説明

データレコーダ

【課題】データをリアルタイムで記録するデータレコーダにおいて、電源瞬断後に迅速にデータ記録を再開する。
【解決手段】データを記録するハードディスクに管理領域として録画情報格納領域及び管理データ格納領域を設け、それぞれ3つの領域を設けて冗長させて管理データを記録する。3つの録画情報格納領域1、2、3において、電源瞬断後の再起動時に領域1、2、3のデータの整合性を確認し、データが一致するものを正しいデータと特定してデータの記録を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータレコーダ、特に管理情報の記録に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、HDD等の記録媒体を備え、カメラで得られた画像データを記録するとともに、画像データの取得タイミングに同期して、各種センサで得られたアナログデータを記録するデータレコーダが知られており、現場での監視作業や事故原因の解析等に応用されている。
【0003】
画像データやアナログデータを記録する場合、データを追記する毎に、HDDの所定領域に設けられた録画情報格納領域や管理データ格納領域を更新してデータの管理を行っている。録画情報格納領域には録画データ位置(最古のデータの位置や最新のデータ位置)、記録中フラグ、再生中フラグ等が記録され、管理データ格納領域には録画データの記録開始及び終了時間、HDDの記録位置等が記録される。
【0004】
ところが、録画情報や管理データを更新中にデータレコーダの電源が瞬断される等の不測の事態が生じると、録画データ、管理データの整合性がとれなくなり、記録や再生が再開できなくなってしまう。そこで、従来より、電源瞬断時に記録されていたデータを再生できるように、録画データ、録画情報、管理データを復旧させて、各データの整合性を図ることが提案されている。
【0005】
下記に示す特許文献1には、映像情報の記録終了時に映像情報の全体を管理するための第1の管理情報を映像情報が記録された第1の記録媒体に記録し、映像情報の記録中に映像情報の記録済みの部分を管理するための第2の管理情報を映像情報の記録の進行に伴って更新しながら第2の記録媒体に記録し、電源投入時あるいは電源復帰時に第1の管理情報と第2の管理情報との比較を行い、相違する場合に第2の管理情報を第1の管理情報に記録することにより、映像の記録途中に電源が瞬断された場合であっても、記録していた映像を再生できるようにすることが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、データ記録領域のデータに対する管理データを所定単位毎に格納する第1管理データ領域と、第1管理データ領域に格納されている管理データと同じ管理データを所定単位毎に格納する第2管理データ領域を設け、データ記録領域へのデータ記録処理、第1管理データ領域への管理データの更新処理、及び第2管理データ領域への管理データの更新処理において、所定単位毎の制御処理状況を示す状況データを記憶しておくことにより、データの記録中あるいは消去中に電源供給の瞬断等の障害が発生した場合であっても、所定単位の状況データを参照してデータや管理データの正確な復旧処理を行うことができるようにすることが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−339689号公報
【特許文献2】特開2002−358248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術では、電源瞬断時に記録されていた録画データを再生できるように、録画データ、録画情報、管理データを復旧させて、各データの整合性を図るようにしており、全復旧処理の場合、各情報の記録履歴を記憶しておき、各データの記録履歴の照合を行いながらバックアップデータに基づくデータ補完や更新処理を行わなければならないため、復旧までに時間がかかる問題があり、データレコーダのように速やかなデータ記録の再開が求められる製品等には適用が困難である。すなわち、計測データの収集等を目的とするデータレコーダの場合、測定データがリアルタイムで供給されるため、電源瞬断等の障害が発生した場合は、記録データの復旧よりもデータの記録を速やかに再開する方が重要であるところ、復旧に時間を要するのではデータレコーダの主目的を達成できないおそれが生じる。
