説明

デュアル構成のスピーカー

2つの形態で操作可能な小型のポータブル・ラウドスピーカーシステムは、ドライバアレイ(150)と、低音用筐体及びドックを有するベースユニット(110)と、を備えている。伸長構成では、ドライバアレイ(150)が、一つ以上の伸長脚部(160)によってベースユニット(110)から3〜8フィート上方の高さ位置に支持されており、前記した伸長脚部の1つがドックに保持されている。ベースユニットは、ドライバアレイが現場で聴取者の高さ近く又はそれよりも上まで上昇された中高範囲にある状態で、小中規模の場の床に配置されることがある。小型構成では、ドライバアレイ(150)が、ドックに直接支持されており、そして、ベースユニット(110)及びドライバアレイ(150)が、教室、会議室又はその他の小中規模の場の中でテーブルや机の上に配置されることがある。ポータブル・ラウドスピーカーシステムは、小型構成で運搬することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、拡声器又はスピーカーと呼ばれる、筐体内に収容された電気音響変換機に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの形態で操作可能な小型のポータブル・ラウドスピーカーシステムは、ドライバアレイと、低音用筐体及びドックを有するベースユニットと、を備える。伸長構成では、ドライバアレイは、1つ以上の伸長脚部によってベースユニットの3〜8フィート上方の高さ位置に支持されており、そこには前記した伸長脚部の1つがドックに保持されている。
ベースユニットは、ドライバアレイが現場で聴取者の高さ近く又はそれよりも上まで上昇された中高範囲にある状態で、小中規模の場の床に配置されることがある。小型の構成では、ドライバアレイが、ドックに直接支持されており、そして、ベースユニット及びドライバアレイが、教室、会議室又はその他の小中規模の場の中でテーブルや机の上に配置されることがある。ポータブル・ラウドスピーカーシステムは、小型構成で運搬することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の1つの実施形態は、ドライバアレイと、低音用筐体及びドックを有するベースユニットと、を備えており、第一構成においては前記ドックが前記ドライバアレイを直接支持するように構成され、第二実施形態においては前記ドックが伸長脚部を支持するように構成され、前記伸長脚部が前記ドライバアレイを前記ベースユニットの上方の高さ位置で支持するラウドスピーカーシステムを対象とする。1つの態様においては、低音用筐体がウーハーをさらに備える。1つの態様において、低音用筐体がポートを備える。1つの態様において、ベースユニットは、ドライバアレイに増幅信号を提供する信号電子機器をさらに備える。1つの態様において、信号電子機器は、前記ラウドスピーカーシステムへの入力信号のイコラゼーションのための電気回路をさらに備える。さらに1つの態様において、イコラゼーション回路は、デジタル信号プロセッサを備える。さらに1つの態様において、前記入力信号の前記イコラゼーションを決定する1組のイコラゼーションパラメータは、前記入力信号の発信源の少なくとも一部に基づいている。1つの態様において、信号電子機器は、前記ラウドスピーカーシステムが受信した1以上の入力信号を合成する回路をさらに備える。1つの態様において、ドライバアレイが、スパインによって特徴付けられる構造における複数のドライバをさらに備えており、これらドライバの各々がヨー角度及びピッチ角度によって特徴付けられている。さらに1つの態様において、ドライバアレイのスパインは、1つの直線である。さらに1つの態様において、ドライバアレイのスパインは、単純な曲線である。さらに1つの態様において、ドライバアレイのスパインは、複雑な曲線である。さらに1つの態様において、ドライバアレイはアーティキュレイテッド・アレイである。さらに1つの態様において、第一ヨー角度によって特徴付けられる第一ドライバセットのドライバは、第一ヨー角度とは異なる第二ヨー角度によって特徴付けられる第二ドライバセットのドライバに組み入れられている。さらに1つの態様において、ドライバアレイは、少なくとも6つのドライバを備えている。1つの態様において、ベースユニットは、ラウドスピーカーシステムを片手で運搬するためのハンドルを備えている。
【0004】
