デッキ材
【課題】固定ビス孔からの漏水がなく、しかも出幅調整を簡単に行うことができるとともに、熱伸縮を吸収してデッキ材自体の変形を防止できるデッキ材を提供する。
【解決手段】天板部2の端部から垂れ下がるように設けられた垂れ壁5との間に隙間Sが形成されるように、底板部3の固定部7側端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁6を有し、固定部カバー部8が、固定部7を上方から覆うカバー部本体81と、カバー部本体から延設され、隣接した配置される同タイプのデッキ材1aの隙間S内に遊嵌される遊嵌部83を有し、カバー部本体81と隣接するデッキ材1との境界部分に流れ込む雨水を、遊嵌部83を介して隙間Sから立ち上がり壁6と、この立ち上がり壁6に隣接する柱部4との間に導く雨水ガイド部とを備えていることを特徴としている。
【解決手段】天板部2の端部から垂れ下がるように設けられた垂れ壁5との間に隙間Sが形成されるように、底板部3の固定部7側端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁6を有し、固定部カバー部8が、固定部7を上方から覆うカバー部本体81と、カバー部本体から延設され、隣接した配置される同タイプのデッキ材1aの隙間S内に遊嵌される遊嵌部83を有し、カバー部本体81と隣接するデッキ材1との境界部分に流れ込む雨水を、遊嵌部83を介して隙間Sから立ち上がり壁6と、この立ち上がり壁6に隣接する柱部4との間に導く雨水ガイド部とを備えていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダやバルコニー等の床板となるデッキ材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デッキ材として、図14に示すようなものがある(例えば、特許文献1等参照)。
このデッキ材100は、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を押出成形したもので、デッキ材本体110と、固定部カバー材120とを備えている。
デッキ材本体110は、2つの天板部111と、この天板部111に平行に配置された2つの底板部112と、底板部112と底板部112とを連結するように設けられた固定部113と、天板部111と底板部112との間に介在する柱部114とを備えている。
【0003】
そして、デッキ材本体110は、根太材(図示せず)によって下方から支持されるとともに、固定部113を固定ビスによって根太材に固定されるようになっている。
固定部カバー材120は、固定部113の両側に立ち上がる柱部114間に嵌合されて、固定部113を隠蔽するとともに、その上面が天板部111と略面一となる。
【0004】
しかし、上記デッキ材100の場合、固定部カバー材120によって固定部113が上部から見えないように隠蔽されるが、固定部カバー材120と柱部114との隙間から固定部113側にデッキ材100上に降った雨水等が入り込む場合がある。
そして、この固定部113側に入り込んだ雨水が、固定ビス孔から根太材側に漏れ出てデッキ材100に下方に雨漏りすることがある。
【0005】
一方、上記問題を解決することができるデッキ材として、図15に示すようなデッキ材200が提案されている(特許文献2参照)。
すなわち、このデッキ材200は、図15に示すように、固定部210が底板220の幅方向の一端から水平に延出するとともに、この固定部210のビス固定位置と端の柱部230との間に立ち上がり壁240を設けている。
【0006】
また、天板部250の他端から隣接して配置される同型のデッキ材200の固定部210の上方を覆う固定部カバー部260が水平に延設されている。
固定部カバー部260は、その先端から垂下されるように、隣接して配置されるデッキ材200の柱部230に当接し、その下端に設けられた係合突起261が固定部210に設けた係合凹部211に係合されるようになっている。
【0007】
したがって、このデッキ材200は、デッキ材200とデッキ材200との継ぎ目部分から固定部210側に雨水が入り込んでも、立ち上がり壁240が設けられているので、ビス固定位置まで雨水が入り込むことなく、立ち上がり壁240と柱部230とによって形成される溝部270を通って溝部270の両端から排水され、固定ビス孔から床下空間に雨漏りすることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−42115号公報
【特許文献2】特開2000−336906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記デッキ材200の場合、係合突起261が固定部210に設けた係合凹部211に係合されるようになっているので、出幅方向の幅調整が出来ないという欠点、係合突起261の係合部が外れて反るという欠点、デッキ材200全体の出幅方向の熱伸縮を吸収出来ずにデッキ材200が変形する欠点などがある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて、固定ビス孔からの漏水がなく、しかも出幅調整を簡単に行うことができるとともに、熱伸縮を吸収してデッキ材自体の変形を防止できるデッキ材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明にかかるデッキ材は、天板部と、この天板部と平行に配置された底板部と、天板部と底板部との間に間隔を隔てて介在し、同一方向に連続して設けられた複数の柱部と、前記底板部の一方の端縁から水平に延出し、下地材にビス固定される固定部と、天板部の前記固定部と逆方向の端縁から延出し、隣接して配置される同タイプのデッキ材の前記固定部を上方から覆うように配置される固定部カバー部とを備えるデッキ材であって、前記天板部の底面あるいは前記天板部の端部から垂れ下がるように設けられた垂れ壁との間に隙間が形成されるように、前記底板部の固定部側端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁を有し、前記固定部カバー部が、固定部を上方から覆うカバー部本体と、カバー部本体から延設され、隣接して配置される同タイプのデッキ材の前記隙間内に遊嵌される遊嵌部を有し、カバー部本体と隣接するデッキ材との境界部分に流れ込む雨水を、前記遊嵌部を介して前記隙間から前記立ち上がり壁と、この立ち上がり壁に隣接する柱部との間に導く雨水ガイド部とを備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明にかかるデッキ材は、特に限定されないが、一般的には、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られる。また、このような熱可塑性樹脂に木粉などの充填材を添加しても構わない。
