説明

データ再生システム

【課題】複数の端末においてデータを同時再生する際に、端末間におけるデータのずれを防止できるデータ再生システムを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の端末を備え、各前記端末が、再生可能なデータを複数記憶するデータ記憶部12と、データ記憶部12に記憶されているデータを所定の順序に従って再生するデータ再生部13と、データ再生部13のデータ毎の再生可能時刻の情報を、所定のデータ数毎に他の端末に送信する再生可能時刻送信部14と、前記他の端末から送信されたデータ毎の再生可能時刻の情報を受信する再生可能時刻受信部15と、所定のデータ数毎に、データ再生部13のデータ毎の再生可能時刻と再生可能時刻受信部15により受信した前記他の端末のデータ毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻をデータ再生部13のデータ毎の再生時刻として決定する再生時刻決定部16とを備えるデータ再生システムを採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端末においてデータを同時再生するデータ再生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の端末間でデータをシェアリングし、各端末においてデータを同時再生するデータ再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記技術では、各端末において共有再生リストが作成されると、マスター端末から同時再生の開始時刻が送信される。そして、各端末において、送信された開始時刻に基づいてデータの同時再生が行われる。
【特許文献1】特開2007−13704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、端末毎にデータの再生速度が異なる場合があり、この場合には再生時間に比例して各端末が再生しているデータのずれも大きくなるという不都合がある。特に、同時再生するデータが音楽データの場合、端末間におけるデータのずれは大きな問題となる。
【0004】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、複数の端末においてデータを同時再生する際に、端末間におけるデータのずれを防止できるデータ再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、複数の端末を備え、各前記端末が、再生可能なデータを複数記憶するデータ記憶部と、該データ記憶部に記憶されているデータを所定の順序に従って再生するデータ再生部と、該データ再生部のデータ毎の再生可能時刻の情報を、所定のデータ数毎に他の端末に送信する再生可能時刻送信部と、前記他の端末から送信されたデータ毎の再生可能時刻の情報を受信する再生可能時刻受信部と、所定のデータ数毎に、前記データ再生部のデータ毎の再生可能時刻と前記再生可能時刻受信部により受信した前記他の端末のデータ毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻を前記データ再生部のデータ毎の再生時刻として決定する再生時刻決定部とを備えるデータ再生システムを提供する。
【0006】
上記発明において、各前記端末が、同時再生を行う端末の台数を他の端末に送信する台数送信部と、前記台数送信部から送信された前記端末の台数を受信する台数受信部とを備え、前記台数受信部により受信した台数分の再生可能時刻の情報を、前記再生可能時刻受信部により受信するまで前記データ再生部の再生を待機させることが好ましい。
【0007】
また、本発明は、複数の端末を備え、各前記端末が、再生可能なデータを複数記憶するデータ記憶部と、データ毎の再生可能時刻の情報を、所定のデータ数毎に送信する再生可能時刻送信部と、前記データ記憶部に記憶されているデータを所定の順序に従って、設定された再生時刻に再生するデータ再生部とを備え、前記端末の内のいずれかの端末が、他の端末から送信されたデータ毎の再生可能時刻の情報を受信する再生可能時刻受信部と、 所定のデータ数毎に、前記データ再生部のデータ毎の再生可能時刻と前記再生可能時刻受信部により受信した前記他の端末のデータ毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻をデータ毎の再生時刻として決定する再生時刻決定部と、所定のデータ数毎に、該再生時刻決定部により決定されたデータ毎の再生時刻の情報を前記他の端末に送信する再生時刻送信部とを備え、前記他の端末が、前記いずれかの端末から送信されたデータ毎の再生時刻の情報を受信する再生時刻受信部とを備えるとともに、前記再生時刻受信部によりデータ毎の再生時刻の情報が受信された場合に該再生時刻の情報に基づいてデータ毎の再生時刻を設定するデータ再生システムを提供する。
