説明

データ会議用端末装置及びコンピュータプログラム

【課題】画像を共有するデータ会議を高品質に実行する。
【解決手段】拠点Aの主催者側PC110は、撮像システム130の撮像範囲及び画素数の情報たるサイズ情報SZ1を取得し、拠点Bの参加者側PC210に送信する。主催者側PC110は、主催者側表示装置120の実表示領域及び画素数の情報たるサイズ情報SZ2Aを取得し、撮像システム130における一画素当たりのサイズと、主催者側表示装置120の実表示領域122における一画素当たりのサイズとに基づいて、等倍サイズ縮尺率ZMEQAを算出する。参加者側PC210では、同様に参加者側表示装置220の実表示領域及び画素数の情報たるサイズ情報SZ2Bが取得され、等倍サイズ縮尺率ZMEQBが算出される。各拠点では、この当該サイズ縮尺率ZMEQA及びZMEQBに基づいて相互に共通な等倍サイズで共有画像が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像を共有してデータ会議を行う場合等に適用可能なデータ会議用端末装置及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、共有すべき資料画像の画面上の大きさを制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたテレビ会議システム(以下、「従来の技術」と称する)によれば、資料画像の送信側において、受信側のモニタ装置の画面上で指定の表示倍率の画像になるように撮影画像が変倍され、通信制御回路を介して受信側に送信される。このため、受信側で、資料画像の実寸を容易に認識することが可能であるとされている。
【0003】
尚、実物空間において撮像された画像を遠隔空間に送信し、当該遠隔空間において表示された画像を再び撮像して実物空間において撮像された画像と比較すると共に、両者の差分に基づいて実物空間における撮像用カメラのズームアップ、ダウンを行うことにより、実物空間における撮像サイズと遠隔空間における表示サイズとを近似させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、テレビ会議装置のユーザを被写体とする装置としては、カメラとユーザとの撮像距離をもとに、常にユーザの画像を等身大でスクリーンに表示させるものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平5−130598号公報
【特許文献2】特開平6−269008号公報
【特許文献3】特開2005−303683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、資料画像の送信側において、受信側のモニタ装置に合わせて撮影画像を変倍する必要があるため、送信側の負荷が増大する。また、会議の拠点が複数存在し、且つ各々の拠点でモニタサイズが異なるような場合には、拠点の数に応じて送信側の負荷は更に増大するため、実質的には、各拠点においてモニタサイズの共通化を図る必要が生じ易く、会議の効率的な実行が困難となりかねない。また、例えモニタサイズの共通化を図った所で、送信側の負荷の増大は避けられず、また、モニタサイズが共通であっても、例えばモニタの解像度が異なれば、結局各拠点で資料画像の表示上の大きさは異なってしまう。従って、各拠点共通の大きさで表示される画像を使用して会議を行うことに、実践上の困難が伴い易い。即ち、従来の技術には、複数の拠点相互間で高品質なデータ会議を行うことが困難であるという技術的な問題点がある。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、高品質なデータ会議の実行が可能なデータ会議用端末装置及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、請求項1のデータ会議用端末装置は、ネットワークに収容され、データ会議の複数の参加拠点の各々において該各々相互間で共有すべき共有対象の画像たる共有画像を表示可能な表示手段と共に設置されるデータ会議用端末装置であって、前記共有画像に関する画像データを取得する画像データ取得手段と、前記共有対象の実サイズに対応付けられた、前記共有画像における単位画素のサイズを規定する第1のサイズ情報を取得する第1のサイズ情報取得手段と、前記表示手段における単位画素のサイズを規定する第2のサイズ情報を取得する第2のサイズ情報取得手段と、前記取得された画像データ並びに前記取得された第1及び第2のサイズ情報に基づいて、前記共有画像を基準となるサイズで表示するための第1の表示用データを生成する第1の表示用データ生成手段と、該生成された第1の表示用データに従って前記共有画像が前記基準となるサイズで表示されるように前記表示手段を制御する表示制御手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
上述した課題を解決するため、請求項10のコンピュータプログラムは、コンピュータシステムを、請求項1から9のいずれか一項に記載のデータ会議用端末装置として機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<データ会議用端末装置の実施形態>
【0011】
本発明のデータ会議用端末装置に係る実施形態(以下、適宜「本発明の実施形態」と略称する)は、ネットワークに収容され、データ会議の複数の参加拠点の各々において該各々相互間で共有すべき共有対象の画像たる共有画像を表示可能な表示手段と共に設置されるデータ会議用端末装置であって、前記共有画像に関する画像データを取得する画像データ取得手段と、前記共有対象の実サイズに対応付けられた、前記共有画像における単位画素のサイズを規定する第1のサイズ情報を取得する第1のサイズ情報取得手段と、前記表示手段における単位画素のサイズを規定する第2のサイズ情報を取得する第2のサイズ情報取得手段と、前記取得された画像データ並びに前記取得された第1及び第2のサイズ情報に基づいて、前記共有画像を基準となるサイズで表示するための第1の表示用データを生成する第1の表示用データ生成手段と、該生成された第1の表示用データに従って前記共有画像が前記基準となるサイズで表示されるように前記表示手段を制御する表示制御手段とを具備する。
【0012】
本発明の実施形態における「ネットワーク」とは、WAN(Wide Area Network)網又はLAN(Local Area Network)網等の比較的限定された通信網を含み、更にはこれらWAN網又はLAN網を介して、或いは電話回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)又は光ファイバーケーブル等を介して適宜に接続されるインターネット等の広域通信網を包括する概念である。尚、ネットワークに収容された各データ会議用端末装置相互間における各種情報、データ、又はデータファイル等の通信形態は、例えば何らかのサーバ装置を介したものであってもよいし、例えばP2P(Peer To Peer)等サーバ装置を介さないものであってもよい。
【0013】
本発明の実施形態における「共有対象」とは、データ会議において拠点各々に共有画像として共有すべき物体を包括する概念であり、好適な一形態として、例えば機械図面等の各種紙媒体、又は部品、モジュール、ユニット、製品、模型、若しくは試作品等、三次元形状を有する各種個体物体等を含む趣旨である。このような共有対象の画像としての共有画像は、例えば、プラズマディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、CRTディスプレイ装置又はELディスプレイ装置等、各種の形態を採り得る表示手段の表示画面上(表示手段が例えばプロジェクタ装置であれば、例えば表示スクリーン上)に表示される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、その動作時には、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはMPU(Micro Processing Unit)等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る画像データ取得手段により、共有画像に関する画像データが取得される。
【0015】
ここで、「共有画像に関する画像データ」とは、例えば、公知の各種データ形式を有する静止画像データや動画像データ、或いはそれらが適宜に圧縮された圧縮データ等を好適な一形態として含む概念である。画像データ取得手段は、係る画像データを如何なる物理的、機械的又は電気的経路で取得してもよく、例えばネットワークを介して他拠点のデータ会議用端末装置から取得してもよいし、同じくネットワークを介して然るべきサーバ装置から取得してもよいし、ネットワークを介することなく(或いは、既にネットワークを介して取得済みである場合等に)然るべき記憶手段から読み出し処理を行う等して取得してもよいし、然るべきドライブ装置に挿入される、例えばFD(Floppy(登録商標) Disc)、CD(Compact Disc)、DVD或いはBD(Blu-ray Disc)等の各種記録媒体からの読み出し処理等を経て取得してもよい。
【0016】
ここで、画像を共有画像として共有するデータ会議においては、表示手段の表示画面上における共有画像のサイズが、各拠点相互間で共通である必要性が、その大小は別として幾らかなり生じ得る。とりわけ、共有画像が、上述した機械図面等の各種図面や各種製品等に関する画像である場合、各拠点相互間において、例えば共有対象に関するアイデア創出、改善議論或いはプレゼンテーション等を含む有意な議論を行うには、共有対象が一の拠点に存在するにせよ、共有対象自体はいずれの拠点とも異なる場所に存在するにせよ、複数の拠点各々におけるデータ会議の参加者各々が、少なくとも実践上問題の生じない程度に、共有対象の実サイズ(後述する「等倍に相当するサイズ」と等価)を共通認識として共有している必要がある。
【0017】
ところが、単に共有画像に関する画像データを基に複数の拠点各々で公知の画像処理や表示処理等が行われた場合、拠点各々における表示手段の例えば物理的、機械的、機構的又は電気的な構成の差異、或いは例えば動作環境(表示手段が被制御機器である場合における、表示手段を上位に制御する制御装置の制御態様に応じて変化する実質的な解像度等)の差異により、表示される共有画像の表示画面上のサイズが、各拠点相互間で非統一となり易い。また、共有対象の実サイズが何ら考慮されることがなければ、例え各拠点相互間で共有画像の表示画面上のサイズが統一されたところで(例えば、各拠点で表示手段の物理的、機械的、機構的及び電気的構成が全く等しく且つ制御態様も等しい場合等偶発的状況、或いは偶発的でないにせよ明らかに限定された状況で生じ得る)、各拠点相互間で共有する共有画像の表示画面上のサイズと共有対象の実サイズとの相対関係が全く不明であることに起因して、全ての拠点において視覚上誤った認識を共有する事態ともなりかねない。
【0018】
そこで、本発明の実施形態によれば、その動作時には、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る第1のサイズ情報取得手段により、共有対象の実サイズに対応付けられた、共有画像における単位画素のサイズを規定する情報としての第1のサイズ情報が取得される。ここで、「単位画素」とは、共有画像を構成する画素各々を所定の基準に従って分割した場合の一分割単位であり、例えば、好適な一形態としては、共有画像を構成する一画素であってもよい趣旨である。
【0019】
