説明

データ入力システム

【課題】電子ペーパに手書き入力された画像を位置情報(電子データ)に変換する簡易なデータ入力システムを提供する。
【解決手段】データ入力システムを、表示面での位置情報を表す光学的に読み取り可能な多数の符号パターンが形成された電子ペーパ10と、ペン先に設けられ且つ接触により電子ペーパ10に電界又は磁界を印加して画像を書き込む書き込みヘッドと、ペン先が接触する表示面に形成された符号パターンを光学的に読み取る光学センサ18と、を備えたペン型書き込み装置12と、を含んで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、紙に代わる表示媒体として、電子ペーパの普及が進められている。電子ペーパは、紙と同様の視認性、柔軟性、携帯性を有すると共に、表示内容を電気的に書き換えることができる。また、電子ペーパは、バックライトが不要で消費電力が少なく、電源の切断後も表示内容を保持することができる。例えば、ツイストボールと呼ばれる2色塗分け粒子の回転により画像を表示する方式、帯電粒子又は磁性粒子の移動により画像を表示する方式等、種々の表示方式の電子ペーパが開発されている。
【0003】
また、ペン型の書き込み装置を用いて、電子ペーパに手書き入力を行うこともできる。手書き入力された画像を電子データに変換(デジタイジング)するためには、デジタイザと称される座標入力装置が使用される。デジタイザは、一般に、画面上の位置を指示するためのペン型やマウス型の入力装置(例えば、スタイラスペン)と、位置を検出するための板状の検出装置(例えば、タブレット)とで構成されている。タブレット等を備えていない電子ペーパの場合には、電子ペーパを複雑な検出装置に1枚ずつセットして手書き入力を行うことで、デジタイジングを行っている。
【0004】
例えば、電気と磁気など異なる駆動力により駆動される粒子を描画に用いることにより、電子的な情報書込と手書き入力に利用する駆動力を異なるものとし、手書き入力の際に電子的な情報書込により描画された画像を保持可能とする表示媒体が提案されている。この表示媒体では、手書きは磁気により行い、デジタイジングは電磁誘導方式で行う(特許文献1)。
【0005】
また、手書き入力時のデジタイジングに音波を用いる方式も提案されている。このデジタイジング方式では、スタイラスペンから音波が発せられ、表示媒体上に配置された複数のセンサにより、スタイラスペンの位置を検出することができる(特許文献2)。
【0006】
なお、電子ペーパとは異なるが、書き換え可能な表示媒体としては、ロイコ染料を用いた感熱記録紙がある。ロイコ染料を用いた感熱記録紙は、ロイコ染料と顕色剤との可逆的な発色反応を利用して、サーマルヘッドにより書き込み又は消去を行う。このような感熱記録紙に関しては、記録紙上に座標を特定するための模様を予め印刷しておき、記録紙上に印刷された模様を光学的に読み取ることによって、手書き入力された位置を検出するデジタイジング方式が提案されている(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−134627号公報
【特許文献2】特開平8−36456号公報
【特許文献3】特開2002−82764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、電子ペーパに手書き入力された画像を位置情報(電子データ)に変換する簡易なデータ入力システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、表示面での位置情報を表す光学的に読み取り可能な多数の符号パターンが形成された透明な表示基板と、前記表示基板に対向する背面基板と、表示基板と背面基板との間に封入され且つ電界又は磁界の印加により動かすことが可能な着色粒子と、を備え、前記着色粒子の動きにより画像を表示する電子ペーパと、ペン先に設けられ且つ接触により前記電子ペーパに電界又は磁界を印加して画像を書き込む書き込みヘッドと、ペン先が接触する表示面に形成された符号パターンを光学的に読み取る光学読取装置と、を備えたペン型書き込み装置と、を含んで構成したことを特徴とするデータ入力システムである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ入力システムにおいて、前記ペン型書き込み装置が、読み取ったパターンデータを位置情報に復号する復号手段と、復号された位置情報を記憶する記憶手段と、を更に備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ入力システムにおいて、前記ペン型書き込み装置が、復号された位置情報を外部機器に送信する送信手段を更に備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は3に記載のデータ入力システムにおいて、ペン型書き込み装置から送信された位置情報を受信する受信手段と、前記電子ペーパに表示した表示画像の画像データ及び前記位置情報をページ識別情報に関連付けて管理するデータベースと、を備えた情報処理装置を、更に備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のデータ入力システムにおいて、前記情報処理装置が、前記位置情報から前記ペン型書き込み装置により書き込まれた手入力画像の画像データを取得し、前記ページ識別情報により関連付けられた前記表示画像の画像データと前記手入力画像の画像データとを合成する画像処理手段を、更に備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、表示面での位置情報を表す光学的に読み取り可能な多数の符号パターンが形成された透明な表示基板と、前記表示基板に対向する背面基板と、表示基板と背面基板との間に封入され且つ電界又は磁界の印加により動かすことが可能な着色粒子と、を備え、前記着色粒子の動きにより画像を表示する電子ペーパと、ペン先に設けられ且つ接触により前記電子ペーパに電界又は磁界を印加して画像を書き込む書き込みヘッドと、ペン先が接触する表示面に形成された符号パターンを光学的に読み取る光学読取装置と、読み取ったパターンデータを外部機器に送信する送信手段と、を備えたペン型書き込み装置と、ペン型書き込み装置から送信されたパターンデータを受信する受信手段と、受信したパターンデータを位置情報に復号する復号手段と、復号された位置情報を記憶する記憶手段と、前記電子ペーパに表示した表示画像の画像データ及び前記位置情報をページ識別情報に関連付けて管理するデータベースと、を備えた管理装置と、を含んで構成したことを特徴とするデータ入力システムである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6までのいずれか1項に記載のデータ入力システムにおいて、前記光学的に読み取り可能な符号パターンが、情報単位となるブロック内に一定数の複数ドットを選択的に配置した符号パターンであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
