説明

データ生成装置、データ生成方法およびプログラム

【課題】 印刷装置において搬送量を調整して印刷を行う場合、印刷すべき画像が当初予定していた範囲に収まらなかったり、当初予定していた範囲に余白が生じたりしてしまっていた。
【解決手段】 本発明は、搬送量の調整量を取得し、取得した調整量に応じて、画像データの搬送方向のサイズを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出するための印刷ヘッドを走査させて印刷媒体に画像を印刷するために用いるデータを生成するデータ生成装置、データ生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリアルスキャン型のインクジェットプリンタでは、印刷ヘッドが1回のスキャンで通過する領域(バンド)と領域(バンド)の間にスジむらが発生することがある。これは、理論上の設計量どおり印刷媒体が搬送されたとしても、インクの滲みやすい印刷媒体であるとバンドとバンドの間が濃くなってしまい、逆にインクの滲みにくい印刷媒体であるとバンドとバンドの間が薄くなってしまうこと等に起因する。このような問題に対して、特許文献1には、テストパターンを印刷して搬送量の調整を行うことで、上述したスジむらを軽減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−85242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、スジむらを軽減するために、1回あたりの搬送量を調整すると、印刷媒体に印刷される画像の印刷範囲が搬送方向に長くなったり、短くなったりしてしまう。そのため、印刷範囲が長くなった場合には印刷されるべき画像が当初予定していた範囲に収まらなかったり、逆に印刷範囲が短くなった場合には当初予定していた範囲に余白が生じてしまったりしていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、印刷装置により印刷媒体に画像を印刷するために用いられる画像データを生成するデータ生成装置であって、前記印刷装置において前記印刷媒体を搬送方向に搬送するときの搬送量の調整量を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した調整量に応じて、前記画像データの前記搬送方向のサイズを変更する変更手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上の構成によれば、搬送量を調整して印刷を行う場合にも、印刷すべき画像が当初予定していた範囲に収まらなかったり、当初予定していた範囲に余白が生じたりすることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を適用可能な印刷システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明を適用可能な印刷装置の外観斜視図。
【図3】本実施形態のプリンタドライバの設定画面の一例を説明する図。
【図4】搬送量を増加させる場合の印刷データの生成処理を説明する図。
【図5】搬送量を減少させる場合の印刷データの生成処理を説明する図。
【図6】本実施形態の印刷データの送信処理を示すフローチャート。
【図7】本実施形態の搬送調整量を取得する処理を示すフローチャート。
【図8】本実施形態の印刷データを作成する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1(A)は、本実施形態の印刷システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態の印刷システムは、パーソナルコンピュータ(PC)等のホスト装置1と、このホスト装置1に接続されたプリンタ(印刷装置)2とを含む。
【0009】
ホスト装置1には、オペレーティングシステム(以下、OS)101と、プリンタ2を制御するソフトウェアであるプリンタドライバ103と、各種文書を作成するアプリケーション102とがインストールされている。ホスト装置1では、アプリケーション102によって作成される各種のドキュメントを印刷するため、OS101とプリンタドライバ103とが動作する。また、プリンタドライバ103は、以下の3つの機能部を含む。即ち、ユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェース部104、プリンタ2に送信する印刷データを生成するグラフィックス処理部105、プリンタ情報取得設定部106である。グラフィックス処理部105が生成する印刷データは、印刷する画像に対応する印刷イメージデータ(画像データ)および印刷媒体の種類、サイズ等の付加情報をPDLで記述したPDLデータである。また、プリンタ情報取得設定部106は、プリンタ2に装着されている印刷媒体の幅情報や現在のプリンタ2の状態など各種プリンタ情報の取得及びプリンタ2に対する情報の送信を行う。
