説明

データ読取収集装置、携帯型データ読取機およびデータ収集機

【課題】 調査対象者に負担をかけずに、バーコード読取機で読み取ったデータを外部に取り出すことができ且つ外出時間を調査できるデータ読取収集装置を提供する。
【解決手段】 商品購買状況調査を行う場合、バーコード読取機1は外出時に調査対象者に所持させ、データ収集機2は自宅に設置する。調査対象者は、外出先で商品4を購入する都度、その商品に付いているバーコード4aをバーコード読取機1で読み取って内蔵メモリに記憶する。自宅に戻ると、バーコード読取機1をデータ収集機2と通信可能な場所に置いておく。バーコード読取機1は、赤外線通信により1分間隔等の間隔で定期的に通信を試み、通信が成立すると、内蔵メモリの記憶データをデータ収集機2に送信する。データ収集機2は、バーコード読取機1と通信が成立すると、通信成立時刻を内蔵メモリに記憶し、またバーコード読取機1から送信されてきたデータを内蔵メモリに記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ読取収集装置に関し、特にバーコードリーダ等の携帯型データ読取機とこの携帯型データ読取機で読み取られたデータを収集するデータ収集機とで構成されるデータ読取収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリを内蔵させた携帯型のバーコードリーダを調査対象者に所持させ、その者が商品を購入する毎にその商品に付いているバーコードを読み取らせて時刻データや購入場所などの情報と共に内蔵メモリに記憶させ、この記憶されたデータを回収して解析することにより、消費者の購買行動を調査分析することが行われている。このような商品購買状況調査においては、バーコードリーダの内蔵メモリが満杯になる前あるいは適当な期間に、内蔵メモリに記憶されたデータを収集する必要がある。
【0003】
従来、この種のデータ収集は、バーコードリーダにインターネット接続機能付きの携帯電話を有線あるいは無線により接続し、ユーザ操作に基づき、バーコードリーダの内蔵メモリに記憶されたデータを携帯電話を経由してホスト側装置に送信することで実施されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の他のデータ収集方法として、ユーザ操作によりパワーキーがオフ(電源オフ)された場合に通常動作状態と低消費電力で動作する非動作状態とを周期的に繰り返し、且つ通常動作状態になったときに外部のパーソナルコンピュータ等の外部装置に対して問い合わせ信号を送信し、通信に成功すれば内蔵メモリに記憶されたデータをバーコードリーダから外部装置へ送信する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
他方、屋外消費を含めた購買記録の調査においては、調査対象者の外出時間を把握することが、商品の魅力による購買の有無と個人の生活パターンによる購買の有無など、消費に対する原因が補足できるため、有効な付加データとなる。このような調査対象者の外出時間を把握する方法としては、調査対象者自身に所定の用紙に記録してもらう日記式などの方法がある。
【特許文献1】特開2004−173041号公報
【特許文献2】特開2003−216290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バーコードリーダ等の携帯型のデータ読取機に内蔵されたメモリに記憶されたデータを外部に取り出すために、特許文献1に見られるように調査対象者自身に収集のための指示を入力させる方法では、調査対象者に負担をかけることになる。特許文献2の方法によれば負担は大幅に軽減されるが、それでもパワーキーをオフ(電源オフ)しておく操作が必要があり、これを忘れるとデータ収集が行えない。
【0007】
