45が解除情報供給部に相当し、STB−ID保持部43に記憶されたSTB−IDが第2の識別子に相当し、STB−ID保持部43が第2の保持部に相当し、ペアリング設定時が設定動作時に相当し、ペアリングチェック時が判定動作時に相当する。
【0258】
さらに、ペアリング状態保持部44が記憶部に相当し、制御部25が判定指令部に相当し、CATV局10のヘッドエンド11、リモートコントローラ31および設定用スイッチ32が識別子設定指令部に相当し、STB−ID通知部26が通知部に相当し、制御部25およびデコーダ部24が出力装置に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本発明は、デジタル放送に使用される限定受信方式の分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0260】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデジタル放送受信システムの構成を示すブロック図
【図2】ペアリング設定プログラムのフローチャート
【図3】ペアリング設定プログラムのフローチャート
【図4】ペアリングチェックプログラムのフローチャート
【図5】ペアリングチェックプログラムのフローチャート
【図6】放送信号受信プログラムのフローチャート
【図7】放送信号受信プログラムのフローチャート
【図8】本発明の他の実施の形態に係るデジタル放送受信システムの構成を示す図
【図9】限定受信方式の概要を説明するための図
【符号の説明】
【0261】
1 デジタル放送受信システム1
10 CATV局
11 ヘッドエンド
20 STB
23 デスクランブル部
24 デコーダ部
25 制御部
26 STB−ID通知部
27 STB−ID保持部
29 接続状態検出部
31 リモートコントローラ
32 設定用スイッチ
40 CASカード
42 コマンド処理部
43 STB−ID保持部
44 ペアリング状態保持部
45 限定受信処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送受信装置と、
前記デジタル放送受信装置に接続および取り外し可能に設けられる限定受信処理装置と、
判定部と、
解除制御部とを備え、
前記デジタル放送受信装置は、
受信された放送信号のスクランブルを解除してコンテンツを出力するスクランブル解除部と、
当該デジタル放送受信装置に固有の第1の識別子を保持する第1の保持部とを含み、
前記限定受信処理装置は、
予め許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報を前記スクランブル解除部に供給する解除情報供給部と、
前記デジタル放送受信装置との対応関係を設定するための設定動作時に、前記第1の保持部により保持された第1の識別子に対応する第2の識別子を対応関係を示す情報として保持する第2の保持部とを含み、
前記判定部は、
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、前記第1の保持部により保持された第1の識別子と前記第2の保持部により保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定し、
前記解除制御部は、
前記デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、前記第1の識別子と前記第2の識別子とが対応することを前記判定部の判定結果が示している場合に前記スクランブル解除部に解除情報が供給されるように前記解除情報供給部を制御することを特徴とするデジタル放送受信システム。
【請求項2】
前記判定部の判定結果を記憶する記憶部をさらに備え、
前記解除制御部は、
前記デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、前記第1の識別子と前記第2の識別子とが対応することを前記記憶部に記憶された判定結果が示している場合に前記スクランブル解除部に解除情報が供給されるように前記解除情報供給部を制御することを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信システム。
【請求項3】
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作を指令する判定指令部をさらに備え、
前記記憶部は、
前記判定指令部の指令に応答して前記判定動作前の前記対応関係の適否の記憶内容を消去するまたは記憶された前記対応関係を否とすることを特徴とする請求項2記載のデジタル放送受信システム。
【請求項4】
前記判定指令部は、
前記対応関係の適否の放送信号受信時、前記デジタル放送受信装置への電力供給を開始する際、前記デジタル放送受信装置を初期化する際、前記限定受信処理装置への電力供給を開始する際、および前記デジタル放送受信装置に前記限定受信処理装置を接続する際のいずれかにおいて、前記判定部による判定動作を指令することを特徴とする請求項3記載のデジタル放送受信システム。
【請求項5】
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作を指令する識別子設定指令部をさらに備え、
前記デジタル放送受信装置は、
前記識別子設定指令部の指令に応答して前記第1の保持部により保持された第1の識別子を前記限定受信処理装置に通知する通知部をさらに備え、
前記限定受信処理装置の前記第2の保持部は、前記通知部から通知される前記第1の識別子を第2の識別子として保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のデジタル放送受信システム。
【請求項6】
前記第2の保持部は、
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作時に、前記通知部からの前記第1の識別子の通知に応答して前記設定動作前の保持内容を消去した後、新たな対応関係を設定する、または前記設定動作前の保持内容に新たな対応関係を上書きすることを特徴とする請求項5記載のデジタル放送受信システム。
【請求項7】
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、前記第1の識別子と前記第2の識別子とが対応しないことを前記判定部の判定結果が示している場合に、前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置とが対応しない旨の信号を出力する出力装置をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のデジタル放送受信システム。