上記の請求項1に記載の発明によれば、電子ペーパを複雑な検出装置に1枚ずつセットして手書き入力を行うことでデジタイジングを行う従来のシステムに比べ、簡易な構成で、電子ペーパに手書き入力された画像を位置情報(電子データ)に変換することができる、という効果がある。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、ペン型書き込み装置が携帯可能となる、という効果がある。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、ペン型書き込み装置で取得した位置情報を、外部機器で利用することができる、という効果がある。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、表示画像に手書き入力された画像の位置情報を、表示画像の画像データの関連情報として管理することができる、という効果がある。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、手書き入力により上書きされた表示画像を、電子ペーパに再度表示することができる、という効果がある。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、簡易な構成で、電子ペーパに手書き入力された画像を位置情報(電子データ)に変換することができると共に、表示画像に手書き入力された画像の位置情報を、表示画像の画像データの関連情報として管理することができる、という効果がある。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、目立たない符号パターンで位置情報を表すことができる、という効果がある。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、表示画像の画質を損なわない、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0025】
<データ入力システム>
図1は本発明の実施の形態に係るデータ入力システムの構成を示す概略図である。このデータ入力システムは、画像を表示する矩形シート状の電子ペーパ10と、電子ペーパ10に表示画像を手書き入力するペン型書込装置12と、を備えている。ペン型書込装置12により、電子ペーパ10に表示された画像上に、手書き入力を行うこともできる。また、電子ペーパ10に表示された画像を消去して、何度でも新たな画像を書き込むことができる。なお、電子ペーパ10の詳細な構成については後述する。
【0026】
電子ペーパ10の画像を表示する表示面には、位置情報を表す符号パターンが多数形成されている。例えば、表示面をXY座標等の二次元座標系で表した場合には、符号パターンはX座標とY座標とを表す。一方、ペン型書込装置12には、手書き入力を行う間に、所定時間毎にペン先近傍の表示面の画像を撮像して、撮像範囲にある符号パターンを光学的に読み取る光学センサ18が設けられている。ペン型書込装置12では、光学センサ18により読み取った符号パターンを復号して、ペン先の位置情報(軌跡)を次々に取得する。これにより、手書き入力データを取得することができる。
【0027】
ペン型書込装置12は、コンピュータ14に接続されている。コンピュータ14は、文書データや手書き入力データの管理、文書画像と手書き入力画像の合成等の画像処理、印刷指示などを行う。ペン型書込装置12により取得された手書き入力データは、コンピュータ14に入力されて、図示しない記憶装置に記憶される。電子ペーパ10に表示された文書画像上に手書き入力が行われた場合には、手書き入力データは文書データに関連付けて記憶される。コンピュータ14には、コンピュータ14からの印刷指示に応じて電子ペーパ10に表示画像を書き込むプリンタ型書込装置16が接続されている。また、プリンタ型書込装置16では、電子ペーパ10の表示画像を一括消去することもできる。
【0028】
図2(A)〜(D)は電子ペーパ10に表示された画像を示す概略図である。以下では、電子ペーパ10に表示された文書画像上に、ペン型書込装置12で手書き入力を行う場合について説明する。
【0029】
まず、プリンタ型書込装置16により、電子ペーパ10に文書画像を書き込む。電子ペーパ10には、図2(A)に示す文書画像が表示される。次に、ペン型書込装置12により、表示画像上に手書き入力を行う。手書き入力された画像は、図2(B)に示すように「A」という文字を表す画像である。このとき、電子ペーパ10には、図2(C)に示す上書き画像が表示される。上書き画像は、図2(A)に示す文書画像に、図2(B)に示す手書き入力画像が合成された画像である。
【0030】
次に、プリンタ型書込装置16で、電子ペーパ10の表示画像を一括消去する。図2(D)に示すように、電子ペーパ10は白紙(無表示状態)に戻る。記憶装置と一体化されていない電子ペーパ10では、通常、無電源で、図2(C)に示す上書き画像を再度表示することはできない。しかしながら、本実施の形態では、手書き入力データは文書データと関連付けて記憶されているので、コンピュータ14で、文書画像と手書き入力画像とを合成する画像処理を行って、プリンタ型書込装置16により、電子ペーパ10に合成された画像を書き込むことができる。このとき、電子ペーパ10には、図2(C)に示す上書き画像が再び表示される。
