説明

データ収集システム及び送信データ割当方法

【課題】周波数の利用効率を高めることができるデータ収集システムを提供する。
【解決手段】データを収集する複数の観測局装置と、各観測局装置のデータを集信する集信局装置とからなるデータ収集システムであって、集信局装置は、送信データ情報を記憶する送信データ情報記憶手段と、送信データ情報に記憶されている制約を満たすように、送信データ毎に送信時刻と送信周波数を割り当てたタイムテーブルを作成するタイムテーブル作成手段と、作成したタイムテーブルをそれぞれの観測局装置へ送信するタイムテーブル送信手段とを備え、観測局装置は、タイムテーブルを受信するタイムテーブル受信手段と、受信したタイムテーブルに基づいて、取得した送信データを集信局装置へ送信するデータ送信手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数帯域を効率的に利用してデータ伝送を行う無線によるデータ収集システムおよびデータ割当方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の観測局からのデータを集信局で収集する際において、複数の観測局からのデータ送信が衝突することを防ぐためには、広い周波数帯域を用意して、観測局毎に別の周波数を割り当てるか、データ送信の衝突を防ぐ仕組み、あるいは衝突した場合の再送の仕組みの導入といった措置を講ずる必要があり、周波数利用効率の低下を招いてしまうという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するために、効率的なデータ収集システムの構築を目的とした技術として、例えば特許文献1や非特許文献1に記載のものがある。これらは、観測局の送信データの許容遅延時間内で送信データの送信時刻を変えて、少ない周波数帯に詰め込むことで、周波数利用効率の向上を目指している。
【特許文献1】特開2006−245754号公報
【非特許文献1】井上,田中,能上,土田,風間,“多地点集信型衛星通信システムにおける最適チャネル割当て法”,信学技報,SAT2005-10,Jul 2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送信データを使用周波数と送信時間を組み合わせる最適化により割り当てているものの、個々の送信データの使用帯域幅やデータの所要伝送時間の最適化は行われていない。最適化計算により送信データの送信周波数と送信時間を割り当てる際、計算機の演算速度やメモリの制約から、割り当てを算出する時間全体を所定の分解能で区切ったタイムスロットの単位で割り付ける必要がある。このとき、観測局毎の使用帯域は一定と考えて、個々の送信データについて、送信周波数と送信時刻を割り当てている。従って、個々のデータが使用するタイムスロット数はデータ量によって決まるため、テキストデータのようなデータ量が少ないものについてはタイムスロット内に空きが生じる場合や、画像データのようなデータ量が多いものについては送信に時間を要して許容遅延時間内での送信開始時刻の割り当て自由度が少なくなる場合があり、効率的な割り当てができないという問題がある。また、送信データ毎にタイムスロット数が異なるため、詰め込み方法を最適化する際に、詰め込んだ後に、送信時間と周波数を調整するのが困難であるという問題もある。
【0005】
また、総使用周波数の最適化方法として非特許文献1では、予め詰め込みが可能な周波数帯域を総使用周波数帯域の上界値として用意し、(1)周波数帯域を減らす、(2)送信データの詰め込みを行う、(3)詰め込みが可能であれば、さらに周波数帯域を減らし、詰め込めなければ再度増やしてやり直しという(1)〜(3)の手順を所定の回数繰り返して、最小となる総使用周波数帯域を求めている。そのため、詰め込み手順を何度も繰り返す必要があり最適解の算出時間が長くかかってしまうという問題もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、観測局の送信データにデータ量の少ないものと多いものが混在するような場合においても、周波数の利用効率を高めることができるデータ収集システムとその送信データ割当方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、データを収集する複数の観測局装置と、前記各観測装置のデータを集信する集信局装置とからなるデータ収集システムであって、前記集信局装置