第1のサイズ情報は、共有対象の実サイズ(例えば、共有対象が一枚の図面であれば、撮像領域の面積や、撮像領域の縦方向及び横方向の長さ等)に対応付けられた、係る単位画素のサイズを規定する情報を包括する概念であり、その概念の範囲で多様な形態を採り得るが、例えば、共有対象の実サイズを共有画像の画素数で除して得られる、縦方向及び横方向各々の一画素当たりのサイズであってもよい。或いは、第1のサイズ情報には、共有対象の実サイズ(即ち、等倍に相当するサイズ)と現物のサイズ(即ち、原寸大に相当するサイズ)との縮尺関係を規定する情報が含まれてもよい。尚、第1のサイズ情報取得手段は、第1のサイズ情報を取得した後、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて共有画像を最終的に望ましい形態で表示し得るよう定められた各種の演算式やアルゴリズムに従って、取得した第1のサイズ情報に後処理を加えてもよい。或いは、このような後処理に相当する処理が、第1のサイズ情報取得手段とは異なる手段において、第1のサイズ情報の取得に相前後して加えられてもよい。また、第1のサイズ情報取得手段に係る第1のサイズ情報取得に係る態様は、何ら限定されず、例えば、ネットワークを介して他の拠点に設置されたデータ会議用端末装置から取得してもよいし、共有画像が画像データとしてデータ化された際の情報を然るべき情報ソースから取得可能である場合には、当該情報ソースから取得してもよい。或いは、例えば、拠点相互間で、例えば電話や電子メール等で第1のサイズ情報の共有化が図られた場合等には、例えば、キーボードやマウス等の各種入力デバイスを介して第1のサイズ情報に相当する情報入力がなされてもよく、この場合、第1のサイズ情報取得手段は、単に入力された情報を処理することにより第1のサイズ情報を取得してもよい。
【0020】
一方、表示手段の物理的、機械的、機構的又は電気的構成を含む構成は、拠点各々において異なり得、また、表示手段の動作環境は、好適な一形態としては被制御機器として構成される表示手段の制御態様により変化する。この場合、表示手段の表示画面上に表示される共有画像は、このような構成及び動作環境の差異を反映したものとなり、単一の画像データを基に各拠点で表示制御がなされたにせよ、その表示画面上のサイズが各拠点で相違し得る。そのため、本実施形態では、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る第2のサイズ情報取得手段により、表示手段における単位画素当たりのサイズを規定する第2のサイズ情報が取得される。
【0021】
ここで、表示手段における「単位画素」とは、表示手段の表示画面を構成する画素各々を所定の基準に従って分割した場合の一分割単位であり、例えば、好適な一形態として、表示手段を構成する一画素であってもよい趣旨である。また、表示手段における「画素」とは、表示手段の物理構成上の解像度により規定される、表示手段が固有に備える物理構成上の画素(例えば、一発光単位)を意味するものではなく、表示手段が実際に表示制御に供される際の制御上の解像度により規定される実質的な画素である。従って、表示手段の「画素」とは、表示手段における厳密な意味での画素と等価な場合も存在すれば、異なる場合も存在し得る趣旨である。このような単位画素のサイズとは、表示手段の実質的な表示領域(表示手段における物理的な表示領域(例えば、表示画面の面積等)とは異なり、実際に表示に供される領域を指す)における、単位画素に相当するサイズである。
【0022】
共有画像に係る画像データ、並びに第1のサイズ情報及び第2のサイズ情報が取得されると、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る第1の表示用データ生成手段により、基準となるサイズ(以下、適宜「基準サイズ」と称する)で共有画像を表示するための第1の表示用データが生成される。また、係る第1の表示用データが生成されると、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る表示制御手段により、この生成された第1の表示用データに従って共有画像が表示されるように表示手段が制御される。その結果、拠点各々において、表示手段に表示される共有画像のサイズは基準サイズで共通化される。
【0023】
ここで、「基準サイズ」とは、例えば、好適な一形態として共有対象の原寸大(例えば、共有対象が現物の1/100スケールであれば、共有対象の100倍)に相当するサイズ、又は共有対象の等倍(即ち、共有対象の実サイズであり、共有対象と、共有対象の現物との縮尺関係が1:1であれば、即ち、原寸大と等価である)に相当するサイズを含み、少なくともデータ会議の品質に影響を与えない旨の実践上の判断を下し得、且つ各拠点相互間で共通の認識が得られているサイズを指す。
【0024】
本発明の実施形態では、第1のサイズ情報と第2のサイズ情報とが取得されるため、表示手段の表示画面に、基準サイズで共有画像を表示するために必要となる、言い換えれば、拠点相互間の表示手段の構成及び動作環境の差異を相殺する、拠点各々における共有画像の縮尺の度合いを得ることができる。補足すると、例えば、第2のサイズ情報により規定される表示手段における単位画素のサイズが、第1のサイズ情報により規定される共有画像の単位画素のサイズ(既に述べたように、共有対象の実サイズに対応付けられており、一義的に、或いは直接的に又は間接的に、共有対象の実サイズを導き得るサイズである)よりも大きい(或いは小さい)場合、本発明の実施形態に係る第1の表示用データ生成手段の作用がなければ、必然的に表示手段に表示される共有画像のサイズは、共有対象の実サイズよりも大きく(或いは小さく)なり易い。第1及び第2のサイズ情報に基づいて、共有画像が相対的に縮小(或いは拡大)された状態で表示手段に表示されるように第1の表示用データが生成されることにより、共有対象の実サイズと、共有対象の表示画面上のサイズとを一致又は整合させることが可能となるのである。この際、基準サイズが原寸大或いは等倍に相当するサイズと異なっていようと、第1のサイズ情報が、共有対象の実サイズに対応付けられているために、少なくとも基準サイズと原寸大或いは等倍に相当するサイズとの相対関係は明確であり、拠点相互間でコンセンサスが得られている限りにおいて、データ会議の品質の低下は少なくとも顕在化することはない。
【0025】
このように、本発明の実施形態によれば、第1のサイズ情報及び第2のサイズ情報に基づいて、拠点相互間で共有画像の表示画面上のサイズを基準サイズに共通化することができる。従って、拠点相互間で共通の視覚認識の下に有意義なデータ会議を行うことが可能となると共に、各拠点において、表示される共有画像のサイズと共有対象の実サイズとの相対関係が不明であることに起因するデータ会議の質の低下が好適に抑制される。即ち、高品質なデータ会議の実行が可能となるのである。
【0026】
本発明の実施形態の一の態様では、前記基準となるサイズは、前記共有対象の原寸大に相当するサイズ及び前記共有対象の等倍に相当するサイズのうち少なくとも一方を含む。
【0027】
この態様によれば、上述した基準サイズに、上述した原寸大に相当するサイズ、又は上述した等倍に相当するサイズ、或いはその両方が含まれる。従って、複数の拠点の各々において、データ会議の参加者は、共有対象の実サイズ又は原寸大に相当するサイズを、視覚を通して高精度に認識しつつデータ会議に参加することができ、実践上極めて有益である。尚、基準サイズとして両方を採り得る場合、無論その都度個別具体的な判断の下に、これらが選択的に切り替えられてもよい。
【0028】
本発明の実施形態の他の態様では、前記共有対象は、物体を所定の画素数で撮像可能な撮像手段により、所定の撮像範囲に相当する部分が前記共有画像として撮像されると共に、該撮像された部分が、前記画像データとしてデータ化されており、前記画像データ取得手段は、前記データ化された画像データを取得し、前記第1のサイズ情報取得手段は、前記第1のサイズ情報として、少なくとも前記画素数及び前記撮像範囲のサイズに対応する情報を取得する。
【0029】
この態様によれば、共有対象は、例えば事前に、或いはその都度リアルタイムに、例えば好適な一形態として各種デジタルカメラやスキャナ等の形態を有し得る撮像手段により、所定の撮像範囲に相当する部分が共有画像として撮像され、且つ撮像された部分が画像データとしてデータ化されている。この際、撮像手段は、データ会議用端末装置とハードウェア構成上一体であるにせよ別体であるにせよ、データ会議用端末装置の一部をなしていてもよいし、データ会議用端末装置とハードウェア構成上一体であるにせよ別体であるにせよ、データ会議用端末装置と異なる装置であってもよい。
【0030】
この態様によれば、第1のサイズ情報取得手段により、この撮像手段が共有対象を撮像する際の画素数(例えば、有効画素数200万画素のデジタルカメラであれば200万)、及び撮像範囲のサイズに対応する情報が、第1のサイズ情報として取得される。撮像範囲のサイズと画素数とが判明している場合、共有画像の単位画素が、共有対象の実サイズ(即ち、等倍)ベースで、或いは共有対象の原寸大ベースで、どの程度の長さに相当するかを容易にして把握可能となるため、データ会議の実行に係る共有画像の表示が円滑に且つ確実に実行され、好適である。
【0031】
尚、この態様では、前記撮像手段を更に具備してもよい。
この態様によれば、上述したデジタルカメラ等の撮像手段が、一体のハードウェア構成を有するにせよ別体のハードウェア構成を有するにせよ、データ会議用端末装置の一部として備わるため、データ会議用端末装置のより円滑な動作が促進され、一層効率的である。
【0032】
本発明の実施形態の他の態様では、前記取得された第1のサイズ情報を、前記ネットワークを介して他の前記拠点に設置された前記データ会議用端末装置に供給する第1の供給手段を更に具備する。
【0033】
この態様によれば、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る第1の供給手段により、取得された第1のサイズ情報がネットワークを介して他拠点に設置されたデータ会議用端末装置に供給される。このため、他の拠点におけるデータ会議用端末装置における第1のサイズ情報取得手段の動作としては、ネットワークを介してこの供給される第1のサイズ情報を取得するのみでよく、拠点各々における第1のサイズ情報取得手段に係る動作を効率化することができ、データ会議の円滑な実行が促進される。また、このように一拠点で取得された第1のサイズ情報が他の拠点の少なくとも一部で共有され得る場合には、第1サイズ情報が誤って適用される旨の誤動作等が生じ難く、データ会議の予期せぬ品質低下が抑制されて好適である。
【0034】
本発明の実施形態の他の態様では、前記第2のサイズ情報取得手段は、前記第2のサイズ情報として、少なくとも前記表示手段における制御上の表示領域のサイズ及び前記表示手段における制御上の解像度に対応する情報を取得する。
【0035】
この態様によれば、第2のサイズ情報は、表示手段における制御上の表示領域のサイズ及び表示手段における制御上の解像度に対応する情報として取得されるため、第1の表示用データ生成手段に係る表示用データの生成を効率的に実行することが可能となる。
【0036】
