説明

デフェリチオシンポリエーテル類似体

【課題】キレート療法、特に長期のキレート療法に使用できる新しい鉄キレート化剤を提供する。
【解決手段】構造式(I)の構造式により表される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国仮特許出願第60/668,045号(2005年4月4日出願)の優先権を主張する。上記出願の全教示は、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(政府支援)
本発明は、全体または一部分において、the National Institute of Health(NIH)のthe National Diabetes and Digestive and Kidney Diseases Advisory Council(NIDDK)からの助成金番号R01−DK49108によって支援された。政府は、本発明に対し一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
霊長類における鉄の代謝は、高効率リサイクルプロセスを特徴とする。従って、この遷移金属を除去するための特異的な機序はない。鉄除去の機序がないため、この閉鎖された代謝ループに「過剰な鉄」が取り込まれると、慢性的な過剰につながることが多く、最終的には生物学的損傷(過酸化による組織損傷等)に至ることがある。過剰な鉄を取り込む方法には、鉄分を多量に含んだ食事、急性の鉄摂取又は金属の吸収不良等、幾つかの方法がある。こうした事例では、静脈切開を行って血中の鉄の量を下げるのが普通である。但し、例えば再生不良性貧血及びサラセミア等、長期の輸血治療に起因する鉄過剰症候群では、静脈切開は選択肢から外される。こうした二次性の鉄過剰症候群では、過剰な鉄の原因は輸血された赤血球にある。しかし鉄の過剰を治療するために赤血球を除去することは逆効果であるため、鉄を除去する別の方法はキレート療法になる。
【0004】
サラセミアに起因する鉄過剰を管理する新しい治療法の開発、特に経口投与できる治療法の開発に多大な努力が払われてきたが、今もってStreptomyces pilosusが産生する6配位型ヒドロキサム酸鉄キレート化剤であるデフェリオキサミンBが第一選択のプロトコルとなっている。しかし、デフェリオキサミンBは、鉄が効率よく除去できないため、キレート療法に理想的ではない。又、デフェリオキサミンBの経口での作用は低いため、非経口投与が必要となり、特に長期のキレート療法を必要とする対象ではコンプライアンスが不良になる。
【0005】
ピリドキサルイソニコチノイルヒドラゾン(PIH)、ヒドロキシピリドン類及びN,N’−ビス−(2−ヒドロキシベンジルエチレンジアミン)−N,N’−二酢酸(HBED)をはじめとするかなりの数の合成鉄キレート化剤が、近年経口活性を有する治療薬として研究されてきている。しかし、合成キレート化剤はこれまで望ましい特性(有効なキレート化、好適な経口活性及び許容可能な毒性)を示したことがない。エンテロバクチン及びロドトルリン酸を含むシデロフォアも研究されている。しかし、エンテロバクチン及びロドトルリン酸は何れも容認できない毒性を示し、何れも測定可能な経口活性を示さなかった。一般的に、多数のシデロフォア及び合成鉄キレート化剤が開発されてきたが、その特性が慢性的な鉄過剰の処置に好適ではないために、その大半は断念されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、キレート療法、特に長期のキレート療法に使用できる新しい鉄キレート化剤に対する需要は依然として存在する。好適なキレート化剤は、効率的に鉄のキレート化及び生体からの鉄の除去を行うことができ、好適な経口生体利用率を有しおり、対象への毒性が最低限であるか、或いはその何れかを示す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の化学構造式(I)、(II)及び(III):
【0008】
【化38】

から選択される化学構造式を特徴とする化合物であって、
式中、
は−H又はアシル基であり;
は−[(CH−O)]−[(CH−O]−R’であり;
、R及びRはそれぞれ独立して−H、アルキル基又は−OR11であり;
、R及びRはそれぞれ独立して−H又はアルキル基であり;
は−OR12又は−N(OH)R13であり;
10は−H又はアルキル基であり;
11は−H、アルキル基又はアシル基であり;
12は−H又はアルキル基であり;
13はアルキル基、
【0009】
【化39】

であり;
14はアルキル基であり;
R’はアルキル基であり;
mは1〜8の整数であり;
nはそれぞれ独立して1〜8の整数であり;
xは1〜8の整数であり;
yは0〜8の整数であり;
Zは−C(O)R14
【0010】
【化40】

【0011】
【化41】

である、
化合物、或いはその塩、溶媒和物又は水和物に関する。
【0012】
本発明には、担体又は希釈剤と共に本発明の化合物を含む薬学的組成物が含まれる。この薬学的組成物は治療に使用することができる。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、対象の三価金属のキレート化又は金属イオン封鎖に応答性の病態を処置する方法であって、化学構造式(I)、(II)及び(III)から選択される構造式により表される化合物、又はこれらの化合物の1つを含む薬学的組成物の治療又は予防有効量を対象に投与することからなる方法である。
【0014】
本発明の化合物は、処置を必要とする対象の酸化ストレスを低減する方法、及び新生物性疾患又は前新生物性病態を罹患した対象の処置方法においても使用することができ、これらの方法では、本発明の化合物又は薬学的組成物の1つの治療有効量が対象に投与される。
【0015】
本発明は又、本明細書に開示される化合物の薬物療法における使用に関する。本発明は更に、例えば金属のキレート化又は金属イオン封鎖に応答性の病態の処置、酸化ストレスの低減、及び新生物性疾患又は前新生物性病態の処置のような治療のための薬剤の製造における本発明の化合物の使用にも関する。
【0016】
本発明の金属キレート化剤は、鉄除去の望ましい効率性を示すという利点を有する。本発明の金属キレート化剤は、現在の既知のキレート化剤とは異なる分布容積を示し、器管へも様々に分布する。この様々な分布により、心臓、脳及び膵臓のような器管への侵入が可能になると共に、肝臓においてキレート化剤は大半除去されるため、腎臓への毒性のリスクは低減される。本発明の化合物は投与後に腎臓では低濃度であるという利点がある。
本発明の前述及びその他の目的、特徴及び利点は、同じ参照記号が異なる図面の同じ箇所を指す添付の図表に示す通り、本発明の好ましい実施形態に関する以下のより具体的な説明によって明らかになる。図表は、必ずしも尺度を表すためのものではなく、本発明の原則を説明することに焦点を置いている。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の化学構造式(I)、(II)及び(III):
【化1】


から選択される化学構造式により表される化合物であって、
式中、
が−H又はアシル基であり;
が−[(CH−O)]−[(CH−O]−R’であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H、アルキル基又は−OR11であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H又はアルキル基であり;
が−OR12又は−N(OH)R13であり;
10が−H又はアルキル基であり;
11が−H、アルキル基又はアシル基であり;
12が−H又はアルキル基であり;
13がアルキル基、
【化2】