【0031】
<符号パターン>
図3は電子ペーパ10の表示面の部分拡大図である。電子ペーパ10の表示面には、位置情報を表す符号パターンが多数形成されている。これらの符号パターンは、可視のインクやトナーで形成されていても良いが、表示画像の画質を損なわないように、赤外や紫外に吸収を持つ不可視のインクやトナーで形成することが好ましい。
【0032】
図4は符号パターンの一例を示す図である。この例では、符号パターンは、サイズが12×12ピクセルのブロック内に9つのドット(印字領域)を設けている。この9つのドットの中からいずれか2つを選択して情報を表示する。なお、9つの中から2つを選ぶ組み合わせは36通りなので、2を底とするログを取ると、約5.17ビットとなる。
【0033】
印字領域と印字領域の間には2ピクセルの間隔が置かれている。600DPIのプリンタで印刷する場合、各ドットは、2ピクセル×2ピクセルで構成されるのが適当である。以下、このドットサイズで説明するが、もちろん、このほかのドットサイズで表現しても良い。この符号パターンは、12×12ピクセル=144ピクセル中に、2×2=4ピクセルを2個埋め込むので、1ブロックの濃度は5.56%となる。また、情報量は、5.17/144で、0.036ビット/ピクセルとなる。
【0034】
図5は図4に示す符号パターンとパターン値とを示す図である。図5には、9つのドット印字領域から2つを選択する組み合わせの符号パターンを示す。ブロックの下の示す数字は、そのパターンが示すパターン値を示している。なお、図5では、図4に示す余白の部分を省略して示している。また、9つの中から2つを選ぶ組み合わせの数は数学記号では「」と標記されることから、以下ではこの符号パターンを9C2パターンと呼ぶ。
【0035】
図3の例では、電子ペーパ10の表示面には、この9C2パターンが多数形成されている。この符号パターンでは、複数ドットで1つの情報を表現することで、目立たず且つ情報量を増やすことができる。また、図4に示すように、ドットとドットの間に間隔を設けているので、読み取りエラーを低減することができ、符号パターンを正確に読み取ることができる。
【0036】
<電子ペーパ>
図6は電子ペーパ10の概略構成を示す部分断面図である。また、図7(A)は電子ペーパへの画像の書込時の状態を示す図であり、図7(B)は画像の消去時の状態を示す図である。
【0037】
電子ペーパ10は、透明な表示基板20と背面基板22とを備えている。表示基板20は、背面基板22に対し所定間隔を隔てて対向するように配置されている。表示基板20と背面基板22との間には、半球ごとに白と黒に塗り分けられた2色回転粒子24と透明液体26とが封入されている。また、既に述べた通り、表示基板20の表面には、位置情報を表す符号パターン28が多数形成されている。
【0038】
2色回転粒子24は、例えば、白側はN極、黒側がS極というように、2色間で磁化状態が異なる10〜100μmの粒子である。磁軸は色境界面に対して略垂直である。電子ペーパ10に磁界を印加すると、磁性を帯びた2色回転粒子24が回転し、半球面のどちらか一方が表示基板20側に向く。回転した2色回転粒子24は、磁界を解除しても回転状態が保持される。印加する磁界の極性を変えることにより、他方の半球面が表示基板20側に向き、異なる色を表示することができる。
【0039】
図6に示すように、白側はN極、黒側がS極とされた2色回転粒子24を用いた場合には、全部の2色回転粒子24のN極に帯磁した白側を表示基板20側に向けて、電子ペーパ10を白紙(無表示状態)にする。ペン型書込装置12で手書き入力を行う場合には、表示基板20側から電子ペーパ10に磁石を近づける。
【0040】
図7(A)に示すように、表示基板20側から磁石30のN極を電子ペーパ10に近付けると、2色回転粒子24のS極に帯磁した黒側が表示基板20側に向き、白色背景に黒色画像が表示される。図7(B)に示すように、電子ペーパ10の黒色画像が表示された部分に、表示基板20側から磁石30のS極を近付けると、2色回転粒子24のN極に帯磁した白側が表示基板20側に向き、黒色画像が消去される。
【0041】
<プリンタ型書込装置>
図8はプリンタ型書込装置16の外観を示す斜視図である。図9は図8に示す書込装置の構成を示す概略図である。図10は図9に示す書込装置の磁気記録ヘッドの構成を示す概略図である。
【0042】
図8に示すように、プリンタ型書込装置16は、ケーシング32を備えている。ケーシング32には、1つの側面に挿入口34が形成され、これに対向する側面に排出口36が形成されている。これら挿入口34及び排出口36は、シート状の電子ペーパ10が通過できるようにスリット状に形成されている。ケーシング32には、挿入口34側に挿入台38が設けられ、排出口36側に排出トレイ40が設けられている。電子ペーパ10は、表示基板20側を図面上方へ向けて挿入台38にセットされ、挿入口34に挿入される。
【0043】
図9に示すように、ケーシング32内には、所定の回転速度で回転駆動される複数のローラ対42が設けられている。この例では、ローラ対42A、42B、42Cの3対が設けられており、これらを総称するときには、ローラ対42という。これらのローラ対42により、挿入口34と排出口36との間に、電子ペーパ10を案内搬送する搬送路が形成される。挿入口34から挿入された電子ペーパ10は、ローラ対42Aに挟持されることによりケーシング32内に引入れられ、ケーシング32内を一定速度で搬送された後、ローラ対42Cに挟持されて排出口36から排出トレイ40上へ送り出される。
【0044】
また、ケーシング32内には、挿入口34側のローラ対42A、42Bの間に、多数の磁石44Aを備えた消去ヘッド44が設けられている。消去ヘッド44は、電子ペーパ10の搬送路の下方に配置されている。消去ヘッド44の磁石44Aは、電子ペーパ10の搬送路の側に向けられている。多数の磁石44Aは、電子ペーパ10の搬送方向と直交する方向である幅方向の全域に対向するように、一次元アレイ状に配列されている。
【0045】