【0010】
図1(B)は、ホスト装置1および印刷装置2の構成を示すブロック図である。同図において、CPU201はホスト装置全体の各種制御を行う。ROM202にはホスト装置の起動時にCPU201が実行する初期化プログラムや各種データが格納されている。RAM203はCPU201に対するメインメモリや作業領域として用いられる。外部記憶装置205は、例えば、ハードディスク(HDD)等で構成され、各種プログラムが格納される。そして、RAM203には後述するフローチャートで示される処理を実現するためのプログラムがHardDisk等の外部記憶装置205よりロードされる。入力部206はキーボードやマウス等で構成され、CPU201に対して各種指示入力を行う。LCDやCRTなどで構成される表示部207は、CPU201の制御によって各種表示を行う。通信インタフェース204によりプリンタ2等の周辺装置との通信を行う。
【0011】
プリンタ2は、通信インタフェース251を介してホストPCに接続される。CPU252はプリンタ全体の各種制御を行い、RAM253は画像処理において用いられる画像色変換テーブルやプロファイル等を記憶する。ROM254は、プリンタ2を制御するためのプログラムや画像処理のためのプログラム、後述する搬送調整量の情報等を格納する。255はHDD等の外部記憶装置であり、印刷データ及びその管理情報等を記憶する。センサ256は、カセット挿入、印刷媒体のサイズ、用紙種(印刷媒体の種類)等の検出やバーコード情報の読み取り等が可能である。操作パネル257は、プリンタ2の設定等を行ういくつかのキーとプリンタのステータス等を表示する表示部を含む。プリンタエンジン258は、ホスト装置1から送信される印刷データに基づいて印刷ヘッドや印刷ヘッドを駆動するモータを制御する。回復部259は、印刷ヘッド回復モータ等により印刷ヘッドの吸引、ワイピングおよびキャッピング等の回復動作を行う。
【0012】
図2(A)は、プリンタ2の概略斜視図を示す。プリンタ2は、スタンド200の上部に装置本体(本体部)201を搭載して構成されている。本体部201の手前側には紙管に巻回されたロール状の印刷媒体(ロール紙)Rがセットされている。また、本体部201には、印刷媒体Rを解きながら印刷位置へ給紙(搬送)する給紙部と、解き出された印刷媒体を巻き戻すための巻戻部とを有する給紙機構202が設けられている。給紙機構202から解き出された印刷媒体Rは、Uターン搬送されながら印刷位置で画像が印刷された後、本体部201の手前側から排出されてくる。
【0013】
本体部201より下方には、本体部201で画像を印刷した印刷媒体Rを巻取るための巻取り装置203が装備されている。巻取り装置203は、本体部201から送り出される印刷媒体を、巻取り駆動部204と巻取り可動部205の間に保持した紙管(不図示)に巻取っていく。巻取り駆動部204の内部には、エンコーダの信号に基づいて紙管を回転させるモータ(不図示)が装備されている。また、巻取り可動部205は両矢印Cで示す幅方向に移動可能であり、保持される紙管の長さ(印刷媒体の幅サイズ)に応じてユーザが移動させることができる。
【0014】
図2(B)は、本体部201の内部の斜視図を示す。本体部201の上部には開閉カバー211が設けられ、開閉カバー211を開くことにより内部の機構にアクセスすることができる。本体部201には、印刷ヘッド212を搭載して印刷媒体の幅方向に往復移動可能なキャリッジ213が設けられている。また、印刷ヘッド212と対向する位置には、印刷ヘッド212により画像が印刷される印刷媒体を案内支持するためのプラテン214が配されている。プラテン214の搬送上流側(本実施形態では、本体部201内のUターン搬送経路において、給紙機構202にセットされた紙管上の印刷媒体R寄りの位置)には、印刷媒体Rを搬送(紙送り)するための搬送ローラ215が配されている。搬送ローラ215に対してローラホルダ216に軸支された複数のピンチローラ217を弾性力により押圧することにより、その間に挟持される印刷媒体Rに搬送力が付与される。
【0015】
プリンタ2においては、キャリッジ213をレール218に沿って矢印E、F方向に移動(主走査)させながら、印刷データに基づいて印刷ヘッド212から印刷媒体へインクを吐出することにより画像の印刷が行われる。キャリッジ213の移動に同期して1ライン分の印刷と搬送ローラ215による印刷媒体の矢印G方向への所定ピッチの搬送(紙送り)とを交互に繰り返すことにより、印刷媒体Rに画像が印刷されていく。