は、送信データ情報を記憶する送信データ情報記憶手段と、前記送信データ情報に記憶されている制約を満たすように、送信データ毎に送信開始時刻と送信時間、及び送信周波数と送信周波数帯域を割り当てたタイムテーブルを作成するタイムテーブル作成手段と、前記作成したタイムテーブルをそれぞれの観測局装置へ送信するタイムテーブル送信手段とを備え、前記観測局装置は、前記タイムテーブルを受信するタイムテーブル受信手段と、前記受信したタイムテーブルに基づいて、取得した送信データを前記集信局装置へ送信するデータ送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明は、データを収集する複数の観測局装置から送信されるデータを集信する集信局装置であって、前記各観測局装置から送信される送信データに対して、データ送信を行う期間を区分したタイムスロットと、周波数帯域を区分した周波数スロットの割当を決定するために、前記各観測局装置の送信データ毎に、送信データ量、データ取得時刻および許容伝送遅延時間に対して、送信に使用する周波数スロット数と周波数スロット位置およびタイムスロット数とタイムスロット位置を割り当てる最適化処理手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、個々の送信データは、送信周波数スロット数と割当領域全体の約数となるタイムスロット数で組み合わされることを特徴とする。
【0010】
本発明は、データを収集する複数の観測局装置と、前記各観測局装置のデータを集信する集信局装置とからなるデータ収集システムにおけるデータ収集方法であって、前記集信局装置は、送信データ情報を記憶する送信データ情報記憶ステップと、前記送信データ情報に記憶されている制約を満たすように、送信データ毎に送信開始時刻と送信時間、及び送信周波数と送信周波数帯域を割り当てたタイムテーブルを作成するタイムテーブル作成ステップと、前記作成したタイムテーブルをそれぞれの観測局装置へ送信するタイムテーブル送信ステップとを有し、前記観測局装置は、前記タイムテーブルを受信するタイムテーブル受信ステップと、前記受信したタイムテーブルに基づいて、取得した送信データを前記集信局装置へ送信するデータ送信ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明は、データを収集する複数の観測局装置と、各観測局装置のデータを集信する集信局装置を備えたデータ収集システムにおける各観測局装置から集信局装置への送信データについて、データ送信を行う期間を区分したタイムスロットと、データ送信を行う周波数帯域を区分した周波数スロットの割り当てを決定する送信データ割当方法であって、個々の送信データが使用する周波数スロット数とタイムスロット数を、これらの積が送信データ量に応じた値となりかつ規格化ロスが少なくなるように決定し、送信データを使用するタイムスロット数が等しいもの毎にグループ分けし、グループ毎に割り当てる送信周波数スロットとタイムスロットの組み合わせを最大使用周波数スロット数を小さくするように、グループ毎の割り当て結果から全送信データの割り当てを決定することを特徴とする。
【0012】
本発明は、個々の送信データは、送信周波数スロット数と割当領域全体の約数となるタイムスロット数で組み合わされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線通信によるデータ収集システムにおいて、周波数帯域を効率的に利用してデータ伝送を行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態によるデータ収集システムを図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図であり、複数の観測局装置(以下、観測局と称する)21〜2Nと集信局装置(以下、集信局と称する)1から構成されるデータ収集システムを示している。観測局21〜2Nはそれぞれ、取得した送信データ71〜7Nをデータ送受装置5により集信局1に対して送信し、集信局1はデータ送受装置4により観測局21〜2Nが送信した送信データ71〜7Nを受信する。このとき、全ての観測局21〜2Nが取得し、観測局21〜2Nのそれぞれから集信局1へ送信するべき送信データ71〜7Nのそれぞれについて、データ取得時刻、送信データ量、許容遅延時間などから構成する送信データ情報は、予め決められて送信データ情報記憶部62に記憶されている。この送信データ情報は、それぞれの観測局21〜2Nから集信局1に対して送信され、これを受信したデータ送受装置4は、送信データ情報記憶部61に記憶する。
