説明

デジタル放送受信装置

【課題】 著作権保護の目的で受信機に備えられた機能によって、ユーザの不利益が生ずる場合があった。
【解決手段】受信機の持つ著作権保護機能と、接続機器の同機能を認識するI/F情報管理部と受信情報からの著作権保護に関する情報を解析する情報解析部と、コンテンツに制限を加える番組複製管理処理部を持ち、各情報によってコンテンツの制限方法を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送等を通じて伝送される番組を表示するための装置に係り、特に著作権の保護を目的とした情報を処理し適用するシステム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送は、通信衛星(CS)を使ったサービスをきっかけとして、急速に立ち上がり、今後放送衛星(BS)や地上波へ着実に広がって行くと考えられる。デジタル放送では、高品質の映像の受信再生や記録ができるため、著作権保護に対する関心が高まっている。特に高品質の映像や音声を記録機器に保存する場合の管理方法が課題となる。特開平11−146378号公報は、この課題に対する技術を提示したものである。図2を用い、前記公知例の概要を説明する。
【0003】
図2において、201は送信するデータに視聴可能条件を付加する視聴可能条件付加手段、202はアップリンク設備、203は衛星中継器、204は受信アンテナ、205はデジタル放送受信機、206、207、208は前記デジタル放送受信機の構成要素で206はデータ記憶手段、207はデータの劣化処理を行なう劣化処理手段、208は視聴条件判断手段である。さらに、受信側は209の受信データの視聴手段をその構成要素に持つ。
【0004】
視聴条件が付加された映像や音声などのデータは、前記アップリンク設備202、前記衛星203を経由して、前記デジタル放送受信機205で受信される。前記デジタル放送受信機205は、前記視聴手段209へ出力する他に、前記データ記録手段206に直接記録した後、前記劣化処理手段207より画質あるいは音質を劣化させ外部記憶装置へ出力する。また、条件によっては、前記劣化処理手段207を通した後、前記記憶手段に保存することも可能である。前記視聴可能条件判断手段208は、前記データ記憶手段206内の視聴条件を判定し、前記視聴手段209へ劣化処理したデータを出力するか、劣化処理せずに出力するかを制御する。
【0005】
本公知例では、前記劣化処理手段207によって、画像や音声の品質を著作権の保護が可能なレベルまで落とすことによって、前記課題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−146378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記公知例では、著作権を保護するために、コンテンツの品質を落とす手段を取っており、違法なコピーを意味のないものにするという点で課題を解決している。しかしながら、正規のユーザはコンテンツの価値を落とさずに記録機器に保存したいという要求をもっており、この点でコンテンツホルダーとユーザの双方が満足する方法になっているとは言えない。
【0008】
本発明では、違法なコピーを防ぎ、かつ正規のユーザには高品質のコンテンツの保存を可能にする、コンテンツホルダーとユーザの双方の利益を保証するシステム及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、前記課題を解決するために、受信したデジタル放送ストリームの中から必要な情報パケットを抽出する情報取得処理手段と、映像や音声を復号するコンテンツ復号手段と、番組複製に関する情報を元にコンテンツを加工する番組複製管理処理手段と、少なくとも各種情報パケットの内容を解析する情報解析部と外部へのインターフェースを通じて接続機器の著作権保護機能のレベルを管理するI/F情報管理部を持つ制御手段と、復号されたコンテンツの出力手段と、ストリームの入出力手段を備え、前記制御手段内の前記I/F情報解析部により接続されている機器の著作権保護機能のレベルを確認した上、入力されたストリーム内に含まれる著作権保護に関する情報を前記制御手段内の前記情報解析部にて解析し、前記番組複製管理処理手段における処理内容を変更し、接続機器の著作権保護機能のレベルによって、放送の品質を確保した出力を得ることを可能としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、違法なコピーを防ぎ、かつ正規のユーザには高品質のコンテンツの保存を可能にする、コンテンツホルダーとユーザの双方の利益を保証するシステム及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図。