本発明の他の実施例は、ウーハーを収容する低音用筐体と、複数のドライバを有するドライバアレイと、ウーハー及びドライブアレイを駆動する信号電子機器と、を備え、ドライバアレイは、第一構成においては低音用筐体の正面に取り付けられ、第二構成においては低音用筐体の上方の高さ位置に取り付けられ、第二構成においてはドライバアレイが1つ以上の伸長脚部によって支持され、1つ以上の伸長脚部がドライバアレイを機械的に支持していると共にドライバアレイと信号電子機器とを電気的に接続しているラウドスピーカーシステムを対象とする。1つの態様において、ドライバアレイはスパインによって特徴付けられており、このスパインが単純な曲線である。1つの態様において、ドライバアレイはアーティキュレイテッド・アレイである。1つの態様において、信号電子機器は、前記ラウドスピーカーシステムへの入力信号のイコラゼーションのための回路をさらに備え、前記イコラゼーションが、入力信号の発信源の少なくとも一部に基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】スピーカーの第一構成を示した斜視図である。
【図2】スピーカーの第二構成を示した斜視図である。
【図3】ベースユニットの斜視図である。
【図4】ベースユニットの断面図である。
【図5】ドライバアレイの斜視図である。
【図6】伸長アッセンブリの斜視図である。
【図7】コントロールパネルの実施例の部分上面図である。
【図8】コントロールパネルの他の実施例の平面図である。
【図9a】他の実施例の第一構成を示した斜視図である。
【図9b】図9aで示した実施例の第二構成を示した斜視図である。
【図10a】他の実施例の第一構成を示した斜視図である。
【図10b】図10aで示した実施例の第二構成を示した斜視図である。
【図11a】他の実施例の第一構成を示した斜視図である。
【図11b】図11aで示した実施例の第二構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は小型のポータブル・ラウドスピーカーシステムの第一構成を示した斜視図である。図1において、ポータブル・ラウドスピーカーシステムは、ベースユニット110と、1つ以上の伸長脚部160によって支持されたドライバアレイ150と、を備えている。いくつかの実施例では、伸長脚部160は、ドライバアレイ150とベースユニット110とを電気的に接続している。図1に示す伸長構成では、ドライバアレイ150は、伸長脚部160によってベースユニット110の3〜8フィート上方の高さ位置に置かれている。
【0007】
ベースユニット110は、低音用筐体112及びドック117を備えている。低音用筐体112は、一般にウーハーと呼ばれる低周波スピーカーと、ポータブル・ラウドスピーカーシステムのための信号電子機器及び制御部と、を収容している。コントロールパネル113は、ラウドスピーカーシステムを操作する制御部への快適なアクセスを使用者に提供している。ドック117は、伸長構成において伸長脚部160を支持しており、そして、低音用筐体112内のウーハーの機械的な保護としても役立たせることができる。いくつかの実施例では、ドック117は低音用筐体112の一部を形成することができる。いくつかの実施例では、ドック117は低音用筐体112から分離されていてもよい。スクリーン119は、ドック117と低音用筐体112との間に張設されている。ベースユニット110上のハンドル115によってポータブルシステムを片手だけで容易に持ち運んだり運搬したりすることができ、ポータブルシステムの重量は、好ましくは30ポンド未満、そしてより好ましくは25ポンド未満である。ベースユニット110は、好ましくは体積が3立方フィート未満、そしてより好ましくは2立方フィート未満の小型のものである。
【0008】
図1に示す伸長構成において、ベースユニット110が、ドライバアレイ150がおおよそ聴取者の頭の高さ位置に置かれるように床に配置することができる。ラウドスピーカーシステムは、舞台や聴取者が高い音響レベルを要求しない分野において、会議での音声を拡大させたり、ソロ演奏/小アンサンブル演奏で狭い範囲で音響を増幅させたりすることができる。図1に示す伸長構成において、伸長脚部160は、ドライバアレイ150をベースユニット110の上方に機械的に支持すると共に、好ましくはドライバアレイ150とベースユニット110とを電気的に接続しており、これによって、ドライバアレイ用の別個のアレイドライバスタンド又はドライバアレイをベースユニットに接続するための別個の導電体の必要性がなくなる。
【0009】
図2は、図1に示す小型のポータブル・ラウドスピーカーシステムの第二構成を示した斜視図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。
