説明

データ送信装置、データ送信方法、およびデータ送信プログラム

【課題】 データ送信において、宛先選択の簡易化、ユーザ自身への宛先設定の簡易化、および不要な宛先選択を防止することができるデータ送信装置、データ送信方法、およびデータ送信プログラムを提供する。
【解決手段】 MFPは、所定のデータ入力(S102)に応じて、入力者を特定のユーザとして認証し(S103,S104)、アドレス帳に登録されている各ユーザのデータ受信用アドレスの中から、認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスを検索し(S105)、検索されたデータ受信用アドレスを送信先として設定し(S111)、設定された宛先へデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信装置、データ送信方法、およびデータ送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multi−Function Peripheral)において、複数のユーザのアドレスを登録することができるアドレス帳機能を有し、データ送信する場合にはアドレス帳に登録されている複数のアドレスを操作画面上に表示し、その中から宛先を選択するものがあった。
【0003】
一方、ユーザ認証を行い認証されたユーザのアドレスを電子メールの送信元であるFromアドレスに設定するMFPの技術が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−179722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のMFPにおいては、登録されているユーザアドレスが多いときには操作画面上に全アドレスを表示することができず、画面スクロールや画面切り替えによって、所望のアドレスを探さなくてはならなかった。
【0005】
また、MFPの使い方として、スキャナで読み取って得られた画像データを電子メールにてユーザ自身のコンピュータに送り、コンピュータにて画像データの閲覧、編集あるいは他のユーザに転送するなどの使い方があり、このような使い方をするユーザにとっては簡単にユーザ自身のアドレスを宛先として設定できるMFPが望まれている。
【0006】
さらに、アドレス帳に登録されているアドレスは、そのMFPで自由に利用できるため、ユーザがユーザ自身に関係のないユーザアドレスを誤って選択してデータを送信してしまったり、悪意のあるユーザによってアドレス帳に登録されているアドレスに不要なデータ、大量のデータなどが送られてしまったりするおそれもあった。
【0007】
一方、特許文献1に記載されている技術は、MFPからデータを送信したユーザを特定するためのものに過ぎず、データ送信時における宛先選択の簡易化、ユーザ自身への宛先設定の簡易化、あるいは不要な宛先選択の防止については何ら考慮されておらず、かかる課題を解決するための方法を提示するものではない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する問題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、データ送信時における宛先選択の簡易化、ユーザ自身への宛先設定の簡易化、および不要な宛先選択の防止を図ることができるデータ送信装置、データ送信方法、およびデータ送信プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)各ユーザのデータ受信用アドレスを記憶するアドレス記憶手段と、所定のデータ入力に応じて、入力者を特定のユーザとして認証するユーザ認証手段と、前記ユーザ認証手段により認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスを検索するアドレス検索手段と、前記アドレス検索手段により検索されたデータ受信用アドレスを、宛先として設定するアドレス設定手段と、前記アドレス設定手段により設定された宛先へデータを送信する送信手段とを有することを特徴とするデータ送信装置。
【0011】
(2)原稿の画像を読み取って画像データを得る画像読取手段をさらに有し、前記送信手段は、前記画像読取手段により得られた画像データを、前記アドレス設定手段により設定された宛先へ送信することを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0012】
(3)前記認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスは、前記認証されたユーザのデータ受信用アドレスであることを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0013】
(4)前記アドレス検索手段は、前記認証されたユーザのデータ受信用アドレスおよび当該認証されたユーザからのデータ受信を許可する他のユーザのデータ受信用アドレスを検索し、前記アドレス設定手段は、前記アドレス検索手段により検索された前記認証されたユーザのデータ受信用アドレスおよび前記他のユーザのデータ受信用アドレスのうち、前記認証されたユーザにより選択されたデータ受信用アドレスを、宛先として設定することを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0014】