また、外出時間も同時に調査する場合、調査対象者に記録をとってもらう必要があり、さらに負担をかける原因となっていた。この種の調査に限らず、調査対象者の負担をできるだけ軽減することが、ひいては調査精度の向上につながる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みて提案されたものであり、その目的は、調査対象者に負担をかけずに、バーコードリーダ等の携帯型のデータ読取機に記憶されたデータを外部に取り出すことができ、かつ、調査対象者の外出時間を調査することができるデータ読取収集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデータ読取収集装置は、携帯型データ読取機とデータ収集機とで構成され、前記携帯型データ読取機は、データ読取部と、該データ読取部で読み取られたデータを記憶する読取側記憶部と、読取側無線近接通信部と、前記読取側無線近接通信部により前記データ収集機に対して定期的に通信を試みる動作を絶えず繰り返し、通信成立時に前記読取側記憶部に記憶されたデータを前記データ収集機に送信する読取側制御部とを備え、前記データ収集機は、収集側無線近接通信部と、収集側記憶部と、前記収集側無線近接通信部において前記携帯型データ読取機の前記読取側無線近接通信部と通信が成立した時、通信成立時刻を取得すると共に前記携帯型データ読取機から送信されてきたデータを前記収集側記憶部に記録し、かつ、通信成立時毎に取得した通信成立時刻に基づいて前記携帯型データ読取機が自データ収集機と通信可能な場所に置かれている在宅時間データを作成して前記収集側記憶部に記録する収集側制御部とを備えている。
【0010】
本発明の携帯型データ読取機は、データ読取部と、該データ読取部で読み取られたデータを記憶する読取側記憶部と、読取側無線近接通信部と、一定時間毎にウェイクアップ信号を発生する動作を絶えず繰り返す時計部と、各部に電力を供給する電源部と、前記ウェイクアップ信号に応答して前記電源部に主要各部への電源供給を開始させ、電源オフ信号に応答して前記電源部に主要各部への電源供給を停止させる電源制御部と、前記ウェイクアップ信号に応答して前記読取側無線近接通信部により外部に対して通信を試み、通信成立時に前記読取側記憶部に記憶されたデータを前記データ収集機に送信し、該送信後および通信不成立時に前記電源オフ信号を前記電源制御部に送出する読取側制御部とを備えている。
【0011】
本発明のデータ収集機は、収集側無線近接通信部と、収集側記憶部と、前記収集側無線近接通信部において携帯型データ読取機の読取側無線近接通信部と通信が成立した時、通信成立時刻を取得すると共に前記携帯型データ読取機から送信されてきたデータを前記収集側記憶部に記録し、かつ、通信成立時毎に取得した通信成立時刻に基づいて前記携帯型データ読取機が自データ収集機と通信可能な場所に置かれている在宅時間データを作成して前記収集側記憶部に記録する収集側制御部とを備えている。
【0012】
『作用』
本発明のデータ読取収集装置を使って商品購買状況調査を行う場合、携帯型データ読取機は外出時に調査対象者に所持させ、データ収集機は調査対象者の自宅に設置する。調査対象者は、外出先で商品を購入する都度、その商品に付いているバーコード等を携帯型データ読取機のデータ読取部で読み取って読取側記憶部に記憶する。また、自宅に戻ると、携帯型データ読取機をデータ収集機に対し通信可能な場所に置いておく。携帯型データ読取機の読取側制御部は、赤外線通信などの読取側無線近接通信部によりデータ収集機に対して例えば1分間隔等の間隔で定期的に通信を試みる動作を1日中絶えず繰り返しており、通信が成立すると、読取側記憶部に記憶されたデータをデータ収集機に送信する。データ収集機の収集側制御部は、収集側無線近接通信部において携帯型データ読取機の読取側無線近接通信部と通信が成立すると、通信成立時刻を取得すると共に携帯型データ読取機から送信されてきたデータを収集側記憶部に記録し、かつ、通信成立時毎に取得した通信成立時刻に基づいて、携帯型データ読取機が自データ収集機と通信可能な場所に置かれている在宅時間データを作成して収集側記憶部に記録する。