【0009】
本発明の目的は、電源瞬断時においても短時間に録画の再開あるいは再生の再開を行うことができるデータレコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、データを記録する記録媒体を備えるデータレコーダであって、前記記録媒体は、記録データを管理するための管理領域を少なくとも3領域冗長して有し、データを前記記録媒体に記録する場合に前記冗長する管理領域の全てに同一データを記録するとともに、データの記録が中断された後に前記記録媒体へのデータの記録を再開する場合に前記重複する管理領域のうちの2つのデータが互いに一致するか否かを判定し、判定結果に応じて記録を再開する制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、前記制御手段は、前記重複する管理領域を第1管理領域、第2管理領域、第3管理領域とした場合に、前記第1管理領域と前記第2管理領域のデータが互いに一致するか否かを判定し、一致する場合に前記第1管理領域あるいは前記第2管理領域のいずれかのデータに基づいて記録を再開する。また、前記第1管理領域と前記第2管理領域のデータが互いに一致しない場合に前記第2管理領域と前記第3管理領域のデータが互いに一致するか否かを判定し、一致する場合に前記第2管理領域あるいは前記第3管理領域のいずれかのデータに基づいて記録を再開する。また、前記制御手段は、前記重複する管理領域を第1管理領域、第2管理領域、第3管理領域とし、前記第1管理領域、前記第2管理領域、前記第3管理領域の順に記録する場合であって、前記第1管理領域と前記第2管理領域、前記第2管理領域と前記第3管理領域、及び前記第1管理領域と前記第3管理領域のデータのいずれも互いに一致しないときに、前記第1管理領域のデータに基づいて記録を再開する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源瞬断後の再起動時等において、互いに冗長する管理領域のデータが一致するか否かを判定することで正しいデータを特定し、正しいデータに基づいて記録を再開することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1に、本実施形態におけるデータレコーダの構成ブロック図を示す。本実施形態のデータレコーダは、記録媒体としてHDD(ハードディスクドライブ)を備え、4台のカメラで撮影した映像(合計4チャンネル)と、センサで検出したアナログデータとを同期記録し、かつ同期再生できる機能を有する。
【0015】
4台のカメラで撮影した4チャネルの映像信号はアナログデジタル変換器10に供給され、デジタル信号に変換されてIC12に供給される。IC12は、ワーキングメモリであるSDRAM14を使用し、4チャネル分の映像信号の同期を確立してJPEGコーデック18に出力する。JPEGコーデック18は、映像信号をJPEG圧縮して符号化する。圧縮符号化は、ワーキングメモリとしてのデータバッファメモリ26を用いて実行し、データバッファメモリ26はデータバッファコントローラ20で制御される。JPEG圧縮符号化された映像データは、IDE−BUSコントローラ30を介して、HDDパック28内のハードディスクに記録される。
【0016】
一方、4つのセンサで検出した4チャネルのアナログ信号はアナログ入出力器46に供給され、同様にHDDパック28内のハードディスクに記録される。映像データとアナログデータは、RTC(リアルタイムクロック)32で生成される時間に同期してハードディスクに記録される。タイムコードI/Fコントローラ42にはタイムコード、スタート信号及びストップ信号が供給され、それぞれの信号により映像データ及びアナログデータの記録と停止が制御される。
【0017】
データレコーダの所定位置にはコントロールパネル46が設けられ、パネルI/O44を介して操作信号が供給される。再生時にはハードディスクに記録された映像データ、アナログデータはIC12及びワーキングメモリであるSDRAM16を介してモニタ44に供給され表示される。また、映像データ、アナログデータは、外部へのモニタ出力も可能である。CPU34は各部の動作を制御し、フラッシュROM38に格納された制御プログラムに基づき、ワーキングメモリのSDRAM36を用いてプログラムを実行する。RTC32は内蔵時計として機能し、データレコーダはイーサネット(登録商標)コントローラ40を介してLANに接続することができる。