(5)前記アドレス設定手段は、前記他のユーザのデータ受信用アドレスを宛先として設定した場合、前記アドレス認証手段により認証されたユーザのデータ受信用アドレスを送信元として設定することを特徴とする(4)に記載のデータ送信装置。
【0015】
(6)前記データ受信用アドレスは、電子メールアドレスを含むことを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0016】
(7)前記データ受信用アドレスは、ユーザのコンピュータ内の所定アドレスを含むことを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0017】
(8)前記データ受信用アドレスは、FTPサーバ内の所定アドレスを含むことを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0018】
(9)前記アドレス検索手段により検索されたデータ受信用アドレスを表示可能なアドレス表示手段をさらに有し、前記アドレス表示手段は、前記アドレス検索手段によりデータ受信用アドレスが複数検索された場合、予め決められた優先順位の高いデータ受信用アドレスから順番に表示することを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0019】
(10)前記アドレス記憶手段は、前記アドレス設定手段および前記送信手段とネットワークを介して接続されていることを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0020】
(11)前記アドレス検索手段は、前記アドレス設定手段および前記送信手段とネットワークを介して接続されていることを特徴とする(10)に記載のデータ送信装置。
【0021】
(12)前記ユーザ認証手段は、前記アドレス設定手段および前記送信手段とネットワークを介して接続されていることを特徴とする(1)に記載のデータ送信装置。
【0022】
(13)各ユーザのデータ受信用アドレスを記憶するアドレス記憶ステップと、所定のデータ入力に応じて、入力者を特定のユーザとして認証するユーザ認証ステップと、前記ユーザ認証ステップにおいて認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスを検索するアドレス検索ステップと、前記アドレス検索ステップにおいて検索されたデータ受信用アドレスを、宛先として設定するアドレス設定ステップと、前記アドレス設定ステップにおいて設定された宛先へデータを送信する送信ステップとを有することを特徴とするデータ送信方法。
【0023】
(14)所定のデータ入力に応じて、入力者を特定のユーザとして認証するユーザ認証手順と、アドレス記憶手段に記憶されている各ユーザのデータ受信用アドレスの中から前記ユーザ認証手順において認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスを検索するアドレス検索手順と、前記アドレス検索手順において検索されたデータ受信用アドレスを、宛先として設定するアドレス設定手順と、前記アドレス設定手順において設定された宛先へデータを送信する送信手順とをコンピュータに実行させるためのデータ送信プログラム。
【0024】
(15)(14)に記載のデータ送信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、所定のデータ入力に応じて認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスが宛先として設定されるので、データ送信時における宛先選択、および、ユーザ自身への宛先設定を簡易化でき、また、不要な宛先選択を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態にかかるデータ送信システムの全体構成を示すブロック図である。
【0028】
データ送信システムは、データ送信装置としての機能を有するMFP100、パソコン200、300、FTP(File Transfer Protocol)サーバ400、メールサーバ500、認証サーバ600、およびディレクトリサーバ700を有しており、これらはネットワーク800を介して相互に通信可能に接続されている。
【0029】
ネットワーク800は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLANや、LAN同士を専用線で接続したWAN、およびインターネットを含む。なお、ネットワーク800に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。
【0030】
図2は、MFP100の構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
MFP100は、制御部101、記憶部102、画像読取部103、画像処理部104、操作パネル部105、印刷部106、ネットワークインタフェース107を備えており、これらはバス108を介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