この結果、調査対象者は、外出から戻ってきたら携帯型データ読取機を自宅に設置されたデータ収集機と通信可能な場所に置いておくだけで、携帯側データ読取機に記録されたデータをデータ収集機に収集することができ、かつ、携帯型データ読取機が自宅に設置されたデータ収集機と通信可能な場所に置かれている時間帯、つまり調査対象者が外出していない時間帯が、データ収集機の収集側記憶部に記録されることになる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、外出から戻ってきたら携帯型データ読取機を自宅に設置されたデータ収集機と通信可能な場所に置くだけで、バーコードリーダ等の携帯型のデータ読取機に記憶されたデータをデータ収集機に取り出すことができる。また、自宅に居る間、携帯型データ読取機をデータ収集機と通信可能な場所に置いておけば、定期的に試行される両者間の通信が成立し、その通信成立時刻に基づいて在宅時間データがデータ収集機に記録されるので、調査対象者が自宅に居る時間、ひいては外出時間を調査することができる。このように調査対象者にほとんど負担をかけずにデータの収集が可能になるので、データの収集遅れによって内蔵メモリが満杯となって外出先で新たなデータの記録ができなくなる事態を回避することができる。また、日記式のような記録漏れによる調査精度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1(a)を参照すると、本発明の実施の形態にかかるデータ読取収集装置を構成するバーコード読取機1は、ほぼ名刺サイズで薄型の形状を有し、前部側面にバーコード読取兼赤外線送受信窓11を備え、左右側面の両側に読取指示ボタン12aを備え、上面に液晶表示部13と複数の操作ボタン12bを備えている。いわゆる電源ボタンはなく、電源のオン、オフは内蔵の制御装置によって制御されている。
【0015】
また、図1(b)を参照すると、本発明の実施の形態にかかるデータ読取収集装置を構成するデータ収集機2は、バーコード読取機1のフォルダとしても利用できるように上面の一部がバーコード読取機1を載せる載置台21になっている。また、載置台21の奥側が一段高くなっており、その高台の載置台21を望む側面に赤外線受信窓22が設けられ、バーコード読取機1を載置台21に所定の向きで載せたときにその前部側面にあるバーコード読取兼赤外線送受信窓11が赤外線送受信窓22に対向するようになっている。さらに、バーコード読取機1から収集したデータを調査センタ端末3へ送信するための無線アンテナ23が設けられている。
【0016】
図1(c)に本発明の実施の形態にかかるデータ読取収集装置の使用例を示す。本実施の形態のデータ読取収集装置を使って或る調査対象者の商品購買状況を調査する場合、バーコード読取機1は外出時に調査対象者に所持させ、データ収集機2は調査対象者の自宅に設置する。調査対象者は、外出先で商品4を購入する都度、その商品4に付いているバーコード4aにバーコード読取機1のバーコード読取兼赤外線送受信窓11を向け、読取指示ボタン12aをオンして内蔵のバーコード読取部によりバーコード4aを読み取る。バーコード読取機1で読み取られたバーコード4aのデータは、そのときの時刻や操作ボタン12bの操作によって調査対象者が選択入力した購入場所や数量などのデータが付加されて、商品購買データとしてバーコード読取機1に内蔵されたメモリに記録される。
【0017】
調査対象者は、自宅に戻ると、バーコード読取兼赤外線送受信窓11が赤外線送受信窓22に対向する向きにバーコード読取機1をデータ収集機2の載置台21に置き、保管する。バーコード読取機1に内蔵の赤外線通信部は、バーコード読取兼赤外線送受信窓11から外部に向かって定期的に通信を試みるように制御される。バーコード読取機1が屋外に持ち出されている場合には、通信を試みても応答がないため、それ以上通信処理は続行しないが、データ収集機2の載置台21に上記のように置かれていると、バーコード読取機1のバーコード読取兼赤外線送受信窓11から出射した赤外線信号が赤外線送受信窓22より入射し、データ収集機2に内蔵された赤外線通信部と通信が成立する。
【0018】
