説明

デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出用プライマーおよびプローブ

【課題】デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを、正確、迅速、かつ簡便に識別できるプローブおよびプライマーの提供。
【解決手段】特定の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなる、デッケラ・アノマラ(Dekkera anomala)および/またはデッケラ・ブルクセレンシス(Dekkera bruxellensis)検出用プローブまたはプライマー。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、酒類や清涼飲料の品質低下に関連するデッケラ属酵母およびブレタノミセス属酵母の検出用プライマーおよびプローブに関し、詳細には、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出用のLAMP法プライマーセットおよびPCR法プライマーセットに関する。
【背景技術】
【0002】
酵母が飲料中に汚染して増殖することによって起こる変敗が経済的な損害を与える品質事故は世界的に発生している。変敗の原因菌としてのデッケラ属(無性世代はブレタノミセス属と呼ばれる)酵母は、ビール、ワイン、清涼飲料水において混濁および不快な臭気を引き起こすことで知られている(Kurtzman, C.P. & Fell, J.W. The Yeasts, A Taxonomic Study, 4th edition, 1998, Elsevier Science B.V., The Netherlands)。
【0003】
ビール産業では、デッケラ属酵母は、一般的なビールで増殖すると酢酸、あるいは酢酸エステル類を生産し、ビール品質に損害を与える(Back, W.:Farbatlas und Handbuch der Geraenkebiologie, Teil I, 1994, Verlag Hans Carl, Nuernberg、European Brewery Convention:ANALYTICA - MICROBIOLOGICA - EBC, 2nd ed. 2005 Fachverlag Hans Carl, Nuernberg)。ワイン産業では、デッケラ属酵母は4−エチルフェノールなどのフェノール臭物質、アミン類、酢酸等を生成する。これら酵母が汚染したワインは、官能検査では「獣様」「家畜小屋様」等の用語で表現され、商品価値が低下する(Mitrakulら:Food Microbiology, 1999, vol. 16, 3-14、Phisterら:Applied and Environmental Microbiology, 2003, vol. 69, 7430-7434、Silvaら:Am. J. Enol. Vitic., 2004, vol. 55, 65-72)。
【0004】
清涼飲料産業では、デッケラ属酵母は、グルコースやその他の炭素源から大量の酢酸等の酸を生成し、酢酸エステル等に起因する特徴的な臭気の原因となる(Back, W.:Farbatlas und Handbuch der Geraenkebiologie, Teil II, 1999, Verlag Hans Carl, Nuernberg)。
【0005】
このようにデッケラ属酵母は、製品、あるいは工程中で増殖すると産業に与える影響が大きいために、これら酵母を迅速に検出・同定する技術は、品質管理上重要である。
【0006】
伝統的な野生酵母の検出法は培養法であるが、デッケラ属酵母の場合はシクロヘキシミドを添加した選択培地を使って、通常1〜2週間程度はかかる。さらに生化学的な同定方法は3〜4週間かかり、しかも結果はしばしば曖昧である(Phisterら:Applied and Environmental Microbiology, 2003, vol. 69, 7430-7434、Silvaら:Am. J. Enol. Vitic., 2004, vol. 55, 65-72)。
【0007】
これらのデッケラ属酵母を分子生物学的手法で検出する方法は過去にいくつか報告されている。Ibeasら(Applied and Evironmental Microbiology, 1996, vol. 62, 998-1003)は、2ステップPCRで汚染されたシェリー酒中の10細胞程度のデッケラ属酵母を検出できたと報告した。Hyldig-Nielsenら(WO00/77259号公報)、およびStenderら(Applied and Environmental Microbiology, 2001, vol. 67, 938-941)はデッケラ・ブルクセレンシスの26S rRNA遺伝子に対するペプチド核酸プローブを開発し、蛍光in situハイブリダイゼーション法によって、ワインからデッケラ・ブルクセレンシスを検出、識別する方法を開発した。Delahercheら(Journal of Applied Microbiology, 2004, vol. 97, 910-915)、およびPhisterら(Applied and Environmental Microbiology, 2003, vol. 69, 7430-7434)は、リアルタイムPCR技術によりワインからデッケラ・ブルクセレンシスを検出する技術について報告している。
【0008】
また、デッケラ属酵母の菌種レベルの識別については以下のような報告がある。すなわち、Mitrakulら(Food Microbiology, 1999, vol. 16, 3-14)はRAPD PCRによりデッケラ属酵母の種、あるいは株レベルでの区別が可能であったと報告した。また、 Cocolinら(FEMS Microbiol. Lett., 2000, vol. 189, 81-87)は、ワイン中のデッケラ属酵母から直接PCRで遺伝子を増幅して、denaturing gradient gel electrophoresis(DGGE)により区別する方法を報告した。
【0009】
Egliら(Am. J. Enol. Vitic., 2001, vol. 52, 241-247)は、デッケラ属酵母のリボゾームRNA遺伝子に挟まれた2つのinternal transcribed spacer (ITS)領域およびその間に存在する5.8S rRNA遺伝子について、PCRで増幅した後、制限酵素処理により得られた断片のパターンの多様性により区別した。
【0010】
Morrisseyら(Journal of Applied Microbiology 2004, vol. 97, 647-655)は、伝統的アイルランドサイダー醸造におけるデッケラ属酵母のフローラの研究のため、ITS領域と5.8S rRNA遺伝子のPCR増副産物の制限酵素切断断片解析により、解析した。
【0011】
更に、デッケラ・ブルクセレンシス、デッケラ・アノマラのITS領域の塩基配列を用いてそれぞれを特異的に検出するマイクロアレイ法用のオリゴヌクレオチドを固定化させた基板を作成し、これら酵母の当該領域をPCR法で増幅させた後にハイブリダイゼーションで検出する方法が報告されている(特許文献1)。
【0012】
しかしPCR法、リアルタイムPCR法、および蛍光in situハイブリダイゼーション法は高度な温度制御や蛍光観察が必要なため、高価な機器を必要とする。また2ステップPCR法、RAPD PCR法、増幅産物の制限酵素処理、およびDGGE法は、時間がかかるとともに、煩雑な操作が必要であり、日々の微生物検査業務の中で行うことには問題があった。
【0013】
LAMP(loop mediated isothermal amplification)法と言う核酸増幅技術は、等温で反応が進む、6領域を認識する4種類のプライマーを使用するために特異性が高い、増幅効率が高く、短時間に増幅が可能である、増幅産物量が多く、簡易検出に適している等の特徴を有している(WO00/28082号公報およびT. Notomiら: Nucleic Acids research, 2000, 28(12), e63)。
【0014】
土屋らは、ブレタノミセス属、デッケラ属酵母のrRNA遺伝子のD2領域から、これらの属の酵母を検出するLAMP法用のプライマーを開発した(WO2005/093059号公報)。
【0015】
また、これまでに、デッケラ属酵母およびブレタノミセス属酵母を検出対象とするLAMP法プライマーセットとして、デッケラ属酵母のITS領域を用いたプライマーセットが報告されている(特許文献2)。
【0016】
しかし、デッケラ属酵母およびブレタノミセス属酵母を検出対象とするLAMP法プライマーセットとして、デッケラ・アノマラやデッケラ・ブルクセレンシスの18S rRNA遺伝子配列を用いたプライマーセットについては、これまでに報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特表2009−504134号公報
【特許文献2】WO2007/132589号公報
【発明の概要】
【0018】
本発明者は、デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシスの18SリボソームRNA(18S rRNA)遺伝子において、デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシスに特異的な塩基配列を見出した。具体的には、デッケラ・アノマラの18S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号6)における配列番号8の塩基配列、およびデッケラ・ブルクセレンシスの18S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号7)における配列番号9の塩基配列が、デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシスに共通して特異的であることを見出した。本発明者はまた、この特異的な配列に基づいて設計したデッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシス検出用LAMP法プライマーセットまたはPCR法プライマーセットによって、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを正確に検出できることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0019】
本発明は、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを正確に検出できるプライマーおよびプローブ並びにプライマーセットを提供することを目的とする。本発明は、また、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出方法および飲料の混濁可能性の判定方法を提供することを目的とする。
【0020】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)配列番号8または9の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなる、デッケラ・アノマラ(Dekkera anomala)および/またはデッケラ・ブルクセレンシス(Dekkera bruxellensis)検出用プローブまたはプライマー。
(2)配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチドである、前記(1)に記載のプローブまたはプライマー。
(3)配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドである、前記(1)に記載のプローブまたはプライマー。
(4)配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列において1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列において1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである、前記(1)に記載のプローブまたはプライマー。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のプライマーを少なくとも1種含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシス検出用LAMP法プライマーセット。
