説明

デバイス制御方法

【課題】シリアル制御デバイスの低電力消費化がプロセッサの処理に依存せずに得られるようにすること。
【解決手段】シリアルI/Fス制御部4に起動コマンド生成回路41とコマンドP/S変換回路42およびスリープコマンド生成回路43を設け、プロセッサ2からシリアルI/F制御部に制御コマンドが設定されたとき、切換スイッチ44を制御し、まず、起動コマンド生成回路41から自動的に起動コマンドのシリアルデータを出力し、次いで、コマンドP/S変換回路42から制御コマンドのシリアルデータを出力し、この後、スリープコマンド生成回路43から自動的にスリープコマンドのシリアルデータを出力するようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定コマンドをシリアルデータにより入力する方式のデバイスの制御方法に係り、特に、スリープ設定コマンドによりスリープ状態にしてもデバイスとしての出力状態が保持されるシリアル制御デバイスの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタルアナログ変換器などのデバイスは、コマンドをシリアルデータとして入力することによりパラメータが設定でき、このときスリープ設定のための所望のコマンドによりスリープ状態にしてもデバイスの状態が保たれ、出力状態が保持されるシリアル制御デバイスとして知られている。
そして、このシリアル制御デバイスの場合、従来から図3に示すシステム構成として使用される場合が多い。
【0003】
そこで、この図3のシステムについて説明すると、この場合、デジタルアナログ変換器などからなるシリアル制御デバイス1は、CPUなどで構成されている制御用のプロセッサ2からパラメータが設定されて動作する。
このため、図示のように、シリアルI/F制御部(シリアルインターフェース制御部)3を用い、プロセッサ2からシリアル制御デバイス1に設定すべき制御コマンドを、まず、このシリアルI/F制御部3に設定し、ここに備えられているコマンドP/S(パラレル/シリアル)変換回路32によりシリアルデータに変換してからシリアル制御デバイス1に設定するようになっている。
【0004】
そこで、いま、シリアル制御デバイス1の出力が必要になったとする。
この場合、プロセッサ2は、まず、パラレルデータからなる所望の制御コマンドをシリアルI/F制御部3のバッファに設定する。
そこで、シリアルI/F制御部3は、バッファに設定された制御コマンドをコマンドP/S変換回路32によりシリアルデータに変換し、シリアル制御デバイス1のバッファに設定する。
この結果、シリアル制御デバイス1は、プロセッサ2から設定された制御コマンドをパラメータとして動作し、システムの中の別の機器に供給するための所望の信号を出力することになる。
【0005】
このときのシリアルI/F制御部3による制御コマンドの設定処理を、図4のタイミング図により説明する。
まず、プロセッサ2からシリアルI/F制御部3のバッファに制御コマンドが設定される。
そして、このバッファに保持されたシリアルデータが、図示のように、CS信号(チップイネーブル信号)とCLK信号(システムクロック信号)に同期してコマンドP/S変換回路32によりシリアルデータ(D0〜D15)からなるData 信号に変換され、シリアル制御デバイス1に設定される。
ここで、このときのCS信号とCLK信号については、シリアルI/F制御部3に備えられているクロック発生手段(図示してない)により生成されるようになっている。
【0006】
そこで、このシリアル制御デバイス1は、設定された制御コマンドをパラメータとして動作し、所望の出力を発生するので、これにより、詳細は省くが、このシリアル制御デバイス1の出力を必要とする制御が実行されることになる。
ここで、このときのCS信号とCLK信号に同期したData 信号の読み出し処理の回数は、シリアル制御デバイス1に設定すべき制御コマンドのデータの量により決り、制御コマンドのデータ量が少ない場合は、図示の通り1回であるが、多い場合は、1回に限らず、必要に応じて複数回(N回)、繰り返される。
【0007】
なお、このようなシステムに関連したものとしては、例えば特許文献1に開示の技術を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−100015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来技術は、デバイスの低消費電力化に配慮がされているとはいえず、省エネ化の点に問題がある。
上記従来技術においては、シリアル制御デバイスを含むシステムが動作中は、当該シリアル制御デバイスも同じく動作状態に保持され、電力を消費している状態に保持される。そして、システム全体がスリープされたとき一緒にスリープされ、このとき電力の消費が止まるだけになっている。
【0010】
ところで、このシリアル制御デバイスの場合、スリープ状態にしてもデバイスの状態が保たれ、出力データを保持しているデバイスであり、従って、制御コマンドの設定により出力が発生された後はスリープ状態にしてもシステムとしての動作には支障はない。
しかるに、上記従来技術では、システムが動作中はシリアル制御デバイスも動作状態に保持されるので、省エネに不満が残り、従って、省エネ化の点に問題が生じてしまうのである。
【0011】
