説明

デュアル・ニードル送りシステム

器具を送るための器具。この器具には、第1の内腔と第2の内腔が貫通している、細長いシャフトを備えたカテーテルが含まれている。この器具には、さらに、カテーテルの遠位端のポートと、第1の内腔と第2の内腔に通じる内腔を備えた遠位セクションが含まれている。第1の内腔は、第1の器具を収容するように構成されており、第2の内腔は、第2の器具を収容するように構成されている。この器具には、さらに、第1の内腔に通じる第1のポートと、第2の内腔に通じる第2のポートを備える、細長いシャフトに結合された近位アダプタが含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のニードルのような複数の器具を、1つの送り装置を使用して治療部位まで送ることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
心臓血管疾患に起因する疾病や死亡の主成因は、冠状動脈及び/または末梢血管系に血液を送る血管の部分的または完全な閉塞の結果として生じる。こうした血管が部分的に閉塞すると、血流が欠乏するため、こうした血管から血液供給を受けている筋肉組織に虚血が生じ、結果として、筋肉の収縮及び適正な機能が阻害される。血流が完全に遮断されると、筋肉組織の壊死が生じる。
【0003】
血管の閉塞は、一般に、罹患血管内の血流量を機械的に増大させることによって処置される。こうした血流量の機械的増大は、閉塞部位に近接して及び閉塞部位から遠位に天然または合成導管を取り付けることによって、バイパス移植片を設ける外科技術、あるいは、さまざまな手段によって、血管内腔の閉塞部位を物理的に拡張する血管再開通術を用いて施される場合が多い。これらの血管再開通手法には、バルーン、血管内手術刀(アテローム切除術)、及び、血管内ドリルといった器具が必要とされる。外科的アプローチには、重大な病的状態や、死亡さえ付随して生じるが、一方、血管形成タイプの手法は、多くの場合、再発性狭窄症を併発する。
【0004】
個人によっては、血管閉塞が、自然作用によって部分的に代償されることもあり、障害のある血管の機能に取って代わるために新しい血管が形成され(「血管新生」と称される)、小血管が拡大される(「動脈形成)と称される)。これらの新しい導管は、欠乏した組織に対する血流の回復を促進し、それによって、閉塞血管まわりに「自然バイパス」を構成する。しかしながら、個人によっては、十分な側副血管を生成して、心臓血管疾患によって生じる血流量の減少を十分に補償することができない場合もある。従って、虚血の治療のために、冠状動脈と抹消動脈の閉塞に起因する血液損失を補償するため、治療的血管新生の自然作用の刺激を促進する薬剤を送る方法と装置を提供するのが望ましいであろう。治療部位へ薬剤を送ることは、他の多くの治療的処置または方法において必要とされる。
【0005】
例えば、心臓血管に関連した、癌に関連したいくつかの治療、及び、いくつかの外科的療法または最小限に侵襲的な治療の場合、管腔内、心臓内、または、心室内に、徐放性基質の、または、徐放性マトリックスを含む治療薬を注入するのが望ましい場合がある。しかしながら、あいにく、所望の治療部位に治療薬を保持するのは一般に困難である。例えば、心臓血管に関連した治療の場合、こうした治療後に、注入部位に保持される徐放性マトリックスが30%を超えることはめったにない。徐放性マトリックスの損失は、一般に、初期注入中か、あるいは、ニードル位置からの逆流の結果として発生する。ニードル位置からの逆流は、マトリックス材料を送るのに必要な流体量が過剰であるために、あるいは、注入部位からニードルを取り外す際、マトリックス材料が漏出する前に、その部位が密封されないために、生じる可能性がある。マトリックス材料が漏出する影響は、マトリックスとまわりの血液または流体との相互作用に応じて何倍にもなる可能性がある。
【0006】
マトリックス材料の損失及び放出の結果、投与薬剤の送り量にばらつきが生じる可能性がある。投与薬剤の送り量にばらつきがあると、結果として、さらに、治療薬の送りが、所望のまたは最適な治療濃度域外の量になる。動脈または心室治療部位の場合、徐放性マトリックスに血栓形成効果があると、二次反応が生じて、動脈または心室領域に深刻な結果をもたらす可能性のある血栓が形成されることになる。薬剤を治療部位に保持できるようなやり方で薬剤を送るのが重要である。
【0007】
治療部位に、徐放性マトリックスの治療薬または徐放性マトリックスを含む治療薬を含む、治療薬を保持することが可能な技法が、注入のために開発されている。多くの場合、1つ以上の薬剤を注入することが望ましいが、多くの受入れ部では、いったん混合されたこれらの薬剤が、厚いゲルを形成する可能性がある。他の多くの事例では、反応してもかまわなければ、ゲル・マトリックスを形成する可能性のある、いくつかの薬剤を注入するのが望ましい場合もある、従って、治療部位に注入されるまで、薬剤は分離した状態に保つ必要がある。例えば、ある心筋強化治療の場合、損傷した心筋に2つの化学成分を注入することになる。治療部位において、2つの化学成分は混合して、ゲルを形成し、心筋の壁厚を増すことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、治療部位での薬剤の注入(または除去)に役立つか、または、それを促進することが可能な器具を治療部位に送ることが可能な装置及び/または方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、ニードルのような2つ以上の医療器具を同時にまたは順次送ることができるようにする装置に関するものである。いくつかの態様では、装置は、1度に1つの医療器具を送ることができるように構成されている。例えば、いくつかの態様では、送り装置は、1つの器具を引っ込め、同時に、もう1つの器具を伸ばして、送るように構成することが可能である。他の態様では、2つ以上の器具を同時に伸ばして、送る。送りという用語は、注入、除去、撮像、配置、または、1つまたは複数の器具を特定の治療部位に別様に送ることを表わすものとする。本発明の多くの実施態様は、患者に薬剤を注入することが可能なニードルである器具または医療器具に関連するが、本明細書に記載の実施態様は、患者から流体を除去するために利用可能なタイプの器具、または、切除器具、撮像器具、カメラ、診断器具、移植片送り装置等のような他のタイプの医療器具といった、他の器具にも同様に適用することが可能である。
【0010】
実施態様の1つは、貫通する第1の内腔と第2の内腔を備えたカテーテル本体を含む装置に関するものである。第1の内腔は、第1の器具を収容するように構成され、第2の内腔は、第2の器具を収容するように構成されている。カテーテル本体には、制御ハンドルも結合されている。制御ハンドルには、第1の器具を制御するように構成された第1の制御機構と、第2の器具を制御するように構成された第2の制御機構が含まれている。カテーテル本体の遠位部分には、送り経路が設けられている。送り経路は、カテーテル本体の遠位先端における第1の器具と第2の器具の個別導入を可能にするように構成されている。送り経路は、いかなる時点においても、第1の器具または第2の器具の一方だけしかそれを通って伸びることができないように構成されている。第1の器具と第2の器具は、治療部位に1つまたは複数の薬剤を送ることが可能なニードルとすることが可能である。
【0011】
もう1つの実施態様は、近位セクション、遠位セクション、及び、貫通する少なくとも第1の内腔と第2の内腔を備えた、カテーテル本体を含む装置に関するものである。第1の内腔は、第1の器具を収容するように構成され、第2の内腔は、第2の器具を収容するように構成されている。第1の内腔と第2の内腔は、互いに並列に配置されている。カテーテル本体の遠位セクションには、第1の内腔と第2の内腔の間を隔てる壁はない。カテーテル本体には、制御ハンドルも結合されている。制御ハンドルには、第1の器具を制御するように構成された第1の制御機構と、第2の器具を制御するように構成された第2の制御機構が含まれている。第1の内腔と第2の内腔は、第1の器具と第2の器具のそれぞれが、その中で回転し、そこから伸びることができるように構成されている。第1と第2の器具は、それぞれ、治療部位に1つまたは複数の薬剤を送ることができるニードルとすることが可能である。
【0012】
もう1つの実施態様は、第1のニードルと第2のニードルを備えたカテーテル本体を治療部位まで進めるステップを含む方法に関するものである。カテーテル本体は、近位セクション、遠位セクション、及び、それを貫通する少なくとも第1の内腔と第2の内腔を備えている。第1の内腔内には、第1のニードルが挿入され、第2の内腔内には、第2のニードルが挿入される。この方法には、さらに、治療部位において、カテーテル本体の遠位先端から第1のニードルと第2のニードルを順次伸ばすステップが含まれている。1回につき伸ばされるのは、第1のニードルまたは第2のニードルの一方だけである。第1のニードルを制御するように構成された第1の制御機構と、第2のニードルを制御するように構成された第2の制御機構を含む制御ハンドルが、カテーテル本体に結合している。カテーテル本体の遠位セクションには、第1のニードルと第2のニードルを1度に1つ個別に導入できるように構成された送り経路が含まれている。
【0013】
もう1つの実施態様は、第1のニードルと第2のニードルを備えるカテーテル本体を治療部位まで進めるステップを含む方法に関するものである。カテーテル本体は、近位セクション、遠位セクション、及び、それを貫通する少なくとも第1の内腔と第2の内腔を備えている。第1のニードルは第1の内腔内に挿入され、第2のニードルは第2の内腔内に挿入される。この方法には、さらに、第1のニードルと第2のニードルが一緒に尖った先を形成するように、第1のニードルと第2のニードルを配置するステップが含まれている。次に、治療部位において穿刺が行われる。この方法には、治療部位において、カテーテル本体の遠位先端から第1のニードルと第2のニードルを順次送り込むステップが含まれるが、1回につき送り込まれるのは、第1のニードルまたは第2のニードルの一方だけである。実施態様の1つでは、薬剤は、第1のニードルと第2のニードルのそれぞれによって治療部位に送られる。第1のニードルを制御するように構成された第1の制御機構と第2のニードルを制御するように構成された第2の制御機構を含む制御ハンドルが、カテーテル本体に結合している。実施態様の1つでは、第1のニードルと第2のニードルは、同時に、治療部位に送られる。
【0014】
もう1つの実施態様は、第1のニードルと第2のニードルを備えるカテーテルを治療部位まで進めるステップを含む方法に関するものである。第1のニードルと第2のニードルは、両方とも、カテーテルの遠位端から突き出し、カテーテルの遠位端において、一緒に尖った先を形成する。この方法には、さらに、第2のニードルの遠位ポートに対して第1のニードルの遠位ポートの向きを合わせるため、少なくとも第1のニードルを回転させるステップが含まれている。この方法には、第1のニードルの遠位ポートに対して第2のニードルの遠位ポートの向きを合わせるため、第2のニードルを回転させるステップも含まれている。