(6)配列番号6または7の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなるプライマーを更に含んでなる、前記(5)に記載のLAMP法プライマーセット。
(7)FIP、F3、BIP、およびB3、並びに場合によってはLFおよび/またはLBを含んでなり、
FIPまたはBIPが、配列番号6の651〜723番目または配列番号7の646〜718番目の塩基配列の一部または全部を少なくとも含んでなる配列番号6または7の部分配列またはその部分配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも30塩基のポリヌクレオチドからなる、
前記(5)または(6)に記載のLAMP法プライマーセット。
(8)配列番号6または7の部分配列が、配列番号6の651〜674番目または配列番号7の646〜669番目の塩基配列の一部または全部を少なくとも含んでなる配列である、前記(7)に記載のLAMP法プライマーセット。
(9)FIPおよびBIPが、それぞれ、配列番号6の651〜723番目または配列番号7の646〜718番目の塩基配列の一部または全部を少なくとも含んでなる配列番号6または7の部分配列またはその部分配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも30塩基のポリヌクレオチドからなる、前記(7)に記載のLAMP法プライマーセット。
(10)配列番号6または7の部分配列が、配列番号6の651〜674番目または配列番号7の646〜669番目の塩基配列の一部または全部を少なくとも含んでなる配列である、前記(9)に記載のLAMP法プライマーセット。
(11)下記ポリヌクレオチドを含んでなる、前記(5)〜(10)のいずれか一項に記載のLAMP法プライマーセット:
配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(FIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(F3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(BIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;および
配列番号4の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(B3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド。
(12)配列番号5の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(LF)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを更に含んでなる、前記(11)に記載のLAMP法プライマーセット。
(13)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のプライマーを少なくとも1種含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシス検出用PCR法プライマーセット。
(14)配列番号6または7の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなるプライマーを更に含んでなる、前記(13)に記載のPCR法プライマーセット。
(15)下記ポリヌクレオチドを含んでなる、前記(13)または(14)に記載のPCR法プライマーセット:
配列番号10の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、もしくはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、または
配列番号11の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、もしくはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
(16)配列番号1〜5または10〜11の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)である、前記(11)、(12)、および(15)のいずれか一項に記載のプライマーセット。
(17)配列番号1〜5または10〜11の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドである、前記(11)、(12)、および(15)のいずれか一項に記載のプライマーセット。
(18)配列番号1〜5または10〜11の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列において、1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ対応する塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである、前記(11)、(12)、および(15)のいずれか一項に記載のプライマーセット。
(19)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のプローブまたはプライマー、前記(5)〜(12)のいずれか一項に記載のLAMP法プライマーセット、前記(13)〜(15)のいずれか一項に記載のPCR法プライマーセット、または前記(16)〜(18)のいずれか一項に記載のプライマーセットを用いて試料中の標的核酸を検出する工程を含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出方法および飲料の混濁可能性の判定方法。
【0021】
本発明によるプライマーおよびプローブ並びにプライマーセットによれば、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを正確に検出することができる。特に、本発明によるLAMP法プライマーセットは、LAMP法による核酸増幅反応に使用することができ、増幅産物の有無により対象菌種を検出することができる。従って、本発明によるプライマーおよびプローブ並びにプライマーセット(特に、LAMP法プライマーセット)によれば、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを、正確、かつ迅速、かつ簡便に識別することができる。
【0022】
また、本発明によるプローブおよびプライマー並びにプライマーセットは、各種飲料を混濁させる原因菌であるデッケラ・アノマラとデッケラ・ブルクセレンシスとを同時に検出することができ、これにより試薬を節約できることから、簡便かつ低コストの検出を提供できる点でも有利である。
【0023】
さらに、本発明によるプローブおよびプライマー並びにプライマーセットは、18S rRNAを標的としたものであり、他の領域(例えば、ITS領域)を標的としたプライマーセットと組み合わせる場合には1本のチューブで検出を行うことができることから、より精度が高く、簡便かつ低コストの検出を提供できる点でも有利である。
【0024】
デッケラ・アノマラ、デッケラ・ブルクセレンシスは、ビール、発泡酒、およびワインなどの各種飲料を混濁させる原因菌であり、これらの菌の存在・不存在は各種飲料の品質管理の指標となりうる。従って、本発明によるプライマーセットは、各種飲料(特に、ビール、発泡酒、およびワイン)の品質管理や環境試料の検査に有用である。
【発明の具体的説明】
【0025】
プライマー、プローブ、およびプライマーセット
本発明では、配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、並びに配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシス検出用のプライマーやプローブとして用いることができる(以下、「本発明によるプライマーまたはプローブ」ということがある)。
【0026】
本発明では、配列番号6または7の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、並びに配列番号6または7の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを、本発明によるプライマーまたはプローブと組み合わせてデッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシス検出用のプライマーとして用いることができる。
【0027】
本明細書において「ハイブリダイズする」とは、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、標的ポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドには、実質的にはハイブリダイズしないことを意味する。ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下で実施することができる。ここで「ストリンジェントな条件」は、プライマー配列とその相補鎖との二重鎖のTm(℃)および必要な塩濃度などに依存して決定でき、プライマーとなる配列を選択した後にそれに応じたストリンジェントな条件を設定することは当業者に周知の技術である(例えば、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)等参照)。ストリンジェントな条件としては、ハイブリダイゼーションに通常用いられる適切な緩衝液中で、ヌクレオチド配列によって決定されるTmよりわずかに低い温度(例えば、Tmよりも0〜約5℃低い温度)においてハイブリダイゼーション反応を実施することが挙げられる。ストリンジェントな条件としてはまた、ハイブリダイゼーション反応後の洗浄を高濃度低塩濃度溶液で実施することが挙げられる。ストリンジェントな条件の例としては、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム溶液中で、37℃(約14塩基のオリゴヌクレオチドについて)、48℃(約17塩基のオリゴヌクレオチドについて)、55℃(約20塩基のオリゴヌクレオチドについて)、60℃(約23塩基のオリゴヌクレオチドについて)の洗浄条件が挙げられる。
【0028】
本発明によるプライマーまたはプローブでは、配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチドとすることができる。
【0029】
本発明によるプライマーまたはプローブでは、また、配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドとすることができる。
【0030】
本発明によるプライマーまたはプローブでは、さらに、配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列において1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列において1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドとすることができる。
【0031】
本発明によるプライマーと組み合わせて用いられるプライマーでは、配列番号6または7の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号6または7の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号6または7の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド、および配列番号6または7の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチドとすることができる。
【0032】
本発明によるプライマーと組み合わせて用いられるプライマーでは、また、配列番号6または7の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号6または7の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号6または7の塩基配列の相補配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド、および配列番号6または7の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドとすることができる。
【0033】