であり;
14がアルキル基であり;
R’はアルキル基であり;
mが1〜8の整数であり;
nがそれぞれ独立して1〜8の整数であり;
xが1〜8の整数であり;
yが0〜8の整数であり;
Zが−C(O)R14
【化3】


である、
化合物、或いはその塩、溶媒和物又は水和物。
(項目2)
前記化合物が以下の化学構造式(I):
【化4】


により表される、項目1に記載の化合物。
(項目3)
が−OR12である、項目2に記載の化合物。
(項目4)
が−H又は−CHである、項目3に記載の化合物。
(項目5)
及びRが独立して−H又は−CHである、項目4に記載の化合物。
(項目6)
、R及びRがそれぞれ−Hである、項目5に記載の化合物。
(項目7)
が−[(CH−O]−R’であり;nが1〜4であり;xが1〜4である、項目6に記載の化合物。
(項目8)
前記化合物が以下の化学構造式(IV)〜(IX):
【化5】


【化6】


の一つから選択される化学構造式により表される、項目1に記載の化合物。
(項目9)
薬学的に許容される担体又は希釈剤、並びに以下の化学構造式(I)、(II)及び(III):
【化7】


から選択される化学構造式により表される化合物であって、
式中、
が−H又はアシル基であり;
が−[(CH−O)]−[(CH−O]−R’であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H、アルキル基又は−OR11であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H又はアルキル基であり;
が−OR12又は−N(OH)R13であり;
10が−H又はアルキル基であり;
11が−H、アルキル基又はアシル基であり;
12が−H又はアルキル基であり;
13がアルキル基、
【化8】


であり;
14がアルキル基であり;
R’はアルキル基であり;
mが1〜8の整数であり;
nがそれぞれ独立して1〜8の整数であり;
xが1〜8の整数であり;
yが0〜8の整数であり;
Zが−C(O)R14
【化9】


である、
化合物、或いはその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含む、薬学的組成物。
(項目10)
前記化合物が以下の化学構造式(I):
【化10】


により表される、項目9に記載の薬学的組成物。
(項目11)
が−OR12である、項目10に記載の薬学的組成物。
(項目12)
が−H又は−CHである、項目11に記載の薬学的組成物。
(項目13)
及びRが独立して−H又は−CHである、項目12に記載の薬学的組成物。
(項目14)
、R及びRがそれぞれ−Hである、項目13に記載の薬学的組成物。
(項目15)
が−[(CH−O]−R’であり;nが1〜4であり;xが1〜4である、項目14に記載の薬学的組成物。
(項目16)
前記化合物が以下の化学構造式(IV)〜(IX):
【化11】


【化12】


【化13】


の一つから選択される化学構造式により表される、項目9に記載の薬学的組成物。
(項目17)
対象における三価金属のキレート化又は金属イオン封鎖に応答性の病態を処置する方法であって、該対象に以下の化学構造式(I)、(II)及び(III):
【化14】


【化15】


から選択される化学構造式により表される治療又は予防有効量の化合物であって、
式中、
が−H又はアシル基であり;
が−[(CH−O)]−[(CH−O]−R’であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H、アルキル基又は−OR11であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H又はアルキル基であり;
が−OR12又は−N(OH)R13であり;
10が−H又はアルキル基であり;
11が−H、アルキル基又はアシル基であり;
12が−H又はアルキル基であり;
13がアルキル基、
【化16】


であり;
14がアルキル基であり;
R’はアルキル基であり;
mが1〜8の整数であり;
nがそれぞれ独立して1〜8の整数であり;
xが1〜8の整数であり;
yが0〜8の整数であり;
Zが−C(O)R14
【化17】


である、
化合物、或いはその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を投与することを包含する、方法。
(項目18)
前記化合物が以下の化学構造式(I):
【化18】


により表される、項目17に記載の方法。
(項目19)
が−OR12である、項目18に記載の方法。
(項目20)
が−H又は−CHである、項目19に記載の方法。
(項目21)
及びRが独立して−H又は−CHである、項目20に記載の方法。
(項目22)
、R及びRがそれぞれ−Hである、項目21に記載の方法。
(項目23)
が−[(CH−O]−R’であり;nが1〜4であり;xが1〜4である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記化合物が以下の化学構造式(IV)〜(IX):
【化19】


【化20】


【化21】


の一つから選択される化学構造式により表される、項目17に記載の方法。
(項目25)
前記病態が、前記対象の組織内への前記三価金属の沈着に関連する、項目17に記載の方法。
(項目26)
前記三価金属が鉄である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記三価金属がアルミニウムである、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記三価金属の前記沈着が前記対象の全身に生じる、項目25に記載の方法。
(項目29)
前記三価金属の前記沈着が前記対象の局所に生じる、項目25に記載の方法。
(項目30)
前記病態が鉄過剰病態である、項目17に記載の方法。
(項目31)
前記鉄過剰病態が輸血に起因する、項目30に記載の方法。
(項目32)
処置を必要とする対象における酸化ストレスを軽減する方法であって、該対象に以下の化学構造式(I)、(II)及び(III):
【化22】


から選択される化学構造式により表される治療有効量の化合物であって、
式中、
が−H又はアシル基であり;
が−[(CH−O)]−[(CH−O]−R’であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H、アルキル基又は−OR11であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H又はアルキル基であり;
が−OR12又は−N(OH)R13であり;
10が−H又はアルキル基であり;
11が−H、アルキル基又はアシル基であり;
12が−H又はアルキル基であり;
13がアルキル基、
【化23】


であり;
14がアルキル基であり;
R’はアルキル基であり;
mが1〜8の整数であり;
nがそれぞれ独立して1〜8の整数であり;
xが1〜8の整数であり;
yが0〜8の整数であり;
Zが−C(O)R14
【化24】


【化25】


である、
化合物、或いはその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を投与することを包含する、方法。
(項目33)
前記化合物が以下の化学構造式(I):
【化26】


により表される、項目32に記載の方法。
(項目34)
が−OR12である、項目33に記載の方法。
(項目35)
が−H又は−CHである、項目34に記載の方法。
(項目36)
及びRが独立して−H又は−CHである、項目35に記載の方法。
(項目37)
、R及びRがそれぞれ−Hである、項目36に記載の方法。
(項目38)
が−[(CH−O]−R’であり;nが1〜4であり;xが1〜4である、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記化合物が以下の化学構造式(IV)〜(IX):
【化27】


