説明

デジタル放送受信機

【課題】フルセグ放送信号及びワンセグ放送信号が受信可能なデジタル放送受信機において、フルセグ放送信号及びワンセグ放送信号の受信状態に基づいて、B−CASカードスロットに対する電力供給を自動制御するデジタル放送受信機を提供する。
【解決手段】B−CASカードスロット制御部104は、再生モード切り替え制御部102によりフルセグ再生モードからワンセグ再生モードに切り替わった場合に、電力供給部107、クロック生成部108の動作を停止させ、B−CASカードスロット109に対する電力供給、クロック供給を停止する。また、再生モード切り替え制御部102によりワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替わった場合に、電力供給部107、クロック生成部108の動作を開始させ、B−CASカードスロット109に対する電力供給、クロック供給を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高画質の映像信号(以下、高画質映像信号と記す)を含む第1デジタル放送信号、及び、低画質の映像信号(以下、低画質映像信号と記す)を含む第2デジタル放送信号を受信するデジタル放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーナビ端末や携帯端末などの移動端末には、高画質映像信号を含む第1デジタル放送信号、及び、前記高画質映像信号よりも低画質の映像(信号)を含む第2デジタル放送信号を受信し、受信した第1デジタル放送信号の映像信号又は第2デジタル放送信号の映像信号に対応する映像を出力するデジタル放送受信機が搭載されている。
【0003】
前記高画質映像信号を含む第1デジタル放送信号は、いわゆる高階層で送信されるデジタル放送信号であり、例えば、地上デジタルテレビ放送(12セグ)のフルセグ放送信号である。以下、第1デジタル放送信号をフルセグ放送信号と記す。なお、フルセグ放送信号は、複数種類の映像に対応する複数種類の映像信号を含む。
【0004】
前記低画質映像信号を含む第2デジタル放送信号は、いわゆる低階層で送信されるデジタル放送信号であり、例えば、ワンセグ放送信号である。以下、第2デジタル放送信号をワンセグ放送信号と記す。
【0005】
特許文献1には、放送信号の受信状況に応じて、フルセグ放送信号の受信とワンセグ放送信号の受信を自動的に切り替え、最適な状態で放送信号を受信するデジタル放送受信機が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、フルセグ放送の映像信号を再生する際に必要なB−CAS(BS Conditional Access Systems)カードが、B−CASカードスロットに装着されていない場合、B−CASカードスロットに対する電力供給を自動的に停止する技術が開示されている。なお、ワンセグ放送の映像信号を再生する場合には、B−CASカードは不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−111642号公報
【特許文献2】特開2007−122654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、フルセグ放送信号及びワンセグ放送信号が受信可能なデジタル放送受信機において、フルセグ放送信号を受信しフルセグ放送の映像信号を再生している間に、フルセグ放送信号の受信状況が悪化し、フルセグ放送の映像信号を正常に再生できなくなったので、ワンセグ放送信号の受信を開始し、ワンセグ放送の映像信号を再生する場合を想定する。
このような場合であっても、B−CASカードスロットに対する電力供給を行うことは電力の無駄である。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、フルセグ放送信号及びワンセグ放送信号が受信可能なデジタル放送受信機において、フルセグ放送信号及びワンセグ放送信号の受信状態に基づいて、B−CASカードスロットに対する電力供給を自動制御するデジタル放送受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の技術手段は、高画質映像信号と、それよりも低画質の映像信号を含むデジタル放送信号を受信し、カードスロットに装着されたICカードから読み出した復号用情報を使用して高画質映像信号を再生し、前記復号用情報を使用することなく低画質映像信号を再生するデジタル放送受信機において、前記高画質映像信号の再生モードと前記低画質映像信号の再生モードを切り替える再生モード切り替え制御部と、前記再生モード切り替え制御部の動作と連動して前記カードスロットに対する電力供給を制御するカードスロット制御部を備え、前記カードスロット制御部は、前記再生モード切り替え制御部により前記高画質映像信号の再生モードから前記低画質映像信号の再生モードに切り替わった場合に、前記カードスロットに対する電力供給を停止し、前記再生モード切り替え制御部により前記低画質映像信号の再生モードから前記高画質映像信号の再生モードに切り替わった場合に、停止していた電力供給を開始することを特徴とするデジタル放送受信機である。