【図2】本発明に対する従来例を示すブロック図。
【図3】本発明の番組複製管理処理部内の一部構成を示すブロック図。
【図4】本発明の出力部と接続装置の具体例を示すブロック図。
【図5】本発明の接続装置の具体例を示すブロック図。
【図6】本発明の一実施例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に本発明の一実施例を示す。図1において、101はデジタル放送信号の入力端子、102は放送信号を受信しデジタルストリームを得る受信処理部、103は受信したデジタルストリームから諸情報を抽出する情報取得処理部、104は前記情報取得処理部104から得られる映像や音声信号などを復号するコンテンツ復号部、105は復号されたコンテンツに特定の加工処理を行なう番組複製管理処理部、106はアナログ化したベースバンドのコンテンツを出力する出力部A、107はデジタルのベースバンドのコンテンツを出力する出力部B、108は前記情報取得処理部で必要なパケット構成に変換したデジタルストリームの入出力部、109、110、111は前記出力部A106、前記出力部B107、前記入出力部108の出力あるいは入出力端子、112は本実施例の装置全体を制御する制御部、113から117は前記制御部112に含まれる構成要素であって113はCPU、114は処理用のワークメモリ、115はプログラムの格納メモリ、116は前記情報取得処理部103より転送された情報を解析する情報解析部、117は前記出力部A106、前記出力部B107、前記入出力部108の機能判別、及び接続された機器の機能の判別を行なうI/F情報管理部である。
【0013】
本実施例では、装置の出力として3つのインターフェースを想定している。前記出力部A106は通常のアナログ出力であって、コンテンツの保護機能としては、アナログのVTRの再生を阻害する信号挿入機能などを備えている。前記出力部B107はデジタル出力であり、接続されるディスプレイ機器などと連動してコンテンツの暗号化などを行ない違法な複製を防止する機能を持っている。一方、前記入出力部108は、例えばIEEE1394インターフェースを想定しており、これはコンテンツ復号前のデジタルストリームの形式でインターフェースされ、機器間の認証などによりコンテンツの保護機能が働くインターフェースである。前記受信処理部102により受信したデジタル放送信号は、選局や復調などの処理がなされ、トランスポートストリームと呼ばれるパケット化されたビットストリーム形式に変換される。前記情報取得処理部103はトランスポートストリームの中から必要な情報を取捨選択し、前記コンテンツ復号部104と前記制御部112へ転送する。前記コンテンツ復号部104はデジタル圧縮された映像や音声などを復号する。
【0014】
前記制御部112は、前記情報取得処理部103で選択されるトランスポートストリームの中から番組に関する情報パケットなどを抜き出して解析し、各ブロックを制御する。ここでは、番組の著作権保護に関する情報についても解析し前記番組複製管理処理部105の処理内容を決定する。著作権保護に関する情報は、例えば、コピー禁止、コピー可、コピー1回可などの情報である。さらに放送システムによっては、予めコンテンツの品質によって、コピーを可否を決めておく場合も考えられる。一方、前記I/F情報解析部は前記出力部A106、前記出力部B107、前記入出力部108それぞれのI/Fの仕様を認識する。例えば、前記出力部A106が通常のTVに接続するためのアナログベースバンド信号の出力端子である場合には、このI/Fの著作権保護機能レベルが同期性能を劣化させる類のものであると判定する。前記出力部B107が表示装置側と認証を行ない暗号化したデジタルベースバンド信号を伝送するI/Fであれば、著作権保護機能が確立されたI/Fであることを認識する。また、前記入出力部108が例えばIEEE1394仕様の端子であれば、著作権保護機能が確立しているものと判断できる。
【0015】
前記制御部112は、受信した番組あるいは、前記入出力端子108から入力されたコンテンツの著作権に関する情報がコピー禁止の時は、著作権保護機能のレベルが低い前記出力部A106からの映像出力を停止する。あるいは、システムの条件によっては、前記番組複製管理処理部105にて、コンテンツの解像度を低下させるフィルタ処理などを行ない、複製条件に合致した品質としたのち、前記出力端子109より出力する。また、前記出力部B107が表示装置に接続されている場合には、表示装置との認証などによってコンテンツ保護機能が確認できるため、接続された機器のコンテンツ保護機能が正当なものと認識できた場合には、前記出力部B107で暗号化処理などを実施したのち表示装置に出力する。また、著作権の保護機能が不十分と判定された場合には、接続機器が単なる提示装置である場合にも、前記番組複製管理処理部105において解像度制限などを行なった後に出力する。前記入出力部108も同様にコンテンツ保護機能が保証されているインターフェースであるため、接続機器の機能を確認後、高画質なコンテンツを出力可能である。