本発明の実施形態の他の態様では、前記共有画像のうち前記表示手段に表示されている領域たる自拠点表示領域に対応する自拠点表示領域情報を生成する自拠点表示領域情報生成手段と、前記生成された自拠点表示領域情報を、前記ネットワークを介して他の前記拠点に設置された前記データ会議用端末装置に供給する第2の供給手段と、前記他の拠点に設置されたデータ会議用端末装置から前記ネットワークを介して前記自拠点表示領域情報が供給された場合に、前記他の拠点に設置されたデータ会議用端末装置から供給された自拠点表示領域情報に基づいて、前記共有画像のうち前記他の拠点に設置された前記表示手段に表示されている領域たる他拠点表示領域に対応する情報を表示するための第2の表示用データを生成する第2の表示用データ生成手段とを更に具備し、前記表示制御手段は、前記生成された第2の表示用データに従って、前記他拠点表示領域に対応する情報が表示されるように前記表示手段を制御する。
【0037】
拠点各々において表示手段の表示画面の大きさ(即ち、物理的な表示領域)或いは実質的な表示領域が相違する場合、表示される共有画像のサイズは基準サイズに統一されているから、例えばこの種の表示領域が相対的に小さい表示手段においては、必然的にデータ会議の参加者の視認に供される表示領域に共有画像が収まりきらない事態が生じ得る。一方、この種の問題が生じ難い、相対的に大きい表示領域を有する表示手段を有する拠点では、他拠点で生じたこのような問題に気付かぬままにデータ会議を進行させてしまう可能性がある。このような場合には、表示される共有画像のサイズを共通化することによって、かえってデータ会議の円滑な進行が妨げられかねない。
【0038】
この態様によれば、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る自拠点表示領域情報生成手段が備わり、自拠点表示領域情報が生成されると共に、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る第2の供給手段によりネットワークを介して他拠点に供給される。
【0039】
自拠点表示領域情報とは、共有画像のうち自拠点の表示手段における表示に供されている領域(即ち、自拠点表示領域)に対応する情報であり、当該自拠点領域に対応付けられている限りにおいて、且つ他拠点におけるデータ会議用端末装置において認識可能な情報である限りにおいて、如何なる形態を有する情報であってもよい。例えば、自拠点表示領域情報とは、共有画像を二次元座標上でマッピングした場合における、当該自拠点表示領域を規定する座標点の情報であってもよい。
【0040】
一方、この態様によれば、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る第2の表示用データ生成手段により、他拠点に設置されたデータ会議用端末装置からネットワークを介して供給される自拠点表示領域情報(即ち、他拠点における共有画像の表示領域を規定する情報)に基づいて第2の表示用データが生成される。
【0041】
第2の表示用データとは、共有画像のうち他の拠点において表示されている領域たる他拠点表示領域に対応する情報を表示するための表示用データであり、「他拠点表示領域に対応する情報」とは、例えば他拠点において表示に供されている領域に相当する枠線や、当該枠線に文字情報(例えば、「拠点○○ではこの枠内が表示されています」等の情報)を加えた情報等であり、その態様は、一の拠点において他の拠点で表示に供されている共有画像の領域を少なくとも実践上不足のない範囲で認識可能である限りにおいて何ら限定されない趣旨である。
【0042】
この態様によれば、例えばデータ会議の進行に応じてリアルタイムに変化し得る自拠点表示領域に対応するこの種の自拠点表示領域情報が、ネットワークを介してリアルタイムに、或いは一定又は不定の供給タイミングで周期的に他拠点に供給され、また、他拠点からネットワークを介して自拠点表示領域情報が供給された場合に他拠点表示領域情報を表示させることが可能となるため、例えば、他拠点、特に表示領域が相対的に大きな表示手段を有する拠点においては、現在視認されている共有画像が、他拠点(この場合、自拠点表示領域情報の供給元の拠点であり、上記自拠点に相当する)において視認されているか否かについて少なくとも認識することが可能である。従って、拠点各々において相互に他拠点を気遣いつつ円滑に会議を進行させると共に、拠点各々における表示手段の構成及び動作環境の差異がデータ会議の品質を低下させる事態が防止され好適である。
【0043】
本発明の実施形態の他の態様では、所定の入力手段を介して入力される入力情報を前記表示手段の表示画面上に視覚情報として表示するための第3の表示用データを生成する第3の表示用データ生成手段と、前記生成された第3の表示用データを、前記ネットワークを介して他の前記拠点に設置された前記データ会議用端末装置に供給する第3の供給手段とを更に具備し、前記表示制御手段は、前記生成された、又は前記他の拠点に設置されたデータ会議用端末装置から前記ネットワークを介して供給された第3の表示用データに従って、前記視覚情報が表示されるように前記表示手段を制御する。
【0044】
この態様によれば、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る第3の表示用データ生成手段により、例えばマウス、キーボード、タッチペン、トラックボール、タッチパッド、スクロールボタン又はタッチパネル装置等の形態を採り得る入力手段を介して入力される、例えば文字情報、数字情報、記号情報或いはイラスト等の画像情報等の各種入力情報を、表示手段の表示画面上に視認可能な視覚情報として表示するための第3の表示用データが生成される。一方、この態様によれば、例えばCPU若しくはMPU等の各種処理ユニット、各種プロセッサ、コントローラ又は各種機能モジュール等の各種形態を採り得る、或いはそれらとは全く異なる物理的、機械的、機構的又は電気的構成を採り得る第3の供給手段によりネットワークを介して第3の表示用データが他拠点に供給される。表示制御手段は、この生成された、或いは他拠点からネットワークを介して供給される第3の表示用データに従って、表示手段の表示画面に、当該視覚情報を表示させる。
【0045】
従って、この態様によれば、一の拠点において入力手段により情報の入力がなされると、入力がなされた情報に対応する視覚情報が、拠点各々において共有され得る。即ち、他拠点において表示に供された視覚情報を自拠点で視認することが、或いは自拠点で表示に供された視覚情報を他拠点において視認させることが、夫々可能となる。このため、データ会議の臨場感がより高まり、表示される共有画像のサイズが共通化されている効果とあいまってデータ会議の品質を顕著に向上させることが可能となる。
【0046】
尚、この態様では、前記第1の表示用データ生成手段は、前記視覚情報を表示すべき位置が前記表示された共有画像上に存在しない場合に、該視覚情報を表示すべき位置に相当する部分を含む前記共有画像が表示されるように、前記第1の表示用データを生成してもよい。
【0047】
視覚情報が表示手段に表示される場合、一部の拠点において、視覚情報の表示位置が、表示される共有画像内に存在しない場合がある。この態様によれば、第1の表示用データ生成手段が、このような場合に、視覚情報を表示すべき位置に相当する部分を含む共有画像が表示されるように第1の表示用データを生成するため、視覚情報の表示位置が表示される共有画像内に存在しない場合には、即座に当該表示位置を含む共有画像が表示され、相対的に表示領域の小さい表示手段しか有さない拠点等においても、データ会議の内容を漏らさず把握することが可能となる。即ち、データ会議をより円滑に且つ効果的に進行させ得る。
<コンピュータプログラムの実施形態>
【0048】
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、コンピュータシステムを、上記いずれか一項に記載のデータ会議用端末装置として機能させる。
【0049】
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体或いはUSB(Universal Serial Bus)メモリ等コンピュータシステムに着脱可能な固体型記憶装置から、当該コンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、例えば、通信手段等を介してコンピュータシステムにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明のデータ会議用端末装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
【0050】
尚、上述した本発明のデータ会議用端末装置に係る実施形態おける各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0051】
以上説明したように、本発明のデータ会議用端末装置に係る実施形態によれば、画像データ取得手段、第1のサイズ情報取得手段、第2のサイズ情報取得手段、第1の表示用データ生成手段及び表示制御手段を備えるので、高品質なデータ会議の実行が可能となる。
【0052】
以上説明したように、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、上記いずれかのデータ会議用端末装置を比較的簡単に実現できる。
【0053】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
【実施例】
【0054】
以下、適宜図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
【0055】
<実施例の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の一実施例に係るデータ会議システム10の構成について説明する。ここに、図1は、データ会議システム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【0056】
図1において、データ会議システム10は、相互に離れた会議室等の拠点A(即ち、本発明に係る「参加拠点」の一例)及び拠点B(即ち、本発明に係る「参加拠点」の他の一例)を繋ぐLAN網たるネットワーク11に収容された、主催者側システム100及び参加者側システム200を含んで構成され、主催者側システム100を管轄下に置く、拠点Aに存在する主催者12A(単数であっても複数であっても構わない)と、参加者側システム200を管轄下に置く、拠点Bに存在する参加者12B(単数であっても複数であっても構わない)との間で、相互に画像を共有しつつデータ会議を行うことが可能に構成されたシステムである。
【0057】
主催者側システム100は、主催者側PC110、主催者側表示装置120及び撮像システム130を備える。
【0058】
主催者側PC110は、主催者側システム100の動作を制御する制御装置であり、本発明に係る「データ会議用端末装置」の一例である。主催者側PC110の詳細な構成については後述する。
【0059】
主催者側表示装置120は、画像を表示するための、比較的大きい(例えば、50インチ程度)の表示画面121を有するプラズマディスプレイ装置であり、本発明に係る「表示手段」の一例である。主催者側表示装置120は、主催者側PC110と電気的に接続された状態にあり、主催者側PC110により上位に制御される構成となっている。尚、主催者側表示装置120の主として表示画面121の前面部分には、不図示のハンドライティングデバイス部が実装されている。ハンドライティングデバイス部は、ユーザ(この場合、主催者12A)が、然るべき入力手段(例えば、タッチペン等)を介して表示画面121上に書き込んだ情報を、視覚情報として所定の表示形態(色、太さ及び視覚効果)で表示することが可能に構成された装置である。このハンドライティングデバイスも、主催者側PC110と電気的に接続されており、その動作は主催者側PC110により上位に制御される構成となっている。
