説明

デジタル複写機

【課題】すでにいろいろの画像処理装置が提供されている。しかし、これらはパソコンや画像処理の知識を必要とする物が多く無知な人が扱えるものではない、写真からスケッチ風の下絵を作って楽しむために専門的な知識を必要としない装置を提供することを目的とする。
【解決手段】テジタル複写機に複写機のプログラムとは別に輪郭抽出を核とする線画のプログラムを搭載し、外部から複写機能とスケッチ機能を選択できるようにしたデジタル複写機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
デジタル複写機に関するもので複写プログラムのほかに別の画像処理プログラムを付加することによって原稿からスケッチ風の線画を取り出すものである。
【背景技術】
【0002】
画像から線画を抽出してこれに色を塗るなどの加工を施して絵を作る、いわゆる塗り絵の下絵を作る作業を機械で行う装置に関するものである。
すでにパソコンを使ってこのような物を作るシステムは出来ている。スキャナーで画像を取り込み、又はデジタルカメラのなどのメモリーから画像データを読み込み、これを画像処理のソフト(たとえばアドベ社のphotoshop)で画像を処理しプリンターで印刷すると塗り絵の下絵を作ることが出来る。一般には塗り絵の下絵は一番簡単な方法として画像を薄く印刷した物を使い、この上に絵の具で上ぬりすることが出来る。また別の方法では、画像の輪郭を抽出して2値化してノイズを取り除いたり線を細分化して細い線に変換するなどの処理を行なった物を下絵に使うことも出来る。
【0003】
しかし、この方法はかなりの画像処理の知識を必要とし、システムの使い方にも精通した人でなければできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塗り絵をやりたい人は一般には幼児、主婦、老人などのあまり技術レベルの高くない人たちであるから、現在の複雑なシステムを組み立て、画像処理のプログラムをインストールして使いこなすなどは自分では出来ない場合が多い。したがってこのような人を対象に市販のデジタル複写機を使える程度の知識で、コピー動作だけでこのような塗り絵を作れるようにすることを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
市販されているような一般のデジタル式のカラー複写機に輪郭抽出のプログラムを組み込んだものを使用する。外部からはこのプログラムを使用するか、使用しないかの選択が出来るようにする。すなわち、操作ボタンとして装置にはコピーボタンとスケッチボタンを設け、輪郭抽出プログラムを使うときはスケッチボタンを押す。
【0006】
使用者は原稿を読み取り装置にセットしてコピーボタンを押すと複写が印刷される。これは一般の複写機の使い方と同じである。一方コピーボタンの変わりにスケッチボタンを押すと輪郭抽出、その他の処理をほどこした線画が印刷される。印刷された線画は紙の上で加筆、又は消すなどの修正を加えることが出来る。これをもう1度読取装置にセットしてスケッチプログラムで印刷すると最終的な下絵が印刷される。
【0007】
輪郭抽出のプログラムは通常はカラー画像をモノクロームに変換して処理をする。
微分して輪郭を抽出し、ノイズを除去するために2値化したり、線を細分化したり、その他画質を最適化するためにいろいろの処理を行う。しかし原画の特性はいろいろ千差万別であるから個々に最適な処理の仕方は異なるし、それでも十分満足な結果が得られるとは限らない。とにかく熟練と画像処理の高度なテクニックを必要とする。
【0008】
一方本発明では最終仕上げは人の手で紙の上で加筆したり消去したりして完成させようとするものである。したがって印刷された下絵は不完全でも手で修正しやすいものならば良い。すなわち色は黒でも灰色、又はカラーでも薄い色を使うなどして上書き可能なようにするか、輪郭線は太いものより細いものが上書き出来て良い。このような目的の輪郭抽出ならば1種類のプログラムで大部分の原画は処理できるし、あまり満足の行がないものでも手書きで修正して、完成度を高めることが出来る。
【0009】
完成した線画に水彩絵具や色鉛筆で着色したりすると線画の上に淡い着色の挿絵風の絵を作ることができる、もちろん油絵具のような濃い絵具を使って線画に上塗りすることもできる。
このようにして自分の創造画が1枚出来上がると、これを読取装置にセットして複写し、自分の創作画を何枚でも作ることができる。
【発明の効果】
【0010】
この作業において、使用者は一般の複写機を使っているのと同じ操作であるから何も難しい技術的な知識を必要とするものではない。また、複写機を扱うのと同じ簡単な操作で写真などから輪郭を写し取ることができるので、絵を得意としない人でも忠実なスケッチを簡単に手に入れることが出来る。
【0011】
また、線画の修正や線画に色を塗るのも、パソコンの画面で行うのとは違い、塗り絵の要領で紙の上で行うのであるから一般の絵を書くのと同じ感覚で行うことができる。