また、本発明にかかるデッキ材は、特に限定されないが、例えば、立ち上がり壁の上方に天板部から垂れ下がる垂れ壁を有し、 雨水ガイド部は、ガバー部端部から垂れ下がり、隣接するデッキ材の前記垂れ壁に当接する当接部を有し、遊嵌部がこの当接部の下端部から延設されている構成や、遊嵌部が隙間から離脱する方向に力が加わったときに、立ち上がり壁または垂れ壁に係止される係止部が遊嵌部の先端に形成されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるデッキ材は、以上のように、天板部と、この天板部と平行に配置された底板部と、天板部と底板部との間に間隔を隔てて介在し、同一方向に連続して設けられた複数の柱部と、前記底板部の一方の端縁から水平に延出し、下地材にビス固定される固定部と、天板部の前記固定部と逆方向の端縁から延出し、隣接して配置される同タイプのデッキ材の前記固定部を上方から覆うように配置される固定部カバー部とを備えるデッキ材であって、前記天板部の底面あるいは前記天板部の端部から垂れ下がるように設けられた垂れ壁との間に隙間が形成されるように、前記底板部の固定部側端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁を有し、前記固定部カバー部が、固定部を上方から覆うカバー部本体と、カバー部本体から延設され、隣接して配置される同タイプのデッキ材の前記隙間内に遊嵌される遊嵌部を有し、カバー部本体と隣接するデッキ材との境界部分に流れ込む雨水を、前記遊嵌部を介して前記隙間から前記立ち上がり壁と、この立ち上がり壁に隣接する柱部との間に導く雨水ガイド部とを備えているので、固定ビス孔からの漏水がなく、しかも出幅調整を簡単に行うことができるとともに、熱伸縮を吸収してデッキ材自体の変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかるデッキ材の第1の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図2】図1のデッキ材の施工構造を説明する図であって、建物側の端部に配置されるデッキ材の取り付け状態の斜視図である。
【図3】図1のデッキ材の、デッキ材とデッキ材との連結部の取り付け状態をあらわす断面図である。
【図4】図1のデッキ材に端部固定部カバー材を取り付けた状態をあらわす斜視図である。
【図5】図1のデッキ材に用いるスターター材の別の例をあらわす側面図である。
【図6】図1のデッキ材に用いるスターター・端部固定部カバー兼用材の1例をあらわす斜視図である。
【図7】図1のデッキ材に用いるスターター・端部固定部カバー兼用材の別の例をあらわす斜視図である。
【図8】図6のスターター・端部固定部カバー兼用材をスターター材として用いた建物側の端部に配置されるデッキ材の取り付け状態の断面図である。
【図9】図6のスターター・端部固定部カバー兼用材を端部固定部カバー材として取り付けた状態をあらわす断面図である。
【図10】図7のスターター・端部固定部カバー兼用材を端部固定部カバー材として取り付けた状態をあらわす断面図である。
【図11】本発明にかかるデッキ材の第2の実施の形態をあらわし、そのデッキ材とデッキ材との連結部の取り付け状態をあらわす断面図である。
【図12】本発明にかかるデッキ材の第3の実施の形態をあらわし、そのデッキ材とデッキ材との連結部の取り付け状態をあらわす断面図である。
【図13】本発明にかかるデッキ材の第4の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図14】従来のデッキ材の1例をあらわす側面図である。
【図15】従来のデッキ材の他の例をあらわし、デッキ材とデッキ材との連結部の取り付け状態をあらわす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかるデッキ材の第1の実施の形態をあらわしている。
【0016】
図1に示すように、このデッキ材1aは、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を押出成形して得られ、天板部2と、底板部3、複数の柱部4と、垂れ壁5と、立ち上がり壁6と、固定部7と、固定部カバー部8と、を備えている。
天板部2は、その上面が床面を形成するようになっている。
【0017】
底板部3は、天板部2に対して所定間隔を保つように平行に配置されて、根太材等の下地材に下方から受けられるようになっている。
柱部4は、天板部2と底板部3との間に所定間隔を隔てて介在し、押出方向に直交する方向に連続して設けられて、天板部2と底板部3との間隔を保持している。
【0018】
天板部2及び底板部3の押出方向に直交する方向の一方の端が柱部4によって連結されている。
垂れ壁5は、天板部2の押出方向に直交する方向の他端から、底板部方向に垂下されるように垂れ下がっている。
【0019】
立ち上がり壁6は、底板部3の垂れ壁5に対面し、垂れ壁5との間に隙間Sを形成するように底板部3から立ち上がっている。
固定部7は、立ち上がり壁6が設けられた側の底板部3の端から水平方向に延出するように設けられている。押出方向に直交する方向の一方の端から水平に延出するように設けられている。
【0020】
固定部カバー部8は、天板部2の固定部7とは逆方向の端から延出するように設けられている。
そして、固定部カバー部8は、カバー部本体81と、雨水ガイド部としての当接部82と、遊嵌部83とを備えている。
【0021】
カバー部本体81は、天板部2の端から水平方向に延出するように設けられていて、固定部7と略同じ幅をしている。
当接部82は、カバー部本体81の先端から垂下され、その下端が隙間Sの下端と上端との間にくるように設けられている。
