説明

トナー、該トナーを用いる画像形成方法および電気回路パターン

【課題】 電子写真技術を用いて、良好な銀色など金属光沢のある画像を出力させるとともに導通不良を起こさない配線回路、ICタグ等の解像度に優れた電気回路を再現する事のできるトナーに関する技術を提供することである。
【解決手段】 少なくとも着色剤と樹脂とさらに分散媒を含む液状のトナーであり、該着色剤が金属と樹脂とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、該トナーを用いる画像形成方法および電気回路パターンに関する。またオンデマンドによる電気配線回路作成及びICタグの作成にも有用であり金属光沢画像技術に関する。
【背景技術】
【0002】
静電荷像現像用トナーは、乾式トナー、液状トナー(液体トナーともいうことがある)に大別されるが、液状トナーは、そのトナー粒径が小さいことから鮮明な画像が得られる有利さがある。液状トナーは、一般には、結着樹脂と着色剤と電荷制御とを、高抵抗の非水分散媒中に分散し、粒径0.1〜2.0μm程度のトナー粒子を作ることによって製造されている。このようなトナーを用いて画像形成を行うにも乾式トナーを用いたプロセスのような重い鉄粉キャリアを使用しないため、画像形成装置などのマシンへの負荷が少なく、高速プリントに対応できるというメリットがある。
しかし、これまで乾式トナー、液状トナーにおいてカラー複写機、またはオンデマンド型電子写真印刷で良好な金色、銀色などの金属色を出力することが困難であった。
【0003】
また、電気配線などを含む回路作成やICタグ作成のために、従来から、高分子フィルムやセラミックス基板などの絶縁性基板上に導電性インキを用いて配線回路を印刷する技術が知られている。そうした従来の印刷システムでは、配線回路を作成するのに原図を描いたマスクが必要になるため製造工程が複雑であり、コストアップの要因になっていた。
【0004】
このような配線回路の製造方法では、配線パターンの印刷工程で一層ごとにマスクを使って印刷し、しかも配線回路が異なれば、当然のことながら、違うマスクを作成してこのマスクを新たに使用せねばならなかった。
こうした印刷方式で配線回路を絶縁性基板上に作成するよりも、電子写真法を用いて製造する方が作業的にもコスト的にも有利であり、これに関連した技術も提案されている。
(1)非水系エマルジョン相分離法により、金属粒子の導電性を抑えて現像性を向上させる技術(例えば、特許文献1参照)。
(2)結着樹脂としてシクロオレフィン共重合体を用い、トナーの導電性を抑える技術(例えば、特許文献2参照)。
(3)一成分現像により電子写真で回路パターンを作成する技術(例えば、特許文献3参照)。
(4)金属粒子をカプセル化し、トナー帯電量を揃える技術(例えば、特許文献4参照)。
(5)トナー粒子の割合を50〜90%に高めた回路パターン用液状トナー(例えば、特許文献5参照)。
(6)金属粒子をコアシェル法を用いてカプセル化した液状トナー(例えば、特許文献6参照)。
(7)導電性高分子を用いた導電性トナーによる回路作成法(例えば、特許文献7参照)。
【0005】
これら上記(1)、(2)、(3)、(4)および(7)に示すような文献には電子写真乾式トナーに関する技術が用いられ、前記(5)、(6)に示す文献には液状トナーに関する技術が用いられている。
乾式トナーを用いる技術の場合、液状トナーのような絶縁性分散媒が存在しないため、トナー粒子の導電性制御が困難であった。導電性を上げるため金属比率を高くすると画像が乱れる問題があり、また、金属光沢性の高い画像や抵抗の低い優れた回路パターンは得られていない。これに対し液状トナーを用いる技術の場合は、この点で有利であると考えられるが、上記(5)では、トナー粒子の割合を高めているため、液の抵抗が低下し、得られる現像が不十分となる傾向があった。また上記(6)では、金属粒子をカプセル化しているが、金属の導電性を樹脂により抑えることが困難であった。
【特許文献1】特開2004−333591号公報
【特許文献2】特開2003−255594号公報
【特許文献3】特開2001−265122号公報
【特許文献4】特開2002−244342号公報
【特許文献5】特開2004−184598号公報
【特許文献6】特開2001−265066号公報
【特許文献7】特開2004−62032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のプラスチック基板やセラミックス基板では、電子写真方法における転写工程でトナー画像が良好に転写しないため、得られた配線回路は欠陥を有し、導通不良になる等問題があり、加えて、導電性、解像度も低く、混線(漏電、漏洩)も生じるなど問題があった。
【0007】
本発明は上述した実情を考慮してなされたものであって、電子写真技術を用いて、良好な銀色など金属光沢のある画像を出力させるとともに導通不良を起こさない配線回路、ICタグ等の解像度に優れた電気回路を再現する事のできるトナーに関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、電子写真液状用トナーの着色剤に高含有比率で銀粉末を用い、2種類以上の樹脂を機能分離させ用いることにより、金属光沢性の優れた画像が得られることを見出した。また、回路パターン用途においても高解像で低抵抗の導電性パターンが得られることを見出した。トナーに用いる金属粒子は銀を主成分とし、トナー成分中の銀と樹脂の重量比率が銀/樹脂=65/35〜95/5であり、樹脂が2種類以上の樹脂からなり、第1の樹脂成分が銀を包含し、第2の樹脂成分が第1の樹脂成分に結合、吸着している構造であること特徴とする電子写真用液状トナーである。
【0009】
具体的には、請求項1記載の発明は、少なくとも着色剤と樹脂とさらに分散媒を含む液状のトナーであり、該着色剤が金属と樹脂とを含むことを特徴とするトナーである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記分散媒が脂肪族炭化水素、シリコーンオイル、ポリアルファオレフィンの少なくともいずれかひとつを含むことを特徴とした請求項1記載のトナーである。
【0011】