【0016】
キャリッジ213には、印刷媒体Rを切断するための切断装置(カッターユニット)219が搭載されている。キャリッジ213を主走査方向に移動させ、カッターユニット219を突き出し部材に突き当てることにより、カッターユニット219内の刃が出るように構成されている。そして、この状態でキャリッジ213を矢印E方向またはF方向に移動させることにより、印刷媒体Rをカットする。キャリッジ213の移動方向の反対側には、突き出し部材と同様の突起があり、カッターユニット219内の刃は、この突起にあてることにより刃が収納される。また、キャリッジ213にはセンサユニット(不図示)が取り付けられており、センサユニットで印刷媒体Rの端部位置を検知することが可能である。センサユニットは様々なLEDを搭載し多くの印刷媒体の端部や厚みなどを測定できるほか、印刷媒体Rの左右端部位置情報の差から印刷媒体Rの幅を算出することが可能である。なお、印刷媒体Rの左右端が一様でない場合などは、媒体取り付け時にユーザに媒体幅を入力させることで特定することができるようにしている。さらに、センサユニットとは別に、媒体有無センサ(不図示)が、搬送方向上流側のプラテン214上に設けられている。媒体有無センサは、発光素子及び受光素子で構成される光学式のセンサであり、発光素子から光を照射し、反射した光を受光素子により受光することで印刷媒体Rの有無を検出する。
【0017】
次に、ユーザが画像を印刷する際の印刷条件の設定手順について説明する。まず、ユーザはアプリケーション102にて任意のドキュメント、画像等を作成し、アプリケーション102が備えるメニュー等から印刷指示を行うと、印刷ダイアログが起動する。一般的に、アプリケーション102が備える印刷ダイアログからは、プロパティボタン等を押下することにより、選択しているプリンタドライバ103の設定を確認、または変更を行うことができる。
【0018】
図3は、プリンタドライバ103が表示する設定画面のユーザインタフェースを示す。同図において、301は原稿サイズリストボックス、302は用紙の種類リストボックス、303は給紙方法リストボックス、304は印刷品質リストボックスである。また、305は印刷ボタン、306はキャンセルボタンである。ユーザは、原稿サイズリストボックス301により、原稿(印刷媒体)のサイズを設定することができる。本実施形態のプリンタ2では、印刷の行われたロール紙をカッターユニット219によりカットすることで、所定サイズの印刷媒体に画像を印刷することができるようになっている。ここでは、原稿の大きさとしてA2を設定した場合を示している。また、用紙の種類リストボックス302は用紙種(印刷媒体の種類)を設定することができ、ここでは光沢紙を設定している場合を示している。給紙方法リストボックス303は、印刷する際の給紙方法を設定することができ、ここではロール紙を設定している場合を示している。そして、印刷品質リストボックス304は、画像を印刷するときの印刷品質を「はやい」、「標準」、「きれい」等のリストの中から設定することができ、この設定を変更すると印刷解像度、マルチパス印刷のパス数、キャリッジ速度等が変更になる。ここでは、印刷品質リストボックス304を「きれい」に設定している場合を示している。
【0019】
以上の設定がなされた状態で印刷ボタン305を押下することにより、プリタドライバ103の設定が確定し、ユーザインタフェース表示が終了する。一方、キャンセルボタン306を押下すると、変更した設定が有効にならず、プリンタドライバ103の初期設定、あるいは以前に設定した内容が用いられ、プリンタドライバ103のユーザインタフェース表示が終了する。
【0020】
次に、図6に示すフローチャートを用いて、本実施形態の印刷データの送信処理について説明する。まず、ステップS101において、印刷ダイアログ301を表示する。このとき、ユーザインタフェース部104からプリンタドライバ103で設定されている印刷媒体の種類を取得する。次に、ステップS102では、搬送調整量の取得処理として、ホスト装置1はプリンタ2から搬送調整量を取得する。
【0021】