【化28】


の一つから選択される化学構造式により表される、項目32に記載の方法。
(項目40)
新生物性疾患又は前新生物性病態を罹患した対象を処置する方法であって、該対象に以下の化学構造式(I)、(II)及び(III):
【化29】


【化30】


から選択される化学構造式により表される治療有効量の化合物であって、
式中、
が−H又はアシル基であり;
が−[(CH−O)]−[(CH−O]−R’であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H、アルキル基又は−OR11であり;
、R及びRがそれぞれ独立して−H又はアルキル基であり;
が−OR12又は−N(OH)R13であり;
10が−H又はアルキル基であり;
11が−H、アルキル基又はアシル基であり;
12が−H又はアルキル基であり;
13がアルキル基、
【化31】


【化32】


であり;
14がアルキル基であり;
R’はアルキル基であり;
mが1〜8の整数であり;
nがそれぞれ独立して1〜8の整数であり;
xが1〜8の整数であり;
yが0〜8の整数であり;
Zが−C(O)R14
【化33】


である、
化合物、或いはその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を投与することを包含する、方法。
(項目41)
前記化合物が以下の化学構造式(I):
【化34】


により表される、項目40に記載の方法。
(項目42)
が−OR12である、項目41に記載の方法。
(項目43)
が−H又は−CHである、項目42に記載の方法。
(項目44)
及びRが独立して−H又は−CHである、項目43に記載の方法。
(項目45)
、R及びRがそれぞれ−Hである、項目44に記載の方法。
(項目46)
が−[(CH−O]−[(CH−O]−R’であり;nがそれぞれ独立して1〜4であり;xが1〜4であり;yが1〜4である、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記化合物が以下の化学構造式(IV)〜(IX):
【化35】


【化36】


【化37】


の一つから選択される化学構造式により表される、項目40に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、鉄が過剰ない胆管カニューレ挿入ラットモデルにおける本発明の化合物の鉄除去の効率性を示す。
【図2】図2は、皮下投与後のげっ歯類の腎臓における本発明の化合物の経時的分布を示す。
【図3】図3は、皮下投与後のげっ歯類の肝臓における本発明の化合物の経時的分布を示す。
【図4】図4は、皮下投与後のげっ歯類の心臓における本発明の化合物の経時的分布を示す。
【図5】図5は、皮下投与後のげっ歯類の膵臓における本発明の化合物の経時的分布を示す。
【図6】図6は、皮下投与後のげっ歯類の肝臓における(S)−4’−(HO)−DADFT及び(S)−4’−(CH3O)−DADFTの経時的分布を示す。
【図7】図7は、皮下投与後のげっ歯類の心臓における(S)−4’−(HO)−DADFT及び(S)−4’−(CH3O)−DADFTの経時的分布を示す。
【図8】図8は、皮下投与後のげっ歯類の膵臓における(S)−4’−(HO)−DADFT及び(S)−4’−(CH3O)−DADFTの経時的分布を示す。
【図9】図9は、投与後に本発明の化合物により誘導されたラットにおけるウランの排泄を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の化合物は、上述の通り、化学構造式(I)、(II)及び(III)から選択される構造式により表される。
【0019】
下述の通り、本明細書に開示される化合物の立体異性体及び立体異性体の混合物は本発明に含まれる。
【0020】
通常、本発明の化合物は、各変数が上述の通りとなる化学構造式(I)で表される。
【0021】
一実施形態において、化学構造式(I)〜(III)のRは−OR12である。
【0022】
が−OR12である場合、本発明の化合物は、以下の特徴の1つ以上を有してもよい:(1)Rは−H又は−CHである;(2)R及びRはそれぞれ−H又は−CH、好ましくは−Hである;(3)R、R及びRはそれぞれ−Hである;(4)Rは−[(CH−O]−R’であり;nは独立して1〜4であり;xは1〜4である;(5)Rは−Hである;(6)R’は−CHである。本発明の好ましい化合物は、特徴(1)を、より好ましくは特徴(1)及び(2)を、更に好ましくは特徴(1)、(2)及び(3)を有する。本発明の特に好ましい化合物は、特徴(1)、(2)、(3)及び(4)を;(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)を;又は上述の特徴の6つ全てを有する。
【0023】
本発明の化合物の具体例を以下の化学構造式(IV)〜(IX)で表す。
【0024】
【化42】