図2に示す、押し縮められた又は小型の構成では、ドライバアレイ150は、ドック117に直接支持され、且つ固定されている。いくつかの実施形態では、ドライバアレイ150は、ドライバアレイ150のコネクタを通じて信号電子機器に電気的に接続され、この信号電子機器によって駆動される。他の実施形態では、図示しない別個の信号電子機器が、ドライバアレイ150内に収容されてドライバアレイ150を駆動してもよい。図2において凹部として示すアレイハンドル260によって、使用者はドライバアレイ150を把持してドライバアレイ150をドック117の外に移動させることができる。
【0010】
図2に示す押し縮められた構成では、ベースユニット110は、例えばテーブルの上に配置され、教室や会議室のような小さい環境内で使用されてもよい。また、この押し縮められた構成によって、ベースユニット110とドライバアレイ150との両方を小型の構成で簡便に運搬することが可能となり、この小型の構成では、ドック117がドライバアレイ150を支持している。
【0011】
図3は、図1及び図2に示すベースユニット110の斜視図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。ドライバアレイ150と伸長脚部160は、ドック117の細部を示すために図3には示されていない。スクリーン119は、ドック117の一端とベースユニット110の低音用筐体112との間に張設されており、そして、ドック117と低音用筐体112の間の空間を覆っている。スクリーン119は、音響的に透けて(acoustically transparent)おり、このことによってウーハー316から発生した音響信号がリスニング音量で低音用筐体112の外部に実質的にスムーズに伝播することを可能にしている。図3において、ドック117の右側に取り付けられたスクリーンは、ウーハー316を支持する低音用筐体112の側部を見せるため取り除かれているが、通常は、スクリーン119によって覆い隠されている。例えば、ポート又はパッシブラジエーターのような任意の音響的要素を、低音用筐体112によって支持することができる。例えば、図3にはポート318が示されている。
【0012】
図3に示す例では、ドック117は、伸長脚部160又はドライバアレイ150のコンプメタリーコネクタと結合するように形成された電気コネクタ325を備えている。ドック117に設けられたガイドレール335は、伸長脚部160又はドライバアレイ150がドック117の中を移動して電気コネクタ325に結合するように伸長脚部160又はドライバアレイ150を案内する。ガイドレール335は、伸長脚部160又はドライバアレイ150を垂直方向に支持及び保持している。他の実施例では、ドック117は、非垂直姿勢に置かれることがある。当然のことながら、ドック117により、ドライバアレイ150又は伸長脚部160をベースユニット110に対して取り外し可能に固定することができる。本願の記載に接した当業者が容易に想到できるドライバアレイ又は伸長脚部をドッキングさせる他の手段は、本願が対象とする事項の技術的範囲に包含されると理解される。例えば、ガイドレール335を、ドライバアレイ又は伸長脚部内の開き止めバネと置き換え、開き止めバネに嵌合するように形成されたポスト/返し部と結合し、そしてドライバアレイ又は伸長脚部をベースユニットにしっかりと取り付けることが可能である。他の例では、1つ以上のバネ仕掛けのCクランプを、ベースユニットに沿って垂直に配置し、このCクランプが、開いた状態でドライバアレイ又は伸長脚部を受けると共に、把持された状態でドライバアレイ及び伸長脚部をしっかりと締結するように形成することができる。
【0013】
図4は、図1及び図2に示すベースユニットの断面図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。図4に示す例では、低音用筐体112は、ウーハー316と任意のポート318とを支持している。図4に示す実施形態においては、伸長した構成か押し縮められた構成で、信号電子機器430が低音用筐体112の内面に支持され、ウーハー316及びドライバアレイ150を駆動することができる。他の実施形態では、信号電子機器430は、低音用筐体112の外に収容することができる。他の実施形態では、別個の信号電子機器を、駆動するためにドライバアレイに収容してドライバアレイを駆動することができる。低音用筐体に電源スイッチ414が備えられていてもよい。信号電子機器は、ウーハー及びドライバアレイに増幅信号を送信し、パワーアンプと信号フィルター回路を有する。