本実施形態では、プリンタ2で印刷するときに1回ごとの搬送量が搬送調整量により調整可能となっている。この搬送調整量は、例えば、バンドとバンドの間でつなぎスジが発生しないように搬送量を調整するためのもので、理論上設計された搬送量を印刷媒体の種類ごとに多めにしたり、少なくしたり調整するためのものである。この搬送調整量は、ホスト装置1の入力部116またはプリンタ2の操作部を介したユーザの入力により、印刷媒体の種類ごとに予めプリンタ2内のメモリに格納しておくことができる。または、印刷媒体の種類ごとに、初めてプリンタ2で使用するときにテストパターンを作成し、それをプリンタ2に設けたマルチセンサで読み取ることにより調整値を算出し、これをプリンタ2のメモリに格納するようにしてもよい。また、搬送量の調整は、プリンタ2の搬送ローラを駆動するために設けられたステッピングモータを回転させるときのパルス数を一定間隔で増減することで行う。
【0022】
本実施形態では、搬送調整量を指定する情報(搬送調整量情報)は、「パルス数の増減/調整間隔」のように構成される。例えば、ステッピングモータの回転のパルス数を200パルスごとに1パルス増加させて搬送量を調整(増加)する場合は、属性値として「パルス数増加/調整間隔200」のような情報で構成される。
【0023】
なお、本実施形態では、つなぎスジを軽減することを目的とした搬送調整量に加えて、搬送補正量を用いて1回あたりの搬送量が補正されるようにしている。例えば、印刷媒体の種類によっては滑りやすい印刷媒体などもあり、実際の搬送量が理論上設計された搬送量からずれてしまう場合もある。そのため、印刷媒体の種類ごとに搬送補正量を設けて、理論上設計された搬送量どおりに搬送されるようにしている。そのため、まず補正量を搬送補正量で補正して理論上設計された搬送量で搬送できるようにした上で、さらに搬送調整量を用いて搬送量を調整することによりつなぎスジを軽減するように構成している。
【0024】
ここで、図7を用いて、ステップS102において搬送調整量を取得する処理を説明するフローチャートである。まず、ステップS201で、ホスト装置1がプリンタ2に対して搬送調整量取得の要求をプリンタ情報取得設定部106経由で送信する。続くステップS202で、プリンタ2は、メモリ内に格納している搬送調整量を取得する。このステップでは、用紙種(印刷媒体の種類)ごとに対応付けてメモリ内に格納された搬送調整量をすべて取得する。ステップS203において、プリンタ2は、印刷媒体の種類ごとに設定されている搬送調整量をプリンタ情報取得設定部106経由でホスト1に送信する。次に、ステップS204で、ホスト1はプリンタ2から受信した搬送調整量を取得する。そして、ホスト装置1は、取得した搬送調整量の中から、用紙の種類リストボックス302で選択されている印刷媒体の種類に対応する搬送調整量を抽出する。以上により、搬送調整量を取得する処理を完了する。
【0025】
ここで、図6の印刷データの送信処理の説明に戻る。ステップS103では、印刷ボタン305が押下されたかどうかを判断し、押下された場合にステップS104に進む。ステップS104では、プリンタドライバで設定された内容および取得した搬送調整量に基づいて、印刷データの作成処理を実行する。そして、ステップS105では、ステップS104でホスト装置1が作成した印刷データをプリンタ2に対して送信する。
【0026】
図8は、ステップS104において印刷データを作成する処理を説明するフローチャートである。まず、ステップS301において、プリンタ2から取得した搬送調整量に基づいて、印刷時に搬送調整量に基づく搬送量の調整が行なわれるか否かを判断する。すなわち、本実施形態では、すべての印刷媒体について搬送量調整が行われるわけではなく、印刷媒体の種類によっては搬送調整量がゼロとなっているものも存在する。ステップS301において調整が行なわれると判断された場合はステップS302に進み、調整が行なわれないと判断された場合はステップS303に進む。
【0027】
次に、ステップS302で、グラフィックス処理部105は、印刷品質に関連付けられた解像度と取得した搬送調整量に基づいて印刷イメージデータ(画像データ)を生成する。
【0028】
例えば、印刷品質に関連付けられた解像度が600(DPI)*600(DPI)、搬送調整量情報が「パルス数増加/調整間隔200」である場合、搬送方向への搬送量は搬送量調整を行わない場合よりも1/200多くなる。ここで、画像データは、以下の計算式(式1)から算出される縦方向(搬送方向)の解像度で生成される。つまり、搬送量調整により搬送量が増加する場合、画像データの搬送方向の解像度をプリンタドライバ103で設定された解像度よりも低い解像度とすることで、搬送方向における印刷範囲が指定された長さとなるように調整する。
600(DPI)*200/201=597.0(DPI)・・・(式1)
次に、ステップS304では、給紙方法リストボックス303で指定された給紙方法がロール紙かどうかを判断する。このステップS304で、ロール紙と判断された場合はステップS305に進み、ロール紙でないと判断された場合はステップS306に進む。