バーコード読取機1は、通信が成立すると、内蔵メモリに記憶された商品購買データを赤外線通信によりデータ収集機2に送信する。他方、データ収集機2は、通信が成立し、バーコード読取機1から商品購買データが送信されてくると、それを受信して内蔵のメモリに記憶する。またデータ収集機2は、通信が成立した時刻に基づいて、バーコード読取機1が自データ収集機2と通信可能な場所に置かれていた時間帯を表す在宅時間データを作成し、内蔵のメモリに記憶する。そして、本実施の形態の場合、データ収集機2は、内蔵メモリに蓄積されたデータ(収集した商品購買データおよび在宅時間データ)を任意の時刻に無線により調査センタ端末3へ送信する。
【0019】
次に、バーコード読取機1およびデータ収集機2のより詳しい構成について説明する。
【0020】
図2を参照すると、バーコード読取機1は、操作ボタン部12、液晶表示部13、バーコード読取部14、赤外線通信部15、メモリ16、時計部17、電源制御部18、電源部19および制御部1Aを内蔵し、データ収集機2は、赤外線通信部24、無線通信部25、メモリ26、時計部27、制御部28およびタイマ29を内蔵している。
【0021】
バーコード読取機1において、操作ボタン部12は図1(a)に示した読取指示ボタン12aおよび操作ボタン12bで構成され、何れかのボタンがオンされると、そのボタン信号を制御部1Aおよび電源制御部18に出力する。液晶表示部13は、商品購入場所(コンビニエンスストア、自動販売機など)や購入個数の候補を表示する。表示された候補の切り替えと選択は、操作ボタン部12の操作ボタン12bで行える。時計部17は現在時刻を刻時するとともに、予め設定された一定周期(例えば1分)毎にウェイクアップ信号を制御部1Aおよび電源制御部18へ出力する動作を1日中絶えず繰り返す。メモリ16は読み書き可能な不揮発性のメモリであり、商品購買データを記録するために使用される。バーコード読取部14は、図1(a)に示したバーコード読取兼赤外線送受信窓11を介してバーコードの読み取りを行う。赤外線通信部15は、図1(a)に示したバーコード読取兼赤外線送受信窓11を介して外部と赤外線通信を行う。この赤外線通信部15による通信距離は高々数十cmないし数mである。電源部19は電池を内蔵しており、各部に動作電力を供給する。電源部19は、操作ボタン部12、時計部17および電源制御部18には電力を常時供給し、その他の主要部分への電力の供給は電源制御部18からの電源オン、オフ信号に従う。電源制御部18は、操作ボタン部12からボタンオン信号が入力したとき、および時計部17からウェイクアップ信号が入力されたとき、若し現在の状態が電源オフ状態であれば電源オン信号を電源部19へ出力する。また、一定期間以上にわたってボタンオン信号が入力されないか、制御部1Aから電源オフ信号が入力された場合、電源オフ信号を電源部19へ出力する。制御部1Aは、バーコード読取機1全体の制御を司るMPUなどで構成される。
【0022】
データ収集機2において、赤外線通信部24は、図1(b)に示した赤外線送受信窓22を介して外部と赤外線通信を行う。この赤外線通信部24による通信距離は高々数十cmないし数mである。時計部27は、現在時刻を刻時する。この時計部27はバーコード読取機1側の時計部17より精度が高くなっている。メモリ26は、読み書き可能な大容量の不揮発性メモリであり、バーコード読取機1から収集した商品購買データ、バーコード読取機1との通信成立時刻データおよび在宅時間データを記録するために使用される。無線通信部25は、移動無線ネットワークなどの外部ネットワークを通じて調査センタ端末3と通信する。制御部28は、データ収集機2全体の制御を司るMPUなどで構成される。タイマ29は、バーコード読取機1と通信成立するごとに制御部28により再起動されるタイマであり、バーコード読取機1が通信を試みる周期よりも長い周期でタイムアウトする。
【0023】
次に、バーコード読取機1およびデータ収集機2の主要な動作について説明する。
【0024】
まず、図1(c)で説明したバーコード読取機1によるバーコード読取時の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。調査対象者が、購入した商品4に付いているバーコード4aにバーコード読取機1のバーコード読取兼赤外線送受信窓11を向け、読取指示ボタン12aをオンにすると、読取指示ボタン12aのオン信号が制御部1Aに出力され、制御部1Aの制御の下に図3に示すような処理が開始される。なお、その時点で電源部19の電源供給が停止している場合、操作ボタン部12のボタンオン信号を検知した電源制御部18により電源オン信号が電源部19に出力され、電源部19から主要各部に電力が供給される。