本発明によるプライマーと組み合わせて用いられるプライマーでは、さらに、配列番号6または7の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号6または7の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号6または7の塩基配列の相補配列において1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ配列番号6または7の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、および配列番号6または7の塩基配列において1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ配列番号6または7の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドとすることができる。
【0034】
本発明によるプライマーと組み合わせて使用されるプライマー(LAMP法プライマーまたはPCR法プライマー)は、配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、並びに配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドとすることもできる。この場合、配列番号6の651〜723番目または配列番号7の646〜718番目の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドとすることもできるし、さらに、配列番号6の651〜674番目または配列番号7の646〜669番目の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドとすることもできる。
【0035】
本発明によるLAMP法プライマーセットは、FIP、F3、BIP、およびB3の4種類のプライマーからなり、これらのプライマーは標的ヌクレオチド配列の6つの領域に対応している。具体的には、標的塩基配列について、3’末端側から5’末端側に向かって順番にF3c、F2c、F1c、B1、B2、B3という領域をそれぞれ規定し、この6領域に対し、4種類のプライマー、すなわちFIP、F3、BIPおよびB3を作製する。ここで、F3c、F2c、F1cの各領域に相補的な領域はそれぞれF3、F2、F1であり、またB1、B2、B3の各領域に相補的な領域はそれぞれB1c、B2c、B3cである。
【0036】
FIPは、標的配列のF2c領域と相補的なF2領域を3’末端側にもち、5’末端側に標的遺伝子のF1c領域と同じ配列を持つように作製されたプライマーである。必要ならば、FIPプライマーのF1cとF2の間に制限酵素部位を導入することもできる。
【0037】
F3は、標的遺伝子のF3c領域と相補的なF3領域をもつように作製されたプライマーである。
【0038】
BIPは、標的配列のB2c領域と相補的なB2領域を3’末端側にもち、5’末端側に標的遺伝子のB1c領域と同じ配列を持つように作製されたプライマーである。必要ならば、BIPプライマーのB1cとB2の間に制限酵素部位を導入することもできる。
【0039】
B3は、標的遺伝子のB3c領域と相補的なB3領域をもつように作製されたプライマーである。
【0040】
LAMP法プライマーの作製に当たっては、FIPおよびBIPを構成するF1c(F1)領域およびB1(B1c)領域は、識別性のより高い部分配列を含むように設計することが好ましい。特に、F1およびB1の3’末端領域は、識別性が特に高い配列に対応するように設計することが好ましい。F3およびB3は、FIPおよびBIPを構成する領域の周辺領域から設計できることは当業者に自明である。
【0041】
FIPおよびBIPプライマーに制限酵素部位が含まれる場合、LAMP法による核酸増幅反応後に増幅産物を制限酵素で処理することによって、電気泳動後に1つのバンドとして観察することができる。この場合、もし標的配列に制限酵素部位があれば、プライマーに人為的に制限酵素部位を導入しなくてもよい。
【0042】
本発明によるLAMP法プライマーセットの実施に当たっては、核酸の増幅反応を加速するためにループプライマー(LFプライマーまたはLBプライマー)を1種類あるいは2種類追加してもよい。ループプライマーは、F1領域とF2領域の間の領域、あるいはB1領域とB2領域の間の領域にアニールするように設計できる。このようにして設計したループプライマーをLAMP法反応系に追加して使用すると、これらのプライマーが核酸増幅工程で利用されていないループ部分に結合することにより、全てのループ部分を起点として核酸反応が進み、核酸増幅反応が加速される(例えば、特開2002−345499号公報参照)。
【0043】
具体的には、配列番号5の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(LF)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを、ループプライマーとして、更に含んでいてもよい。
【0044】
本発明においては、配列番号8または9、好ましくは、配列番号6または7および配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドに基づいて、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを検出するためのLAMP法プライマーセットを選択することができる。LAMP法は周知であり、当業者であればLAMP法プライマーを適宜設計することができる。具体的には、LAMP法の実施に必要な4種類のプライマー、すなわち、FIP、F3、BIP、およびB3を、前述のように設計し、必要に応じてループプライマー、すなわち、LFおよびLBを使用することもできる。
【0045】
LAMP法においては、好ましくは、LAMP法の実施に必要な4種のプライマーのうち、少なくともFIPおよびBIPのいずれか一方、またはFIPおよびBIPの両方の一部または全部を、配列番号6または7の塩基配列のうちより識別性の高い部分、すなわち、配列番号6の651〜723番目(配列番号8)、より好ましくは、651〜674番目の塩基配列、あるいは配列番号7の646〜718番目(配列番号9)、より好ましくは、646〜669番目の塩基配列の一部(例えば、少なくとも6塩基、好ましくは少なくとも10塩基、より好ましくは、少なくとも12塩基、さらにより好ましくは、少なくとも15塩基)または全部を少なくとも含んでなる部分配列またはその部分配列の相補配列、に対合するように選択してもよい。この場合、LAMP法の実施に必要な他のプライマーは、配列番号6の塩基配列またはその相補配列に対合するように選択しても、配列番号6の塩基配列およびその相補配列以外の配列(配列番号6の配列の外側の領域)に対合するように選択してもよい。あるいは、LAMP法の実施に必要な他のプライマーは、配列番号7の塩基配列またはその相補配列に対合するように選択しても、配列番号7の塩基配列およびその相補配列以外の配列(配列番号7の配列の外側の領域)に対合するように選択してもよい。
【0046】
配列番号6または7あるいは配列番号8または9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをLAMP法プライマーのFIPおよびBIPとして用いる場合には、そのヌクレオチド長は、少なくとも30塩基、好ましくは、少なくとも38塩基、より好ましくは、少なくとも41塩基、特に好ましくは、少なくとも43塩基とすることができ、また、好ましくは、最大で72塩基、より好ましくは最大で60塩基、特に好ましくは最大で54塩基とすることができる。そのヌクレオチド長は、例えば、30〜72塩基、38〜60塩基、41〜60塩基、43〜54塩基とすることができる。
【0047】
配列番号6または7あるいは配列番号8または9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをLAMP法のFIPおよびBIPとして用いる場合には、配列番号6または7、あるいは配列番号8または9の塩基配列またはその相補配列の連続する少なくとも30個(例えば、30〜70個)、好ましくは、少なくとも38個(例えば、38〜60個)、より好ましくは、少なくとも41個(例えば、41〜57塩基)のヌクレオチド、さらにより好ましくは、少なくとも43個(例えば、43〜54塩基)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で72塩基、好ましくは最大で60塩基、より好ましくは最大で57塩基、さらにより好ましくは最大で54塩基とすることができる)をプライマーとして使用できる。
【0048】
配列番号8の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをLAMP法のFIPおよび/またはBIPとして用いる場合には、好ましくは、配列番号6の651〜674番目の塩基配列の一部(例えば、少なくとも6塩基、好ましくは、少なくとも10塩基、より好ましくは、少なくとも12塩基、さらにより好ましくは、少なくとも15塩基)または全部を少なくとも含んでなる配列番号6の部分配列またはその部分配列の相補配列の連続する少なくとも30個(例えば、30〜70個)、好ましくは、少なくとも38個(例えば、38〜60個)、より好ましくは、少なくとも41個(例えば、41〜57塩基)のヌクレオチド、さらにより好ましくは、少なくとも43個(例えば、43〜54塩基)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で72塩基、好ましくは最大で60塩基、より好ましくは最大で57塩基、さらにより好ましくは最大で54塩基とすることができる)をプライマーとして使用できる。
【0049】
配列番号9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをLAMP法のFIPおよび/またはBIPとして用いる場合には、好ましくは、配列番号7の646〜669番目の塩基配列の一部(例えば、少なくとも6塩基、好ましくは、少なくとも10塩基、より好ましくは、少なくとも12塩基、さらにより好ましくは、少なくとも15塩基)または全部を少なくとも含んでなる配列番号7の部分配列またはその部分配列の相補配列の連続する少なくとも30個(例えば、30〜70個)、好ましくは、少なくとも38個(例えば、38〜60個)、より好ましくは、少なくとも41個(例えば、41〜57塩基)のヌクレオチド、さらにより好ましくは、少なくとも43個(例えば、43〜54塩基)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で72塩基、好ましくは最大で60塩基、より好ましくは最大で57塩基、さらにより好ましくは最大で54塩基とすることができる)をプライマーとして使用できる。
【0050】
配列番号6または7あるいは配列番号8または9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをLAMP法プライマーのF3、B3、LB、およびLFとして用いる場合には、そのヌクレオチド長は、少なくとも12塩基、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも17塩基、特に好ましくは、少なくとも19塩基とすることができ、また、好ましくは、最大で35塩基、より好ましくは最大で30塩基、特に好ましくは最大で25塩基とすることができる。そのヌクレオチド長は、例えば、12〜25塩基または12〜35塩基、15〜25塩基または15〜35塩基、17〜25塩基または17〜35塩基、19〜25塩基または19〜35塩基とすることができる。
【0051】
配列番号6または7あるいは配列番号8または9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをLAMP法のF3、B3、LB、およびLFとして用いる場合には、配列番号6または7あるいは配列番号8または9の塩基配列またはその相補配列の連続する少なくとも10個(例えば、10〜25個または10〜30個)、好ましくは、少なくとも12個(例えば、12〜25個または12〜30個)、より好ましくは、少なくとも15個(例えば、15〜25個または15〜30個)、さらにより好ましくは、少なくとも17個(例えば、17〜25個または17〜30個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は、最大で35塩基、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは最大で25塩基とすることができる)をプライマーとして使用できる。
【0052】