【0015】
もう1つの実施態様は、貫通する第1の内腔と第2の内腔を備える、細長いシャフトが設けられたカテーテルを含む装置に関するものである。この装置には、さらに、カテーテルの遠位端の部分、及び、第1の内腔と第2の内腔と通じる内腔を備えた遠位セクションが含まれている。第1の内腔は第1の器具を収容するように構成され、第2の内腔は第2の器具を収容するように構成されている。この器具には、さらに、第1の内腔に通じる第1のポートと第2の内腔に通じる第2のポートを備える細長いシャフトに結合された近位アダプタが含まれている。
【0016】
本発明は、同様の参照番号が同様の要素を表わす添付の図面の図に、限定ではなく、例証のために例示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の典型的な実施形態は、治療部位に2つ以上の器具を送るために利用可能な装置と方法に関するものであり、送られる器具の例には、ニードル、撮像器具、切除器具、カメラ、診断器具、移植片送り装置等が含まれる。器具を、治療部位に同時にまたは順次送ることが可能である。さまざまな実施形態によって、進入部位への外傷を最小限に抑えて、ほぼ同じ箇所に器具を送ることが可能になる。
【0018】
以下の説明では、解説を目的として、本発明の完全な理解が得られるようにするため、多くの具体的詳細が明らかにされる。しかしながら、当該技術者には明らかなように、これらの具体的詳細が得られなくても、本発明を実施することは可能である。他の事例では、本発明を曖昧にしないように、具体的な器具構造及び方法について説明しなかった。以下の説明及び図面は、本発明の例証となるものであり、本発明を限定するものとみなすべきではない。
【0019】
本発明の実施形態では、しばしば、「治療部位」に言及する。治療部位には、限定するわけではないが、体組織内またはそのまわりの、冠状動脈血管、ソロスコピック(thoroscopic)手術部位、オルソスコピック手術部位、及び、腹腔鏡手術部位といった血管または体管腔を含むことが可能である。治療部位は、治療処置を施すべき部位を表わすことがある。例えば、特定の目的または治療のため、治療部位に薬剤を注入することもある。治療部位は、また、診断方法を実施することが可能か、または、多くの方法での要求または必要に応じて、部位の撮像を実施することが可能な部位を表わすこともある。さらに、本発明の実施形態では、しばしば「薬剤」に言及する。薬剤は、限定するわけではないが、特定の細胞結合部位を対象にした薬剤や炎症を誘発する薬剤を含む、疾病または外傷の防止、軽減、または、治療に用いられる薬剤または医薬品のような治療薬または生物剤成分とすることが可能である。
【0020】
本発明の実施形態は、治療部位への薬剤の送り、治療部位からの流体または他の物質の除去、治療部位への器具の送りまたは配置、または、治療部位における他の処置の実施といった手法を実施することが可能な送り装置に関するものである。本明細書に解説の送り装置と方法は、制限するわけではないが、哺乳類宿主(例えば、患者)内の治療部位への複数のニードルによる送りによって、薬剤成分(おそらく複数薬剤及び/または徐放性薬剤を含む)が導入される局所薬剤送りにとりわけ適している。送り装置に適した用途の1つは、ニードル送りシステムを含むカテーテル器具の用途である。本発明の典型的な送り装置の恩恵を受け、それを利用することが可能な適合する治療には、限定するわけではないが、動脈再狭窄の治療用の薬剤、治療的血管新生のための薬剤、または、癌治療薬/治療剤の送りが含まれる。
【0021】
本明細書に記載のさまざまな実施形態は、開胸手術、心臓切開手術(例えば、キャベツ冠状動脈バイパス移植術(Cabbage Coronary Bypass Graft:CABG)、例えば、治療的血管新生に作用する成長因子によって心臓の部位を治療することが可能な処置といった外科的処置中に、独立型注入ニードル/カテーテルとして利用することもできるし、あるいは、経皮経管冠動脈(PTCA)手術に一般に利用される位置に接近するため、カテーテル・ベースのシステムに組み込むことも可能である。典型的な装置と方法は、癌に関連した処置(例えば、脳、腹部、または、大腸の癌の処置または手術)といった他の外科的処置において同様に利用することが可能である。本明細書に記載のさまざまな実施形態は、腹腔鏡処置及び経皮的処置に利用することが可能である。本明細書に記載のさまざまな装置と方法は、一般に、特定の薬剤または成長因子を組織に送るのに最小限の侵襲性を必要とする、さまざまなカテーテルに関連した手法または内視鏡手法に関して利用することも可能である。こうした手法の例には、限定するわけではないが、関節(例えば、膝)のオルソスコピック手術、腹部の腹腔鏡手術、及び、胸部の損傷または治療に関連したソロスコピック処置が含まれる。
【0022】
実施形態の1つでは、送り装置100の説明がなされるが、送り装置100は、複数のニードルによって、1つ以上の薬剤を治療部位に順次注入できるように構成されている。2つ以上の薬剤を注入すべき場合に、送り装置100のような器具を用いると、ほぼ同じ箇所に順次薬剤を注入することが可能になる。例えば、本明細書に記載のように、装置100に2つ以上のニードルを配置することが可能であり、ほぼ同じ注入箇所にニードルを順次ガイドすることが可能である。薬剤は、治療部位で注入されるまで、別々の状態に保たれる。薬剤は、治療部位においてより効率よく混合することが可能である。さらに、下記から明らかになるように、装置100は、複数の注入剤を送るために1つの送り経路を設けているが、装置100では1つの送り経路だけしか必要とされないので、1回の穿刺だけしか必要とせず、従って、注入部位の負傷または損傷が最小限に抑えられる。
【0023】
図1〜4には、治療部位にニードルのような複数の医療器具を送ることができる典型的な装置100が例示されている。治療部位に送られると、医療器具は、治療部位への薬剤の注入といった指定の機能を実施することが可能になる。装置100には、第1の内腔104と第2の内腔106が貫通しているカテーテル本体102が含まれている。第1の内腔104は、第1の器具108を収容するように構成され、第2の内腔106は、第2の器具110を収容するように構成されている。カテーテル本体102には、その近位部分122に近位ハンドル112も結合されている。近位ハンドル112には、第1の器具108を制御するように構成された第1の制御機構114と、第2の器具110を制御するように構成された第2の制御機構116が含まれている。カテーテル本体102の遠位部分120には、送り経路118が設けられている。送り経路118は、カテーテル本体102の遠位先端124で第1の器具108と第2の器具110を個別に導入できるように構成されている。
【0024】
実施形態の1つでは、第1の器具108と第2の器具110の両方が、同時に送り経路118に進入することはできない。実施形態の1つでは、第1の器具108と第2の器具110を順次導入すると、第1の器具108と第2の器具110の個別導入を実現することが可能になる。1回につき、送り経路118を通って伸ばすのが、第1の器具108または第2の器具110の一方だけである場合に、第1の器具108と第2の器具110を順次導入することが可能になる。
【0025】
実施形態の1つでは、第1の内腔104と第2の内腔106は、カテーテル本体102の大部分にわたって、カテーテル本体102内の2つの独立した内腔として延びている(図2〜3)。第1の内腔104と第2の内腔106は、カテーテル本体102の遠位セクション120において、末端となり、収束し、送り経路118と呼ばれる単一内腔の管状セクションに統合される(図4)。第1の器具108は、第1の内腔104内を別個に進み、第2の器具110は、第2の内腔106内を別個に進む。しかし、器具108、110が、カテーテル本体の遠位セクション120で送り経路118に達すると、器具108または110の一方だけが、送られるか、または、送り経路118に沿って別様に伸ばされ、遠位先端124から突き出るように制御される。
【0026】
実施形態の1つでは、送り状態中、使用されていない時、または、器具108または110が治療部位に送られる前、第1の器具108は第1の内腔104内にあり、第2の器具110は第2の内腔106内にある(図5)。各器具108または110を個別に導入し、送り、あるいは、伸ばすため、近位ハンドル112を操作して、1回に1つずつ、器具108または110を作動させて、遠位先端124から外に送り出す。例えば、近位ハンドル112は、第1の器具108に接続された第1の制御機構114(図1)によって、第1の器具108を押しやり、図6に示すように、第1の内腔104から送り経路118内に第1の器具108を進入させることができるように構成されている。第1の器具108が進められている間、第2の器具110は、静止状態にあり、進むことができない。送り経路118は、また、1回に1つずつ器具108または器具110の一方だけが進入し、突き出すことができるように構成されている。第1の器具108が送られ、回収する準備が整うと、第1の制御機構114を介して、近位ハンドル112が、送り経路118から第1の器具108を引っ込め、第1の内腔104に戻す。第1の器具108の送りが済むと、次に、第2の器具110が、第1の器具108を進めたのと同様のやり方で、第2の制御機構116を介して、やはり近位ハンドル112によって送られる。第2の器具110が進められている間、第1の器具108は、静止状態にあり、進むことができない。第2の器具110が送られ、回収の準備が整うと、第2の制御機構116を介して、近位ハンドル112が、送り経路118から第2の器具110を引っ込め、第2の内腔106に戻す。
【0027】
実施形態の1つでは、第1の制御機構114は、第1の器具108に結合または接着されていて、近位ハンドル112に沿って第1の制御機構114をスライドさせると、それに対応して、カテーテル本体102内において第1の器具108を伸ばすか/進めるか、または、引っ込めることができるようになっている。同様に、第2の制御機構116は、第2の器具110に結合または接着されていて、近位ハンドル112に沿って第2の制御機構116をスライドさせると、それに対応して、カテーテル本体102内で第2の器具110を伸ばすか/進めるか、または、引っ込めることができるようになっている。近位ハンドル112には、第1の器具108と第2の器具110をそれぞれ操作するため、第1の制御機構114と第2の制御機構116がスライドするトラック(不図示)を含んでいてもよい。制御機構114、116にバネ荷重をかけて、治療剤が送られると、器具を自動的に引っ込めることができるようにすることが可能である。
【0028】
