説明

トイレシステム、自動灌水システム、洗面所システムおよび発電ユニット

【課題】商用電源からの電源供給がない環境においても電装機器への給電を可能とし、環境に負荷をかけることがないトイレシステム、自動灌水システム、洗面所システムおよび発電ユニットを提供を提供する。
【解決手段】水道管に連通連結される水の流れによって電力を発生させる発電部4と、電力を一時的に蓄電する蓄電部6と、前記発電部4によって発生させた電力を負荷に合わせて調整して供給すると共に余った電力を蓄電部6に蓄電し水の流れがないときには蓄電部6に蓄電した電力を用いて負荷に電力供給を行なう制御部8とを備える発電ユニット10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレシステム、自動灌水システム、洗面所システムおよび発電ユニットに関するものであり、より詳細には水の流れを効率的に電力変換して環境に対する負荷を小さくできるトイレシステム、自動灌水システム、洗面所システムおよび発電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トイレで快適性を向上させるための電装機器として、温水洗浄便座、暖房便座、フットライトなどを備えるトイレシステムが発明され、実用化に至っている。同様に、洗面所においても洗面照明、フットライトなどを装備する洗面所システムがある。さらに、戸外においてもタイマーと電磁弁を備えて電気制御を行なうことにより設定した時間にスプリンクラーなどを備えた散水管で水を自動的に撒く自動灌水システムが考えられている。
【0003】
トイレシステムの一例として、特許文献1には、水栓の流量調整ハンドルが透明または半透明の部材より構成されてこれに光を投ずるLED照明灯が設けられることが記載されている。これによって、水栓装置にこれまでにない斬新なデザインを施すことができ、この水栓装置を店舗に設置することにより購買意欲の向上を期待できることが提案されている。また、前記LED照明灯に電力を供給するために弁体に形成した小型の発電部を備えることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−16949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような構成では、発電部がLED照明灯を発光させる程度の必要最小限のものであり、水栓から水を流している吐水状態においてはLEDを点灯させることが可能であるものの水の流れを停止させると消灯するため、水栓に施した斬新なデザインの価値が半減するという問題がある。
【0006】
他方、フットライト、温水洗浄便座、暖房便座、電磁弁のように比較的大きな電力を消費する電装機器に給電するためには、発電部においてより大きな電力を供給する必要があるため、商用電源から電力(交流100V)の供給を得る必要があったり、乾電池を用いて安定した電力供給を行なう必要があった。したがって、利便性や快適性を得るために電装機器を有するトイレシステム、自動灌水システム、洗面所システムは、電力を使用することにより環境に負荷がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、商用電源からの電源供給がない環境においても電装機器への給電を可能とし、環境に負荷をかけることがないトイレシステム、自動灌水システム、洗面所システムおよび発電ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1発明は、トイレの貯水タンクに設けた止水栓と、この止水栓の下流側に接続された発電部と、この発電部に電気的に接続された電装機器と、この電装機器で余らせた電力を蓄電する蓄電部と、前記止水栓の開栓に伴って便器に流す水の流れを利用し前記発電部によって発生させた電力を電装機器に供給すると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部に蓄電した電力を用いて電装機器を稼働させる制御部とを有することを特徴とするトイレシステムを提供する(請求項1)。
【0009】
前記構成よりなるトイレシステムによれば、使用者が止水栓を開放すると貯水タンクに貯められた水が勢いよく流れて発電部が発電し、その電力が制御部を介して電装機器に供給される。貯水タンクから放出される水の勢いはタンク内に水が多量に残っているときには十分に強く、それだけ大きな電力を得ることができるので、電装機器が必要とする電力を供給した上でさらに余る電力を蓄電部に蓄電することができる。また、止水栓が閉じられると、発電部からの電力供給が無くなるので、蓄電部に蓄電された電力を電装機器に供給することができる。
【0010】
