説明

データ管理装置

【課題】 自動機相互で生産情報を共有化できると共に、他の自動機により情報が書き換えられることもなく、高速なタクトタイムで流動する生産ラインでも容易に導入でき、生産情報を有効に活用し、生産性を向上できるデータ管理装置を提供する。
【解決手段】 製品5が流動する生産ラインに配置される各自動機2と産業用ネットワーク3で接続されたデータ管理装置1が、製品情報を書込み可能な製品情報領域と設備の稼働情報を書込み可能な稼働情報領域とを有し、自動機毎に書込み保護される生産情報記憶部51、各自動機からの生産情報のデータ転送の受付及び記憶された生産情報のデータ読出し要求の受付を行うインタフェースプログラム50及び受付られた情報の記憶部への書込みが可能か否かの確認を行う書込保護定義部52より構成され、生産ライン内の製品流動状態及び設備稼働状態を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ライン内の自動機の製品流動状態を管理し、流動してきた製品IDの情報を自動機に提供したり、工程順に製品が流動したかを判定したり、工程毎に加工・組付・検査した結果を記憶しそれを元に品質情報を管理したり、設備稼働情報を解析するなど流動データを管理したりして、生産性向上を可能とするデータ管理装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
自動機において、製品流動制御に必要な生産指示情報、および加工・組付・検査の結果である品質情報、さらに生産数や不良数、故障停止情報などの設備稼働情報は、従来、情報種別毎に上位管理装置に転送し、上位管理装置で情報種別毎に管理していた。あるいは、生産指示情報や品質情報を製品を搬送するパレットにIDタグで管理していた。
【0003】
しかし、この場合、上位管理装置で製品流動データを管理する場合、産業用ネットワークでは自動機相互で情報の共有化がフレキシブルでなく煩雑で、上位管理装置でデータの加工や配信の必要性があるなどの問題があり、また、IDタグ管理の場合は、データの書き込み保護や読書時間に問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動機相互で生産情報を共有化できると共に、他の自動機により情報が書き換えられることもなく、高速なタクトタイムで流動する生産ラインでも容易に導入でき、生産情報を有効に活用し、生産性を向上することができるデータ管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載のデータ管理装置を提供する。
請求項1に記載のデータ管理装置は、製品が流動する生産ラインに配置されている各自動機と産業用ネットワークで接続されたデータ管理装置であって、流動する製品情報を書き込み可能な製品情報領域と設備の稼働情報を書き込み可能な設備稼働情報領域とを有していて、自動機毎に書き込み保護される生産情報記憶部と、各自動機からの生産情報のデータ転送の受付及び各自動機からの記憶された生産情報のデータ読み出し要求の受付を行うインタフェースプログラムと、この受付られた情報の生産情報記憶部への書き込みかどうかの確認を行う書込保護定義部とより構成されていて、生産ライン内の各自動機の製品流動状態及び設備の稼働状態を管理するようにしたものである。これにより、生産ライン内の自動機の製品流動状態を管理し、流動してきた製品IDの情報を自動機に提供したり、工程順に製品が流動したかを判定したり、工程毎に加工・組付・検査した結果を記憶しそれを元に製品の品質情報を管理したり、設備の稼働情報を解析するなど流動データを管理し、生産性向上を可能とすると共に、製品流動制御の向上、不良製品流出防止、製品の品質向上、設備の稼働率向上等を図ることができる。
【0006】
請求項2のデータ管理装置は、データ管理装置の構成に更に生産情報記憶部から指定された情報を取り出すトレース結果収集部を加えると共に、このデータ管理装置を、情報系ネットワークに接続された、データベースとモニタよりなる上位管理装置に接続したものである。これによって、生産情報記憶部に記憶された製品情報をモニタによって見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に従って本発明の実施の形態のデータ管理装置について説明する。図1は、本発明のデータ管理装置と自動機及び生産ラインの構成を示している。図1(a)に示すように、データ管理装置1と複数の自動機2(2A〜2D)とは産業用ネットワーク3で接続されていて、搬送コンベヤ4で複数の自動機2(2A〜2D)を接続した生産ラインに製品5が流動されている。なお、産業用ネットワーク3は、図1(b)に示すように、情報量、応答性等を考慮して、セグメントを分けても、また、産業用ネットワーク3以外のネットワークで構成してもよい。
【0008】
図2は、本発明の実施の形態のデータ管理装置の構成と作動を説明する図である。データ管理装置1は、インタフェースプログラム50、生産情報記憶部51および書込保護定義部52で構成される。
製品5Aが搬送コンベヤ4で自動機2Aに流れてくると、自動機2Aは製品情報、例えば品番、ロット情報、工程完了情報等を、生産情報を共有化するために、データ管理装置1にデータ転送100を行う。データ管理装置1は、データ転送100をインタフェースプログラム50で受け付けると、インタフェースプログラム50では生産情報記憶部51にデータ書込みが可能かどうか、また書込保護定義部52にデータ書込みが許可されているかどうかを確認101し、書込可能と判断されると、製品情報領域である製品IDに相当するエリアに書込み102を行う。
【0009】
また、別の自動機2Bは、流動してきた製品5Bの製品情報を知るために、データ管理装置1に対し、該当する製品IDのデータ読出しを要求110し、その要求をインタフェースプログラム50で受け付けると、生産情報記憶部51の製品IDに相当するエリアからデータを読込み111、自動機5Bにデータを渡す。
【0010】