いくつかの実施例では、信号電子機器430が、2つ以上の入力信号を合成するための回路を有している。いくつかの実施例では、信号電子機器430は、1つ以上の入力信号をイコライジングする回路を有している。信号電子機器は、電子技術における当業者に知られたマイクロプロセッサ・リーダブル・メモリー又はその組み合わせからの指示を実行するアナログ回路やデジタル回路として実装することができる。好ましい実施形態では、入力信号のイコラゼーションを制御するイコラゼーションパラメータは、入力信号源に基づいている。2008年1月15日に発行された米国特許第7319767号、及び現在は2009年4月14日発行の米国特許第7518055号である2007年3月1日出願の米国特許出願第11/680947号は、入力信号源に基づく入力信号をイコライジングするためのシステム及び方法を開示しており、それらの全体が参照としてここに組み込まれている。
【0014】
出力コネクタ413は、他のラウドスピーカーシステムや録音機器に向けて入力信号又は合成信号を通過するように提供することができる。コントロールパネル113は、例えば、使用者がポータブル・ラウドスピーカーシステムを操作し、1つ以上の音源を狭い場所での放送用のラウドスピーカーシステムに接続することを可能にする。音源の例としては、マイクロホン、楽器、オーディオプレーヤー及びコンピュータがあるが、これに限定されない。
【0015】
図5は、図1及び図2に示すドライバアレイ150の斜視図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。図5において、カバースクリーンは、ドライバアレイの細部を示すために取り除かれている。ドライバアレイ150は、外装体580によって少なくとも一部分が覆われたアレイ支持部560を備えている。いくつかの実施例では、アレイ支持部と外装体は一体構造となっている。外装体580は、外装体580の一端に配設されたアレイコネクタ525を備えており、このアレイコネクタ525は、ドック117に設けられた電気コネクタ325と結合するような大きさ及び形状に形成されていて、信号電子機器430とドライバアレイ150の1つ以上のドライバ552、557とを電気的に接続させる。好ましい実施形態では、アレイコネクタ及び電気コネクタの形状を、一方向のコネクタ結合を許容するための重要な要素とすることができる。アレイコネクタ525の位置は、外装体580の一端に限られず、他の実施形態では、外装体580の側部に配設されている。他の実施形態では、コネクタは、例えばドライブアレイがドライバアレイを駆動させるための信号電子機器を収容する場合などに省略することができる。
【0016】
1つ以上のレール535を、外装体580の背面に配設し、ドック117に設けられたガイドレール335に係合するように構成することができる。使用者は、ドライバアレイ150をドック117の上端位置に置いて、ドライバアレイ150をドック117の中に滑らせて移動させることができる。ガイドレール及びレールは、アレイコネクタ525を電気コネクタ325と位置合わせさせ、ドライバアレイ150がドック117に直接結合されたときにドライバアレイ150の横移動を制限する。
【0017】
図5に示す例では、ドライバアレイは、一般にドライバと呼ばれている6つの中高範囲のラウドスピーカーを備えている。他の実施形態では、6つよりも多い、又は少ないドライバを有していてもよい。各ドライバ552、557は、アレイ支持部560によって方向が決められると共に支持されている。
【0018】
各ドライバの向きは、基準点の位置と主軸回りの回転で説明することができる。基準点と主軸の選択は、任意に選択することができる。例えば、第一主軸(ここではZ軸と呼ばれる)は、ドライバの音声コイルの長手方向軸と同一線上にすることができ、ドライバの音響放射の方向を示す。第二主軸(ここではY軸と呼ばれる)は、Z軸に対して直交し、Y軸回りの回転は、ここでは「ヨー」(左右揺動)と呼ばれ、ヨー角度によって特徴付けられている。第三主軸(ここではX軸と呼ばれる)は、Z軸及びY軸に対して直交しており、X軸回りの回転はここでは「ピッチ」(上下揺動)と呼ばれ、ピッチ角度によって特徴付けられている。基準点は、通常、3つの主軸の交点が選択される。この座標系の例を用いることで、ドライバアレイの多様な形式を説明することができる。例えば、線状アレイは、各ドライバのY軸が同一線上に位置してアレイ軸を形成するように構成された1つ以上のドライバを備える。