貯水タンクは、便器内の汚物を流すことができるように多量の水を溜めるものであり、その止水栓は手動レバーによって開栓されるものである。発電部は貯水タンクから供給される水の流れを効率的に用いて電力を生成するように構成されたものである。蓄電部は二次電池またはコンデンサであり、前記電装機器は例えば温水洗浄便座、暖房便座などの熱源、フットライトなどの照明、および制御部を構成するマイクロコンピュータなどを含む電気的な負荷であり、照明は有機ELを含むLEDなど、エネルギー消費を最小限に抑えたものであることが好ましい。
【0011】
第2発明は、散水管に設けた電磁弁と、この電磁弁の下流側に接続された発電部と、前記電磁弁を設定した時間に開栓させる時を計測するタイマーと、このタイマーで余らせた電力を蓄電する蓄電部と、前記電磁弁を開放させ散水する水の流れを利用して前記発電部によって発生させた電力を用いて前記タイマーを稼働させると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部に蓄電した電力を用いてタイマーおよび電磁弁を稼働する制御部とを有することを特徴とする自動灌水システムを提供する(請求項2)。
【0012】
前記構成よりなる水栓取付構造によれば水される水の勢いにより得られる比較的大きな電力は、タイマーや制御部自身が消費する電力に比べて十分に大きいので、余った電力を蓄電部に蓄電することができる。また、所定時間が経過して電磁弁が閉じられると、発電部からの電力供給が無くなるので、その後は蓄電、タイマーによって測定された現在時刻が散水の設定時間になった時に制御部が電磁弁を開栓させ、散水管を用いた散水が行なわれるときに発電部は水の流れを利用して電力を生成し、その電力が制御部を介してタイマーおよび制御部自身に供給される。散部に蓄電された電力を用いてタイマーに電力を供給し続け、かつ、次に電磁弁を開栓させるための電力を確保することができる。
【0013】
前記散水管は例えば先端部にスプリンクラーを備える水道管であることが好ましいが、このスプリンクラーに代えて側面部に灌水用の小穴を多数形成した給水管であってもよい。また電磁弁は開閉によって散水管への給水と断水を切り替え可能とするものであり、発電部は給水管へと流れる水の流れを効率的に用いて電力を生成するように構成されたものである。前記制御部およびタイマーはマイクロコンピュータを備え前記電磁弁への駆動電力を生成するドライバ回路を有する電気的な負荷を構成するものであり、蓄電部は二次電池などの蓄電装置である。
【0014】
第3発明は、洗面所の湯水混合ユニットの下流側に設けた電磁弁と、この電磁弁の下流側に接続された発電部と、この発電部に電気的に接続された電装機器と、この電装機器で余らせた電力を蓄電する蓄電部と、前記電磁弁を開放して吐水させる水の流れを利用し前記発電部によって発生させた電力を電装機器に供給すると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部に蓄電した電力を用いて電装機器を稼働させると共に前記電磁弁を開放させる制御部とを有することを特徴とする洗面所システムを提供する(請求項3)。
【0015】
制御部は使用者の手動操作または人体検知をトリガとする開栓制御によって前記電磁弁を開栓させる駆動電力を供給し、電磁弁を開栓させると、湯水混合ユニットによって快適な温度に調整された温水が発電部に流れることにより電力を生成し、その電力が制御部に供給される。吐水される温水の勢いにより得られる電力は、制御部自身が必要とする電力に比べて十分に大きく、各種電装機器に供給され、余った電力は蓄電部に蓄電される。前記電磁弁が閉栓すると、発電部からの電力供給が無くなるので、蓄電部に蓄電された電力を用いて制御部に電力を供給し続け、電磁弁を開栓させるための電力を確保することができる。
【0016】
前記湯水混合ユニットは給水管と給湯管に接続され一定の割合でこれらを混合して温水を生成するものである。電磁弁は開閉によって吐出する温水の給水と断水を切り替え可能とするものであり、発電部は吐出する水の流れを効率的に用いて電力を生成するように構成されたものであり、湯水混合ユニットの下流側に接続されているので、湯と水を合わせた温水の流れによって電力を生成でき、より大きな電力を得ることができるものである。前記制御部はマイクロコンピュータを備え前記電磁弁への駆動電力を生成するドライバ回路を有する電気的な負荷を構成するものであり、蓄電部は二次電池またはコンデンサである。前記電装機器は例えば洗面照明やフットライトなどの照明、電磁弁および制御部を構成するマイクロコンピュータなどを含む電気的な負荷であり、照明は有機ELを含むLEDなど、エネルギー消費を最小限に抑えたものであることが好ましい。
【0017】
