説明

デバイスおよびデバイスの製造方法

【課題】支持部材との接触面に凹部を設け、該支持部材上に載置しても、異物、傷が付かない構造を有するデバイスを提供する。また、凹部を形成する位置を光学的機能部の位置に対して高い精度で調整して製造することが可能な、デバイスの製造方法を提供する。また、第一基板に備えられた光学的機能部に対して、凹部の加工の影響が及ぶのを回避して製造することが可能な、デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】第一基板101の一方の主面101Sと第二基板105の一方の主面105Sとが、接着層104を介して接合され、第一基板101の一方の主面101Sに内在する光学的機能部102と、第二基板105の他方の主面105T側に配され、光学的機能部102を含み重なる領域に位置する凹部107とを有する、ことを特徴とするデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスおよびデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス製品は、小型化、薄型化が求められる傾向にある。この傾向に伴い、エレクトロニクス製品に搭載されるデバイスは、高密度実装に適したBGA(Ball Grid Alley)やCSP(Chip Size Package)等のパッケージ形態により構成されるものが主流となっている。
【0003】
BGAやCSPのようなパッケージ形態をとることにより、配線部が簡略化されるため、デバイスの小型化、薄型化を実現出来、さらに組立てコストの削減が可能となることが知られている。特許文献1および2には、光学的機能部を備えた素子基板の一方の主面が透明基板と接合され、該素子基板の他方の主面に接続端子を設けたCSP構造および製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら上述した構造のデバイスは、素子基板側を加工する過程において、透明基板を支持部材に接触させる必要がある。この場合、支持部材との接触面において、透明基板に異物が付着したり、傷が形成されたりする虞がある。透明基板への異物付着、傷形成は、光学的機能部が受ける光、あるいは発する光を遮断、減衰させる要因となり、デバイスとしての歩留り低下を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−144299号公報
【特許文献2】特開2009−282053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものであり、支持部材上に載置しても、異物、傷が付かない構造を備えたデバイスを提供することを第一の目的とする。
また、上記構成を備えたデバイスを形成する際に、凹部を形成する位置を光学的機能部の位置に対して高い精度で調整して製造することが可能な、デバイスの製造方法を提供することを、第二の目的とする。
また、上記構成を備えたデバイスを形成する際に、第一基板に備えられた光学的機能部に対して、凹部の加工の影響が及ぶのを回避して製造することが可能な、デバイスの製造方法を提供することを、第三の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るデバイスは、第一基板の一方の主面と第二基板の一方の主面とが、接着層を介して接合され、前記第一基板の一方の主面に内在する光学的機能部と、前記第二基板の他方の主面側に配され、前記光学的機能部を含み重なる領域に位置する凹部とを有する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項1の構成により、第二基板の他方の主面において、光学的機能部を含み重なる領域が凹部をなしている。そのため、第二基板の他方の主面を下側にして支持部材上に載置しても、前記凹部において、第二基板が支持部材と接触するのを回避させることができる。これにより、請求項1に係るデバイスは、前記凹部において、支持部材上に存在する異物や支持部材との接触による傷が付きにくい構造を備えることができる。そして、前記凹部に異物や傷が付きにくい構造を備えることにより、請求項1に係るデバイスが備える光学的機能部の受光面あるいは発光面が、異物や傷によって遮られるのを防ぐことができる。
【0009】
本発明の請求項2に係るデバイスは、請求項1において、前記凹部は、前記第二基板の他方の主面を、該第二基板の厚さ方向にエッチング処理することにより形成される、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2の構成により、第二基板が単一部材で構成されたデバイスとすることができる。したがって、構造的に安定な、破損しにくいデバイスを提供することができる。
【0011】
本発明の請求項3に係るデバイスは、請求項1において、前記凹部は、前記第二基板の他方の主面上に、該第二基板と別の部材を載置することにより形成される、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の構成により、前記第二基板の他方の主面上を前記部材によって保護し、第二基板の破損を防止することができる。