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段のデジタル放送受信機において、CN値、RSSI値、ビットエラーレート等の中の何れかもしくは全ての値に基づき、入力されるデジタル放送信号の受信品質値を検知する検知部を備え、前記再生モード切り替え制御部は、前記検知部が検知したデジタル放送信号の受信品質値が所定値以上の場合に、前記高画質映像信号の再生モードに切り替え、前記受信品質値が所定値未満の場合に、前記低画質映像信号の再生モードに切り替えることを特徴とするものである。
【0012】
第3の技術手段は、第2の技術手段のデジタル放送受信機において、前記カードスロット制御部は、再生モードが前記低画質映像信号の再生モードの場合であって、前記受信品質値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定値よりも大きい第2所定値未満の場合に、前記カードスロットに対する電力供給を開始し、前記カードスロット制御部による前記電力供給の開始後、前記検知部が検知したデジタル放送信号の受信品質値が前記第2所定値以上になると、前記再生モード切り替え制御部は、前記高画質映像信号の再生モードに切り替え、前記受信品質値が前記第1所定値未満になると、前記カードスロット制御部は、前記カードスロットに対する電力供給を停止することを特徴とするものである。
【0013】
第4の技術手段は、第1の技術手段のデジタル放送受信機において、ユーザからの再生モード切り替え指示操作を受け付ける操作部を備え、前記再生モード切り替え制御部は、前記操作部を介して受け付けた前記ユーザからの切り替え指示に基づき、前記高画質映像信号の再生モード、前記低画質映像信号の再生モードの切り替えを実行することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、フルセグ放送信号及びワンセグ放送信号が受信可能なデジタル放送受信機において、フルセグ放送の映像再生からワンセグ放送の映像再生に切り替えると、B−CASカードスロットに対する電力供給を自動的に停止するので、消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るデジタル放送受信機の機能ブロック図である。
【図2】再生モード切り替え時に実行される処理について説明する第1のフロー図である。
【図3】再生モード切り替え時に実行される処理について説明する第2のフロー図である。
【図4】再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替える際に発生する映像出力及び音声出力のタイムラグを防ぐ処理について説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
以下、図1〜図3を参照して本発明の実施形態1を詳細に説明する。
図1は、本発明に係るデジタル放送受信機100の機能ブロック図である。
デジタル放送受信機100は、チューナモジュール101、再生モード切り替え制御部102、TS処理部103、B−CASカードスロット制御部104、デスクランブラ105、デコーダ106、電力供給部107、クロック生成部108、B−CASカードスロット109、AV出力部110、ユーザ操作部111を備える。
【0017】
チューナモジュール101は、後述する再生モード切り替え制御部102から通知される再生モード切り替え情報(視聴モード切り替え情報とも言う)がフルセグ再生モード切り替え情報の場合には、フルセグ放送信号の受信処理を実行し、受信したフルセグ放送信号を復調し、TS(トランスポートストリーム:Transport Stream)を得て、フルセグ用TSデータとしてTS処理部103に出力する。また、前記再生モード切り替え情報がワンセグ再生モード切り替え情報の場合には、ワンセグ放送信号の受信処理を実行し、受信したワンセグ放送信号を復調し、ワンセグ用TSデータとしてTS処理部103に出力する。
【0018】
チューナモジュール101は、更に、CN値(C/N値:Carrier to Noise ratio)、RSSI値(受信信号強度:Received Signal Strength Indicator)、ビットエラーレート(Bit Error Rate)等の中の何れかもしくは全ての値に基づき、受信した放送信号の受信品質値を検知する検知部101aを備える。検知部101aは、放送信号の受信品質値に変化が有るか否かを判定し、変化が有る場合、検知した受信品質値を再生モード切り替え制御部102に通知する。