プリンタ型書込装置16で一括消去を行う場合には、背面基板22側から電子ペーパ10に磁石を近づける。ここでは、図6に示すように、白側はN極、黒側がS極とされた2色回転粒子24を用いた場合について説明する。消去ヘッド44で画像を消去するときには、電子ペーパ10の背面基板22側に、消去ヘッド44の磁石44AのN極を近付けることにより、全部の2色回転粒子24のN極に帯磁した白側を表示基板20側に向けて、電子ペーパ10を白紙(無表示状態)にすることができる。
【0046】
一方、排出口36側のローラ対42B、42Cの間には、画素サイズの磁石46Aを多数備えた磁気記録ヘッド46が設けられている。磁石46Aの各々は、内部のコイルに流れる電流の向きにより磁極が反転する電磁石である。磁気記録ヘッド46は、電子ペーパ10の搬送路の下方に配置されている。磁気記録ヘッド46の磁石46Aは、電子ペーパ10の搬送路の側に向けられている。多数の磁石46Aは、電子ペーパ10の搬送方向と直交する方向である幅方向の全域に対向するように、一次元アレイ状に配列されている。
【0047】
プリンタ型書込装置16で書き込みを行う場合には、背面基板22側から電子ペーパ10に磁石を近づける。ここでは、図6に示すように、白側はN極、黒側がS極とされた2色回転粒子24を用いた場合について説明する。磁気記録ヘッド46で画像を記録するときには、図10に示すように、コンピュータ14から入力された画像データに応じて、磁気記録ヘッド46の磁石46AをS極又はN極に磁化する。そして、電子ペーパ10の背面基板22側に、磁化された磁石46Aを近付ける。
【0048】
磁石46AがS極に帯磁している場合には、2色回転粒子24のS極に帯磁した黒側が表示基板20側に向き、黒色画素が形成される。磁石46AがN極に帯磁している場合には、2色回転粒子24は回転せず、N極に帯磁した白側が表示基板20側に向いたままで、白色画素が維持される。こうして、電子ペーパ10には、画像データに応じた画像が表示され、表示された画像が保持される。
【0049】
<ペン型書込装置>
図11(A)はペン型書込装置12の構成を示す概略図であり、図11(B)はペン型書込装置12に設けられた光学センサ18の構成を示す概略図である。ペン型書込装置12は、ペン形状のケース50を備えている。前記の光学センサ18は、ペン先48近傍のケース50の側部に設けられている。ケース50内には、マイクロプロセッサ52、磁気記録ヘッド54、及び圧力センサ56が内蔵されている。マイクロプロセッサ52は、光学センサ18に接続されると共に、磁気記録ヘッド54に接続されている。圧力センサ56は、磁気記録ヘッド54に接続されると共に、マイクロプロセッサ52に接続されている。
【0050】
光学センサ18は、電子ペーパ10の表示基板20に光を照射する光源58と、表示基板20の表面を撮像する撮像部60とで構成されている。光源58はLED等の発光素子で構成されている。また、撮像部60は、CCDなどの撮像素子60Aと、レンズを含む撮像光学系60Bとで構成されている。例えば、光源58として赤外LEDを用いる場合には、撮像素子60Aとして赤外領域に感度を有するCMOSセンサ、CCDセンサ等の撮像素子を使用する。
【0051】
光学センサ18は、これらの構成により、手書き入力を行う間に、所定時間毎にペン先48近傍の表示面の画像を撮像して、予め設定された撮像範囲にある符号パターンを光学的に読み取る。例えば、図11(A)では、斜線領域Aが撮像範囲として設定されている。上述した9C2パターン(図4参照)を符号パターンとして用いた場合には、光学センサ18により、図14に示すような画像が撮像される。
【0052】
マイクロプロセッサ52は、CPU、ROM、RAM、及び外部機器に接続するための入出力ポートを備えている。CPU、ROM、RAM、及び入出力ポートは、バスを介して相互に接続されている。ROMに記憶された制御プログラムが、ワークエリアであるRAMに読み込まれて実行される。CPUは、RAMに読み込まれたプログラムに基づいて動作する。ROMには、符号パターンの復号処理を実行する制御プログラムが記憶されている。マイクロプロセッサ52は、これらの構成により、光学センサ18が読み取った符号パターンを復号して、ペン先の位置情報を次々に取得する。符号パターンの復号処理については後述する。
【0053】
圧力センサ56は、ペン型書込装置12のペン先48が電子ペーパ10の表示面に接触しているか否か(ペンダウン)を圧力により検出する。ペン先48が表示面に接触することにより、ペン先48に加わる圧力が圧力センサ56に伝達される。圧力センサ56はこの圧力を感知して、ペンダウン信号をマイクロプロセッサ52に入力する。マイクロプロセッサ52は、ペンダウン信号が入力されると、磁気記録ヘッド54への電源の供給を開始し、符号パターンの復号処理を開始する。
【0054】
図12(A)はペン型書込装置12の磁気記録ヘッド54の書込時の状態を示す図であり、図12(B)は消去時の状態を示す図である。この磁気記録ヘッド54は、芯材に導線をコイル状に巻いて形成されたコイル62と、コイル62に直流電流を流す電源64と、電流の向きを切り替えるスイッチ66と、を備えている。電源64からコイル62に直流電流を流すと、電磁誘導によりコイル62は磁石(電磁石)になる。従って、コイル62の芯材の先端部が、ペン型書込装置12のペン先48となる。なお、電源64は、図示しないスイッチにより、圧力センサ56がペンダウンを検出したときにオンになる。
【0055】
コイル62の磁界の向きは電流の向きによって決まる。スイッチ66によりコイル62に流れる電流の向きを切り替えると、ペン先48の磁極はS極からN極へと切り替わる。例えば、図6に示すように、白側はN極、黒側がS極とされた2色回転粒子24を用いた場合には、図12(A)に示すように、ペン先48の磁極をN極にして、表示基板20側からペン先48を電子ペーパ10に近付けて書き込みを行い、図12(B)に示すように、ペン先48の磁極をS極にして、表示基板20側からペン先48を電子ペーパ10に近付けて画像を消去する。
【0056】
図13(A)及び(B)はペン型書込装置の磁気記録ヘッドの他の一例を示す図である。この例では、磁気記録ヘッド54は、芯材に導線をコイル状に巻いて形成されたコイル62と、コイル62に直流電流を流す電源64と、電流の向きを切り替えるスイッチ66と、コイル62の芯材の先端部の近傍に配置された永久磁石68と、を備えている。