【0016】
本実施例では、コンテンツの保護情報を解析する前記情報解析部116、装置の各インターフェース部分のコンテンツ保護機能を検出管理する前記I/F情報管理部117などによって、コンテンツの複製が禁止されている場合にも、送信されたコンテンツの品質を守ったまま表示表示することが可能である。
【0017】
図3に前記番組複製管理処理部105の構成要素の一部を示す。図3において301はコンテンツ復号部104からの映像信号の入力端子、302は前記各出力部106、107への出力端子、303は垂直フィルタ、304は水平フィルタ、305は前記制御部112からの制御信号の入力端子である。図3において、前記垂直フィルタ303及び前記水平フィルタ304は、基本的に映像の垂直解像度と水平解像度を落とすものであり、前記情報解析部115及び前記I/F情報管理部117などでの解析によって、著作権保護の目的から出力する映像信号の解像度に制限を与える場合に用いられる。解像度の制限は、システムの規定値として所定の値を決めておくが、伝送情報により番組単位などで決めることも可能である。また、垂直解像度のみの制限、あるいは水平解像度のみの制限でもよい。本実施例においては、解像度を低下させた映像の出力端子が一つとして記載してあるが、図1の構成要素の様に複数の出力部を持ち、著作権管理レベルの違いにより、一方は解像度制限なし、他方は解像度制限付きという場合が考えられる。この場合は、図3のフィルタを2系統持つことや、スルー処理のパスを設けることによって、対応可能となる。
【0018】
図4に本実施例における前記出力部A106、前記出力部B107部分の具体的構成を示す。図4において、401は本実施例に示す受信装置、402は番組複製管理処理部、403はシステム制御部、404は出力部、405は暗号化部、405は認証処理部、407は映像音声データなどの出力端子、408は認証を行なうための情報の入出力端子、409は映像や音声などの記録装置、410は映像音声データなどの入力端子、411は認証処理用のデータの入出力端子、412は復号化部、413は映像音声などの情報圧縮部、414は記録部、415は認証処理部である。図4の受信装置401及び記録装置409は主に本実施例に関係する機能ブロックのみを図示しており、受信機または記録装置としてのその他の構成要素は割愛してある。前記システム制御部403は前記受信装置401が他の装置と接続された場合に前記認証処理部406を通じて接続された機器とその機器の正当性確認のために認証作業を実行する。正当な機器と確認された場合には、前記認証処理部406、415によって暗号化のための鍵が交換される。前記受信装置401は伝送された番組情報などに基づいて暗号化が必要であれば前記暗号化部405で暗号化した上出力する。前記記録装置409側は、受信した映像音声などのデータを交換した鍵に基づいて復号し、記録のための情報圧縮を行なった後、前記記録部414に記録する。図4では記録装置409の再生機構については特に本発明と関連しないので記述していない。このように、認証作業によって接続された機器によって不正な複製などが実行されないことが確認できる場合には、前記番組複製管理処理部402において映像の解像度を落とすなどの視聴者にとって不利益となる信号処理をせず、高画質、高音質なコンテンツの記録再生を可能とすることができる。
【0019】
図5は図4に示した受信装置401に接続される他の装置を示したものであり、501は表示装置、502は映像や音声などのデータ入力部、503は認証用データの入出力端子、504は暗号化された映像や音声などのデータの復号化部、505はディスプレイなどの表示部、506は認証処理部である。表示装置501は認証作業によって、前記受信装置401に対して、表示部しかもたない装置であり他の機器へ不正にデータを転送することの無い機器であることが確認され、鍵を取得することができ、高画質、高音質のコンテンツを受け取り表示することが可能となる。
【0020】
なお、図4、図5に示した認証用のデータパスについては、例えばIEEE1394規格のような同一のバスを用いる方法などがあり、特に別端子に特定されるものではない。
【0021】
本実施例において説明した接続装置との認証、暗号化などについては、特に新規技術ではないが、認証部などによって接続した機器の正当性を確認した上、伝送される番組の複製管理情報と組み合わせ出力する映像や音声情報の加工制御を実施することで、正当な機器の所有者に高画質、高音質なコンテンツを供給できる効果が期待できる。
【0022】