本発明によるLAMP法プライマーの具体例としては、配列番号1(FIP)、配列番号2(F3)、配列番号3(BIP)、配列番号4(B3)、配列番号5(LF)の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、更にはこれらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが挙げられる。なお、これらのポリヌクレオチドが本発明によるPCR法プライマー、本発明によるPCR法プライマーと組み合わせて用いられるPCR法プライマー、本発明によるプローブとして用いることができることはいうまでもない。
【0053】
配列番号8または9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをPCR法プライマー(本発明によるPCR法プライマー)として用いる場合には、そのヌクレオチド長は、少なくとも12塩基、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも18塩基、特に好ましくは、少なくとも20塩基とすることができ、また、最大で40塩基、好ましくは、最大で35塩基、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは、最大で25塩基とすることができる。そのヌクレオチド長は、例えば、12〜25塩基または12〜30塩基、15〜25塩基または15〜30塩基、18〜25塩基または18〜30塩基、20〜25塩基または20〜30塩基とすることができる。
【0054】
配列番号8または9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをPCR法プライマーとして用いる場合には、配列番号8または9の塩基配列またはその相補配列の連続する少なくとも10個(例えば、10〜25個および10〜30個)、好ましくは、少なくとも15個(例えば、15〜25個および15〜30個)、より好ましくは、少なくとも18個(例えば、18〜25個および18〜30個)、特に好ましくは、少なくとも20個(例えば、20〜25個および20〜30個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基、より好ましくは最大で24塩基とすることができる)をプライマーとして使用できる。
【0055】
本発明によるPCR法プライマーの具体例としては、配列番号10の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、更にはこれらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが挙げられる。なお、これらのポリヌクレオチドが、本発明によるLAMP法プライマー、本発明によるPCR法プライマーと組み合わせて用いられるPCR法プライマー、本発明によるプローブとして用いることができることはいうまでもない。
【0056】
配列番号6または7の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドを、本発明によるPCR法プライマーと組み合わせて用いられるPCR法プライマーとして用いる場合には、そのヌクレオチド長は、少なくとも12塩基、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも18塩基、特に好ましくは、少なくとも20塩基とすることができ、また、最大で40塩基、好ましくは、最大で35塩基、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは、最大で25塩基とすることができる。そのヌクレオチド長は、例えば、12〜25塩基または12〜30塩基、15〜25塩基または15〜30塩基、18〜25塩基または18〜30塩基、20〜25塩基または20〜30塩基とすることができる。
【0057】
配列番号6または7の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをPCR法プライマーとして用いる場合には、配列番号6または7の塩基配列(例えば、配列番号6の651〜723番目の塩基配列、または配列番号6の651〜674番目の塩基配列、あるいは、配列番号7の646〜718番目の塩基配列、または配列番号7の646〜669番目の塩基配列)またはその相補配列の連続する少なくとも10個(例えば、10〜25個および10〜30個)、好ましくは、少なくとも15個(例えば、15〜25個および15〜30個)、より好ましくは、少なくとも18個(例えば、18〜25個および18〜30個)、特に好ましくは、少なくとも20個(例えば、20〜25個および20〜30個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基、より好ましくは最大で24塩基とすることができる)をプライマーとして使用できる。
【0058】
本発明によるPCR法プライマーと組み合わせて使用されるプライマーの具体例としては、配列番号11の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、更にはこれらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが挙げられる。なお、これらのポリヌクレオチドを本発明によるLAMP法プライマー、本発明によるPCR法プライマー、本発明によるプローブとして用いることができる場合がある。
【0059】
本発明においては、また、配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドに基づいて、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを検出するためのPCR法プライマーペアを選択することができる。具体的には、PCR法においては、二つのプライマーの一方が配列番号8の塩基配列に対合し、他方のプライマーが配列番号6の塩基配列(例えば、配列番号6の423〜444番目の塩基配列)の相補配列に対合し、かつ一方のプライマーにより伸長された伸長鎖にもう一方のプライマーが対合するようにプライマーを選択できる。ここで、配列番号6の塩基配列の相補配列に対合するように選択されたプライマーは、配列番号7の塩基配列にも対合することができる。あるいは、二つのプライマーの一方が配列番号9の塩基配列に対合し、他方のプライマーが配列番号7の塩基配列(例えば、配列番号7の418〜439番目の塩基配列)の相補配列に対合し、かつ一方のプライマーにより伸長された伸長鎖にもう一方のプライマーが対合するようにプライマーを選択できる。ここで、配列番号7の塩基配列の相補配列に対合するように選択されたプライマーは、配列番号6の塩基配列にも対合することができる。また、PCR法においては、二つのプライマーの一方が配列番号8の塩基配列に対合し、他方のプライマーが配列番号6の塩基配列の相補配列以外の配列(配列番号6の配列の外側の領域)に対合し、かつ一方のプライマーにより伸長された伸長鎖にもう一方のプライマーが対合するようにプライマーを選択してもよい。あるいは、PCR法においては、二つのプライマーの一方が配列番号9の塩基配列に対合し、他方のプライマーが配列番号7の塩基配列の相補配列以外の配列(配列番号7の配列の外側の領域)に対合し、かつ一方のプライマーにより伸長された伸長鎖にもう一方のプライマーが対合するようにプライマーを選択してもよい。
【0060】
PCR法においては、好ましくは、二つのプライマーの一方あるいは両方を、配列番号6の塩基配列のうちより識別性の高い部分、すなわち、配列番号6の651〜723番目の塩基配列(配列番号8)、より好ましくは、651〜674番目の塩基配列の一部(例えば、少なくとも6塩基、好ましくは、少なくとも10塩基、より好ましくは、少なくとも12塩基、さらにより好ましくは、少なくとも15塩基)または全部を少なくとも含んでなる配列番号6の部分配列またはその部分配列の相補配列、に対合するように選択してもよい。また、好ましくは、二つのプライマーの一方あるいは両方を、配列番号7の塩基配列のうちより識別性の高い部分、すなわち、配列番号7の646〜718番目の塩基配列(配列番号9)、より好ましくは、646〜669番目の塩基配列の一部(例えば、少なくとも6塩基、好ましくは、少なくとも10塩基、より好ましくは、少なくとも12塩基、さらにより好ましくは、少なくとも15塩基)または全部を少なくとも含んでなる配列番号7の部分配列またはその部分配列の相補配列、に対合するように選択してもよい。
【0061】
配列番号8または9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをプローブとして用いる場合には、そのヌクレオチド長は、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも18塩基、特に好ましくは、少なくとも20塩基とすることができ、また、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは最大で25塩基、特に好ましくは最大で24塩基とすることができる。そのヌクレオチド長は、例えば、15〜30塩基、18〜24塩基、18〜30塩基、20〜25塩基、または20〜30塩基とすることができる。
【0062】
配列番号8または9の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをプローブとして用いる場合には、配列番号8または9の塩基配列またはその相補配列の連続する少なくとも12個(例えば、12〜30個)、好ましくは、少なくとも15個(例えば、15〜30個)、より好ましくは、少なくとも18個(例えば、18〜24個および18〜30個)、特に好ましくは、少なくとも20個(例えば、20〜25個および20〜30個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基、より好ましくは最大で24塩基とすることができる)をプローブとして使用できる。
【0063】
本発明においては、また、配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドに基づいて、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを検出するためのプローブを選択することができる。
【0064】
本発明によるプローブの具体例としては、配列番号10の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、更にはこれらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが挙げられる。
【0065】
本発明では、配列番号1〜5または10〜11の塩基配列で表されるポリヌクレオチドのみならず、配列番号1〜5または10〜11の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(以下、「相同ポリヌクレオチド」と言うことがある)も、プライマーやプローブとして用いることができる。なお、これらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドもプライマーやプローブとして用いることができることはいうまでもない。
【0066】
相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、少なくとも10塩基である。
【0067】
LAMP法プライマーでは、FIPおよびBIPの相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、少なくとも30塩基、好ましくは、少なくとも38塩基、より好ましくは、少なくとも41塩基、特に好ましくは、少なくとも43塩基とすることができ、また、好ましくは、最大で72塩基、より好ましくは、最大で60塩基、特に好ましくは、最大で54塩基とすることができる。FIPおよびBIPの相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、例えば、30〜72塩基、38〜60塩基、41〜60塩基、43〜54塩基とすることができる。
【0068】
LAMP法プライマーでは、FIPおよびBIPの相同ポリヌクレオチドは、それぞれ、対応する塩基配列の連続する少なくとも30個、好ましくは少なくとも38個、より好ましくは少なくとも41個、さらにより好ましくは43個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドであることができる。
【0069】