実施形態の1つでは、近位ハンドル112にインジケータ134とインジケータ136が含まれていて(図1)、各インジケータは、それぞれ、制御機構114、116のストッパとして機能し、カテーテル本体102からの器具108または106の伸長距離を制御するようになっている。制御機構114は、インジケータ134を通り越して移動するのが阻止され、従って、器具108は、所定の、インジケータ134によって指示される距離よりも遠位まで伸びることが阻止される。同様に、制御機構116は、インジケータ136を通り越して移動するのが阻止され、従って、器具110は所定の、インジケータ136によって指示される距離よりも遠位まで伸びることが阻止される。インジケータ134、136は、カテーテル本体102から、及び/または、治療部位内に、及び/または、治療部位に達するように、器具108、110を伸ばすべき所定の伸長距離に従って、近位ハンドル112に配置することが可能である。インジケータ134、136は、治療部位に対する不必要な損傷または穿刺を阻止するので、インジケータ134、136によって得られる機能は、器具108、110が尖った先を備えることが可能なニードルの場合に、とりわけ有効である。従って、インジケータ134、136は、器具108、110の伸長をそれぞれ制御する。
【0029】
実施形態の1つでは、カテーテル本体102は、治療部位への進入または穿刺を容易にするため先が斜めになった遠位先端124で終わっている。実施形態の1つでは、遠位先端124は治療部位に貫入される。器具108、110は、それぞれ、生物剤成分を充填したニードルとすることが可能である。図5に示すように、送り中、器具108は引っ込み位置にあって、第1の内腔104内に収まっており、器具110も引っ込み位置にあって、第2の内腔106内に収まっている。送りの準備が整うと、1回につき1つのニードルが治療部位内に送り込まれる。図6に示すように、第1の器具108を遠位先端124から所定の距離だけ突き出す。器具108は、図6に示すように先が斜めになっている。器具108内の生物剤成分が治療部位に注入される。注入後、器具108は、図7に示すように第1の内腔104内に引き戻される。次に、図7に示すように、器具110を遠位先端124から所定の距離だけ突き出す。器具110内の生物剤成分が治療部位に注入される。
【0030】
実施形態の1つでは、送り経路118は、器具108または110の一方がその中を自由に移動するのにちょうど十分な公差の内径を有している。例えば、送り経路の内径または内側の寸法は、器具108、110を組み合わせた外径または外側の寸法より小さい。従って、1回につき、送り経路118を通ってスライド自在に伸びることができるのは、器具108または110の一方だけである。カテーテル本体102のテーパ状端部(カテーテル本体102の遠位部分122がテーパ状である)には、送り経路118を設けることが可能であり、送り経路118の外径がカテーテル本体102の残りの部分より細くなるようにすることが可能である。実施形態の1つでは、遠位先端124におけるカテーテル本体102の壁厚は、カテーテル本体102の残りの部分の壁厚より厚い。従って、遠位先端124の内腔(送り経路118)は、器具108または110の一方だけしか進入できないように、より細くなっている。
【0031】
各器具108または110は、任意の特定方向に合わせた向きとするか、あるいは、互いに対して及び/または遠位先端124に対して予め決めた方向に固定することが可能である。実施形態の1つでは、器具108、110の方向または向きは、送り前に、近位ハンドル112によって制御される。器具108、110は、それぞれ、特定の向きをなすように向けられ、さらに、対応する内腔104、106内に配置された後で、その向きに固定することが可能である。従って、実施形態の1つでは、器具108、110を進めるか、引き戻すことはできるが、回転させることはできない。代替案として、近位ハンドル112は、送り中、器具108、110の方向または向きを調整できるように構成することが可能であり、例えば、第1の制御機構114と第2の制御機構116に、それぞれ、器具108または110を特定の方向または向きになるように回転させるための機構を設けることが可能である。
【0032】
実施形態の1つでは、送り経路118と遠位先端124は、治療部位の1つの局所または1つの標的まで器具108、110を導くように構成されているので、器具108、110を、この特定の1つの局所または1つの標的位置に対して突き出すことが可能である。望ましい実施形態では、送り経路118と遠位先端124は、順次送られる場合でも、器具108、110の両方にほぼ同じ送り部位に対するアライメント及び方向づけを施すのに役立つ。こうした実施形態の場合、特定の治療部位で混合すべき2つ以上の異なる薬剤を、送られるまで、別々に保つことが可能である。薬剤は、送り部位についた時、治療部位のほぼ同じ局所に送られるようにすることが可能である。これによって、治療部位に薬剤を送り込み、最適な反応をもたらす効率の良い方法が可能になる。理解すべきは、装置100は、本明細書において上述のように注入を行うニードルに加えて、他の医療器具の送りにも役立つという点である。
【0033】
実施形態の1つでは、送り経路118の内壁が、送り経路118を通る器具108または110の移動を促進するため、滑らかな材料(不図示)によって裏打ちされている。裏打ちは、器具108または110に存在する可能性のある尖った先によって簡単には損傷を受けることのない材料から構成することが可能である。
【0034】
実施形態の1つでは、カテーテル本体102は、2つ以上の個別管(例えば、ハイポチューブまたはステンレス鋼ハイポチューブ)を溶接またはハンダ付けすることによって形成される。第1の内腔104と第2の内腔106も、ポリマ、コポリマ、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタン、ニチノール等のような任意の適合材料によって製造することが可能である。管または内腔を備える構造部材の構造は、当該技術において既知のところである。図8に示すように、カテーテル本体102の形成に利用される管140、142が設けられている。管140、142のそれぞれには、内腔144、146がそれぞれ貫通している。管140、142のそれぞれには、さらに、徐々にテーパ状に研削された端部148、150がそれぞれ含まれている。徐々にテーパ状に研削された端部148、150は、図9A〜9Bに示すように、これらの端部がやや半開きの管を形成するように、遠位端において管140、142のそれぞれを切削することによって形成される。カテーテル本体102は、従って、図10〜11に示すように、管140、142を溶接するか、ハンダ付けするか、または、別様に結合することによって形成される。管140、142は、徐々にテーパ状に研削された端部148、150において、溶接されるか、ハンダ付けされるか、または、結合されて、送り経路118を形成する。
【0035】
管140、142が溶接されるか、ハンダ付けされるか、または、結合されると、カテーテル本体102が形成される。実施形態の1つでは、カテーテル本体102は、近位領域122における双対内腔構造(2つの内腔144、146によって形成される)から、徐々にテーパ状に研削された2つの端部148、150を結合することによって形成された単一内腔の遠位領域120に変わる構造を有している。カテーテル本体102の遠位先端124は、図10に示すように、治療部位への進入を容易にするため、先が斜めになるように研削することが可能である。カテーテル本体102は、第1の内腔104と第2の内腔106が、それぞれ管140、142から形成される、Y字形状にすることが可能である。第1の内腔104と第2の内腔106が、遠位領域120で送り経路118に収束する2つの独立したトラックに配置される。
【0036】
カテーテル本体102には、例えば、ガイドワイヤ、膨張バルーン、診断器具、及び/または、撮像器具を収容するための追加内腔(不図示)を含むことが可能である。カテーテル本体102には、ニードルのような追加器具のために、第1の内腔104と第2の内腔106と同様のより多くの内腔を含むことも可能である。場合によっては、特定の治療部位に複数薬剤を注入するため、複数ニードル(2つ以上の)が必要になることもある。実施形態の1つでは、カテーテル本体102のいくつかの内腔が、前述のように1つの経路(例えば、送り経路118)に収束ことになる。
【0037】
実施形態の1つにおいて、各器具108、110の近位端には、器具への、最終的には、治療部位への薬剤の送りにそれぞれ対応するためのアダプタ160、162がある(図1)。アダプタ160、162は、それぞれ、一般に、それぞれのニードルに薬剤を注入できるようにするために用いられる、成形雌ルーアー・ハウジングとすることが可能である。
【0038】
上述のような実施形態は、患者の1つ以上の位置または部分に生体腐食性及び/または生体適合性ゲルを送り込むのに適している。例えば、アルギン酸と塩化カルシウムの結合(混合、接触等)によって形成されるゲル。典型的な例としては、アダプタ160における1立方センチメートルの注入器によって、本例の場合ニードルである器具108を介して、3.5%のアルギン酸塩溶液を送り込むことが可能である。直前または直後に、アダプタ162における1立方センチメートルの注入器によって、やはり、本例の場合ニードルである器具110を介して、塩化カルシウムの溶液を送り込むことが可能である。治療部位でアルギン酸塩と塩化カルシウムを合わせると、材料が結合(混合、接触)して、生体腐食性ゲルを形成する。心臓血管治療法に用いられる適量の2つの材料ゲル成分の一例は、約200マイクロリットルのアルギン酸塩溶液と1ミリリットルの塩化カルシウムである。余分な塩化カルシウムは、食塩水として患者の内部を洗い流すことが可能である。留意すべきは、薬剤は順次または同時に注入することができるという点である。
【0039】
代替実施形態では、器具108、110の移動をそれぞれ制御するため、第1の制御機構114と第2の制御機構116の両方を含むか、組み込んだ近位ハンドル112を備える代わりに、器具108、110のそれぞれのために、それぞれ、制御機構を含む独立した1つの近位制御器具を設けることが可能である。
【0040】
もう1つの実施形態(図12〜16)は、近位セクション222、遠位セクション220、及び、貫通する少なくとも第1の内腔204と第2の内腔206を備えるカテーテル本体202を含む装置200に関するものである(図12A〜12B、15)。第1の内腔204は、第1の器具208を収容するように構成され、第2の内腔206は、第2の器具210を収容するように構成されている。実施形態の1つでは、第1の器具208と第2の器具210は、治療部位に1つまたは複数の薬剤を送ることが可能なニードルである。もちろん、器具208、210は、前述のように他の器具とすることも可能である。近位セクション222において、第1の内腔204と第2の内腔206は、カテーテル本体202内を延びる2つの平行管のように互いに隣接して配置される(図14〜15)。遠位セクション220において、第1の内腔204と第2の内腔206は、やはり互いに隣接して配置されるが、内腔は一緒に8字形の断面を形成する(図15〜16)。従って、第1の内腔204と第2の内腔206は、各内腔がもう一方の内腔と隣接するセクションを備え、このセクションにおいて、内腔間に分割壁がなくなるように、縦方向に隣接して並列に配置されるか、あるいは、互いに隣接し、極めて近接して配置される(図16の断面図参照)。第1の内腔204と第2の内腔206は、一緒になって、断面形状が数字の8に似た断面形状を備える1つの内腔を形成することが可能である。カテーテル本体202は、ガイドワイヤまたは撮像器具のような他の器具を収容するための他の内腔を備えることが可能である。