第4発明は、洗面所の湯水混合栓と、この湯水混合栓の上流側の給水管に接続された発電部と、この発電部に電気的に接続された電装機器と、この電装機器で余らせた電力を蓄電する蓄電部と、前記湯溝混合栓を開栓して吐水させる水の流れを利用し前記発電部によって発生させた電力を電装機器に供給すると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部に蓄電した電力を用いて電装機器を稼働させる制御部とを有することを特徴とする洗面所システムを提供する(請求項4)。
【0018】
湯水混合栓が開栓されて温水が流されると給水管を流れる水が発電部に流れることにより電力を生成し、その電力が制御部に供給される。吐水される温水の勢いにより得られる電力は、制御部自身が必要とする電力に比べて十分に大きく、各種電装機器に供給され、余った電力は蓄電部に蓄電される。前記湯水混合栓が閉栓すると、発電部からの電力供給が無くなるので、蓄電部に蓄電された電力を用いて制御部に電力を供給し続け、電磁弁を開栓させるための電力を確保することができる。
【0019】
前記湯水混合栓は給水管と給湯管に接続され任意の割合でこれらを混合して温水を生成すると共に吐出する温水の流量を調節するものであり、発電部は吐出する水の流れを効率的に用いて電力を生成するように構成されたものであり、湯水混合ユニットの上流側の給水管に接続されているので、水の流れによって電力を生成すると共に電力の生成によって水圧をいくらか減水させて給湯管を流れる湯の水圧に合わせて調整することができるものである。前記制御部はマイクロコンピュータを備える電気的な負荷を構成するものであり、蓄電部は二次電池またはコンデンサである。前記電装機器は例えば洗面照明やフットライトなどの照明を含む電気的な負荷であり、照明は有機ELを含むLEDなど、エネルギー消費を最小限に抑えたものであることが好ましい。
【0020】
第5発明は、水道管に連通連結される水の流れによって電力を発生させる発電部と、電力を一時的に蓄電する蓄電部と、前記発電部によって発生させた電力を負荷に合わせて調整して供給すると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れがないときには蓄電部に蓄電した電力を用いて負荷に電力供給を行なう制御部とを備える発電ユニットを提供する。
【0021】
前記発電ユニットは流量の安定しない水の流れを利用して発電部に電力を発生させると共に、発生させた電力を蓄電部に蓄電して、安定した電力の供給を行なうことができる。
【発明の効果】
【0022】
前述したように、本発明によれば、安定しない水の流れを利用して、安定した電力を発生させ、これによって快適性および・または利便性の向上を図ることができる。したがって、温水洗浄便座、暖房便座、フットライトなどの電装機器に安定した電力を供給するトイレシステムや、洗面照明、電磁弁、フットライトなどの電装機器に安定した電力を供給する洗面所システムや、タイマーや電磁弁などの電装機器に安定した電力を供給する自動灌水システムを容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るトイレシステムの全体構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】前記トイレシステムの動作を説明する図である。
【図4】第2実施形態の発電ユニットおよびトイレシステムの構成を示す側面図である。
【図5】第2実施形態の自動灌水システムの構成を示す図である。
【図6】第3実施形態の洗面所システムの構成を示す図である。
【図7】第4実施形態の洗面所システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係るトイレシステム1の一例を示す図であり、図1はトイレシステム1の全体構成を示し、図2はトイレシステム1の要部構成を示すブロック図である。また、図3は前記トイレシステム1の動作を説明する図である。
【0025】
図1に示すトイレシステム1は、トイレの貯水タンク2に設けた止水栓3と、この止水栓3の下流側に接続された発電部4と、この発電部4に電気的に接続された電装機器5と、この電装機器5で余らせた電力を蓄電する蓄電部6と、前記止水栓4の開栓に伴って便器7に流す水の流れを利用し前記発電部4によって発生させた電力を電装機器5に供給すると共に余った電力を蓄電部6に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部6に蓄電した電力を用いて電装機器5を稼働させる制御部8とを有する。
【0026】
前記トイレは例えば店舗や公園の公衆トイレであり、例えば安定した電力供給を行なうための商用電源が近くにないトイレである。前記貯水タンク2は便器に流す水の勢いを十分に得ることができるように便器7より高い位置に設置され、少なくとも数リットルを貯水する能力を有するメンテナンス容易なロータンクである。この貯水タンク2は使用者が水を流すときに操作する操作レバー2aと水源に連通連結されて所定量の水をためるボールタップ2bと手洗い用の水を吐水する吐水口2cとを備える。なお、ロータンクに代えて洗浄力に優れたハイタンクを用いることにより大きな電力をえられるようにしてもよい。