【0019】
再生モード切り替え制御部102は、検知部101aの検知結果やユーザ操作部111からの指示操作に基づき、フルセグ再生モード(高画質映像信号の再生モード)とワンセグ再生モード(低画質映像信号の再生モード)とを切り替える。フルセグ再生モードにおいては、B−CASカードスロット109に装着されたB−CASカード109aから読み出された復号用情報を使用してフルセグ放送信号がデスクランブルされ、その結果、フルセグ映像が再生される。ワンセグ再生モードにおいては、このようなB−CASカード109aに格納された復号用情報を使用することなく、ワンセグ映像が再生される。
【0020】
再生モード切り替え制御部102は、検知部101aが検知したデジタル放送信号の受信品質値が所定値以上であって、現在の再生モードがワンセグ再生モードの場合に、フルセグ再生モードに切り替える。具体的には、切り替える再生モードを示すフルセグ再生モード切り替え情報を、チューナモジュール101、TS処理部103、B−CASカードスロット制御部104、及び、デコーダ106に通知する。
また、前記受信品質値が所定値未満であって、現在の再生モードがフルセグ再生モードの場合に、ワンセグ再生モードに切り替える。具体的には、切り替える再生モードを示すワンセグ再生モード切り替え情報を、チューナモジュール101、TS処理部103、B−CASカードスロット制御部104、及び、デコーダ106に通知する。
前記所定値は、例えば、ワンセグ放送信号、フルセグ放送信号を受信した時の誤り訂正可能なビット誤り率としてもよく、必要に応じて調整できる。
【0021】
TS処理部103は、チューナモジュール101から入力されたTSデータを、映像信号、音声信号、及び、制御情報などに分離する。そして、再生モード切り替え制御部102から再生モードとしてフルセグ再生モード切り替え情報が通知されており、更に、入力されたTSに対してデスクランブル処理が必要な場合は、分離した映像信号、音声信号、及び、制御情報をデスクランブラ105に出力する。フルセグ再生モードが通知されていても、デスクランブル処理が不要な場合、又は、ワンセグ再生モードが通知されている場合は、分離した映像信号、音声信号をデコーダ106に出力する。
【0022】
なお、分離した制御情報の中にEMM(Entitlement Management Message)、ECM(Entitlement Control Message)など、B−CASカード109aに格納された各種制御情報を使用する復号処理等を実行する際に必要な情報がある場合、この情報をB−CASカードスロット制御部104に出力する。EMMには、ECMを復号して取り出す際に必要なワーク鍵などが含まれ、ECMには、フルセグ放送信号をデスクランブルする際に必要なスクランブル鍵などが含まれる。
【0023】
B−CASカードスロット制御部104は、再生モード切り替え制御部102から通知される再生モード切り替え情報に基づいて、電力供給部107、クロック生成部108、B−CASカードスロット109の動作制御を実行する。即ち、B−CASカードスロット制御部104は、再生モード切り替え制御部102の動作と連動してB−CASカードスロット109に対する電力供給を制御する。
【0024】
例えば、再生モード切り替え制御部102によりフルセグ再生モードからワンセグ再生モードに切り替わった場合に、電力供給部107、クロック生成部108の動作を停止させ、B−CASカードスロット109に対する電力供給、クロック供給を停止する。また、再生モード切り替え制御部102によりワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替わった場合に、電力供給部107、クロック生成部108の動作を開始させ、B−CASカードスロット109に対する電力供給、クロック供給を開始する。
【0025】
また、B−CASカードスロット制御部104は、B−CASカードスロット109を介して、B−CASカード109aとの間で、コマンド・レスポンスの送受信を行う。
例えば、TS処理部103からECMなどが入力されると、B−CASカードスロット109を介してB−CASカード109aにコマンドを出力する。そして、B−CASカードスロット109を介してB−CASカード109aからスクランブル鍵を含むレスポンスを受信すると、スクランブル鍵をデスクランブラ105に通知する。
【0026】
デスクランブラ105は、B−CASカードスロット制御部104から入力されたスクランブル鍵に基づき、TS処理部103から入力された信号に対して、デスクランブル処理を実行する。そして、デスクランブルされた信号をデコーダ106へ出力する。