【0018】
図2に、再生中のモニタ画面の一例を示す。図2(A)ではモニタ画面が4分割され、各分割画面に1〜4chの各チャネルの映像が表示される。画面下部には現在の動作モード(再生中であることを示すPLAY)とともに記録時の日付や時間が表示される。図2(B)ではあるチャネル(例えば1ch)の映像50がモニタ画面全体に表示されるとともに、4チャネルのアナログデータ51、52、53、54が分割して表示される。映像データとアナログデータは同期して記録されているので、ある特定の時間における映像データとアナログデータとをハードディスクから読み出して表示することができる。すなわち、ある時間における映像に対応するアナログデータを読み出して表示することができ、逆に、ある時間におけるアナログデータに対応する映像を読み出して表示することができる。バッテリ22は直流電源からの電力を受けて各部に電力を供給する。クロック24は各部に制御クロックを供給する。
【0019】
このような構成において、本実施形態では、ハードディスクに映像データとアナログデータを記録する際に、管理領域を更新することでデータの管理を行うが、このとき、管理領域を少なくとも3つ設け、冗長系を構成する。すなわち、3つの管理領域は互いに同一のデータが記録される。3つの管理領域を第1管理領域、第2管理領域、第3管理領域とすると、圧縮データを記録した後に同一のデータを第1管理領域、第2管理領域、第3管理領域のそれぞれに書き込んで更新する。本実施形態における管理領域は、図3に概念的に示すように録画情報格納領域と管理データ格納領域から構成され、これらをそれぞれ更新することでデータの管理を行うが、録画情報格納領域と管理データ格納領域とをそれぞれ3つずつ別セクタに設ける。すなわち、3つの録画情報格納領域1、2、3と3つの管理データ格納領域1、2、3を設け、3つの録画情報格納領域1、2、3には同一データを記録し、3つの管理データ格納領域1、2、3にも同一データを記録する。
【0020】
図4に、ハードディスクのアドレスマップを示す。エリアとして、システム領域の他、録画情報格納領域としての録画情報エリア100、管理データ格納領域としての管理データエリア200及び録画データ領域としての圧縮データエリア300が存在し、録画情報エリア100は後述するように複数のエリアを有し、かつ、管理データエリア200も図に示すように管理データエリア1、管理データエリア2、管理データエリア3の3つのエリアから構成される。管理データエリア1〜3はいずれも同一の容量であり(例えば2Mバイト)、同一の管理データが順に記録される。録画情報エリア100にはハードディスクの中の録画最新位置、最古位置、コード名、録画中/再生中の状態、ハードディスクの通電時間、イベントリストが記録される。また、管理データエリア200には圧縮先頭画像時刻、圧縮最終画像時刻、総枚数、録画開始フラグが記録される。
【0021】
図5に、録画情報エリア100の詳細構成を示す。録画情報エリア100は、録画データエリア1、録画データエリア2、録画データエリア3の3つのエリアを有し、さらにHDD通電時間エリア1、HDD通電時間エリア2、アラームリストエリア1、アラームリストエリア2を有する。録画データエリア1、録画データエリア2、録画データエリア3はそれぞれ同一容量(例えば1セクタ)であり、全て同一のデータを記録する。記録すべきデータは、HDDにデータを書き込んだ時間であるRTC(リアルタイムクロック)データ、圧縮データの一番古いブロックの位置である最古データブロック位置、圧縮データの一番新しいブロックの位置である最新データブロック位置、録画中であるか否かを示す録画中フラグ(録画中はON、そうでなけれがOFF)、再生中であることを示す再生中フラグ(再生中はON、そうでなければOFF)、再生中のみあるタイミングでの再生時間を示す再生時間、製品名等のコード名が記録される。また、ハードディスク通電時間エリアにはHDD通電時間識別フラグとHDD通電時間が記録される。アラームリストエリアにはイベントリストの一番古いブロックの位置を示す最古イベント位置、イベントリストの一番新しいブロックの位置を示す最新イベント位置、イベントが入力された時間を示すイベント入力時間、イベントデータが記録される。録画情報エリア100のデータは、圧縮データを記録する毎に、RTCデータや最新データブロック位置、録画中フラグ等が更新される。