【0027】
また、前記止水栓3は貯水タンク2の排水口に設けたロータンク用のゴムフロートであることが好ましい。本実施形態では一例として便器7は様式便器である例を示しているが、本発明は便器7の種類が例示したものに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0028】
図2に示すように、前記発電部4は貯水タンク2の下流側に連通連結されて水流を受けることにより回転力を得る水車部4aと、この回転力によって電力を発生させる発電回路4bとを備える。電装機器5は例えば赤外線センサを備えたフットライト5aと、前記赤外線センサが使用者を検知しているときに便座を加熱する暖房便座5bとを備える。また、蓄電部6は例えばニッケル水素電池などの二次電池からなる蓄電装置であり、制御部8を介して発電部4と電気的に接続されている。
【0029】
前記制御部8はマイクロコンピュータを含む電気回路を備え、これが電気的な負荷となるので電装機器5の一部を構成するということができる。この制御部8は発電部4によって発電される電圧および電流を測定する測定部8aと、各電装機器5a,5bが必要とする電圧に調圧して出力する出力制御部8bと、出力制御部8bにおいて生じた余剰電流を前記蓄電部6に流すことにより余った電力を蓄電する蓄電制御部8cとを備え、前記蓄電制御部8cは発電部4からの電力供給が電装機器5全体の必要とする電力を下回るときに蓄電部6に蓄電した電力を用いて必要な電力供給を維持する機能を有する。
【0030】
前記フットライト5aはトイレに入ってくる人を検知したときにこれを検知する赤外線センサSiと、この赤外線センサが人を検知するときに足下に光を照射するLEDライトLedとを備える。また、前記暖房便座5bは前記赤外線センサSiが人を検知したときに瞬間的に便座の温度を上昇させ、便座に座ったときから離れるまで便座を暖める発熱部として例えばペルチエ素子および/または電熱部を備える。
【0031】
次に、図3を用いて前記構成のトイレシステム1の動作を説明する。図3において、Gは発電部4によって発生する電力を示し、Uは電装機器5によって消費される電力、Cは蓄電部6に蓄電される電力を示す。本発明のトイレシステム1は例えば時点t1において、使用者が貯水タンク2のレバー2aを操作し止水栓3を開くと、その水が下流側に接続された水車部4aに勢いよく流れ込み、水流が水車に回転力を与え、発電回路4bがこの回転力を用いて大きな電力G(電圧×電流)を発生する。その電力は測定部8aによって測定されて、出力制御部8bが必要とする電力と比較され、余剰が生じるときには蓄電制御部8cが蓄電を行ない、不足が生じるときには蓄電制御部8cが蓄電部6の放電をおこなう。
【0032】
つまり、発電部4によって発生する電圧および電流は水流が流れているときには電装機器5による使用電力Uに比べて十分に大きく、この余った電力Cを蓄電部6に蓄電することができる。このようにして、時点t2までの間に流れた水の流れを用いて蓄電部6に溜まった電力は時点t2以降、発電部4による発電電力が必要とする電力を下回ったときに、蓄電部6から蓄電制御部8cを介して出力制御部8bに供給される。
【0033】
使用者がトイレを離れると赤外線センサSiが人体を見知しなくなるので、時点t3からLEDライトLedへの電力供給を停止し、以後は微少な待機電流が流れる程度の電力消費であるから、蓄電部6に蓄積させた電力を少しずつ用いて各電装機器5を動作させ続けることができる。
【0034】
次に、時点t4において、トイレに再び使用者が入ってくると、赤外線センサSiが再び人体を検知するので前記LEDライトLedを再び点灯させ、出力制御部8bは便座の温度を瞬間的に引き上げるために暖房便座に大電力を一瞬供給し、適温になった時点で保温のための電力供給を行なうことにより、使用者が快適に便器を利用できるようにする。なお、便座への電力供給はLEDライトLedなどに比べて大きいので、蓄電された電力を使い果たすことも考えられる。したがって、蓄電部6に全く電力が蓄電されていない場合に限って商用電源や一次電池を用いて電力供給を継続させるようにしても良い。
【0035】
前記蓄電部6への蓄電と放電のサイクルは駅や店舗のトイレなど出入りに激しいところでは頻繁に繰り返されるので、蓄電部6は充放電寿命の長いコンデンサを用いることが好ましいが、コンデンサに代えて二次電池を用いて蓄電容量を高めるようにしてもよい。
【0036】
また、本実施形態では構成が理解しやすいように発電部4と蓄電部6と制御部8を別体として図示しているが、これを一体的に形成して一つの発電ユニットとしてもよい。