【0027】
デコーダ106は、TS処理部103又はデスクランブラ105から入力された映像信号及び音声信号に対してデコード処理を実行し、デコード後の映像データ及び音声データをAV出力部110へ出力する。なお、再生モード切り替え制御部102から通知された再生モード切り替え情報がフルセグ再生モード切り替え情報の場合には、フルセグ用デコーダを用いて、TS処理部103から入力された映像信号及び音声信号に対してデコード処理を実行する。前記再生モード切り替え情報がワンセグ再生モード切り替え情報の場合には、ワンセグ用デコーダを用いて、TS処理部103から入力された映像信号及び音声信号に対してデコード処理を実行する。
【0028】
電力供給部107は、B−CASカードスロット制御部104の制御に基づき、B−CASカードスロット109に対する電力供給処理を開始又は停止する。
クロック生成部108は、B−CASカードスロット制御部104の制御に基づき、クロック生成処理、及び、生成したクロックをB−CASカードスロット109に供給する処理を開始又は停止する。
【0029】
B−CASカードスロット109は、電力供給部107からの電力の供給、及び、クロック生成部108からのクロックの供給を受けて、スロット109に装着されたB−CASカード109aとデータの送受信を行う。例えば、スロット109に装着されたB−CASカード109aから復号用情報を読み出し、B−CASカードスロット制御部104に出力する。
【0030】
B−CASカード109aは、暗号化された情報からフルセグ放送信号のTSをデスクランブルする際に使用されるスクランブル鍵を取り出す処理などを行うICカードである。
AV出力部110は、デコーダ106によってデコードされた映像データをディスプレイなどに出力し、同音声データをスピーカーなどに出力する。
【0031】
ユーザ操作部111は、各種操作キーから構成され、ユーザからの再生モード切り替え指示操作を受け付ける。この切り替え操作指示は、再生モード切り替え制御部102に出力される。例えば、ユーザが再生モードをフルセグ再生モードからワンセグ再生モードに切り替えるように指示すると、ユーザ操作部111は、この指示を再生モード切り替え制御部102に出力する。再生モード切り替え制御部102は、この指示に基づき、再生モードをフルセグ再生モードからワンセグ再生モードに切り替える。ユーザが再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替えるように指示した場合も同様に、再生モード切り替え制御部102は、この指示に基づき、再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替える。
【0032】
図2は、再生モード切り替え時に実行される処理について説明する第1のフロー図である。図2のフロー図では、再生モードをフルセグ再生モードからワンセグ再生モードに切り替える場合を例示して説明する。なお、フルセグ再生モードにおいては、電力供給部107及びクロック生成部108が動作し、B−CASカードスロット109に対して電力及びクロックを供給している。
【0033】
検知部101aは、検知した放送信号の受信品質値に変化が有るか否かを判定する(ステップS1)。受信品質値に変化が有る場合(ステップS1/YES)、再生モード切り替え制御部102は、検知部101aが検知した受信品質値が所定値以上か否かを判定する(ステップS2)。なお、ステップS1において、変化前の受信品質値と変化後の受信品質値の差分が一定値以上の場合に、受信品質値に変化があるとしてもよい。図3のステップS11、図4のステップS21、S25の判定手処理でも同様である。
【0034】
放送信号の受信状態が悪くなり、検知部101aが検知した受信品質値が所定値未満になった場合(ステップS2/YES)、再生モード切り替え制御部102は、再生モードをフルセグ再生モードからワンセグ再生モードに切り替える(ステップS3)。なお、このとき、ワンセグ再生モード切り替え情報がB−CASカードスロット制御部104、チューナモジュール101、TS処理部103、及び、デコーダ106に通知される。
【0035】
B−CASカードスロット制御部104は、再生モード切り替え制御部102からワンセグ再生モード切り替え情報が通知されると、電力供給部107の動作、及び、クロック生成部108の動作を停止させ、B−CASカードスロット109に対する電力の供給、及び、クロックの供給を停止する(ステップS4)。
同じく、チューナモジュール101は、ワンセグ放送信号の受信を開始し、AV出力部110は、デコーダ106によってデコードされたワンセグ用の映像信号及び音声信号の出力を実行する(ステップS5)。