【0060】
撮像システム130は、データ会議において各拠点で共有すべき共有対象を撮像するためのシステムである。撮像システム130の詳細な図示は省略するが、撮像システム130は、デジタルカメラ、共有対象を載置する載置台、載置台の情報にデジタルカメラを固定する固定部及び共有対象の撮像領域の大きさを検出する検出部等を備える。撮像システム130は、主催者側PC110と電気的に接続されており、その動作が主催者側PC100により上位に制御される構成となっている。
【0061】
参加者側システム200は、参加者側PC210及び参加者側表示装置220を備える。
【0062】
参加者側PC210は、参加者側システム200の動作を制御する制御装置であり、本発明に係る「データ会議用端末装置」の他の一例である。参加者側PC210の詳細な構成については後述する。
【0063】
参加者側表示装置220は、画像を表示するための、主催者側表示装置120の表示画面121より小さい表示画面221を有するプラズマディスプレイ装置であり、本発明に係る「表示手段」の他の一例である。参加者側表示装置220は、参加者側PC210と電気的に接続された状態にあり、参加者側PC210により上位に制御される構成となっている。尚、参加者側表示装置220の主として表示画面221の前面部分には、不図示のハンドライティングデバイス部が実装されている。ハンドライティングデバイス部は、ユーザ(この場合、参加者12B)が、然るべき入力手段(例えば、タッチペン等)を介して表示画面221上に書き込んだ情報を、視覚情報として所定の表示形態(色、太さ及び視覚効果)で表示することが可能に構成された装置である。このハンドライティングデバイスも、参加者側PC210と電気的に接続されており、その動作は参加者側PC210により上位に制御される構成となっている。
【0064】
次に、図2を参照し、主催者側PC110の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、主催者側PC110の構成を概念的に表してなるブロック図である。尚、同図において図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
【0065】
図2において、主催者側PC110は、制御部111、通信部112、画像制御部113、情報管理部114及び入力部115を備える。
【0066】
制御部111は、演算処理装置としてのCPU並びにROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段を備え、主催者側PC110の動作全体を制御することが可能に構成された制御ユニットである。制御部111のHDDには、予め後述するデータ会議処理を実行するためのデータ会議アプリケーション(以下、適宜「データ会議アプリ」と称する)及び後述するデータ会議処理において起動する画像表示用の汎用アプリケーション(以下、適宜「表示用アプリ」と称する)が格納されている。このデータ会議アプリは、制御部111のCPUによって実行することが可能に構成された、本発明に係る「コンピュータプログラム」の一例たるソフトウェアである。
【0067】
通信部112は、例えばLANケーブルや所定の無線通信帯域を有する無線通信ユニットを介してネットワーク11と電気的に接続された通信インターフェイスである。
【0068】
画像制御部113は、主催者側表示装置120に表示する画像に係る表示用データを生成すると共に、該生成された表示用データに従って表示画面121に画像を表示させることが可能に構成された画像処理装置である。また、画像制御部113は、撮像システム130とも電気的に接続され、撮像システム130により撮像された画像のデータ化処理を行うことが可能に構成されている。画像制御部113は、制御部111と電気的に接続されており、制御部111によりその動作が上位に制御される構成となっている。
【0069】
情報管理部114は、データ会議処理の実行過程において必要となる各種の情報の生成、取得及び管理が可能に構成されたプロセッサである。情報管理部114は、制御部111と電気的に接続されており、制御部111によりその動作が上位に制御される構成となっている。
【0070】
入力部115は、キーボード、マウス及びタッチペン等を含み、主催者12Aによる適宜の操作が可能に構成された、本発明に係る「入力手段」の一例である。尚、入力部115は、図示せぬ入力インターフェイスを介して制御部111と電気的に接続されており、入力部115を介した入力内容は、制御部111によりリアルタイムに把握される構成となっている。
【0071】
次に、図3を参照し、参加者側PC210の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、参加者側PC210の構成を概念的に表してなるブロック図である。尚、同図において図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
【0072】
図3において、参加者側PC210は、制御部211、通信部212、画像制御部213、情報管理部214及び入力部215を備える。
【0073】
制御部211は、演算処理装置としてのCPU並びにROM、RAM及びHDD等の記憶手段を備え、参加者側PC210の動作全体を制御することが可能に構成された制御ユニットである。制御部211のHDDには、予め後述するデータ会議処理を実行するための、上述したデータ会議アプリ及び表示用アプリが格納されている。このデータ会議アプリは、制御部211のCPUによって実行することが可能に構成されている。
【0074】
通信部212は、例えばLANケーブルや所定の無線通信帯域を有する無線通信ユニットを介してネットワーク11と電気的に接続された通信インターフェイスである。
【0075】
画像制御部213は、参加者側表示装置220に表示する画像に係る表示用データを生成すると共に、該生成された表示用データに従って表示画面221に画像を表示させることが可能に構成された画像処理装置である。画像制御部213は、制御部211と電気的に接続されており、制御部211によりその動作が上位に制御される構成となっている。
【0076】
情報管理部214は、データ会議処理の実行過程において必要となる各種の情報の生成、取得及び管理が可能に構成されたプロセッサである。情報管理部214は、制御部211と電気的に接続されており、制御部211によりその動作が上位に制御される構成となっている。
【0077】
入力部215は、キーボード、マウス及びタッチペン等を含み、参加者12Bによる適宜の操作が可能に構成された入力手段である。尚、入力部215は、図示せぬ入力インターフェイスを介して制御部211と電気的に接続されており、入力部215を介した入力内容は、制御部211によりリアルタイムに把握される構成となっている。
【0078】
尚、本実施例では、主催者側PC110と参加者側PC210とは、各々に備わる通信部112及び212により、ネットワーク11を介して直接データ及び情報の送受が可能に構成されている。但し、このような構成は一例であり、例えば、主催者側PC110と参加者側PC210とは、ネットワーク11に備わるサーバ装置等を介してデータ及び情報の送受が可能に構成されていてもよい。
【0079】
<実施例の動作>
次に、図4を参照し、本実施例の動作として、拠点Aに存在する主催者12Aと拠点Bに存在する参加者12Bとが画像を共有してデータ会議を行う際の処理手順について説明する。ここに、図4は、データ会議の進行過程を例示するタイミングチャートである。尚、図4において、主催者側PC110及び参加者側PC210が横方向に並列して表されており、縦方向には共通して時刻が表されている。尚、本実施例では、データ会議の参加者が、主催者12Aと参加者12Bとに区別されているが、画像の提供者側を便宜的に主催者12Aと表現しているに過ぎず、いずれもデータ会議の参加者であることに変わりはない。また、図4に例示するタイミングチャートでは、各PCにおける、上述したデータ会議アプリの実行内容が例示される。従って、各PCに備わる制御部による、データ会議アプリ自体の読み出し及び実行開始の過程は省略されている。
【0080】
図4において、主催者側PC110で会議接続処理が実行される(ステップS101)。同様に、参加者側PC210においても会議接続処理が実行される(ステップS201)。尚、図4では、紙面の省スペース化を図るため、これらが時系列上一致したタイミングでなされているが、無論一例に過ぎず、少なくとも一方が他方の動作を待つ必要が生じている場合は除き、主催者側PC110及び参加者側PC210は相互に独立して動作可能である。
【0081】
会議接続処理は、データ会議を開始するための初期設定処理であり、例えばデータ会議の相手先の指定及び制御権の設定等が行われる。即ち、主催者側PC110において、データ会議の相手先として参加者側PC210のネットワークアドレスが指定され、参加者側PC210において、データ会議の相手先として主催者側PC110のネットワークアドレスが指定される。尚、制御権とは、データ会議の進行を支配する権利を指し、通常、データ会議において共有すべき画像を提供する側(即ち、本実施例では主催者12A側)が所有する。制御権の有無に応じて、データ会議アプリの実行時に各PCの制御部に構築される機能ブロックは多少変化するが、ここでは、発明の本旨から外れるのでその詳細を省略することとする。
【0082】
会議接続処理が終了すると、主催者側PC110では、サイズ情報SZ1が取得される(ステップS102)。ここで、図5を参照し、サイズ情報SZ1の詳細について説明する。ここに、図5は、データ会議において画像が共有される図面131の模式図である。
【0083】
図5において、図面131は、本発明に係る「共有対象」の一例たる機械図面であり、例えば、自動車や電子機器等に使用される部品の図面である。また、この図面は、当該部品の現物の1/100のスケールで描かれた図面である(即ち、本実施例では、現物は、図面131に描かれた部品の100倍のサイズを有する)とする。
【0084】
この図面131は、撮像システム130により撮像される。この際、図面131は、上述した載置台に載置され、固定部に固定されたデジタルカメラにより共有画像として撮像される。ここで、撮像システム130では、固定部により固定されたデジタルカメラと図面131との位置関係(主として、距離及び被写体に対するレンズの角度等)、及びデジタルカメラの物理的、機械的、及び電気的仕様等に応じて、被写体の撮像範囲132が一意に決定される。この撮像範囲132のサイズは、上述した検出部により検出され、撮像範囲情報として、撮像システム130と電気的に接続された情報管理部114にリアルタイムに供給されている。図5において、相互に直交する図示x方向及びy方向を規定すると、撮像範囲132のサイズは、x方向にLx(mm)、且つy方向にLy(mm)である。撮像範囲情報は、x方向及びy方向各々について個別に管理される。
【0085】
図4のステップS102に係る処理において取得されるサイズ情報SZ1とは、この情報管理部114に供給された撮像範囲132のサイズを規定する撮像範囲情報と、撮像システム130における、デジタルカメラの画素数(即ち、デジタルカメラの解像度に等しい)の情報(以下、適宜「画素情報」と称する)を包括する情報であり、本発明に係る「第1のサイズ情報」の一例である。尚、本実施例において、撮像システム130は、制御部111の制御下にあり、デジタルカメラの画素数は、デジタルカメラの内部情報として電気パスを介して情報管理部114に把握されている。本実施例において、デジタルカメラの画素数は、上述したx方向及びy方向各々について2000個及び1000個であり、撮像システム130のデジタルカメラは全体として200万画素のデジタルカメラとして構成されている。サイズ情報SZ1の一部としての画素情報は、当該x方向及びy方向について個別に管理される。以下、デジタルカメラにおけるx方向の画素数をDTDCx(即ち、2000)、y方向の画素数をDTDCy(即ち、1000)と表すこととする。このように、本実施例において、サイズ情報SZ1は、情報管理部114により取得され、管理されている。