ドライバアレイ内の各ドライバは0のヨー角度を有し、このことによってドライバそれぞれが同じ方向に向いている。他の例では、J−アレイは、直線状のアレイを構成する第一ドライバセットと、第二ドライバセットを備えており、各第二ドライバセットの基準点は、Y−Z面内の曲線に位置し、これによって、ドライバの第一及び第二ドライバセットの基準点はJ形状の曲線を形成する。基準点のセット及び基準点を含む曲線は、ここではドライバアレイのスパインと呼ばれる。第二ドライバセットのピッチは、各第二ドライバセットの回転Y軸がJアレイのスパインと接するように変化させることができる。他の例では、アーティキュレイテッド・アレイが、第一ヨー角度によって特徴付けられた第一ドライバセットと、第一ヨー角度と異なる第二ヨー角度によって特徴付けられた第二ドライバセットと、を備えている。第一ドライバセットのドライバは第二ドライバセットのドライバに組み入れられていてもよい。他の例では、第一ドライバセットが、第二ドライバセットから隔離されていてもよい。ドライバアレイは、スパイン曲線、ヨー角度及びピッチ角度のいくつかの組み合わせを用いることができる。
【0019】
図5に示す例において、アレイ支持部560は、ドライバアレイのスパインが湾曲してドライバが関節式に連結された構成をしているようにドライバ552、557を構成している。図5に示すスパインは、1つの曲率半径によって特徴付けられた単純な曲線であっても、2以上の曲率半径によって特徴付けられた複雑な曲線であってもよい。当然のことながら、無限大の曲率半径、すなわち直線が、スパインの一部分又は全部を特徴付けてもよい。図5に示すアーティキュレイテッド・アレイは交互配置のドライバを示しており、ここでは第一ドライバセットのドライバ552は第二ドライバセットのドライバ557と交互に配置されている。いくつかの実施形態では、第一及び第二ドライバセットのヨー角度が、より水平方向の場のカバレッジを与えるように選択されてもよく、これによって、より整合された音調のバランスとレベルとが会場全体に提供される。アレイの上側半分のドライバは正のピッチ角度を持つことができ、これによって各ドライバの回転Y軸がスパインに接する。アレイの下側半分のドライバは、負のピッチ角度を持つことができ、これによって各ドライバの回転Y軸がスパインに接する。図5では、アレイの下部が、アレイコネクタ525に最も近い点となっている。他の実施形態で使用することができるドライバアレイの他の例としては、関節式に接続されていない線状アレイ、関節式に接続された線状アレイ、及び、複数の曲線によって特徴付けられたスパインを有する関節式又は非関節式に接続されたアレイを含むが、これに限定されない。
【0020】
図6は、伸長脚部160の斜視図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。伸長脚部160は脚部外装体680を備え、この脚部外装体680は、伸長状態においてドライバアレイ150を適当な位置に置いて機械的に支持する。下側の脚部コネクタ625は、伸長脚部160の下部に位置し、ドック117の電気コネクタ325に合う大きさ及び形状に形成されている。伸長脚部の中に保持された電気コネクタは、下側の脚部コネクタ625を伸長脚部の上端に位置する図示しない上側の脚部コネクタに接続する。上側の脚部コネクタは、2番目の伸長脚部の下側の脚部コネクタ又はドライバアレイ150に結合する大きさ及び形状に形成されている。
【0021】
1つ以上のレール635は、脚部外装体680の背面側に配置されると共に、ドック117に設けられたガイドレール335に係合するように形成されていてもよい。使用者は、ドック117の上端位置に伸長脚部160を配置させてチャンネルガイドの中に伸長脚部を移動させることができる。ガイドレール及びレールは、伸長脚部160を電気コネクタ325と一直線上に位置合わせすると共に伸長脚部160の横移動を制限する。2以上の伸長脚部が使用されるいくつかの実施形態では、使用者が何れかの伸長脚部をドック117の中に移動させることができるように、伸長脚部の各々がレール635を備えてもよい。他の実施例では、どの伸長脚部をチャンネルガイドの中に挿入させるかを使用者が迅速に決定することができるように、1つの伸長脚部だけがレール635を備えてもよい。
【0022】