【0015】
一方、集信局1の最適化処理部31は、全ての観測局21〜2Nのそれぞれの送信データ情報から、送信データ情報6の制約のもとで送信データ71〜7Nの衝突を防ぎ、かつ、使用する周波数帯域を減らすなどの目的で最適化処理を行う。また、タイムテーブル生成部32は、送信データ毎に送信時刻と送信周波数を割り当てたタイムテーブルを作成して、タイムテーブル記憶部81に記憶する。タイムテーブル記憶部81に記憶されるタイムテーブルは各観測局21〜2Nに対して送信され、観測局21〜2Nは受信したタイムテーブルをタイムテーブル記憶部82に記憶し、この受信したタイムテーブルに従って取得した送信データ71〜7Nを集信局1に送信することにより送信データの衝突を防ぐ。
【0016】
図2は観測局21の送信データ毎に、送信時刻と送信周波数を割り当てる方法を示す図である。図2において、「A」〜「I」は個々の観測局に対応した送信データを示している。矢印の左端はデータ取得時刻、矢印の長さが許容遅延時間を示している。個々の送信データは、データ取得時刻から許容遅延時間内で、且つ、他の観測局のデータと衝突しないように送信時刻と送信周波数を割り当てる必要がある。ここで、データ送信を行う期間を一定の分解能でタイムスロットに区分する。また、周波数についても周波数の割当分解能となる周波数スロットを用意する。このようにすることで、個々の観測局の送信データについて、タイムスロットの位置と数で送信時刻と送信時間を、周波数スロットの位置と数で使用周波数と帯域を割り当てることができる。
【0017】
このとき、送信データはタイムスロットと周波数スロットで作られる領域で示され、送信データを、データ取得時刻や許容遅延時間、送信データ量(タイムスロットと周波数スロットで作られる面積に対応)の制約条件下でタイムスロットと周波数スロットヘ割り当てる問題となる。図2においては観測局の全ての送信データが許容遅延時間内で送信可能でかつ、使用する周波数スロット数がすべて同じ場合を示している。ここでは、観測局の周波数スロットを全て2スロットに固定した場合を示している。また、データ取得と同時に送信開始するものとし、衝突を防ぐために、観測局毎に異なる周波数スロットを割り当てた例を示している。データの送信はタイムスロットが1秒として、例えば、「A」のデータは時刻0秒においてデータ取得を終了し、同時に送信を開始して、許容遅延時間6秒に達する前の4.5秒で送信を終了する場合を示している。また、送信データ「A」を送信する観測局は時刻6秒、および、図に示される範囲外においても、所定の時刻にデータを取得し、送信されるものとする。この場合、送信データをタイムスロットと周波数スロットに割り当てているが、観測局毎に異なる周波数スロットを用いているため、周波数の利用効率が悪い。送信データは許容遅延時間の範囲で送信時刻を変更できるため、タイムスロットと周波数スロットの位置と数を変えることで、周波数帯域を少なくすることができる。
【0018】
個々の送信データについて、データ取得時刻以降、許容遅延時間内で全使用周波数スロット数が小さくなるように周波数スロット位置および、タイムスロット位置を最適化する問題は、一般に混合整数計画問題と呼ばれる問題であり、効率的な最適解の算出が困難な問題として知られている。この解を得るための手法として、順次送信データをスロットに詰め込み、より周波数が少なくなるように置き換えていくことで、周波数スロットを小さくしていく組み合わせ最適化手法がある。
【0019】
図3は組み合わせ最適化手法を用いた従来の方式に対応した割当方法を示す図である。図2に示す送信データを周波数スロットの位置とタイムスロット位置の組み合わせを変えることにより、周波数利用効率を高めて全送信周波数帯域を小さくした場合の説明図である。図2に示した許容遅延時間の範囲で送信データのタイムスロット位置を変更することで、異なる観測局のデータが衝突することなく同一の周波数スロットに割当られ、全送信データを割り当てるのに必要な周波数スロットを削減できている。
【0020】