また請求項3記載の発明は、前記金属粒子が銀を主成分とし、前記トナー中の銀と前記樹脂との重量比率(銀/樹脂)が、65/35〜95/5の範囲であり、該樹脂は2種類以上の異なる樹脂を用い、前記2種類以上の異なる樹脂の第1の樹脂は銀を包含するように機能し、第2の樹脂は前記第1の樹脂に吸着するか又は前記分散媒に分散することを特徴とする請求項1または2記載のトナーである。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂の重量比率(第1の樹脂)/(第2の樹脂)が、95/5〜50/50の範囲であることを特徴とする請求項3記載のトナーである。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、前記第1の樹脂がポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂または変性オレフィン樹脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または4記載のトナーである。
【0014】
また、請求項6記載の発明は、前記第2の樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項3、4または5記載のトナーである。
【0015】
また、請求項7記載の発明は、前記第2の樹脂は、前記第1の樹脂に親和性の高い部分と、前記分散媒に親和性の高い部分と、電荷を保持する部分とを有することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項記載のトナーである。
【0016】
また、請求項8記載の発明は、前記第2の樹脂は、下記一般式(1)〜(2)のモノマー成分から選択される少なくとも各1種以上を共重合して得られた樹脂であることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項記載のトナーである。
【0017】
【化1】

(式(1)中、R1はH基(水素基)、CH3基またはエチル基を表し、nは0〜20の整数を表わす。)
【0018】
【化2】

(式(2)中、R1は前記式(1)のR1と同じ意味を表し、R3は水素基またはカルボキシル基であり、R4は環状の基を有していてもよい炭素数が1〜8の基を表わし、このR4が環状基を有する場合には、その環状基はヘテロ原子を有していてもよい。)
【0019】
また、請求項9記載の発明は、前記金属粒子が銀を主成分とし、該銀が化学還元法によりに得られたものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のトナーである。
【0020】
また、請求項10記載の発明は、前記金属粒子が銀を主成分とし、前記銀の平均粒径が0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のトナーである。
【0021】
また、請求項11記載の発明は、前記銀が銀粒子であり、前記粒子の各形状が以下の関係を満たす範囲にあり、かつ、全粒子の50%以上であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のトナーである。
dl/ds≧1.1 かつ dl/dt≧3.0
(dl:粒子最大径、ds:粒子最小径、dt:粒子厚さ方向最大径)
【0022】
また、請求項12記載の発明は、前記トナーは、電気配線回路作成またはICタグ作成用であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載のトナーである。
【0023】
また、請求項14記載の発明は、請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いた画像形成方法において、感光体の線速に対して、トナーを現像するための現像ローラの線速が1.2倍〜6倍の範囲であり、過剰溶剤を除去するためのスクイズローラの線速が1.2〜4倍の範囲であることを特徴とする。
【0024】
また、請求項15記載の発明は、請求項1から2のいずれか1項記載のトナーを用いた画像形成方法において、転写後の乾燥トナー付着量が、0.2〜1.5mg/cm2の範囲にあることを特徴とする。
【0025】
また、請求項16記載の発明は、請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いた画像形成方法において、転写後の画像に10〜80kg/cm2の範囲の圧力を加えて処理することを特徴とする。
【0026】
また、請求項17記載の発明は、請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いた画像形成方法において、感光体から転写基材に直接画像を転写することを特徴とする。
【0027】
また、請求項18記載の発明は、請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いて得られた電気回路パターンである。
【0028】
また、請求項19記載の発明は、請求項14から18のいずれか1項記載の画像形成方法により得られた電気回路パターンである。
【発明の効果】
【0029】
このような上記発明では、樹脂に対して銀の含有比率が65重量%より少ないと金属光沢強い画像は得られない。また導電性回路用にも抵抗が高くなり品質が低下する。逆に銀の含有比率が95重量%よりも多いと、銀粒子を樹脂で包含する割合が低下し、トナー粒子としての性能が低下し、現像効率が低下する。これによって、解像性、濃度など画像品質が低下する。第1の樹脂は銀粒子を包含する目的及び転写基材に定着させる目的で処方され、第2の樹脂はトナー粒子同士が分散媒中での凝集を防止する目的及びトナーの電荷を高める目的で処方される。第2の樹脂だけでは電荷向上効果が低い場合には、さらに第3の樹脂を加えることができる。
【0030】
第1の樹脂成分と第2樹脂成分の重量比率 (第1の樹脂成分)/(第2の樹脂成分)が、95/5〜50/50の範囲であることが望ましい。第1の樹脂成分は銀粒子を包含させる必要があるため、全樹脂量の50%以上で使用されることが望ましい。第2の樹脂が全樹脂量の5重量%よりも少ないと、凝集防止効果、帯電性向上効果が低減する。第1の樹脂は絶縁性が高い樹脂が好ましくポリオレフィン系樹脂が特に良好である。
【0031】
本発明のトナーにおいては、着色剤が金属と樹脂を主成分とする事により、特に、優れた金属光沢、導電性のICタグ用及び回路パタ−ンが得られる。このようなトナーは、静電荷像現像用として特に優れた性能を有する。