【請求項8】
予め視聴を許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報を生成する限定受信処理装置が接続および取り外し可能なデジタル放送受信装置であって、
前記限定受信処理装置が接続された状態で、前記限定受信処理装置により生成される前記解除情報に基づいて受信された放送信号のスクランブルを解除し、コンテンツを出力するスクランブル解除部と、
当該デジタル放送受信装置に固有の第1の識別子を保持する第1の保持部と、
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作時に、前記第1の保持部に保持された前記第1の識別子を前記限定受信処理装置に通知して、前記第1の識別子を前記対応関係を示す第2の識別子として前記受信処理装置に保持させる通知部とを備えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項9】
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、前記第1の保持部により保持された第1の識別子と前記限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を記憶する記憶部と、
前記デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、前記記憶部に保持された判定結果に基づいて前記限定受信処理装置による前記スクランブル解除部への解除情報の供給を制御する解除制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項8記載のデジタル放送受信装置。
【請求項10】
スクランブルのかけられた放送信号を受信可能で固有の第1の識別子を保持するデジタル放送受信装置に接続および取り外し可能に設けられる限定受信処理装置であって、
予め視聴を許可された放送信号のスクランブルを解除するための解除情報を前記デジタル放送受信装置に供給する解除情報供給部と、
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定動作時に、前記デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子を対応関係を示す情報として保持する第2の保持部とを含み、
前記解除情報供給部は、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係に基づいて前記解除情報を前記デジタル放送受信装置に供給することを特徴とする限定受信処理装置。
【請求項11】
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、前記デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と前記第2の保持部に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を記憶する記憶部と、
前記デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、前記記憶部に保持された判定結果に基づいて前記解除情報供給部による前記デジタル放送受信装置への解除情報の供給を制御する解除制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項10記載の限定受信処理装置。
【請求項12】
スクランブルのかけられた放送信号を受信可能なデジタル放送受信装置と、前記デジタル放送受信装置に接続および取り外し可能に設けられる限定受信処理装置とを備えるデジタル放送受信システムを用いたデジタル放送受信方法であって、
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定時に、前記デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子を前記限定受信処理装置に保持させるステップと、
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、前記デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と前記限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにより得られる判定結果を保持するステップと、
前記デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、前記判定結果を保持するステップにより保持された判定結果に基づいて、前記限定受信処理装置から前記デジタル放送受信装置へのスクランブルのかけられた放送信号を解除するための解除情報の供給を制御するステップとを備えることを特徴とするデジタル放送受信方法。
【請求項13】
スクランブルのかけられた放送信号を受信可能なデジタル放送受信装置と、前記デジタル放送受信装置に接続および取り外し可能に設けられる限定受信処理装置とを備えるデジタル放送受信システムを制御するために処理装置により実行可能なデジタル放送受信プログラムであって、
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係を設定するための設定時に、前記デジタル放送受信装置に保持された第1の識別子に対応する第2の識別子を前記限定受信処理装置に保持させる処理と、
前記デジタル放送受信装置と前記限定受信処理装置との対応関係の適否を判定する判定動作時に、前記デジタル放送受信装置により保持された第1の識別子と前記限定受信処理装置に保持された第2の識別子とが対応するか否かを判定する処理と、
前記判定する処理により得られる判定結果を保持する処理と、
前記デジタル放送受信装置による放送信号の受信時に、前記判定結果を保持する処理により保持された判定結果に基づいて、前記限定受信処理装置から前記デジタル放送受信装置へのスクランブルのかけられた放送信号を解除するための解除情報の供給を制御する処理とを、前記処理装置に実行させることを特徴とするデジタル放送受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−288476(P2007−288476A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113032(P2006−113032)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】