【0057】
永久磁石68は、一方の半球側はN極、他方の半球側はS極というように、半球ごとに磁性が異なる球状の永久磁石である。この球状の永久磁石68は、図示しない保持部材により、ペン型書込装置12のペン先48に回転可能に保持されている。電源64からコイル62に直流電流を流すと、電磁誘導によりコイル62は磁石(電磁石)になり、球状の永久磁石68を回転させる。
【0058】
スイッチ66によりコイル62に流れる電流の向きを切り替えると、ペン先48の磁極はS極からN極へと切り替わる。例えば、図13(A)に示すように、コイル62の芯材の先端部の磁極をN極にすると、永久磁石68はS極側が芯材の方を向くように回転して、ペン先48の磁極はN極になる。また、図13(B)に示すように、コイル62の芯材の先端部の磁極をS極にすると、永久磁石68はN極側が芯材の方を向くように回転して、ペン先48の磁極もS極になる。このように永久磁石68の回転を利用する場合には、永久磁石68を回転させるときにだけ電源64をオンにすれば良く、消費電力を低減することができる。
【0059】
また、本実施の形態では、マイクロプロセッサ52は、コンピュータ14に接続されている。コンピュータ14に接続することで、マイクロプロセッサ52に蓄積したデータを、コンピュータ14に出力することができる。なお、図1等に示すように、本実施の形態では、マイクロプロセッサ52とコンピュータ14とをインターフェースを介してケーブルで有線接続しているが、コンピュータ14と無線で通信するようにしてもよい。また、ペン型書込装置12に電力を供給する電源、電源をオンオフするスイッチ、書込/消去の切替えを行うスイッチは、図示を省略した。
【0060】
<符号パターンの復号方法>
次に、符号パターンの復号方法について説明する。
ペン型書込装置12の光学センサ18は、手書き入力を行う間に、所定時間毎にペン先48近傍の表示面の画像を撮像して、予め設定された撮像範囲にある符号パターンを光学的に読み取る。光学センサ18により読み取られた画像データは、マイクロプロセッサ52に入力される。マイクロプロセッサ52は、以下の手順で符号パターンを復号して、ペン先の位置情報を取得する。
【0061】
まず、図15に示すように、読み取った画像にブロックフレームを重ね合わせ、ブロックの区切りを検出する。ブロックフレームは、埋め込まれた情報を復号する際に必要となる最小の単位であり、本実施の形態では5×5ブロックのフレームが使用される。図16に示すように、ブロックフレームを移動させて、各ブロック内に印字されたドット数が2となる位置を探索する。図16に示すようにブロックフレームを検出開始位置から1ラインずつ右、下に移動させていき、ブロック内のドット数が2となる位置を検出する。この処理の詳細については後ほど詳述する。
【0062】
次に、符号パターンに含まれる同期符号を検出する。同期符号により、符号パターンの向きや、ブロック内で情報を復号する際の基準点を判定する。図17(A)〜(D)は同期符号の符号パターンを示す図である。同期符号には、図5に示す符号パターンのうち、パターン値32〜35のパターンが使用される。パターン値32〜35の符号パターンは、図17(A)〜(D)に示すように、どれか1つのパターンを選択したとき、他の3つのパターンは、選択されたパターンを90度、180度、270度回転したパターンと一致している。同様に、パターン値4〜7、8〜11、12〜15、16〜19、20〜23、24〜27、28〜31の符号パターンの組合せも利用することができる。
【0063】
次に、同期符号から符号パターンの方向を補正する。例えば、図18に示すように、上述した5×5のブロックフレームの決められた位置に、パターン値32〜35の同期符号の何れか1つを入れておく。ここでは、パターン値32の同期符号を5×5ブロックの左上に挿入した例について説明する。ここで、例えば、図18に示すように、読み込んだ画像からパターン値35の同期符号を検出した場合、パターン値35の符号パターンをパターン値32の符号パターンに変換するために、画像を右方向に90度回転させる。パターン値35の符号パターンは、図17に示すように、パターン値32の符号パターンを右方向に270度回転させた画像である。これによって正しい方向で情報を復元することが可能となる。
【0064】
次に、ブロックフレーム内の符号パターンから符号パターンを復号して、ペン先の位置情報を取得する。図19はブロックフレーム内での符号パターンの配置の一例を示す図である。ブロックフレーム内には、同期符号の符号パターンと、電子ペーパ10の表示面での座標値を示す符号パターンとが埋め込まれている。図19には、これらの符号パターンの基本となる配置の例が示されている。ページ上のX座標を示す符号パターンは、同期符号を含むラインであって、X軸方向に並行するブロックに記録される。同様に、Y座標を示す符号パターンは、同期符号を含むラインであって、Y軸方向に並行するブロックに記録される。この基本構成を、電子ペーパ10の表示面全体に配置する。
【0065】
X座標とY座標には、電子ペーパ10の表示面全体に渡るM系列と呼ばれる数列を使う。M系列はある長さの周期を持つ数列であり、その部分数列をとると、他の部分数列と一致することがない。この性質を利用して、全数列の中での部分数列の位置を特定できる。部分数列の長さをnとするとき、全数列の長さは、2n−1となる。このとき、全数列は表示面全体を表現し、部分数列は、基本構成のブロック数で表現される数列を選択する。
【0066】
X座標の復号では、同期符号を含む行のブロックを、同期符号をスキップして読み出す。また、Y座標の復号では、同期符号を含む列のブロックを、同期符号をスキップして読み出す。この順番に読み出すことで、X座標、Y座標の復号が可能となる。
【0067】
<ペン型書込装置の復号処理機能>
図20はペン型書込装置12に搭載されたマイクロプロセッサ52の構成を示す機能ブロック図である。マイクロプロセッサ52は、ドット配列検出部70、ブロックフレーム検出部72、同期符号検出部74、ペンダウン検出部76、画像回転判定部78、ビット情報回転変換部80、X座標符号検出部82、X座標復号部84、Y座標符号検出部86、Y座標復号部88、座標情報バッファ90、及び座標情報出力部92を備えている。