【0032】
また、請求項3に示すように、本発明のトナーは、金属粒子に銀を用い機能の異なる2種類の樹脂を用い、樹脂と銀の比率が適正であるため、優れた金属光沢画像、導電性のICタグ用及び回路パターンが得られる。
【0033】
また、請求項4に示すように、本発明のトナーにおいては、第1の樹脂と第2の樹脂比率が適正であるため、上記したような効果に加え、更に優れた品質が得られる。
【0034】
また、請求項5に示すように、本発明のトナーにおいては、第1の樹脂にポリオレフィン系樹脂等を用いているため上記した効果に加え、さらに優れた品質を有する画像(ICタグ用及び回路パターンも含む)が得られる。
【0035】
また、請求項6に示すように、本発明のトナーにおいては、第2の樹脂にアクリル系樹脂を用いているため、上記した効果に加え、さらに優れた品質を有する画像(ICタグ用及び回路パターンも含む)が得られる。
【0036】
また、請求項7または8に示すように、本発明のトナーにおいては、使用される第2の樹脂が各種機能を有する樹脂となっているため、上記した効果に加え、さらに優れた品質を有する画像(ICタグ用及び回路パターンも含む)が得られる。
【0037】
また、請求項9に示すように、本発明のトナーにおいては、化学沈殿法により得られた銀粒子を用いているため、上記した効果に加え、さらに優れた品質を有する画像(ICタグ用及び回路パターンも含む)が得られる。
【0038】
また、請求項10に示すように、本発明のトナーにおいては、銀粒子の平均粒径が所定の範囲にあるため、上記した効果に加え、さらに優れた品質を有する画像(ICタグ用及び回路パターンも含む)が得られる。
【0039】
また、請求項11、12に示すように、本発明のトナーにおいては、扁平銀粒子が含有されているため、光沢性に富む画像を得ることができ、請求項1の効果に加え更に優れた品質が得られる。
【0040】
請求項13に記載の画像は、(液状)トナーを用いて得られるため、上記したような分散液が高絶縁性の液状トナーにより、上記したような各種の効果を得ることができ、更に優れた品質が得られる。
【0041】
請求項14に記載の画像形成方法の発明によって、適正な現像条件で画像出力されるため、優れた金属光沢画像、配線パターン画像が得られる。
【0042】
請求項15に記載の画像形成方法の発明によって、乾燥後のトナー付着量が適正範囲にあるため、優れた金属光沢画像、配線パターン画像及びICタグ用導電性パタ−ンが得られる。
【0043】
請求項16に記載の発明によって、転写後の画像に特定の圧力をかけるため、優れた金属光沢画像、配線パターン画像及びICタグ用導電性パタ−ンが得られる。
【0044】
請求項17に記載の画像形成方法の発明によって、直接基材に転写するプロセスであるため優れた金属光沢画像、配線パターン画像が得られる。
【0045】
上記したようなトナーおよびこのトナーを用いて画像を形成する方法を用いることにより、上記したような物性にも優れた配線パターン画像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明のトナーは、少なくとも着色剤及び樹脂を含有するトナーにおいて、該着色剤が金属と樹脂とを含むことを特徴とする。
このようなトナーはさらに分散媒を含む液状のものであることが好ましい。
本発明のトナーに使用される前記分散媒としては、脂肪族炭化水素、シリコーンオイル、ポリアルファオレフィンのいずれかひとつを含むことが好ましい。
本発明のトナーに使用される前記金属粒子として、銀を主成分とし、この液状トナー中の銀と前記樹脂との重量比率は、銀/樹脂が、65/35〜95/5の範囲であり、該樹脂は2種類以上の異なる樹脂を用い、前記2種類以上の異なる樹脂の第1の樹脂は銀を包含するように機能し、第2の樹脂は前記第1の樹脂に吸着するか又は前記分散媒に分散するような複数の異なる樹脂を用いることが好ましい。また、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂の重量比率は、(第1の樹脂)/(第2の樹脂)が、95/5〜50/50の範囲であることが好ましく、前記第1の樹脂がポリオレフィン系樹脂(ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂および変性ポリオレフィン樹脂の少なくとも1種を有する樹脂)であることが好ましく、前記第2の樹脂がアクリル系樹脂であることが好ましい。特にこの第2の樹脂は、前記第1の樹脂に親和性の高い部分と、前記分散媒に親和性の高い部分と、電荷を保持する部分とを有することが好ましい。
【0047】
また、前記金属粒子が銀を主成分とし、該銀が化学還元法によりに得られたものであることが好ましく、また、前記金属粒子が銀を主成分とし、前記銀の平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、この銀が銀粒子(粒子状銀)であり、該銀粒子の50%以上の粒子形状が下記式の関係を満たす範囲にあることが好ましい。
dl/ds≧1.1 かつ dl/dt≧3.0
(上記式中、dlは粒子最大径を表し、dsは粒子最小径を表し、dtは粒子厚さ方向最大径を表す)
【0048】
上記した第1の樹脂成分は、絶縁性の高い樹脂が好ましく用いられ、たとえば、絶縁性の高い樹脂として、ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂エポキシ樹脂の中から選択される少なくとも1種が好ましく選択される。
ポリオレフィン樹脂としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体では、三井・デュポンポリケミカル(株)製のエバフレックスシリーズ、例えばエバフレックス45X,Y.W,150,210,220,250,260,310,360,410,420,450,460,550,560 等、東洋曹達工業 (株)製のウルトラセン・シリーズ、例えばウルトラセン510X、515F、530、537、537L、537S、525、520F、540、540F、541、541L、625、630、630F、682、627、631、633、680、681、635、634、710、720、722、725、751、750、760等、住友化学工業 (株)製のスミテート・シリーズ、例えばスミテ−トDD-10、HA-20、HC-10、HE-10、KA-10、KA-20、KA-31、KC10等、日本合成工業(株)製のソアグレン・シリーズ、例えばソアグレンBH,CH,CI,DH等、同ソアレックスシリーズ、例えばソアレックスRBH,RCH,RDH等、武田薬品工業(株)デュミラン・シリーズ、例えばデュミランD-219、D-229、D-251S、C-2280、C-2270、C-1590、C-1570、C-1550等、三菱油化 (株)製のユカロン−エバ、米国デュポン社製エルパックス等が挙げられる。
