説明

トナーカートリッジ

【課題】非純正の不適なトナーが再充填されたリサイクル品のトナーカートリッジが市場に出回ることを確実に防止する。
【解決手段】トナー室22の内部に、トナー供給機構やトナー攪拌機構を損壊し得る損壊要素39を組み付ける。この損壊要素39は、充填口36に装着されたキャップ37により遊動不能に係合保持されており、キャップ37を充填口36から引き抜くと、損壊要素39に対するキャップ37の係合保持状態が解除されて、損壊要素39がトナー室22内で跳ねて、アジテータ26等に衝突して、これを損壊させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置内に着脱自在に装着され、現像部にトナーを供給するトナーカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の電子写真方式の画像形成装置においては、トナーカートリッジを交換することでトナーを補給することができる、所謂カートリッジ交換方式と称されるトナー補給システムが広く採用されている。かかる方式のトナーカートリッジの筐体には、トナー室にトナーを充填するための充填口が開設されており、工場からの出荷時においては、トナーの充填後に充填口にキャップを圧入することにより、充填口は密閉封止されている。トナー室にトナーを再充填することも可能であり、その場合にはキャップを外してから、充填口からトナーを投入すればよく、また、再びキャップを装着することで、充填口を再び密閉封止状態とすることができる。
【0003】
近年、省資源化が進められる中でサプライ品の回収、再利用が積極的に進められており、これに伴って製造者以外の所謂リサイクル業者によるリサイクル品が再使用される事態が見受けられる。つまり、リサイクル業者がトナーカートリッジを回収したうえで、回収されたトナーカートリッジにトナーを再充填し、それを安価なリサイクル品としてユーザが利用するようなケースが見受けられる。
【0004】
しかし、リサイクル業者によって、正規品とは異なるトナーが再充填された場合には、画像形成装置で形成される画像品質が低下しやすい。つまり、この種の画像形成装置に使用されるトナーは、画像形成装置の特性に合わせて、製造者が厳密に調合・調整した純正のトナーを用いることが望ましく、純正ではないトナーを再充填した場合には、画像形成装置の性能が十分に発揮されず、画像品質が低下することが避けられない。
【0005】
このように非純正のトナーが充填されることを防止し得る公知の手段としては、例えば特許文献1を挙げることができる。そこでは、トナー充填口を密閉封止するキャップを、充填口に係合するキャップ部と、充填口からトナー室内に押し込まれて、分離可能な分離片のツーピース構造としており、キャップを充填口から引き抜くと、分離片がキャップ部から脱落してトナー室内に残り、アジテータによるトナー攪拌動作やトナー供給動作が妨げられるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−85597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のトナーカートリッジの問題は、分離片を回収することができれば、リサイクル品のトナーカートリッジを容易に作製できることにある。つまり、トナーカートリッジを分解するなどして、分離片を回収することができれば、別のキャップ(例えば、汎用の断面ハット形のキャップ)を充填口に取り付けるだけでトナーカートリッジを再利用することが可能であり、リサイクル業者等により非純正のトナーが充填されるおそれが残る。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、リサイクル品のトナーカートリッジの作製をより困難なものとして、非純正のトナーが再充填されることをより確実に防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、ケース本体内にトナーが収容されるトナー室を有し、該ケース本体の外面には、該トナー室内にトナーを充填するための充填口が開設されており、この充填口がキャップにより密閉封止されているトナーカートリッジを対象とする。前記トナー室の内部には、トナー供給機構やトナー攪拌機構を損壊し得る損壊要素が組み付けられている。損壊要素は、充填口に装着されたキャップにより遊動不能に係合保持されており、キャップを充填口から引き抜くと、損壊要素に対するキャップの係合保持状態が解除されて、該損壊要素がトナー室内で遊動することにより、トナー供給機構やトナー攪拌機構が損壊されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明において、「トナー供給機構」、「トナー攪拌機構」とは、トナー供給口やトナー攪拌用の攪拌スパイラル、アジテータなどを意味し、トナー室を構成するケースをも含む概念である。