【0029】
ステップS305では、搬送量調整による出力用紙サイズの変化を考慮し、出力用紙サイズを調整した上でPDLデータ(印刷データ)を作成する。本実施形態のプリンタ2は、搬送量調整を行う場合でも、搬送量調整を行わない場合と同じ1回あたりの搬送量を用いて全体の搬送量を管理する。そのため、搬送量調整を行うと、プリンタ2で管理されている全体の搬送量が、実際に行われた搬送による搬送量とずれてしまうことになる。その結果、ロール紙の印刷媒体に印刷を行うときには、画像の印刷後のカット位置が、出力用紙サイズが指定された用紙サイズと異なってしまう。そこで、本実施形態では、プリンタ2で搬送量調整を行う場合、搬送調整量に基づいて出力用紙サイズを変更することにより、実際に画像の印刷された印刷媒体のサイズが、指定された用紙サイズとなるようにする。
【0030】
例えば、プリンタドライバ103で設定された内容が、出力用紙サイズ「A0(841mm×1189mm)」、印刷品質に関連付けられた解像度が「600(DPI)*600(DPI)」であるとする。また、プリンタ2から取得した搬送調整量情報が「パルス数増加/調整間隔200」であるとする。この例では、A0(841mm×1189mm)で指定された出力用紙サイズに対して、プリンタ2に指定する出力用紙の縦方向のサイズを以下の計算式(式2)で再計算する。以上のように、出力用紙の縦方向のサイズを小さなサイズに変更することにより、プリンタ2で搬送量調整が行われても、ユーザが指定した用紙出力サイズで印刷が行なわれるようになる。
1189(mm)*200/201=1183.0(mm)・・・(式2)
ここで、搬送量を少なくする搬送量調整を行う場合の例について補足する。例えば、ここでは、印刷品質に関連付けられた解像度が600(DPI)*600(DPI)、搬送調整量情報が「パルス数減少/調整間隔200」であるとする。この場合、搬送方向への搬送量は搬送量調整を行わない場合よりも1/200少なくなるため、ステップS302では、以下の計算式(式3)から算出される縦方向(搬送方向)の解像度で画像データを生成する。
600(DPI)*200/199=603.0(DPI)・・・(式3)
【0031】
また、ステップS305では、ユーザにより指定された出力用紙サイズが「A0(841mm×1189mm)」の場合、プリンタ2に指定する出力用紙の縦方向のサイズを以下の計算式(式4)で再計算する。
1189(mm)*200/199=1195.0(mm)・・・(式4)
【0032】
図8の説明に戻り、ステップS301において搬送量調整が行なわれないと判断された場合はステップS303に進み、プリンタドライバ103で設定された解像度で画像データが生成される。そして、ステップS306では、搬送量調整が行われないか、もしくは印刷媒体がロール紙でなくカット紙であると判断されている。そのため、印刷データ(PDLデータ)の作成において、搬送調整量に基づく出力用紙サイズの再計算はせずに、指定された出力用紙サイズでPDLデータを作成する。
【0033】
図4は、プリンタ2において搬送量を増加させるような搬送量調整が行われる場合の、ユーザ作成データ401、印刷データ(PDLデータ)402、実際の印刷結果403を概念的に説明する図である。図4(A)は、本実施形態によりロール紙の印刷媒体に画像を印刷する例を示しており、図4(B)は、本実施形態によりカット紙の印刷媒体に画像を印刷する例を示している。一方、図4(C)は、ロール紙の印刷媒体に画像を印刷する従来例を示している。また、ユーザ作成データ401は、アプリケーション102を用いてユーザにより作成されたデータであり、印刷データ(PDLデータ)402は、図8の印刷データ作成処理のステップS305またはS306で生成されたデータである。
【0034】
図4(A)では、ユーザ作成データ401に対して、図8のステップS302において、印刷イメージデータの搬送方向における解像度を低くして画素数を少なくしている。また、ステップS305では、プリンタ2の搬送調整量が多くなることに対応して出力用紙サイズを指定サイズより小さいサイズに変更している。以上の処理によって、印刷データ402には、印刷イメージ減少分402aと出力用紙サイズ減少分402bが生じることになる。本実施形態では、印刷イメージデータと出力用紙サイズを搬送方向に縮小して印刷データ402を作成することにより、プリンタ2で搬送量を増加させる調整が行われる場合でも、ユーザ作成データ401と同じように印刷結果403が得られることになる。
【0035】