遊嵌部83は、当接部82の下端からカバー部本体81と逆方向に延出し、隙間Sより厚みが薄くなっている。
【0022】
つぎに、このデッキ材1aを用いた床の施工方法を詳しく説明する。
まず、図2に示すように、根太材Jの建物(図示せず)側の端部にスターター材9aを固定する。
【0023】
すなわち、スターター材9aは、デッキ材1aと同様にして熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られ、本体部91と、固定部92とを備えている。
本体部91は、四角筒状をしていて、根太材J上に載置された状態でその上面が遊嵌部83の下面の高さ位置にくる大きさに形成されている。
【0024】
固定部92は、本体部91の下端から一側に延出するように設けられている。
そして、スターター材9aは、本体部91を建物側に配置した状態で、固定部92を固定ビスBによって平行に並んだ各根太材(図面では1つしかあらわれていない)Jにねじ固体される。
【0025】
つぎに、上記のように固定されたスターター材9aの本体部91上に遊嵌部83が受けられた状態で根太材Jによって下方から受けられるようにデッキ材1aを根太材Jに載置し、デッキ材1aの固定部7を根太材Jに固定ビスBで固定する。
【0026】
続いて、図3に示すように、隣接して設けられる同型のデッキ材1aを、その遊嵌部83が隙間Sから立ち上がり壁6と柱部4とによって形成される溝部11内をその先端が臨むとともに、当接部82と垂れ壁5との間隔がデッキ材1aの熱伸縮を吸収できる幅となるように根太材Jに載置し、上記と同様にして固定部7を根太材Jに固定ビスBで固定する。
【0027】
そして、床の建物からの出幅分だけの枚数のデッキ材1aをつぎつぎに連結したのち、図4に示すように端部専用カバー材9bで、最も建物から離れたデッキ材1aの固定部7を上方からカバーする。
すなわち、この端部専用カバー材9bは、図4に示すように、カバー本体95と、立ち上がり壁係止部96と、固定部端部係止部97とを備え、立ち上がり壁係止部96を隙間Sから溝部11側に臨ませ、立ち上がり壁6に上端部に係止されるように配置するとともに、固定部端部係止部97を固定部7の端縁に引っ掛けるように配置し、カバー本体95によって固定ビス固定部分を上方からカバーするようになっている。
また、カバー本体95は、この装着状態で、隙間S側から固定部端部に向かって下り勾配となる。
【0028】
なお、建物側のデッキ材1aの建物側端部には、図示していないが、建物壁面に一端が固定されたカバー材が被せられるようになっている。また、根太材Jの建物の反対側の端部は、図示していないが、バルコニー等の枠材に支持されている。
【0029】
このデッキ材1aは、上記のようにして施工されるようになっているので、降った雨水等が、デッキ材1aとデッキ材1aと間に流れ込むと、遊嵌部83の上面で受けられて、溝部11側に入り込む。溝部11に入り込んだ雨水は、立ち上がり壁6があるので、固定部7側に流れ出ず、溝部11の長手方向両端から排水される。
したがって、固定ビス孔から床下に雨漏りすることがない。
【0030】
また、遊嵌部83が隙間Sより薄くなっているので、遊嵌部83が容易に隙間Sを介して溝部11側に挿入できるとともに、出幅調整も容易である。
さらに、上記のように、当接部82と垂れ壁5との間隔がデッキ材1aの熱伸縮を吸収できる幅となるように調整して施工することができるので、熱膨張によって当接部82と垂れ壁5とが圧接されてデッキ材1aにゆがみが生じたりすること防止できる。
【0031】
また、端部のデッキ材1aの固定部7が端部専用カバー材9bのカバー本体95によって上方からカバーされるので、端部のデッキ材1aの固定部7においても固定ビス孔部分が雨水等に濡れることがなく、固定ビス孔部分からの雨漏りが防止できるとともに、カバー本体95が隙間S側から固定部端部に向かって下り勾配となるので、この勾配に沿って雨水を効率よく排水する事が出来る。
【0032】
なお、上記スターター材9aあるいは端部専用カバー材9bに代えて、図5に示すスターター材9cや、図6及び図7に示すスターター・端部固定部カバー兼用材(以下、「兼用材」とのみ記す)9d、9eを用いることができる。
すなわち、図5に示すスターター材9cは、本体部93が端面コの字をしている以外は、上記スターター材9aと同様になっている。
【0033】
一方、図6に示す兼用材9dは、図6及び図8に示すように、本体部96と、固定部97とを備えている。
本体部96は、水平部96aと、2つの脚部96bとを備えている。
【0034】
水平部96aは,図8に示すように、固定部カバー部8の当接部82と、この当接部82に対面する柱部4との間隔と略同じ幅になっている。
2つの脚部96bは、水平部96aの幅方向の両端から平行に延出し、その延出長さが、底板部3の厚みと柱部4の高さの合計と同じに形成されている。
【0035】
固定部97は、遊嵌部支持部97aと、固定部本体97bとを備えている。
遊嵌部支持部97aは、支持部本体97cと、小脚部97dとを備えている。
【0036】
支持部本体97cは、脚部96bの下端面と、支持部本体97cと上端面との垂直方向の寸法が、根太材Jの上面から遊嵌部83の下端までの高さと同じになるように、一方の脚部96bの壁面から延出している。
また、支持部本体97cは、図9に示すように、脚部96bの下端面と、支持部本体97cと下端面との垂直方向の寸法が、立ち上がり壁6の高さと同じになる厚みをしている。
【0037】
小脚部97dは、支持部本体97cの端部から垂下され、脚部96bとの間に立ち上がり壁6の厚みと同じ幅の隙間97eを形成するとともに、その下端面が、脚部96bの下端面と同一平面内に収まるようになっている。
固定部本体97bは、その下端面が小脚部97dの下端面と同一平面内に収まるように、小脚部97dの下端部から延出している。
【0038】
そして、この兼用材9dは、スターター材として使用される場合には、図8に示すように、固定部本体97bを固定ビスBによって根太材Jに固定したのち、デッキ材1aが、その固定部カバー部8のカバー部本体81が水平部96aに受けられるように、兼用材9dの上方から被せられた状態で根太材Jに受けられるようになっている。
すなわち、水平部96aが柱部4と、当接部82との間に嵌り込むので、兼用材9dを正確に固定すれば、デッキ材1aの位置決めを別途行う必要がない。