【0037】
図4は本発明の第2実施形態に係る発電ユニット10およびトイレシステム1’の構成を示す図である。図4に示す発電ユニット10は図1,2に示すトイレシステム1を構成する発電部4と蓄電部6と制御部8を一つのユニットとし、貯水タンク2と便器7の間に介在し、洗浄水を流す流路を構成するものである。その他の構成は図1〜3の説明と重複するので省略する。
【0038】
図5は本発明の第3実施形態に係る自動灌水システム20の構成を示す図である。図5に示す自動灌水システム20は、先端部にスプリンクラー21を備えて散水する水を配管する散水管22に設けた電磁弁23と、この電磁弁23の下流側に接続された発電部24と、前記電磁弁23を設定した時間に開栓させる時を計測するタイマー25と、このタイマー25で余らせた電力を蓄電する蓄電部26と、水源からの水を手動で止めるための止水栓27と、前記電磁弁23を開放させ散水する水の流れを利用して前記発電部24によって発生させた電力を用いて前記タイマー25を稼働させると共に余った電力を蓄電部26に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部26に蓄電した電力を用いてタイマー25および電磁弁23を稼働する制御部28と、蓄電部26の蓄電電力が枯渇したときに電力供給を行なう電池29とを有する。
【0039】
本実施形態の自動灌水システム20は前記電磁弁23と、発電部24と、タイマー25と、蓄電部26と、制御部28とを一つのユニットとして形成しており、前記止水栓27に連通連結するための接続部20aと、散水管22を連通連結するための接続部20bとを備える。
【0040】
本実施形態において前記散水管22はスプリンクラー21を備える可撓性の水道管(すなわちホース)である。しかしながら、散水管22はスプリンクラー21に代えて側面部に灌水用の小穴を多数形成した給水管であってもよい。また、電磁弁23は開閉によって散水管への給水と断水を切り替え可能とするものであり、発電部24は給水管22へと流れる水の流れを効率的に用いて電力を生成するように構成された水車と、この水車によって得られた回転力を用いて電力を得る発電回路とを備える。
【0041】
前記制御部28およびタイマー25はマイクロコンピュータを備え電気的な負荷を構成するものであり、蓄電部26は例えばコンデンサである。しかしながら、コンデンサに代えて二次電池を用いてもよい。制御部28は発電部24によって発電される電圧および電流を測定する測定部28aと、タイマー25が必要とする電圧に調圧して出力する出力制御部28bと、電磁弁23に駆動電力を供給するドライバ回路28cと、出力制御部28bおよびドライバ回路28cにおいて生じた余剰電流を前記蓄電部26に流すことにより余った電力を蓄電する蓄電制御部28dとを備え、前記蓄電制御部28dは発電部24からの電力供給がタイマー25の必要とする電力を下回るときに蓄電部26に蓄電した電力を用いて必要な電力供給を維持する機能を有する。
【0042】
前記構成の自動灌水システム1はタイマー25によって測定された時間が、散水時間になった時点で前記電磁弁23を開栓し、散水時間が終了すると電磁弁23を閉栓するように前記ドライバ回路28cは電力を供給する。また、開栓時は前記発電部4に水が流れることにより水流によって電力を発生させることができ、この電力を制御部28の測定部28aが計測し、タイマー25に必要な電力を供給した上で余る電力を蓄電制御部28dを介して蓄電部26に蓄電する。また、電磁弁23が閉栓した状態では発電部24からの電力供給が停止するので、蓄電部26に蓄電した電力を蓄電制御部28dを介して出力制御部28aに供給してタイマー25を稼働させ続けることができる。
【0043】
自動灌水システム1の場合、定期的な散水が行なわれるので、蓄電部26には定期的な蓄電を行なうことができるので、蓄電部26は散水を行なわない時間におけるタイマー25と制御部28の待機電流を供給することができる程度の電力を蓄電できれば、蓄電部26内の電力が枯渇することはないが、これが完全に放電された状態では前記電池29からの給電を行なうことができる。
【0044】
前記自動灌水システム1は電源を一切必要としておらず、自動灌水を行なうことができるので、完全なメンテナンスフリーのシステムとすることができ、電源の有無にかかわらず、あらゆる部分に取り付け可能である。
【0045】
図6は本発明の第4実施形態に係る洗面所システム30の構成を示す図である。図6に示す洗面所システム30は、洗面所の湯および水の止水栓31a,31bに連通連結された湯水混合ユニット32の下流側に設けた電磁弁33と、この電磁弁33の下流側に接続された発電部34と、この発電部34に電気的に接続された電装機器35と、この電装機器35で余らせた電力を蓄電する蓄電部36と、前記電磁弁33を開放して吐水させる水の流れを利用し前記発電部34によって発生させた電力を電装機器35に供給すると共に余った電力を蓄電部36に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部36に蓄電した電力を用いて電装機器35を稼働させると共に前記電磁弁34を開放させる制御部38と、電池39とを有する。