【0049】
その他、低分子量タイプ(ポリオレフィン系樹脂に属し、比較的低分子量のもの)は三井化学(株)製のハイワックス720P、410P、420P、320P、210P、220P、110P、4202E等がある。
【0050】
変性ポリオレフィンとしては、たとえば、ポリオレフィン樹脂を変性しカルボキシル基を導入したもの。たとえば、日本石油化学(株)製のNポリマー、東燃石油化学(株)製の東燃CMP−HAシリーズ、三菱油化(株)製のMODIC、製鉄化学工業(株)製のザイクセン、三井東圧化学(株)製ロンプライ、三井石油化学工業(株)製のアドマー等、また、変性ポリオレフィンとしては、たとえば、エチレン(エチレン、プロピレンなどのα-オレフィン)とアクリル酸との共重合体も使用可能であり、この例としては、ダウケミカル社製のダウEAAコポリマー、三菱油化(株)ユカロンEAA、三井・デュポンポリケミカル(株)ニュクレル、住友化学(株)アクリフト等が挙げられる。更に、エチレンとアクリル酸又はメタアクリル酸との共重合体、或いは更にそれらを架橋させた所謂アイオノマー樹脂などの変性ポリオレフィンも使用可能であり、この例としては米国デュポン社製サーリン、三井・デュポンポリケミカル(株)製ハイミラン、旭ダウ(株)製コーボレンラテックス等、BASF(株)製のEVA1ワックス、さらに、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体では日本ユニカー (株)製DPD−6169等、更に、カルボキシル基やカルボニル基を有するポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
【0051】
その他、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、エポキシ樹脂、天然樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂なども用いることができる。
【0052】
また前記第2の樹脂は、第1の樹脂と親和性の高い部分と、分散媒と親和性の高い部分と、電荷を保持する部分とを有する樹脂であることが好ましい。
本発明では、第2の樹脂は、また、下記一般式(1)および(2)で示されるモノマーを共重合して得られる樹脂であってもよい。
このようなモノマーとしては、下記一般式(1)であらわされる(メタまたはエタ)アクリレートモノマーAと、一般式(2)で表されるビニル化合物が挙げられる。
【0053】
【化3】

(式(1)中、R1はH基(水素基)、CH3基またはエチル基を表し、nは0〜20の整数を表わす)
【0054】
下記一般式(2)で表わされるビニルモノマーB
【0055】
【化4】

(式(2)中、R1は前記式(1)のR1と同じ意味を表し、R3は水素基またはカルボキシル基であり、R4は環状の基を有していてもよい炭素数が1〜8の基を表わし、このR4が環状基を有する場合には、その環状基はヘテロ原子を有していてもよい)
【0056】
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマーAとしては、R1はH基、CH3基またはエチル基を表し、nは0〜20の整数を表わされるエタクリレートモノマー、メタクリレートモノマーまたはアクリレートモノマーである。
【0057】
具体的には、アクリル酸(R1=H基、n=0)、メタクリル酸(R1=CH3基、n=0)、エタクリル酸(R1はエチル基、n=0)、アクリル酸メチル(R1=H基、n=1)、メタクリル酸メチル(R1=CH3基、n=1)、エタクリル酸メチル(R1=エチル基、n=1)、アクリル酸エチル(R1=H基、n=2)、メタクリル酸エチル(R1=CH3基、n=2)、エタクリル酸エチル(R1=エチル基、n=2)、アクリル酸プロピル(R1=H基、n=3)、メタクリル酸プロピル(メタクリル酸イソプロピル)(R1=CH3基、n=3)、エタクリル酸プロピル(R1=エチル基、n=3)、アクリル酸ブチル(R1=H基、n=4)、メタクリル酸ブチル(R1=CH3基、n=4)、エタクリル酸ブチル(R1=エチル基、n=4)などのn=0〜4の(メタまたはエタ)アクリレートモノマー、ラウリル(メタまたはエタ)アクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等のn=6以上の(換言すればC6以上の炭素数の基を有する)(メタまたはエタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。前記した(メタまたはエタ)アクリレートモノマーにおいて、n=0であるような(メタまたはエタ)アクリレートモノマーは、イオン性モノマーであるため、重合後に電荷を保持する部分となり得る。またn=1〜4である(メタまたはエタ)アクリレートモノマーは、重合後に分散媒に難溶でかつ第1の樹脂に親和性の高い部位となり得る。また、n=6以上の(メタまたはエタ)アクリレートモノマーは、重合後に、分散媒に親和性の高い部位となり得る。
【0058】
上記一般式(2)で表されるビニルモノマーBとしては、前記式(2)において、R1は前記式(1)のR1と同じ意味であり、R3は水素基またはカルボキシル基であり、R4は環状の基を有していてもよい炭素数が1〜8の基を表わし、このR4が環状基を有する場合には、その環状基はヘテロ原子を有していてもよい。
【0059】