【0039】
また、この兼用材9dは、図9に示すように、端部カバーとしても使用できる。
すなわち、上記のように、デッキ材1aをつぎつぎに根太材Jに固定したのち、最も端部のデッキ材1aの溝部11内に隙間Sを介して固定部97を臨ませるとともに、立ち上がり壁6を脚部96bと小脚部97dとの隙間97e内に嵌り込むように装着される。
そして、この装着によって、端部のデッキ材1aの固定ビスBが兼用材9dによって隠蔽される。また、この装着状態で、水平部96aの上端面とデッキ材1aの天板部2の上面とが面一となる。
【0040】
この兼用材9dは、以上のように、1つでスターター材としても端部カバー材としても使用することができ、金型コストが低減できる。
【0041】
他方、兼用材9eは、図7及び図10に示すように、兼用材本体98と、端部幅調整部99とを備えている。
兼用材本体98は、上記兼用材9dと同じ形状をしている。
【0042】
端部幅調整部99は、幅調整部本体99aと、3つの大脚部99b〜99dとを備えている。
幅調整部本体99aは、水平部96aと、同じ厚みで同じ上端面及び下端面が水平部96aの上端面及び下端面に一致するように水平方向に延出している。
【0043】
そして、幅調整部本体99aは、上面に3つの断面略V字をした溝99e〜99gが平行に設けられている。
最も水平部96a側の溝99eは、そのV字の底が、固定部3が設けられていない脚部96bの外側)の壁面(固定部97と逆側の面)と同一平面内に収まるように設けられている。
【0044】
大脚部99b〜99dは、脚部96bと平行に設けられていて、脚部96bより底板部3の厚み分だけ長くなっている。
また、脚部96bと最も外側の大脚部99bとの間に配置される2つの大脚部99c,99dは、その外側の壁面がそれぞれ、溝99fあるいは99gのV字の底と同一平面内に収まるように設けられている。
【0045】
この兼用材9eは、上記のようになっており、図10に示すように、兼用材本体98を上記兼用材9dと同様に装着することによって端部カバーとして使用することができる。
そして、幅調整部本体99aが3つの溝99e〜99gを備え、溝99e〜99gの底部分が薄肉になっているので、いずれかの溝99e〜99gの底に沿って簡単に切断することができる。
すなわち、いずれかの溝99e〜99gの底に沿って切断することによって、幅調整部本体99aの幅をデッキ材1aの端縁と、根太材Jに端部に設けられるバルコニーの壁(図示せず)との隙間にあわせた寸法に容易に調整することができる。
【0046】
また、この兼用材9eは、図示していないが、溝99bの底にそって幅調整部本体99aを切除すれば、上記兼用材9dと同じ形状の兼用材本体98のみとなり、上記兼用材9dと同様にしてスターター材としても使用することができる。
【0047】
図11は、本発明にかかるデッキ材の第2の実施の形態をあらわしている。
図11に示すように、このデッキ材1bは、遊嵌部83の先端に上方に直角に立ち上がる係止部84を設けた以外は、上記デッキ材1aと同様になっている。
このデッキ材1bは、上記デッキ材1aと同様の効果を備えているとともに、係止部84を備えているので、一端隙間Sから挿入した遊嵌部83が施工途中で抜け出ることを防止でき、施工性が向上する。
なお、係止部84は、遊嵌部83の端縁全長に沿って設けられている必要はなく、間欠的に設けられていてもよい。
【0048】
図12は、本発明にかかるデッキ材の第3の実施の形態をあらわしている。
図12に示すように、このデッキ材1cは、遊嵌部83の先端に下方に直角に垂れ下がる係止部85を設けた以外は、上記デッキ材1aと同様になっている。
このデッキ材1cは、上記デッキ材1aと同様の効果を備えているとともに、係止部85を備えているので、一端隙間Sから挿入した遊嵌部83が施工途中で抜け出ることを防止できとともに、遊嵌部83が熱などで上方側に反っても、遊嵌部83の上面に沿って溝部11側に入り込んだ雨水が遊嵌部83の裏面側を通って固定部7側に流れるという事故を防止することができる。
なお、係止部85は、遊嵌部83の端縁全長に沿って設けられている必要はなく、間欠的に設けられていてもよい。
【0049】
図13は、本発明にかかるデッキ材の第4の実施の形態をあらわしている。
図13に示すように、このデッキ材1dは、固定部7の出幅を小さくするとともに、固定部カバー部8に対面するように、固定部7あるいはスターター材9a、9bの固定部92に対面するように、リブ12が設けられている以外は、上記デッキ材1aと同様になっている。
【0050】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では遊嵌部が天板部と水平に方向に延出していたが、先端に向かって斜め下方に傾斜していても構わないし、その上面のみを斜め下方に傾斜させても構わない。
【符号の説明】
【0051】
1a,1b,1c,1d デッキ材
2 天板部
3 底板部
4 柱部
5 垂れ壁
6 立ち上がり壁
7 固定部
8 固定部カバー部
81 カバー部本体
82 当接部(雨水ガイド部)
83 遊嵌部(雨水ガイド部)
84 係止部
85 係止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダやバルコニー等の床板となるデッキ材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デッキ材として、図14に示すようなものがある(例えば、特許文献1等参照)。
このデッキ材100は、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を押出成形したもので、デッキ材本体110と、固定部カバー材120とを備えている。
デッキ材本体110は、2つの天板部111と、この天板部111に平行に配置された2つの底板部112と、底板部112と底板部112とを連結するように設けられた固定部113と、天板部111と底板部112との間に介在する柱部114とを備えている。
【0003】
そして、デッキ材本体110は、根太材(図示せず)によって下方から支持されるとともに、固定部113を固定ビスによって根太材に固定されるようになっている。
固定部カバー材120は、固定部113の両側に立ち上がる柱部114間に嵌合されて、固定部113を隠蔽するとともに、その上面が天板部111と略面一となる。