LAMP法プライマーでは、F3、B3、LF、およびLBの相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、少なくとも12塩基、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも17塩基、特に好ましくは、少なくとも19塩基とすることができ、また、最大で35塩基、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは、最大で25塩基とすることができる。F3、B3、LF、およびLBの相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、例えば、12〜25塩基または12〜30塩基、15〜25塩基または15〜30塩基、17〜25塩基または17〜30塩基、19〜25塩基または19〜35塩基とすることができる。
【0070】
LAMP法プライマーでは、F3、B3、LF、およびLBの相同ポリヌクレオチドは、それぞれ、対応する塩基配列の連続する少なくとも10個、好ましくは少なくとも12個、より好ましくは少なくとも15個、特に好ましくは少なくとも17個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドであることができる。
【0071】
配列番号1〜5の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチドの例を示すと以下の通りである。
【0072】
・配列番号1の塩基配列で表されるFIPの相同ポリヌクレオチド:配列番号1の連続する少なくとも30個(30〜44個)、好ましくは、少なくとも38個(38〜44個)、より好ましくは、少なくとも42個(42〜44個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で60塩基、好ましくは最大で57塩基、より好ましくは最大で50塩基とすることができる)。
【0073】
・配列番号2の塩基配列で表されるF3の相同ポリヌクレオチド:配列番号2の連続する少なくとも15個(15〜20個)、より好ましくは、少なくとも18個(18〜20個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基とすることができる)。
【0074】
・配列番号3の塩基配列で表されるBIPの相同ポリヌクレオチド:配列番号3の連続する少なくとも30個(30〜42個)、好ましくは、少なくとも38個(38〜42個)、より好ましくは、少なくとも40個(40〜42個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で60塩基、好ましくは最大で57塩基、より好ましくは最大で50塩基とすることができる)。
【0075】
・配列番号4の塩基配列で表されるB3の相同ポリヌクレオチド:配列番号4の連続する少なくとも15個(15〜19個)、より好ましくは、少なくとも17個(17〜19個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基とすることができる)。
【0076】
・配列番号5の塩基配列で表されるLFの相同ポリヌクレオチド:配列番号5の連続する少なくとも15個(15〜20個)、より好ましくは、少なくとも17個(17〜20個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基とすることができる)。
【0077】
PCR法プライマーでは、相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、少なくとも12塩基、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも18塩基、特に好ましくは、少なくとも20塩基とすることができ、また、最大で40塩基、好ましくは、最大で35塩基、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは、最大で25塩基とすることができる。相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、例えば、12〜25塩基または12〜30塩基、15〜25塩基または15〜30塩基、18〜25塩基または18〜30塩基、20〜25塩基または20〜30塩基とすることができる。
【0078】
PCR法プライマーでは、相同ポリヌクレオチドは、それぞれ、対応する塩基配列の連続する少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも17個、特に好ましくは少なくとも19個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドであることができる。
【0079】
配列番号10の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号10の連続する少なくとも10個(10〜19個)、好ましくは、少なくとも15個(15〜19個)、より好ましくは、少なくとも18個(18〜19個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で25塩基、好ましくは最大で30塩基とすることができる)であり、好ましくは、1または数個の変異が導入されていてもよい配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
【0080】
配列番号11の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号11の連続する少なくとも10個(10〜22個)、好ましくは、少なくとも15個(15〜22個)、より好ましくは、少なくとも18個(18〜22個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で25塩基、好ましくは最大で30塩基とすることができる)であり、好ましくは、1または数個の変異が導入されていてもよい配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
【0081】
プローブでは、相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、少なくとも12塩基、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも17塩基、特に好ましくは、少なくとも19塩基とすることができ、また、好ましくは、最大で30塩基、好ましくは、最大で25塩基、より好ましくは、最大で24塩基とすることができる。相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、例えば、12〜25塩基または12〜30塩基、15〜25塩基または15〜30塩基、17〜25塩基17〜30塩基とすることができる。
【0082】
プローブでは、相同ポリヌクレオチドは、それぞれ、対応する塩基配列の連続する少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも17個、特に好ましくは少なくとも19個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドであることができる。
【0083】
配列番号10の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号10の連続する少なくとも10個(10〜19個)、好ましくは、少なくとも15個(15〜19個)、より好ましくは、少なくとも18個(18〜19個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で25塩基、好ましくは最大で30塩基とすることができる)であり、好ましくは、1または数個の変異が導入されていてもよい配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
【0084】
相同ポリヌクレオチド、並びに配列番号6、配列番号7、配列番号8、および配列番号9の塩基配列やその相補配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、それぞれ、対応する塩基配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチドであることができる。同一性の数値は、当業界において周知のアルゴリズムに従って算出することができ、例えば、BLAST(http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/blast-j.html)を使用して同一性の数値を算出することができる。
【0085】
相同ポリヌクレオチド、並びに配列番号6、配列番号7、配列番号8、および配列番号9の塩基配列やその相補配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、また、それぞれ、対応する塩基配列に1または数個の変異が導入された改変塩基配列からなり、かつ対応する塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドであることができる。
【0086】
本願明細書において、「変異」は、同一または異なっていてもよく、置換、欠失、挿入、および付加から選択でき、好ましくは、ある1個の塩基を他の1個の塩基に置換する「一塩基置換」、ある1個の塩基を欠失させる「一塩基欠失」、ある1個の塩基を挿入する「一塩基挿入」、およびある1個の塩基を付加する「一塩基付加」から選択できる。また、変異の個数は、1〜6個、1、2、3、または4個、1または2個、あるいは1個とすることができる。
【0087】
本願明細書において「ポリヌクレオチド」とはDNA、RNA、およびPNA(peptide nucleic acid)を含む意味で用いられる。
【0088】
本発明によるプライマーおよびプライマーセット等を構成するポリヌクレオチドは、例えばホスファイト・トリエステル法(Hunkapiller, M. et al., Nature, 310,105, 1984)等の通常の方法に準じて、核酸の化学合成を行うことにより調製してもよいし、検出対象の菌株の全DNAを取得し、本明細書に開示されるヌクレオチド配列に基づいて目的のヌクレオチド配列を含むDNA断片をPCR法等で適宜取得してもよい。
【0089】
デッケラ・アノマラの18S rRNA遺伝子の配列が開示されているGenBankアクセッション番号は、X83820(配列番号6)である。また、デッケラ・ブルクセレンシスの18S rRNA遺伝子の配列が開示されているGenBankアクセッション番号は、X83815(配列番号7)である。
【0090】
本発明によるLAMP法プライマーセットまたはPCR法プライマーセット(PCR法プライマーペア)は、単独で使用しても、他のプライマーセットと適宜組み合わせて使用してもよい。他のプライマーセットを組み合わせて実施することにより、各種飲料の品質を低下させる原因菌をより正確に検出することが可能となる。
【0091】
本発明によるプライマーセットは、キットの形態で提供することができる。従って、本発明によれば、本発明によるプライマーセットを含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出キットが提供される。本発明によれば、また、本発明によるプローブを含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出キットが提供される。
【0092】
本発明によるプライマーセットは、単独で、あるいは他のプライマーセットと組み合わせて、キットの形態で提供することができる。従って、本発明によれば、本発明によるLAMP法プライマーセットと、他のLAMP法プライマーセットとを含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出キットが提供される。本発明によれば、また、本発明によるPCR法プライマーセットと他のPCR法プライマーセット含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出キットが提供される。
【0093】