【0025】
【化43】

【0026】
【化44】

本発明は又、化学構造式(I)〜(IX)により表される化合物の鏡像異性体及び鏡像異性体の混合物(ラセミ混合物等)と共に、その塩(例えば、薬学的に許容される塩)、溶媒和物及び水和物が含まれる。
【0027】
化学構造式(I)〜(IX)により表される化合物に加えて、本発明の化合物は、平面偏光面を回転させることができる光学活性を有する形態で存在することができる。光学活性を有する化合物を説明する場合、接頭辞D及びL、又はR及びSが、キラル中心周囲の分子の絶対配置を示すのに使用される。接頭辞d及び1、又は(+)及び(−)は、その化合物による平面偏光の回転の方向を示すのに使用され、(−)又は1はその化合物が左旋性であることを意味する。一方(+)又はdの接頭辞が付いた化合物は右旋性である。任意の化学構造において、これらの立体異性体と呼ばれる化合物は、1つ以上のキラル炭素が互いの鏡像体に重なり合わないことを除いては同一である。別の立体異性体の正確な鏡像体である特異的な立体異性体は、鏡像異性体とも呼ぶことができ、こうした異性体の混合物はしばしば鏡像体混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50の混合物はラセミ混合物と呼ばれる。
【0028】
本明細書に記載の化合物の多くは1つ以上のキラル中心を有することができるため、種々の鏡像異性体の形態で存在することができる。必要に応じて、キラル炭素はアスタリスク(*)で示してもよい。本明細書では、この炭素の配置が特に重要であることから、チアゾリン環又はチアゾリジン環の4位のキラル炭素をアスタリスクで示している。本発明の化学式でキラル炭素への結合が直線で示されている場合、各キラル炭素の(R)及び(S)配置の両方、即ち鏡像異性体及びその混合物の両方がこの化学式に包含されることが理解される。当業界での使用時に、キラル炭素周囲の絶対配置を指定したい場合、キラル炭素への結合はウェッジとして描画することができ(平面上の原子への結合)、また別の結合は短い平行線からなる列又はウェッジで描画することができる(平面下の原子への結合)。キラル炭素に(R)又は(S)配置を割り当てるには、Cahn−Ingold−Prelogシステムを使用することができる。チアゾリン又はチアゾリジン環の4位のキラル炭素は、好ましくは(S)配置を有するのがよい。
【0029】
本発明の化合物が1つのキラル中心を含む場合、不斉合成により調製されない化合物は、2つの鏡像異性体の形態で存在し、本発明はラセミ混合物と呼ばれる特異的な50:50の混合物をはじめとして、鏡像異性体及び鏡像異性体の混合物の何れか又は両方を含む。この鏡像異性体は、当業界で既知の方法で分離することができ、例えば、ジアステレオマー塩を形成して、それを結晶化(CRC Handbook of Optical Resolutions via Diastereomeric Salt Formation by David Kozma (CRC Press, 2001)を参照)等によって分離する方法;ジアステレオマー誘導体又は複合体を形成して、それを結晶化、ガス−液体又は液体クロマトグラフィーによって分離する方法;1つの鏡像異性体と鏡像異性体に特異的な試薬とを例えば酵素的エステル化によって選択的に反応させる方法;或いは例えばキラル支持体(シリカと結合キラルリガンド等)上又はキラル溶媒の存在下のようなキラル環境におけるガス−液体又は液体クロマトグラフィー法等がある。尚、目的とする鏡像異性体を上述の分離方法の一つを使用して別の化学成分に変換した場合は、その目的とする鏡像異性体を遊離させる更なる手順が必要となることを理解されたい。或いは、特定の鏡像異性体は、光学活性を有する試薬、基質、触媒又は溶媒を使用した不斉合成によって、又はある鏡像異性体を不斉反応によって別の鏡像異性体に変換することによって合成される場合がある。
【0030】
本発明の化合物のキラル炭素における特定の絶対配置を指定することは、その化合物の指定された鏡像異性体が鏡像体過剰(ee)であり、換言すれば、他方の鏡像異性体が実質的に存在しないことを意味するものとして理解される。例えば、化合物の「R」形態には、化合物の「S」形態が実質的に存在せず、従って「S」形態の鏡像体過剰の状態にある。その逆に、「S」形態の化合物では、その化合物の「R」形態は実質的に存在せず、従って「R」形態の鏡像体過剰の状態にある。本明細書で使用する鏡像体過剰とは、鏡像異性体混合物において特定の鏡像異性体が50%を超えて存在することを示す。例えば、ある混合物が第一の鏡像異性体を80%、第二の鏡像異性体を20%含む場合、第一の鏡像異性体の鏡像体過剰率は60%である。本発明において、鏡像異性体過剰率は約20%以上、具体的には約40%以上、より具体的には約60%以上、例えば約70%以上、例えば約80%以上、例えば90%以上であってもよい。特定の絶対配置が指定される具体的な実施形態において、図示した化合物の鏡像異性体過剰率は、少なくとも約90%である。より具体的な実施形態において、化合物の鏡像異性体過剰率は、少なくとも約95%、例えば少なくとも約97.5%、例えば少なくとも約99%である。本発明の化合物が2つ以上のキラル炭素を有する場合(例えば、RとRが同じでない化学構造式(II)の化合物)、この化合物は2つ以上の光学異性体を有してもよく、ジアステレオマーの形態で存在してもよい。例えば、2つのキラル炭素がある場合、その化合物は4つまでの光学異性体及び2対の鏡像異性体((S,S)/(R,R)及び(R,S)/(S,R))を有してもよい。対となる鏡像異性体(例えば(S,S)/(R,R))は、互いの鏡像の立体異性体である。鏡像ではない立体異性体(例えば(S,S)及び(R,S))はジアステレオマーである。ジアステレオマーの対は、クロマトグラフィー又は結晶化のような当業界で既知の方法で分離される場合があり、各対の個々の鏡像異性体は上述のように分離される場合がある。本発明はこうした化合物及びそれらの混合物の各ジアステレオマーを含む。
【0031】
アルキル基は、その炭素原子の一つからの単一共有結合を介した分子内の他の基に結合する分子中の飽和炭化水素である。アルキル基は、環式又は非環式、分枝又は非分枝(直鎖)であってもよく、直鎖又は分枝である場合は置換又は未置換であってもよい。通常、アルキル基は1〜約12個の炭素原子、例えば1〜約6個の炭素原子、又は1〜約4個の炭素原子を有する。低アルキル基は1〜4個の炭素原子を有し、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルを含む。環式である場合、アルキル基は通常約3〜約10個の炭素原子、例えば約3〜約8個の炭素原子を含む。例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基が含まれる。
【0032】
アシル基は化学式−C(O)Rで表され、式中、Rはアルキル基である。アシル基は加水分解されてもよければ、酵素、酸又は塩基によって化合物から開裂されてもよい。アシル基の1つ以上の水素原子は、以下のように置換されてもよい。通常アシル基は、本発明の化合物が鉄(III)等の金属イオンと結合する前に除去される。
【0033】
アルキル基及びアシル基の好適な置換基には、−OH、−O(R”)、−COOH、=O、−NH、−NH(R”)、−N(R”)、−COO(R”)、−CONH、−CONH(R”)、−CON(R”)及びグアニジンが含まれる。各R”は独立してアルキル基又はアリール基である。これらの基は更にアリール基によって置換されてもよい(例えば、アルキル基は芳香族で置換されて、アリールアルキル基を形成してもよい)。置換アルキル又はアシル基は、複数の置換基を有してもよい。