【0086】
尚、本実施例では、撮像システム130が制御部111の制御下にあるため、サイズ情報SZ1を規定する撮像範囲情報及び画素情報は、自動的に情報管理部114に供給される構成となっているが、これは一例に過ぎず、サイズ情報SZ1の取得態様は、多種多様な形態を採り得る。例えば、デジタルカメラの画素数が変化しない(撮像モードの変更等により撮像に供される画素数が変化しない)のであれば、予め撮像システム130毎の固定値として、情報管理部114或いは制御部111のROM等に固定値として格納されていてもよい(本実施例では、撮像システム130からリアルタイムに画素数の情報が供給されるため、デジタルカメラの設定上の画素数が変化した場合には、自動的に画素情報が変化する)。或いは、画素情報及び撮像範囲情報の少なくとも一方が、主催者12Aにより入力部115を介して手入力されてもよい。
【0087】
また、制御部111により実行されるデータ会議アプリ側で、所定のキャリブレーション機能を備える場合、当該キャリブレーション機能により画素数(解像度)及び撮像範囲が算出されてもよい。このようなキャリブレーション機能による当該値の取得例として、例えば、載置台の上に真っ白な用紙を載置し、更に当該真っ白な用紙の上に所定直径を有する黒い円を置いた上でキャリブレーション用の撮像を行い、得られた画像のコントラスト比に基づいて画素数(解像度)及び撮像範囲を算出してもよい。或いは、所定長を有する物差し等を載置台上に載置してキャリブレーション用の撮像を行い、主催者12Aが入力部115を介して表示画面121上で当該物差しの画像の両端をクリック操作すること等により距離を測定し、画素数(解像度)及び撮像範囲を算出してもよい。
【0088】
図4に戻り、サイズ情報SZ1が取得されると、主催者側PC110では更に、被写体撮像処理が実行される(ステップS103)。被写体撮像処理とは、撮像システム130を使用して被写体の撮像を行う処理であり、本実施例では、図面131が撮像される。撮像された図面131は、画像制御部113において共有画像データとして所定のデータ形式でデータ化される。尚、係るデータ化は、撮像システム130において、デジタルカメラの内部処理回路の動作として行われてもよい。いずれにせよ、生成された共有画像データ(本実施例では、図面131の画像データ)は、最終的に制御部111のHDD或いはRAM等に格納され、本発明に係る「画像データ取得手段」の動作の一例が実現される。
【0089】
被写体撮像処理が実行されると、表示用画像データPICTが生成される(ステップS104)。表示用画像データPICTは、データ会議において共有すべき画像に関する、前述した共有画像データのデータ形式が、各拠点の表示装置に表示するために使用される前述した表示用アプリに準拠したデータ形式に変換されることにより生成される。表示用画像データPICTの生成は、本発明に係る「第1の表示用データ生成手段」の動作の一例であり、またその一部である。
【0090】
表示用画像データPICTが生成されると、データ送信処理が実行される(ステップS105)。データ送信処理では、ステップS104に係る処理において生成された表示用画像データPICTと、ステップS102に係る処理において取得されたサイズ情報SZ1に相当するデータとが、制御部111の制御を受けた通信部112の作用により、ネットワーク11を介して参加者側PC210に一のデータとして送信される。このデータ送信処理に対応する参加者側PC210側の動作については後述する。
【0091】
データ送信処理が実行されると、主催者側PC110では、サイズ情報SZ2Aが取得される(ステップS106)。サイズ情報SZ2Aは、主催者側表示装置120における後述する実表示領域122の画面サイズ及び解像度の情報である。ここで、図6を参照し、サイズ情報SZ2の詳細について説明する。ここに、図6は、主催者側システム100における主催者側表示装置120の正面模式図である。尚、同図において、図1及び図5と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
【0092】
図6において、主催者側表示装置120は、表示画面121を備える。この表示画面121のサイズは、主催者側表示装置120の物理的な画面サイズであるが、サイズ情報SZ2Aとして取得されるのは、この物理的な画面サイズではなく、有効画面サイズである。有効画面サイズとは、本発明に係る「制御上の表示領域のサイズ」の一例であって、表示画面121内に設定される、実表示領域122のサイズである。図示するように、この実表示領域122のサイズは、x方向及びy方向の夫々について、LAx(mm)及びLAy(mm)である。この有効画面サイズは、主催者側表示装置120を制御する制御部111の制御態様(例えば、主催者側PC110におけるOS上のディスプレイのプロパティ設定等)に応じて変化し、上述した物理的な画面サイズと一致する場合もあれば、異なる場合もある。
【0093】
本実施例における有効画面サイズの取得態様としては、予め制御部111が、主催者側表示装置120の機種と物理的な画面サイズとを対応付けてなるリストをROMに(或いは、データ会議アプリ内に)保持しており、主催者側表示装置120から機種名を取得して(無論、電気的なデータとして取得する)、当該リストと照合し、物理的な画面サイズを特定すると共に、この特定された物理的な画面サイズ及び現時点における主催者側表示装置120の制御態様(制御部111自身が制御値として把握している)に基づいて、最終的に算出する構成となっている。但し、このような取得態様は一例に過ぎず、例えば、主催者12Aが入力部115を介して実際の実表示領域122のサイズを(例えばその場で測定して)入力してもよい。いずれにせよ、取得された有効画面サイズの情報は、サイズ情報SZ2Aの一部として情報管理部114に供給され管理される。
【0094】
一方、主催者側表示装置120における実表示領域122の解像度(画素数)は、制御部111がOSの設定情報として保持しており、制御部111自身がx方向及びy方向各々の画素数(例えば、VGAと称される解像度であれば、1024×768画素)を表すサイズ情報SZ2Aの一部として、情報管理部114に供給する。尚、本実施例では、主催者側表示装置120における実表示領域122の画素数を、x方向及びy方向の各々について、DTDPAx及びDTDPAyと表すこととする。補足すると、ここで述べられる主催者側表示装置120における実表示領域122の画素数とは、このように制御部111による制御上の解像度(即ち、本発明に係る「制御上の解像度」の一例)により規定されるものであって、主催者側表示装置120の物理的な解像度により規定される、物理的な画素数とは異なっていてよい。
【0095】
図4に戻り、主催者側表示装置120における(即ち、拠点Aにおける)実表示領域のサイズを規定するサイズ情報SZ2Aが取得される(即ち、情報管理部114に供給される)と、縮尺率算出処理が実行される(ステップS107)。ここで、縮尺率算出処理とは、共有画像(本実施例では図面131の画像)を、予め設定される基準サイズで表示するための縮尺率ZMを算出する処理であり、本発明に係る「第1の表示用データ生成手段」の動作の一例であると共にその一部である。ここで、本実施例では、係る基準サイズとして図面131の等倍サイズ(即ち、撮像範囲132のサイズ)が設定される。拠点Aにおける、等倍サイズに対応する縮尺率(以下、適宜「等倍縮尺率」と称する)ZMEQA(尚、等倍縮尺率ZMEQは拠点毎に異なり得るため、拠点Aと拠点Bとを区別するため、夫々「A」及び「B」の識別用符号が付与されている)は、ステップS102及びステップS106に係る処理で夫々取得されたサイズ情報SZ1及び拠点A用のサイズ情報SZ2Aに基づいて、x方向及びy方向の各々について、下記(1)式及び(2)式に従って、x方向の等倍縮尺率ZMEQAx及びy方向の縮尺率ZMEQAyとして個別に算出される。
【0096】
ZMEQAx(%)=(Lx/DTDCx)/(LAx/DTDPAx)×100・・・(1)
ZMEQAy(%)=(Ly/DTDCy)/(LAy/DTDPAy)×100・・・(2)
上記(1)式及び(2)式のいずれにおいても、右辺第1項は、撮像システム130側における(即ち、共有画像133における)1画素のサイズであり、即ち、本発明に係る「共有対象の実サイズに対応付けられた、共有画像の単位画素のサイズ」の一例である。右辺第2項は、主催者側表示装置120の実表示領域122における1画素のサイズであり、即ち、本発明に係る「表示手段における単位画素のサイズ」の一例である。
【0097】
これら第1項及び第2項が相互に一致している場合に限り、拡大又は縮小の処理を施すことなく、主催者側表示装置120の表示画面121(実際は、実表示領域122)に、共有対象たる図面131を等倍サイズで表示することができる。即ち、等倍縮尺率ZMEQとは、共有画像を等倍サイズで表示装置に表示するために、表示装置側で共有画像に施すべき拡大又は縮小処理における倍率である。尚、本実施例では、主催者側表示装置120における実表示領域122において、上記(1)式及び(2)式各々について、右辺第1項と右辺第2項とが相互に等しいものとする。即ち、拠点Aにおける等倍縮尺率ZMEQAx及びZMEQAyは、夫々100(%)であるとする。
【0098】
縮尺率算出処理が実行されると、表示制御が実行される(ステップS108)。表示制御では、ステップS104に係る処理で生成された表示用画像データPICTと、ステップS107において得られた拠点A用の(即ち、主催者側表示装置120における実表示領域122の)等倍縮尺率ZMEQAとに基づいて、共有画像の等倍表示が実現される。上述したように、本実施例では、拠点A用の等倍縮尺率ZMEQAは、x方向及びy方向各々について100%であり、表示用画像データPICTに対し、拡大又は縮小に関する何らの後処理も施されることなく、画像制御部113が表示用画像データPICTに従って表示制御を実行する。その結果、主催者側表示装置120における表示画面121には、図面131に関する画像が等倍表示(即ち、表示画面121上に表示される共有画像のサイズと撮像領域132の実サイズ(即ち、共有対象の実サイズ)とが一致した状態となる表示)される。尚、ステップS108に係る処理では、等倍表示のみならず、原寸大表示も可能である。原寸大表示については後述する。
【0099】
ここで、ステップS201に係る会議接続処理以降の参加者側PC210の動作について説明する。参加者側PC210では、会議接続処理が終了すると、データ受信処理が実行される(ステップS202)。データ受信処理は、主催者側PC110で実行されるステップS105に係るデータ送信処理と対をなす処理であって、主催者側PC110からネットワーク11を介して供給される表示用画像データPICT及びサイズ情報SZ1に相当するデータを含む一のデータを受信する処理である。
【0100】