【0025】
まず制御部1Aは、バーコード読取部1Aにより商品4に付加されたバーコード4aを読み取る(ステップS1)。次に制御部1Aは、時計部17から現在時刻を取得する(ステップS2)。次に制御部1Aは、購買場所と購入個数を付加データとして取り込む(ステップS3)。これは、液晶表示部13に購買場所の候補や購買個数の候補を表示し、操作ボタン12bによって調査対象者に購買場所、個数を選択させることで行う。最後に制御部1Aは、バーコード読取部14で読み取ったバーコード4aのデータに現在時刻と付加データを追加して1つの商品購買データを生成し、これをメモリ16に記録する(ステップS4)。
【0026】
メモリ16には、図4に示されるように、複数のエントリE0〜Enで構成される商品購買データ記録用のテーブルT1が設定されており、その各エントリにそれぞれ1つの商品購買データが記録される。メモリ16上にはまた、次の商品購買データを書き込むエントリを指し示す書込ポインタWP1、次の商品購買データを読み出すエントリを指し示す読出ポインタRP1があり、双方のポインタは初期状態ではテーブルT1の先頭エントリE0を指している。制御部1Aは、書込ポインタWP1の示すエントリに商品購買データを書き込み、そのポインタWP1を1だけインクリメントする。ただし、テーブルT1の最終エントリEnに書き込んだときは、書込ポインタWP1をE0に戻す。また、更新後の書込ポインタWP1の値が読出ポインタRP1の値と一致すると、空きエントリがなくなったと判断され、新たな商品購買データの記録が停止される。一般には、このようなことが起きないように十分な数のエントリが確保されている。
【0027】
他方、後述する商品購買データの読み出し時には、読出ポインタRP1の示すエントリの商品購買データを読み出し、その読出ポインタRP1を1だけインクリメントする。ただし、テーブルT1の最終エントリEnから読み出したときは、読出ポインタRP1をE0に戻す。読出ポインタRP1と書込ポインタWP1とが同じエントリを指している場合、新たに読み出す商品購買データは存在しないと判断される。
【0028】
次に、図1(c)で説明したデータ収集機2によるバーコード読取機1からのデータ収集時の動作を説明する。まず図5のフローチャートおよび図8のシーケンスチャートを参照してバーコード読取機1側の動作を説明する。
【0029】
バーコード読取機1の時計部17は、ウェイクアップ信号を前回出力してから所定時間が経過すると、再びウェイクアップ信号を制御部1Aおよび電源制御部18に出力する。電源制御部18は、電源部19の状態が電源オフ状態であれば、電源オン信号を電源部19に出力することにより、電源オン状態に遷移させ、バーコード読取機1の主要各部に電力を供給する。他方、制御部1Aはウェイクアップ信号を受信することにより、図5に示す処理を開始する。
【0030】
まず制御部1Aは、赤外線通信部15から、予め自バーコード読取機1に設定されたIDを付加した問い合わせキャラクタENQを送信し(ステップS11)、肯定応答キャラクタACKが返されてきたかどうか判断する(ステップS12)。若し、予め定められた回数n(例えば3)だけ試行してもACKが返されてこない場合(ステップS13でYES)、電源断を行うために電源制御部18に電源オフ信号を出力し、処理を終える(ステップS17)。
【0031】
他方、ACKを受信した場合(ステップS12でYES)、制御部1Aは、商品購買データの送信処理S14と時計部17の時刻合わせ処理S15とを実施し、その後に伝送終了キャラクタEOTを送信した後(ステップS16)、電源断を行うために電源制御部18に電源オフ信号を出力して処理を終える(ステップS17)。
【0032】
商品購買データの送信処理S14では、メモリ16の商品購買データ記録用のテーブルT1に存在する未読出の商品購買データ数を読出ポインタRP1と書込ポインタRP1の差分値から求め、その値を設定したデータ用ヘディングを赤外線通信部15により送信し、それに対してACKを受信したら、商品購買データを順次送信していく。未読出の商品購買データが1つもない場合、商品購買データの送信処理S14は省略される。