【0013】
本発明の請求項4に係るデバイスは、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記凹部も含み、前記第二基板の他方の主面を覆うように帯電防止膜が形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4の構成によれば、帯電防止膜が形成されることにより、第二基板の他方の主面における帯電が抑えられる。そのため、電気的な力により異物が第二基板に付着するのを防ぐことができる。
【0015】
本発明の請求項5に係るデバイスは、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記第一基板の一方の主面と他方の主面の間を貫通する貫通孔を有し、前記一方の主面に配された電極パッドと、前記他方の主面に配された外部接続端子とが、前記貫通孔に配された配線層を介して電気的に接続されている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項5の構成により、配線部は、光学的機能部の受光面あるいは発光面とは異なる面において引き出される。そのため、光学的機能部の受光面あるいは発光面が、配線部によって遮られない。これにより、光学的機能部の本来の受光動作あるいは発光動作を実現することができる。
【0017】
本発明の請求項6に係るデバイスの製造方法は、第一基板の一方の主面に内在するように光学的機能部を形成する工程と、前記第一基板の一方の主面と第二基板の一方の主面とを、接着層を介して接合する工程と、前記第二基板の他方の主面側の、前記光学的機能部を含み、重なる領域において、凹部を形成する工程と、を少なくとも順に有する、ことを特徴とする。
【0018】
本発明に係るデバイスをウェハレベルで製造する場合には、光学的機能部の位置と凹部の位置とを高い精度で整合させる必要がある。請求項6の構成によれば、凹部の形成を第一基板と第二基板を接合した後に行う。そのため、凹部が形成される位置を、光学的機能部の位置に対して高い精度で整合させることができる。したがって、請求項6に係るデバイスの製造方法は、本発明に係るデバイスをウェハレベルで製造する場合に適用することができる。
【0019】
本発明の請求項7に係るデバイスの製造方法は、第一基板の一方の主面に内在するように光学的機能部を形成する工程と、前記第二基板の一方の主面側において凹部を形成する工程と、前記凹部が前記光学的機能部を含み、重なるように、前記第一基板の一方の主面と前記第二基板の他方の主面とを、接着層を介して接合する工程と、を少なくとも有する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項7の構成によれば、凹部の形成を第一基板と第二基板を接合する前に行う。そのため、凹部の加工の影響が、第一基板に備えられた光学的機能部に対し、ダメージとして及ぶのを回避することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るデバイスによれば、第二基板の他方の主面において、光学的機能部を含み重なる領域が凹部をなしている。そのため、第二基板の他方の主面を下側にして支持部材上に載置しても、前記凹部において、第二基板が支持部材と接触するのを回避させることができる。これにより、支持部材上に存在する異物や支持部材との接触による傷が付きにくい構造を備えたデバイスを提供することができる。
【0022】
また、本発明に係るデバイスの製造方法によれば、凹部の形成を第一基板と第二基板を接合した後に行う。そのため、凹部を形成する位置を光学的機能部の位置に対して高い精度で調整することができる。
【0023】
また、本発明に係るデバイスの製造方法によれば、凹部の形成を第一基板と第二基板を接合する前に行う。そのため、凹部の加工の影響が、第一基板に備えられた光学的機能部に対し、ダメージとして及ぶのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第一実施形態に係るデバイスの上面図および断面図である。
【図2】第一実施形態の変形例に係るデバイスの断面図である。
【図3】第一実施形態に係るデバイスの製造方法1を説明する工程図である。
【図4】第一実施形態に係るデバイスの製造方法1を説明する工程図である。
【図5】第一実施形態に係るデバイスの製造方法2を説明する工程図である。
【図6】第一実施形態に係るデバイスの製造方法2を説明する工程図である。
【図7】第一実施形態の変形例に係るデバイスの断面図である。
【図8】第二実施形態に係るデバイスの断面図である。
【図9】第三実施形態に係るデバイスの断面図である。
【図10】第四実施形態に係るデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0026】
<第一実施形態>