制御部101はCPU(Central Processing Unit)であり、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理等を行う。
【0033】
記憶部102は、たとえばROM、RAM、およびハードディスクから構成されており、各種プログラム、および各種データが格納されるとともに、プログラムを実行するための作業領域として一時的に使用され得る。また、記憶部102は、画像処理により得られた画像データ等を保存するために使用される。記憶部102に保存されるプログラムには、メールサーバの通信サービスを利用するためのクライアント用プログラムが含まれる。また、記憶部102は、データ送信の宛先として設定される電子メールアドレスなどのデータ受信用アドレスが登録されているアドレス帳を記憶している。アドレス帳は、利用時にRAMにローディングされる。
【0034】
画像読取部103は、原稿の画像を読み取ることによって、画像データを得る。画像読取部103は、原稿に光源で光を当ててその反射光を光電変換するためのCCD等の受光素子、および原稿を所定の読取位置まで搬送するための自動原稿搬送装置(ADF)を備えている。
【0035】
画像処理部104は、画像データの形式をデータ送信に適した形式に変換するフォーマット変換などを行なう。
【0036】
操作パネル部105は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用されるタッチパネル、コピー枚数等を設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー、各種設定条件を初期化するリセットキー等を備えている。
【0037】
印刷部106は、画像読取部103により読み取って得た画像データ、外部装置から受信した画像データなどの各種データを用紙などの記録材に印刷する。
【0038】
ネットワークインタフェース107は、ネットワーク800に接続しネットワーク上の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0039】
MFP100は、複写機能の他に、原稿を読み取って得られた画像データ等を、ネットワーク800を介してパソコン200等の機器に送信するネットワークスキャン機能や、パソコン200等の機器から印刷データを受信し印刷を行なうプリント機能を備えている。
【0040】
図1に戻り、FTPサーバ400は、ファイルの格納および転送機能を有するコンピュータである。
【0041】
メールサーバ500は、電子メールの送受信のための通信サービスを提供し得るコンピュータであり、たとえば、SMTPおよびPOPを利用するものである。
【0042】
認証サーバ600は、ユーザ認証、すなわちユーザが「利用を許可された当人である」ことを認証するためのサービスを提供し得るサーバコンピュータである。認証サーバ600は、ユーザ名、およびパスワードを一括管理する。
【0043】
ディレクトリサーバ700は、ネットワーク上の資源とその属性とを記憶し、それらを検索可能とするディレクトリサービスを提供する。資源とは、ネットワークを利用するユーザおよび組織に関する情報や、利用可能なサーバが提供しているサービス、プリンタなどの利用可能な機器などである。ディレクトリサービスへのアクセスには、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)というプロトコルが標準的に用いられている。ディレクトリサーバ700は、たとえばユーザ名から、電子メールアドレスなどの情報を検索し得る。ユーザ名はユーザの識別符号である。このディレクトリサーバ700には、ユーザに関する階層構造の情報が格納される。したがって、ディレクトリサーバ700は、たとえばユーザ名から、当該ユーザに関係付けられた電子メールアドレスなどのデータ受信用アドレスを検索することができる。
【0044】
パソコン200およびパソコン300は、特定のユーザが利用するコンピュータであり、たとえばMFP100から送信された電子メールを、メールサーバ500経由で受信することができる。
【0045】
MFP100は、ユーザ認証のために、認証サーバ600と通信を行い、認証処理を行う。また、MFP100は、データ受信用アドレスの検索のために、ディレクトリサーバ700と通信を行うことができる。
【0046】
次に、図3〜図12を参照して、MFP100におけるデータ送信処理について説明する。なお、図3および図4のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部102にプログラムとして記憶されており、制御部101によって実行される。
【0047】
図3において、まず、ユーザがMFP100の操作パネル部105によりスキャン機能を選択した場合(図示せず)、操作パネル部105には、図5に示すユーザ認証画面が表示される(S101)。ユーザ認証画面には、ユーザ名の入力を受け付けるためのユーザ名入力ボックス900、およびパスワードの入力を受け付けるためのパスワード入力ボックス901が表示される。ユーザが、入力ボタン902,903を押すことによって表示される図示しない文字キーなどを操作することにより、ユーザ名およびパスワードの入力が受け付けられる(S102)。これらの入力の受け付け後、認証ボタン904が押されると、MFP100は、ユーザ認証用データを認証サーバ600へ送信する(S103)。ここで、認証サーバ600は、該ユーザ認証用データに基づいて、ユーザの認証処理を行う。