【0022】
図6に、管理データエリア200及び圧縮データエリア300の詳細構成を示す。管理データエリア200は管理データエリア1、管理データエリア2、管理データエリア3から構成され、例えば管理データエリア1には管理データ1、2、3・・が記録され、管理データ1には圧縮データの先頭画像圧縮時間を示す先頭画像時間、圧縮データのアドレスである該当圧縮データアドレス、録画が開始されたブロックについて1となる録画開始フラグ、圧縮データの画像枚数を示す総枚数、圧縮データの最終画像圧縮時間を示す最終画像時間が記録される。圧縮データエリア300には圧縮データ1、2、3・・が記録され、圧縮データには先頭画像時間、最終画像時間、総枚数、再生時刻表示、画像先頭アドレス、画像データサイズ、録画時刻、画像データ等が記録される。圧縮データを記録する毎に、管理データが追加更新される。
【0023】
このように、録画情報エリア100には複数の録画データエリアが重複存在し、管理データエリア200にも複数の管理データエリアが重複存在して、データ更新時には上から順に(エリア1→エリア2→エリア3)全てのエリアで同一データが記録されるように更新していく。したがって、更新時に電源瞬断等の異常が生じると、これら重複して存在する複数のエリア間でデータが異なることになり、しかもどのエリアのデータが互いに異なるかで更新の過程のどこで電源瞬断等の異常が生じたかを検出することができる。異常が生じたエリアを検出することは、複数のエリアのうち異常が生じていない正常のエリアを検出することと等価であるから、このようにして検出した正常なエリアのデータを用いて電源瞬断後の録画再開及び再生再開を迅速に行うことができる。
【0024】
図7に、本実施形態の処理フローチャートを示す。映像とアナログデータを記録中に電源瞬断が生じた場合の処理である。まず、記録を開始すると(S101)、情報データエリアの録画中フラグをONにセットする(S102)。録画中に電源瞬断が生じると、装置を再起動し(S103),CPU34は録画データエリアの整合性を確認する(S104)。具体的には、録画データエリア1、2、3を全て読み出し(S105)、まず、録画データエリア1と録画データエリア2のデータ内容を比較する(S106)。
【0025】
録画データエリア1と録画データエリア2のデータ内容が一致していれば、録画データエリア1と録画データエリア2のいずれも正しいデータ内容であり、録画データエリア3の更新中に電源瞬断が生じたものと判断できる、すなわち、録画データエリア1及び録画データエリア2の更新は完了し、録画データエリア3のデータ更新中に電源瞬断が生じて更新を完了できなかったものと判断できるから、例えば録画データエリア1のデータを正しいデータであるとみなしてこのデータを使用する。これは、記録済みの圧縮データを正しく反映したデータである。
【0026】
一方、録画データエリア1と録画データエリア2のデータ内容が一致していない場合には、次に、録画データエリア2と録画データエリア3のデータを比較する(S107)。この結果、録画データエリア2と録画データエリア3のデータ内容が一致していれば、録画データエリア2と録画データエリア3のいずれも正しいデータ内容であり(但し更新前のデータ)、録画データエリア1の更新中に電源瞬断が生じたものと判断して録画データエリア2と録画データエリア3のいずれか、例えば録画データエリア2のデータを正しいデータであるとみなしてこのデータを使用する。この場合、記録済みの圧縮データは破棄する。これは、正しいとして特定したデータ内容は更新前のデータであり、このデータ内容と実際に記録されている圧縮データとを一致させるためである。
【0027】
また、録画データエリア2と録画データエリア3の内容が一致していない場合には、さらに、録画データエリア1と録画データエリア3のデータを比較する(S108)。この結果、録画データエリア1と録画データエリア3の内容が一致していない場合には、録画データエリア2の更新中に電源瞬断が生じたものと判定し、例えば未だ更新されていない録画データエリア3のデータを正しいデータであるとみなして使用する。この場合、記録済みの録画データを破棄する。録画データエリア1と録画データエリア2が一致せず、録画データエリア2と録画データエリア3も一致せず、録画データエリア1と録画データエリア3が一致する場合は、録画データエリア2にリードエラーを含む何らかのエラーが生じたものと判断し、録画データエリア1のデータを正しいデータであるとみなして使用する。このようにして使用するデータを決定した後、使用するデータを採用したエリア以外のエリアに使用するデータ内容をコピーし、整合性を確保する(S109)。