第一実施形態に係るデバイス100は、第一基板101の一方の主面101Sと第二基板105の一方の主面105Sとが、接着層104を介して接合されてなる。図1に、デバイス100を第二基板105側から見た上面図(上側)と、デバイス100を第一基板101と第二基板105の積層方向に切断した断面図(下側)を示す。
【0027】
第一基板101は、シリコン等のデバイス形成用基板であり、一方の主面101S側に光学的機能部102と電極パッド103を備えている。第二基板105は、ガラス等の光を透過する透明基板であり、他方の主面105T側の、光学的機能部102を含み重なる領域に、凹部107が設けられている。透明基板には、光反射防止膜や、特定の波長の光を遮蔽する光学フィルタ膜が形成されていてもよい。接着層104を構成する材料としては、樹脂、低融点ガラス、金属等が用いられる。図1においては、接着層104が光学的機能部102を覆うように形成された例を示しているが、接着層104は光学的機能部102を覆っていなくてもよい。すなわち、第一実施形態の変形例として図2に示すように、本発明は、光学的機能部112と第二基板115との間に、空隙119を設けた構成に対しても適用することができる。
【0028】
凹部の底面107Bは平面をなし、光学的機能部102の形状を、縦横比を揃えて等倍あるいは拡大したものであるとする。凹部107の深さは、支持部材上に存在する異物の大きさ以上であればよい。したがって、デバイスを製造、使用する環境に依存する異物の大きさを、予め測定した上で設計することが望ましい。
【0029】
第一実施形態の構成によれば、凹部は、第二基板の他方の主面105Tを、第二基板の厚さ方向に除去することにより形成される。そのため、第二基板が単一部材で構成されたデバイスとすることができる。したがって、構造的に安定な、破損しにくいデバイスを提供することができる。
【0030】
第一実施形態の構成により、第二基板の他方の主面105Tにおいて、光学的機能部102を含み重なる領域が凹部107をなしている。そのため、第二基板の他方の主面105Tを下側にして支持部材上に載置しても、凹部107において、第二基板105が支持部材と接触するのを回避させることができる。
【0031】
これにより、第一実施形態に係るデバイスは、凹部107において、支持部材上に存在する異物や支持部材との接触による傷が付きにくい構造を備えることができる。そして、凹部107に異物や傷が付きにくい構造を備えることにより、光学的機能部102の受光面あるいは発光面が、異物や傷によって遮られるのを防ぐことができる。
【0032】
したがって本発明によれば、第二基板105への異物付着、傷形成を原因とした光学的機能部102の動作に対する影響を抑えることが可能なデバイスを提供することができる。
【0033】
また本発明の第一実施形態に係るデバイスは、光学的機能部の受光面あるいは発光面とは異なる面において、配線部が引き出される構成を備えることができる。
【0034】
配線部が引き出される構成としては、例えば本発明の第一実施形態に係るデバイスに対し、第一基板101の一方の主面101Sと他方の主面101Tの間に貫通孔を形成し、一方の主面101に配された電極パッド103と、他方の主面101Tに配された外部接続端子とが、貫通孔に配された配線層を介して電気的に接続された構成が挙げられる。
【0035】
配線部が、光学的機能部の受光面あるいは発光面とは異なる面において引き出されるため、光学的機能部の受光面あるいは発光面が、配線部によって遮られない。これにより、光学的機能部の本来の受光動作あるいは発光動作を実現することができる。
【0036】
[製造方法1]
第一実施形態に係るデバイスの製造方法1について、図3(a)〜(c)および図4(a)〜(c)に示す工程図を用いて説明する。
【0037】
まず、図3(a)に示す機能部形成工程において、第一基板101の一方の主面101S側に光学的機能部102と電極パッド103を形成する。
【0038】
次に、図3(b)に示す接着層形成工程において、第一基板の一方の主面101Sを覆うように、接着層104を形成する。
【0039】
次に、図3(c)に示す第二基板接合工程において、第二基板105の一方の主面105Sを、接着層104を介して第一基板の一方の主面101Sに重なるように接合する。ここで、第一基板の一方の主面101Sと第二基板の一方の主面105Sをアライメントし、チャンバ中で真空雰囲気にて温度および荷重をかける。
【0040】
次に、図4(a)に示すマスク形成工程において、第二基板の他方の主面105Tの光学的機能部102と重ならない位置に、マスク材料106を配する。マスク材料106としては、フォトレジスト、金属、SiO等を用いることができる。
【0041】
次に、図4(b)に示す凹部形成工程において、第二基板の他方の主面105Tのマスク材料106が配されていない領域をエッチング除去して、凹部107を形成する。ここでのエッチングは、フッ素系ガスを用いたドライエッチング法、またはフッ酸系のエッチャントを用いたウェットエッチング法により行う。
【0042】