【0041】
実施形態の1つでは、カテーテル本体202は、複数の内腔がカテーテル本体202の全長にわたって延びる管構造を有している。この実施形態の場合、カテーテル本体202の近位端にアダプタ280が結合される(図12A)。アダプタ280には、少なくとも2つのポート282、284が含まれており、ポート282、284は、それぞれ、内腔204、206の一方に通じている。実施形態の1つでは、器具208、210は、それぞれポート282、284に挿入され、それぞれの第1の内腔204と第2の内腔206に送り込まれる。アダプタ280には、通気、追加器具の挿入、または、他の目的に利用可能な追加ポート289も含まれている。
【0042】
実施形態の1つでは、アダプタ280は、カテーテル本体202の近位端に結合された近位制御ハンドルとなるように構成される。制御ハンドルは、第1の器具208を制御するように構成された第1の制御機構214と、第2の器具210を制御するように構成された第2の制御機構216を結合する。第1の制御機構214は、さらに、ある特定の向きまたは方向に第1の器具208を作動させ、回転させ、あるいは、伸ばすことができるように、第1の器具208に結合されるかまたは取り付けられている。第1の内腔204は、その中で第1の器具208を回転させ、かつ、そこから伸ばすことができるようなサイズが付与されている。同様に、第2の制御機構216は、さらに、ある特定の向きまたは方向に第2の器具210を作動させ、回転させ、あるいは、伸ばすことができるように、第2の器具210に結合されるかまたは取り付けられている。第2の内腔206は、やはり、その中で第2の器具210を回転させ、かつ、そこから伸ばすことができるようなサイズが付与されている。
【0043】
実施形態の1つでは、第1の器具208の回転を制御するため、第1の制御機構214には、インジケータ291とインジケータ292を備えた回転ノブ288が設けられている。第1の制御機構214には、インジケータ286とインジケータ287を備えた固定ノブ298も設けられている。回転ノブ288を回転すなわち旋回させると、第1の器具208がそれに応じて回転すなわち旋回する。インジケータ291、292は、インジケータ286、287と連係して、第1の器具208の向きをオペレータに指示する働きをする。例えば、第1の器具208を回転させるため、回転ノブ288を旋回すなわち回転させている間、インジケータ291、287が、第1の器具208の回転を制限するように整列し、インジケータ292は、インジケータ286と共に、同様の機能を果たすように製鉄する。インジケータが整列すると、オペレータには、回転中の第1の器具208の位置が知らされる。インジケータ291、287とインジケータ292、286は、従って、第1の器具208の向きを指示するだけではなく、第1の器具208の過度の回転を制限する働きをも果たす。インジケータを用いると、第1の器具208は、簡単には過度回転しなくなり、その回転は、回転ノブ288によって制御できる。
【0044】
同様に、実施形態の1つでは、第2の器具210の回転を制御するため、第2の制御機構216には、インジケータ293とインジケータ294を備えた回転ノブ290が設けられている。第2の制御機構216には、インジケータ276とインジケータ277を備えた固定ノブ299も設けられている。回転ノブ290を回転すなわち旋回させると、第2の器具210がそれに応じて回転すなわち旋回する。インジケータ294、293は、インジケータ277、276と連係して、第2の器具210の向きをオペレータに指示する働きをする。例えば、第2の器具210を回転させるため、回転ノブ290を旋回すなわち回転させている間、インジケータ293、276が、第2の器具210の回転を制限するように整列し、インジケータ294は、インジケータ277と共に、同様の機能を果たすように整列する。インジケータが整列すると、オペレータには、回転中の第2の器具210の位置が知らされる。インジケータ293、276とインジケータ294、277は、従って、第2の器具210の向きを指示するだけではなく、第2の器具210の過度の回転を制限する働きをも果たす。インジケータを用いると、第2の器具210は、簡単には過度回転しなくなり、その回転は、回転ノブ290によって制御可能になる。
【0045】
図13には、送り装置200に挿入して、治療部位まで送ることが可能な器具208、210の典型的な実施形態が例示されている。実施形態の1つでは、器具208、210は、それぞれ、治療部位に1つまたは複数の薬剤を注入することが可能なニードルである。実施形態の1つでは、各器具208、210の近位端には、それぞれ、器具への、最終的には治療部位への薬剤の送りに対応するためのアダプタ260、262がある。アダプタ260、262は、それぞれ、ニードルに薬剤を注入できるよう一般に用いられる成形雌ルーアー・ハウジングとすることが可能である。実施形態の1つでは、第1の器具208は、ポート282からアダプタ280に挿入されて、カテーテル本体202の内腔204に送り込まれる。第2の器具210は、ポート284からアダプタ280に挿入されて、カテーテル本体202の内腔206に送り込まれる。
【0046】
実施形態の1つでは、送り装置200は、治療部位301に生物剤成分を送るために利用される。この実施形態の場合、第1の器具208は第1のニードル308であり、第2の器具210は第2のニードル310であるが、これらは、治療部位301で混合すると所望の生物剤成分を形成する薬剤を治療部位301に注入するために用いられる(図17〜22)。実施形態の1つでは、生物剤成分には、第1の薬剤318と第2の薬剤320が含まれる。第1の薬剤318は、第1のニードル308内に保有され、第2の薬剤320は第2のニードル310内に保有される。第1の注入ニードル308と第2の注入ニードル310は、それぞれ、一般にニードルに見られる斜めになった先(それぞれ、312、314)を備えている。ある適用例の1つでは、第1の薬剤318と第2の薬剤320は、混合されると、ゲル・マトリックスを形成する。従って、治療部位301への注入前に、2つの薬剤を混合させないのが望ましい。一般に、細いニードルの内腔を介してゲル成分を注入するのはより困難である。さらに、一方の薬剤をもう一方の薬剤に誤って注入すると、ニードル内で閉塞を生じる可能性があるので、治療部位につくまで、2つの薬剤を完全に分離した状態に保つのが望ましい。混合を目的として2つの薬剤を確実に同じ局所に注入し、かつ、隣接するニードル内腔への一方の薬剤の注入を防止するためには、注入を順次実施することが可能である。
【0047】
実施形態の1つでは、送り中、及び、治療部位301への最初の穿刺/進入時に、第1の注入ニードル308と第2の注入ニードル310は、図17に示すように、ニードル308、310の斜めになった遠位先端312、314が、一緒に1つの尖った先を形成するように位置決めされる。第1のニードル308と第2のニードル310は、互いに側面が押し付けられ、斜めになった先端が一緒に尖った先を形成するように回転させることが可能である。第1のニードル308と第2のニードル310は、互いに寄りかかる側面を備えることになる。実施形態の1つにおいて前述したように、遠位セクション220において、第1の内腔204と第2の内腔206は、一緒になって、送り経路を形成することが可能である。これによって、第1のニードル308と第2のニードル310は、互いに寄りかかることが可能になる。遠位先端312と遠位先端314の間に中心線316が形成される。中心線316は、2つのニードル308、310の接触線とみなすことが可能である。この時点で、斜めになった遠位先端312の遠位開口328は中心線とは別方向に向くことになる。同様に、斜めになった遠位先端314の遠位開口330も中心線316とは別方向に向くことになる。
【0048】
次に、第1の薬剤318または第2の薬剤320が治療部位301に注入される。一例では、図18〜19に示すように、最初に第2の薬剤320が注入され、続いて第1の薬剤318が注入される。図18の場合、第2の注入ニードル310から治療部位301に第2の薬剤320を注入するため、注入ニードル310を回転させて(第1の注入ニードル308が静止している間)、ニードル遠位開口330が中心線316の方を向くようにする。次に、治療部位301に第2の薬剤320が注入される。第1の注入ニードル308は、まだ、その遠位開口328が中心線316とは別方向に向いているので、第2の薬剤320は第1の注入ニードル308への進入を阻止される。2つの薬剤は、従って、治療部位301に注入されるまで分離した状態に保たれる。
【0049】
次に、第1の注入が済むと、第2に注入ニードル310を回転させて、図19に示すように、その斜めになった遠位開口330が中心線316とは別方向に向くようにする。第2の注入ニードル310は回転させられて、その初期状態に戻される。次に、第1の注入ニードル308を回転させて、図19に示すように、その斜めになった遠位開口328が中心線316の方を向くようにする。上記と同様に、第1の注入ニードル308が回転している間、第2の注入ニードル310は静止している。次に、治療部位301において第2の薬剤320が注入されたのとほぼ同じ局所に、第1の薬剤318が注入される。注入圧によって、2つの薬剤が混合し、こうした混合によって、治療部位にゲル・マトリックスを形成する治療反応が開始される。第1の薬剤318を送る前に、第2のニードル310を回転させて、その初期状態に戻すことは必要でない場合もある。例えば、図18に示すように、第2の薬剤320を注入した後、第1のニードル308を回転させ、その斜めになった遠位開口328が中心線の方を向くようにして、第1の薬剤318が注入される。両方のニードルとも、回転させて、その初期送り状態に戻すことなく、引き戻すことが可能である。
【0050】
もう1つの実施形態の場合、最初に第1の薬剤318が治療部位に注入され、続いて第2の薬剤320が注入される。既述のプロセスが逆になる。従って、第1の注入ニードル308を回転させて、中心線の方を向くようにし、第1の薬剤318が注入される。第1の注入ニードル308は、回転させられて、初期位置に戻される。次に、第2の注入ニードル310を回転させて、中心線の方を向くようにし、第2の薬剤320が注入される。
【0051】
留意すべきは、2つの注入ニードル308、310は、例えば、互いに向かい合うか、あるいは、それらの遠位開口に対して互いに180度の角度をなすといったように、互いにある角度をなすように回転させることができるという点である。