下絵の品質は原画によって大変異なる。最適の下絵を出力するためにはたとえば人物を対象とする場合と風景を対象とする場合ではそれぞれに適するフィルターのパラメーターが違う。高度の技術を有するものならば最適のフィルターを探すことが出来るが、知識の無い者ではそれは出来ない。本方式は基本的には人の手で修正することを前提にしているが、より完成度を高くするためにはスケッチボタンを何個が設置して、人物用、風景用とか又は近景用,遠景用とかにすることによって多少の補足は出来る。
【0012】
このようなプログラムの切り替えは手動のボタンスイッチが使いやすくて良いが、これに限定する必要は無くリモートコントローラやパネルスイッチなどでも良い。
【0013】
このような目的のためには、下絵の作り方は前述の様にいくつかの方法が考えられる。薄く印刷した画像を下絵と使う場合のように輪郭抽出をしない方法もあるが、一番塗り絵的な感覚で受け入れられるのは輪郭を持つものである。したがって輪郭抽出は塗り絵の下絵にはもっとも適するものと考える。スケッチプログラムは少なくともこの輪郭抽出の機能を含むものが良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【00014】
図1はこの方法を示すフローチャート図である。写真や絵を原画1としてこれをデジタル複写機のスキャナー2で読み取って画像メモリー3に取り込む。又はデジタルカメラ,DVDなどの記憶装置などは直接データを画像メモリー3に取り込むことが出来る。このデータを忠実にプリンターで印刷できるようにプリンター特性のマッチング処理を行ってプリンター4で印刷する。このように印刷された復写図5は原画に忠実な画像である。
一方この画像メモリー3のデータをスケッチ1プログラム又はスケッチ2プログラムを通して処理したデータで置き換える。この画像データをプリンターで印刷すると原画を線画に変換したスケッチ的な画像5が印刷される。
【0015】
このようにして1度変換されて紙に印刷した線画は普通の絵であるから誰でも筆記道具を使って修正することが可能である。必要な線を書き足したり、削ったりして自分の好みのスケッチ画を仕上げれば良い。特にパソコンやソフトの知識を必要とするものではなく、一般の絵を書くのと同じように紙の上での作業であるから誰でも出来るものである。この修正図をもう一度複写機にかけて輪郭抽出を行うと2度目であるから絵はほとんどそのままでわずかに変化する程度である。
たいていの場合はこれで輪郭抽出の線画は完成するが、不満ならばさらにこれを繰り返せば良い。
【0016】
複写機で出力した線画に水彩絵具で色を付けるとか、色鉛筆で色を付けると元の線画の輪郭が残って手書きのようなイメージの絵が出来上がる。
もちろん油絵具のような濃い絵具を使って線画に上塗りすることもできる。
この絵を再び複写機の複写機能を使って印刷すれば自分の完成した絵を何枚も印刷することができる。
【0017】
図2は本発明のデジタル複写機のイメージを示すものである。本体21の中にはスキャナー、プリンター、電子回路などが含まれている。本体21の上部は画像スキャナーがあり、上部の蓋22を開けて原稿24を設定して画像を読み取ることが出来る。コピーボタン25を押すと複写印刷物23が下に出てくる。これは一般の複写機と変わらない機能であるが特徴はコピーボタンのほかにスケッチボタン26,27が何種類かついていることである。図2では2個の場合を示す。
スケッチボタン26を押すと、スケッチ1プログラムで処理されたスケッチ画23が印刷されて出てくる。スケッチボタン27を押すとスケッチ2プログラムで処理されて物が得られる。たとえばスケッチ1プログラムでは人物、スケッチ2プログラムでは風景に適したものにするなどの使い分けをする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】操作を示すフローチャート図である。
【図2】本発明のデジタル複写機のイメージである。
【符号の説明】
【0019】
21 デジタル複写機本体
25 コピーボタン
26 スケッチ1ボタン
27 スケッチ2ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取ってデジタルデーターに変換する読み取り装置とこの画像データーを忠実に印刷するためのコピープログラムを有する印刷装置とを有するデジタル複写機において、画像データーから少なくとも画像の輪郭抽出プログラムを有するスケッチプログラムを付加し、コピープログラムとスケッチプログラムを手動で切り替える機能を有することを特徴とするデジタル複写機。
【請求項2】
複数のスケッチプログラムとそれを手動で切り替える機能を有することを特徴とする請求項1のデジタル複写機。
【請求項3】
スケッチプログラムにおいては印刷出力画像は灰色ないしは薄い色を使うことを特徴とする請求項1のデジタル複写機

【図1】
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【図2】
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