【0004】
しかし、上記デッキ材100の場合、固定部カバー材120によって固定部113が上部から見えないように隠蔽されるが、固定部カバー材120と柱部114との隙間から固定部113側にデッキ材100上に降った雨水等が入り込む場合がある。
そして、この固定部113側に入り込んだ雨水が、固定ビス孔から根太材側に漏れ出てデッキ材100に下方に雨漏りすることがある。
【0005】
一方、上記問題を解決することができるデッキ材として、図15に示すようなデッキ材200が提案されている(特許文献2参照)。
すなわち、このデッキ材200は、図15に示すように、固定部210が底板220の幅方向の一端から水平に延出するとともに、この固定部210のビス固定位置と端の柱部230との間に立ち上がり壁240を設けている。
【0006】
また、天板部250の他端から隣接して配置される同型のデッキ材200の固定部210の上方を覆う固定部カバー部260が水平に延設されている。
固定部カバー部260は、その先端から垂下されるように、隣接して配置されるデッキ材200の柱部230に当接し、その下端に設けられた係合突起261が固定部210に設けた係合凹部211に係合されるようになっている。
【0007】
したがって、このデッキ材200は、デッキ材200とデッキ材200との継ぎ目部分から固定部210側に雨水が入り込んでも、立ち上がり壁240が設けられているので、ビス固定位置まで雨水が入り込むことなく、立ち上がり壁240と柱部230とによって形成される溝部270を通って溝部270の両端から排水され、固定ビス孔から床下空間に雨漏りすることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−42115号公報
【特許文献2】特開2000−336906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記デッキ材200の場合、係合突起261が固定部210に設けた係合凹部211に係合されるようになっているので、出幅方向の幅調整が出来ないという欠点、係合突起261の係合部が外れて反るという欠点、デッキ材200全体の出幅方向の熱伸縮を吸収出来ずにデッキ材200が変形する欠点などがある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて、固定ビス孔からの漏水がなく、しかも出幅調整を簡単に行うことができるとともに、熱伸縮を吸収してデッキ材自体の変形を防止できるデッキ材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明にかかるデッキ材は、天板部と、この天板部と平行に配置された底板部と、天板部と底板部との間に間隔を隔てて介在し、同一方向に連続して設けられた複数の柱部と、前記底板部の一方の端縁から水平に延出し、下地材にビス固定される固定部と、天板部の前記固定部と逆方向の端縁から延出し、隣接して配置される同タイプのデッキ材の前記固定部を上方から覆うように配置される固定部カバー部とを備えるデッキ材であって、前記天板部の底面あるいは前記天板部の端部から垂れ下がるように設けられた垂れ壁との間に隙間が形成されるように、前記底板部の固定部側端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁を有し、前記固定部カバー部が、固定部を上方から覆うカバー部本体と、カバー部本体から延設され、隣接して配置される同タイプのデッキ材の前記隙間内に遊嵌される遊嵌部を有し、カバー部本体と隣接するデッキ材との境界部分に流れ込む雨水を、前記遊嵌部を介して前記隙間から前記立ち上がり壁と、この立ち上がり壁に隣接する柱部との間に導く雨水ガイド部とを備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明にかかるデッキ材は、特に限定されないが、一般的には、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られる。また、このような熱可塑性樹脂に木粉などの充填材を添加しても構わない。
また、本発明にかかるデッキ材は、特に限定されないが、例えば、立ち上がり壁の上方に天板部から垂れ下がる垂れ壁を有し、 雨水ガイド部は、ガバー部端部から垂れ下がり、隣接するデッキ材の前記垂れ壁に当接する当接部を有し、遊嵌部がこの当接部の下端部から延設されている構成や、遊嵌部が隙間から離脱する方向に力が加わったときに、立ち上がり壁または垂れ壁に係止される係止部が遊嵌部の先端に形成されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるデッキ材は、以上のように、天板部と、この天板部と平行に配置された底板部と、天板部と底板部との間に間隔を隔てて介在し、同一方向に連続して設けられた複数の柱部と、前記底板部の一方の端縁から水平に延出し、下地材にビス固定される固定部と、天板部の前記固定部と逆方向の端縁から延出し、隣接して配置される同タイプのデッキ材の前記固定部を上方から覆うように配置される固定部カバー部とを備えるデッキ材であって、前記天板部の底面あるいは前記天板部の端部から垂れ下がるように設けられた垂れ壁との間に隙間が形成されるように、前記底板部の固定部側端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁を有し、前記固定部カバー部が、固定部を上方から覆うカバー部本体と、カバー部本体から延設され、隣接して配置される同タイプのデッキ材の前記隙間内に遊嵌される遊嵌部を有し、カバー部本体と隣接するデッキ材との境界部分に流れ込む雨水を、前記遊嵌部を介して前記隙間から前記立ち上がり壁と、この立ち上がり壁に隣接する柱部との間に導く雨水ガイド部とを備えているので、固定ビス孔からの漏水がなく、しかも出幅調整を簡単に行うことができるとともに、熱伸縮を吸収してデッキ材自体の変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかるデッキ材の第1の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図2】図1のデッキ材の施工構造を説明する図であって、建物側の端部に配置されるデッキ材の取り付け状態の斜視図である。