【0028】
録画データエリアの整合性を確認した後、次に管理データエリアの整合性を確認する(S110)。具体的には、管理データエリア1、2、3のデータ内容を全て読み出し、まず、管理データエリア1と管理データエリア2のデータ内容を比較する(S111)。
【0029】
管理データエリア1と管理データエリア2のデータ内容が一致していれば、管理データエリア1と管理データエリア2のいずれも正しいデータ内容であり、管理データエリア3の更新中に電源瞬断が生じたものと判断できる、すなわち、管理データエリア1及び管理データエリア2の更新は完了し、管理データエリア3のデータ更新中に電源瞬断が生じて更新を完了できなかったものと判断できるから、例えば管理データエリア1のデータを正しいデータであるとみなしてこのデータを使用する。これは、記録済みの圧縮データを反映した正しいデータである。
【0030】
一方、管理データエリア1と管理データエリア2のデータ内容が一致していない場合には、次に、管理データエリア2と管理データエリア3のデータを比較する(S112)。この結果、管理データエリア2と管理データエリア3のデータ内容が一致していれば、管理データエリア2と管理データエリア3のいずれも正しいデータ内容であり(但し更新前のデータ)、管理データエリア1の更新中に電源瞬断が生じたものと判断して管理データエリア2と管理データエリア3のいずれか、例えば管理データエリア2のデータを正しいデータであるとみなしてこのデータを使用する。この場合、記録済みの圧縮データを破棄する。
【0031】
また、管理データエリア2と管理データエリア3の内容が一致していない場合には、さらに、管理データエリア1と管理データエリア3のデータを比較する(S113)。この結果、管理データエリア1と管理データエリア3の内容が一致していない場合には、管理データエリア2の更新中に電源瞬断が生じたものと判定し、例えば未だ更新されていない管理データエリア3のデータを正しいデータであるとみなして使用する。この場合、記録済みの録画データを破棄する。管理データエリア1と管理データエリア2が一致せず、管理データエリア2と管理データエリア3も一致せず、管理データエリア1と管理データエリア3が一致する場合は、管理データエリア2にリードエラーを含む何らかのエラーが生じたものと判断し、管理データエリア1のデータを正しいデータであるとみなして使用する。このようにして使用するデータを決定した後、使用するデータを採用したエリア以外のエリアに使用するデータ内容をコピーし、整合性を確保する(S114)。
【0032】
以上のようにして正しい録画データエリアのデータ、及び正しい管理データエリアのデータを特定すると、録画中フラグであることを確認した上で(S115)、正しいデータを用いてどこまで記録したのかを特定して録画を再開する(S116)。すなわち、一番新しいデータの位置、ハードディスクにおけるアドレスを特定し、これに基づいて記録を再開する。本実施形態では、瞬断時に記録中であったデータを再生可能に復旧させるのではなく、冗長系を構成するデータのうちいずれのデータが正しいかを判定し、そのデータに基づいて記録位置を特定するので、速やかに記録を再開でき、リアルタイムで順次入力されるデータをハードディスクに記録することができる。録画中フラグでない場合には、そのまま待機する(S117)。
【0033】
より具体的に説明すると以下のとおりである。圧縮データを記録し、録画データエリア100及び管理データエリア200を更新する際に、録画データエリア100内の3番目のエリアであり録画データエリア3の更新中に電源瞬断が生じたものと想定する。電源瞬断後に再起動すると、CPU34はハードディスクにアクセスして録画データエリア1、2、3のデータを読み出し、録画データエリア1と録画データエリア2のデータ内容が一致していると判断する。すると、CPU34は録画データエリア1のデータを使用し、録画データエリア2及び録画データエリア3にコピーする。そして、録画データエリア1に記録されている録画中フラグがONであるかOFFであるかを判断し、ONである場合には録画中であることを意味するから、最新データブロックのアドレスを取得し、その次のアドレスから新たなデータの記録を再開する。なお、録画中フラグがOFFである場合には、新たな操作信号が入力されるまで待機する。