図4(B)では、ユーザ作成データ401に対して、図8のステップS302において、印刷イメージデータの搬送方向における解像度を低くして画素数を少なくしている。また、印刷媒体がカット紙であるので、出力用紙サイズは指定サイズにより印刷データを生成している(ステップS306)。以上の処理によって、印刷データ402には、印刷イメージ減少分402aが生じることになる。本実施形態では、印刷イメージデータを搬送方向に縮小して印刷データ402を作成することにより、プリンタ2で搬送量を増加させるように搬送量調整が行われる場合でも、ユーザ作成データ401と同じように印刷結果403が得られることになる。
【0036】
一方、図4(c)に図示するように、ユーザ作成データ401のサイズを変更することなく印刷データ402を作成し、この印刷データ402に基づいてロール紙に印刷を行う従来の構成では、印刷結果403に印刷範囲増加分403aと用紙増加分403bが生じる。そのため、印刷すべき画像が当初予定していた範囲に収まらなかったり、設けるべき余白が縮小してしまったりしていた。本実施形態によれば、図4(A)、(B)に図示するように、印刷すべき画像が印刷媒体に収まらなくなることを抑制することができる。
【0037】
図5は、プリンタ2において搬送量を減少させるような搬送量調整が行われる場合の、ユーザ作成データ401、印刷データ(PDLデータ)402、実際の印刷結果403を概念的に説明する図である。図5(A)は、本実施形態によりロール紙の印刷媒体に画像を印刷する例を示しており、図5(B)は、本実施形態によりカット紙の印刷媒体に画像を印刷する例を示している。一方、図5(C)は、ロール紙の印刷媒体に画像を印刷する従来例を示している。
【0038】
図5(A)では、ユーザ作成データ401に対して、図8のステップS302において、印刷イメージデータの搬送方向における解像度を高くして画素数を多くしている。また、ステップS305では、プリンタ2の搬送調整量が小さくなることに対応して出力用紙サイズを指定サイズより大きいサイズに変更している。以上の処理によって、印刷データ402には、印刷イメージ増加分402cと出力用紙サイズ増加分402dが生じることになる。本実施形態では、印刷イメージデータと出力用紙サイズを搬送方向に拡大して印刷データ402を作成することにより、プリンタ2で搬送量を減少させる調整が行われる場合でも、ユーザ作成データ401と同じように印刷結果403が得られることになる。
【0039】
図5(B)では、ユーザ作成データ401に対して、図8のステップS302において、印刷イメージデータの搬送方向における解像度を高くして画素数を多くしている。また、印刷媒体がカット紙であるので、出力用紙サイズは指定サイズにより印刷データを生成している(ステップS306)。以上の処理によって、印刷データ402には、印刷イメージ増加分402cが生じることになる。本実施形態では、印刷イメージデータを搬送方向に拡大して印刷データ402を作成することにより、プリンタ2で搬送量を減少させるように搬送量調整が行われる場合でも、ユーザ作成データ401と同じように印刷結果403が得られることになる。
【0040】
一方、図5(c)に図示するように、ユーザ作成データ401のサイズを変更することなく印刷データ402を作成し、この印刷データ402に基づいてロール紙に印刷を行う従来の構成では、印刷結果403に印刷範囲減少分403cと用紙減少分403dが生じる。そのため、印刷すべき画像が搬送方向に縮小して、印刷媒体の後端に大きく余白が生じていた。本実施形態によれば、図5(A)、(B)に図示するように、当初予定していた範囲に無駄な余白が生じることを抑制することができる。
【0041】
上述の実施形態の説明では、搬送調整量をプリンタ2内のROM254に保持するようにしているが、例えば、ホスト装置1のRAM203に保持しておくようにしてもよい。また、搬送調整量はプリンタ2で使用される全ての種類の印刷媒体ごとに設定する必要はなく、一部の種類の印刷媒体について設定されていてもよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、搬送調整量に応じて縦方向(搬送方向)の解像度を変更するようにしているが、横方向(印刷ヘッドの走査方向)においても縦方向の変更後の解像度に合わせて解像度の変更を行ってもよい。また、上述の実施形態では、印刷イメージデータの解像度の変更を行っているが、印刷イメージデータを拡大、縮小するようにしてもよい。
【0043】