図7は、図1及び図2に示すコントロールパネルの部分上面図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。他の実施例では3つ以上のチャンネル又は単一のチャンネルを備えているが、図7に示す例では、コントロールパネル113が、電源インジケータ730を備え、入力と制御用の2つの入力チャンネル720、740に対して入力すると共に制御している。図7に示す例において、第一チャンネル720は、マイクに接続するためのXLRマイクコネクタ721、低音制御部727、高音制御部726、音量制御部725及びクリッピングインジケータ722を備えている。第一チャンネル720に接続されたマイクからの入力信号は、一般のマイクのために予め決定されたイコラゼーションパラメータのセットによってイコライジングすることができる。同様に、制御パラメータ、例えば、低音及び高音の制御のためのゲインレンジ及びコーナー周波数は、2007年3月1日出願の米国特許出願第11/680947号、2009年4月14日発行の米国特許第7518055号に記載されたマイク使用方法のための予め決定された制御パラメータのセットによって決めることができ、本願は、それらの全てを参照によってここに組み込んでいる。
【0023】
第二チャンネルは、音量制御部745、信号クリッピングインジケータ742、及び多様な信号源からの信号を受信するための一つ以上の入力コネクタ741、743、744を備えている。入力コネクタ744は、例えばコンピュータやデジタルメディアプレーヤーからの入力信号を受信するための標準規格の1/8インチのコネクタにすることができる。入力コネクタ743は、例えばステレオアンプ等のようなオーディオ機器からの入力信号を受信するための標準規格のRCSコネクタにすることができる。入力コネクタ741は、例えばエレキギター、キーボード、音響用ピックアップを備えたアコスティック楽器、マイク、外部音響機器及び外部音響ミキサー等のような楽器又は音楽機器からの入力信号を受信するための標準規格の1/4インチのコネクタにすることができる。イコラゼーションスイッチ746は、アコスティックギターが2007年3月1日出願の米国特許出願第11/680947号、2009年4月14日発行の米国特許第7518055号に記載された方法を使用して1/4インチのコネクタに接続されたときの、アコスティックギターのためにカスタマイズされた入力信号のイコライジングを予め決定させることができ、また、例えばミキサーやエコライザが1/4インチのコネクタに接続されたときの入力信号をフラット(半音低く)にさせたりイコライジングさせなかったりすることができる。
【0024】
図8は、コントロールパネルの他の実施例の平面図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。図8に示す例では、第一チャンネルは、マイクに接続するためのXLRマイクコネクタ721、出力用の雄型の1/4インチのコネクタを有する楽器や音響機器に接続するための標準規格の1/4インチのコネクタ、入力信号クリッピングインジケータ822、チャンネルトリム制御部823、エコラゼーションセレクター829、低周波制御部827、高周波制御部826及びチャンネル音量制御部825を備えている。エコラゼーションセレクター829は、入力信号に適用される予め決められたエコラゼーション・パラメータのセットを使用者が選択することを可能にする。エコラゼーション・パラメータの各セットは、第一チャンネルに接続させることができるマイクの特定のタイプ又はブランド/型に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、エコラゼーションセレクター829は、第一チャンネルに接続させることができるマイクの特定のタイプ又はブランド/型に基づいて高周波制御部826及び低周波制御部827のための制御パラメータのセットを選択することもできる。制御パラメータの例としては、各制御部用のゲインレンジ及び各制御部用のコーナー周波数が挙げられる。
【0025】
第二チャンネルは、チャンネル音量制御部845、信号クリッピングインジケータ842、チャンネルトリム制御部843、低周波制御部847、高周波制御部846、及び、多様な信号源から信号を受信するための一つ以上の入力コネクタ741、743、744を備えている。入力コネクタには、標準規格の1/8インチのコネクタ744、標準規格のRCSコネクタ743、及び一つ以上の標準規格の1/4インチのコネクタ741を備えている。図8に示す例では、標準規格のIEC電源コネクタ870と電源スイッチ875はコントロールパネルの一部分として備えられている。ファントムスイッチ880及びインジケータ885は、例えばマイクが第一チャンネルに接続されている時に使用者にファントム電源モードを選択させることができる。
【0026】