【0068】
ペン型書込装置12の光学センサ18により読み取られた画像データは、マイクロプロセッサ52のドット配列検出部70に入力される。また、ペン型書込装置12の圧力センサ56によりペンダウンが検出されると、マイクロプロセッサ52のペンダウン検出部76にペンダウン信号が入力される。ペンダウン検出部76はペンダウン信号の入力を確認する。ペンダウン信号の入力が確認されると、ドット配列検出部70は、読み取られた画像データからドットを検出し、ドットの座標値をRAM等のメモリに記録する。メモリには、ドットの配置情報であるドット配列が記録される。
【0069】
ブロックフレーム検出部72は、メモリに展開されたドット配列にブロックフレームを重ね合わせ、各ブロック内のドット数が2となるようにブロックフレームの位置を調整する。同期符号検出部74は、同期符号を検出する。画像回転判定部78は、画像の回転を判定する。ビット情報回転変換部80は、画像回転判定部78で検出された回転角度だけ符号パターンを回転させて、符号パターンを正しい向きに設定する。
【0070】
X座標符号検出部82は、X座標を表す符号パターンを検出する。X座標復号部84は、X座標の符号パターンを復号する。Y座標符号検出部86は、Y座標を表す符号パターンを検出する。Y座標復号部88は、Y座標の符号パターンを復号する。座標情報バッファ90は、復号されたX座標、Y座標のデータ(座標情報)をRAM等のメモリに一時的に記憶する。座標情報出力部92は、座標情報バッファ90に記憶された座標情報を、手書き入力データとして、コンピュータ14に出力する。
【0071】
<手書き入力画像の合成処理>
次に、コンピュータ14で実行される手書き入力画像の合成処理について説明する。
コンピュータ14は、図21に示すように、CPU94、ROM96、RAM98、入出力ポート100、及びメモリ102を備えている。CPU94、ROM96、RAM98、入出力ポート100、及びメモリ102は、バス104を介して相互に接続されている。ROM96に記憶された制御プログラムが、ワークエリアであるRAM98に読み込まれて実行される。CPU94は、RAM98に読み込まれた制御プログラムに基づいて動作する。ROM96には、手書き入力画像の合成処理を実行する制御プログラムが記憶されている。
【0072】
メモリ102には、文書データを管理する文書管理データベース106が設けられている。電子ペーパ10に表示された文書画像上に手書き入力が行われた場合には、ページ識別情報(ページID)等により、手書き入力データは元の文書データに関連付けられて、文書管理データベース106に記憶される。コンピュータ14は、これらの構成により、文書画像と手書き入力画像とを合成する画像処理を行う。そして、プリンタ型書込装置16により、電子ペーパ10に合成画像を書き込み、上書き画像を再び表示する。
【0073】
図22はコンピュータ14が画像処理装置として機能する場合の機能ブロック図である。コンピュータ14は、座標情報入力部110、手書き入力画像生成部112、文書データ入力部114、文書画像生成部116、画像合成部118、及び画像データ出力部120を備えている。
【0074】
座標情報入力部110は、文書データに関連付けられた手書き入力データ(電子ペーパ10の表示面上でのX軸の座標情報、Y軸の座標情報)を、手書き入力画像生成部112に出力する。手書き入力画像生成部112は、手書き入力データをラスタ展開して1ページ分の画像データを生成し、生成した画像データを画像合成部118に出力する。また、文書データ入力部114は、電子ペーパ10に表示する文書データを文書画像生成部116に出力する。文書画像生成部116は、文書データをラスタ展開して1ページ分の画像データを生成し、生成した画像データを画像合成部118に出力する。
【0075】
画像合成部118は、手書き入力画像生成部112から入力される画像データに、文書画像生成部116から入力される画像データを重畳した画像データを生成し、得られた画像データを画像データ出力部120に出力する。画像データ出力部120は、印刷指示と共に、この画像データをプリンタ型書込装置16に出力する。これにより、プリンタ型書込装置16において、画像データに応じて電子ペーパ10への書き込みが行われる。これにより、文書画像上に手書き入力画像が合成された上書き画像が、電子ペーパ10に表示される。
【0076】
<表示方式の変形例>
上記の実施の形態では、磁界の印加により白と黒に塗り分けられた2色回転粒子が回転して白黒画像を表示する、所謂「磁気ツイストボール方式」の電子ペーパに書き込みをする例について説明したが、磁気ツイストボール方式の電子ペーパには限定されない。表示面の符号パターンを光学的に読み取ることに支障がない表示方式であれば、いかなる表示方式の電子ペーパにも本発明を適用することができる。
【0077】
他の表示方式としては、例えば、一対の基板間に分散液と帯電粒子とを封入し、電圧を印加することにより帯電粒子を電気泳動させて画像を表示する「電気泳動方式」、一対の基板間に分散液と磁性粒子とを封入し、磁界を印加することにより磁性粒子を磁気泳動させて画像を表示する「磁気泳動方式」、半球ごとに白と黒に塗り分けられた回転粒子の向きを電界により制御して白黒画像を表示する「電気ツイストボール方式」、等が挙げられる。
【0078】
また、上記の実施の形態では、磁界の印加により2色回転粒子を回転させて画像を表示した後に、再び磁界を印加して同じ2色回転粒子を回転させて書き込み(追記)を行う例について説明したが、表示画像を表示したのとは異なる表示方式で追記を行うこともできる。異なる表示方式で追記を行う方が、元の表示画像を損なうことがない。
【0079】
例えば、一対の基板間に分散液と帯電粒子と磁性粒子とを封入し、磁界の印加により磁性粒子を磁気泳動させて画像を表示した後に、電界の印加により帯電粒子を電気泳動させて、表示画像に異なる画像を追記することもできる。同様に、電界の印加により帯電粒子を電気泳動させて画像を表示した後に、磁界の印加により磁性粒子を磁気泳動させて、表示画像に異なる画像を追記することもできる。
【0080】