【0048】
なお、ステップS102において、ユーザは、ユーザ名の入力を行う際に、図5に示されるユーザ選択ボタン905又は利用履歴ボタン906を押すことによって、図6又は図7に示される画面に切り替えて、画面に並べられて表示されるユーザ名から自分のユーザ名を選択して入力することもできる。図6に示す画面には、アドレス帳に登録されているユーザ名が、アルファベット順に並べられて表示されている。図7に示す画面には、MFP100のユーザのユーザ名が、使用履歴の新しい順に並べられて表示されている。なお、記憶部102には、ユーザの認証が行われる度に、認証したユーザ名と認証日時とが履歴データとして記憶される。そして、ユーザが、画面に表示されたユーザ名の中から自分のユーザ名を選択して、OKボタン907又はOKボタン908を押すと、図5に示される画面に再び切り替わり、ユーザ名入力ボックス900には、ユーザが選択したユーザ名が入力される。これにより、ユーザは直接自分のユーザ名を入力する手間を省くことが可能である。
【0049】
続いて、MFP100は、認証サーバ600から、ユーザ認証が成功したとの通知を受けたか否かを判断する(S104)。
【0050】
認証サーバ600からユーザ認証が失敗したとの通知を受けた場合(S104でNO)、MFP100は、ステップS101に戻って、再度、ユーザ名およびパスワードの入力を受け付ける。
【0051】
認証サーバ600からユーザ認証が成功したとの通知を受けた場合(S104でYES)、MFP100は、記憶部102に記憶されているアドレス帳において、認証されたユーザのデータ受信用アドレスの検索処理を行う(S105)。
【0052】
このアドレス帳について図8を参照して説明する。アドレス帳は、ユーザ名、送信方法/送信先、アドレス、公開設定の項目で構成されている。これらの項目は、MFP100の操作パネルから入力されるが、Webユーティリティや専用ユーティリティを用いて外部装置(たとえばパソコン)からも入力され得る。同一ユーザに対して、電子メールアドレス、FTPサーバ内の所定アドレス、パソコン内の所定アドレス、およびMFPのハードディスク内の所定アドレスなど複数のアドレスが登録され得る。ユーザは、自分が登録した各アドレスに対して、公開設定の項目において、他のユーザにアドレスを公開するか否かを設定することができる。図8では、ユーザAは、電子メールアドレスとFTPサーバ内の所定アドレスとを公開するという設定(公開設定)を行い、パソコン内の所定アドレスを非公開にする設定(非公開設定)を行っている。このように公開設定の項目を利用することにより、他のユーザからのデータの受信方法を制限することができる。
【0053】
続いて、MFP100は、記憶部102に記憶されているアドレス帳において、認証されたユーザのデータ受信用アドレスが登録されているか否かを検索する(S105)。
【0054】
認証されたユーザのデータ受信用アドレスが取得された場合(S106でYES)、MFP100は、当該アドレスを、先頭に配置した宛先選択画面を、操作パネル部105に表示する(S107)。
【0055】
図9は、ユーザAが認証されたユーザである場合に表示される宛先選択画面の一例を示す。宛先選択画面において、ユーザAのデータ受信用アドレスが先頭に配置されて表示され、スクロールバー909の下矢印が押されることによって、ユーザAのデータ受信用アドレスに続いて、他のユーザの公開設定とされたデータ受信用アドレスが表示される。また、ユーザAのデータ受信用アドレスの中で、電子メールアドレスが、他のアドレスよりも、上位に並べられて表示されている。このように、同じユーザの各データ受信用アドレスは、あらかじめ決められた優先順位にしたがって順番に並べられて表示される。
【0056】
一方、認証されたユーザのデータ受信用アドレスが取得されなかった場合(S106でNO)、MFP100は、外部のディレクトリサーバ700に、当該アドレスが登録されているか否かの検索を要求する(S108)。この要求によって、ディレクトリサーバ700は、たとえばユーザ名に基づいて、認証されたユーザのデータ受信用アドレスをディレクトリサーバ700の内部で検索する。当該アドレスがあった場合、ディレクトリサーバ700は、当該アドレスをMFP100へ送信する。
【0057】
続いて、ディレクトリサーバ700から認証されたユーザのデータ受信用アドレスが取得された場合(S109でYES)、MFP100は、当該アドレスを先頭に配置した宛先選択画面を、操作パネル部105に表示する(S107)。
【0058】
一方、ディレクトリサーバ700から認証されたユーザのデータ受信用アドレスが取得されなかった場合(S109でNO)、MFP100は、他のユーザの公開設定とされたデータ受信用アドレスを配置した宛先選択画面を、操作パネル部105に表示する(S110)。図10は、ユーザAが認証されたユーザであって、ユーザAのデータ受信用アドレスが取得されなかった場合に表示される宛先選択画面の一例を示す。操作パネル部105には、ユーザA以外のユーザのデータ受信用アドレスが配置された宛先選択画面が表示されている。