【図3】図1のデッキ材の、デッキ材とデッキ材との連結部の取り付け状態をあらわす断面図である。
【図4】図1のデッキ材に端部固定部カバー材を取り付けた状態をあらわす斜視図である。
【図5】図1のデッキ材に用いるスターター材の別の例をあらわす側面図である。
【図6】図1のデッキ材に用いるスターター・端部固定部カバー兼用材の1例をあらわす斜視図である。
【図7】図1のデッキ材に用いるスターター・端部固定部カバー兼用材の別の例をあらわす斜視図である。
【図8】図6のスターター・端部固定部カバー兼用材をスターター材として用いた建物側の端部に配置されるデッキ材の取り付け状態の断面図である。
【図9】図6のスターター・端部固定部カバー兼用材を端部固定部カバー材として取り付けた状態をあらわす断面図である。
【図10】図7のスターター・端部固定部カバー兼用材を端部固定部カバー材として取り付けた状態をあらわす断面図である。
【図11】本発明にかかるデッキ材の第2の実施の形態をあらわし、そのデッキ材とデッキ材との連結部の取り付け状態をあらわす断面図である。
【図12】本発明にかかるデッキ材の第3の実施の形態をあらわし、そのデッキ材とデッキ材との連結部の取り付け状態をあらわす断面図である。
【図13】本発明にかかるデッキ材の第4の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図14】従来のデッキ材の1例をあらわす側面図である。
【図15】従来のデッキ材の他の例をあらわし、デッキ材とデッキ材との連結部の取り付け状態をあらわす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかるデッキ材の第1の実施の形態をあらわしている。
【0016】
図1に示すように、このデッキ材1aは、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を押出成形して得られ、天板部2と、底板部3、複数の柱部4と、垂れ壁5と、立ち上がり壁6と、固定部7と、固定部カバー部8と、を備えている。
天板部2は、その上面が床面を形成するようになっている。
【0017】
底板部3は、天板部2に対して所定間隔を保つように平行に配置されて、根太材等の下地材に下方から受けられるようになっている。
柱部4は、天板部2と底板部3との間に所定間隔を隔てて介在し、押出方向に直交する方向に連続して設けられて、天板部2と底板部3との間隔を保持している。
【0018】
天板部2及び底板部3の押出方向に直交する方向の一方の端が柱部4によって連結されている。
垂れ壁5は、天板部2の押出方向に直交する方向の他端から、底板部方向に垂下されるように垂れ下がっている。
【0019】
立ち上がり壁6は、底板部3の垂れ壁5に対面し、垂れ壁5との間に隙間Sを形成するように底板部3から立ち上がっている。
固定部7は、立ち上がり壁6が設けられた側の底板部3の端から水平方向に延出するように設けられている。押出方向に直交する方向の一方の端から水平に延出するように設けられている。
【0020】
固定部カバー部8は、天板部2の固定部7とは逆方向の端から延出するように設けられている。
そして、固定部カバー部8は、カバー部本体81と、雨水ガイド部としての当接部82と、遊嵌部83とを備えている。
【0021】
カバー部本体81は、天板部2の端から水平方向に延出するように設けられていて、固定部7と略同じ幅をしている。
当接部82は、カバー部本体81の先端から垂下され、その下端が隙間Sの下端と上端との間にくるように設けられている。
遊嵌部83は、当接部82の下端からカバー部本体81と逆方向に延出し、隙間Sより厚みが薄くなっている。
【0022】
つぎに、このデッキ材1aを用いた床の施工方法を詳しく説明する。
まず、図2に示すように、根太材Jの建物(図示せず)側の端部にスターター材9aを固定する。
【0023】
すなわち、スターター材9aは、デッキ材1aと同様にして熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られ、本体部91と、固定部92とを備えている。
本体部91は、四角筒状をしていて、根太材J上に載置された状態でその上面が遊嵌部83の下面の高さ位置にくる大きさに形成されている。
【0024】
固定部92は、本体部91の下端から一側に延出するように設けられている。
そして、スターター材9aは、本体部91を建物側に配置した状態で、固定部92を固定ビスBによって平行に並んだ各根太材(図面では1つしかあらわれていない)Jにねじ固体される。
【0025】
つぎに、上記のように固定されたスターター材9aの本体部91上に遊嵌部83が受けられた状態で根太材Jによって下方から受けられるようにデッキ材1aを根太材Jに載置し、デッキ材1aの固定部7を根太材Jに固定ビスBで固定する。
【0026】
続いて、図3に示すように、隣接して設けられる同型のデッキ材1aを、その遊嵌部83が隙間Sから立ち上がり壁6と柱部4とによって形成される溝部11内をその先端が臨むとともに、当接部82と垂れ壁5との間隔がデッキ材1aの熱伸縮を吸収できる幅となるように根太材Jに載置し、上記と同様にして固定部7を根太材Jに固定ビスBで固定する。
【0027】
そして、床の建物からの出幅分だけの枚数のデッキ材1aをつぎつぎに連結したのち、図4に示すように端部専用カバー材9bで、最も建物から離れたデッキ材1aの固定部7を上方からカバーする。
すなわち、この端部専用カバー材9bは、図4に示すように、カバー本体95と、立ち上がり壁係止部96と、固定部端部係止部97とを備え、立ち上がり壁係止部96を隙間Sから溝部11側に臨ませ、立ち上がり壁6に上端部に係止されるように配置するとともに、固定部端部係止部97を固定部7の端縁に引っ掛けるように配置し、カバー本体95によって固定ビス固定部分を上方からカバーするようになっている。
また、カバー本体95は、この装着状態で、隙間S側から固定部端部に向かって下り勾配となる。
【0028】
なお、建物側のデッキ材1aの建物側端部には、図示していないが、建物壁面に一端が固定されたカバー材が被せられるようになっている。また、根太材Jの建物の反対側の端部は、図示していないが、バルコニー等の枠材に支持されている。
【0029】