具体的には、環状の基を有していてもよい炭素数が1〜8の基であるR4は、たとえば、ヘテロ原子を有する基、好ましくはヘテロ原子として、窒素原子、酸素原子の少なくとも1つのヘテロ原子を有する基であり、たとえばヘテロ原子として窒素原子を有する基は、第1〜第3アミンを有する脂肪族基、指環式アミノ基、またはピリジン基であり、また酸素原子を有する基としては、たとえば、(メタまたはエタ)アクリレートを有する基、オキセタン基(たとえばエポキシ基、グリシジル基)などを挙げることができ、さらに環状の基を有していてもよい炭素数が1〜8のR4基としては、フェニル基、トルイル基、ビニルフェニル基、フェニルスルホン基などを挙げることができる。
【0060】
このような化合物としては、具体的には、R3およびR4が共にカルボキシル基であり、R1がH基、CH3基またはエチル基である不飽和ジカルボン酸化合物、たとえば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸など、R3およびR1が共にH基(水素基)であり、R4がそれぞれ、ピペリジル基、ピロリドン基、カプロラクタム基、フェニル基、トルイル基、ビニルフェニル基、フェニルスルホン基であるビニルピペリジン、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルラウロラクタムなどのビニルラクタム化合物、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、スチレンスルフォン酸またはその塩化合物などを挙げることができ、R1がH基、CH3基またはエチル基であり、R3は水素基であり、R4として、第1〜第3アミンを有する脂肪族基の具体例として、アミノメチルアクリレート、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルアクリレート、アミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレートなどであり、R1がH基、CH3基またはエチル基であり、R3は水素基であり、R4として(メタまたはエタ)アクリレートを有する基としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリンジメタクリレートなどであり、またR1がH基、CH3基またはエチル基であり、R3は水素基であり、R4としてオキセタン基(たとえばエポキシ基、グリシジル基)としては、グリシジルアクリレート(GA)、グリシジルメタクリレート(GMA)などを挙げることができる。
【0061】
これらの上記(メタまたはエタ)アクリレートモノマーAと、一般式(2)で表されるビニル化合物は、各一種づつ、もしくは、これら前記A〜Bのモノマーの中から選択される各1種以上を選択し、これら選択されたモノマーの共重合体あるいはグラフト共重合体などが本発明のトナーで使用される第2の樹脂として用いることができる。
【0062】
前記したように、第2の樹脂の原料であるモノマーの重合後、分散媒に対して親和性の高い材料として、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等のC6以上の炭素数の基を有する(メタまたはエタ)アクリレート化合物が挙げられる。また、重合後、分散媒に難溶で第1の樹脂に親和性の高い材料としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0063】
イオン性基を有するビニル化合物としては、前記一般式(1)であらわされる(メタまたはエタ)アクリレートモノマーAにおいて、n=0であるアクリル酸またはメタクリル酸の重合体は、本発明のトナーに使用される第2の樹脂における電荷を保持する部分(部位)となり得る。さらに前記一般式(2)で表されるビニルモノマーに含まれ、負の電荷を与えやすい極性基を含むモノマーとして、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルフォン酸またはその塩などがあり、正の電荷を与える極性基を含むモノマーとしては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルピペリジン、ビニルラクタム、ビニルピリジン類等が挙げられる。
【0064】
本発明で使用される金属粒子として好ましく使用される銀粒子は、化学還元法により得られたものが望ましい。化学還元法は硝酸銀などの水溶性銀塩を原料にして、苛性アルカリ、アンモニウム塩、ヒドラジンなどの還元剤を用いて銀を得る方法である。これらの還元剤により析出した銀を、洗浄し、乾燥し、粉砕して銀粉を得る。化学還元法によって得られる銀粉としては、球状のものでは、シルコートAgC−BO、シルコートAgC−74、AgC−Hなどが、扁平状のものではAgC−B、AgC−BW、AgC−GSなど(以上福田金属社製)が挙げられる。
【0065】
銀粒子の平均粒径は0.5〜10μmの範囲のものであることが望ましい。配線パターンやICタグを作成用に応用した場合、金属成分中の銀粒子がこの範囲にあれば、導電性と解像性とを両立することができる。金属成分中の銀粒子の平均粒径が0.5μm未満であると、金属部の接合性が悪く導電性が低下する。これは導電性が得られる機構は金属粉末の接触によるためであると考えられ、また一緒に処方される樹脂成分中に金属成分が点在することになり、よって導電性が低下するためであると考えられる。このため金属の平均粒径が大きい方が接触面積が大きくなり導通が容易になる。
しかし金属の平均粒径が10μmより大きいとトナー粒子自体も大きくなり、解像性の優れたパターンに対応できなくなり、また、粒子が重くなることにより分散安定性が低下し経時的に品質が低下する。このため金属成分の平均粒径は0.5〜10μmの範囲が好ましく、更に望ましくは0.8〜5.0μmの範囲である。
【0066】
銀粒子の形状は粒状のもの、扁平状のものどちらでも使用可能であるが、
dl/ds≧1.1 かつ dl/dt≧3.0
(dl:粒子最大径、ds:粒子最小径、dt:粒子厚さ方向最大径)
を満たすような扁平状の粒子を50%以上含有させた方が好ましい。このような扁平状の粒子を50%以上含有させることにより、金属光沢感が向上する。また、電気配線パターンやICタグ用においても銀粒子どうしのつながりが向上し低抵抗化が図れる。
【0067】
分散媒は、その電気抵抗値が1010Ωcm以上であり、かつ、その誘電率が3以下の分散媒が使用される。このような分散媒としては、脂肪族炭化水素、シリコーン系オイル、ポリアルファオレフィンが良好である。
【0068】