【0034】
アリール基には、フェニル、p−トリル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル及び2−アントラシル等の炭素環式芳香族が含まれる。アリール基には又、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、2−チエニル、3−チエニル、2−フラニル、3−フラニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、2−ピラニル、3−ピラニル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル及び5−オキサゾリル等の複素環式芳香族が含まれる。
【0035】
アリール基には又、炭素環、脂環若しくは芳香環又はヘテロアリール環が1つ以上の他のヘテロアリール又はアリール環に縮合している縮合多環式芳香環が含まれる。例としては、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル、2−インドリル、3−インドリル、2−キノリニル、3−キノリニル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾキサゾリル、2−ベンズイミダゾリル、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、1−イソインドリル及び3−イソインドリルが含まれる。
【0036】
本発明には又、本明細書に記載の化合物の塩及び薬学的に許容される塩も含まれる。本明細書に開示され、十分な酸性官能基、十分な塩基性官能基又はその両方を有する化合物は、多数の有機又は無機塩基、及び無機及び有機酸と反応して塩を形成してもよい。
【0037】
酸性基は、上記の1つ以上の金属と共にアルカリ及びアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム)で塩を形成してもよい。又、酸性基はアミン類で塩を形成してもよい。本発明の化合物は、遷移、ランタニド、アクチニド又は典型金属塩として供給されてもよい。例えば、塩は化合物の鉄(鉄(II)又は鉄(III))塩であってもよい。遷移、ランタニド、アクチニド又は典型金属塩として、本発明の化合物は、金属と複合体を形成する傾向がある。例えば、本発明の化合物が三座配位であり、その化合物が塩を形成する際に使用する金属が6個の配位部位を有する場合は、2:1の割合で化合物と金属の複合体が形成される。化合物と金属の比率は、金属の配座数及び金属上の配位部位の数によって異なる(好ましくは各配位部位が本発明の化合物で占められているのがよいが、配位部位がヒドロキシド、ハリド又はカルボキシレートのような他のアニオンで占められていてもよい)。或いは、化合物は実質的に金属が存在しない(例えば鉄を含まない)塩であってもよい。金属を含まない塩は通常、アルカリ及びアルカリ土類金属塩を包含するものとして意図されない。金属を含まない塩は、例えば金属過剰の病態を罹患した対象又は毒性金属又は局所濃度の金属に曝露されて副作用を罹患した対象に投与する場合に有利である。
【0038】
塩基性基を有する化合物から酸添加塩を形成するのに通常使用される酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、燐酸等の無機酸、及びp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等の有機酸がある。こうした塩の例には、水酸化物、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオアート、ヘキシン−1,6−ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩等が含まれる。
【0039】
本明細書に開示される化合物は、その半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物等のような水和物並びに溶媒和物の形態で調製されてもよい。
【0040】
三価金属のキレート化又は金属イオン封鎖に応答性の病態を罹患した対象は、治療又は予防有効量の本発明の化合物又は薬学的化合物で処置してもよい。三価金属のキレート化に応答性の一つの特定種類の病態は、三価金属過剰状態(例えば、鉄過剰病態、アルミニウム過剰疾患、クロム過剰疾患)である。金属のキレート化又は金属イオン封鎖に応答性の別の種類の病態は、三価金属の貯蔵能力が不十分であるか、金属貯蔵系に異常があり金属が放出される場合等、遊離三価金属の量が(例えば血清中又は細胞中で)上昇する場合に発症する。
【0041】
鉄過剰の病態又は疾患は、全身性の鉄過剰又は局所性の鉄過剰を特徴とする。全身性の鉄過剰の病態は、一般的に複数の組織に鉄が過剰であるか、生体全体に過剰な鉄が分布するのような病態である。全身性の鉄過剰の病態は、対象による鉄の過剰な摂取、食事中の鉄又は輸血等による鉄の過剰な貯蔵及び/又は保持に起因することがある。全身性の鉄過剰の病態の一つには、通常遺伝性疾患である原発性ヘモクロマトーシスがある。第二の全身性の鉄過剰の病態には、通常複数回にわたって(長期に)輸血を受けた結果である二次性ヘモクロマトーシスがある。サラセミア又は鎌状赤血球貧血を罹患した対象では輸血が必要になることが多い。食事性の鉄過剰の一種は、鉄分を多量に含む自家製ビールの摂取に伴うバンツー鉄沈着症と呼ばれる。
【0042】
局所性の鉄過剰の病態では、過剰な鉄は1種又は2〜3種の細胞型若しくは組織又は特定の臓器に限定される。或いは、過剰な鉄に起因する症状は、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓又は脳のような別個の臓器に限定される。局所性の鉄過剰は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、neuroferritinopathy、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症のような神経学的疾患又は神経変性疾患を引き起こすと考えられている。
【0043】
金属のキレート化又は金属イオン封鎖に起因する病態は、対象の組織における金属の沈着を伴うことが多い。沈着は上述の通り、全身性又は局所性に生じる。
【0044】
酸化ストレスの軽減を必要とする対象は、1つ以上の以下の病態を有することがある:還元剤の減少、反応性酸素種の増加、抗酸化酵素(例えば、Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ、Mnスーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンレダクターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、チオレドキシン、チオレドキシンペルオキシダーゼ、DT−ジアフォラーゼ)の突然変異又は減少、金属結合タンパク質(例えば、トランスフェリン、フェリチン、セルロプラスミン、アルブミン、メタロチオネイン)の突然変異又は減少、スーパーオキシドを生成できる酵素の突然変異又は過活動(例えば、一酸化窒素合成酵素、NADPHオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、NADHオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ、シトクロムCオキシダーゼ)及び放射線障害。還元剤、反応性酸素種及びタンパク質の増減は、健常者に通常認められるこうした物質の量と比較して決定される。