【0008】
上記発明において、前記いずれかの端末は、同時再生を行う前記端末の台数を設定する台数設定部を備え、前記再生時刻送信部が、前記台数設定部により設定された台数分の再生可能時刻の情報を前記再生可能時刻受信部により受信した場合に、前記他の端末に対して再生時刻の情報を送信することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の端末においてデータを同時再生する際に、端末間におけるデータのずれを防止できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るデータ再生システムについて説明する。
本実施形態は、複数の端末を備え、各端末が、再生可能なデータを複数記憶するデータ記憶部と、該データ記憶部に記憶されているデータを所定の順序に従って再生するデータ再生部と、該データ再生部のデータ毎の再生可能時刻の情報を、所定のデータ数毎に他の端末に送信する再生可能時刻送信部と、他の端末から送信されたデータ毎の再生可能時刻の情報を受信する再生可能時刻受信部と、所定のデータ数毎に、前記データ再生部のデータ毎の再生可能時刻と再生可能時刻受信部により受信した他の端末のデータ毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻をデータ再生部のデータ毎の再生時刻として決定する再生時刻決定部とを備えるデータ再生システムを採用する。
【0011】
本実施形態によれば、複数の端末のうちいずれかの端末において、所定のデータ数毎に、データ再生部のデータ毎の再生可能時刻の情報が再生可能時刻送信部により他の端末に送信される。データ毎の再生可能時刻の情報を再生可能時刻受信部により受信した他の端末においても、所定のデータ数毎に、それぞれのデータ再生部のデータ毎の再生可能時刻の情報が再生可能時刻送信部により他の端末に送信される。このようにして他の端末のデータ毎の再生可能時刻の情報を再生可能時刻受信部により受信した各端末では、再生時刻決定部により、所定のデータ数毎に、自らのデータ毎の再生可能時刻と他の端末のデータ毎の再生可能時刻とが比較される。そして、その中で最も遅い時刻がデータ再生部のデータ毎の再生時刻として決定される。このデータ毎の再生時刻において、データ記憶部に記憶されているデータが、データ再生部により所定の順序に従って再生される。
このようにすることで、各端末は、所定のデータ数毎に、最も遅い再生可能時刻に合わせてデータの同時再生を行うことができ、端末によって再生速度が異なる場合にも、各端末におけるデータ毎の再生時刻を所定のデータ数毎に同期させることができる。
なお、所定のデータ数を1として1データ毎に各端末の再生時刻を同期させてもよいし、所定のデータ数を複数として複数データ毎に各端末の再生時刻を同期させてもよい。
【0012】
上記実施形態において、各端末が、同時再生を行う端末の台数を他の端末に送信する台数送信部と、台数送信部から送信された端末の台数を受信する台数受信部とを備え、台数受信部により受信した台数分の再生可能時刻の情報を、再生可能時刻受信部により受信するまで前記データ再生部の再生を待機させることとしてもよい。
【0013】
このようにすることで、同時再生を行う端末の台数が、いずれかの端末の台数送信部から他の端末に送信される。送信された台数を台数受信部により受信した他の端末では、同時再生を行う端末の台数分の再生可能時刻の情報を再生可能時刻受信部により受信するまで、データ再生部によるデータの再生が待機させられる。これにより、同時再生を行う端末の台数分の再生可能時刻の情報を受信できない場合、すなわち、いずれかの端末がビジー状態の場合に、各端末のデータ再生部によるデータの再生を待機させることができる。
【0014】