【0059】
また、宛先選択画面には、図9あるいは図10に示すように、宛先の選択を促す指示が表示される。ユーザが、この宛先選択画面に表示されているデータ受信用アドレスの中から、スキャンして得られた画像データを送信する宛先を選択すると、MFP100は、ユーザの選択に基づいて、画像データの宛先を設定する(S111)。なお、ユーザは、宛先選択画面に表示されているデータ受信用アドレスの中から、複数のデータ受信用アドレスを宛先として選択し得る。
【0060】
さらに、宛先選択画面には、ユーザのデータ受信用アドレスとともに、ユーザ名および送信方法/送信先が表示されている。ただし、ユーザ名およびデータ受信用アドレスのみが表示されてもよい。また、ユーザ名および送信方法/送信先のみが表示されることにより、対応するデータ受信用アドレスが特定されてもよい。
【0061】
次に上述した優先順位の設定について説明する。
【0062】
図11は、宛先選択画面に表示するアドレスの優先順位を設定するためのテーブルの一例を示す図である。テーブルは記憶部102に記憶されており、送信方法/送信先の項目において、電子メール、HDD、PC、FTPの順に優先順位が設定されている。この優先順位に応じて、宛先選択画面にはアドレスが並べられて表示される(図9参照)。
【0063】
優先順位の設定は、管理者およびユーザの両者によって行われ得る。この場合、上記のテーブルについて、全ユーザを対象とした共通の優先順位を設定するための管理者用のテーブルと、ユーザが自分自身の利用のために優先順位を設定するためのユーザ用のテーブルとが準備される。ユーザがMFP100を利用する際に、管理者用のテーブルとユーザ用のテーブルとのいずれにも優先順位が設定されている場合には、ユーザ用のテーブルに基づく優先順位に応じてアドレスを表示し、ユーザ用のテーブルに優先順位が設定されていない場合には、管理者用のテーブルに基づく優先順位に応じてアドレスを表示することができる。
【0064】
ここで、管理者は、たとえば利用頻度を考慮して、電子メールアドレスを他のアドレスよりも上位に並べて表示させるための優先順位の設定を行うことが可能となる。これにより、ユーザの操作性がより向上する。さらに、管理者は、FTPサーバ400やメールサーバ500への負荷を軽減させたい場合には、FTPや電子メール以外のアドレスを上位に並べて表示させるための優先順位の設定を行うことも可能である。
【0065】
次に、図4に示されるステップS112において、ユーザの指示に基づいて、MFP100はスキャンを開始する。これにより、原稿が読み取られて画像データが得られる。
【0066】
続いて、MFP100は、ステップS111において宛先に設定されたデータ受信用アドレスが電子メールアドレスか否かを判断する(S113)。
【0067】
ステップS113において、宛先のデータ受信用アドレスが電子メールアドレスでないと判断された場合(S113でNO)、MFP100は、そのアドレスに対応する送信方法により画像データの送信を開始する(S117)。
【0068】
一方、宛先に設定されたデータ受信用アドレスが電子メールアドレスである場合(S113でYES)、MFP100は、その電子メールアドレスが、認証されたユーザの電子メールアドレスのみであるか否かを判断する(S114)。
【0069】
図12に示すように、電子メールのヘッダ部には、電子メールの送信元を示すFromアドレス912が記述される欄と、電子メールの宛先を示すToアドレス911が記述される欄とがある。なお、電子メールを受信したパソコン(たとえばパソコン200、300)において、Fromアドレス912に設定された電子メールアドレスは、当該電子メールの差出人(送信元)として表示される。
【0070】
宛先に設定された電子メールアドレスが、認証されたユーザの電子メールアドレスのみである場合(S114でYES)、Toアドレス911に、認証されたユーザの電子メールアドレスが設定されるとともに、Fromアドレス912には、MFP100のアドレスが設定される(S115)。このようなアドレスが設定された電子メールがパソコンで受信された場合、ユーザは、自分が当該電子メールをMFP100から送信したものであることを把握することができる。なお、MFP100の電子メールアドレスの代わりに管理者の電子メールアドレスが使用されてもよい。
【0071】
一方、宛先に設定された電子メールアドレスが、認証されたユーザの電子メールアドレスのみではない場合(S114でNO)、Toアドレス911に、認証されたユーザおよび/または他のユーザの電子メールアドレスが設定されるとともに、Fromアドレス912には、認証されたユーザの電子メールアドレスが設定される(S116)。このようなアドレスが設定された電子メールがパソコンで受信された場合、電子メールの受信者は、当該電子メールの送信者を特定することができる。
【0072】
そして、Toアドレス911およびFromアドレス912に上記のように電子メールアドレスが設定された後、画像データが電子メールに添付されて送信される(S117)。
【0073】