【0045】
酸化ストレスの軽減を必要とする対象は、虚血性エピソードを来していることがある。虚血性エピソードは、血管の狭窄又は損傷等により血液の供給が機械的に閉塞される場合に生じる。狭心症及び心筋梗塞の原因となることがある心筋虚血は、通常冠動脈疾患により心筋への血液の循環量が不足することにより生じる。24時間以内に寛解する脳の虚血性エピソードは、一過性脳虚血発作と呼ばれる。これよりも長時間持続する虚血性エピソードである卒中は、非可逆性の脳損傷を引き起こし、症状の種類及び重症度は、血液循環へのアクセスが損なわれた脳組織の部位及び範囲によって様々である。虚血性エピソードを来すリスクのある対象は、通常アテローム性硬化症、その他の血管疾患、高い血餅の発症傾向又は心疾患を来している。本発明の化合物はこれらの疾患の処置に使用することができる。
【0046】
酸化ストレスの軽減を必要とする対象は、炎症を来していることがある。炎症は、物理的、化学的又は生物学的物質によって引き起こされる損傷又は異常な刺激に反応して血管及び隣接組織で起こる細胞学的及び化学的反応の複合体からなる基礎的な病理学的プロセスである。炎症性疾患は、炎症が長期間持続するか(慢性炎症)、組織に損傷を与えることを特徴とする。こうした炎症性疾患は、気道、関節、腸及び軟部組織のような多岐にわたる組織を冒すことがある。本発明の化合物はこれらの疾患の処置に使用することができる。
【0047】
理論に拘束されるわけではないが、本発明の化合物は種々の機序を介して酸化ストレスを軽減する能力をもたらすと考えられている。ある機序においては、化合物が金属、特にレドックス活性金属(例えば、鉄)に結合し、その金属の全ての配位部位を占める。金属の全ての配位部位が占められると、酸化及び/又は還元剤が金属と相互作用して、レドックスサイクリングを生じる能力が低下すると考えられている。別の機序においては、化合物が金属を特定の酸化状態に安定させ、レドックスサイクリングを起こりにくくする。更に別の機序においては、化合物そのものが抗酸化活性(遊離基の掃去作用、反応性酸素種又は窒素種の掃去作用等)を有する。デフェリチオシン(desferrithiocin)及びその誘導体及び類似体は、それぞれの内容が本明細書に参考として組み入れられている、2004年3月4日付の米国特許出願公開番号第2004/0044220号、2004年7月8日付の米国特許出願公開番号第2004/0132789号、2004年3月4日付のPCT出願番号第WO2004/017959号、2003年12月25日付の米国特許出願公開番号第2003/0236417号、及び米国特許番号第6,083,966号、第6,559,315号、第6,525,080号及び第6,521,652号に記載の通り、内在的な抗酸化活性を有することが知られている。
【0048】
1つ以上の臓器、組織、腫瘍又はその組み合わせの造影又は検査は、本発明の化合物の金属塩を対象に投与した後に実施することができる。造影及び検査の方法は、X線法(CTスキャン及び従来のX線造影法を含む)、磁気画像法(磁気共鳴画像法、電子常磁性共鳴画像法)及び放射化学的方法のような、診断に使用される様々な計器法を包含するものとして意図される。通常、造影又は検査に使用される金属塩は、造影剤として役に立つ。このため、一実施形態において、本発明の化合物の金属複合体又は金属塩は、例えば消化管等の1つ以上の臓器の造影又は検査において造影剤として使用することができる。
【0049】
造影剤として作用することができる金属には、好ましくはトリカチオンとなる、ガドリニウム、鉄、マンガン、クロム、ジスプロシウム、テクネチウム、スカンジウム、バリウム、アルミニウム及びホルミウムが含まれる。放射活性を有する金属塩は、ここでも好ましくは金属がトリカチオンとして存在する場合に、241Am、51Cr、60Co、57Co、58Co、64Cu、153Gd、67Ga、198Au、113mIn、111In、59Fe、55Fe、197Hg、203Hg、99mTc、201Tl及び169Ybをはじめとする同位体から製造することができる。
【0050】
新生物性疾患は、細胞の増殖により正常組織よりも迅速に成長する異常組織を特徴とする。この異常組織は、新たな成長を誘導する刺激が中断した後にも成長を続ける。新生物は、正常組織を有する構造的な組織及び機能的配位が部分的又は完全に欠けており、通常は良性又は悪性何れかの特異な組織塊を形成する。新生物は例えば、脳、皮膚、口腔、鼻、食道、肺、胃、膵臓、肝臓、膀胱、卵巣、子宮、精巣、大腸及び骨並びに免疫系(リンパ節)及び内分泌系(甲状腺、上皮小体、副腎、胸線、下垂体、松果体)をはじめとする多岐にわたる組織に生じる可能性がある。本発明の化合物はこれらの疾患の処置に使用することができる。
【0051】
本発明によって処置することのできる腫瘍又は癌の例には、白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、真性赤血球増加症、肺腫瘍、頭頚部腫瘍、脳腫瘍(神経芽腫)、子宮内膜腫瘍、卵巣腫瘍、子宮頚腫瘍、乳腫瘍、絨毛癌、精巣腫瘍、前立腺腫瘍、ウィルムス腫瘍、甲状腺腫瘍、副腎腫瘍、胃腫瘍、膵腫瘍、大腸腫瘍、類癌腫、インスリノーマ、骨腫瘍(骨原性肉腫)、その他の肉腫及び皮膚癌(メラノーマ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
前新生物性病態は、良性又は悪性の新生物の形成に先立って発症する。前癌性病変は通常、悪性の新生物の前に形成される。前新生物には、光線皮膚炎、X線皮膚炎、タール皮膚炎、砒素皮膚炎、ループス皮膚炎、老年性角化症、ページェット病、コンジローム、熱傷瘢痕、梅毒性瘢痕、フィステル瘢痕、下腿潰瘍瘢痕、慢性潰瘍、静脈瘤性潰瘍、骨ろう、直腸ろう、バレット食道、胃潰瘍、胃炎、胆石症、外陰萎縮症、色素性母斑、ボーエン皮膚炎、色素性乾皮症、紅色肥厚症、白斑症、骨ページェット病、外骨腫、外軟骨腫、線維性骨炎、骨性獅子面症、神経線維腫症、ポリポーシス、胞状奇胎、腺腫様過形成及び結節性紅斑が含まれる。本発明の化合物はこれらの疾患の処置に使用することができる。
【0053】
「対象」とは通常ヒトであるが、処置を要する動物、例えば伴侶動物(例えばイヌ、ネコ)、家畜(例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等)及び実験動物(例えばラット、マウス、モルモット、非ヒト霊長類等)であってもよい。
【0054】
本発明の化合物及び薬学的組成物は、適切な経路から投与することができる。好適な投与経路には、経口、腹腔内、皮下、筋肉内、経皮、直腸内、舌下、静脈内、口腔内又は吸入が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の化合物及び薬学的組成物は経口投与するのがよい。
【0055】