ここで、「他のプライマーセット」としては、各種飲料の品質低下に影響を与える菌を検出できるプライマーセットであれば特に限定されず、例えば、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出用の他のプライマーセットであってもよいし、デッケラ・クステルシアナ(Dekkera custersiana)、ブルタノミセス・ナーデネンシス(Brettanomyces naardenensis)等、デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシス以外のデッケラ属酵母の検出用プライマーセットであってもよい。また、「他のプライマーセット」としては、本発明によるプライマーセットが標的としている18S rRNA遺伝子以外の領域(例えば、18S rRNA遺伝子と25S rRNA遺伝子との間のスペーサー領域(ITS領域))を標的とするプライマーセットを使用することができる。標的が異なるプライマーセットを組み合わせることにより、複数のプライマーセットによる検出を1本のチューブで行うことができる点で有利である。
【0094】
LAMP法プライマーセットを含む本発明によるキットは、LAMP法による核酸増幅反応の実施に必要な試薬(例えば、Bst DNAポリメラーゼ、反応用試薬混合液)や器具(例えば、反応用チューブ)を含んでいてもよい。
【0095】
PCR法プライマーセットを含む本発明によるキットは、PCR法による核酸増幅反応の実施に必要な試薬(例えば、DNAポリメラーゼ、精製水)や器具(例えば、反応用チューブ)を含んでいてもよい。
【0096】
本発明によるプライマーセットを用いて核酸増幅反応を実施すると、各種飲料(例えば、酒類)の品質低下の原因となるデッケラ属酵母を正確に識別することができる。従って、本発明によるプライマーセットおよびキットは、各種飲料(例えば、酒類、特に、ビール、発泡酒、およびワイン)の品質管理や、環境試料(例えば、原料用水)の検査に用いることができる。
【0097】
デッケラ・アノマラ、デッケラ・ブルクセレンシスは、ビール、発泡酒、およびワインの製造工程あるいは最終製品に、品質劣化の原因菌として見られるものである。従って、本発明によるプライマーセットの組み合わせは、好ましくは、ビール、発泡酒、およびワインの品質管理に用いることができる。
【0098】
検出方法および判定方法
本発明によるプライマーおよびプローブ並びにプライマーセットは、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出に用いることができる。すなわち、本発明によれば、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料とを接触させ、試料中の標的核酸を検出する工程を含んでなる、上記デッケラ属酵母の検出方法が提供される。より具体的には、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料とを接触させ、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料中との標的核酸とのハイブリダイゼーションを検出する工程を含む、上記デッケラ属酵母の検出方法が提供される。
【0099】
デッケラ・アノマラ、デッケラ・ブルクセレンシスのようなデッケラ属酵母は各種飲料(例えば、酒類、特に、ビール、発泡酒、およびワイン)を混濁させる原因菌である。従って、本発明によるプローブおよびプライマー並びにプライマーセットは、上記デッケラ属酵母の検出のみならず、各種飲料(例えば、酒類、特に、ビール、発泡酒、およびワイン)の混濁可能性の判定に用いることができる。すなわち、本発明によるプローブおよびプライマー並びにプライマーセットにより検出対象菌種が検出された場合には、混濁菌が試料中に存在していると、あるいは試料が混濁する見込みがあると判定することができる。
【0100】
従って、本発明によれば、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料とを接触させ、試料中の標的核酸を検出する工程を含んでなる、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。より具体的には、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料とを接触させ、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料中との標的核酸とのハイブリダイゼーションを検出する工程を含む、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。
【0101】
ここで、ハイブリダイゼーションの検出方法は周知であり、その検出のための装置、器具は市販のものを用いることができる。ハイブリダイゼーションの検出は、例えば、LAMP法やPCR法など周知の核酸増幅法を使用して増幅産物の有無等を検出することにより、あるいはサザンブロット法など周知の核酸検出法を使用してハイブリダイゼーション複合体の有無等を検出することにより、実施することができる。
【0102】
本発明による検出方法の具体的な態様としては、核酸試料に対してLAMP法による核酸増幅反応を実施した後、核酸増幅産物の有無を検出する工程を含む検出方法が挙げられる。
【0103】
すなわち、本発明によれば、
(a)本発明によるLAMP法プライマーセットを用いて、試料中の核酸についてLAMP法により核酸増幅反応を実施する工程;および
(b)増幅産物の有無を検出する工程
を含んでなり、増幅産物の生成がデッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの存在を示す、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出方法が提供される。
【0104】
本発明によれば、また、
(a)本発明によるLAMP法プライマーセットを用いて、試料中の核酸についてLAMP法により核酸増幅反応を実施する工程;および
(b)増幅産物の有無を検出する工程
を含んでなり、増幅産物の生成が混濁可能性を示す、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。
【0105】
LAMP法による核酸増幅工程に供される試料は、試料中の菌体を培養してから核酸を抽出しても、培養せずに核酸を抽出してもよい。菌体の培養や核酸の抽出など核酸試料の調製については後述する。
【0106】
LAMP法による核酸増幅工程では、試料中の核酸に対して増幅反応が実施される。LAMP法による核酸増幅反応については後述する。
【0107】
試料中に検出対象菌種が存在する場合には、標的とする特定の領域が増幅され、増幅産物が生成する。増幅産物が生成した場合には、核酸増幅反応が実施された試料溶液が白濁することから、試料溶液の濁度を測定することにより増幅産物の有無を決定することができる。LAMP法における濁度の測定は周知であり、市販のエンドポイント濁度測定装置(例えば、テラメックス社製LA−100)やリアルタイム濁度測定装置(例えば、テラメックス社製LA−200)を用いて濁度の測定をすることができる。
【0108】
本発明による検出方法の具体的な態様としては、核酸試料に対してPCR法による核酸増幅反応を実施した後、核酸増幅産物の有無を検出する工程を含む検出方法が挙げられる。
【0109】
すなわち、本発明によれば、
(a’)本発明によるPCR法プライマーセットを用いて、試料中の核酸についてPCR法により核酸増幅反応を実施する工程;および
(b’)増幅産物の有無を検出する工程
を含んでなり、増幅産物の生成がデッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの存在を示す、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出方法が提供される。
【0110】
本発明によれば、また、
(a’)本発明によるPCR法プライマーセットを用いて、試料中の核酸についてPCR法により核酸増幅反応を実施する工程;および
(b’)増幅産物の有無を検出する工程
を含んでなり、増幅産物の生成が混濁可能性を示す、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。
【0111】
PCR法による核酸増幅工程に供される試料は、試料中の菌体を培養してから核酸を抽出しても、培養せずに核酸を抽出してもよい。菌体の培養や核酸の抽出など核酸試料の調製については後述する。
【0112】
PCR法による核酸増幅工程では、試料中の核酸に対して増幅反応が実施される。PCR法による核酸増幅反応は周知であり、当業者であればPCR法およびその改変方法の実施条件等を適宜設定し、PCR法を実施することができる。
【0113】
本発明による検出方法のうちプローブによる検出方法の具体的な態様としては、核酸試料に対する本発明によるプローブのハイブリダイゼーションを実施した後、核酸複合体の有無を検出する工程を含む検出方法が挙げられる。
【0114】
すなわち、本発明によれば、
(a”)本発明のプローブと、試料中の核酸とを接触させる工程;および
(b”)ハイブリダイゼーション複合体の有無を検出する工程
を含んでなり、ハイブリダイゼーション複合体の生成がデッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの存在を示す、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出方法が提供される。
【0115】
本発明によれば、また、
(a”)本発明のプローブと、試料中の核酸とを接触させる工程;および
(b”)ハイブリダイゼーション複合体の有無を検出する工程
を含んでなり、ハイブリダイゼーション複合体の生成が混濁可能性を示す、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。
【0116】
プローブを用いた検出法においては、プローブを標識して用いることができる。標識としては、例えば、放射性元素(例えば、32Pおよび14C)、蛍光化合物(例えば、FITC)、酵素反応に関与する分子(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ)が挙げられる。
【0117】
ハイブリダイゼーション複合体の検出は、ノーザンハイブリダイゼーション、サザンハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション等の周知の方法を用いて実施できる。ハイブリダイゼーション複合体の検出に先立って、未結合プローブやハイブリダイズしないその他の成分を除去してもよい。
【0118】
LAMP法による核酸増幅反応
本発明によるLAMP法プライマーセットは、LAMP法による核酸増幅反応のプライマーとして用いることができる。本発明によるプライマーセットはまた、LAMP法のみならず、LAMP法を改良した核酸増幅反応のプライマーとしても用いることができる。
【0119】
LAMP法の原理およびそれを利用した核酸増幅方法は周知であり、LAMP法による核酸増幅反応の実施に当たっては、例えば、WO00/28082号公報やNotomi T. et al., Nucleic Acids Research, 28(12),e63(2000)の開示を参照することができる。
【0120】
LAMP法による核酸増幅反応は、市販のLAMP法遺伝子増幅試薬キットに従って実施することができるが、例えば、サンプルのDNA、プライマー溶液、および市販のLAMP法遺伝子増幅試薬キット(例えば、栄研化学社製Loopamp DNA増幅キット)で提供される試薬を、キットに添付されている説明書に従って混合して一定温度(60〜65℃)に保ち、一定時間(標準で1時間)反応させることにより実施できる。
【0121】
LAMP法による核酸増幅反応は、以下のような工程を経て実施することができる。
(i)鎖置換型DNAポリメラーゼの働きにより、FIPのF2領域の3’末端を起点として鋳型DNAと相補的なDNA鎖が合成される。
(ii)FIPの外側に、F3プライマーがアニールし、その3’末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されているFIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(iii)F3プライマーから合成されたDNA鎖と鋳型DNAが二本鎖となる。
(iv)FIPから先に合成されたDNA鎖は、F3プライマーからのDNA鎖によって剥がされて一本鎖DNAとなるが、このDNA鎖は、5’末端側に相補的な領域F1c、F1をもち、自己アニールを起こし、ループを形成する。
(v)上記(iv)の過程でループを形成したDNA鎖に対し、BIPがアニールし、このBIPの3’末端を起点として相補的なDNAが合成される。この過程でループが剥がされて伸びる。さらに、BIPの外側にB3プライマーがアニールし、その3’末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されたBIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(vi)上記(v)の過程で二本鎖DNAが形成される。