電界の印加により帯電粒子を電気泳動させて画像を表示する方式では、移動に必要な電圧が異なる赤、青、黄の3原色の帯電粒子を用いることにより、カラー画像を表示することができる。また、同時に、磁界の印加により回転する2色回転粒子を用いることで、表示したカラー画像に追記することも可能である。
【0081】
図23はカラー画像に追記が可能な電子ペーパの概略構成を示す部分断面図である。この電子ペーパ10は、透明な表示基板20と背面基板22とを備えている。表示基板20は、背面基板22に対し所定間隔を隔てて対向するように配置されている。表示基板20と背面基板22との間には、半球ごとに白と黒に塗り分けられた2色回転粒子24、赤色の帯電粒子25M、青色の帯電粒子25C、黄色の帯電粒子25Y、及び透明液体26が封入されている。また、表示基板20の表面には、位置情報を表す符号パターン28が多数形成されている。
【0082】
2色回転粒子24は、白側はN極、黒側がS極というように、2色間で磁化状態が異なる10〜100μmの粒子である。赤色の帯電粒子25M、青色の帯電粒子25C、黄色の帯電粒子25Yは、正又は負に帯電させた10〜100μmの粒子である。ここで、赤色の帯電粒子25Mを移動させるために必要な印加電圧V1(絶対値)と、青色の帯電粒子25Cを移動させるために必要な印加電圧V2(絶対値)と、黄色の帯電粒子25Yを移動させるために必要な印加電圧V3(絶対値)は、それぞれ異なっている。
【0083】
例えば、V1<V2<V3とすると、赤色を表示させたい場合には、電圧V1を印加して帯電粒子25Mを表示基板20側に移動させる。青色を表示させたい場合には、電圧V2を印加して帯電粒子25M、25Cを表示基板20側に移動させた後に、逆方向に電圧V1を印加して、帯電粒子25Mを背面基板22側に移動させる。黄色を表示させたい場合には、電圧V3を印加して3色の帯電粒子25M、25C、25Yを表示基板20側に移動させた後に、逆方向に電圧V2を印加して、他の2色の帯電粒子25M、25Cを背面基板22側に移動させる。なお、図23は黄色を表示した状態を示している。
【0084】
このように、画像データに応じて画素毎に印加電圧を変化させることで、電子ペーパ10にカラー画像を表示することができる。また、電子ペーパ10に表示されたカラー画像上には、上記の実施の形態と同様に、磁気記録ヘッドを備えたペン型書込装置12により、2色回転粒子24を回転させて手書き入力を行うことができる。
【0085】
<符号パターンの変形例>
上記の実施の形態では、図4に示すように、サイズが12×12ピクセルのブロック内に9つのドット(印字領域)を設けて、この9つのドットの中からいずれか2つを選択して情報を表示する符号パターン(9C2パターン)を用いる例について説明したが、ペン先の位置情報を光学的に読み取ることが可能な符号パターンであればよく、この符号パターンには限定されない。同様に、情報単位となるブロック内に、一定数の複数ドットを選択的に配置した符号パターンであっても、ブロックのサイズ、ドット(印字領域)の配置、選択するドット(印字ドット)の数は、適宜変更することができる。
【0086】
また、図24(A)〜(D)に示すように、従来公知の符号パターンを用いてもよい。図24(A)に示す符号パターンでは、仮想的な格子枠を配置し、この格子の交差点で区切られる4つの領域のいずれか1つにドットを配置する。これにより4種類のパターンを表現することが可能となり、2ビットを表現することができる(特表2003−511762号公報)。また、図24(B)に示す符号パターンでは、グリフコードと呼ばれる右斜めと左斜めの直線で1ビットを表現している(特開平9−185669号公報)。図24(C)に示す符号パターンでは、直線と鍵型のグラフィックパターンの組み合わせによって情報を表現している(特開2004−152273号公報)。また、図24(D)に示す符号パターンでは、ドットのオンオフによって情報を表現している(特許番号2833975号公報)。
【0087】
また、上記の実施の形態では、符号パターンを表示基板の表面に形成する例について説明したが、光学的に読み取ることができればよく、表示基板の内部や表示基板の裏面に形成することもできる。
【0088】
<復号処理の変形例>
上記の実施の形態では、ペン型書込装置に搭載されたマイクロプロセッサにより、光学センサで読み取った符号パターンを復号して、ペン先の位置情報を取得する例について説明したが、読み取った画像データをコンピュータに入力して、コンピュータ側で符号パターンの復号処理を行うこともできる。
【0089】
<ページ識別情報の表示>
上記の実施の形態では、ページ識別情報(ページID)の取得方法について説明していないが、例えば、図2(A)に示すように、電子ペーパ10に文書画像を表示する際に、表示面の右上隅など表示画の一部にページ識別情報を同時に表示しておいて、図1に示すように手書き入力を行う前後に、ペン型書込装置12の光学センサ18でページ識別情報を読み取って、ペン型書込装置12にページ識別情報を認識させることで、手書き入力データを元の文書データに関連付けて記憶することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態に係るデータ入力システムの構成を示す概略図である。
【図2】(A)〜(D)は電子ペーパに表示された画像を示す概略図である。
【図3】電子ペーパの表示面の部分拡大図である。
【図4】電子ペーパの構成を示す部分断面図である。
【図5】(A)は電子ペーパへの画像の書込時の状態を示す図であり、(B)は画像の消去時の状態を示す図である。
【図6】プリンタ型書込装置の外観を示す斜視図である。
【図7】図6に示す書込装置の構成を示す概略図である。
【図8】図7に示す書込装置の磁気記録ヘッドの構成を示す概略図である。
【図9】(A)はペン型書込装置の構成を示す概略図であり、(B)ペン型書込装置に設けられた光学センサの構成を示す概略図である。
【図10】(A)はペン型書込装置の磁気記録ヘッドの書込時の状態を示す図であり、(B)は消去時の状態を示す図である。
【図11】(A)及び(B)はペン型書込装置の磁気記録ヘッドの他の一例を示す図である。
【図12】符号パターンの一例を示す図である。
【図13】符号パターンとパターン値とを示す図である。
【図14】光学センサの読み取り画像を示す図である。