【0052】
実施形態の1つでは、送り装置200を異なる治療位置まで移動させて、さらなる注入のため、この注入プロセスが繰り返される。
【0053】
実施形態によっては、注入部位301に薬剤が同時に注入される場合もある。図20に例示のように、図17に示す最初の進入後、第1の注入ニードル308と第2の注入ニードル310は、遠位開口328、320が同じ方向を向くように回転させられる。次に、第1の薬剤318と第2の薬剤320が、一斉にまたは同時に治療部位301に注入される。図21に例示のように、もう1つの例では、図17に示す最初の進入後、第1の注入ニードル308と第2の注入ニードル310は、遠位開口328、320が互いに向き合うように回転させられる。次に、第1の薬剤318と第2の薬剤320が、一斉にまたは同時に治療部位301に注入される。
【0054】
さらにもう1つの実施形態では、第1の注入ニードル308と第2の注入ニードル310は、図22に例示のように、一方のニードルがもう一方のニードルの上に重なるように位置決めされる。例えば、図22に示すように、第2の注入ニードル310は、第1の注入ニードル308の上に重なるように位置決めされる。ニードルは、治療部位301に進入しやすくするため、やはり尖った先を形成するように位置決めされる。この構成の場合、ニードルの向きは制限されるか、または、固定される。従って、進入点から注入点まで、治療部位301に生じる外傷は最小限に抑えられる。
【0055】
他の実施形態の場合、2つのニードルの代わりに、3つ以上のニードルを設けることが可能である。より多くのニードルを用いる場合、ニードルの遠位先端の尖った先を維持するため、ニードルの直径をより小さくすべきである。さらに、送り装置200に収容される器具の全てが同じである必要はなく、例えば、全ての器具がニードルとは限らない。送り装置200を利用して、さまざまな器具の組合せを治療部位まで送ることができる。
【0056】
本明細書の実施形態のどれにおいても、さらに、治療部位まで送られるニードル内に収められた薬剤の固着を防ぐため、各ニードルにコーティングを施すことが可能である。留意すべきは、治療部位に注入される薬剤が、前述のように混合を必要とする種類である必要はないという点である。そうではなく、薬剤は、互いの近くに送る必要のある、治療効果の異なる成分とすることが可能である。
【0057】
図23〜26には、1つの治療部位への複数の注入または複数器具の送りに利用可能な器具の他の典型的な実施形態が例示されている。図27には、図23〜26に示す器具に関連して利用可能な典型的な送り装置400が例示されている。これらの実施形態では、回転可能な器具またはニードルを備える代わりに、所望の向きをなすように、器具またはニードルを溶接することが可能である。これらの器具の送りも、同時に、または、オプションにより順次実施することが可能である。
【0058】
送り装置400(図27)は、複数の器具が、接着されるか、溶接されるか、または、別の方法で互いに取り付けられ、カテーテル本体の内腔の1つに収容されるという点を除くと、前述の装置200と同様である。装置400には、内腔403が貫通するカテーテル本体402が含まれている。カテーテル本体402の近位端には、近位アダプタ480が結合されている。近位アダプタ480には、装置200または100においての前述と同様に、装置400内の器具を個別に制御するための他の制御コンポーネントまたはハンドルを含むことも可能である。アダプタ480には、第1のポート482と第2のポート484も含まれている。他の目的または他の器具のために、ポート486のような追加ポートを含むことも可能である。前述のように、第1の器具408は第1のポート482に挿入され、第2の器具410は第2のポート484に挿入される。アダプタ480のポイントより前では、器具408、410のそれぞれは分離した状態に保たれる。器具408、410のそれぞれの残りの部分(カテーテル本体402内の部分)は、図23〜26に示すように溶接または接着される。
【0059】
各器具がカテーテル本体内に設けられたそれ自体の内腔内で分離した状態に保たれる既述の実施形態とは異なり、図23〜27に示す実施形態の場合、器具は溶接または接着して、カテーテル本体402の内腔の1つに収容される。図23の場合、第1の器具408と第2の器具410を互いに接着して、器具束433、437、または、439が形成される。図27に示すように、器具束はカテーテル本体402のカテーテル内腔403に収容することが可能である。実施形態の1つでは、第1の器具408と第2の器具410は、それぞれ、薬剤を送るための内腔が貫通しているニードルである。第1の器具408には遠位開口428が含まれており、第2の器具410には遠位開口430が含まれている。遠位開口428、430は、それぞれ、斜めにすることが可能である。器具束は、従って、各内腔が分注すべき薬剤専用の複数内腔を備えたニードルに似ている。図23に示す実施形態の1つでは、器具束433には、器具408、410の各遠位開口428、430が、それぞれ、同じ方向に向くように、第1の器具408と第2の器具410が位置決めされている。実施形態の1つでは、器具束433には、尖った先435が1つだけしかないので、扱いやすく、治療部位における進入部位または穿刺部位の外傷が軽減される。
【0060】
図24の場合、第1の器具408と第2の器具410を互いに接着して、器具束437が形成される。図27に示すように、器具437はカテーテル本体402のカテーテル内腔403に収容されている。第1の器具408と第2の器具410は、それぞれ、薬剤を送るための内腔が貫通しているニードルである。第1の器具408には遠位開口428が含まれており、第2の器具410には遠位開口430が含まれている。器具437は、やはり、複数内腔を備えたニードルに似ている。第1の器具408と第2の器具410は、器具408、410の各遠位開口428、430が、それぞれ、同じ方向に向き、一方の器具がもう一方の器具の上に重なるように配置されている。図24に示すように、開口428を備える第1の器具408が、開口430を備える第2の器具410の上に重ねられている。実施形態の1つでは、器具437には、やはり、尖った先435が1つだけしかないので、扱いやすく、治療部位における進入部位または穿刺部位の外傷が軽減される。
【0061】
図25の場合、第1の器具408と第2の器具410を互いに接着して、器具束439が形成される。図27に示すように、器具439は、カテーテル本体402のカテーテル内腔403に収容される。第1の器具408と第2の器具410は、それぞれ、薬剤を送るための内腔が貫通しているニードルである。第1の器具408には遠位開口428が含まれており、第2の器具410には遠位開口430が含まれている。器具439は、やはり、複数内腔を備えたニードルに似ている。さらに、器具439は、複数の尖った先441を備えるニードルのようでもある。第1の器具408と第2の器具410は、器具408、410の各遠位開口428、430が、ある程度互いに向き合うように、及び/または、同じ方向に向くように位置決めされている。器具439の器具408、410の遠位開口428、430は、その間に治療部位を確保する。器具408、410がそれぞれニードルである実施形態の場合、治療部位に送るべき薬剤は、開口428と430の間で捕らえられるので、不要な分散が最小限に抑えられ、薬剤の物理的接触が促進されて、効率の良い混合が施される。図26には、第1の器具408と第2の器具410が異なる角度で位置決めされており、開口428、430が互いにちょうど向かい合うという点を除くと、図25の器具439と同様の器具が例示されている。
【0062】
器具がニードルの場合、前述のように第1の器具と第2の器具が互いに接着された実施形態では、いくつかの利点がある。ニードルを互いに接着することによって、治療部位に薬剤の複数の個別の送り込みを実施し、同時に、注入まで薬剤を分離した状態に保つことが可能になる。さらに、ニードルを互いに接着することによって、向きまたは回転が制限され、この結果、治療部位の外傷または傷害が低減する可能性がある。さらに、例えば、各ニードルから各薬剤を注入した後のニードルの回転が不要になるといったように、複数注入の実施に必要なステップが減少する。さらにまた、ニードルを束ねることによって、他の実施形態の場合には生じる可能性のあるギャップが最小限に抑えられ、その結果、薬剤の逆流が最小限にとどまることになる。
【0063】
図12〜27において上述のような実施形態は、患者の1つ以上の部位または部分に生体腐食性及び/または生体適合性ゲルを送り込むのに適している。例えば、アルギン酸と塩化カルシウムの結合(混合、接触等)によって形成されるゲル。典型的な例としては、1立方センチメートルの注入器によって、本例の場合ニードルである第1の器具208を介して、3.5%のアルギン酸塩溶液を送り込むことが可能である。1立方センチメートルの注入器によって、やはり、本例の場合ニードルである第2の器具210を介して、塩化カルシウムの溶液を送り込むことが可能である。治療部位でアルギン酸塩と塩化カルシウムを合わせると、材料が結合(混合、接触)して、生体腐食性ゲルを形成する。心臓血管治療法に用いられる適量の2つの材料ゲル成分の一例は、約200マイクロリットルのアルギン酸塩溶液と1ミリリットルの塩化カルシウムである。余分な塩化カルシウムは、食塩水として患者の内部を洗い流すことが可能である。留意すべきは、薬剤は同時にまたは順次注入することができるという点である。
【0064】
図28には、ニードルのような器具に収容された薬剤を治療部位に注入することを含む典型的な器具の送り方法2800が例示されている。同じ方法を利用して、撮像器具、流量または圧力測定器具、または、患者から流体または物質を除去するために用いられる他の器具といった、注入を必要としない他の器具を送ることも可能である。方法2800の場合、ボックス2802において、第1のニードルと第2のニードルを収容したカテーテルが治療部位まで進められる。前述のように、第1のニードルには第1の薬剤が充填され、第2のニードルには第2の薬剤が充填されている。ボックス2804では、治療部位において、カテーテルの遠位先端から第1のニードルと第2のニードルが順次突き出される。1回につき突き出されるのは、第1のニードルまたは第2のニードルの一方だけである。ボックス2806では、第1の薬剤と第2の薬剤が治療部位に順次注入される。例えば、第1の薬剤を注入するため、第1のニードルが突き出されるが、第2のニードルは突き出されない。第1の薬剤は治療部位に注入される。第1の薬剤の注入が済むと、第1のニードルが引っ込められ、第2のニードルが突き出される。次に、第2の薬剤が治療部位に注入される。
【0065】