【0046】
前記湯水混合ユニット32は給水管と給湯管に設けた止水栓31a,31bに接続されて一定の割合でこれらを混合して温水を生成するものである。電磁弁33は開閉によって吐出する温水の給水と断水を切り替え可能とするものであり、発電部34は吐出する水の流れを効率的に用いて電力を生成するように構成されたものであり、湯水混合ユニットの下流側に接続されているので、湯と水を合わせた温水の流れによって電力を生成でき、より大きな電力を得ることができるものである。
【0047】
前記制御部38はマイクロコンピュータを備え、発電部34によって発電される電圧および電流を測定する測定部38aと、電装機器35が必要とする電圧に調圧して出力する出力制御部38bと、電磁弁33に駆動電力を供給するドライバ回路38cと、出力制御部38bおよびドライバ回路38cにおいて生じた余剰電流を前記蓄電部36に流すことにより余った電力を蓄電する蓄電制御部38dとを備え、前記蓄電制御部38dは発電部34からの電力供給が電装装置35の必要とする電力を下回るときに蓄電部36に蓄電した電力を用いて必要な電力供給を維持し、かつ、蓄電部36に蓄電した電力が全くなくなると電磁39を用いて各電装機器35に給電する機能を有する。
【0048】
蓄電部36は二次電池またはコンデンサである。前記電装機器35はフットライトなどの照明35aと、洗面所に差し出した使用者の手を検知する自動水栓の赤外検知センサ35bと、電磁弁33とを含む電気的な負荷である。また、制御部38は構成するマイクロコンピュータも電気的な負荷を構成するものである。前記照明35aはLEDライトLedと赤外線センサSiとを備えるものである。
【0049】
前記構成の洗面所システム30を用いることにより、使用者が洗面所に近づくとき、フットライト35aの赤外線センサSiが使用者を検知して足下をLEDライトLedによって照らすことにより、安全を確保することができる。また、制御部38は使用者が差し出した時には赤外線センサ35bがこれを検知して制御部38はドライバ回路38cを介して電磁弁33に前記電磁弁33を開栓させる駆動電力を供給し、電磁弁33を開栓させると、湯水混合ユニット32によって快適な温度に調整された温水が発電部34に流れることにより電力を生成し、その電力が制御部38に供給される。
【0050】
吐水される温水の勢いにより得られる電力は、制御部38自身が必要とする電力に比べて十分に大きく、各種電装機器35に供給され、余った電力は蓄電部36に蓄電される。前記電磁弁33が閉栓すると、発電部34からの電力供給が無くなるので、蓄電部36に蓄電された電力を用いて制御部38に電力を供給し続け、次に電磁弁33を開栓させるための電力を確保することができる。
【0051】
本実施形態の洗面所システム30を用いることにより、商用電源のない環境においても快適性を高めた自動水栓を形成し、フットライト35aによる安全確保を行なうことができる。
【0052】
図7は図6に示す洗面所システム30を手動による吐水を行なう湯水混合栓にしたものである。図7に示す洗面所システム40は洗洗面所の湯水混合栓41と、この湯水混合栓41の上流側に接続された給湯管42aと給水管42bのうち給水管42bに接続された発電部44と、この発電部44に電気的に接続された電装機器45と、この電装機器45で余らせた電力を蓄電する蓄電部46と、前記湯水混合栓41を開栓して吐水させる水の流れを利用し前記発電部44によって発生させた電力を電装機器45に供給すると共に余った電力を蓄電部46に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部46に蓄電した電力を用いて電装機器45を稼働させる制御部48と、電池49とを有する。
【0053】
本実施形態において湯水混合栓41はレバー41aの操作によって湯水の混合比および吐水量を調節可能に構成された湯水混合ユニット43を備えるシングルレバー式の湯水混合栓である。発電部44は吐出する水の流れを効率的に用いて電力を生成するように構成されたものであり、給湯管42aに比べて水圧の高い給水管42b側に接続されているので、水圧を合わせる程度の緩衝作用を得ることができる。前記制御部48はマイクロコンピュータを備える電気的な負荷(この意味では電装機器の一つである)を構成するものであり、蓄電部46は二次電池またはコンデンサである。前記電装機器45は例えばフットライトであり、照明は有機ELを含むLEDなど、エネルギー消費を最小限に抑えたものであることが好ましい。