「損壊」とは、これらアジテータ等の部材を完全に破壊することのみならず、例えばトナー供給口を区画するケースに傷を付けることも含む概念である。要はトナー供給動作やトナー攪拌動作を担う部材に、何らかの機能障害を与えることができればよい。
【0011】
具体的には請求項2記載の本発明のように、前記損壊要素は金属製の板バネであって、撓み変形姿勢でトナー室内に組み付けられており、前記キャップを充填口から引き抜くと、板バネの原形復元力に由来する弾性反発力により、前記損壊要素がトナー室内で跳ねて、前記トナー供給機構やトナー攪拌機構が損壊されるように構成することができる。
【0012】
請求項3記載の本発明のように、前記トナーカートリッジは、二以上のケース体を接合してなるものであり、前記損壊要素が、トナーカートリッジの組み立てに先立って、前記トナー室を構成するケース体に組み付けられているものとすることができる。
【0013】
請求項4記載の本発明のように、トナー室内の充填口の近傍には、組み立て時において前記損壊要素を撓み変形姿勢で仮止め保持するための仮止め部材が設けられており、前記キャップには、前記損壊要素を係合保持するための支持部材が設けられており、前記キャップを充填口に装着すると、前記損壊要素の仮止め部材による係合保持状態が解除されるとともに、該損壊要素が前記キャップの支持部材によって撓み変形姿勢で係合保持されるように構成することができる。
【0014】
請求項5記載の本発明のように、前記仮止め部材が、トナー室内の充填口の近傍に配置された二本の突起であり、前記支持部材が、キャップの充填口の差し込み先端側に形成された係合凹部とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の本発明においては、キャップを充填口から引き抜くと、トナー供給機構やトナー攪拌機構が損壊要素によって損壊されるように構成したので、キャップの引き抜き後は、トナーの供給機能や攪拌機能に支障が生じて、トナーカートリッジは用をなさなくなる。トナー室内に残った損壊要素に、アジテータ等が衝突することに起因する騒音発生効果も期待でき、これによってもトナーカートリッジは用をなさなくなる。以上より、リサイクル品のトナーカートリッジが作製されることを確実に防ぐことができるので、非純正の不適なトナーが再充填されたリサイクル品のトナーカートリッジが市場に出回ることを確実に防ぐことができる。
【0016】
請求項2記載の本発明のように、損壊要素を金属製の板バネとしていると、板バネの弾性反発力により損壊要素がトナー室内で跳ねるので、より確実にトナー供給機構等を損壊0ることができ、リサイクル品のトナーカートリッジが作製されることをより確実に阻止することができる。
【0017】
特許文献1のように、キャップをキャップ部と分離片とからなる構成とした場合には、充填口の開口寸法に合わせて分離片の外形寸法を設定せざるを得ず、該分離片によるトナー攪拌の邪魔機能が良好に得られないおそれがある。
これに対して、請求項3記載の本発明のように、予め損壊要素をケース体に組み付けたうえでトナーカートリッジを組み立てていると、充填口の開口寸法とは無関係に、大型の損壊要素を採用することができるので、より確実にトナー攪拌機構などの破壊、損傷することができる。板バネ状の損壊要素を組み付けることも容易である。
【0018】
トナー室内の充填口の近傍に、組み立て時において損壊要素を撓み変形状態で仮止め保持するための仮止め部材を設け、キャップに、常態において損壊要素を係合保持するための支持部材を設けたカートリッジ構造によれば、予め損壊要素をケース体に組み付けておいたうえで、キャップを充填口に差し込み装着するだけの簡単な操作で、損壊要素の仮止め部材による係合保持状態が解除されるとともに、損壊要素を撓み変形状態で係合保持することができる。したがって、例えば、キャップに撓み変形状態の損壊要素を支持させてから、トナーカートリッジを組み立てる場合に比べて、損壊要素の組み付けが迅速にしかも簡便に行うことができる点で優れている(請求項4)。
【0019】