本発明の薬学的組成物は、好ましくは、化合物又は混合物の経口、非経口、静脈内、皮内、筋肉内、皮下、直腸内投与、吸入又は口腔内投与又は経皮投与を可能にするのに好適な薬学的に許容される担体又は希釈剤を含有する。活性成分は、従来の薬学的に許容される担体又は希釈剤と混合される場合もあれば、合成される場合もある。従来から使用され、且つ活性成分と共に使用しても不活である投与方法、賦形剤又は担体が、本発明の薬学的組成物の調製及び投与に使用される場合があることは、当業者に理解されたい。こうした方法、賦形剤及び担体の説明は、例えば、開示内容が参考として本明細書に組み入れられている、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed. (1990)に記載されている。
【0056】
対象に使用する本発明の製剤は、作用物質と共に、1つ以上の許容されるその担体又は希釈剤、並びに場合によりその他の治療成分を含む。この担体又は希釈剤は、その製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに対して無害であるという意味において「許容され」なければならない。製剤は便宜上単位剤形で提供され、薬学業界で周知の方法の何れかによって調製されてもよい。全ての方法には、1つ以上の副次的な成分からなる担体又は希釈剤と作用物質を結合させる手順が含まれる。一般的に製剤は、作用物質と担体とを均一且つ均質に混合させた後、必要に応じてその産物をその単位剤形に分割することによって調製される。
【0057】
経口投与に好適な剤形には、当業界で認知された手順で調製される錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、オブラート剤、チューインガム等が含まれる。こうした治療上有用な組成物又は調剤における活性化合物の量は、好適な用量が得られる量とする。
【0058】
シロップ製剤は一般的に、エタノール、グリセリン又は水のような液体担体中の化合物又は塩の懸濁液又は溶液と、香味剤又は着色剤からなる。組成物が錠剤の形態をとる場合、固形製剤の調製に日常的に使用される1つ以上の薬学的担体を使用することができる。こうした担体の例には、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース及びスクロースが含まれる。組成物がカプセル剤の形態をとる場合、例えば前述の担体を硬いゼラチンカプセルシェルに使用する等、日常的なカプセル化の使用が一般的に好適である。組成物が柔らかいゼラチンシェルカプセル剤の形態をとる場合は、例えば水性ガム、セルロース、ケイ酸塩又は油のような、分散液又は懸濁液の調製に日常的に使用される薬学的担体を検討してもよく、それらが柔らかいゼラチンカプセルシェルの中に混合される。
【0059】
非経口投与に好適な製剤は便宜上、好ましくはレシピエントの血液と浸透圧が等しい作用物質の無菌水性調剤を含む。好適な担体溶液には、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、乳酸加リンゲル液又はブドウ糖(5%水溶液)が含まれる。こうした製剤は便宜上、作用物質と水を混合して溶液又は懸濁液を生成し、それを滅菌容器に入れ、細菌に汚染されないように密封することによって調製されてもよい。好ましくは、無菌の製造条件下で滅菌材料を使用して、最終的な滅菌の必要性が生じないようにするのがよい。
【0060】
こうした製剤は場合により1つ以上の追加の成分を含有してもよく、これらの成分には、オキシ安息香酸メチル、クロロクレゾール、メタクレゾール、フェノール及び塩化ベンズアルコニウムのような保存剤が含まれる。こうした材料は、製剤を多回投与容器で提供される場合に特に価値を有する。
【0061】
緩衝液は製剤の好適なpH値を得るために含まれてもよい。好適な緩衝材料には、リン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムが含まれる。製剤の浸透圧が血液と等しくなるように、塩化ナトリウム又はグリセリンを使用してもよい。
【0062】
望ましくは、製剤を窒素等の不活性雰囲気下で容器に充填し、例えば密封アンプルのような単回投与又は多回投与剤形として提供されてもよい。
【0063】
本発明の方法に従って対象に投与される本発明の組成物の種々の成分の量が、上述の因子によって異なることは、当業者に理解されたい。
【0064】
代表的な坐剤の製剤には、例えばポリマーグリコール、ゼラチン、ココアバター又はその他の低融点植物ワックス若しくは油のような結合剤及び/又は潤沢剤と共にこの方法で投与される場合に活性を有する化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0065】
代表的な経皮製剤は、例えばクリーム、軟膏、ローション又はペーストのような従来の水性又は非水性のビヒクルを含むか、医療用プラスチック、パッチ又は膜の形態をとる。
【0066】
代表的な吸入用組成物は、ジクロロジフルオロメタン又はトリクロロフルオロメタンのような従来の噴射剤を使用したエアロゾルの形態で投与できる溶液、懸濁液又はエマルジョンの形態をとる。
【0067】
本発明の化合物又は薬学的組成物の治療有効量は、何れの場合にも、治療対象となる対象の健康状態、年齢、性別、体格及び病態、所期の投与法、及び所期の剤形を取り込むことができる対象の能力のようないくつかの因子によって異なる。作用物質の治療有効量とは、治療対象となる病態に対して目的の作用を得るのに十分な量である。例えば、新生物性又は前新生物性病態の処置方法において、目的の作用とは、癌転移を含む癌又は腫瘍の進行の部分的又は完全な阻害、遅延又は予防;癌転移を含む癌又は腫瘍の再発の阻害、遅延又は予防;或いは哺乳動物、例えばヒトにおける癌又は腫瘍の発症又は発現の予防(化学的予防)である。金属イオンのキレート化又は金属イオン封鎖によって処置可能な病態を有する対象の処置方法において、作用物質の治療有効量とは、例えば対象における金属の負荷を軽減する、金属イオンに関連する症状を軽減する、或いは金属の存在に関連する症状の発症及び/又は重症度を予防、阻害又は遅延させるのに十分な量である。処置を要する対象で酸化ストレスを軽減する方法において、作用物質の治療有効量とは、例えば酸化ストレスに関連する症状を軽減する、或いは酸化ストレスに関連する症状の発症及び/又は重症度を予防、阻害又は遅延させるのに十分な量である。
【0068】
対象(平均的な70kgの対象を想定)に投与する本発明の化合物の代表的な1日の総用量は、約5mg〜約10,000mg(例えば0.07mg/kg〜143mg/kg)、好ましくは約50mg〜約5,000mg、約100mg〜約2,000mg、約300mg〜約1,000mgである。鉄過剰の治療において、本発明の化合物の1日の用量は、少なくとも1日に体重1kgにつき鉄を約0.25〜約0.40mg除去できるものでなければならない。この投与量は、例えば1回、2回、3回、4回、6回、8回、12回又はそれ以上に分けて経口投与してもよい。
【0069】
本発明を以下の実施例を使用して説明するが、これらは本発明を制限するものとしては決して意図されない。
【実施例】
【0070】
スキーム1 (S)−4,5−ジヒドロ−2−[2−ヒドロキシ−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−4−メチル−4−チアゾルカルボキシル酸(1)及びエチルエステル(2)。試薬:(a)50%モル過剰NaOEtH、EtOH、33%;(b)50%NaOH、CHOH、91%
【0071】
【化45】