本実施形態は、複数の端末を備え、各前記端末が、再生可能なデータを複数記憶するデータ記憶部と、データ毎の再生可能時刻の情報を、所定のデータ数毎に送信する再生可能時刻送信部と、データ記憶部に記憶されているデータを所定の順序に従って、設定された再生時刻に再生するデータ再生部とを備え、端末の内のいずれかの端末が、他の端末から送信されたデータ毎の再生可能時刻の情報を受信する再生可能時刻受信部と、所定のデータ数毎に、データ再生部のデータ毎の再生可能時刻と再生可能時刻受信部により受信した他の端末のデータ毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻をデータ毎の再生時刻として決定する再生時刻決定部と、所定のデータ数毎に、該再生時刻決定部により決定されたデータ毎の再生時刻の情報を他の端末に送信する再生時刻送信部とを備え、他の端末が、いずれかの端末から送信されたデータ毎の再生時刻の情報を受信する再生時刻受信部とを備えるとともに、再生時刻受信部によりデータ毎の再生時刻の情報が受信された場合に該再生時刻の情報に基づいてデータ毎の再生時刻を設定するデータ再生システムを採用する。
【0015】
本実施形態によれば、各端末のデータ記憶部に記憶されているデータ毎の再生可能時刻の情報が、所定のデータ数毎に、再生可能時刻送信部により他の端末に送信される。他の端末のデータ毎の再生可能時刻の情報を再生可能時刻受信部により受信したいずれかの端末では、再生時刻決定部により、所定のデータ数毎に、自らのデータ毎の再生可能時刻と他の端末のデータ毎の再生可能時刻とが比較される。そして、その中で最も遅い時刻がデータ毎の再生時刻として決定され、このデータ毎の再生時刻の情報が再生時刻送信部により他の端末に送信される。データ毎の再生時刻の情報を再生時刻受信部により受信した各端末では、所定のデータ数毎に、再生時刻の情報に基づいてデータ毎の再生時刻が設定される。このデータ毎の再生時刻において、データ記憶部に記憶されているデータがデータ再生部により所定の順序に従って再生される。
このようにすることで、複数の端末のうちいずれかの端末において、所定のデータ数毎に、最も遅い再生可能時刻に合わせて再生時刻を決定して他の端末に送信することにより、端末によって再生速度が異なる場合にも、各端末におけるデータ毎の再生時刻を所定のデータ数毎に同期させることができる。
【0016】
上記実施形態において、いずれかの端末は、同時再生を行う端末の台数を設定する台数設定部を備え、再生時刻送信部が、台数設定部により設定された台数分の再生可能時刻の情報を再生可能時刻受信部により受信した場合に、他の端末に対して再生時刻の情報を送信することとしてもよい。
【0017】
このようにすることで、いずれかの端末において、台数設定部により同時再生を行う端末の台数が設定され、設定された台数分の再生可能時刻の情報を再生可能時刻受信部により受信した場合に、再生時刻決定部により決定された再生時刻の情報が、再生時刻送信部により他の端末に送信される。これにより、同時再生を行う端末の台数分の再生可能時刻の情報を受信できない場合、すなわち、いずれかの端末がビジー状態の場合に、各端末のデータ再生部によるデータの再生を待機させることができる。
【0018】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るデータ再生システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るデータ再生システム1の一構成例を示したものである。この図に示すように、データ再生システム1は、複数のデータ再生端末、具体的には、携帯電話機3、携帯型音楽再生機4、ラップトップパソコン(以下「パソコン」という。)5を備えている。これらのデータ再生端末は、例えば赤外線通信等の無線方式により他のデータ再生端末と双方向に通信可能とされている。
【0019】
上述の各データ再生端末は、共通する以下の構成要素をそれぞれ備えている。つまり、図2に示すように、各データ再生端末は、制御部11と、データ記憶部12と、データ再生部13と、再生可能時刻送信部14と、再生可能時刻受信部15と、再生時刻決定部16と、台数送信部17と、台数受信部18とをそれぞれ備えている。これらの各部は、バス10を介して相互に接続されており、相互間における情報の授受が可能な構成とされている。
【0020】
データ記憶部12は、例えばMP3等の再生可能な楽曲データを、そのデータの名称等の識別情報と対応付けて記憶する。
データ再生部13は、再生時刻決定部16により決定されたデータ毎の再生時刻に、データ記憶部12に記憶されているデータを所定の順序に従って読み出して再生する。
【0021】
再生可能時刻送信部14は、所定のデータ数毎に、データ再生部13のデータ毎の再生可能時刻を抽出して、この再生可能時刻の情報を他のデータ再生端末に送信する。
再生可能時刻受信部15は、他のデータ再生端末から送信されたデータ毎の再生可能時刻の情報を受信する。
【0022】