脂肪族炭化水素としては、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV(エクソンモービル)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96 1〜10000cst(信越シリコ−ン株式会社製)、SH200、SH344(東レシリコ−ン株式会社製)、TSF451(東芝シリコ−ン株式会社製)などが挙げられ、ポリアルファオレフィンとしては、SHF-20、SHF-21、SHF-23、SHF-41、SHF-61、SHF-63、SHF-82、SHF-83、SHF-101、SHF-403、SHF-1003、supersyn2150、supersyn2300、supersyn21000、supersyn23000(以上エクソンモービル社製)などが挙げられる。
【0069】
図1は、本発明の画像形成方法の一例を示す図である。帯電電圧付与部材12により、感光体11に電荷を与え、露光により非画像部の電荷を消去する。感光体11はセレン感光体、有機感光体、アモルファスシリコン感光体等が使用できる。感光体11の表面電圧は、400〜1600vの範囲が良好である。感光体11の電荷の残っている潜像に現像ローラ13から供給される液状現像剤を用いて現像され、スクイズローラ14で余剰の現像液が除去され、転写電圧付与部材17によりトナー1の電荷と逆電荷の電圧が印加されて転写基材に転写される。
【0070】
現像ローラ13は感光体11と順方向に回転し、スクイズローラ14は感光体11と逆方向に回転させ、感光体11に対する線速は現像ローラ13が1.2〜6倍の範囲であり、スクイズローラ14の線速は1.2〜4倍の範囲が効果的である。
【0071】
ローラと感光体のギャップは50〜250μm、リバースローラのギャップは30〜150μmが良好である。転写電圧は500〜4000vの範囲が良好である。
【0072】
転写基材に転写されずに感光体11に残ったトナー1をクリーニングブレード15、クリーニングローラ16で除去後、感光体11を除電する。
また、画像部の電荷を消去し非画像部の電荷を残す現像方式でも同様に画像形成できる。
転写基材に付着した乾燥後のトナー付着量は0.2〜1.5mg/cm2の範囲が望ましく、さらに望ましくは0.4〜1.2mg/cm2が良い。
乾燥後のトナー付着量が0.2mg/cm2以下では、付着量が少なすぎて金属粒子どうしのつながりが悪くなり、抵抗が上がり、金属光沢画像においても金属光沢性が低下する。一方、乾燥後のトナー付着量が1.5mg/cm2画像以上では、付着量がいくら多くなっても抵抗値は変わらず、また、画像つぶれにより解像性が低下する。1回の現像、転写サイクルで、0.2mg/cm2以上の付着量が得られない時は、位置ずれに注意して重ね画像を得ることが望ましい。タンデムで二重、三重現像転写することも付着量向上に効果がある。転写は感光体から転写基材に直接転写させることが望ましい。中間転写体などを用いると転写溶媒が減少することによりトナー粒子の比電荷量が低下し、転写性に悪影響を与える場合がある。
【0073】
以下、本発明を、実施例によって、さらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に拘束されて解釈されるものではない。
【0074】
[実施例1]
銀粒子準備液の組成
AgC−BO(平均粒径1.0μm、球状、福田金属社製):50部
ポリエチレン(エバフレックス260 三井デュポン社製):5部
アイソパーV:5部
上記した銀粒子準備液を約100℃でフラッシャー(ニーダー)中で良く混合し、室温まで冷却後、粉砕機で粉砕を行い第1の樹脂(本実施例ではポリエチレン(エバフレックス260 三井デュポン社製)使用)で包含された銀粒子を得た。
また、3L(3リットル容量の)フラスコにアイソパーHを1500部とり、90℃に保った中に、ラウリルメタクリレート500部、グリシジルメタクリレート10部、アリルメタクリレート5部、アクリル酸2部、LPO(開始剤:ラウロイルパーオキシド)3部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下後約1時間反応させ、メチルメタクリレート50部、LPO3部の混合液を約1時間かけて滴下し、滴下後約3時間反応させた。反応後分散媒のアイソパーVを除去し、洗浄して第2の樹脂を得た。
得られた第1の樹脂で包含された銀粒子と第2の樹脂と、分散媒(アイソパーH)とを以下の量で秤量した。
第1の樹脂/銀粒子 粉砕物 50部
第2の樹脂 5部
アイソパーH 200部
この秤量物をボールミルで約48時間分散させ、液状銀濃縮トナーを得た。得られた濃縮トナー100gをアイソパーHを1リットルで希釈して液状トナーを得た。得られたトナーを用いて、図1の装置で画像を出力し、出力した画像に200℃の熱を与え定着した。
【0075】
[実施例2]
銀粒子準備液の組成
AgC−H(平均粒径0.1μm、球状、福田金属社製):50部
ポリエチレン(サンワックス161P 三洋化成社製):10部
アイソパーV 5部
上記した銀粒子準備液を約110℃でフラッシャー(ニーダー)中で良く混合し、室温程度に冷却後、粉砕機を用いて粉砕を行い、第1の樹脂で包含された銀粒子を得た。
また3LフラスコにアイソパーHを1300部とり、90℃に保ち、2−エチルヘキシルメタクリレート600部、グリシジルメタクリレート15部、アリルメタクリレート5部、アクリル酸2部、LPO(開始剤)3部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下後約1時間反応させ、メチルメタクリレート70部、LPO 3部の混合液を約1時間かけて滴下し、滴下後約3時間反応させた。反応後分散媒のアイソパーVを除去し、洗浄して第2の樹脂を得た。
得られた第1の樹脂で包含された銀粒子と第2の樹脂と、分散媒(シリコーンオイル)とを以下の量で秤量した。
第1の樹脂/銀粒子(粉砕物):55部
第2の樹脂:3部
シリコーンオイル5cst(信越化学社製):250部
この秤量物をボールミルで約48時間分散させ、液状銀濃縮トナーを得た。得られた濃縮トナー100gをシリコーンオイル5cst 1リットルで希釈し、図1の装置で画像を出力し、出力した画像に210℃の熱を与え定着した。
【0076】
[実施例3]
銀粒子準備液の組成
AgC-AO(平均粒径1.0μm、球状、福田金属社製):20部