(実施例1)
(S)−4,5−ジヒドロ−2−[2−ヒドロキシ−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−4−メチル−4−チアゾルカルボキシル酸(1)及びエチルエステル(2)の合成
【0072】
【化46】

(S)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−チアゾルカルボキシル酸((S)−4’−(HO)−DADFT)のエチルエステルを、50%過剰NaOEtで処理し、3,6,9−トリオキサ−1−ヨードデカン(1.3等量)とEtOH中で加熱し、4’ヒドロキシル基で位置特異的なアルキル化を行い、その結果付加物(2)を得た(スキーム1)。エステル(2)を室温にて水性メタノール中でNaOHと鹸化し、(S)−DADFT類似体(1)を得た(本明細書では(S)−4’−(OH)−DADFT−PEと呼ぶ)。
【0073】
【化47】

(実施例2)
非鉄過剰の胆管カニューレ挿入ラットモデルにおける鉄キレート化剤による鉄除去の効率性
以下の化合物を使用して非鉄過剰の胆管カニューレ挿入げっ歯類モデルにて試験を実施した。
【0074】
【化48】

【0075】
【化49】

要約すると、平均体重450gの雄Sprague−Dawaleyラットを実験期間中にNalgeneプラスチック代謝ケージにて飼育し、水を自由に飲ませた。これらのラットにペントバルビタールナトリウム(55mg/kg)を腹腔内投与して麻酔を行った。そして、22ゲージのポリエチレンチューブを使用して胆管にカニューレを挿入し、カニューレを胆管に十二指腸から約1cmの地点まで挿入し、しっかりと結紮して固定した。このカニューレを肩に通した後、ラットから金属トルク伝達つなぎ内部のスイベルに通して、それをラット胸部のげっ歯類ジャケットに装着した。代謝ケージの上に装着した液体スイベルにより、カニューレをラットからGilson微分画収集器(米国ウィスコンシン州ミドルトン)に向けた。3時間の胆汁試料を最低24時間、最高48時間連続して収集したが、効率性の計算は24時間の鉄排泄量を基にしている。各キレート化剤の効率性は2:1のリガンド−鉄複合体を基準に計算した。げっ歯類モデルにおける効率性は、対照動物の鉄排泄量を処置動物の鉄排出量から減じて算出した。この数値を理論上の出力によって除し、その結果は百分率で示されている(全文が参考として本明細書に組み入れられているBergeron, R.J., et al., J. Med Chem. 42:95−108 (1999))。尿試料は24時間採取し、全文が参考として本明細書に組み入れられているBergeron, R.J., et al., J.
Med Chem. 34:2072−2078 (1991)に記載の通りに処理した。
【0076】
評価結果を表1及び図1に示す。
【0077】
(表1 胆管カニューレ挿入ラットにおける被験化合物による鉄除去の効率性)
【0078】
【表1】

+ p.o.:経口、s.c.:皮下投与
* NaOH溶液で中性pHにした
ポリエーテル(S)−4−(OH)−DADFT−PE、(S)−4−(HO)−DADFT−PE EE及び(S)−4−(HO)−DADFT−PE iPrEの鉄除去の効率性を、親化合物の(S)−4−(HO)−DADFTと比較すると、ポリエーテル及びその対応するエステルの方が親化合物よりも良好に作用することは明らかである。これらのエステルに関する最も特筆すべき特徴は、両者を皮下投与した場合のイソプロピルエステルiPrEとエチルエステルEEの性能である。効率性はiPrEの方が有意に高い。化合物は全て同じμmol/kg単位の用量で投与されている点に留意する必要がある。
【0079】
(実施例3)
フサオマキザルモデルにおける鉄キレート化剤
以下の化合物を使用して鉄過剰サルモデルにて試験を実施した。
【0080】
【化50】

使用したプロトコルは、内容が参考として本明細書に組み入れられているBergeron, R.J., et al., ”Methoxylation of Desazadesferrithiocin Analogues: Enhanced Iron Clearing Efficiency” J. Med. Chem. 46:1470−1477 (2003)に記載されている。要約すると、鉄デキストランを静脈内投与し、鉄過剰量を体重1kg当たり約500mgにして、サルを鉄過剰の状態にした。鉄キレート化剤を評価する実験にサルを使用する前に、少なくとも20の半減期を60日間経過させた。鉄キレート化剤はビヒクル中で懸濁し、表2に示す通り経口又は皮下の何れかで投与した。糞及び尿試料は、鉄キレート化剤の投与の4日前から鉄キレート化剤の投与の5日後まで24時間毎に収集し、糞及び尿中の鉄濃度をフレーム原子吸光分析で測定した。そして、鉄キレート化剤の効率性を、正味鉄除去量[合計鉄排泄量(糞及び尿)−ベースライン]を理論上の鉄クリアランスで除して100を乗ずることにより算出した。鉄キレート化剤の理論上のクリアランスは、2:1のリガンド/鉄複合体を基に求めた。
【0081】
評価結果を表2に示す。
【0082】
(表2 フサオマキザルにおける被験化合物による鉄除去の効率性)
【0083】
【表2】

データは、(S)−4’−(HO)−DADFT−PEが経口又は皮下の何れで投与されても、霊長類に投与された場合は、鉄除去の効率性が(S)−4’−(HO)−DADFTと少なくとも同等であることを示している。
【0084】
(実施例4)
ラットに皮下投与した場合のポリエーテル置換(S)−4’−ヒドロキシデアザデフェリチオシン類似体[(S)−4’−(HO)−DADFT−PE]の組織分布
【0085】
【化51】

皮下投与時における(S)−4’−(HO)−DADFT−PE及び(S)−4’−(HO)−DADFTの組織中及び血漿中濃度を投与から2〜8時間後に評価して測定した。ラットにはこの化合物300μmol/kgを皮下投与した。組織中及び血漿中濃度は、全体が参考として本明細書に組み入れられているBergeron, et al. J. Med Chem. 48: 821−831 (2005)に記載の通りに求めた。結果を表3及び図2〜図8に示す。
【0086】
(表3 皮下投与後における(S)−4’−(HO)−DADFT−PEの組織中及び血漿中濃度と、皮下投与後における(S)−4’−(HO)−DADFTの組織中及び血漿中濃度の比較
【0087】
【表3】

nmol/g非乾燥重量(組織)又はnmol/μM(血漿)として報告、1時点につき3例の平均値±SD
表3及び図2〜図8によると、(S)−4−(HO)−DADFT−PEから(S)−4−(HO)DADFT(表3及び図2〜図5には「(代謝物)」と記載)への代謝は、何れの組織においても殆ど行われていない。PEの大半は肝臓、腎臓及び膵臓に存在している。何れの時点でも(S)−4−(HO)−DADFTよりも(S)−4−(HO)−DADFT−PEの方が腎臓中の濃度が遥かに少ない点に留意する必要がある。
【0088】
(実施例5)
鉄キレート化剤によるラットにおけるウランの排泄
平均体重450gの雄Sprague−Dawaleyラットにペントバルビタールナトリウム(55mg/kg)を腹腔内投与して麻酔を行った。22ゲージのポリエチレンチューブを使用して胆管にカニューレを挿入し、ラットに酢酸ウラニル5mg/kgを皮
下投与して、直後にキレート化剤300μmol/kgを腹腔内投与した。その後、24時間尿試料及び24時間胆汁試料を収集し、2%濃縮硝酸で酸性化して、ウラン含量を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)で評価した。結果を図9に示す。
【0089】
本発明をその好ましい実施形態の参考文献を使用して具体的に示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の適用範囲から逸脱しない範囲で、形態及び詳細の種々の変更が行われる場合があることを当業者に理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131814(P2012−131814A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−41370(P2012−41370)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【分割の表示】特願2008−505360(P2008−505360)の分割
【原出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(500360769)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイティド (16)
【Fターム(参考)】