このデッキ材1aは、上記のようにして施工されるようになっているので、降った雨水等が、デッキ材1aとデッキ材1aと間に流れ込むと、遊嵌部83の上面で受けられて、溝部11側に入り込む。溝部11に入り込んだ雨水は、立ち上がり壁6があるので、固定部7側に流れ出ず、溝部11の長手方向両端から排水される。
したがって、固定ビス孔から床下に雨漏りすることがない。
【0030】
また、遊嵌部83が隙間Sより薄くなっているので、遊嵌部83が容易に隙間Sを介して溝部11側に挿入できるとともに、出幅調整も容易である。
さらに、上記のように、当接部82と垂れ壁5との間隔がデッキ材1aの熱伸縮を吸収できる幅となるように調整して施工することができるので、熱膨張によって当接部82と垂れ壁5とが圧接されてデッキ材1aにゆがみが生じたりすること防止できる。
【0031】
また、端部のデッキ材1aの固定部7が端部専用カバー材9bのカバー本体95によって上方からカバーされるので、端部のデッキ材1aの固定部7においても固定ビス孔部分が雨水等に濡れることがなく、固定ビス孔部分からの雨漏りが防止できるとともに、カバー本体95が隙間S側から固定部端部に向かって下り勾配となるので、この勾配に沿って雨水を効率よく排水する事が出来る。
【0032】
なお、上記スターター材9aあるいは端部専用カバー材9bに代えて、図5に示すスターター材9cや、図6及び図7に示すスターター・端部固定部カバー兼用材(以下、「兼用材」とのみ記す)9d、9eを用いることができる。
すなわち、図5に示すスターター材9cは、本体部93が端面コの字をしている以外は、上記スターター材9aと同様になっている。
【0033】
一方、図6に示す兼用材9dは、図6及び図8に示すように、本体部96と、固定部97とを備えている。
本体部96は、水平部96aと、2つの脚部96bとを備えている。
【0034】
水平部96aは,図8に示すように、固定部カバー部8の当接部82と、この当接部82に対面する柱部4との間隔と略同じ幅になっている。
2つの脚部96bは、水平部96aの幅方向の両端から平行に延出し、その延出長さが、底板部3の厚みと柱部4の高さの合計と同じに形成されている。
【0035】
固定部97は、遊嵌部支持部97aと、固定部本体97bとを備えている。
遊嵌部支持部97aは、支持部本体97cと、小脚部97dとを備えている。
【0036】
支持部本体97cは、脚部96bの下端面と、支持部本体97cと上端面との垂直方向の寸法が、根太材Jの上面から遊嵌部83の下端までの高さと同じになるように、一方の脚部96bの壁面から延出している。
また、支持部本体97cは、図9に示すように、脚部96bの下端面と、支持部本体97cと下端面との垂直方向の寸法が、立ち上がり壁6の高さと同じになる厚みをしている。
【0037】
小脚部97dは、支持部本体97cの端部から垂下され、脚部96bとの間に立ち上がり壁6の厚みと同じ幅の隙間97eを形成するとともに、その下端面が、脚部96bの下端面と同一平面内に収まるようになっている。
固定部本体97bは、その下端面が小脚部97dの下端面と同一平面内に収まるように、小脚部97dの下端部から延出している。
【0038】
そして、この兼用材9dは、スターター材として使用される場合には、図8に示すように、固定部本体97bを固定ビスBによって根太材Jに固定したのち、デッキ材1aが、その固定部カバー部8のカバー部本体81が水平部96aに受けられるように、兼用材9dの上方から被せられた状態で根太材Jに受けられるようになっている。
すなわち、水平部96aが柱部4と、当接部82との間に嵌り込むので、兼用材9dを正確に固定すれば、デッキ材1aの位置決めを別途行う必要がない。
【0039】
また、この兼用材9dは、図9に示すように、端部カバーとしても使用できる。
すなわち、上記のように、デッキ材1aをつぎつぎに根太材Jに固定したのち、最も端部のデッキ材1aの溝部11内に隙間Sを介して固定部97を臨ませるとともに、立ち上がり壁6を脚部96bと小脚部97dとの隙間97e内に嵌り込むように装着される。
そして、この装着によって、端部のデッキ材1aの固定ビスBが兼用材9dによって隠蔽される。また、この装着状態で、水平部96aの上端面とデッキ材1aの天板部2の上面とが面一となる。
【0040】
この兼用材9dは、以上のように、1つでスターター材としても端部カバー材としても使用することができ、金型コストが低減できる。
【0041】
他方、兼用材9eは、図7及び図10に示すように、兼用材本体98と、端部幅調整部99とを備えている。
兼用材本体98は、上記兼用材9dと同じ形状をしている。
【0042】
端部幅調整部99は、幅調整部本体99aと、3つの大脚部99b〜99dとを備えている。
幅調整部本体99aは、水平部96aと、同じ厚みで同じ上端面及び下端面が水平部96aの上端面及び下端面に一致するように水平方向に延出している。
【0043】
そして、幅調整部本体99aは、上面に3つの断面略V字をした溝99e〜99gが平行に設けられている。
最も水平部96a側の溝99eは、そのV字の底が、固定部3が設けられていない脚部96bの外側)の壁面(固定部97と逆側の面)と同一平面内に収まるように設けられている。
【0044】
大脚部99b〜99dは、脚部96bと平行に設けられていて、脚部96bより底板部3の厚み分だけ長くなっている。
また、脚部96bと最も外側の大脚部99bとの間に配置される2つの大脚部99c,99dは、その外側の壁面がそれぞれ、溝99fあるいは99gのV字の底と同一平面内に収まるように設けられている。
【0045】
この兼用材9eは、上記のようになっており、図10に示すように、兼用材本体98を上記兼用材9dと同様に装着することによって端部カバーとして使用することができる。
そして、幅調整部本体99aが3つの溝99e〜99gを備え、溝99e〜99gの底部分が薄肉になっているので、いずれかの溝99e〜99gの底に沿って簡単に切断することができる。
すなわち、いずれかの溝99e〜99gの底に沿って切断することによって、幅調整部本体99aの幅をデッキ材1aの端縁と、根太材Jに端部に設けられるバルコニーの壁(図示せず)との隙間にあわせた寸法に容易に調整することができる。
【0046】
また、この兼用材9eは、図示していないが、溝99bの底にそって幅調整部本体99aを切除すれば、上記兼用材9dと同じ形状の兼用材本体98のみとなり、上記兼用材9dと同様にしてスターター材としても使用することができる。