【0036】
なお、受信品質値に変化が生じていない場合(ステップS1/NO)、受信品質値が所定値以上の場合(ステップS2/NO)、ステップS1の処理に戻る。
【0037】
図2のフロー図では、再生モードをフルセグ再生モードからワンセグ再生モードに自動的に切り替える処理について説明したが、ユーザからユーザ操作部111を介してワンセグ再生モードに切り替えるように指示を受けた場合でも、再生モード切り替え制御部102は、この指示に基づき、再生モードを切り替える。すると、ステップS3〜S5の処理が実行される。
【0038】
図3は、再生モード切り替え時に実行される処理について説明する第2のフロー図である。図3のフロー図では、再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替える場合を例示して説明する。なお、ワンセグ再生モードにおいては、電力供給部107及びクロック生成部108の動作は停止しており、B−CASカードスロット109には電力及びクロックが供給されていない。
【0039】
検知部101aは、検知した放送信号の受信品質値に変化が有るか否かを判定する(ステップS11)。受信品質値に変化が有る場合(ステップS11/YES)、再生モード切り替え制御部102は、検知部101aが検知した受信品質値が所定値以上か否かを判定する(ステップS12)。
受信状態が良くなり、検知部101aが検知した受信品質値が所定値以上になった場合(ステップS12/YES)、再生モード切り替え制御部102は、再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替える(ステップS13)。なお、このとき、フルセグ再生モード切り替え情報がB−CASカードスロット制御部104、チューナモジュール101、TS処理部103、及び、デコーダ106に通知される。
【0040】
B−CASカードスロット制御部104は、フルセグ再生モード切り替え情報を受信すると、電力供給部107の動作、及び、クロック生成部108の動作を開始し、B−CASカードスロット109に対する電力の供給、及び、クロックの供給を開始する(ステップS14)。
B−CASカードスロット109は、電力供給部107からの電力の供給、及び、クロック生成部108からのクロックの供給を受け、リセット後、起動処理を実行する(ステップS15)。
その後、チューナモジュール101は、フルセグ放送信号の受信を開始し、AV出力部110は、デコーダ106によってデコードされたフルセグ用の映像信号及び音声信号の出力を実行する(ステップS16)。
【0041】
なお、受信品質値に変化が生じていない場合(ステップS11/NO)、受信品質値が所定値未満の場合(ステップS12/NO)、ステップS11の処理に戻る。
【0042】
図3のフロー図では、再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに自動的に切り替える処理について説明したが、ユーザからユーザ操作部111を介してフルセグ再生モードに切り替えるように指示を受けた場合でも、再生モード切り替え制御部102は、この指示に基づき、再生モードを切り替える。すると、ステップS13〜S16の処理が実行される。
【0043】
このようにすることで、B−CASカード109aを使用する必要がないワンセグ放送の映像をユーザが視聴している間は、B−CASカードスロット109に対する電力供給及びクロック供給を停止し、B−CASカード109aを使用する必要があるフルセグ放送の映像をユーザが視聴している間のみB−CASカードスロット109に対する電力供給及びクロック供給を行うので、無駄に電力を消費せず、省電できる。
【0044】
(実施形態2)
図3で説明したように、再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替えると、B−CASカードスロット109は、電力及びクロックの供給を受けて起動処理を実行するが、この起動処理等の実行に時間が掛かり、フルセグの映像出力及び音声出力が遅延することがある。つまり、映像出力及び音声出力にタイムラグが発生する。このようなタイムラグの発生を防ぐ処理について説明する。
【0045】
前記処理を実現するため、B−CASカードスロット制御部104は、再生モードがワンセグ再生モードの場合であって、検知部101aが検知したデジタル放送信号の受信品質値が第1所定値以上、かつ、第1所定値よりも大きい第2所定値未満の場合に、B−CASカードスロット109に対する電力供給を開始する制御を行う。
【0046】