【0033】
また、時刻合わせ処理S15では、時計部17の現在時刻を設定した時刻用ヘディングを赤外線通信部15により送信し、それに対してACKが返ってきたら時計部17の時刻あわせ処理を終了し、データ収集機2側の時計部27の現在時刻が設定された時刻テキストが返ってきたら、この時刻テキストに含まれる現在時刻に一致するように時計部17の時刻を補正し、再度、時計部17の現在時刻を設定した時刻用ヘディングを赤外線通信部15により送信する。これをACKが返ってくるか、あるいは所定回数に達するまで繰り返す。
【0034】
次に、バーコード読取機1からENQを受信したデータ収集機2の動作を図6(a)のフローチャートおよび図8のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0035】
データ収集機2の制御部28は、赤外線通信部24においてIDが付加されたENQを受信すると、自データ収集機2が扱うバーコード読取機1のIDとして事前に設定されたIDと受信IDが一致するか否か判別し(ステップS21)、若し一致しなければ、赤外線通信部24から否定応答キャラクタNAKを返して(ステップS22)、処理を終える。IDが一致した場合、制御部28は赤外線通信部24からACKを返し(ステップS23)、時計部27からの現在時刻の取得などの処理を含む通信時刻処理を行う(ステップS24)。また、バーコード読取機1側で行われるデータ送信処理S14に応じたデータ受信処理S25、および時刻合わせ処理S26を実施し、最後にEOTに対する応答としてACKを返す通信終了処理S27を行って、処理を終える。
【0036】
ステップS24の通信事項処理の詳細を図6(b)のフローチャートを参照して説明する。制御部28は、時計部27から現在時刻を読み取り(ステップS24−1)、タイマ29を再起動する(ステップS24−2)。次に、メモリ26上に記録されている図7の最古通信時刻OTがNULLかどうかを判定し(ステップS24−3)、NULLであれば、ステップS24−1で今回採取した通信時刻を最古通信時刻OTとして記録する(ステップS24−4)。他方、最古通信時刻OTがNULLでなければ、ステップS24−1で今回採取した通信時刻をメモリ26上に記録されている図7の最新通信時刻NTとして記録する(ステップS24−5)。
【0037】
データ受信処理S25では、赤外線通信部24においてデータ用ヘディングを受信すると、それに対してACKを返し、以後、商品購買データを順次に受信してメモリ26に記憶する。メモリ26には、図4で説明したテーブルT1、読出ポインタRP1および書込ポインタWP1と同様に、図7に示すようなエントリF0〜Fmで構成されるデータ記録用のテーブルT2、読出ポインタRP2および書込ポインタWP2があり、制御部28は、これらのポイントを参照してテーブルT2に商品購買データを記録していく。
【0038】
また、時刻合わせ処理S26では、バーコード読取機1における時計部17の現在時刻が設定された時刻用ヘディングを受信すると、その設定された現在時刻を時計部27の現在時刻と比較し、一致していればACKを赤外線通信部24により送信し、相違していれば時計部27から取得した現在時刻を設定した時刻テキストを赤外線通信部24により送信する。
【0039】
他方、調査対象者がデータ収集機2に置いてあったバーコード読取機1を取り上げて外出することにより、バーコード読取機1との間の定期的な通信が途絶えると、タイマ29が再起動されず、タイムアウトする。このタイムアウトにより制御部28に割り込みがかかり、図6(c)に示す処理が制御部28において実行される。まず、制御部28は、図7の最古通信時刻OTおよび最新通信時刻NTをそれぞれリードし(ステップS31、S32)、始期を最古通信時刻OT、終期を最新通信時刻NTとする在宅時間データを生成し、図7のテーブルT2に記録する(ステップS33)。そして、最古通信時刻OTおよび最新通信時刻NTをNULLにクリアする(ステップS34)。