(vii)上記(v)の過程で剥がされたBIPから合成されたDNA鎖は両端に相補的な配列を持つため、自己アニールし、ループを形成してダンベル様の構造となる。
(viii)上記ダンベル構造のDNA鎖を起点として、FIP次いでBIPのアニ−リングを介して所望DNAの増幅サイクルが行われる。
【0122】
LAMP法による核酸増幅反応は、上記の工程を適宜改変して実施できることは当業者に自明であろう。本発明によるプライマーセットはそのような改変された方法にも用いることができる。
【0123】
本発明によるLAMP法プライマーセットは、約60〜約65℃(例えば65℃)においてアニーリングと同時にDNA鎖の合成も起こす。アニ−リング反応およびDNA鎖合成により約1時間反応を行うことにより10〜1010倍に核酸を増幅させることができる。
【0124】
本発明によるLAMP法プライマーセットをLAMP法による核酸増幅反応の条件の下で試料核酸と反応させると、検出対象の菌株のターゲット領域が増幅される。このような増幅反応が起こると、副産物として形成されるピロリン酸マグネシウムの影響で反応液が白濁するため、この濁度に基づき増幅の有無が目視により判定できる。増幅の有無は、濁度測定装置を用いて濁度を光学的に測定してもよく、また、アガロースゲル電気泳動法などを利用してDNA断片の有無を確認し検出してもよい。
【0125】
核酸増幅が観察されるならば、標的塩基配列が存在することを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陽性(+)を表す。逆に、核酸増幅が観察されない場合には、標的塩基配列が不存在であることを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陰性(−)を表す。
【0126】
PCR法による核酸増幅反応
本発明によるPCR法プライマーセットは、PCR法、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、in situ PCR等の核酸増幅法を利用して、偏性嫌気性細菌の識別に用いることができる。
【0127】
核酸増幅物が観察されるならば、標的塩基配列が存在することを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陽性(+)を表す。逆に、核酸増幅が観察されない場合には、標的塩基配列が不存在であることを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陰性(−)を表す。
【0128】
PCR法では、アガロースゲル電気泳動など周知の方法に従って核酸増幅物を検出することができる。また、リアルタイムPCR法では、インターカレーターや蛍光標識プローブを使用し、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計とが一体化された装置において、核酸増幅物を経時的に検出することができる。
【0129】
検出対象試料とその調製
本発明によるプライマーセットおよびキットの検出の対象となる試料としては、ビール、発泡酒、ワインなどの酒類;ラムネ、炭酸水などの清涼飲料;原料用に採取された水等の環境試料;酒類や清涼飲料等の製造工程から採取された半製品などが挙げられる。
【0130】
これらをLAMP法の試料として用いる場合には、試料中に存在する菌の濃縮、分離、および培養、菌体からの核酸分離、核酸の濃縮などの操作を前処理として実施してもよい。試料中に存在する菌の濃縮や分離の方法としては、ろ過、遠心分離などが挙げられ、適宜選択できる。また試料から濃縮、分離した菌を、さらに培養して菌数を増やしてもよい。培養には、対象とする酵母株の増殖に適切な寒天固体培地や液体培地を用いることができ、また対象とする酵母株を選択するためにシクロヘキシミドなどの薬剤を添加してもよい。飲料試料や環境試料などに存在する菌体、あるいは培養した菌体から核酸を遊離させるためには、例えば、市販のキットを使用する方法や、アルカリ溶液などによって菌体を処理し、100℃での加熱により菌体から核酸を遊離させる方法を選択することができる。また、核酸を更に精製する必要があれば、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿や遠心等により核酸の精製を行い、最終的にTE緩衝液などに再溶解させ鋳型DNAとして試験に供してもよい(European Brewery Convention:ANALYTICA - MICROBIOLOGICA - EBC, 2nd ed. 2005 Fachverlag Hans Carl, Nuernberg、Rolfsら:PCR - Clinical diagnostics and research, Springer-Verlag, Berlin, 1992、大嶋泰治ら:蛋白 核酸 酵素, vol. 35, 2523-2541, 1990)。
【0131】
本発明によるプライマーセットおよびキットを用いたデッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出は、例えば、以下のように実施することができる。
【0132】
まず、試料中に存在すると考えられるデッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスを適切な培地で増菌培養する。次いで、寒天培地上に形成されたコロニーからDNAを分離し、このDNAに対して本発明によるプライマーセットを用いたLAMP法を実施し、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの特定遺伝子領域を増幅する。遺伝子増幅産物の存在は検出対象菌種の存在を示す。また、検出対象菌種の存在は、混濁菌が試料中に存在していること、あるいは試料が混濁する見込みを示す。
【実施例】
【0133】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0134】
実施例1:LAMP法プライマーセットによるデッケラ属酵母の検出
(a)ゲノムDNA抽出法
寒天平板培地上で培養した菌体をかき取り、滅菌蒸留水に懸濁した。この懸濁液を遠心分離(15000rpm、5分間)し、上澄みを捨てた。沈殿した菌体に再度滅菌蒸留水を添加、懸濁し、遠心分離した。上澄みを捨て、得られた菌体にPrepMan Ultra(アプライドバイオシステムズ社製)の溶液100μlを添加し、95℃、10分間加熱した。その後、15000rpm、1分間遠心分離し、上澄みをゲノムDNA溶液として使用した。あるいは洗浄した菌体に0.1N NaOH溶液を100μl添加し、95℃、10分間加熱した。その後、1M Tris緩衝液(pH7.0)を用いて中和し、上澄みをゲノムDNA溶液として使用した。
【0135】
(b)LAMP用プライマー
以下のデッケラ属酵母検出用プライマーを、富士通システムソリューションズ社のeGenome Order(http://genome.e-mp.jp/index.html)、あるいはそれと同等の方法で化学合成し、TE緩衝液(pH8.0)で100μMの濃度になるように溶解した。これらの溶液を、FIP、BIPプライマー:16μM、F3、B3プライマー:2μM、LF、LBプライマー:8μMとなるように混合し、希釈した。
[デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシス検出用プライマーセット(D18A1LB2)]
FIP: GCCCAAGGTTCAACTACGAGCTTGTAATTCCAGCTCCAATAGCG(配列番号1)
F3: ACAATTGGAGGGCAAGTCTG(配列番号2)
BIP: CCATTCGGCGAGTACTGGATAACCATCCTGGTTCAACACCCG(配列番号3)
B3: GGCCTGCTTTGAACACTCT(配列番号4)
LB: GAGCCTTTCCTTCTGGCTAG(配列番号5)
なお、上記プライマーセットは、デッケラ・アノマラの18S rRNA遺伝子塩基配列アクセションNo. X83820の塩基配列に基づいて設計した。
【0136】
(c)LAMP増幅反応溶液調製
LAMP法のための遺伝子増幅試薬キットとして、栄研化学社製Loopamp DNA増幅キットを使用した。反応用チューブに、ゲノムDNA溶液:2.5μl、プライマー溶液:2.5μl、2倍濃度反応用緩衝液:12.5μl、Bst DNAポリメラーゼ:1μl、滅菌水:6.5μlを添加し、全量25μlの反応液を調製した。
【0137】
(d)LAMP反応
LAMP反応には、テラメックス社製リアルタイム濁度計LA−200、あるいは栄研化学社製LA−320Cを使用した。反応チューブをセットし、65℃一定(ボンネットは75℃)で反応させ、その間の濁度変化を6秒毎に計測した。濁度が上昇するものを陽性、濁度の上昇が認められないものを陰性とした。
【0138】
(e)プライマーの評価
デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシス検出用プライマーとして開発したプライマーセット、D18A1LB2について、各種デッケラ属酵母株を用いてLAMP法で特異性を評価した。
【0139】
その結果、当該プライマーセットは、検出対象とするデッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシスの菌株と反応させた場合に、反応開始40分程度でDNA増幅に伴う濁度の上昇が観察された(表1)。また、当該プライマーセットは、検出対象の菌株であれば、海外の菌株保存機関の保存株や工場分離株、あるいは分離源(例えば、ビール、ワイン、清涼飲料等)が異なる菌株であっても特異的に検出できることが確認された(表1)。一方、同じデッケラ属酵母であっても、検出対象以外の菌種の菌株と反応させた場合は、DNA増幅は見られなかった(表1)。
【0140】
さらに、各種酵母標準株、ビール醸造用酵母、ビール工場分離野生酵母、ワイン分離野生酵母株を使用して当該プライマーセットの特異性を評価したところ、検出対象とするデッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシス以外の菌株と反応させた場合はほとんど増幅が見られず、特異性が非常に高いことが分かった(表1〜4)。
【0141】
表1:各種デッケラ属酵母株を使ったプライマーの評価(マス内の数字:増幅が起こるまでの反応時間、−:反応90分以内に増幅なし)
【表1】

【0142】
表2:各種酵母標準株を使ったプライマーの評価(マス内の数字:増幅が起こるまでの反応時間、−:反応90分以内に増幅なし)
【表2】

【0143】
表3:各種ビール醸造用酵母、ビール醸造所分離野生酵母株を使ったプライマーの評価(マス内の数字:増幅が起こるまでの反応時間、−:反応90分以内に増幅なし)
【表3】

【0144】
表4:各種ワイン分離野生酵母株を使ったプライマーの評価(マス内の数字:増幅が起こるまでの反応時間、−:反応90分以内に増幅なし)
【表4】

【0145】
以上により、デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシスに対して作成した本発明によるプライマーセットは、該デッケラ属酵母を正確に検出できることが示された。
【0146】
実施例2:デッケラ・クステルシアナ用プライマーセットとの組み合わせの検討
実施例1のデッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシス検出用プライマーセット(D18A1LB2)とデッケラ・クステルシアナ検出用プライマーセット(DC2LB1)(WO2007/132589号公報)とを混合して使用し、ビール混濁デッケラ属酵母としてビール工場で問題になっているデッケラ・アノマラ、デッケラ・ブルクセレンシス、およびデッケラ・クステルシアナを1本の反応チューブで検出が可能かどうか検討した。
【0147】
(a)デッケラ・クステルシアナ用プライマーセット
以下のデッケラ・クステルシアナ検出用プライマーセット(DC2LB1)について、実施例1(b)と同様にLAMP法用プライマー溶液を調製した。デッケラ・クステルシアナ検出用プライマーセット(DC2LB1)はITS領域を標的としている。
[デッケラ・クステルシアナ検出用プライマーセット(DC2LB1)]
FIP: CGGTGCCGTCATCACAACTACGGGCATGCCTGTTTGAGC(配列番号12)
F3: AGTTCTTGAACGCACATTGC(配列番号13)
BIP: GCGGTCCGTCGAAGAGAATGACGTAGATAAAAGTCAACGACTGGTC(配列番号14)