次に、図4(c)に示すマスク除去工程において、マスク材料106を除去する。または、マスク材料106に永久膜として使用できる材料を適用することで、マスク材料106を除去することなく、第二基板105の保護膜として残存させておくことができる。
【0043】
本発明に係るデバイスをウェハレベルで製造する場合には、光学的機能部102の位置と凹部107の位置とを高い精度で整合させる必要がある。以上説明したデバイスの製造方法1によれば、凹部107の形成を第一基板101と第二基板105を接合した後に行う。そのため、凹部107が形成される位置を、光学的機能部102の位置に対して高い精度で整合させることができる。したがって、デバイスの製造方法1は、本発明に係るデバイスを、ウェハレベルで製造する場合に適用することができる。
【0044】
[製造方法2]
第一実施形態に係るデバイスの製造方法2について、図5(a)〜(c)および図6(a)〜(c)に示す工程図を用いて説明する。
【0045】
まず、図5(a)に示す機能部形成工程において、第一基板101の一方の主面101S側に光学的機能部102と電極パッド103を形成する。
【0046】
次に、図5(b)に示す接着層形成工程において、第一基板の一方の主面101Sを覆うように、接着層104を形成する。
【0047】
次に、図5(c)に示すマスク形成工程において、第二基板105の他方の主面105Tの光学的機能部102を含み重ねようとする領域を除いた領域に、マスク材料106を配する。マスク材料106としては、フォトレジスト、金属、SiO等を用いることができる。
【0048】
次に、図6(a)に示す凹部形成工程において、第二基板の他方の主面105Tのマスク材料106が配されていない領域をエッチング除去して、凹部107を形成する。ここでのエッチングは、フッ素系ガスを用いたドライエッチング法、またはフッ酸系のエッチャントを用いたウェットエッチング法により行う。
【0049】
次に、図6(b)に示すマスク除去工程において、マスク材料106を除去する。または、マスク材料106に永久膜として使用できる材料を適用することで、マスク材料106を除去することなく、第二基板105の保護膜として残存させておくことができる。
【0050】
次に、図6(c)に示す第二基板接合工程において、第二基板の一方の主面105Sを、接着層104を介して第一基板の一方の主面101Sに重なり、かつ凹部107が光学的機能部102を含み重なるように接合する。ここで、第一基板の一方の主面101Sと第二基板の一方の主面105Sをアライメントし、チャンバ中で真空雰囲気にて温度および荷重をかける。
【0051】
以上説明したデバイスの製造方法2によれば、凹部107の形成を第一基板101と第二基板105を接合する前に行う。そのため、凹部107の加工の影響が、第一基板101に備えられた光学的機能部102に対し、ダメージとして及ぶのを回避することができる。
【0052】
[変形例1]
図7(a)は、第一実施形態の変形例1に係るデバイス120の断面図である。変形例1では、凹部底面127Bの形状が、凹部開口側に凸の曲面をなしている。その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0053】
変形例1の構成により、凹部底面127Bを凸レンズとして機能させることができる。すなわち、光学的機能部122の位置が焦点となるように、凹部底面127Bの曲率半径、第二基板115の屈折率を設計することにより、デバイスの外部から凹部127に入射する光を、光学的機能部122に集光させることができる。したがって変形例1は、光学的機能部122として受光素子を用いる場合に好適な例となる。
【0054】
また変形例1の構成により、第二基板の他方の主面125Tにおいて、光学的機能部122を含み重なる領域が凹部127をなしている。そのため、第二基板の他方の主面125Tを下側にして支持部材上に載置しても、凹部127において、第二基板125が支持部材と接触するのを回避させることができる。
【0055】
これにより、第一実施形態に係るデバイスは、凹部127において、支持部材上に存在する異物や支持部材との接触による傷が付きにくい構造を備えることができる。そして、凹部127に異物や傷が付きにくい構造を備えることにより、光学的機能部122の受光面あるいは発光面が、異物や傷によって遮られるのを防ぐことができる。
【0056】
したがって変形例1を適用した場合にも、第二基板125への異物付着、傷形成を原因とした光学的機能部122の動作に対する影響を抑えることが可能なデバイスを提供することができる。
【0057】
[変形例2]
図7(b)は、第一実施形態の変形例2に係るデバイス130の断面図である。変形例2では、凹部底面137Bの形状が、光学的機能部132側に凸の曲面をなしている。その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0058】