また、以上の実施形態の説明においては、ホスト装置1がプリンタ2から搬送調整量を取得し、この搬送調整量に基づいて印刷イメージデータおよび出力用紙サイズを変更するようにしていた。しかし、このような処理は、プリンタ2が行うようにしてもよい。具体的には、プリンタ2は、ホスト装置1がユーザ作成データに基づいて生成された印刷データを受信すると、その印刷データ内に規定される印刷媒体の種類に基づいて、ROM254から搬送調整量を取得する。そして、搬送調整量に基づいて印刷データの印刷イメージデータと出力用紙サイズを変更して新たな印刷データを生成し、生成された印刷データに基づいて印刷を行う。このように、上述の実施形態の印刷データの生成処理は、ホスト装置1における処理に限られず、プリンタ2における処理であってもよい。
【0044】
さらには、実施形態は、外部装置(ホスト装置)と印刷装置(プリンタ)が印刷データの生成処理を分担することで、外部装置および印刷装置で構成される印刷システムに適用することも可能である。さらに、上述した印刷データ生成処理の機能を実現するためのコンピュータ可読プログラムを構成するプログラムコード、またはそれを記憶した記憶媒体によっても実現される。この場合、ホスト装置や印刷装置の1つのコンピュータ(またはCPUやMPU)または複数のコンピュータが連携して上記プログラムコードを読出し実行することによって上述した処理が実現されることになる。このように、上述した処理をコンピュータに実行させるための、コンピュータにより読み取り可能なプログラム、あるいは、そのプログラムを記憶した記憶媒体も実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 ホスト装置
2 プリンタ(印刷装置)
101 OS
102 アプリケーション
103 プリンタドライバ
104 ユーザインタフェース部
105 グラフィックス処理部
106 プリンタ情報取得部
201 CPU
202 ROM
203 RAM
252 CPU
253 ROM
254 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置により印刷媒体に画像を印刷するために用いられる画像データを生成するデータ生成装置であって、
前記印刷装置において前記印刷媒体を搬送方向に搬送するときの搬送量の調整量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した調整量に応じて、前記画像データの前記印刷媒体の前記搬送方向に対応するサイズを変更する変更手段と、を有することを特徴とするデータ生成装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記調整量によって前記画像の前記搬送方向の解像度を変更することを特徴とする請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
前記印刷装置は、前記データ処理装置により指定された印刷媒体のサイズに基づいて、前記印刷媒体を切断する切断手段を備え、
前記変更手段は、前記切断手段によって切断される印刷媒体の前記搬送方向のサイズが前記指定された印刷媒体のサイズとなるように、前記指定された印刷媒体の前記搬送方向のサイズを変更することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記調整量は、前記印刷装置が画像の印刷を行う印刷媒体の種類ごとに設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ生成装置。
【請求項5】
前記印刷装置は、印刷ヘッドを前記印刷媒体に走査させて画像の印刷を行う装置であって、
前記調整量は、前記印刷ヘッドの1回の走査ごとの搬送量の調整量であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデータ生成装置。
【請求項6】
印刷装置により印刷媒体に画像を印刷するために用いられる画像データを生成するデータ生成方法であって、
前記印刷装置において前記印刷媒体を搬送方向に搬送するときの搬送量の調整量を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得した調整量に応じて、前記画像データの前記印刷媒体の前記搬送方向に対応するサイズを変更する変更工程と、を有することを特徴とするデータ生成方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか1項に記載のデータ生成装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−254574(P2012−254574A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129156(P2011−129156)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】