B−CASカードスロット制御部104による前記電力供給の制御開始後、検知部101aが検知したデジタル放送信号の受信品質値が第2所定値以上になると、再生モード切り替え制御部102は、フルセグ再生モードに切り替え、前記受信品質値が第1所定値未満になると、B−CASカードスロット制御部104は、B−CASカードスロット109に対する電力供給を停止する制御を行う。
【0047】
図4は、再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替える際に発生する映像出力及び音声出力のタイムラグを防ぐ処理について説明するフロー図である。なお、ワンセグ再生モードにおいては、電力供給部107及びクロック生成部108の動作は停止し、B−CASカードスロット109には電力及びクロックが供給されていない。
【0048】
検知部101aは、検知した放送信号の受信品質値に変化が有るか否かを判定する(ステップS21)。受信品質値に変化が有る場合(ステップS21/YES)、再生モード切り替え制御部102は、検知部101aが検知した受信品質値が第1所定値以上か否かを判定する(ステップS22)。
放送信号の受信状態が良くなり、受信品質値が第1所定値以上になると(ステップS22/YES)、再生モード切り替え制御部102は、フルセグ再生モード切り替え情報を、チューナモジュール101、B−CASカードスロット制御部104に通知し、フルセグ再生モード切り替え準備情報をTS処理部103に通知する。B−CASカードスロット制御部104は、フルセグ再生モード切り替え情報が通知されると、電力供給部107の動作、及び、クロック生成部108の動作を開始させ、電力供給部107及びクロック生成部108は、B−CASカードスロット109に対する電力の供給、及び、クロックの供給を開始する(ステップS23)。
【0049】
B−CASカードスロット109は、電力供給部107からの電力の供給、及び、クロック生成部108からのクロックの供給を受け、リセット後、起動処理を実行する(ステップS24)。B−CASカード109aの起動後、B−CASカードスロット制御部104は、TS処理部103からECMを受信した場合には、B−CASカードスロット109を介して、B−CASカード109aへコマンド送信し、レスポンスとして、B−CASカードスロット109を介して、B−CASカード109aからスクランブル鍵を取得し、デスクランブラ105に出力する。
【0050】
なお、チューナモジュール101は、フルセグ再生モード切り替え情報が通知されると、フルセグ放送信号の受信処理を開始する。また、TS処理部103は、フルセグ再生モード切り替え準備情報が通知されると、チューナモジュール101から入力されたフルセグ用TSデータを、映像信号、音声信号、及び、制御情報などに分離し、ECM等の情報を取得した場合には、B−CASカードスロット制御部104に出力する。
受信品質値に変化がない場合(ステップS21/NO)、受信品質値が第1所定値未満の場合(ステップS22/NO)、ステップS21に戻る。
【0051】
ここで、再び、検知部101aは、検知した放送信号の受信品質値に変化が有るか否かを判定する(ステップS25)。前記受信品質値に変化が有る場合(ステップS25/YES)、再生モード切り替え制御部102は、前記受信品質値が第2所定値以上か否かを判定する(ステップS26)。
【0052】
放送信号の受信状態が良くなり、受信品質値が第2所定値以上になると(ステップS26/YES)、再生モード切り替え制御部102は、再生モードをワンセグ再生モードからフルセグ再生モードに切り替える(ステップS27)。このとき、再生モード切り替え制御部102は、フルセグ再生モード切り替え情報を、TS処理部103、及び、デコーダ106に通知する。TS処理部103は、この通知を受けると、ワンセグ用TSデータの分離処理を停止する。デコーダ106は、この通知を受けると、デスクランブラ105から入力された映像信号及び音声信号に対してデコード処理を開始する。その後、AV出力部110は、フルセグの映像出力及び音声出力を実行する(ステップS28)
【0053】
放送信号の受信状態が悪くなり、前記受信品質値が第2所定値未満になると(ステップS26/NO)、再生モード切り替え制御部102は、前記受信品質値が第1所定値未満か否かを判定する(ステップS29)。前記受信品質値が第1所定値未満の場合(ステップS29/YES)、B−CASカードスロット制御部104は、電力供給部107の動作、及び、クロック生成部108の動作を停止させ、B−CASカードスロット109に対する電力の供給、及び、クロックの供給を停止する(ステップS30)。
【0054】