このように、本実施形態によれば、所定のデータ入力に応じて認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスが検索されて、電子メールの宛先として設定される。したがって、MFPに多くのユーザアドレスが登録されているときでも、ユーザは所望のアドレスを簡単に探すことが可能となり、データ送信時における宛先選択の簡易化が図られる。また、MFPからユーザ自身のアドレス宛てに、データを送信したいユーザにとっても、簡単に当該アドレスを宛先に設定することが可能となり、ユーザ自身への宛先設定の簡易化が図られる。さらに、ユーザが選択可能なアドレスが、ユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスに限定されるため、ユーザが自身に関係のないアドレスを誤って宛先に選択することや、悪意のあるユーザが、不要なデータを送信する目的で、アドレス帳に登録されているアドレスを選択することが回避され、不要な宛先選択の防止が図られる。
【0074】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0075】
たとえば、本実施形態において、スキャン機能利用時にユーザ認証されたユーザのデータ受信用アドレスと公開設定されているユーザのデータ受信用アドレスを宛先として選択できるよう表示させているが、スキャン機能利用時にユーザ認証されたユーザのデータ受信用アドレスのみを宛先として設定できるようにしてもよい。この場合にはさらに誤ったデータ受信用アドレスへの送信、不要なデータ受信用アドレスへの送信が制限される。
【0076】
また、ユーザ認証方法は、ユーザ名およびパスワードの入力によるユーザ認証に限られるものではなく、たとえば、ICカード、携帯電話(赤外線等)、あるいは生体認証(指紋等)を利用したユーザ認証であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態において、ユーザ認証は、認証サーバ600を利用して行われているが、本発明はこれに限定されるものではない。図13に示すように、MFP100aは認証部109を有しており、この認証部109がユーザ認証を行うことにより、MFP100aにおいて認証処理が完了されてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、データ送信装置としてMFPが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、ネットワークスキャナ、データ送信機能を有するデータ保存装置などの、他のデータ送信装置にも適用可能である。
【0079】
また、本発明によるデータ送信装置における各種処理を行う手段は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り記憶可能な記憶媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶装置に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、データ送信装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態にかかるデータ送信装置を含むデータ送信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示されるMFPの構成を示すブロック図である。
【図3】MFPにおけるデータ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4から続く、MFPにおけるデータ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】ユーザ認証画面の一例を示す図である。
【図6】ユーザ選択画面の一例を示す図である。
【図7】利用履歴画面の一例を示す図である。
【図8】アドレス帳の一例を示す図である。
【図9】宛先選択画面の一例を示す図である。
【図10】宛先選択画面の一例を示す図9とは表示内容が異なる図である。
【図11】宛先選択画面に表示するアドレスの送信方法に関する優先順位を設定するためのテーブルの一例を示す図である。
【図12】電子メールのヘッダ部の一部の一例を示す図である。
【図13】他の実施形態にかかるMFPの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0081】
100,100a MFP、
101 制御部、
102 記憶部、
103 画像読取部、
104 画像処理部、
105 操作パネル部、
106 印刷部、
107 ネットワークインタフェース、
108 バス、
109 認証部、
200,300 パソコン、
400 FTPサーバ、
500 メールサーバ、
600 認証サーバ、
700 ディレクトリサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ユーザのデータ受信用アドレスを記憶するアドレス記憶手段と、
所定のデータ入力に応じて、入力者を特定のユーザとして認証するユーザ認証手段と、
前記ユーザ認証手段により認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスを検索するアドレス検索手段と、