本発明の目的は、プロセッサによりコマンドを設定する方式のシリアル制御デバイスにおいて、シリアル制御デバイスの低電力消費化が、プロセッサの処理に依存せずに得られるようにしたデバイスの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、プロセッサからシリアルインターフェース制御部を介して設定されたコマンドをパラメータとして動作し、スリープ状態においてもデバイスの出力が保持されるシリアル制御デバイスの制御方法において、前記シリアルインターフェース制御部に起動コマンド生成手段とコマンドパラレルシリアル変換手段およびスリープコマンド生成手段を設け、前記プロセッサから前記シリアルインターフェース制御部に制御コマンドが設定されたとき、まず、前記起動コマンド生成手段から自動的に起動コマンドのシリアルデータを出力し、次いで、前記コマンドパラレルシリアル変換手段から前記制御コマンドのシリアルデータを出力し、この後、前記スリープコマンド生成手段から自動的にスリープコマンドのシリアルデータを出力するようにして達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、制御コマンドがシリアルインターフェース制御部に設定されると、それだけでシリアル制御デバイスが自動的に起動され、制御コマンドが設定された後、自動的にスリープされ、従って、本発明によれば、シリアル制御デバイスを制御するプロセッサは、シリアル制御デバイスのスリープについてのタイミング制御やコマンドについては何も意識することなく、ただシリアル制御デバイスの制御コマンドを出力するだけで、確実に当該シリアル制御デバイスの消費電力の低減が得られ、従って、省エネに大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるデバイス制御方法の一実施の形態が適用されたシリアル制御デバイスシステムのブロック構成図である。
【図2】本発明によるデバイス制御方法の一実施の形態の動作を示すタイミング図である。
【図3】従来のデバイス制御方法が適用されたシリアル制御デバイスシステムのブロック構成図である。
【図4】従来のデバイス制御方法の動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるデバイス制御方法について、図示の実施形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態が適用されたシリアル制御デバイスシステムのブロック構成図で、図において、4はシリアルI/F制御部であり、ここでシリアル制御デバイス1とプロセッサ2は、既に図3で説明した従来のシステムの場合と同じである。
そして、このシリアルI/F制御部4には、起動コマンド生成回路41とコマンドP/S変換回路42、スリープコマンド生成回路43、それに出力シリアルデータ切換スイッチ44が備えられている。
【0016】
従って、この実施形態においても、シリアル制御デバイス1とプロセッサ2がシリアルI/F制御部を介して接続され、プロセッサ2からシリアル制御デバイス1に設定すべき制御コマンドをシリアルI/F制御部によりシリアルデータに変換してからシリアル制御デバイス1に設定するようになっている点では、従来のシステムと同じであるが、しかし、この実施形態では、使用しているシリアルI/F制御部が、従来のシステムにおけるシリアルI/F制御部3ではなく、シリアルI/F制御部4になっている点で、従来のシステムとは異なっている。
【0017】
ここで、まず、起動コマンド生成回路41は、スリープ状態にあるシリアル制御デバイス1の起動に必要な起動コマンドを、所望のクロックタイミングでシリアルデータとして自動的に生成する回路である。
このため、この起動コマンド生成回路41には、シリアル制御デバイス1に対応して、その起動に必要な起動コマンドの生成に必要なデータが予め記憶してある。
【0018】
次に、コマンドP/S変換回路42は、プロセッサ2からシリアルI/F制御部4のバッファに設定された制御コマンドを所望のクロックタイミングでシリアルデータに変換するものである。
従って、このコマンドP/S変換回路42は、従来のシステムにおけるコマンドP/S変換回路32と同じ働きをするものである。
【0019】
そして、スリープコマンド生成回路43は、動作状態にあるシリアル制御デバイス1をスリープさせるのに必要なスリープコマンドを所望のクロックタイミングでシリアルデータとして自動的に生成する回路である。
このため、このスリープコマンド生成回路43には、シリアル制御デバイス1に対応して、そのスリープに必要なスリープコマンドの生成に必要なデータが予め記憶してある。
【0020】
このとき、切換スイッチ(出力シリアルデータ切換スイッチ)44は、起動コマンド生成回路41とコマンドP/S変換回路42及びスリープコマンド生成回路43の何れの出力をシリアル制御デバイス1に設定すべきシリアルデータとするのか選択するため、所望のタイミングで切り換え動作をする。
【0021】
ここで、上記した各所望のタイミングについては、シリアルI/F制御部4に備えてあるタイミング制御手段(図示してない)により、プロセッサ2からシリアルI/F制御部4のバッファに制御コマンドが設定されたタイミングを契機として与えられ、同じくクロック発生手段(図示してない)により生成されるCS信号(チップイネーブル信号)とCLK信号(システムクロック信号)に同期して実行される。