なお、前記受信品質値が第1所定値未満の場合(ステップS29/YES)、再生モード切り替え制御部102は、ワンセグ再生モード切り替え情報を、チューナモジュール101、TS処理部103、B−CASカードスロット制御部104に通知する。B−CASカードスロット制御部104は、ワンセグ再生モード切り替え情報を受信すると、ステップ30の処理を実行する。チューナモジュール101は、この通知を受けると、フルセグ放送信号の受信処理を停止する。TS処理部103は、この通知を受けると、フルセグ用TSデータの分離処理を停止する。このとき、ワンセグ放送の再生処理は、継続している。
【0055】
このようにすることで、B−CASカード109aからのスクランブル鍵取得等の処理が遅延することによる、映像出力及び音声出力におけるタイムラグの発生を防ぐことができる。
(変形例)
クロック生成部108をB−CASカードスロット109に設けてもよい。この場合、B−CASカードスロット109に電力が供給されると、クロック生成部108が起動することになる。
図2、図3のフロー図で説明した所定値、図4のフロー図で説明した第1所定値、第2所定値については任意の値に調整することができる。
【符号の説明】
【0056】
100…デジタル放送受信機、101…チューナモジュール、101a…検知部、102…再生モード切り替え制御部、103…TS処理部、104…B−CASカードスロット制御部、105…デスクランブラ、106…デコーダ、107…電力供給部、108…クロック生成部、109…B−CASカードスロット、109a…B−CASカード、110…AV出力部、111…ユーザ操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高画質映像信号と、それよりも低画質の映像信号を含むデジタル放送信号を受信し、カードスロットに装着されたICカードから読み出した復号用情報を使用して高画質映像信号を再生し、前記復号用情報を使用することなく低画質映像信号を再生するデジタル放送受信機において、
前記高画質映像信号の再生モードと前記低画質映像信号の再生モードを切り替える再生モード切り替え制御部と、
前記再生モード切り替え制御部の動作と連動して前記カードスロットに対する電力供給を制御するカードスロット制御部を備え、
前記カードスロット制御部は、前記再生モード切り替え制御部により前記高画質映像信号の再生モードから前記低画質映像信号の再生モードに切り替わった場合に、前記カードスロットに対する電力供給を停止し、前記再生モード切り替え制御部により前記低画質映像信号の再生モードから前記高画質映像信号の再生モードに切り替わった場合に、停止していた電力供給を開始することを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタル放送受信機において、
CN値、RSSI値、ビットエラーレート等の中の何れかもしくは全ての値に基づき、入力されるデジタル放送信号の受信品質値を検知する検知部を備え、
前記再生モード切り替え制御部は、前記検知部が検知したデジタル放送信号の受信品質値が所定値以上の場合に、前記高画質映像信号の再生モードに切り替え、前記受信品質値が所定値未満の場合に、前記低画質映像信号の再生モードに切り替えることを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項3】
請求項2に記載のデジタル放送受信機において、
前記カードスロット制御部は、再生モードが前記低画質映像信号の再生モードの場合であって、前記受信品質値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定値よりも大きい第2所定値未満の場合に、前記カードスロットに対する電力供給を開始し、
前記カードスロット制御部による前記電力供給の開始後、前記検知部が検知したデジタル放送信号の受信品質値が前記第2所定値以上になると、前記再生モード切り替え制御部は、前記高画質映像信号の再生モードに切り替え、前記受信品質値が前記第1所定値未満になると、前記カードスロット制御部は、前記カードスロットに対する電力供給を停止することを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項4】
請求項1に記載のデジタル放送受信機において、
ユーザからの再生モード切り替え指示操作を受け付ける操作部を備え、
前記再生モード切り替え制御部は、前記操作部を介して受け付けた前記ユーザからの切り替え指示に基づき、前記高画質映像信号の再生モード、前記低画質映像信号の再生モードの切り替えを実行することを特徴とするデジタル放送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−234016(P2011−234016A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100867(P2010−100867)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】