請求項5記載の本発明のように、仮止め部材をトナー室内の充填口の近傍に配置された二本の突起とし、支持部材をキャップの充填口の差し込み先端側に形成された係合凹部としていると、簡単な構成で以って、トナーカートリッジにトナー攪拌機構等の損壊機能を付与することができる。したがって、損壊機能を具備するトナーカートリッジを低コストに提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1乃至図8に、本発明に係るトナーカートリッジを、コピー機能とファクシミリ機能とを備えた複合機のトナーカートリッジに適用した実施形態を示す。図2において、複合機1は、給紙カセット2と、該給紙カセット2から用紙給送路を経て送られてきた記録用紙に対して画像形成を行う画像記録部3と、該画像記録部3の上方に配置された画像読取部4とで構成される。画像読取部4の上面には、各種操作ボタンを有する操作パネル5と、自動原稿搬送装置6(ADF)が設けられている。
なお、本実施形態においては、説明の便宜上、操作パネル5の伸び方向を左右方向と規定する(図2参照)。また、当該左右方向と水平方向で直交する方向を前後方向と規定する(図4参照)。
【0021】
図2および図3において、記録用紙に対する画像形成を担うプロセスユニット7は、感光体ユニット10と、感光体ユニット10にトナーを供給するトナーカートリッジ20とで構成される。図3に示すように、感光体ユニット10(以下、単にユニットと記す)は、前後横長の角箱状のケース本体11の内部に、記録用紙に接触してトナーを転写する感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を電位に帯電させる帯電器13、除電ブラシ14などを備えている。図3において符号15は、感光体ドラム12に対向配置された転写ローラを、符号16は、感光体ドラム12に静電潜像画像を形成するためのLEDヘッドを示す。
【0022】
トナーカートリッジ20(以下、単にカートリッジと記す)は、前後横長の四角箱状のハウジング21の内部に、トナーを収容するトナー室22と、感光体ドラム12にトナーを供給する現像ローラ23と、現像ローラ23にトナー室22内のトナーを供給する供給ローラ24と、現像ローラ23上のトナーを均一な付着状態とするためのブレード25と0備えている。そして、トナー室22内に組み付けられたアジテータ26でトナー室22内のトナーを攪拌しながら、該トナー室22の左面に開設された開口部27から供給ローラ24と現像ローラ23を介して感光体ドラム12にトナーを与える。これにより、感光体ドラム12上の静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成し、給紙カセット2から画像記録部3に給送されてくる用紙にトナー画像を順次転写する。アジテータ26は、トナー室22内に回転可能に装着された回転軸28と、この回転軸28に装着されたシート状の攪拌片29とで構成され、図外の駆動機構を介して回転駆動されて、トナー室22内のトナーを攪拌する。
【0023】
ハウジング21は、上方に開口するトナー室22を具備するケース本体30と、トナー室22の上方開口を封止するようにケース本体30の上面に装着される前後横長の上カバー31と、ケース本体30の前方端に形成された前空室32を封止する前カバー33とで構成される。前空室32とトナー室22との間は、隔壁35で仕切られており、この隔壁35の中央部には、トナー室22に通じる充填口36が開設されている。この充填口36は、キャップ37により密閉封止される。
【0024】
トナー室22の内部には、アジテータ26等のトナー攪拌機構やトナー供給機構を損壊するための損壊要素39が組み付けられている。この損壊要素39は、四角平板形の金属製の板バネであり(図7(d)参照)、充填口36の近傍位置に撓み変形状態で組み付けられており、常態においては、充填口36に装着されたキャップ37により、撓み変形姿勢で遊動不能に係合捕捉されている。ここでは、トナー室22の右側面22aと底面22bとの間のコーナー部を利用して、損壊要素39を撓み変形姿勢で組み付けた。
【0025】
図5乃至図8に示すように、充填口36を密閉封止するキャップ37は、充填口36からトナー室22内に差し込み装着される円柱形の本体部40と、本体部40の前端部から外方向に張り出し形成されて、充填口36の開口縁に受け止められて充填口36への差し込み限界を規制するフランジ部41とを有する樹脂成形品である。本体部40の差し込み始端側(後方側)には、損壊要素39を係合保持するための係合凹部42(支持部材)が形成されている。
【0026】