B3: TCCTCCTACCTGATTTGAGGT(配列番号15)
LB: AGTTAACGGAGTAAGGTTTC(配列番号16)
【0148】
(b)LAMP増幅反応溶液調製
LAMP法のための遺伝子増幅試薬キットとして、栄研化学社製Loopamp DNA増幅キットを使用した。反応用チューブに、ゲノムDNA溶液:2.5μl、D18A1LB2プライマー溶液:2.5μl、DC2LB1プライマー溶液:2.5μl、2倍濃度反応用緩衝液:12.5μl、Bst DNAポリメラーゼ:1μl、滅菌水:4μlを添加し、全量25μlの反応液を調製した。
その後、実施例1(d)の記載に従って、LAMP法により各種菌株の検出を行った。
【0149】
(c)プライマーの評価
デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシス検出用プライマーとして開発したプライマーセット、D18A1LB2と、デッケラ・クステルシアナ検出用プライマーとして開発したプライマーセット、DC2LB1との混合プライマーについて、各種デッケラ属酵母株を用いてLAMP法で特異性を評価した。
【0150】
その結果、当該混合プライマーセットは、検出対象とするデッケラ・アノマラ、デッケラ・ブルクセレンシス、およびデッケラ・クステルシアナと反応させた場合に、反応開始40分程度でDNA増幅に伴う濁度の上昇が観察された(表5)。一方、同じデッケラ属酵母であっても、検出対象以外の菌種の菌株(ビール混濁菌ではないブレタノミセス・ナーデネンシス(Brettanomyces naardenensis))と反応させた場合は、DNA増幅は見られなかった(表5)。
【0151】
さらに、各種ビール醸造用酵母、ビール工場分離野生酵母を使用して当該混合プライマーセットの特異性を評価したところ、検査対象とするデッケラ・アノマラ、デッケラ・ブルクセレンシス、およびデッケラ・クステルシアナ以外の菌株と反応させた場合はほとんど増幅が見られず、特異性が非常に高いことが分かった(表5および6)。
【0152】
表5:各種デッケラ属酵母株を使ったプライマーの評価(マス内の数字:増幅が起こるまでの反応時間、−:反応90分以内に増幅なし)
【表5】

【0153】
表6:各種ビール醸造用酵母、ビール醸造所分離野生酵母株を使ったプライマーの評価(マス内の数字:増幅が起こるまでの反応時間、−:反応90分以内に増幅なし)
【表6】

【0154】
以上により、D18A1LB2とDC2LB1との混合プライマーセットは、ビール工場において問題となるビール混濁デッケラ属酵母を正確に、かつ効率よく検出できること示された。
【0155】
実施例3:PCR法プライマーペアによるデッケラ属酵母の検出
(a)ゲノムDNA抽出法
ゲノムDNAの抽出は、実施例1(a)に従った。
【0156】
(b)PCR用プライマー
PCR用プライマーを、ホスホアミダイド法で化学合成した。
合成されたプライマー(オリゴヌクレオチド)は、それぞれ、TE(pH8.0)で20μMになるように溶解した。
[プライマーペア]
正規鎖側プライマー: TCCAGTACTC GCCGAATGG (配列番号10)
逆鎖側プライマー : CGCAAATTAC CCAATCCTGA CA (配列番号11)
【0157】
(c)PCR反応溶液の調製およびPCR反応
PCR法にはタカラバイオ社製Ex Taqを用いた。反応チューブ1本につき、上記したゲノムDNA溶液を1μl、各プライマー溶液を1μlずつ、およびタカラバイオ社製Ex Taqの付属の各試薬を説明書に従って混合し、滅菌水で全量50μlにした。この反応チューブをサーマルサイクラーにセットして、94℃・30秒、50℃・30秒、72℃・1分の温度プログラムを25回繰り返してPCR反応を実施した。
【0158】
(d)プライマーの評価
当該プライマーペアは、検出対象とするデッケラ・アノマラ、デッケラ・ブルクセレンシスの菌株と反応させた場合に、予想通りに約250bpのバンド(増幅産物)が観察された(表7)。一方、検出対象以外の菌種と反応させた場合は、バンドは観察されなかった。
【0159】
表7:各種酵母株を使ったPCR用プライマーの評価(+:約250bpのバンドの増幅あり、−:バンドの増幅なし)
【表7】

【0160】
以上のことから、デッケラ・アノマラおよびデッケラ・ブルクセレンシスに対して作成された本発明によるプライマーペアは、該デッケラ属酵母を正確に検出できることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号8もしくは9の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなる、デッケラ・アノマラ(Dekkera anomala)および/またはデッケラ・ブルクセレンシス(Dekkera bruxellensis)検出用プローブまたはプライマー。
【請求項2】
配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチドである、請求項1に記載のプローブまたはプライマー。
【請求項3】
配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドである、請求項1に記載のプローブまたはプライマー。
【請求項4】
配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、配列番号8または9の塩基配列の相補配列において1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ配列番号8または9の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、および配列番号8または9の塩基配列において1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ配列番号8または9の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである、請求項1に記載のプローブまたはプライマー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマーを少なくとも1種含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシス検出用LAMP法プライマーセット。
【請求項6】
配列番号6もしくは7の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなるプライマーを更に含んでなる、請求項5に記載のLAMP法プライマーセット。
【請求項7】
FIP、F3、BIP、およびB3、並びに場合によってはLFおよび/またはLBを含んでなり、
FIPまたはBIPが、配列番号6の651〜723番目または配列番号7の646〜718番目の塩基配列の一部または全部を少なくとも含んでなる配列番号6もしくは7の部分配列またはその部分配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも30塩基のポリヌクレオチドからなる、
請求項5または6に記載のLAMP法プライマーセット。
【請求項8】
配列番号6または7の部分配列が、配列番号6の651〜674番目または配列番号7の646〜669番目の塩基配列の一部または全部を少なくとも含んでなる配列である、請求項7に記載のLAMP法プライマーセット。
【請求項9】
FIPおよびBIPが、それぞれ、配列番号6の651〜723番目または配列番号7の646〜718番目の塩基配列の一部または全部を少なくとも含んでなる配列番号6もしくは7の部分配列またはその部分配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも30塩基のポリヌクレオチドからなる、請求項7に記載のLAMP法プライマーセット。
【請求項10】
配列番号6または7の部分配列が、配列番号6の651〜674番目または配列番号7の646〜669番目の塩基配列の一部または全部を少なくとも含んでなる配列である、請求項9に記載のLAMP法プライマーセット。
【請求項11】
下記ポリヌクレオチドを含んでなる、請求項5〜10のいずれか一項に記載のLAMP法プライマーセット:
配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(FIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(F3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(BIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;および
配列番号4の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(B3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号5の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(LF)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを更に含んでなる、請求項11に記載のLAMP法プライマーセット。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマーを少なくとも1種含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシス検出用PCR法プライマーセット。
【請求項14】
配列番号6もしくは7の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなるプライマーを更に含んでなる、請求項13に記載のPCR法プライマーセット。
【請求項15】
下記ポリヌクレオチドを含んでなる、請求項13または14に記載のPCR法プライマーセット:
配列番号10の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、もしくはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、または
配列番号11の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、もしくはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
【請求項16】
配列番号1〜5または10〜11の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)である、請求項11、12、および15のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項17】
配列番号1〜5または10〜11の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドである、請求項11、12、および15のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項18】
配列番号1〜5または10〜11の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列において、1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ対応する塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである、請求項11、12、および15のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項19】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプローブまたはプライマー、請求項5〜12のいずれか一項に記載のLAMP法プライマーセット、請求項13〜15のいずれか一項に記載のPCR法プライマーセット、または請求項16〜18のいずれか一項に記載のプライマーセットを用いて試料中の標的核酸を検出する工程を含んでなる、デッケラ・アノマラおよび/またはデッケラ・ブルクセレンシスの検出方法および飲料の混濁可能性の判定方法。

【公開番号】特開2011−125280(P2011−125280A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287698(P2009−287698)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】