しかしながら、周波数スロットが一定なため、送信データ量に応じて所要送信時間が決まる。また、一つのタイムスロットの幅は送信データを割り当てる全割当区間を区分する分解能に相当するため、演算時間やメモリの制約から長さが決まる。従って図3に示す送信データA、G、Hのように送信データの最後のタイムスロット内で無駄な空時間(以下では規格化ロスと呼ぶ)が生じる。また、送信データAのように送信に要する時間と許容遅延時間が近いものは、割り当ての自由度が低く、周波数の充填率を高める妨げとなっている。
【0021】
図4は、本発明による割当方法を示す図であり、図5は本発明による割当方法を決定する処理手順を示すフローチャートである。ここで、図5を参照して、割当方法を決定する処理手順を説明する。
【0022】
まず、最適化処理部31は、全データの取得時刻(T0)、送信データ量(X)、許容遅延時間(D)を入力する(ステップS1)。続いて、最適化処理部31は、送信データ毎に、規格化ロスが少なくなるようにFS(周波数スロット)、TS(タイムスロット)数を選定し(ステップS2)、同じTS数となる送信データをグループ化する(ステップS3)。続いて、最適化処理部31は、グループ毎の送信データのスロット位置を割り当て(ステップS4)、制約条件を設定する(ステップS5)。ここでいう制約条件とは、「許容遅延時間内に送信が終了する」、「データに使用スロットの組み合わせが衝突しない」である。そして、最適化処理部31は、設定した制約条件を満足するか否か、充填率及び最大帯域の評価を行うことにより割り当て結果の判定を行う(ステップS6)。この判定の結果、問題がない場合、最適化処理部31は、グループ毎の送信データのスロット位置を割り当て結果情報をタイムテーブル生成部32へ出力する。これを受けて、タイムテーブル生成部32は、全グループをまとめてタイムテーブルを生成し、タイムテーブル記憶部81へ記憶する(ステップS7)。
【0023】
このように、本発明による割当方法を決定は、送信データについて、周波数スロットの位置とタイムスロットの位置に加えて、周波数スロット数およびタイムスロット数の組み合わせを変更して割り当てる方法とした。このとき、個々の送信データについて、送信データ量が与えられるため、周波数スロットとタイムスロットのどちらか一方を与えると他方は送信データ量から決定される。このとき、前述のように、送信データが使用する周波数帯域を割り当てる周波数スロット数で決めると、送信データの使用する最後のタイムスロットの途中で送信が終了し、最後のタイムスロットが終了するまでの時間は周波数が利用されない、規格化ロスが生じる。そこで、周波数スロットの数で決まる周波数帯域を利用して、規格化ロスが少なくなるように周波数スロット数とタイムスロット数の組み合わせを選ぶようにした。このようにすることで、個々の送信データの使用するタイムスロットの空時間が少なくなり、周波数利用効率をより向上させることができる。
【0024】
さらに、使用するタイムスロット数が同じもので送信データをグループ化して、それぞれについて最適化した結果をまとめて全データの割り当てを行う最適割当方法としたため、(1)送信データの使用するタイムスロット位置がデータ取得時刻から許容遅延時間内に入ること、(2)使用するタイムスロットが他の送信データと重ならないこと、を制約条件として、最大周波数スロット数が全データをスロットに割り当てたときの最大使用周波数スロット数を小さくする問題として表現できる。この問題は、状態数の非常に多い組み合わせの中から最適な解を算出する混合整数計画問題の一つであり、効率的な解を求めることが困難な問題クラスに属するが、タブサーチ法などのメタヒューリスティックな解法や汎用OR法で各種用いられている祖み合わせ最適化手法を適用することで、最適に近い解を求めることができる。
【0025】
図6はタイムスロット数が同じものでグループ化して送信データの割り当てを最適化する方法の説明図である。図6に示す(a)〜(d)は送信データを示し、タイムスロット数が2となるグループで、最適な割り当てを求める途中の状態を示している。図6に示す状態から、送信データを置き換える場合を考える。このときデータ毎にタイムスロット数が異なっていると、送信データを割り当てる際に、タイムスロット幅を考慮して、データが衝突しないように、割り当てや置き換えを行う必要があり、最適化のアルゴリズムが複雑になるが、図6の場合、タイムスロット数が同じものでグループ化しているため、送信データのスロット位置を変える場合も、送信データのタイムスロット数単位で交換することで、隣り合うタイムスロットでのデータの衝突が起きないことから、単純なアルゴリズムで詰め替えを行なうことができる。
【0026】