データ受信処理が実行されると、拠点B用のサイズ情報SZ2Bが取得される(ステップS203)。ステップS203に係る処理において取得されるサイズ情報SZ2Bは、概念上はステップS106に係る処理において得られるサイズ情報SZ2Aと等価であり、参加者側表示装置220の後述する実表示領域222の画面サイズ及び解像度の情報である。ここで、図7を参照し、サイズ情報SZ2Bの詳細について説明する。ここに、図7は、参加者側システム200における参加者側表示装置220の正面模式図である。尚、同図において、図6と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
【0101】
図7において、参加者側表示装置220は、表示画面221を備える。この表示画面221のサイズは、参加側表示装置220の物理的な画面サイズであるが、サイズ情報SZ2Bとして取得されるのは、この物理的な画面サイズではなく、有効画面サイズであり、表示画面221内に設定される実表示領域222のサイズである。図示するように、この実表示領域222のサイズは、x方向及びy方向の夫々について、LBx(LBx<LAx)及びLBy(LBy<LAy)である。この有効画面サイズは、参加者側表示装置220を制御する制御部211の制御態様(例えば、参加者側PC210におけるOS上のディスプレイのプロパティ設定等)に応じて変化し、上述した物理的な画面サイズと一致する場合もあれば、異なる場合もある。
【0102】
本実施例における有効画面サイズの取得態様としては、予め制御部211が、参加者側表示装置220の機種と物理的な画面サイズとを対応付けてなるリストをROMに(或いは、データ会議アプリ内に)保持しており、参加者側表示装置220から機種名を取得して(無論、電気的なデータとして取得する)、当該リストと照合し、物理的な画面サイズを特定すると共に、この特定された物理的な画面サイズ及び現時点における参加者側表示装置220の制御態様(制御部211自身が制御値として把握している)に基づいて、最終的に算出する構成となっている。但し、このような取得態様は一例に過ぎず、例えば、参加者12Bが入力部215を介して実際の実表示領域222のサイズを(例えばその場で測定して)入力してもよい。いずれにせよ、取得された有効画面サイズの情報は、サイズ情報SZ2Bの一部として情報管理部214に供給され管理される。
【0103】
一方、参加者側表示装置220における実表示領域222の解像度(画素数)は、制御部211がOSの設定情報として保持しており、制御部211自身が、x方向及びy方向各々の画素数を表す、サイズ情報SZ2Bの一部として、情報管理部214に供給する。尚、本実施例では、参加者側表示装置220における実表示領域222の画素数を、x方向及びy方向の各々について、DTDPBx及びDTDPByと表すこととする。補足すると、ここで述べられる参加者側表示装置220における実表示領域222の画素数とは、このように制御部211による制御上の解像度により規定されるものであって、参加者側表示装置220の物理的な解像度により規定される、物理的な画素数とは異なっていてよい。
【0104】
図4に戻り、拠点B用のサイズ情報SZ2Bが取得されると、縮尺率算出処理が実行される(ステップS204)。ここで、ステップS204に係る縮尺率算出処理とは、ステップS107に係る縮尺率算出処理と同等な処理であり、共有画像(本実施例では図面131の画像)を、予め設定される基準サイズ(即ち、上述したように、本実施例では等倍サイズ)で表示するための縮尺率たる等倍縮尺率ZMEQを算出する処理であり、本発明に係る「第1の表示用データ生成手段」の動作の他の一例であると共にその一部である。拠点B用の等倍縮尺率ZMEQBは、ステップS203に係る処理で取得された拠点B用のサイズ情報SZ2Bと、先のデータ受信処理において受信されたサイズ情報SZ1に相当するデータを解析して得られるサイズ情報SZ1とに基づいて、x方向及びy方向の各々について、下記(3)式及び(4)式に従って、x方向の等倍縮尺率ZMEQBx及びy方向の縮尺率ZMEQByとして個別に算出される。
【0105】
ZMEQBx(%)=(Lx/DTDCx)/(LBx/DTDPBx)×100・・・(3)
ZMEQBy(%)=(Ly/DTDCy)/(LBy/DTDPBy)×100・・・(4)
上記(3)式及び(4)式のいずれにおいても、上記(1)及び(2)式と同様に、右辺第1項は、撮像システム130側における(即ち、共有画像133における)1画素のサイズであり、即ち、本発明に係る「共有対象の実サイズに対応付けられた、共有画像の単位画素のサイズ」の一例である。また、右辺第2項は、参加者側表示装置220における実表示領域222の1画素のサイズであり、即ち、本発明に係る「表示手段における単位画素のサイズ」の他の一例である。
【0106】
既に述べたように、これら第1項及び第2項が相互に一致している場合に限り、拡大又は縮小の処理を施すことなく参加者側表示装置220の表示画面221(実際は、実表示領域222)に、共有対象たる図面131を等倍サイズで表示することができる。尚、本実施例では、上記(3)式及び(4)式各々について、右辺第1項が、右辺第2項の1/2に等しいものとする。即ち、拠点B用の等倍縮尺率ZMEQBx及びZMEQByは、夫々50(%)であるとする。
【0107】
縮尺率算出処理が実行されると、表示制御が実行される(ステップS205)。表示制御では、ステップS202に係るデータ受信処理において受信された表示用画像データPICTと、ステップS204において得られた拠点B用の等倍縮尺率ZMEQB(即ち、ZMEQBx及びZMEQBy)とに基づいて、共有画像の等倍表示が実現される。上述したように、本実施例では、参加者側表示装置220における実表示領域222において、等倍縮尺率ZMEQBは、x方向及びy方向各々について50%であり、表示用画像データPICTに対し、表示画像を50%に縮小する旨の縮小処理が後処理として施され、画像制御部213が、係る後処理が施された表示用画像データPICTに従って表示制御を実行する。その結果、参加者側表示装置220における表示画面221には、図面131に関する画像が等倍表示(即ち、表示画面221上に表示される共有画像のサイズと撮像領域132の実サイズ(即ち、共有対象の実サイズ)とが一致した状態となる表示)される。
【0108】
ここで、主催者側PC110においてステップS108に係る処理が、また参加者側PC210においてステップS205に係る処理が夫々実行されたことによる、画像の共有効果について、図8及び図9を参照して説明する。ここに、図8は、主催者側表示装置120における画像の表示状態を表す模式図であり、図9は、参加者側表示装置220における画像の表示状態を表す模式図である。尚、各々図6及び図7と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。尚、本実施例における共有画像は、既に説明したとおり、撮像範囲132について図面131を撮像してなる画像であるが、画像共有の効果をより分かり易く説明するため、これ以降、共有画像としてフルーツの静止画を使用することとする。但し、当該フルーツの静止画における、サイズ等の要素値は、撮像領域132と等しく、x方向及びy方向各々について、Lx及びLyであるとする。
【0109】
図8において、フルーツの静止画が共有画像133として主催者側表示装置120の実表示領域122に表示される。表示される共有画像133は、フルーツを中心に、フルーツを入れた籠、及び背景のテーブルクロス等を含む範囲について表示されている。一方、図9では、同じく共有画像133が、参加者側表示装置220の実表示領域222に表示されるが、実表示領域222のサイズ(即ち、LBx×LBy)が、実表示領域122のサイズ(LAx×LAy)と比較して小さいため、表示される共有画像133におけるフルーツの占有割合が相対的に大きくなっている。即ち、共有画像133における、相対的に外側の範囲は、非可視領域133Aとして、拠点Bにおける参加者12Bの視認には供されない。然るに、このように共有画像133として表示される範囲は相互に異なっていても、共有画像133のサイズは、主催者側表示装置120及び参加者側表示装置220相互間で等倍サイズに共通化されており、各々において表示されるフルーツのサイズは、撮像処理がなされる以前の撮像対象としてのフルーツのサイズ(この場合、等倍サイズと原寸大サイズとは相互に等しい)と全く等しいものとなっている。また、参加者側表示装置220において共有画像の全域が表示されないとは言え(尚、本実施例では一致しているが、主催者側表示装置120でも必ずしも全域が表示されているとは限らない)、表示用画像データPICTは既に各拠点において保持されており、画像制御部213(或いは画像制御部113)の内部RAM等には、この非可視領域133Aに相当する画像部分も保持されている。従って、参加者12Bが入力部215等を介して画面のスクロール操作を行えば、無論共有画像133の全てを視認することが可能である。
【0110】
このように、本実施例に係るデータ会議処理によれば、拠点A及び拠点Bの各々において、共有対象の等倍サイズを各表示装置の表示画面上で正確に把握することができる。このような効果は、共有対象が拠点Aに存在しようと(図面131はこれに該当する)、拠点Bに存在しようと、他の拠点に存在しようと何ら変わらず享受され、データ会議の参加者全体(即ち、主催者12A及び参加者12Bを含む)で、共通の認識の下にデータ会議を進行させることができるといった実践上極めて高い利益を提供し得るものである。例えば、拠点毎に共有画像の表示上のサイズが異なると、拠点毎で共通の認識を持つことが難しくなり、例えば、一の拠点におけるアイデアや意見が、他の拠点において正しく受け取られない可能性が高くなる。また、拠点各々において視認している共有画像のサイズが異なる場合、共通の認識を得るための時間は(得ることは可能であるとして)明らかに長大化して、データ会議の時間効率は低下する。また、特に上述した図面131等、機械部品に関する機械図面では、表示される共有画像のサイズが、例えば部品の形状やサイズの改善や改良を行おうとする場合等に顕著に影響し得る。従って、拠点相互間で表示サイズが異なる場合、例えば新規のアイデアの創出等も難しくなる。本実施例に係るデータ会議処理は、共有画像の表示画面上のサイズを共通化することによって、これら各種不具合の発生を抑制し、効率的且つ効果的なデータ会議を行い得る点において、実践上極めて有利である。
【0111】
図4を引き続き参照して、本実施例に係るデータ会議処理についての説明を続ける。参加者側PC210において、ステップS205に係る表示制御が実行されると、画像共有完了通知がネットワーク11を介して主催者側PC110に送信される(ステップS206)。画像共有完了通知は、その旨を表すデータとして、制御部211の制御により通信部212より送信される。
【0112】
画像共有完了通知が主催者側PC110において受信されると、主催者側PC110及び参加者側PC210において、夫々共有画像が共有された旨を認識している状態となり、各拠点において、表示範囲交換処理(ステップS109及びステップS207)及び指示位置交換処理(ステップS110及びステップS208)が実行される。
【0113】
ここで、表示範囲交換処理について、図10を参照して説明する。ここに、図10は、表示範囲交換処理が実行された場合の主催者側表示装置120の状態を表す模式図である。尚、同図において、図8と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
【0114】
図10において、主催者側表示装置120の実表示領域122には、参加者側表示装置220の実表示領域222を表す他拠点表示領域情報300(図示破線枠参照)が表示されている。この他拠点表示領域情報300は、拠点Bにおいて、現時点で共有画像133のどの部分が表示に供されているかを表す情報である。他拠点表示領域情報300の表示は、表示範囲交換処理により実現される。