Ag−B(平均粒径5.0μm、扁平状、福田金属社製):30部
ポリエチレン(エバフレックス260 三井デュポン社製):8部
アイソパーM:3部
上記した銀粒子準備液を約100℃でフラッシャー(ニーダー)中で良く混合し、前記同様に冷却後粉砕機を用いて粉砕を行い第1の樹脂で包含された銀粒子を得た。
また3LフラスコにアイソパーHを1500部とり、90℃に保ち、ラウリルメタクリレート500部、グリシジルメタクリレート10部、アリルメタクリレート5部、アクリル酸2部、LPO(開始剤)3部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下後約1時間反応させ、メチルメタクリレート50部、LPO3部の混合液を約1時間かけて滴下した。滴下後約3時間反応させた。反応後分散媒のアイソパーMを除去し、洗浄して第2の樹脂を得た。
得られた第1の樹脂で包含された銀粒子と第2の樹脂と、分散媒(アイソパーH)とを以下の量で秤量した。
第1の樹脂/銀粒子(粉砕物)50部
第2の樹脂:5部
アイソパーH:200部
この秤量物をボールミルで約48時間分散させ液状銀濃縮トナーを得た。得られた濃縮トナー100gをアイソパーHを1Lで希釈し液状トナーを得た。得られたトナーを用いて、図1の装置で画像を出力し、出力した画像に200℃の熱を与え定着した。
【0077】
[実施例4]
銀粒子準備液の組成
AgC−AO(平均粒径1.0μm、球状、福田金属社製):60部
ポリエチレン(エバフレックス220 三井デュポン社製):4部
ポリアルファオレフィンSFH-20:5部
上記した銀粒子準備液を約100℃でフラッシャー(ニーダー)中で良く混合し、前記同様にして冷却後、粉砕機で粉砕を行い第1の樹脂で包含された銀粒子を得た。
また3LフラスコにアイソパーHを1500部とり、90℃に保ち、ステアリルメタクリレート400部、グリシジルメタクリレート10部、アリルメタクリレート5部、アクリル酸2部、LPO(開始剤)3部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下後約1時間反応させ、メチルメタクリレート50部、LPO3部の混合液を約1時間かけて滴下した。滴下後約3時間反応させた。反応後分散媒のポリアルファオレフィンSFH−20を除去し、洗浄して第2の樹脂を得た。
得られた第1の樹脂で包含された銀粒子と第2の樹脂と、分散媒(ポリアルファオレフィンSFH−20)とを以下の量で秤量した。
第1の樹脂/銀粒子(粉砕物):50部
第2の樹脂:15部
ポリアルファオレフィンSFH−20:200部
この秤量物をボールミルで約48時間分散させ液状銀濃縮トナーを得た。得られた濃縮トナー100gをポリアルファオレフィンSFH−20 1リットルで希釈し液状トナーを得た。得られたトナーを用いて、図1の装置で画像を出力し、出力した画像に210℃の熱を与え定着した。
【0078】
[実施例5]
実施例1のポリエチレンをエポキシ樹脂(エピコート1002 ジャパンエポキシレジン社製)に代えた以外は同様にして液状トナーを試作し、実施例1と同様にしてこのトナーを用いて評価した。
【0079】
[実施例6]
定着後のサンプルを60kg/cm2の圧力でキャレンダー処理した以外は実施例1と同様にして評価した。
【0080】
[実施例7]
定着後のサンプルを再度同様に現像、転写(2回重ね)した以外は実施例1と同様にして評価した。
【0081】
[比較例1]
銀粒子準備液の組成
AgC−BO(平均粒径1.0μm、球状、福田金属社製):30部
ポリエチレン(エバフレックス260 三井デュポン社製):30部
アイソパーV:5部
上記した銀粒子準備液を約100℃でフラッシャー(ニーダー)中で良く混合し、前記同様にして冷却後、前記同様に粉砕を行い第1の樹脂で包含された銀粒子を得た。
得られた第1の樹脂で包含された銀粒子と、分散媒(アイソパーH)とを以下の量で秤量した。
第1の樹脂/銀粒子(粉砕物)50部
アイソパーH:200部
この秤量物を48時間分散させ液状銀濃縮トナーを得た。得られた濃縮トナー100gをアイソパーH 1リットルで希釈し、図1の装置で画像を出力し、出力した画像に210℃の熱を与え定着した。
【0082】
[比較例2]
3LのフラスコにアイソパーHを1500部とり、90℃に保ち、ラウリルメタクリレート500部、グリシジルメタクリレート10部、アリルメタクリレート5部、アクリル酸2部、LPO(開始剤)3部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下後約1時間反応させ、メチルメタクリレート50部、LPO 3部の混合液を約1時間かけて滴下した。滴下後約3時間反応させ、反応後分散媒を除去し、洗浄して第2の樹脂を得た。
得られた第2の樹脂と、銀粒子と、分散媒(アイソパーH)とを以下の量で秤量した。
第2の樹脂:20部
CE115(導電性銅粉、福田金属社製):50部
アイソパーH:200部
この秤量物をボールミルで約48時間分散させ液状銅濃縮トナーを得た。得られた濃縮トナー100gをアイソパーH 1リットルで希釈し、図1の装置で画像を出力し、出力した画像に210℃の熱を与え定着した。
【0083】
実施例1〜7および比較例1,2の結果を、表1に示す。
実施例1は本発明の液状トナーを用いているため、優れた金属光沢性、低抵抗特性が得られている。実施例2は銀粒子の粒径が0.5μm以下であるため、実施例1よりもやや品質が低下する。実施例3は扁平粒子(dl/ds=1.5、dl/dt=4.2)を50%以上含有させているため実施例1よりも金属光沢、電気抵抗に優れる。実施例4は第2の樹脂の含有量が全樹脂量の50%以上であるため実施例1よりもやや品質が低下する。実施例5は第1の樹脂がエポキシ樹脂であるため、やや品質が低下する。実施例6は圧力処理しているため、光沢性、抵抗値で優れる。実施例7はトナー付着量が多いため実施例1よりも更に品質が優れる。
【0084】
これに対し比較例1は金属粒子に対する樹脂の含有量が多く、第2の樹脂を用いていないため、品質が悪い。比較例2は金属粒子に銅粉を用い第1の樹脂による包含処理が行われていないため品質が悪い。