【0040】
データ収集機2のメモリ26における図7に示したテーブルT2に記録されたデータは、例えば1日の予め定められた時刻が到来すると、制御部28の制御の下に無線通信部25により調査センタ端末3へ送信される。制御部28は、読出ポインタRP2の示すエントリのデータ(商品購買データあるいは在宅時間データ)を読み出して無線通信部25へ送出し、そのポインタRP2を1だけインクリメントする。ただし、テーブルT2の最終エントリFmから読み出したときは、読出ポインタRP2をF0に戻す。読出ポインタRP2と書込ポインタWP2とが同じエントリを指している場合、新たに読み出す商品購買データまたは在宅時間データは存在しないと判断される。
【0041】
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明は以上の実施の形態にのみ限定されず、その他各種の付加変更が可能である。例えば以下のような実施の形態も本発明に含まれる。
【0042】
前述した実施の形態では、携帯型データ読取機としてバーコード読取部14を有するバーコード読取機を取り上げたが、RFIDタグ読取部など他の種類のデータ読取部を有する携帯型データ読取機であっても良い。
【0043】
携帯型データ読取機およびデータ収集機の備える近接通信部として赤外線通信部を用いたが、Bluetooth、RF(Radio Frequency)など他の種類の無線近接通信部であっても良い。
【0044】
データ収集機2のメモリ26をICメモリカードなどの着脱自在なメモリで構成し、収集されたデータを記憶するメモリ26を郵送などの方法で調査センタに送付するようにしても良い。
【0045】
データ収集機が記録する通信成立時刻データ中の時刻として、通信成立時にバーコード読取機1から送信されてきた時刻を使用しても良い。例えば、バーコード読取機1は現在時刻を付加したENQを送信し、データ収集機2は受信したENQに付加された現在時刻を通信成立時刻として取得する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかるバーコード読取機の正面図、データ収集機の外観斜視図および使用方法の説明図である。
【図2】本発明にかかるバーコード読取機およびデータ収集機のブロック図である。
【図3】本発明にかかるバーコード読取機によるバーコード読取時の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明にかかるバーコード読取機のメモリに設定された商品購買データ記録用のテーブルの構成図である。
【図5】本発明にかかるデータ収集機によるバーコード読取機からのデータ収集時のバーコード読取機側の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明にかかるデータ収集機によるバーコード読取機からのデータ収集時のデータ収集機側の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明にかかるデータ収集機のメモリに設定されたデータ記録用のテーブルの構成図である。
【図8】本発明にかかるデータ収集機によるバーコード読取機からのデータ収集時のシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1…バーコード読取機
11…バーコード読取兼赤外線送受信窓
12…操作ボタン部
12a…読取指示ボタン
12b…操作ボタン
13…液晶表示部
14…バーコード読取部
15…赤外線通信部
16…メモリ
17…時計部
18…電源制御部
19…電源部
1A…制御部
2…データ収集機
21…載置台
22…赤外線送受信窓
23…無線アンテナ
24…赤外線通信部
25…無線通信部
26…メモリ
27…時計部
28…制御部
29…タイマ
3…調査センタ端末
4…商品