【0034】
このように、本実施形態では、録画データエリアと管理データエリアをそれぞれ複数(3つ)設け、電源瞬断後の再起動時に録画データエリア相互、及び管理データエリア相互の整合性を確認することで正しいデータを特定し、特定した正しいデータを用いて記録を迅速に再開することができる。
【0035】
本実施形態では、管理領域を3つ設けて冗長系を構成しているが、必要に応じて4つあるいはそれ以上設けることもできる。なお、管理領域を2つ設ける場合、2つの管理領域のデータ内容が一致しないときでも、それだけではいずれの管理領域が正しいかを特定することができない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態のデータレコーダの構成図である。
【図2】データレコーダの画面表示例を示す説明図である。
【図3】冗長系を構成する管理領域の概念説明図である。
【図4】ハードディスクのフォーマット説明図である。
【図5】録画データエリアのフォーマット説明図である。
【図6】管理データエリア及び圧縮データのフォーマット説明図である。
【図7】電源瞬断時の処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
18 JPEGコーデック、28 HDDパック、34 CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記録する記録媒体を備えるデータレコーダであって、
前記記録媒体は、記録データを管理するための管理領域を少なくとも3領域冗長して有し、
データを前記記録媒体に記録する場合に前記冗長する管理領域の全てに同一データを記録するとともに、データの記録が中断された後に前記記録媒体へのデータの記録を再開する場合に前記重複する管理領域のうちの2つのデータが互いに一致するか否かを判定し、判定結果に応じて記録を再開する制御手段と、
を有することを特徴とするデータレコーダ。
【請求項2】
請求項1記載のデータレコーダにおいて、
前記制御手段は、前記重複する管理領域を第1管理領域、第2管理領域、第3管理領域とした場合に、前記第1管理領域と前記第2管理領域のデータが互いに一致するか否かを判定し、一致する場合に前記第1管理領域あるいは前記第2管理領域のいずれかのデータに基づいて記録を再開する
ことを特徴とするデータレコーダ。
【請求項3】
請求項2記載のデータレコーダにおいて、
前記制御手段は、前記第1管理領域と前記第2管理領域のデータが互いに一致するか否かを判定し、一致しない場合に前記第2管理領域と前記第3管理領域のデータが互いに一致するか否かを判定し、一致する場合に前記第2管理領域あるいは前記第3管理領域のいずれかのデータに基づいて記録を再開する
ことを特徴とするデータレコーダ。
【請求項4】
請求項1記載のデータレコーダにおいて、
前記制御手段は、前記重複する管理領域を第1管理領域、第2管理領域、第3管理領域とし、前記第1管理領域、前記第2管理領域、前記第3管理領域の順に記録する場合であって、前記第1管理領域と前記第2管理領域、前記第2管理領域と前記第3管理領域、及び前記第1管理領域と前記第3管理領域のデータのいずれも互いに一致しないときに、前記第1管理領域のデータに基づいて記録を再開する
ことを特徴とするデータレコーダ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のデータレコーダにおいて、
前記管理領域は、最新のデータ位置を示す情報及び録画中であることを示す情報を含む録画情報格納領域と、記録されたデータ毎のデータ位置を示す情報を含む管理データ格納領域から構成されることを特徴とするデータレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−226316(P2008−226316A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60928(P2007−60928)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】