実施形態の1つでは、方法2800に用いられるカテーテルは、近位セクション、遠位セクション、及び、それを貫通する少なくとも第1の内腔と第2の内腔を備えている。第1のニードルは第1の内腔に挿入され、第2のニードルは第2の内腔に挿入される。カテーテルには、第1のニードルを作動させるように構成された第1の制御機構と、第2のニードルを作動させるように構成された第2の制御機構を備えた制御ハンドルが結合されている。カテーテルの遠位セクションには、1回に1つ、第1のニードルと第2のニードルを個別に導入できるように構成された送り経路が含まれている。
【0066】
図29には、ニードルのような器具に収容された薬剤を治療部位に注入することを含む典型的な器具の送り方法2900が例示されている。方法2900の場合、ボックス2902において、第1のニードルと第2のニードルを収容したカテーテルが治療部位まで進められる。前述のように、第1のニードルには第1の薬剤が充填され、第2のニードルには第2の薬剤が充填されている。ボックス2904では、第1のニードルと第2のニードルが、遠位セクションにおいて一緒に鋭い先を形成するように配置される。ボックス2906では、治療部位に穿刺が行われ、カテーテル本体の遠位先端から第1のニードルと第2のニードルが送られる。ニードルの送りには、ニードル内の薬剤を治療部位に順次または同時に注入するステップも含まれる。
【0067】
実施形態の1つでは、第1の薬剤と第2の薬剤は順次送られ、1回につき治療部位に薬剤を注入するのは第1のニードルまたは第2のニードルの一方だけである。実施形態の1つでは、送り前に、第1のニードルの遠位開口と第2のニードルの遠位開口が、第1のニードルと第2のニードルの間の中心線とは別方向に向くように位置決めされる。次に、第2のニードルが静止している間に、第1のニードルを回転させて、第1のニードルの遠位開口が中心線の方を向くようにする。次に、第1の薬剤が治療部位に注入される。第1の薬剤の注入が済むと、第1のニードルを回転させて、戻すか、あるいは、第1のニードルの遠位開口が中心線とは別方向に向くように回転させる。次に、第1のニードルが静止している間に、第2のニードルを回転させて、第2のニードルの遠位開口が中心線の方を向くようにする。次に、第2の薬剤が治療部位に注入される。第2の薬剤の注入が済むと、第2のニードルを回転させて戻すか、あるいは、第2のニードルの遠位開口が中心線とは別方向に向くように回転させる。
【0068】
もう1つの実施形態では、第1の薬剤と第2の薬剤が治療部位に同時に送られる。実施形態の1つでは、送り前に、第1のニードルの遠位開口と第2のニードルの遠位開口が、第1のニードルと第2のニードルの間の中心線とは別方向に向くように位置決めされる。こうした位置決めによって、ニードルに1つの尖った先が与えられ、治療部位への容易な進入が促進される。次に、第1のニードルと第2のニードルを回転させて、第1のニードルと第2のニードルの遠位開口が中心線の方を向くようにする。次に、第1の薬剤と第2の薬剤が、治療部位において同時かつ個別に注入される。もう1つの実施形態の場合、第1のニードルと第2のニードルのそれぞれの遠位開口が互いに向かい合うようにするのではなく、遠位開口は治療部位に向かって同じ方向を向いている。次に、第1の薬剤と第2の薬剤は、治療部位において同時かつ個別に注入される。
【0069】
図30には、ニードルのような器具に収容された薬剤を治療部位に注入することを含む典型的な器具の送り方法3000が例示されている。方法3000の場合、ボックス3002において、互いに接着された第1のニードルと第2のニードルを収容したカテーテルが治療部位まで進められる。第1のニードルと第2のニードルのそれぞれは、遠位開口と、それを貫通する内腔を備えている。治療部位において穿刺が行われる。第1の薬剤と第2の薬剤が、治療部位において同時かつ個別に注入される。実施形態の1つでは、第1のニードルと第2のニードルが互いに接着されて、第1のニードルと第2のニードルの両方の遠位開口を含む、1つの斜めになった先端が形成される。もう1つの実施形態では、第1のニードルと第2のニードルが互いに接着されて、第1のニードルの遠位開口と第2のニードルの遠位開口が向かい合う。
【0070】
図31Aには、治療部位に複数の器具(例えばニードル)を送ることが可能なカテーテル装置3100のさらにもう1つの実施形態が例示されている。前述のように、それぞれ薬剤を収めた複数のニードルを治療部位まで送ることが可能である。薬剤は治療部位に同時にまたは順次送ることが可能である。カテーテル装置3100の近位部分から遠位部分まで延びる1つの内腔だけに複数の器具を収容できるという点を除けば、カテーテル装置3100は、既述のカテーテル装置(例えば、100、200、400)と同様である。
【0071】
前述と同様に、装置3100には、器具を収容するための細長いカテーテル・シャフトまたは本体3102が含まれている。カテーテル・シャフト3102は、内腔3103が貫通している。内腔3103は、その中に配置すべき第1の器具3108(例えば、ニードル)と第2の器具3110(例えば、ニードル)を収容する。カテーテル・シャフト3102は、近位セクション3122と遠位セクション3120を備えており、内腔3103の遠位セクション3120は近位セクション3122よりも細い。実施形態の1つでは、内腔3103は遠位セクションがテーパ状になっているので、1回につき、それを通って突き出すことができるのは器具3108または3110の一方だけである。カテーテル3102の遠位セクション3122において、第1の器具3108と第2の器具3110の間にはギャップがないか、または、ほとんどギャップがない。代替実施形態では、カテーテル3102の内腔3103全体にわたって、第1の器具3108と第2の器具3110の間にはギャップがないか、または、ほとんどギャップがない。器具3108、3110は、互いに極めて近接して配置されているので、互いを隔てる壁はない。実施形態の1つでは、器具3108、3110は、互いに固定されるか、または、取り付けられているわけではなく、ただ単に並列に配置されているだけである。各器具は、もう一方に影響を及ぼすことなく回転することが可能である。
【0072】
他の態様では、装置3100は、カテーテル本体3102の近位セクションにおける単一内腔を除けば、前述の装置100、200、及び、400と同様である。近位端において、同様の近位ハンドルまたは制御器具をカテーテル本体3102と結合して、器具3108、3110を個別に制御できるようにすることが可能である。実施形態の1つでは、前述と同様に、第1のポートが第1の器具3108と通じ、第2のポートが第2の器具3110と通じるように、近位アダプタが細長いシャフトに結合される。
【0073】
実施形態の1つでは、図31Bに示すように、内腔3103はカテーテル本体3102全体にわたる楕円形状の内腔である。内腔3103は、図16に示すのと同様の数字の8のような形状または断面を備えることも可能である。こうした場合、内腔3103の形成は、複数の内腔または管を統合するか、併合するか、または、溶接して、器具3108、3110を、それらの間を隔てる壁を設けずに収容できるように、内腔3103を形成することによって可能になる。
【0074】
実施形態の1つでは、遠位セクション3120において、内腔3103は、1回につき1つの器具だけを収容することしかできないように構成されている。従って、図31Aに示すように、遠位セクション3120において、1回につき、器具3108または3110だけしか内腔3103から突き出すことができない。内腔3103は、内腔3103の内側の寸法が器具3108と3110の両方を組み合わせた外側の寸法より小さくなるように、テーパ状にするかまたは細くすることが可能である。
【0075】
代替実施形態の場合、遠位セクション3120において、内腔3103は、器具3108または3110の移動を制限するが、各器具の回転を可能にする楕円形状を有している。この実施形態の場合、遠位セクション3120は、一度に両方の器具3108、3110を収容することが可能である。
【0076】
本明細書で論考の実施形態は、いずれも、送りプロセス中、洗浄剤を供給して、その内部を洗浄することが可能である。注入した薬剤が逆流して、フローブロー(flow blow)になる(例えば、心室または血管に対する)のが問題である。ヘパリンのような薬剤で治療部位を洗浄すると、逆漏れした薬剤が血栓を形成するプロセスを阻止することができると考えられている。本発明の実施形態の器具は、カテーテルの1つまたは複数の内腔を洗浄できるように構成することが可能である。近位ハンドルの近位端でまたは近位ハンドルの一部として、内腔にアダプタを取り付けることが可能である(例えば、装置200のポート289を介してまたは装置400のポート486を介して)。注入中、及び/または、穿刺部位からニードルを引き抜いた直後の後続注入中、穿刺部位の辺りにヘパリン溶液を注入して、血栓の形成が阻止される。この注入内腔を利用して、例えば、穿刺部位の確認といった目的で、造影剤または他の薬剤を注入することも可能である。
【0077】
云うまでもないが、上記説明では、さまざまな実施形態の多くの特性及び利点が、さまざまな実施形態の構造及び機能の詳細と共に明らかにされたが、この開示は例証のためのものでしかない。さまざまな実施形態の範囲から逸脱することなく、とりわけ、諸部分の構造及び取り扱いの問題について、細部にわたって変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】治療部位に複数の器具を順次送ることが可能な送り装置の典型的な実施形態を例示した図である。
【図2】治療部位に複数の器具を順次送ることが可能な送り装置の典型的な実施形態を例示した図である。
【図3】治療部位に複数の器具を順次送ることが可能な送り装置の典型的な実施形態を例示した図である。
【図4】治療部位に複数の器具を順次送ることが可能な送り装置の典型的な実施形態を例示した図である。
【図5】図1〜4に示す器具を利用した、治療部位への複数の器具の典型的な順次送りを例示した図である。
【図6】図1〜4に示す器具を利用した、治療部位への複数の器具の典型的な順次送りを例示した図である。
【図7】図1〜4に示す器具を利用した、治療部位への複数の器具の典型的な順次送りを例示した図である。
【図8】典型的な送り装置の製造方法を例示した図である。
【図9】典型的な送り装置の製造方法を例示した図である。
【図10】典型的な送り装置の製造方法を例示した図である。
【図11】典型的な送り装置の製造方法を例示した図である。
【図12】複数の器具を送り可能な送り装置の典型的な実施形態を例示した図である。
【図13】複数の器具を送り可能な送り装置の典型的な実施形態を例示した図である。
【図14】図12A〜12B、13に示す器具をより詳細に例示した図である。
【図15】図12A〜12B、13に示す器具をより詳細に例示した図である。
【図16】図12A〜12B、13に示す器具をより詳細に例示した図である。