【0054】
制御部48は前記発電部44によって発電される電力を測定する測定部48aと、この電力を電装機器45が必要とする電圧に調圧して出力する出力制御部48bと、この出力制御部48bで余らせた電流を蓄電部46に出力してこれを蓄電させる蓄電制御部48cとを備える。また、発電部44から蓄電制御部48cは出力制御部48bが必要とする電力を得られないときに蓄電部46に蓄積した電力を用いて電力供給を安定させる機能を備える。また、蓄電部46が完全に放電したときには電池49を用いて電力供給を継続させることが好ましい。
【0055】
本実施形態の洗面所システム40は手動式の湯水混合栓41の周辺において安定した電力供給を得ることが難しい環境においても水力発電による安定した電力供給を得ることができるので、フットライトなどの電装機器45を連続して動作させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1,1’ トイレシステム
2 貯水タンク
3 止水栓
4,24,34,44 発電部
5,35,45 電装機器
5a,35a フットライト
5b 暖房便座
6,26,36,46 蓄電部
7 便器
8,28,38,48 制御部
10 発電ユニット
20 自動灌水システム
22 散水管
23,33,43 電磁弁
25 タイマー
30,40 洗面所システム
32,43 湯水混合ユニット
35b 赤外線センサ
41 湯水混合栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレの貯水タンクに設けた止水栓と、この止水栓の下流側に接続された発電部と、この発電部に電気的に接続された電装機器と、この電装機器で余らせた電力を蓄電する蓄電部と、前記止水栓の開栓に伴って便器に流す水の流れを利用し前記発電部によって発生させた電力を電装機器に供給すると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部に蓄電した電力を用いて電装機器を稼働させる制御部とを有することを特徴とするトイレシステム。
【請求項2】
散水管に設けた電磁弁と、この電磁弁の下流側に接続された発電部と、前記電磁弁を設定した時間に開栓させる時を計測するタイマーと、このタイマーで余らせた電力を蓄電する蓄電部と、前記電磁弁を開放させ散水する水の流れを利用して前記発電部によって発生させた電力を用いて前記タイマーを稼働させると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部に蓄電した電力を用いてタイマーおよび電磁弁を稼働する制御部とを有することを特徴とする自動灌水システム。
【請求項3】
洗面所の湯水混合ユニットの下流側に設けた電磁弁と、この電磁弁の下流側に接続された発電部と、この発電部に電気的に接続された電装機器と、この電装機器で余らせた電力を蓄電する蓄電部と、前記電磁弁を開放して吐水させる水の流れを利用し前記発電部によって発生させた電力を電装機器に供給すると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部に蓄電した電力を用いて電装機器を稼働させると共に前記電磁弁を開放させる制御部とを有することを特徴とする洗面所システム。
【請求項4】
洗面所の湯水混合栓と、この湯水混合栓の上流側の給水管に接続された発電部と、この発電部に電気的に接続された電装機器と、この電装機器で余らせた電力を蓄電する蓄電部と、前記前記湯溝混合栓を開栓して吐水させる水の流れを利用し前記発電部によって発生させた電力を電装機器に供給すると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れが止まった後にも蓄電部に蓄電した電力を用いて電装機器を稼働させる制御部とを有することを特徴とする洗面所システム。
【請求項5】
水道管に連通連結される水の流れによって電力を発生させる発電部と、電力を一時的に蓄電する蓄電部と、前記発電部によって発生させた電力を負荷に合わせて調整して供給すると共に余った電力を蓄電部に蓄電し水の流れがないときには蓄電部に蓄電した電力を用いて負荷に電力供給を行なう制御部とを備えることを特徴とする発電ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−149213(P2011−149213A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11821(P2010−11821)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000144072)株式会社三栄水栓製作所 (111)
【Fターム(参考)】