【0022】
そこで、以下、このときの動作について、図2のタイミングチャートにより説明する。
いま、或る時点xでプロセッサ2からシリアルI/F制御部4のバッファに制御コマンドが設定されたとする。
このときの或る時点xとは、シリアル制御デバイス1の出力が必要になったときのことである。
そうすると、シリアルI/F制御部4に備えてあるタイミング制御手段は、この制御コマンドの設定を受け、この時点xからCS信号を所望の周期で順次立ち下げ、これにより、図示のように、起動コマンド期間Aと制御コマンド期間B、それにスリープ期間Cが時系列的に設定されるようにする。
【0023】
そして、起動コマンド期間Aにおいては、まず、CS信号により起動コマンド生成回路41が能動化される。また、これと同時に切換スイッチ44が起動コマンド生成回路41の出力側に切換えられ、この後、CKS信号が発生される。
そこで、このCKS信号に同期してシリアルデータ(D0〜D15)からなるData 信号が起動コマンド生成回路41から自動的に生成され、これが起動コマンドとしてシリアル制御デバイス1に設定されることになる。
この結果、シリアル制御デバイス1が起動され、この後、起動コマンド期間Aが終了した時点TA においてシリアル制御デバイス1は動作待ち受け状態に設定されることになる。
【0024】
次に、制御コマンド期間Bでは、まず、CS信号によりコマンドP/S変換回路42が能動化される。また、これと同時に切換スイッチ44はコマンドP/S変換回路42の出力側に切換えられ、この後、CKS信号が発生される。
そこで、このCLK信号に同期して、シリアルI/F制御部4のバッファに保持された制御コマンドがコマンドP/S変換回路32によりシリアルデータ(D0〜D15)からなるData 信号に変換され、これがシリアル制御デバイス1に設定される。
この結果、制御コマンド期間Bが終了した時点TB 以降、Data 信号をパラメータとした所望の出力がシリアル制御デバイス1から得られることになる。
【0025】
このとき、図2では、制御コマンド期間Bが1回になっているが、この制御コマンド期間Bは1回に限らず、シリアル制御デバイス1に設定すべき制御コマンドによっては、例えば必要な制御コマンドが多くのデータ量からなるときには、必要に応じて複数回(N回)、繰り返す場合があるのは、従来のシステムの場合と同じである。
【0026】
そして、スリープコマンド期間Cでは、CS信号によりスリープコマンド生成路43が能動化される。また、これと同時に切換スイッチ44はスリープコマンド生成回路43の出力側に切換えられ、この後、CKS信号が発生される。
そこで、このCKS信号に同期してシリアルデータ(D0〜D15)からなるData 信号がスリープコマンド生成回路43から自動的に生成され、これがスリープコマンドとしてシリアル制御デバイス1に設定されることになる。
この結果、シリアル制御デバイス1はスリープ制御され、この後、スリープコマンド期間Cが終了した時点TC においてシリアル制御デバイス1は、出力がそのまま保たれた状態でスリープ状態に移行することになる。
【0027】
そうすると、この実施形態においては、制御コマンドがプロセッサ2からシリアルI/F制御部4に設定されると、それだけでシリアル制御デバイス1は自動的に起動され、制御コマンドが設定された後、自動的にスリープされるようになる。
従って、この実施形態によれば、シリアル制御デバイス1を制御するプロセッサ2は、シリアル制御デバイス1のスリープについてのタイミング制御やコマンドについては何も意識することなく、ただシリアル制御デバイス1の制御コマンドを出力するだけで確実にシリアル制御デバイス1の消費電力低減が得られ、省エネに大きく寄与できる。
【符号の説明】
【0028】
1 シリアル制御デバイス(デジタルアナログ変換器などのデバイス)
2 プロセッサ(デバイス制御用CPU)
4 シリアルI/F制御部(シリアルインターフェース制御部)
41 起動コマンド生成回路(シリアル制御デバイス1の起動に必要な
起動コマンドを自動的に生成する回路)
42 コマンドP/S変換回路(制御コマンドをシリアルデータに変換
する回路)
43 スリープコマンド生成回路(シリアル制御デバイス1をスリープ
させるのに必要なスリープコマンドを自動的に生成する回路)
44 出力シリアルデータ切換スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサからシリアルインターフェース制御部を介して設定されたコマンドをパラメータとして動作し、スリープ状態においてもデバイスの出力が保持されるシリアル制御デバイスの制御方法において、
前記シリアルインターフェース制御部に起動コマンド生成手段とコマンドパラレルシリアル変換手段およびスリープコマンド生成手段を設け、
前記プロセッサから前記シリアルインターフェース制御部に制御コマンドが設定されたとき、
まず、前記起動コマンド生成手段から自動的に起動コマンドのシリアルデータを出力し、
次いで、前記コマンドパラレルシリアル変換手段から前記制御コマンドのシリアルデータを出力し、
この後、前記スリープコマンド生成手段から自動的にスリープコマンドのシリアルデータを出力することを特徴とするデバイス制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate