説明

データ転送回路及びそれに用いるデータ転送方法

【課題】 帰線期間でもデータ転送を可能とし、転送クロックの周波数を最適化することが可能なデータ転送回路を提供する。
【解決手段】 比較回路13はカウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12各々のカウント結果を比較し、カウンタ(#1)11が速ければUP信号を、カウンタ(#2)12が速ければDOWN信号をそれぞれPLL14に出力する。PLL14は比較回路13からのUP/DOWN信号に応じて、カウンタ(#2)12側のマスタクロックMCLK2を調整して出力する。バッファ15はカウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12から出力される制御信号を使い、帰線期間を必要とするデバイスのデータDATA1を入力して蓄積させ、帰線期間を必要としないデバイスのデータDATA2を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ転送回路及びそれに用いるデータ転送方法に関し、特に帰線期間を必要とするデバイスと帰線期間を必要としないデバイスとの間でのデータ転送に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョンにおいては、1回の走査の終点から次の走査の始点までの戻りの線を帰線といい、帰線の続く期間を帰線期間という。また、テレビジョンにおいては、画面を左から右に水平走査し、上から下に垂直走査するが、各走査を区別する時にはそれぞれ水平帰線、垂直帰線という。
【0003】
従来のデータ転送回路では、帰線期間を必要とするデバイスと、必要としないデバイスとの間で直接データ転送を行うため、帰線期間を必要とするデバイスのタイミングでデータ転送を行う必要がある。
【0004】
尚、上記のデータ転送回路の関連技術としては、以下の特許文献1に記載の技術がある。但し、特許文献1に記載の技術では、帰線期間中に目的のデータ転送とは別の処理をさせようとするものである。
【特許文献1】特表2002−512745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のデータ転送回路では、帰線期間を必要とするデバイスのタイミングでデータ転送を行う必要があるので、データを転送できない期間が発生し、フレームレートを上げるためにクロック周波数を高くしたり、帰線期間を必要としないデバイス側のクロック周波数の上限によって転送レートが低くなってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、帰線期間でもデータ転送を可能とし、転送クロックの周波数を最適化することができるデータ転送回路及びそれに用いるデータ転送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるデータ転送回路は、帰線期間を必要とする第1のデバイスと帰線期間を必要としない第2のデバイスとの間のデータ転送を行うデータ転送回路であって、
前記第2のデバイス側についてクロックを生成する手段を備え、
前記第1のデバイスの帰線期間において、当該クロックを用いて前記第2のデバイス側に前記データ転送を行わせている。
【0008】
本発明によるデータ転送方法は、帰線期間を必要とする第1のデバイスと帰線期間を必要としない第2のデバイスとの間のデータ転送を行うデータ転送回路に用いるデータ転送方法であって、
前記データ転送回路が、前記第2のデバイス側についてクロックを生成する処理を実行し、
前記第1のデバイスの帰線期間において、当該クロックを用いて前記第2のデバイス側に前記データ転送を行わせている。
【0009】
すなわち、本発明のデータ転送回路は、帰線期間を必要とするデバイスと帰線期間を必要としないデバイスとの間のデータ転送において、帰線期間を必要としないデバイス側についてクロックを生成することによって、帰線期間でも、帰線期間を必要としないデバイス側においてデータ転送を可能にし、転送クロックの周波数を最適化することを可能としている。
【0010】
本発明のデータ転送回路では、水平帰線期間や垂直帰線期間を必要とする第1のデバイスと帰線期間を必要としない第2のデバイスとの間のデータ転送において、第2のデバイスのマスタクロックを比較回路及びPLL(Phase Locked Loop)にて調整し、その調整されたマスタクロックを使ってそれぞれのタイミングで制御信号を生成することによって、第2のデバイス側について帰線期間中もデータ転送が可能となるので、転送クロックの周波数の最適化を可能とすることを特徴としている。
【0011】
より具体的に説明すると、本発明のデータ転送回路では、帰線期間を必要とするデバイスのカウンタ(#1)と、帰線期間を必要としないデバイスのカウンタ(#2)とがそれぞれのマスタクロックMCLK1,MCLK2でカウントし、それぞれ規定のタイミングでデータクロックCLK1,CLK2、水平同期信号HSYNC1,HSYNC2、垂直同期信号VSYNC1,VSYNC2を外部に出力し、カウント結果を比較回路に出力する。
【0012】
比較回路はそれぞれのカウント結果を比較し、垂直同期信号VSYNC1と垂直同期信号VSYNC2とが同じ周波数になるように、カウンタ(#2)側のマスタクロックMCLK2を調整するUP/DOWN信号をPLLに出力する。
【0013】
PLLはUP/DOWN信号に応じて垂直同期信号VSYNC1と垂直同期信号VSYNC2とが同じ周波数になるようにカウンタ(#2)側のマスタクロックMCLK2を調整して出力する。バッファはカウンタ(#1)及びカウンタ(#2)から出力される制御信号を使い、帰線期間を必要とするデバイスのデータDATA1を入力して蓄積させ、帰線期間を必要としないデバイスのデータDATA2を出力する。
【0014】
このようにして、本発明のデータ転送回路では、比較回路及びPLLによって調整されたマスタクロックを使い、カウンタ(#1)及びカウンタ(#2)によってそれぞれのタイミングで制御信号を生成し、バッファによってデータの入出力を行うことで、転送クロックの周波数を最適化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、帰線期間でもデータ転送を可能とし、転送クロックの周波数を最適化することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例によるデータ転送回路の構成を示すブロック図である。図1において、データ転送回路1は、帰線期間を必要とするデバイス(図示せず)のカウンタ(#1)11と、帰線期間を必要としないデバイス(図示せず)のカウンタ(#2)12と、比較回路13と、PLL(Phase Locked Loop)14と、バッファ15とから構成されている。
【0017】
カウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12は、それぞれ、帰線期間を必要とするデバイス及び帰線期間を必要としないデバイス各々のマスタクロックMCLK1,MCLK2でカウントし、それぞれ規定のタイミングでデータクロックCLK1,CLK2、水平同期信号HSYNC1,HSYNC2、垂直同期信号VSYNC1,VSYNC2を外部に出力し、カウント結果を比較回路13に出力する。
【0018】
比較回路13はカウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12各々のカウント結果を比較し、垂直同期信号VSYNC1と垂直同期信号VSYNC2とが同じ周波数になるように、カウンタ(#2)12側のマスタクロックMCLK2を調整するUP/DOWN信号をPLL14に出力する。
【0019】
PLL14は比較回路13からのUP/DOWN信号に応じて垂直同期信号VSYNC1と垂直同期信号VSYNC2とが同じ周波数になるように、カウンタ(#2)12側のマスタクロックMCLK2を調整して出力する。
【0020】
バッファ15はカウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12から出力される制御信号を使い、帰線期間を必要とするデバイスのデータDATA1を入力して蓄積させ、帰線期間を必要としないデバイスのデータDATA2を出力する。
【0021】
図2〜図4は本発明の一実施例によるデータ転送回路1の動作を示すタイミングチャートである。これら図1〜図4を参照して本発明の一実施例によるデータ転送回路1の動作について説明する。以下、データ転送回路1の動作を、水平方向640、垂直方向480のデータ転送で、水平帰線期間80、垂直帰線期間20の場合を例にとって説明する。
【0022】
カウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12は、それぞれのマスタクロックMCLK1,MCLK2でカウントし、同じ分周比でデータクロックCLK1,CLK2を出力する。
【0023】
水平同期信号については、カウンタ(#1)11がデータクロックCLK1を720カウントで水平同期信号HSYNC1を、カウンタ(#2)12がデータクロックCLK2を640カウントで水平同期信号HSYNC2をそれぞれ出力する。
【0024】
また、垂直同期信号については、カウンタ(#1)11が水平同期信号HSYNC1を500カウントで垂直同期信号VSYNC1を、カウンタ(#2)12が水平同期信号HSYNC2を480カウントで垂直同期信号VSYNC2をそれぞれ出力する。さらに、カウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12は、カウント結果を比較回路13に出力する(図2及び図3参照)。
【0025】
比較回路13はカウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12各々のカウント結果を比較し、図4に示すように、カウンタ(#1)11が速ければUP信号を、カウンタ(#2)12が速ければDOWN信号をそれぞれPLL14に出力する。
【0026】
PLL14は比較回路13からのUP/DOWN信号に応じて、カウンタ(#2)12側のマスタクロックMCLK2を調整して出力する。バッファ15はカウンタ(#1)11及びカウンタ(#2)12から出力される制御信号を使い、帰線期間を必要とするデバイスのデータDATA1を入力して蓄積させ、帰線期間を必要としないデバイスのデータDATA2を出力する。
【0027】
このように、本実施例では、帰線期間を必要とするデバイスと帰線期間を必要としないデバイスとの間のデータ転送において、帰線期間を必要としないデバイス側についてクロックを生成することによって、帰線期間を必要としないデバイス側において帰線期間でもデータ転送が可能となり、転送クロックの周波数を最適化することが可能となる。
【0028】
つまり、本実施例では、帰線期間を必要としないデバイス側において、目的のデータを連続して転送させることによって、転送クロックのスピードを低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、テレビのような表示出力を目的とするものと、ディジタルカメラやスキャナ等のような画像入力を目的とするものとに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例によるデータ転送回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例によるデータ転送回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の一実施例によるデータ転送回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の一実施例によるデータ転送回路の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1 データ転送回路
11 カウンタ(#1)
12 カウンタ(#2)
13 比較回路
14 PLL
15 バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帰線期間を必要とする第1のデバイスと帰線期間を必要としない第2のデバイスとの間のデータ転送を行うデータ転送回路であって、
前記第2のデバイス側についてクロックを生成する手段を有し、
前記第1のデバイスの帰線期間において、当該クロックを用いて前記第2のデバイス側に前記データ転送を行わせることを特徴とするデータ転送回路。
【請求項2】
前記第1のデバイス側のマスタクロックをカウントしてそれぞれのタイミングで制御信号を生成する第1のカウンタと、
前記第2のデバイス側のマスタクロックをカウントしてそれぞれのタイミングで制御信号を生成する第2のカウンタと、
前記第1及び第2のカウンタ各々のカウント結果を比較する比較回路とを含み、
前記比較回路の比較結果を基に前記クロックを生成する手段によるクロック生成を調整することを特徴とする請求項1記載のデータ転送回路。
【請求項3】
前記第1及び第2のカウンタ各々は、前記制御信号として、データクロックと水平同期信号と垂直同期信号とを出力し、
前記比較回路は、前記第1及び第2のカウンタ各々において前記垂直同期信号が同じ周波数になるように、前記クロックを生成する手段によるクロック生成を調整するための信号を出力することを特徴とする請求項2記載のデータ転送回路。
【請求項4】
前記第1及び第2のカウンタから出力される制御信号を用いて前記第1のデバイスのデータを入力して蓄積させかつ前記第2のデバイスのデータを出力するバッファを含むことを特徴とする請求項2または請求項3記載のデータ転送回路。
【請求項5】
前記クロックを生成する手段がPLL(Phase Locked Loop)であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載のデータ転送回路。
【請求項6】
帰線期間を必要とする第1のデバイスと帰線期間を必要としない第2のデバイスとの間のデータ転送を行うデータ転送回路に用いるデータ転送方法であって、
前記データ転送回路が、前記第2のデバイス側についてクロックを生成する処理を実行し、
前記第1のデバイスの帰線期間において、当該クロックを用いて前記第2のデバイス側に前記データ転送を行わせることを特徴とするデータ転送方法。
【請求項7】
前記データ転送回路が、前記第1のデバイス側のマスタクロックをカウントしてそれぞれのタイミングで制御信号を生成する第1のカウンタ及び前記第2のデバイス側のマスタクロックをカウントしてそれぞれのタイミングで制御信号を生成する第2のカウンタ各々のカウント結果を比較する比較処理を実行し、
前記比較処理の比較結果を基に前記第2のデバイス側についてのクロック生成を調整することを特徴とする請求項6記載のデータ転送方法。
【請求項8】
前記第1及び第2のカウンタ各々が、前記制御信号として、データクロックと水平同期信号と垂直同期信号とを出力し、
前記データ転送回路が、前記比較処理において、前記第1及び第2のカウンタ各々において前記垂直同期信号が同じ周波数になるように前記クロック生成を調整することを特徴とする請求項7記載のデータ転送方法。
【請求項9】
前記第1及び第2のカウンタから出力される制御信号を用いて前記第1のデバイスのデータを入力して蓄積させかつ前記第2のデバイスのデータを出力するバッファを前記データ転送回路に設けたことを特徴とする請求項7または請求項8記載のデータ転送方法。
【請求項10】
前記クロックを生成する処理に、PLL(Phase Locked Loop)を用いることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか記載のデータ転送方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−182387(P2008−182387A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13236(P2007−13236)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】