また、送信データが使用するタイムスロット数として、全送信データの割り当てを行う期間全体のタイムスロット数の約数となるように選ぶことで、計算区間の終端部と送信データのタイムスロットの終端部が一致するため、計算区間の終端部で複雑な処理が必要なく、アルゴリズムを簡素化することができる。
【0027】
図7は観測局21〜2Nに対する送信時刻と送信周波数を割り当てた結果得られるタイムテーブルの一例を示す説明図である。T1〜Tnは送信時刻を示し、f1〜fnは送信周波数を示している。個々の送信データのタイムスロットの位置と数、および周波数スロットの位置と数から、各観測局毎に送信時刻と送信周波数が割り当てられ、観測局21〜2Nのそれぞれはこのテーブルに従って、送信データを集信局1へ送信する。
【0028】
このように、各観測局21〜2Nから集信局1への送信データに対して、データ送信を行う期間を区分したタイムスロットと、周波数帯域を区分した周波数スロットの割り当てを決定する割当決定部3が、各観測局21〜2Nの送信データ毎に、送信データ量、データ取得時刻および許容伝送遅延時間に対して、送信に使用する周波数スロット数と周波数スロット位置およびタイムスロット数とタイムスロット位置を割り当てる場合に、送信データ毎に周波数スロット数を割り当てるとともに、送信に要する帯域も個々に割り当てるようにしたため、少ない周波数帯域で多数の観測局21〜2Nからのデータを収集するシステムを実現することができる。
【0029】
また、データを収集する複数の観測局21〜2Nと各観測局のデータを集信する集信局1を備えたデータ収集システムにおいて、集信局1が、各観測局21〜2Nから集信局1への送信データに対して、データ送信を行う期間を区分したタイムスロットと、周波数帯域を区分した周波数スロットの割り当てを決定する割当決定部3を備え、個々の送信データが使用する周波数スロット数とタイムスロット数の積が送信データ量に応じた値となるように周波数スロット数、およびタイムスロット数を決定し、個々の送信データが使用するタイムスロット数が同一なものを1つのグループとしてグループ分けし、グループ毎に送信データを送信する送信周波数スロットとタイムスロットの組み合わせ最適化処理を行って、グループ毎の割り当て結果を結合して、全送信データの割り当て結果を算出するようにしたため、周波数帯域を効率的に利用してデータ伝送を行うことができる。
【0030】
以上説明したように、送信データの使用する周波数を周波数スロットの数で調整可能とし、送信データ量、データ取得時刻および許容伝送遅延時間に対して、送信する周波数スロット数とタイムスロット数の両者の組み合わせにより、送信データの送信所要時間を変えることができるようにしたため、より効率的に周波数帯域に割り当てることができ、周波数帯域の利用効率を高めることができる。また、タイムスロット数が同一のものをグループ化することにより、送信データ毎のタイムスロット数が同じになるため、許容伝送遅延時間の範囲で任意の送信データ毎の入れ替えが可能となり、詰め替えを変更するアルゴリズムが簡素化されて演算時間を短縮することができる。また、送信データの周波数スロット数と組み合わせられるタイムスロット数を送信データの割り当てを算出する全割当算出区間のタイムスロット数の約数とすることで、全割当算出区間の終端部に特別な処理が不要となるためアルゴリズムを簡素化することができる。
【0031】
なお、図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより送信データ割当処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0032】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】観測局の送信データ毎に、送信時刻と送信周波数を割り当てる方法を示す説明図である。
【図3】組み合わせ最適化手法を用いた従来の方式に対応した割当方法の説明図である。
【図4】本発明による割当方法を示す説明図である。
【図5】本発明による割当方法の処理手順を示す説明図である。
【図6】タイムスロット数が同じものでグループ化して送信データの割当を最適化する方法を示す説明図である。