図6に本発明の他の実施例を示す。図6において601は映像音声などの提示部、その他は図1の実施例と同じである。本実施例においては、前記提示部601はディスプレイ及びスピーカなどから構成されており、それらを内蔵した装置であることが図1の実施例と異なる。制御部112は前記提示部601に対しては、伝送される複製情報に関わらず前記番組複製管理処理部105で処理をせずに出力する。即ち記録のために高品質の映像の解像度を落とす必要があっても、前記提示部601に対しては解像度を落とさずにそのまま出力する。一方、前記出力部B107などに対しては、図1の実施例と同様に、伝送される番組の複製に関する情報と、前記出力部B107の著作権保護管理レベル、前記出力端子110に接続される機器の情報を基に、出力情報データに対して、所定の処理を前記番組複製管理処理部105で行なった後に出力する。
【0023】
本実施例によれば、複製情報のレベルによらず少なくとも番組を高品質で提示することができる。
【0024】
また、図示はしないが、受信装置内に記録機を内蔵する場合、前記制御部112は記録機に記録されている時間に関しての管理も行ない、所定時間以上経過した場合には前記番組複製管理処理部105において、前記内蔵の提示部601に対しても所定の処理を行ない、品質を落とした映像や音声を提示する必要がある。
【符号の説明】
【0025】
101…入力端子、102…受信処理部、103…情報取得処理部、104…コンテンツ復号部、105…番組複製管理処理部、106…情報出力部、107…情報出力部、108…情報入出力部、112…制御部、113…CPU、114…メモリ、116…情報解析部、117…I/F情報管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像や音声の情報と番組の複製に関する番組複製情報を含む信号を受信して、外部装置へ出力する受信装置であって、受信した信号から番組複製情報を取得する取得手段と、外部へ映像や音声の情報を出力する情報出力手段あるいは情報入出力手段またはその双方と、前記番組複製情報の解析及び前記情報出力手段あるいは前記情報入出力手段またはその双方の複製管理に関する解析を行なう情報解析手段と、前記情報解析手段により解析された結果により異なった複製管理の制限処理を行なう番組複製管理処理手段を具備することを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記番組複製管理処理手段は、映像の解像度を制限するためのフィルタ手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記フィルタ手段は、垂直解像度のみを制限することを特徴とする請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記フィルタ手段は、水平解像度のみを制限することを特徴とする請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記番組複製管理処理手段は、前記情報解析手段により接続された外部装置の複製管理能力を検出した結果、外部装置が複製管理可能である場合には、前記解析された結果が複製禁止でない場合に前記番組複製管理処理手段による制限を行なわずに出力し、外部装置が複製管理可能でない場合には、前記解析された結果にかかわらず前記番組複製管理処理手段による制限を行なって出力することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記情報解析手段により接続された外部装置が番組提示に限定された装置であることを確認した場合には、前記番組複製管理処理手段は前記情報解析手段にて解析した結果にかかわらず、番組情報をそのまま外部装置へ供給することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
前記情報出力手段が内蔵された情報提示手段である場合に、前記番組複製管理処理手段は前記情報提示手段に関しては、入力された番組情報をそのまま提示することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−290912(P2009−290912A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211240(P2009−211240)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【分割の表示】特願2009−23204(P2009−23204)の分割
【原出願日】平成13年2月9日(2001.2.9)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】