再生時刻決定部16は、所定のデータ数毎に、データ再生部13のデータ毎の再生可能時刻と再生可能時刻受信部15により受信した他のデータ再生端末のデータ毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻をデータ再生部13のデータ毎の再生時刻として決定する。
【0023】
台数送信部17は、予め設定された同時再生を行うデータ再生端末の台数を、他のデータ再生端末に送信する。
台数受信部18は、他のデータ再生端末から送信された同時再生を行うデータ再生端末の台数を受信する。
【0024】
制御部11は、上述した各部を統括して制御し、台数受信部18により受信した台数分の再生可能時刻の情報を再生可能時刻受信部15により受信するまで、データ再生部13の再生を待機させるように制御する。
【0025】
なお、台数送信部17は、全てのデータ再生端末に必ずしも備えられている必要はなく、少なくとも1台のデータ再生端末に備えられていることとし、他のデータ再生端末は、同時再生を行うデータ再生端末の台数を台数受信部18により受信することとしてもよい。
【0026】
上記構成を有するデータ再生システム1の作用について、主に図4に示すフローチャートを用いて以下に説明する。
ここでは、まず、携帯電話機3のデータ毎の再生可能時刻の情報が、他のデータ再生端末(携帯型音楽再生機4およびパソコン5)に送信されるものとして説明する。また、図3に示すように、携帯電話機3に同時再生を行うデータ再生端末の台数が設定されていることとする。また、所定のデータ数を1として、1データ毎に再生可能時刻の情報の送信を行うこととする。さらに、同時再生を行うデータは楽曲データとし、各データ再生端末には、楽曲A,B,Cが共通して記憶されていることとする。
【0027】
まず、携帯電話機3の操作ボタン等をユーザが操作することにより、携帯電話機3は、携帯電話機3のデータ再生部13の楽曲毎の再生可能時刻を抽出して、抽出した再生可能時刻の情報を携帯型音楽再生機4およびパソコン5に送信する(S1)。すなわち、図3に示す例において、携帯電話機3の楽曲Aの再生可能時刻(0:00)の情報が、携帯型音楽再生機4およびパソコン5に送信される。
また、携帯電話機3は、予め設定された同時再生を行うデータ再生端末の台数(3台)を、携帯型音楽再生機4およびパソコン5に送信する(S2)。
【0028】
携帯型音楽再生機4およびパソコン5は、携帯電話機3から楽曲毎の再生可能時刻の情報を受信することにより、それぞれのデータ再生部13の楽曲毎の再生可能時刻を抽出して、抽出した再生可能時刻の情報を他のデータ再生端末に送信する(S3)。すなわち、図3に示す例において、携帯型音楽再生機4は、自らの楽曲Aの再生可能時刻(0:01)の情報を携帯電話機3およびパソコン5に送信する。同様に、パソコン5は、自らの楽曲Aの再生可能時刻(0:02)の情報を携帯電話機3および携帯型音楽再生機4に送信する。
【0029】
次に、各データ再生端末は、それぞれの再生時刻決定部16により、所定の楽曲数毎に、他のデータ再生端末から受信した楽曲毎の再生可能時刻と自らの楽曲毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻をデータ再生部13の楽曲毎の再生時刻として決定する(S4)。例えば、携帯電話機3は、携帯型音楽再生機4の楽曲Aの再生可能時刻(0:01)と、パソコン5の楽曲Aの再生可能時刻(0:02)と、自らの楽曲Aの再生可能時刻(0:00)とを比較する。そして、その中で最も遅い時刻、すなわち、パソコン5の再生可能時刻(0:02)を楽曲Aの再生時刻として決定する。携帯型音楽再生機4およびパソコン5においても同様の処理が行われ、パソコン5の再生可能時刻(0:02)を楽曲Aの再生時刻として決定する。
【0030】
そして、各データ再生端末は、再生時刻決定部16により決定された楽曲毎の再生時刻において、データ記憶部12に記憶されている楽曲Aの再生を開始する(S5)。ここで、各データ再生端末は、同時再生を行うデータ再生端末の台数分の再生可能時刻の情報を受信するまで、データ再生部13の再生を待機させる。
【0031】
上記の処理を各楽曲データについて行うことにより、楽曲Bの再生時刻として、パソコン5の再生可能時刻(0:04)が決定される。また、楽曲Cの再生時刻として、携帯電話機3の再生可能時刻(0:07)が決定される。このようにして決定された楽曲毎の再生時刻において、データ記憶部12に記憶されている楽曲データが、データ再生部13により所定の順序に従って再生される。
【0032】