4a…バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型データ読取機とデータ収集機とで構成され、前記携帯型データ読取機は、データ読取部と、該データ読取部で読み取られたデータを記憶する読取側記憶部と、読取側無線近接通信部と、前記読取側無線近接通信部により前記データ収集機に対して定期的に通信を試みる動作を絶えず繰り返し、通信成立時に前記読取側記憶部に記憶されたデータを前記データ収集機に送信する読取側制御部とを備え、前記データ収集機は、収集側無線近接通信部と、収集側記憶部と、前記収集側無線近接通信部において前記携帯型データ読取機の前記読取側無線近接通信部と通信が成立した時、通信成立時刻を取得すると共に前記携帯型データ読取機から送信されてきたデータを前記収集側記憶部に記録し、かつ、通信成立時毎に取得した通信成立時刻に基づいて前記携帯型データ読取機が自データ収集機と通信可能な場所に置かれている在宅時間データを作成して前記収集側記憶部に記録する収集側制御部とを備えることを特徴とするデータ読取収集装置。
【請求項2】
前記データ収集機は、通信成立時ごとに再起動され且つ前記携帯型データ読取機が通信を試みる周期よりも長い周期でタイムアウトするタイマを備え、前記収集側制御部は、前記タイマが前回タイムアウトした直後に成立した通信の成立時刻から前記タイマが今回タイムアウトした直前に成立した通信の成立時刻までの時間帯を示す在宅時間データを作成して記録するものであることを特徴とする請求項1記載のデータ読取収集装置。
【請求項3】
前記データ収集機は、現在時刻を計時する収集側時計機構を備え、前記収集側制御部は、前記収集側通信部による前記携帯型データ読取機との通信成立時点の現在時刻データを前記収集側時計機構から取得するものであることを特徴とする請求項1または2記載のデータ読取収集装置。
【請求項4】
前記携帯型データ読取機の前記データ収集部は、バーコード読取部であることを特徴とする請求項1、2または3記載のデータ読取収集装置。
【請求項5】
データ読取部と、該データ読取部で読み取られたデータを記憶する読取側記憶部と、読取側無線近接通信部と、一定時間毎にウェイクアップ信号を発生する動作を絶えず繰り返す時計部と、各部に電力を供給する電源部と、前記ウェイクアップ信号に応答して前記電源部に主要各部への電源供給を開始させ、電源オフ信号に応答して前記電源部に主要各部への電源供給を停止させる電源制御部と、前記ウェイクアップ信号に応答して前記読取側無線近接通信部により外部に対して通信を試み、通信成立時に前記読取側記憶部に記憶されたデータを前記データ収集機に送信し、該送信後および通信不成立時に前記電源オフ信号を前記電源制御部に送出する読取側制御部とを備えることを特徴とする携帯型データ読取機。
【請求項6】
収集側無線近接通信部と、収集側記憶部と、前記収集側無線近接通信部において携帯型データ読取機の読取側無線近接通信部と通信が成立した時、通信成立時刻を取得すると共に前記携帯型データ読取機から送信されてきたデータを前記収集側記憶部に記録し、かつ、通信成立時毎に取得した通信成立時刻に基づいて前記携帯型データ読取機が自データ収集機と通信可能な場所に置かれている在宅時間データを作成して前記収集側記憶部に記録する収集側制御部とを備えることを特徴とするデータ収集機。
【請求項7】
前記携帯型データ読取機との間の通信成立時ごとに再起動され且つ前記携帯型データ読取機が通信を試みる周期よりも長い周期でタイムアウトするタイマを備え、前記収集側制御部は、前記タイマが前回タイムアウトした直後に成立した通信の成立時刻から前記タイマが今回タイムアウトした直前に成立した通信の成立時刻までの時間帯を示す在宅時間データを作成して記録するものであることを特徴とする請求項6記載のデータ収集機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−139354(P2006−139354A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326117(P2004−326117)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(591101434)株式会社ビデオリサーチ (52)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】