【図7】観測局に対する送信時刻と送信周波数を割り当てたタイムテーブルを示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・集信局(集信局装置)、21、22、2N・・・観測局(観測局装置)、3・・・割当決定部、31・・・最適化処理部、32・・・タイムテーブル生成部、4、5・・・データ送受装置、61、62・・送信データ情報記憶部、71、72、7N・・・送信データ、81、82・・・タイムテーブル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを収集する複数の観測局装置と、前記各観測装置のデータを集信する集信局装置とからなるデータ収集システムであって、
前記集信局装置は、
送信データ情報を記憶する送信データ情報記憶手段と、
前記送信データ情報に記憶されている制約を満たすように、送信データ毎に送信開始時刻と送信時間、及び送信周波数と送信周波数帯域を割り当てたタイムテーブルを作成するタイムテーブル作成手段と、
前記作成したタイムテーブルをそれぞれの観測局装置へ送信するタイムテーブル送信手段とを備え、
前記観測局装置は、
前記タイムテーブルを受信するタイムテーブル受信手段と、
前記受信したタイムテーブルに基づいて、取得した送信データを前記集信局装置へ送信するデータ送信手段と
を備えたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項2】
データを収集する複数の観測局装置から送信されるデータを集信する集信局装置であって、
前記各観測局装置から送信される送信データに対して、データ送信を行う期間を区分したタイムスロットと、周波数帯域を区分した周波数スロットの割当を決定するために、前記各観測局装置の送信データ毎に、送信データ量、データ取得時刻および許容伝送遅延時間に対して、送信に使用する周波数スロット数と周波数スロット位置およびタイムスロット数とタイムスロット位置を割り当てる最適化処理手段を備えたことを特徴とする集信局装置。
【請求項3】
個々の送信データは、送信周波数スロット数と割当領域全体の約数となるタイムスロット数で組み合わされることを特徴とする請求項2に記載の集信局装置。
【請求項4】
データを収集する複数の観測局装置と、前記各観測局装置のデータを集信する集信局装置とからなるデータ収集システムにおけるデータ収集方法であって、
前記集信局装置は、
送信データ情報を記憶する送信データ情報記憶ステップと、
前記送信データ情報に記憶されている制約を満たすように、送信データ毎に送信開始時刻と送信時間、及び送信周波数と送信周波数帯域を割り当てたタイムテーブルを作成するタイムテーブル作成ステップと、
前記作成したタイムテーブルをそれぞれの観測局装置へ送信するタイムテーブル送信ステップとを有し、
前記観測局装置は、
前記タイムテーブルを受信するタイムテーブル受信ステップと、
前記受信したタイムテーブルに基づいて、取得した送信データを前記集信局装置へ送信するデータ送信ステップと
を有することを特徴とするデータ収集方法。
【請求項5】
データを収集する複数の観測局装置と、各観測局装置のデータを集信する集信局装置を備えたデータ収集システムにおける各観測局装置から集信局装置への送信データについて、データ送信を行う期間を区分したタイムスロットと、データ送信を行う周波数帯域を区分した周波数スロットの割り当てを決定する送信データ割当方法であって、
個々の送信データが使用する周波数スロット数とタイムスロット数を、これらの積が送信データ量に応じた値となりかつ規格化ロスが少なくなるように決定し、送信データを使用するタイムスロット数が等しいもの毎にグループ分けし、グループ毎に割り当てる送信周波数スロットとタイムスロットの組み合わせを最大使用周波数スロット数を小さくするように、グループ毎の割り当て結果から全送信データの割り当てを決定することを特徴とする送信データ割当方法。
【請求項6】
個々の送信データは、送信周波数スロット数と割当領域全体の約数となるタイムスロット数で組み合わされることを特徴とする請求項5に記載の送信データ割当方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−211737(P2008−211737A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48947(P2007−48947)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、総務省、「衛星通信用中継器における周波数高密度利用技術の研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】