図9aは、小型構成における他の実施形態を示した斜視図である。図9aにおいて、ドライバアレイ950は、低音用筐体を有するベースユニット910のドックに入れられている。スピーカー制御部及びコネクタは、使用者にとって簡単又は便利に使用可能なようにベースユニット910に設置することができる。例えば、制御部及びコネクタは、ベースユニット910の上面913に配設することができる。図9bは、図9aで示した実施形態の伸長構成を示した斜視図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。伸長構成では、ドライバアレイ950は、支持脚部960に支持されている。支持脚部960は、ドック925においてベースユニット910に接続されている。
【0027】
図10aは小型構成における他の実施形態を示した斜視図である。図10aにおいて、ドライバアレイ1050は、低音用筐体を有するベースユニット1010のドックに入れられている。スピーカー制御部及びコネクタは、使用者にとって簡単又は便利に使用可能なようにベースユニット1010に設置することができる。例えば、制御部及びコネクタは、ベースユニット1010の上面1013に配設することができる。図10bは、図10aで示した実施例の伸長構成を示した斜視図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。伸長構成では、ドライバアレイ1050は、支持脚部1060に支持されている。支持脚部1060は、ベースユニット1010に取り外し可能に取り付けられている。支持脚部1060は、運搬するために一層小型の形状に押し縮めることができる一繋ぎの脚部、又は、順次はめ込まれる一繋ぎの脚部にすることができる。
【0028】
図11aは、小型構成における他の実施形態を示した斜視図である。図11aにおいて、ドライバアレイ1150は、低音用筐体を有するベースユニット1110のドックに入れられている。スピーカー制御部及びコネクタは、使用者にとって簡単又は便利に使用可能なようにベースユニット1110に設置することができる。図11bは、図11aで示した実施例の伸長構成を示した斜視図であり、同一の参照番号が同一構造を参照する。伸長構成では、ドライバアレイ1150は、支持脚部1160に支持されている。支持脚部1160は、ベースユニット1110に取り外し可能に取り付けられている。支持脚部1160は、運搬するために一層小型の形状に押し縮めることができる一繋ぎの脚部、又は、順次はめ込まれる一繋ぎの脚部にすることができる。
【0029】
上述したシステム及び方法の実施形態には、当業者にとって明らかなコンピュータ構成部品及びコンピュータを使用した工程が含まれる。例えば、当業者にとって当然のことながら、コンピュータを使用した工程は、例えばフロッピーディスク(登録商標)、ハードディスク、光ディスク、フラッシュROMS、不揮発性ROM及びRAM等のようなコンピュータ記憶媒体にコンピュータ実行命令として格納される。さらに、当業者にとって当然のことながら、コンピュータ実行命令は、例えばマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、ゲートアレー等のような多様なプロセッサを実行することができる。説明を簡略化するために、ここではコンピュータシステムの一部として記載された上記したシステム及び方法のすべての工程及び構成要素を記載していないが、当業者は、各工程又は構成要素が類似するコンピュータシステム又はソフトウェア要素を有することができると認識できる。したがって、そのようなコンピュータシステム及び/又はソフトウェア要素は、記載されたそれらの類似する工程又は構成要素(すなわちそれらの機能性)によって可能であり、本願の発明の範囲内である。
【0030】
したがって、少なくとも本発明の実施形態に記載された内容によって、当業者が容易に想到することであろう様々な修正及び改良は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。それ故、上述の記載はほんの一例であり、これに限定されない。本発明は、下記の特許請求の範囲に規定されたもの及びそれに均等なものによってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバアレイと、
低音用筐体及びドックを有するベースユニットと、
を備え、
第一構成においては、前記ドックが、前記低音用筐体の外部における前記ベースユニットの凹部内で前記ドライバアレイを直接支持するように構成され、