自動機2Bでは、加工・組付・検査などを行い、その結果、例えば計測値、加工OK/NG、工程完了などを、生産情報を共有化するために、データ管理装置1にデータ転送120を行う。データ管理装置1は、データ転送120をインタフェースプログラム50で受け付けると、生産情報記憶部51にデータ書込みが可能であるかどうか、また書込保護定義部52にデータ書込みが許可されているかを確認121し、書込可能と判断されると、生産情報記憶部51の製品情報領域の製品IDに相当するエリアに書込み122を行う。
【0011】
このように、工程完了情報やワークOKなどの情報は、他の自動機にて書き換えられると、例えばNG情報をOK情報と書き換えられると、次工程以降に不良品を正常品として流動することも有り得るので、本発明のデータ管理装置では、書込保護定義部によって書き換えのチェックが行われており、したがって不良品の流出を防止できる。
【0012】
更に、本発明のデータ管理装置1の生産情報記憶部51には、前述した製品情報を書き込む製品情報領域の外に、設備の稼働情報を書き込む設備稼働情報領域も設けられている。
図3は、生産情報記憶部の設備稼働情報の情報共有の例を説明する図である。図3に示すように各設備は、自動機2の設備稼働情報を製品IDを0として、前述した製品情報の書き込みと同様の方法で、生産情報記憶部51に書き込むことで、設備の稼働情報を全自動機2で共有することができる。このように、設備稼働情報を共有化することで、前後の自動機2が停止した場合、搬送コンベヤ4を停止することができ、省エネルギが可能となる。
【0013】
以上説明したように、本発明のデータ管理装置における生産情報の共有方法は、図1に示すように、各自動機2(2A〜2D)とデータ管理装置1とを産業用ネットワーク3で接続し、図2に示すように、自動機毎2(2A〜2D)に書込み保護された生産情報記憶部51があり、その記憶部51には設備稼働情報領域と製品情報領域とがある。したがって、該当設備は、設備稼働状態を設備稼働情報領域に書き込んだり、製品情報として製品IDを、例えば製品搬送用パレットNo毎に加工・組付・検査結果などのデータを製品情報領域に書き込むことができる。他の設備は、流動する製品IDを元に、生産情報記憶部51から製品情報を取得し、加工条件として自工程の加工・組付・検査を行うことができる。
【0014】
図4は、本発明の別の実施形態のデータ管理装置の構成を示している。この実施形態では、データ管理装置1の生産情報記憶部51に記憶された情報を可視化することを目的として、データ管理装置1は、情報系ネットワーク7に接続された上位管理装置6に接続されていると共に、データ管理装置1には、更にトレース結果収集部53がその構成に加えられている。
【0015】
図5は、データ管理装置1と上位管理装置6との関係を説明する図である。データ管理装置1は、トレーサビリティなど生産情報を保存する上位管理装置6とのインタフェース機能を有している。上位管理装置6は、データベース60とモニタ61とから構成されている。以下に、トレーサビリティなど生産情報の流れを説明する。
トレーサビリティに必要な生産情報を製品5毎に複数の自動機2が共有保管した生産情報記憶部51から指定された情報を、トレース結果収集部53にて取り出し、1つの記録情報として上位管理装置6内のデータベース60に保存される。上位管理装置6は、必要に応じデータベース60の内容をモニタ61で表示する。なお、トレース結果収集部53がトレーサビリティに必要な生産情報を収集するタイミングとして、それぞれの自動機2の結果をデータベース60に保存する場合、各自動機2で書き込みされた時、または製品全ての情報をデータベース60に保存する場合、生産ラインの最終自動機2で書込みがあった時など任意に設定できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】データ管理装置と各自動機及び生産ラインの構成を示す図であり、(a)は、各自動機をセグメントに分けないでデータ管理装置に接続した場合を、(b)は、各自動機をセグメントに分けてデータ管理装置に接続した場合を示している。
【図2】本発明の実施の形態のデータ管理装置の構成及び作動を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態のデータ管理装置における生産情報記憶部の設備稼働情報の情報共有の例を示す図である。
【図4】本発明の別の実施形態のデータ管理装置の構成を示す図である。
【図5】別の実施形態のデータ管理装置と上位管理装置との関係を説明する図である。
【符号の説明】
【0017】
1 データ管理装置
2,2A〜2D 自動機
3 産業用ネットワーク
4 搬送コンベヤ
5,5A,5B 製品
50 インタフェースプログラム
51 生産情報記憶部
52 書込保護定義部
53 トレース結果収集部
6 上位管理装置
60 データベース
61 モニタ
7 情報系ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動機を搬送コンベアで接続した生産ラインに製品が流動している前記各自動機と産業用ネットワークで接続されたデータ管理装置において、このデータ管理装置が、
流動する製品情報を書き込むことができる製品情報領域と設備の稼働情報を書き込むことができる設備稼働情報領域とを有していて、自動機毎に書き込み保護された生産情報記憶部と、
各自動機からの生産情報のデータ転送の受付及び各自動機からの記憶された生産情報のデータ読み出し要求の受付を行うインタフェースプログラムと、
前記受付られた情報の前記生産情報記憶部への書き込みが可能かどうかの確認を行う書込保護定義部と、
より構成されていて、
生産ライン内の各自動機の製品流動状態及び設備の稼働状態を管理することを特徴とするデータ管理装置。
【請求項2】
前記データ管理装置が、更に前記生産情報記憶部から指定された情報を取り出すトレース結果収集部を含んでいると共に、情報系ネットワークに接続された、データベースとモニタとよりなる上位管理装置に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のデータ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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