【0115】
表示範囲交換処理では、主催者側PC110と参加者側PC210との間で、共有画像133において表示に供されている部分に関する座標情報が相互に送受される。ここで、この座標情報は、共有画像133上の位置を、仮想的な二次元座標系の座標として表した場合の、表示に供されている領域の枠部分に相当する座標のデータであり、このような座標データの生成機能は、データ会議アプリに予め搭載され、情報管理部114及び情報管理部214の動作として実現される。ここで、便宜的に、主催者側表示装置120において共有画像133の全域が表示されているものとする(本実施例ではこれに該当する)と、表示範囲交換処理では、実質的に、参加者側PC210から主催者側PC110へ一方的に、共有画像133において参加者側表示装置220の実表示領域222に表示されている領域(即ち、本発明に係る「自拠点表示領域」の一例)に相当する座標データが本発明に係る「自拠点表示領域情報」の一例として供給されることになる。
【0116】
主催者側PC110では、情報管理部114が係る座標データを解析して、画像制御部113に他拠点表示領域情報300の生成を要求し、画像制御部113が他拠点表示領域情報300の表示用データを生成して、主催者側表示装置120に対する表示制御を行う。その結果、図示するように、実表示領域122に他拠点表示領域情報300が表示されるのである。
【0117】
他拠点表示領域情報300が、このように表示範囲交換処理の実行過程で表示されることに鑑みれば、拠点Bにおいて参加者12Bが入力部215等を介して共有画像133のスクロール表示を行った場合、それに伴って、他拠点表示領域情報300も、実表示領域122上で然るべき方向(例えば、図示白抜き矢線方向)に移動する。
【0118】
このように、本実施例では、表示範囲交換処理によって、相対的に大きな実表示領域122を有する主催者側表示装置120が設置された拠点Aにおいて、主催者12Aは、相対的に小さな実表示領域222を有する参加者側表示装置220が設置された拠点Bにおける共有画像133の視認状態を確認しつつ、データ会議を進行させることができる。従って、例えば拠点Bにおいて本旨と外れた領域が表示に供されている場合等に、「論点はそこではありません」等の的確な指示や指摘を行うことが可能となり、例えば、拠点Bの参加者12Bが、会議の論点に相当する部分を見失ってしまったとしても、拠点A側で「もっと右上です」等の誘導を行うことが可能となる。或いは、拠点Bが主導権を握り、「ここを見てください」等の指示や指摘を行った場合に、該当する領域を拠点A側で瞬時に把握することが可能となる。従って、データ会議の双方向性が向上し、データ会議がより有意義なものとなる。
【0119】
次に、指示位置交換処理について、図11を参照して説明する。ここに、図11は、指示位置交換処理が実行される場合の主催者側表示装置120の一状態を表す模式図である。尚、同図において、図10と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
【0120】
図11において、拠点Aの主催者12Aが、入力部115(図ではタッチペン)を使用して、実表示領域122上で手書きの文字入力を行ったとする。この場合、主催者側表示装置120に備わる前述したハンドライティングデバイス部が作動し、手書き入力がなされた位置が座標位置に変換されると共に、電気データとして主催者側PC110の制御部111に送信される。制御部111では、ハンドライティングデバイス部を制御して、手書き入力が行われた位置に、所定の太さ及び表示色で、入力情報400を表示させる。
【0121】
一方で、図示する他拠点表示領域情報300の表示位置に鑑みれば、この手書き入力は、拠点Bにおいて視認に供されていない領域になされたことは明白である。従って、主催者12Aのこのような手書き入力が、データ会議の進行上重要であったところで、拠点Bの参加者12Bは、この入力情報400を視認することができない。
【0122】
そこで、指示位置交換処理がなされると、上述した表示範囲交換処理と同等の処理過程により、手書き入力がなされた位置に相当する座標に関するデータが、座標データとして情報管理部114により生成され、ハンドライティングデバイス部の制御情報と共に、通信部112を介して参加者側PC210に送信される。
【0123】
ここで、図12を参照し、このような指示位置交換処理におけるデータの送信を受けた参加者側表示装置220の状態について説明する。ここに、図12は、指示位置交換処理が実行される場合の参加者側表示装置220の一状態を表す模式図である。尚、同図において、図11と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
【0124】
図12において、図12(a)には、共有画像133の表示直後の実表示領域222の状態が示される。既に説明したように、この状態では、共有画像133の中心部が表示されている。この状態において、図11に示すような入力部115を介した手書き入力がなされ、ネットワーク11を介して送信された上記データが通信部212を介して受信されると、情報管理部214が、受信されたデータを解析して、手書き入力がなされた位置に関する座標を、ハンドライティングデバイス部の制御情報と共に画像制御部213に供給する。
【0125】
画像制御部213では、係る情報の供給を受けて、実表示領域222に表示すべき共有画像133の領域を、この手書き入力がなされた位置を含む領域に変更し、所定位置に、所定の太さ及び表示色で入力情報400を表示させる。図12(b)には、この様子が示されており、実表示領域222には、共有画像133の左下部分を含むように共有画像133が表示されている。尚、この例では、手書き入力の位置が左下であり、共有画像133の端部に近い位置となっているため、その限りではないが、画像制御部213は、入力情報400が実表示領域222の中心に位置するように表示用画像データPICTに基づいた表示用の画像データを生成し、参加者側表示装置220の動作を制御してもよい。
【0126】
尚、本実施例では、主催者側表示装置120に共有画像の全域が表示されているため、このような指示位置交換処理は、実質的に拠点Aから拠点Bへの一方向処理となっているが、上述した表示範囲交換処理及びこの指示位置交換処理は、基本的に、実表示領域の大きさや解像度の違い等に応じて、データ会議に参加する複数の拠点相互間で自由に行われてよい。
【0127】
このように、指示位置交換処理によれば、他の拠点で手書き入力を経て表示される入力情報400を、他の拠点において瞬時に表示させることができる。このため、データ会議の迅速な進行が促進され、よりデータ会議を効率的に実行することが可能となる。
【0128】
図4に戻り、主催者側PC110では、指示位置交換処理が終了すると、共有画像の変更要求が生じていないか否かを判別する(ステップS111)。データ会議の内容や、その進行の状態によっては、各拠点相互間で共有すべき画像が適宜変化し得る。或いは同じ被写体を再度撮像する要求が生じる場合もある。このような場合、例えば拠点Aにおいて主催者12Aが入力部115等を介して行う、共有画像変更に係る入力処理等に伴い、制御部111に共有画像を変更すべき旨の要求信号が供給される。或いは、例えば拠点Bにおいて参加者12Bが入力部215を介して行う、共有画像変更に係る入力処理等に伴い、制御部211に共有画像を変更すべき旨の要求信号が供給され、当該要求信号の供給を受けて、通信部212からネットワーク11を介して主催者側PC110の制御部111に対し共有画像の変更を要求する旨の要求信号が供給される。
【0129】
いずれにせよ、また他の態様を採るにせよ、共有画像を変更すべき旨の要求が生じた場合(ステップS111:NO)、主催者側PC110において、処理はステップS102まで戻され、一連の処理が繰り返され、拠点A及び拠点B相互間で再度画像の共有が図られる。一方、共有画像を変更すべき旨の要求が生じていない場合(ステップS111:YES)、実表示領域122に変化が生じていないか否かが判別される(ステップS112)。
【0130】
ここで、実表示領域122のサイズは、上述したように、OS上のディスプレイのプロパティ設定等により適宜変化し得る性質のものであり、主催者12Aが何らかの理由により変更する可能性がある。そこで、実表示領域122のサイズは、制御部111がOSの設定情報として保持しているから、変化が生じた場合には、迅速且つ正確にその旨の判別を行うことが可能である。実表示領域122に変化が生じた場合(ステップS112:NO)、制御部111は、処理をステップS106に戻し、一連の処理を繰り返す。
【0131】
ここで、参加者側PC210に目を向けると、参加者側PC210においては、指示位置交換処理の実行後、実表示領域222に変化が生じていないか否かが判別される(ステップS209)。ステップS209に係る処理は、主催者側PC110におけるステップS112に係る判別処理と同等の処理であり、制御部211により迅速且つ正確に行われる。実表示領域222に変化が生じている場合(ステップS209:NO)には、処理がステップS203に戻され、一連の処理が繰り返される。
【0132】
このように、本実施例に係るデータ会議処理では、画像の共有に影響する各種の変更(ここでは、共有すべき画像の変更及び実表示領域の変更)が生じた場合であっても、共有画像を等倍表示するために必要となる処理に的確に処理が戻され、データ会議の円滑な進行を妨げることなく、画像共有に係る効果を維持することが可能となっている。
【0133】
一方、主催者側PC110において実表示領域122に変化が生じていない(或いは、実表示領域の変化に対する然るべき処理を経た)場合(ステップS112:YES)及び参加者側PC210において実表示領域222に変化が生じていない(或いは、実表示領域の変化に対する然るべき処理を経た)場合(ステップS209:YES)、夫々データ会議の終了タイミングであるか否かが判別される(ステップS113及びステップS210)。
【0134】
この際、主催者側PC110では、データ会議の終了を促す終了入力が、制御権を有する参加者(即ち、この場合、主催者12A)によりなされたか否かが判別される。また、同時に、データ会議の円滑な進行を妨げる不測の事態(例えば、ネットワーク障害等)が生じているか否かが判別される。また、制御権を有さない拠点Bにおいては、データ会議の円滑な進行を妨げる不測の事態(例えば、ネットワーク障害等)が生じているか否かが判別される。
【0135】
例えばこのような形態をとり得る各種の判別処理を経て、データ会議を終了すべき旨の判断を下し得る場合(ステップS113:YES、又はステップS210:YES)、主催者側PC110及び参加者側PC210において、夫々会議終了処理が実行される(ステップS114及びステップS211)。一方、データ会議を終了すべき状況でない場合には(ステップS113:NO、又はステップS210:NO)、処理はステップS109及びステップS207に戻され、一連の処理が繰り返し実行される。
【0136】
会議終了処理では、制御権を有する拠点Aにおける主催者側PC110の制御部111により、例えば、共有されているデータファイルのクローズ処理及びネットワークの切断処理等を経て、データ会議が終了せしめられる。或いは制御権を有さない拠点Bの参加者側PC210からデータ会議の終了を要求する旨の信号が送信され、当該信号の受信を受けて制御部111がデータ会議を終了してもよい。
【0137】