【0047】
図11は、本発明にかかるデッキ材の第2の実施の形態をあらわしている。
図11に示すように、このデッキ材1bは、遊嵌部83の先端に上方に直角に立ち上がる係止部84を設けた以外は、上記デッキ材1aと同様になっている。
このデッキ材1bは、上記デッキ材1aと同様の効果を備えているとともに、係止部84を備えているので、一端隙間Sから挿入した遊嵌部83が施工途中で抜け出ることを防止でき、施工性が向上する。
なお、係止部84は、遊嵌部83の端縁全長に沿って設けられている必要はなく、間欠的に設けられていてもよい。
【0048】
図12は、本発明にかかるデッキ材の第3の実施の形態をあらわしている。
図12に示すように、このデッキ材1cは、遊嵌部83の先端に下方に直角に垂れ下がる係止部85を設けた以外は、上記デッキ材1aと同様になっている。
このデッキ材1cは、上記デッキ材1aと同様の効果を備えているとともに、係止部85を備えているので、一端隙間Sから挿入した遊嵌部83が施工途中で抜け出ることを防止できとともに、遊嵌部83が熱などで上方側に反っても、遊嵌部83の上面に沿って溝部11側に入り込んだ雨水が遊嵌部83の裏面側を通って固定部7側に流れるという事故を防止することができる。
なお、係止部85は、遊嵌部83の端縁全長に沿って設けられている必要はなく、間欠的に設けられていてもよい。
【0049】
図13は、本発明にかかるデッキ材の第4の実施の形態をあらわしている。
図13に示すように、このデッキ材1dは、固定部7の出幅を小さくするとともに、固定部カバー部8に対面するように、固定部7あるいはスターター材9a、9bの固定部92に対面するように、リブ12が設けられている以外は、上記デッキ材1aと同様になっている。
【0050】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では遊嵌部が天板部と水平に方向に延出していたが、先端に向かって斜め下方に傾斜していても構わないし、その上面のみを斜め下方に傾斜させても構わない。
【符号の説明】
【0051】
1a,1b,1c,1d デッキ材
2 天板部
3 底板部
4 柱部
5 垂れ壁
6 立ち上がり壁
7 固定部
8 固定部カバー部
81 カバー部本体
82 当接部(雨水ガイド部)
83 遊嵌部(雨水ガイド部)
84 係止部
85 係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、この天板部と平行に配置された底板部と、天板部と底板部との間に間隔を隔てて介在し、同一方向に連続して設けられた複数の柱部と、前記底板部の一方の端縁から水平に延出し、下地材にビス固定される固定部と、天板部の前記固定部と逆方向の端縁から延出し、隣接した配置される同タイプのデッキ材の前記固定部を上方から覆うように配置される固定部カバー部とを備えるデッキ材であって、
前記天板部の底面あるいは前記天板部の端部から垂れ下がるように設けられた垂れ壁との間に隙間が形成されるように、前記底板部の固定部側端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁を有し、
前記固定部カバー部が、固定部を上方から覆うカバー部本体と、
カバー部本体から延設され、隣接した配置される同タイプのデッキ材の前記隙間内に遊嵌される遊嵌部を有し、カバー部本体と隣接するデッキ材との境界部分に流れ込む雨水を、前記遊嵌部を介して前記隙間から前記立ち上がり壁と、この立ち上がり壁に隣接する柱部との間に導く雨水ガイド部と
を備えていることを特徴とするデッキ材。
【請求項2】
立ち上がり壁の上方に天板部から垂れ下がる垂れ壁を有し、
雨水ガイド部は、ガバー部本体端部から垂れ下がり、隣接するデッキ材の前記垂れ壁に当接する当接部を有し、遊嵌部がこの当接部の下端部から延設されている請求項1に記載のデッキ材。
【請求項3】
遊嵌部が隙間から離脱する方向に力が加わったときに、立ち上がり壁または垂れ壁に係止される係止部が遊嵌部の先端に形成されている請求項1または請求項2に記載のデッキ材。
【請求項1】
天板部と、この天板部と平行に配置された底板部と、天板部と底板部との間に間隔を隔てて介在し、同一方向に連続して設けられた複数の柱部と、前記底板部の一方の端縁から水平に延出し、下地材にビス固定される固定部と、天板部の前記固定部と逆方向の端縁から延出し、隣接した配置される同タイプのデッキ材の前記固定部を上方から覆うように配置される固定部カバー部とを備えるデッキ材であって、
前記天板部の底面あるいは前記天板部の端部から垂れ下がるように設けられた垂れ壁との間に隙間が形成されるように、前記底板部の固定部側端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁を有し、
前記固定部カバー部が、固定部を上方から覆うカバー部本体と、
カバー部本体から延設され、隣接した配置される同タイプのデッキ材の前記隙間内に遊嵌される遊嵌部を有し、カバー部本体と隣接するデッキ材との境界部分に流れ込む雨水を、前記遊嵌部を介して前記隙間から前記立ち上がり壁と、この立ち上がり壁に隣接する柱部との間に導く雨水ガイド部と
を備えていることを特徴とするデッキ材。
【請求項2】
立ち上がり壁の上方に天板部から垂れ下がる垂れ壁を有し、
雨水ガイド部は、ガバー部本体端部から垂れ下がり、隣接するデッキ材の前記垂れ壁に当接する当接部を有し、遊嵌部がこの当接部の下端部から延設されている請求項1に記載のデッキ材。
【請求項3】
遊嵌部が隙間から離脱する方向に力が加わったときに、立ち上がり壁または垂れ壁に係止される係止部が遊嵌部の先端に形成されている請求項1または請求項2に記載のデッキ材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−58321(P2011−58321A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211711(P2009−211711)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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