【0085】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のトナーは、金属性の印刷画像として使用可能であり、このトナーを用いてたとえばフレキシブル基板上に線状の印刷を画像形成装置によって得ることが可能であり、得られた印刷物は、ICタグなどを含む各種電気回路配線(電子回路配線)に使用可能なため、この配線の製造方法により得られる回路は、試作としても使用でき、極めて低コストで簡易に回路配線が可能であるため、大量生産のみではなく、少量多品種生産の分野においても利用価値が高く、産業上の利用可能な範囲は、計り知れないほど、広範囲にわたる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の画像形成方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1 (液状)トナー
11 感光体
12 帯電電圧付与部材
13 現像ローラ
14 スクイズローラ
15 クリーニングブレード
16 クリーニングローラ
17 転写電圧付与部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤と樹脂とさらに分散媒を含む液状のトナーであり、
該着色剤が金属粒子と樹脂とを含むことを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記分散媒が脂肪族炭化水素、シリコーンオイル、ポリアルファオレフィンの少なくともいずれかひとつを含むことを特徴とした請求項1記載のトナー。
【請求項3】
前記金属粒子が銀を主成分とし、
前記銀と前記樹脂との重量比率(銀/樹脂)が、65/35〜95/5の範囲であり、
該樹脂は2種類以上の異なる樹脂を用い、
前記2種類以上の異なる樹脂の第1の樹脂は銀を包含し、
第2の樹脂は前記第1の樹脂に吸着するか又は前記分散媒に分散することを特徴とする請求項1または2記載のトナー。
【請求項4】
前記第1の樹脂と前記第2の樹脂の重量比率 (第1の樹脂)/(第2の樹脂)が、95/5〜50/50の範囲であることを特徴とする請求項3記載のトナー。
【請求項5】
前記第1の樹脂がポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂または変性オレフィン樹脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または4記載のトナー。
【請求項6】
前記第2の樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項3、4または5記載のトナー。
【請求項7】
前記第2の樹脂は、前記第1の樹脂に親和性の高い部分と、前記分散媒に親和性の高い部分と、電荷を保持する部分とを有することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項記載のトナー。
【請求項8】
前記第2の樹脂は、下記一般式(1),(2)のモノマー成分から選択される少なくとも各1種以上を共重合して得られた樹脂であることを特徴とする請求項項3から6のいずれか1項記載のトナー。
【化1】

(式(1)中、R1はH基(水素基)、CH3基またはエチル基を表し、nは0〜20の整数を表わす。)
【化2】

(式(2)中、R1は前記式(1)のR1と同じ意味を表し、R3は水素基またはカルボキシル基であり、R4は環状の基を有していてもよい炭素数が1〜8の基を表わし、このR4が環状基を有する場合には、その環状基はヘテロ原子を有していてもよい。)。
【請求項9】
前記金属粒子が銀を主成分とし、該銀が化学還元法によりに得られたものであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のトナー。
【請求項10】
前記金属粒子が銀を主成分とし、前記銀の平均粒径が0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のトナー。
【請求項11】
前記銀が銀粒子であり、前記粒子の各形状が以下の関係を満たす範囲にあり、かつ、全粒子の50%以上であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のトナー。
dl/ds≧1.1かつdl/dt≧3.0
(dl:粒子最大径、ds:粒子最小径、dt:粒子厚さ方向最大径)。
【請求項12】
前記トナーは、電気配線回路作成またはICタグ作成用であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載のトナー。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いた画像形成方法において、
感光体の線速に対して、トナーを現像するための現像ローラの線速が1.2倍〜6倍の範囲であり、過剰溶剤を除去するためのスクイズローラの線速が1.2〜4倍の範囲であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いた画像形成方法において、
転写後の乾燥トナー付着量が、0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲にあることを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いた画像形成方法において、
転写後の画像に10〜80kg/cm2の範囲の圧力を加えて処理することを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いた画像形成方法において、
感光体から転写基材に直接画像を転写することを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか1項記載のトナーを用いて得られた電気回路パターン。
【請求項18】
請求項13から16のいずれか1項記載の画像形成方法により得られた電気回路パターン。

【図1】
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【公開番号】特開2006−337799(P2006−337799A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163792(P2005−163792)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】