【図17】本発明の実施形態による送り装置に配置された2つのニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図18】本発明の実施形態による送り装置に配置された2つのニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図19】本発明の実施形態による送り装置に配置された2つのニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図20】本発明の実施形態による送り装置に配置された2つのニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図21】本発明の実施形態による送り装置に配置された2つのニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図22】本発明の実施形態による送り装置に配置された2つのニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図23】送り装置に用いられる、互いに接着された複数ニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図24】送り装置に用いられる、互いに接着された複数ニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図25】送り装置に用いられる、互いに接着された複数ニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図26】送り装置に用いられる、互いに接着された複数ニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図27】送り装置に用いられる、互いに接着された複数ニードルの典型的な構造を例示した図である。
【図28】本発明の実施形態に従ってニードルのような複数器具を送る、さまざまな典型的な実施形態を例示した図である。
【図29】本発明の実施形態に従ってニードルのような複数器具を送る、さまざまな典型的な実施形態を例示した図である。
【図30】本発明の実施形態に従ってニードルのような複数器具を送る、さまざまな典型的な実施形態を例示した図である。
【図31】治療部位に複数の器具を順次送ることが可能な送り装置の典型的な実施形態を例示した図である。
【符号の説明】
【0079】
100 送り装置、102 カテーテル本体、104 第1の内腔、106 第2の内腔、108 第1の器具、110 第2の器具、112 近位ハンドル、114 第1の制御機構、116 第2の制御機構、118 送り経路、120 カテーテル本体の遠位部分、124 カテーテル本体の遠位先端、134 インジケータ、136 インジケータ、140 管、142 管、144 内腔、146 内腔、148 テーパ状端部、150 テーパ状端部、160 アダプタ、162 アダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内腔と第2の内腔が貫通しており、前記第1の内腔が第1の器具を収容するように構成され、前記第2の内腔が第2の器具を収容するように構成されているカテーテル本体と、
前記カテーテル本体に結合されていて、前記第1の器具を制御するように構成された第1の制御機構と第2の器具を制御するように構成された第2の制御機構を含んでいる、制御ハンドルと、
前記カテーテル本体の遠位部分に設けられていて、前記カテーテル本体の遠位先端から前記第1の器具と前記第2の器具の個別導入を可能にするように構成された送り経路が含まれている、
送り装置。
【請求項2】
前記第1の内腔と前記第2の内腔が、前記カテーテル本体内を互いに平行に延びる2つの独立した内腔であり、前記第1の内腔と前記第2の内腔が、前記カテーテル本体の1つのセクションで統合して、前記送り経路を形成する請求項1に記載の送り装置。
【請求項3】
前記カテーテル本体がYに似た形状を有し、前記第1の内腔と前記第2の内腔が2つの独立したトラック内に配置され、前記カテーテル本体の前記遠位部分において前記送り経路に収束する請求項1に記載の送り装置。
【請求項4】
前記第1の制御機構が、前記第1の器具を単独で作動させるように構成されており、前記第2の制御機構が、前記第2の器具を単独で作動させるように構成されている請求項1に記載の送り装置。
【請求項5】
前記送り経路が、1回につき、前記第1の器具または前記第2の器具の一方だけしか作動しないように構成されているか、または、前記送り経路の内側の寸法が前記第1の器具と前記第2の寸法を組み合わせた外側の寸法より小さくなるように構成されているか、または、前記送り経路が小さすぎて、一度に前記第1の器具と前記第2の器具の両方を収容できないように構成されている請求項1に記載の送り装置。
【請求項6】
前記第1の内腔と前記第2の内腔が、1回につき、前記第1の器具または前記第2の器具の一方だけしか前記送り経路から作動しないように、前記カテーテル本体の遠位セクションで前記送り経路に収束している請求項1に記載の送り装置。
【請求項7】
前記第1の器具と前記第2の器具がそれぞれニードルである請求項1に記載の送り装置。
【請求項8】
前記第1の内腔と前記第2の内腔が、前記第1の器具と前記第2の器具のそれぞれがその中で回転し、そこから突き出すことができるように構成されている請求項1に記載の送り装置。
【請求項9】
前記第1の内腔と前記第2の内腔が少なくとも1つの部分で統合して、前記送り経路を形成する請求項8に記載の送り装置。
【請求項10】
前記送り経路が数字の8のような断面形状を有している請求項9に記載の送り装置。
【請求項11】
近位セクション、遠位セクション、及び、それを貫通する少なくとも第1の内腔と第2の内腔を備えるカテーテル本体が含まれており、前記第1の内腔が第1の器具を収容するように構成され、前記第2の内腔が第2の器具を収容するように構成されており、前記第1の内腔と前記第2の内腔が互いに並列に配置されており、その際、前記カテーテル本体の前記遠位セクションには、前記第1の内腔と前記第2の内腔とを隔てる壁がなく、さらに、
前記カテーテル本体に結合されており、前記第1の器具を制御するように構成された第1の制御機構と、前記第2の器具を制御するように構成された第2の制御機構を具備する制御ハンドルが含まれている、
送り装置。
【請求項12】
前記第1の内腔と前記第2の内腔が、前記カテーテル本体を通って互いに平行に延びる2つの独立した内腔を形成し、前記カテーテル本体の遠位セクションで統合して、1つの送り経路を形成し、前記送り経路が8に似た形状の断面を備える請求項11に記載の送り装置。
【請求項13】
前記カテーテル本体がYに似た形状を備え、前記第1の内腔と前記第2の内腔が、前記カテーテル本体の近位セクションにおいて2つの独立したトラック内に配置され、前記第1の内腔と前記第2の内腔が、遠位セクションで収束して、1つの内腔となる請求項11に記載の送り装置。
【請求項14】
前記第1の制御機構が、前記第1の器具を独立して回転させるように構成されており、前記第2の制御機構が、前記第2の器具を独立して回転させるように構成されている請求項11に記載の送り装置。
【請求項15】
前記第1の器具と前記第2の器具のそれぞれが、斜めになった先端と、前記斜めになった先端の遠位開口を備えるニードルである請求項11に記載の送り装置。
【請求項16】
前記第1の器具と前記第2の器具が、側面を互いに押し付けられて、初期送り状態中、斜めになった先端が1つの尖った先を形成する請求項15に記載の送り装置。
【請求項17】
近位セクション、遠位セクション、及び、それを貫通する少なくとも第1の内腔と第2の内腔を備え、第1のニードルが前記第1の内腔に挿入され、第2のニードルが前記第2の内腔に挿入されるようになっており、前記第1のニードルと前記第2のニードルを備えるカテーテル本体を治療部位まで進めるステップと、
前記治療部位において、前記カテーテル本体の遠位先端から前記第1のニードルと前記第2のニードルを順次突き出すステップであって、1回につき、前記第1のニードルまたは前記第2のニードルの一方だけが突き出され、前記第1のニードルを作動させるように構成された第1の制御機構と、前記第2のニードルを作動させるように構成された第2の制御機構を含む制御ハンドルが、前記カテーテル本体に結合されており、前記カテーテル本体の遠位セクションに、前記第1のニードルと前記第2のニードルを1回に1つ個別に導入できるように構成された送り経路が含まれている、前記突き出すステップと
有する送り方法。
【請求項18】
前記第1のニードルと前記第2のニードルが、前記順次突き出しの際に、前記カテーテル本体の遠位ポートから出る請求項17に記載の送り方法。
【請求項19】
前記第1のニードルと前記第2のニードルによって、薬剤が同じ治療部位に送られる請求項18に記載の送り方法。
【請求項20】
さらに、
前記第1のニードルに第1の薬剤を充填するステップと、
前記第2のニードルに第2の薬剤を充填するステップとが含まれる請求項19に記載の送り方法。
【請求項21】
さらに、
前記治療部位に前記第1の薬剤を注入するステップと、
前記第1の薬剤の注入後、前記治療部位に前記第2の薬剤を順次注入するステップとが含まれる請求項20に記載の送り方法。
【請求項22】
第1のニードルと第2のニードルが両方とも、カテーテルの遠位端から突き出し、一緒に、前記遠位端において尖った先を形成する、前記第1のニードルと第2のニードルを備える前記カテーテルを治療部位まで進めるステップと、
少なくとも前記第1のニードルを回転させて、前記第2のニードルの遠位ポートに対して前記第1のニードルの遠位ポートを適正な方向に向けるステップと
を含む送り方法。
【請求項23】
さらに、
前記第2のニードルを回転させて、前記第1のニードルの前記遠位ポートに対して、前記第2のニードルの遠位ポートを適正な方向に向けるステップが含まれる請求項22に記載の送り方法。
【請求項24】
前記カテーテルに、前記第1のニードルと前記第2のニードルを収容するカテーテル本体が含まれ、前記カテーテル本体が、遠位セクション、近位セクション、及び、それを貫通する少なくとも第1の内腔と第2の内腔を備え、前記第1のニードルが前記第1の内腔に挿入されるとともに前記第2のニードルが前記第2の内腔に挿入され、前記第1のニードルと前記第2のニードルが、前記遠位セクションにおいて一緒に前記尖った先を形成するように、前記第1のニードルと前記第2のニードルを位置決めし、前記第1の内腔と前記第2の内腔が、前記遠位セクションで統合して、1つの送り経路を形成する請求項22に記載の送り方法。
【請求項25】
さらに、
前記治療部位に穿刺させるステップと、
前記治療部位に前記カテーテル本体の遠位先端から前記第1のニードルと前記第2のニードルを送るステップとが含まれる請求項24に記載の送り方法。
【請求項26】
前記第1のニードルと前記第2のニードルが、1回につき、前記第1のニードルまたは前記第2のニードルの一方だけが送られるようにして順次送られるか、あるいは、一度に、第1のニードルと前記第2のニードルが送られるようにして同時に送られ、前記第1のニードルを独立して制御するように構成された第1の制御機構と、前記第2のニードルを独立して制御するように構成された第2の制御機構を含む制御ハンドルが、前記カテーテル本体に結合されている請求項24に記載の送り方法。