尚、本実施例において、最終的にデータ会議を終了させることができるのは、制御権を有する拠点Aの主催者側PC110であるが、ステップS113及びステップS210の少なくとも一方の処理において、データ会議を終了すべき旨の判別がなされた場合には、いずれの拠点で当該判別がなされようと、双方において処理は上述した会議終了処理に移行してもよい。また、データ会議終了に係る詳細なプロセスは各種の態様を採り得、例えば、一方の拠点においてデータ会議を終了すべき旨の判別がなされた場合には、当該一方の拠点において会議終了処理がなされ、その会議終了処理の実行過程で、他方の拠点に対し会議終了処理の実行を促す旨の情報が送信されてもよい。この際、他方の拠点では、当該情報の送信を受けて、無条件にステップS113又はステップS210に係る判別処理を「YES」側に分岐させ、会議終了処理を実行してもよい。或いは、制御権を有さぬ拠点(本実施例では拠点B)からのデータ会議終了要請に対しては、制御権を有する拠点においてその都度データ会議を終了すべきか否かの判別を行って、データ会議を終了すべきでない旨の判別がなされた場合には、データ会議が継続するように(即ち、終了要請が場合により却下されるように)各拠点のPCを制御してもよい。
【0138】
尚、本実施例では、共有画像133は、各拠点において等倍サイズで表示されるが、表示サイズは、必ずしも等倍サイズでなくてもよく、原寸大サイズであってもよい。原寸大サイズとは、共有対象の実サイズが予め現物のサイズと1:1であれば、等倍サイズと等価なサイズであり、例えば、共有画像133として例示したフルーツでは、等倍サイズと等しいサイズである。一方、共有対象が、図面131のように、現物に対し縮小(既に述べたように、1/100のスケール)されている場合には、等倍サイズと異なるサイズとなる。
【0139】
表示サイズ(即ち、本発明に係る「基準サイズ」に相当する)を原寸大サイズとする場合、下記(5)乃至(8)式に従って、原寸大縮尺率ZMRLを算出すればよい。尚、下記(5)乃至(8)式は、夫々上記(1)乃至(4)式に対応する式である。即ち、下記(5)及び(6)式は、拠点Aの主催者側表示装置120の制御に供すべき原寸大縮尺率であり、下記(7)及び(8)式は、拠点Bの参加者側表示装置220の制御に供すべき原寸大縮尺率である。尚、下記式における「z」とは、原寸大サイズに対する等倍サイズの縮尺率であり、上述したように1/100スケールであれば、即ち「0.01」である。
【0140】
ZMRLAx(%)=(Lx/DTDCx)/(LAx/DTDPAx)×100/z・・・(5)
ZMRLAy(%)=(Ly/DTDCy)/(LAy/DTDPAy)×100/z・・・(6)
ZMRLBx(%)=(Lx/DTDCx)/(LBx/DTDPBx)×100/z・・・(7)
ZMRLBy(%)=(Ly/DTDCy)/(LBy/DTDPBy)×100/z・・・(8)
結局、本実施例では、各拠点において、等倍縮尺率の100倍に相当する縮尺率で共有画像を表示することにより、容易に原寸大サイズの共有画像を得ることが可能となる。等倍サイズ及び原寸大サイズのいずれを選択するかは、個々のデータ会議において参加者同士の協議により決定され得る事項であり、また、参加者同士のコンセンサスが得られている限りにおいて、共有画像の表示サイズは、この等倍サイズ及び原寸大サイズに厳密には限定されずともよい。但し、共有対象の大きさを視覚的に明確に認識できる点において、共有画像が等倍サイズ又は原寸大サイズで表示されることによりデータ会議は最大限に効率良く実行され得る。
【0141】
尚、本実施例では、説明を分かり易くするために、拠点の数を二つとしたが、本実施例に係るデータ会議処理は、少なくともその共有画像を等倍サイズ(或いは原寸大サイズ)で表示する旨の作用に関し、拠点の数量に依存しない。また、本実施例では、データ会議の参加者を、主催者12Aと参加者12Bとに分類したが、データ会議に参加する参加者相互間に、名称上の又は権利上の優劣を付与する必要はなく、全員が参加者であってよい。
【0142】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うデータ会議用端末装置及びコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の一実施例に係るデータ会議システムの構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【図2】図1のデータ会議システムにおける主催者側PCの構成を概念的に表してなるブロック図である。
【図3】図1のデータ会議システムにおける参加者側PCの構成を概念的に表してなるブロック図である。
【図4】図1のデータ会議システムにおけるデータ会議の進行過程を例示するタイミングチャートである。
【図5】図4のデータ会議において画像が共有される図面の模式図である。
【図6】主催者側表示装置の正面模式図である。
【図7】参加者側表示装置の正面模式図である。
【図8】主催者側表示装置における画像の表示状態を表す模式図であり、
【図9】参加者側表示装置における画像の表示状態を表す模式図である。
【図10】表示範囲交換処理が実行された場合の主催者側表示装置の状態を表す模式図である。
【図11】指示位置交換処理が実行される場合の主催者側表示装置の一状態を表す模式図である。
【図12】指示位置交換処理が実行される場合の参加者側表示装置の一状態を表す模式図である。
【符号の説明】
【0144】
10…データ会議システム、11…ネットワーク、12A…主催者、12B…参加者、100…主催者側システム、110…主催者側PC、111…制御部、112…通信部、113…画像制御部、114…情報管理部、115…入力部、120…主催者側表示装置、121…表示画面、122…実表示領域、130…撮像システム、131…図面、132…撮像範囲、133…共有画像、200…参加者側システム、210…参加者側PC、211…制御部、212…通信部、213…画像制御部、214…情報管理部、215…入力部、220…参加者側表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに収容され、データ会議の複数の参加拠点の各々において該各々相互間で共有すべき共有対象の画像たる共有画像を表示可能な表示手段と共に設置されるデータ会議用端末装置であって、
前記共有画像に関する画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記共有対象の実サイズに対応付けられた、前記共有画像における単位画素のサイズを規定する第1のサイズ情報を取得する第1のサイズ情報取得手段と、
前記表示手段における単位画素のサイズを規定する第2のサイズ情報を取得する第2のサイズ情報取得手段と、
前記取得された画像データ並びに前記取得された第1及び第2のサイズ情報に基づいて、前記共有画像を基準となるサイズで表示するための第1の表示用データを生成する第1の表示用データ生成手段と、
該生成された第1の表示用データに従って前記共有画像が前記基準となるサイズで表示されるように前記表示手段を制御する表示制御手段と
を具備することを特徴とするデータ会議用端末装置。
【請求項2】
前記基準となるサイズは、前記共有対象の原寸大に相当するサイズ及び前記共有対象の等倍に相当するサイズのうち少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ会議用端末装置。
【請求項3】
前記共有対象は、物体を所定の画素数で撮像可能な撮像手段により、所定の撮像範囲に相当する部分が前記共有画像として撮像されると共に、該撮像された部分が、前記画像データとしてデータ化されており、
前記画像データ取得手段は、前記データ化された画像データを取得し、
前記第1のサイズ情報取得手段は、前記第1のサイズ情報として、少なくとも前記画素数及び前記撮像範囲のサイズに対応する情報を取得する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ会議用端末装置。
【請求項4】
前記撮像手段を更に具備する
ことを特徴とする請求項3に記載のデータ会議用端末装置。
【請求項5】
前記取得された第1のサイズ情報を、前記ネットワークを介して他の前記拠点に設置された前記データ会議用端末装置に供給する第1の供給手段を更に具備する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ会議用端末装置。
【請求項6】
前記第2のサイズ情報取得手段は、前記第2のサイズ情報として、少なくとも前記表示手段における制御上の表示領域のサイズ及び前記表示手段における制御上の解像度に対応する情報を取得する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ会議用端末装置。
【請求項7】
前記共有画像のうち前記表示手段に表示されている領域たる自拠点表示領域に対応する自拠点表示領域情報を生成する自拠点表示領域情報生成手段と、
前記生成された自拠点表示領域情報を、前記ネットワークを介して他の前記拠点に設置された前記データ会議用端末装置に供給する第2の供給手段と、
前記他の拠点に設置されたデータ会議用端末装置から前記ネットワークを介して前記自拠点表示領域情報が供給された場合に、前記他の拠点に設置されたデータ会議用端末装置から供給された自拠点表示領域情報に基づいて、前記共有画像のうち前記他の拠点に設置された前記表示手段に表示されている領域たる他拠点表示領域に対応する情報を表示するための第2の表示用データを生成する第2の表示用データ生成手段と
を更に具備し、
前記表示制御手段は、前記生成された第2の表示用データに従って、前記他拠点表示領域に対応する情報が表示されるように前記表示手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のデータ会議用端末装置。
【請求項8】
所定の入力手段を介して入力される入力情報を前記表示手段の表示画面上に視覚情報として表示するための第3の表示用データを生成する第3の表示用データ生成手段と、
前記生成された第3の表示用データを、前記ネットワークを介して他の前記拠点に設置された前記データ会議用端末装置に供給する第3の供給手段と
を更に具備し、
前記表示制御手段は、前記生成された、又は前記他の拠点に設置されたデータ会議用端末装置から前記ネットワークを介して供給された第3の表示用データに従って、前記視覚情報が表示されるように前記表示手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のデータ会議用端末装置。
【請求項9】
前記第1の表示用データ生成手段は、前記視覚情報を表示すべき位置が前記表示された共有画像上に存在しない場合に、該視覚情報を表示すべき位置に相当する部分を含む前記共有画像が表示されるように、前記第1の表示用データを生成する
ことを特徴とする請求項8に記載のデータ会議用端末装置。
【請求項10】
コンピュータシステムを、請求項1から9のいずれか一項に記載のデータ会議用端末装置として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−105818(P2009−105818A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277712(P2007−277712)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(505440789)パイオニアソリューションズ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】