以上のように、本実施形態に係るデータ再生システム1によれば、各データ再生端末は、所定の楽曲数毎に、最も遅い再生可能時刻に合わせて楽曲データの同時再生を行うことができ、データ再生端末によって再生速度が異なる場合にも、各データ再生端末における楽曲毎の再生時刻を所定の楽曲数毎に同期させることができる。
なお、本実施形態において、所定の楽曲数を1として楽曲毎に各データ再生端末の再生開始時刻を同期させることとして説明したが、所定の楽曲数を複数として複数楽曲毎に各データ再生端末の再生時刻を同期させてもよい。
【0033】
また、同時再生を行うデータ再生端末の台数分の再生可能時刻の情報を受信するまで、楽曲データの再生を待機させることで、いずれかのデータ再生端末がビジー状態の場合に、各データ再生端末の楽曲データの再生を待機させることができる。
【0034】
また、各データ再生端末が、人体を介して接続されたときにデータ再生端末間での通信を行う人体通信モジュールを備えることとしてもよい。このようにすることで、例えば、データ再生端末を持ったユーザ同士が手を繋ぐことによって、人体通信モジュールによりデータ再生端末間での通信を行ことができる。そして、各データ再生端末のデータ毎の再生時刻を所定の曲数毎に同期させることができる。
【0035】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について以下に説明する。
本実施形態に係るデータ再生システムが、前述の実施形態と異なる点は、各データ再生端末がそれぞれデータ毎の再生時刻を決定するのではなく、いずれかのデータ再生端末がデータ毎の再生時刻を決定し、決定した時刻の情報を他のデータ再生端末に送信する点である。以下、本実施形態に係るデータ再生システムについて、前述の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0036】
本実施形態に係るデータ再生システム2において、各データ再生端末は、共通する以下の構成要素をそれぞれ備えている。つまり、図5に示すように、各データ再生端末は制御部11と、データ記憶部12と、データ再生部13と、再生可能時刻送信部14と、再生時刻受信部24とをそれぞれ備えている。
また、図6に示すように、いずれかのデータ再生端末は、図5に示す構成要素の他に、再生可能時刻受信部15と、再生時刻決定部16と、再生時刻送信部27と、台数設定部28とを備えている。
これらの各部は、バス20またはバス21を介して相互に接続されており、相互間における情報の授受が可能な構成とされている。
【0037】
再生時刻受信部24は、いずれかのデータ再生端末からデータ毎の再生時刻の情報を受信する。制御部11は、再生時刻受信部24が受信したデータ毎の再生時刻の情報に基づいてデータ毎の再生時刻を設定し、該再生時刻にデータ再生部13によりデータ毎の再生を開始させる。
【0038】
再生時刻送信部27は、再生時刻決定部16により決定されたデータ毎の再生時刻の情報を他のデータ再生端末に送信する。
【0039】
台数設定部28は、同時再生を行うデータ再生端末の台数を設定する。
制御部11は、台数設定部28により設定された台数分の再生可能時刻の情報を再生可能時刻受信部15により受信した場合に、再生時刻送信部27により他のデータ再生端末に対して再生時刻の情報を送信する。
【0040】
上記構成を有するデータ再生システム2の作用について、主に図7に示すフローチャートを用いて以下に説明する。
ここでは、携帯電話機3が、図6に示すデータ再生端末であるとして説明する。また、各データ再生端末は、1データ毎に再生可能時刻の情報の送信を行うこととする。さらに、同時再生を行うデータは楽曲データとし、各データ再生端末には、楽曲データA,B,Cが共通して記憶されていることとする。
【0041】
まず、携帯型音楽再生機4およびパソコン5は、楽曲毎に、それぞれのデータ再生部13の再生可能時刻を抽出して、抽出した再生可能時刻の情報を携帯電話機3に送信する(S11)。すなわち、図3に示す例において、携帯型音楽再生機4は、楽曲Aの再生可能時刻(0:01)の情報を携帯電話機3に送信する。同様に、パソコン5は、楽曲Aの再生可能時刻(0:02)の情報を携帯電話機3に送信する。
【0042】
次に、携帯電話機3は、再生時刻決定部16により、他のデータ再生端末から受信した楽曲Aの再生可能時刻と自らの楽曲Aの再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻を楽曲Aの再生時刻として決定する(S12)。すなわち、図3に示す例において、携帯電話機3は、携帯型音楽再生機4の楽曲Aの再生可能時刻(0:01)と、パソコン5の楽曲Aの再生可能時刻(0:02)と、自らの楽曲Aの再生可能時刻(0:00)とを比較する。そして、その中で最も遅い時刻、すなわち、パソコン5の楽曲Aの再生可能時刻(0:02)を楽曲Aの再生時刻として決定する。