【請求項27】
前記第1のニードルと前記第2のニードルが前記カテーテル本体の遠位ポートから出る請求項26に記載の送り方法。
【請求項28】
前記第1のニードルと前記第2のニードルによって、前記同じ治療部位に薬剤が送られる請求項26に記載の送り方法。
【請求項29】
さらに、
前記第1のニードルに第1の薬剤を充填するステップと、
前記第2のニードルに第2の薬剤を充填するステップが含まれる請求項28に記載の送り方法。
【請求項30】
さらに、
前記治療部位に前記第1の薬剤を注入するステップと、
前記第1の薬剤の注入後、前記治療部位に前記第2の薬剤を順次注入するステップが含まれる請求項29に記載の送り方法。
【請求項31】
さらに、
送り前に、前記第1のニードルの遠位開口と前記第2のニードルの遠位開口が、前記第1のニードルと前記第2のニードルとの間の中心線とは別方向に向くようにするステップと、
前記第2のニードルが静止している間に、前記第1のニードルを回転させ、前記第1のニードルの前記遠位開口が前記中心線の方を向くようにするステップと、
前記治療部位に前記第1の薬剤を注入するステップと、
前記第1の薬剤の注入後、前記第1のニードルを回転させて、前記第1のニードルの前記遠位開口が前記中心線とは別方向に向くようにするステップと、
前記第1のニードルが静止している間に、前記第2ニードルを回転させ、前記第2のニードルの前記遠位開口が前記中心線の方を向くようにするステップと、
前記治療部位に前記第2の薬剤を注入するステップと、
前記第2の薬剤の注入後、前記第2のニードルを回転させて、前記第2のニードルの前記遠位開口が前記中心線とは別方向に向くようにするステップとが含まれている請求項30に記載の送り方法。
【請求項32】
さらに、
送り前に、前記第1のニードルの遠位開口と前記第2のニードルの遠位開口が、前記第1のニードルと前記第2のニードルとの間の中心線とは別方向に向くようにするステップと、
前記第2のニードルが静止している間に、前記第1のニードルを回転させ、前記第1のニードルの前記遠位開口が前記中心線の方を向くようにするステップと、
前記治療部位に前記第1の薬剤を注入するステップと、
前記第1の薬剤の注入後、前記第1のニードルが静止している間に、前記第2のニードルを回転させ、前記第2のニードルの前記遠位開口が前記中心線の方を向くようにするステップと、
前記治療部位に前記第2の薬剤を注入するステップとが含まれる請求項30に記載の送り方法。
【請求項33】
さらに、
送り前に、前記第1のニードルの遠位開口と前記第2のニードルの遠位開口が、前記第1のニードルと前記第2のニードルとの間の中心線とは別方向に向くようにするステップと、
前記第1のニードルと前記第2のニードルを回転させ、前記第1のニードルと前記第2のニードルの前記遠位開口が前記中心線の方を向くようにするステップと、
前記治療部位に前記第1の薬剤と前記第2の薬剤を同時に注入するステップとが含まれる請求項30に記載の送り方法。
【請求項34】
さらに、
送り前に、前記第1のニードルの遠位開口と前記第2のニードルの遠位開口が、前記第1のニードルと前記第2のニードルとの間の中心線とは別方向に向くようにするステップと、
前記第1のニードルと前記第2のニードルの前記遠位開口が同じ方向を向くように、前記第1のニードルと前記第2のニードルを位置決めするステップと、
前記治療部位に前記第1の薬剤と前記第2の薬剤を同時に注入するステップとが含まれる請求項30に記載の送り方法。
【請求項35】
さらに、
送り前に、前記第1のニードルの遠位開口と前記第2のニードルの遠位開口が、前記第1のニードルと前記第2のニードルとの間の中心線とは別方向に向くようにするステップと、
前記第1のニードルを回転させ、前記第1のニードルの遠位開口が注入点の方を向くようにするステップと、
前記第2のニードルを回転させ、前記第2のニードルの遠位開口が前記注入点の方を向くようにするステップと、
前記治療部位に前記第1の薬剤と前記第2の薬剤を注入するステップとが含まれる請求項30に記載の送り方法。
【請求項36】
内腔が貫通していて、前記内腔が互いに接着された第1のニードルと第2のニードルを収容するように構成されており、前記第1のニードルと前記第2のニードルの各々が、遠位開口と、それを貫通する内腔を備えている、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体に結合され、前記第1のニードルから第1の薬剤を分注するように構成された第1のアダプタ、及び、前記第2のニードルから第2の薬剤を分注するように構成された第2のアダプタが含まれている装置であって、
前記第1の薬剤と前記第2の薬剤が、前記遠位開口から治療部位の1つに同時に分注可能である送り装置。
【請求項37】
前記第1のニードルと前記第2のニードルの各遠位開口が、2つの開口を備える斜めになった先端を形成している請求項26に記載の送り装置。
【請求項38】
前記第1のニードルの前記遠位開口と前記第2のニードルの前記遠位開口が互いに向き合う請求項26に記載の送り装置。
【請求項39】
前記第1のアダプタと前記第2のアダプタが、前記カテーテル本体の近位部分に結合されたマルチ・アーム付きハンドルの部分を形成している請求項26に記載の送り装置。
【請求項40】
さらに、前記第1のニードルと前記第2のニードルが含まれる請求項26に記載の送り装置。
【請求項41】
互いに接着された第1のニードルと第2のニードルを備えるカテーテル本体を治療部位まで進めるステップであって、前記第1のニードルと前記第2のニードルのそれぞれが、遠位開口と、それを貫通する内腔を備え、前記第1のニードルに第1の薬剤が充填され、前記第2のニードルに第2の薬剤が充填される、前記ステップと、
前記治療部位に穿刺させるステップと、
前記治療部位に前記第1の薬剤と前記第2の薬剤を同時に注入するステップと
が含まれる送り方法。
【請求項42】
前記第1のニードルと第2のニードルが、互いに接着されて、前記第1のニードルと前記第2のニードルの両方の前記遠位開口を含む斜めになった1つの先端が形成されている請求項41に記載の送り方法。
【請求項43】
前記第1のニードルと第2のニードルが、互いに接着されて、前記第1のニードルの前記遠位開口と前記第2のニードルの前記遠位開口が互いに向かい合うようになっている請求項41に記載の送り方法。
【請求項44】
第1の内腔と第2の内腔が貫通している、細長いシャフトを備えるカテーテルであって、前記第1の内腔が第1の器具を収容するように構成され、前記第2の内腔が第2の器具を収容するように構成されており、前記カテーテルの遠位端のポートと前記第1と第2の内腔と通じている内腔が設けられた遠位セクションを備える、前記カテーテルと、
前記第1の内腔に通じる第1のポートと前記第2の内腔に通じる第2のポートを備え、前記細長いシャフトに結合された近位アダプタと
を含むカテーテル装置。
【請求項45】
前記細長いカテーテル・シャフトが、少なくとも、前記第1の内腔を形成する第1の分岐管と前記第2の内腔を形成する第2の分岐管が設けられた多分岐近位セクションを備え、前記近位アダプタが前記第1と第2の分岐管の近位端にある請求項44に記載のカテーテル装置。
【請求項46】
前記細長いカテーテル・シャフトの遠位セクションが、数字の8に似た形状の遠位内腔を備える請求項44に記載のカテーテル装置。
【請求項47】
前記遠位内腔がその中に配置すべき複数の器具を収容可能である請求項44に記載のカテーテル装置。
【請求項48】
前記遠位内腔が、1回につき、前記第1の器具または前記第2の器具のうちそれを通って突き出す一方だけを収容することしかできないように構成されている請求項44に記載のカテーテル装置。
【請求項49】
前記第1のポートと前記第2のポートが、それぞれの前記第1の内腔と前記第2の内腔だけにしか通じていない請求項44に記載のカテーテル装置。
【請求項50】
前記第1の器具と前記第2の器具が、治療部位においてゲル・マトリックスを形成することが可能な薬剤を注入するように構成されている請求項44に記載のカテーテル装置。
【請求項51】
中に配置すべき第1の器具と第2の器具を収容する内腔が貫通している、細長いシャフトを備えるカテーテルであって、前記カテーテルの遠位セクションにおいて前記第1の器具と前記第2の器具を、その間にほとんどギャップが生じないように収容するため、前記内腔の遠位セクションが前記内腔の近位セクションより細くなっている、前記カテーテルと、
前記第1の器具に通じる第1のポートと前記第2の器具に通じる第2のポートを備えた、前記細長いシャフトに結合された近位アダプタと
を含むカテーテル装置。
【請求項52】
前記内腔が楕円形状の内腔である請求項51に記載のカテーテル装置。
【請求項53】
さらに、前記内腔に収容される前記第1の器具と前記第2の器具が含まれる請求項51に記載のカテーテル装置。
【請求項54】
前記細長いカテーテル・シャフトが、少なくとも、前記第1の内腔を形成する第1の分岐管と前記第2の内腔を形成する第2の分岐管が設けられた多分岐近位セクションを備え、前記近位アダプタが前記第1と第2の分岐管の近位端にある請求項51に記載のカテーテル装置。
【請求項55】
前記細長いカテーテル・シャフトの遠位セクションが、数字の8に似た形状の遠位内腔を備える請求項51に記載のカテーテル装置。
【請求項56】
前記細長いカテーテル・シャフトの遠位セクションが、2つの管を隔てる壁がないように、管を1つに合わせることによって形成される請求項51に記載のカテーテル装置。
【請求項57】
前記遠位内腔がその中に配置すべき複数の器具を収容可能である請求項51に記載のカテーテル装置。
【請求項58】
前記遠位内腔が、1回につき、前記第1の器具または前記第2の器具のうちそれを通って突き出す一方だけを収容することしかできないように構成されている請求項51に記載のカテーテル装置。
【請求項59】
前記第1のポートと前記第2のポートが、それぞれの前記第1の内腔と前記第2の内腔に通じているだけである請求項51に記載のカテーテル装置。
【請求項60】
前記第1の器具と前記第2の器具が、治療部位においてゲル・マトリックスを形成することが可能な薬剤を注入するように構成されている請求項51に記載のカテーテル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【公表番号】特表2008−536625(P2008−536625A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507728(P2008−507728)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/013909
【国際公開番号】WO2006/115811
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(307020763)アボット・カーディオヴァスキュラー・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】