変形例2の構成により、凹部底面137Bを凸レンズとして機能させることができる。すなわち、光学的機能部132から凹部137に入射する光を集光させ、外部に発光させることができる。したがって変形例2は、光学的機能部132として発光素子を用いる場合に好適な例となる。
【0059】
また変形例2の構成により、第二基板の他方の主面135Tにおいて、光学的機能部132を含み重なる領域が凹部137をなしている。そのため、第二基板の他方の主面135Tを下側にして支持部材上に載置しても、凹部137において、第二基板135が支持部材と接触するのを回避させることができる。
【0060】
これにより、第一実施形態に係るデバイスは、凹部137において、支持部材上に存在する異物や支持部材との接触による傷が付きにくい構造を備えることができる。そして、凹部137に異物や傷が付きにくい構造を備えることにより、光学的機能部132の受光面あるいは発光面が、異物や傷によって遮られるのを防ぐことができる。
【0061】
したがって変形例2を適用した場合にも、第二基板135への異物付着、傷形成を原因とした光学的機能部132の動作に対する影響を抑えることが可能なデバイスを提供することができる。
【0062】
<第二実施形態>
図8は、第二実施形態に係るデバイス200の断面図である。デバイス200は、凹部207を含む第二基板の主面205Tを覆うように配された帯電防止膜208を有している。その他の部分の構成については、第一実施形態と同様である。
【0063】
第二実施形態の構成により、凹部は、第二基板の他方の主面205Tを、第二基板の厚さ方向にエッチング処理することにより形成される。そのため、第二基板の他方の主面205Tのエッチング量を微細制御することができる。そしてエッチング量を微細制御することにより、凹部を、異物の影響を受けないような形状に加工することができる。
【0064】
第二実施形態の構成により、第二基板の他方の主面205Tにおいて、光学的機能部202を含み重なる領域が凹部207をなしている。そのため、第二基板の他方の主面205Tを下側にして支持部材上に載置しても、凹部207において、第二基板205が支持部材と接触するのを回避させることができる。
【0065】
これにより、第二実施形態に係るデバイスは、凹部207において、支持部材上に存在する異物や支持部材との接触による傷が付きにくい構造を備えることができる。そして、凹部207に異物や傷が付きにくい構造を備えることにより、光学的機能部202の受光面あるいは発光面が、異物や傷によって遮られるのを防ぐことができる。
【0066】
また、帯電防止膜208が形成されることにより、第二基板の他方の主面205Tにおける帯電が抑えられる。そのため、電気的な力により異物が第二基板205に付着するのを防ぐことができる。すなわち支持部材との対向面において、第二基板205の表面に配された帯電防止膜208が、異物付着を防止する機能をさらに高める。そのため、第二基板205への異物付着や傷形成が減り、それらを原因とした光学的機能部202への光信号の遮断や減衰を抑えることができる。
【0067】
すなわち本発明の第二実施形態によれば、第二基板205への異物付着、傷形成を原因とした光学的機能部202の動作に対する影響を抑えることが可能な構造のデバイスを提供することができる。
【0068】
なお、凹部207を含む第二基板の主面205Tを帯電防止膜208で覆う構成は、第一実施形態の変形例1、2および後述の第三、第四形態のいずれに適用しても同様の効果が得られる。
【0069】
<第三実施形態>
図9は、第三実施形態に係るデバイス300の断面図である。デバイス300では、第二基板305として導電性の基板が用いられる。その他の部分の構成については、第一実施形態と同様である。
【0070】
第三実施形態の構成によれば、第二基板の他方の主面305Tにおいて、光学的機能部302を含み重なる領域が凹部307をなしている。そのため、第二基板の他方の主面305Tを下側にして支持部材上に載置しても、凹部307において、第二基板305が支持部材と接触するのを回避させることができる。
【0071】
これにより、第二実施形態に係るデバイスは、凹部307において、支持部材上に存在する異物や支持部材との接触による傷が付きにくい構造を備えることができる。そして、凹部307に異物や傷が付きにくい構造を備えることにより、光学的機能部302の受光面あるいは発光面が、異物や傷によって遮られるのを防ぐことができる。
【0072】
また、第二基板305が導電性を有するため、第二基板の他方の主面305Tにおける帯電が抑えられる。そのため、電気的な力により異物が第二基板305に付着するのを防ぐことができる。これにより、第二基板への異物付着、傷形成が減り、それらを原因とした光学的機能部302への光信号の遮断や減衰を抑えることができる。
【0073】
すなわち本発明の第三実施形態によれば、第二基板305への異物付着、傷形成を原因とした光学的機能部302の動作に対する影響を抑えることが可能なデバイスとその製造方法を提供することができる。
【0074】
<第四実施形態>