前記アドレス検索手段により検索されたデータ受信用アドレスを、宛先として設定するアドレス設定手段と、
前記アドレス設定手段により設定された宛先へデータを送信する送信手段と、
を有することを特徴とするデータ送信装置。
【請求項2】
原稿の画像を読み取って画像データを得る画像読取手段をさらに有し、
前記送信手段は、前記画像読取手段により得られた画像データを、前記アドレス設定手段により設定された宛先へ送信することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項3】
前記認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスは、前記認証されたユーザのデータ受信用アドレスであることを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
前記アドレス検索手段は、前記認証されたユーザのデータ受信用アドレスおよび当該認証されたユーザからのデータ受信を許可する他のユーザのデータ受信用アドレスを検索し、
前記アドレス設定手段は、前記アドレス検索手段により検索された前記認証されたユーザのデータ受信用アドレスおよび前記他のユーザのデータ受信用アドレスのうち、前記認証されたユーザにより選択されたデータ受信用アドレスを、宛先として設定することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項5】
前記アドレス設定手段は、前記他のユーザのデータ受信用アドレスを宛先として設定した場合、前記アドレス認証手段により認証されたユーザのデータ受信用アドレスを送信元として設定することを特徴とする請求項4に記載のデータ送信装置。
【請求項6】
前記データ受信用アドレスは、電子メールアドレスを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項7】
前記データ受信用アドレスは、ユーザのコンピュータ内の所定アドレスを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項8】
前記データ受信用アドレスは、FTPサーバ内の所定アドレスを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項9】
前記アドレス検索手段により検索されたデータ受信用アドレスを表示可能なアドレス表示手段をさらに有し、
前記アドレス表示手段は、前記アドレス検索手段によりデータ受信用アドレスが複数検索された場合、予め決められた優先順位の高いデータ受信用アドレスから順番に表示することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項10】
前記アドレス記憶手段は、前記アドレス設定手段および前記送信手段とネットワークを介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項11】
前記アドレス検索手段は、前記アドレス設定手段および前記送信手段とネットワークを介して接続されていることを特徴とする請求項10に記載のデータ送信装置。
【請求項12】
前記ユーザ認証手段は、前記アドレス設定手段および前記送信手段とネットワークを介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項13】
各ユーザのデータ受信用アドレスを記憶するアドレス記憶ステップと、
所定のデータ入力に応じて、入力者を特定のユーザとして認証するユーザ認証ステップと、
前記ユーザ認証ステップにおいて認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスを検索するアドレス検索ステップと、
前記アドレス検索ステップにおいて検索されたデータ受信用アドレスを、宛先として設定するアドレス設定ステップと、
前記アドレス設定ステップにおいて設定された宛先へデータを送信する送信ステップと、
を有することを特徴とするデータ送信方法。
【請求項14】
所定のデータ入力に応じて、入力者を特定のユーザとして認証するユーザ認証手順と、
アドレス記憶手段に記憶されている各ユーザのデータ受信用アドレスの中から前記ユーザ認証手順において認証されたユーザに関係付けられたデータ受信用アドレスを検索するアドレス検索手順と、
前記アドレス検索手順において検索されたデータ受信用アドレスを、宛先として設定するアドレス設定手順と、
前記アドレス設定手順において設定された宛先へデータを送信する送信手順と、
をコンピュータに実行させるためのデータ送信プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のデータ送信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−11985(P2006−11985A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190347(P2004−190347)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】