【0043】
次に、携帯電話機3は、再生時刻送信部27により、再生時刻決定部16により決定された楽曲Aの再生時刻の情報を他のデータ再生端末に送信する(S13)。ここで、携帯電話機3は、同時再生を行うデータ再生端末の台数分の再生可能時刻の情報を受信するまで、他のデータ再生端末に対して再生時刻の情報を送信しない。すなわち、携帯電話機3は、設定された台数分の再生可能時刻の情報を受信するまで他のデータ再生端末に対してデータの再生を待機させる。
【0044】
そして、携帯電話機3は、再生時刻決定部16により決定された楽曲Aの再生時刻にデータ記憶部12に記憶されている楽曲Aの再生を開始する。携帯型音楽再生機4およびパソコン5は、再生時刻受信部24により受信した楽曲Aの再生時刻の情報に基づいて再生時刻が設定され、設定された再生時刻に楽曲Aの再生を開始する(S14)。
【0045】
上記の処理を各楽曲データについて行うことにより、楽曲Bの再生時刻として、パソコン5の再生可能時刻(0:04)が決定される。また、楽曲Cの再生時刻として、携帯電話機3の再生可能時刻(0:07)が決定される。このようにして決定された楽曲毎の再生時刻において、データ記憶部12に記憶されている楽曲データが、データ再生部13により所定の順序に従って再生される。
【0046】
以上のように、本実施形態に係るデータ再生システム2によれば、いずれかのデータ再生端末において、所定の楽曲数毎に、最も遅い再生可能時刻に合わせて再生時刻を決定して他のデータ再生端末に送信することにより、データ再生端末によって再生速度が異なる場合にも、各データ再生端末における楽曲毎の再生時刻を所定の楽曲数毎に同期させることができる。
【0047】
また、携帯電話機3が、同時再生を行うデータ再生端末の台数分の再生可能時刻の情報を受信した場合に、他のデータ再生端末に再生時刻の情報を送信することで、いずれかのデータ再生端末がビジー状態の場合に、各データ再生端末のデータ再生部による楽曲データの再生を待機させることができる。
【0048】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、データ再生システムを構成するデータ再生端末として、携帯電話機3、携帯型音楽再生機4、パソコン5を例として説明したが、これに代えて、PDA(Personal Digital Assistants)等を用いてもよく、2台または4台以上のデータ再生端末から構成されることとしてもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、第1の実施形態において、まず携帯電話機3からデータ毎の再生可能時刻を送信することとして説明したが、携帯型音楽再生機4またはパソコン5から送信されることとしてもよい。
また、第2の実施形態において、携帯電話機3がデータ毎の再生時刻を決定することとして説明したが、携帯型音楽再生機4またはパソコン5が決定することとしてもよい。
また、本実施形態においては、再生可能なデータとして、楽曲データを用いたが、これに代えて、音声データ、画像データ、動画データ等としてもよい。
【0050】
また、データ記憶部12に、再生可能なデータと各データ再生端末に共通するデータのリストとを関連付けて格納し、このリストに基づいてデータ再生部13がデータ記憶部12に記憶されているデータを再生することで、各データ再生端末において共通するデータの同時再生を行うことが可能となる。
【0051】
また、第1の実施形態において、携帯電話機3から再生可能時刻の情報を受信した携帯型音楽再生機4およびパソコン5は、それぞれの再生可能時刻の情報を他のデータ再生端末に送信することとして説明したが、携帯電話機3から受信した再生可能時刻からの遅延時間の情報を他のデータ再生端末に送信することとしてもよい。
【0052】
また、図2、図5および図6に示す各データ再生端末の構成要素は、各データ再生端末が一般的に備えている構成要素とは個別に備えられていても良いし、各データ再生端末が一般的に備えている構成要素と併用することとしても良い。例えば、携帯電話機3であれば、一般的に送信部、受信部、及び記憶部を備えているので、これらの構成要素のうち、重複する構成要素については併用することとしてもよい。他のデータ再生端末についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係るデータ再生システムの構成図である。