第二構成においては、前記ドックが前記凹部内で伸長脚部を支持するように構成されて、前記伸長脚部が前記ドライバアレイを前記ベースユニットの上方の高さ位置で支持することを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記ベースユニットが、前記ドライバアレイに増幅信号を提供する信号電子機器をさらに備えることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記信号電子機器が、前記ラウドスピーカーシステムへの入力信号のイコラゼーションのための回路をさらに備えることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記入力信号の前記イコラゼーションを決定する1組のイコラゼーションパラメータが、前記入力信号の発信源の少なくとも一部に基づいていることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項5】
請求項2から4の何れか一項に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記信号電子機器が、前記ラウドスピーカーシステムが受信した1以上の入力信号を合成する回路を備えることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記ドライバアレイが、スパインによって特徴付けられる構造における複数のドライバをさらに備えており、
前記ドライバの各々がヨー角度及びピッチ角度によって特徴付けられていることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記ドライバアレイの前記スパインが、1つの直線である、単純な曲線である、複雑な曲線である、又はアーティキュレイテッド・アレイであることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
第一ヨー角度によって特徴付けられている第一ドライバセットのドライバが、第一ヨー角度と異なる第二ヨー角度によって特徴付けられている第二ドライバセットのドライバに組み入れられていることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項9】
請求項6に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記ドライバアレイは、少なくとも6つのドライバを備えていることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
ウーハー及び前記ドライバアレイを駆動する信号電子機器をさらに備え、
前記伸長脚部が、前記ドライバアレイを機械的に支持していると共に前記ドライバアレイと前記信号電子機器とを電気的に接続していることを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記ドライバアレイが、前記第一構成及び前記第二構成の両方において、音響エネルギーを出力する機能を有することを特徴とするラウドスピーカーシステム。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載のラウドスピーカーシステムにおいて、
前記ドックが、前記ドライバアレイに信号を供給するように構成された第一電気コネクタを備え、
前記ドライバアレイが、前記第一電気コネクタに連結されるように構成された第二電気コネクタを備え、
前記伸長脚部が、前記第一電気コネクタに連結されるように構成された第三電気コネクタと、前記第二電気コネクタに連結されるように構成された第四コネクタと、を備えていることを特徴とするラウドスピーカーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【公表番号】特表2012−507936(P2012−507936A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534582(P2011−534582)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/059674
【国際公開番号】WO2010/051139
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(591009509)ボーズ・コーポレーション (121)
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
【Fターム(参考)】