【図15】ドットパターン上にブロックフレームを重ね合わせた状態を示す図である。
【図16】ブロックフレームを移動させてブロックの区切りを検出する手順を示す図である。
【図17】同期符号パターンを示す図である。
【図18】同期符号から符号パターンの方向を補正する方法を説明するための説明図である。
【図19】ブロックフレーム内での符号パターンの配置を示す図である。
【図20】ペン型書込装置に搭載されたマイクロプロセッサの構成を示す機能ブロック図である。
【図21】コンピュータの構成を示すブロック図である。
【図22】コンピュータが画像処理装置として機能する場合の機能ブロック図である。
【図23】カラー画像に追記が可能な電子ペーパの概略構成を示す部分断面図である。
【図24】符号パターンの他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
10 電子ペーパ
12 ペン型書込装置
14 コンピュータ
14 ペン型書込装置
16 プリンタ型書込装置
18 光学センサ
20 表示基板
22 背面基板
24 2色回転粒子
25M、25C、25Y 帯電粒子
26 透明液体
28 符号パターン
30 磁石
32 ケーシング
34 挿入口
36 排出口
38 挿入台
40 排出トレイ
42 ローラ対
44 消去ヘッド
44A 磁石
46 磁気記録ヘッド
46A 磁石
48 ペン先
50 ケース
52 マイクロプロセッサ
54 磁気記録ヘッド
56 圧力センサ
58 光源
60 撮像部
60B 撮像光学系
60A 撮像素子
62 コイル
64 電源
66 スイッチ
68 永久磁石
70 ドット配列検出部
72 ブロックフレーム検出部
74 同期符号検出部
76 ペンダウン検出部
78 画像回転判定部
80 ビット情報回転変換部
82 座標符号検出部
84 座標復号部
86 座標符号検出部
88 座標復号部
90 座標情報バッファ
92 座標情報出力部
94 CPU
96 ROM
98 RAM
100 入出力ポート
102 メモリ
104 バス
106 文書管理データベース
110 座標情報入力部
112 入力画像生成部
114 文書データ入力部
116 文書画像生成部
118 画像合成部
120 画像データ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面での位置情報を表す光学的に読み取り可能な多数の符号パターンが形成された透明な表示基板と、前記表示基板に対向する背面基板と、表示基板と背面基板との間に封入され且つ電界又は磁界の印加により動かすことが可能な着色粒子と、を備え、前記着色粒子の動きにより画像を表示する電子ペーパと、
ペン先に設けられ且つ接触により前記電子ペーパに電界又は磁界を印加して画像を書き込む書き込みヘッドと、ペン先が接触する表示面に形成された符号パターンを光学的に読み取る光学読取装置と、を備えたペン型書き込み装置と、
を含むデータ入力システム。
【請求項2】
前記ペン型書き込み装置が、読み取ったパターンデータを位置情報に復号する復号手段と、復号された位置情報を記憶する記憶手段と、を更に備えた請求項1に記載のデータ入力システム。
【請求項3】
前記ペン型書き込み装置が、復号された位置情報を外部機器に送信する送信手段を更に備えた請求項2に記載のデータ入力システム。
【請求項4】
ペン型書き込み装置から送信された位置情報を受信する受信手段と、前記電子ペーパに表示した表示画像の画像データ及び前記位置情報をページ識別情報に関連付けて管理するデータベースと、を備えた情報処理装置を、
更に備えた請求項1又は3に記載のデータ入力システム。
【請求項5】
前記情報処理装置が、前記位置情報から前記ペン型書き込み装置により書き込まれた手入力画像の画像データを取得し、前記ページ識別情報により関連付けられた前記表示画像の画像データと前記手入力画像の画像データとを合成する画像処理手段を、更に備えた請求項4に記載のデータ入力システム。
【請求項6】
表示面での位置情報を表す光学的に読み取り可能な多数の符号パターンが形成された透明な表示基板と、前記表示基板に対向する背面基板と、表示基板と背面基板との間に封入され且つ電界又は磁界の印加により動かすことが可能な着色粒子と、を備え、前記着色粒子の動きにより画像を表示する電子ペーパと、
ペン先に設けられ且つ接触により前記電子ペーパに電界又は磁界を印加して画像を書き込む書き込みヘッドと、ペン先が接触する表示面に形成された符号パターンを光学的に読み取る光学読取装置と、読み取ったパターンデータを外部機器に送信する送信手段と、を備えたペン型書き込み装置と、
ペン型書き込み装置から送信されたパターンデータを受信する受信手段と、受信したパターンデータを位置情報に復号する復号手段と、復号された位置情報を記憶する記憶手段と、前記電子ペーパに表示した表示画像の画像データ及び前記位置情報をページ識別情報に関連付けて管理するデータベースと、を備えた管理装置と、
を含むデータ入力システム。
【請求項7】
前記光学的に読み取り可能な符号パターンが、情報単位となるブロック内に一定数の複数ドットを選択的に配置した符号パターンである請求項1から6までのいずれか1項に記載のデータ入力システム。
【請求項8】
前記光学的に読み取り可能な符号パターンが、赤外又は紫外に吸収を有する不可視の記録材料で形成された請求項1から7までのいずれか1項に記載のデータ入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図3】
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【図4】
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【図15】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−293405(P2008−293405A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140243(P2007−140243)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】