図10は、第四実施形態に係るデバイス400の断面図である。デバイス400は、第二基板の主面405Tに、エッチング処理して形成される凹部を有していない。そして第二基板の主面405Tの光学的機能部402と重ならない位置に、第二基板とは別の部材408が配される。その他の部分の構成については、第一実施形態と同様である。
【0075】
第四実施形態の構成において、第二基板405の他方の主面405Tが部材408によって保護されているため、第二基板405の破損を防止することができる。
【0076】
さらに、部材408が黒色等の不透明な部材である場合には、部材408は、光学的機能部402に対して外部から、凹部底面に対して斜めに入射する光を低減させることができる。また、この場合部材408は、光学的機能部402より発せられた、凹部407以外の方向に進む光を吸収し、デバイス内の周辺部への散乱光を低減させることができる。
【0077】
また、第四実施形態の構成によれば、第二基板の他方の主面405Tにおいて、光学的機能部402を含み重なる領域が凹部407をなしている。そのため、第二基板の他方の主面405Tを下側にして支持部材上に載置しても、凹部407において、第二基板405が支持部材と接触するのを回避させることができる。
【0078】
これにより、第四実施形態に係るデバイスは、凹部407において、支持部材上に存在する異物や支持部材との接触による傷が付きにくい構造を備えることができる。そして、凹部407に異物や傷が付きにくい構造を備えることにより、光学的機能部402の受光面あるいは発光面が、異物や傷によって遮られるのを防ぐことができる。
【0079】
すなわち本発明の第四実施形態によれば、第二基板405への異物付着、傷形成を原因とした光学的機能部402の動作に対する影響を抑えることが可能なデバイスを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、光学的機能部を備えた素子基板と透明基板とを接合させてなるデバイスおよびその製造方法に対し、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
101、201、401・・・第一基板、105、205、405・・・第二基板、
101S、105S、201S、205S、401S、405S・・・一方の主面、
102・・・光学的機能部、103・・・電極パッド、104・・・接着層、
105T、205T、405T・・・他方の主面、107・・・凹部、
208・・・帯電防止膜、408・・・部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板の一方の主面と第二基板の一方の主面とが、接着層を介して接合され、
前記第一基板の一方の主面に内在する光学的機能部と、
前記第二基板の他方の主面側に配され、前記光学的機能部を含み重なる領域に位置する凹部とを有する、ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記凹部は、
前記第二基板の他方の主面を、該第二基板の厚さ方向に除去することにより形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記凹部は、
前記第二基板の他方の主面上に、該第二基板と別の部材を載置することにより形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記凹部も含み、
前記第二基板の他方の主面を覆うように帯電防止膜が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のデバイス。
【請求項5】
前記第一基板の一方の主面と他方の主面の間を貫通する貫通孔を有し、前記一方の主面に配された電極パッドと、前記他方の主面に配された外部接続端子とが、前記貫通孔に配された配線層を介して電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
第一基板の一方の主面に内在するように光学的機能部を形成する工程と、
前記第一基板の一方の主面と第二基板の一方の主面とを、接着層を介して接合する工程と、
前記第二基板の他方の主面側の、前記光学的機能部を含み、重なる領域において、凹部を形成する工程と、
を少なくとも順に有する、ことを特徴とするデバイスの製造方法。
【請求項7】
第一基板の一方の主面に内在するように光学的機能部を形成する工程と、
前記第二基板の一方の主面側において凹部を形成する工程と、
前記凹部が前記光学的機能部を含み、重なるように、前記第一基板の一方の主面と前記第二基板の他方の主面とを、接着層を介して接合する工程と、
を少なくとも有する、ことを特徴とするデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−114169(P2012−114169A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260586(P2010−260586)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】