【図2】第1の実施形態の各データ再生端末が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。
【図3】各データ再生端末に記憶されたデータのリストの一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態の処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態のいずれかのデータ再生端末が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。
【図6】第2の実施形態の他のデータ再生端末が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。
【図7】第2の実施形態の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 データ再生システム
3 携帯電話機
4 携帯型音楽再生機
5 パソコン
10,20,21 バス
11 制御部
12 データ記憶部
13 データ再生部
14 再生可能時刻送信部
15 再生可能時刻受信部
16 再生時刻決定部
17 台数送信部
18 台数受信部
24 再生時刻受信部
27 再生時刻送信部
28 台数設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末を備え、
各前記端末が、
再生可能なデータを複数記憶するデータ記憶部と、
該データ記憶部に記憶されているデータを所定の順序に従って再生するデータ再生部と、
該データ再生部のデータ毎の再生可能時刻の情報を、所定のデータ数毎に他の端末に送信する再生可能時刻送信部と、
前記他の端末から送信されたデータ毎の再生可能時刻の情報を受信する再生可能時刻受信部と、
所定のデータ数毎に、前記データ再生部のデータ毎の再生可能時刻と前記再生可能時刻受信部により受信した前記他の端末のデータ毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻を前記データ再生部のデータ毎の再生時刻として決定する再生時刻決定部とを備えるデータ再生システム。
【請求項2】
各前記端末が、
同時再生を行う端末の台数を他の端末に送信する台数送信部と、
前記台数送信部から送信された前記端末の台数を受信する台数受信部とを備え、
前記台数受信部により受信した台数分の再生可能時刻の情報を、前記再生可能時刻受信部により受信するまで前記データ再生部の再生を待機させる請求項1に記載のデータ再生システム。
【請求項3】
複数の端末を備え、
各前記端末が、
再生可能なデータを複数記憶するデータ記憶部と、
データ毎の再生可能時刻の情報を、所定のデータ数毎に送信する再生可能時刻送信部と、
前記データ記憶部に記憶されているデータを所定の順序に従って、設定された再生時刻に再生するデータ再生部とを備え、
前記端末の内のいずれかの端末が、
他の端末から送信されたデータ毎の再生可能時刻の情報を受信する再生可能時刻受信部と、
所定のデータ数毎に、前記データ再生部のデータ毎の再生可能時刻と前記再生可能時刻受信部により受信した前記他の端末のデータ毎の再生可能時刻とを比較して、その中で最も遅い時刻をデータ毎の再生時刻として決定する再生時刻決定部と、
所定のデータ数毎に、該再生時刻決定部により決定されたデータ毎の再生時刻の情報を前記他の端末に送信する再生時刻送信部とを備え、
前記他の端末が、
前記いずれかの端末から送信されたデータ毎の再生時刻の情報を受信する再生時刻受信部とを備えるとともに、
前記再生時刻受信部によりデータ毎の再生時刻の情報が受信された場合に該再生時刻の情報に基づいてデータ毎の再生時刻を設定するデータ再生システム。
【請求項4】
前記いずれかの端末は、
同時再生を行う前記端末の台数を設定する台数設定部を備え、
前記再生時刻送信部が、前記台数設定部により設定された台数分の再生可能時刻の情報を前記再生可能時刻受信部により受信した場合に、前記他の端末に対して再生時刻の情報を送信する請求項3に記載のデータ再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−54806(P2010−54806A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219675(P2008−219675)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】