トナー室22内の充填口36の近傍には、カートリッジ20の組み立て時において、損壊要素39を撓み変形姿勢で仮止め保持するための仮止め部材が設けられている。仮止め部材は、隔壁35の背面から後方に向かって突設された二本の円柱状のボス44・44で構成する。これらボス44・44は、充填口36を挟んで対峙する位置に配設されており、組み立て時において、トナー室22の右側面22aと底面22bとで形成されるコーナー部と協同して、損壊要素39を撓み変形姿勢で仮止め保持する(図8(a)、図7(a)参照)。また、図7(b)に示すごとく、ボス44・44の隔壁35からの突出寸法D1は、差し込み限界まで装着したときの係合凹部42の奥受面42aの隔壁35からの突出寸法D2(隔壁35の背面から奥受面42aまでの距離寸法)よりも小さく設定されている。
【0027】
次に、損壊要素39のトナー室内への組み付け方法と、該損壊要素39によるアジテータ26等に対する損壊動作について、図7および図8を参照して説明する。まず、図7(a)および図8(a)に示すように、ボス44・44に損壊要素39を仮止め的に係合保持させる。この仮止め作業は、上カバー31のケース本体30への装着に先立って行われる。かかるボス44・44による仮止め保持状態において、損壊要素39は、充填口36を斜め方向に横切るような傾斜姿勢となる。
【0028】
次に、ケース本体30に上カバー31を固定してから、トナー室22内へのトナーの充填を行う。トナーの充填作業が終了すると、充填口36にキャップ37を差し込み装着して、充填口36を密閉封止する。具体的には、仮止め保持状態における損壊要素39の斜めの角度姿勢と、係合凹部42の斜めの角度姿勢とが一致するように、キャップ37の姿勢状態を調整したうえで、キャップ37を充填口36に押し込んで、損壊要素39を係合凹部42に掛止させる。損壊要素39の前端縁を係合凹部42の奥受面42aで受け止めさせてから、さらにキャップ37を押し込むことで、損壊要素39を後方向へスライド移動させることができる。
【0029】
さらに、キャップ37を押し込んで、フランジ41が充填口36の開口縁に受け止められた差し込み限界位置に至ると、ボス44・44による仮止め保持状態が解除されて、損壊要素39は係合凹部42によってのみ係合保持された状態となる(図7(b)、図8(b)参照)。より詳しくは、係合凹部42の奥受面42aの隔壁35からの突出寸法D2が、ボス44の突出寸法D1を超えると、ボス44・44による仮止め保持状態が解除されて、損壊要素39は係合凹部42によって係合保持される。
【0030】
図8(b)に示すように、この状態においても、損壊要素39は撓み変形姿勢にある。尤も、ボス44・44による仮止め保持状態が解除されることで、損壊要素39は僅かに位置ズレする。つまり、図1に示すように、正面視で損壊要素39の前端縁と、ボス44・44とが一部において重なるような姿勢状態となる。
【0031】
以上のように、キャップ37を差し込み限界位置にまで押し込んでから、前カバー33を装着することで、カートリッジ20へのトナーの充填処理が完了し、カートリッジ20は使用可能となる。つまり、カートリッジ20は、複合機1内に装着されたときに、所定のトナー供給動作を実行し得る状態となる。
【0032】
使用後の回収されたカートリッジ20に対して、製造業者以外の者、例えばリサイクル業者等が、トナーの再充填を目的としてキャップ37の不正開封を行った場合には、損壊要素39がキャップ37から外れて、アジテータ26等が損壊される。
詳しくは、図7(b)に示すような係合保持状態から、キャップ37を前方向に引き抜くと、図7(c)に示すように、損壊要素39の前端縁がボス44の突端面で受け止められて、損壊要素39は、それ以上は前方向へ移動することができなくなる。その状態からさらにキャップ37を前方向に移動させると(キャップ37を引き抜くと)、損壊要素39に対するキャップ37の係合保持状態が解除され(図7(d))、これにて、損壊要素39の板バネの原形復元力に由来する弾性反発力により、損壊要素39がトナー室22内で跳ねて、アジテータ26を損壊し、カートリッジ20に機能障害を生じさせることができる。トナー室22の開口部27に傷が付くことによっても、カートリッジ20に機能障害を生じさせることができる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係るカートリッジ20によれば、キャップ37を充填口36から引き抜くと、アジテータ26等が損壊されるように構成したので、トナーの再充填を目的としてキャップ37を引き抜いた後は、トナー攪拌機能等に支障が生じて、カートリッジとしての用をなさなくなる。トナー室22内に残った損壊要素39に、アジテータ26の攪拌片29が衝突することに起因する騒音発生効果も期待でき、これによってもカートリッジ20は用をなさなくなる。以上より、リサイクル品のトナーカートリッジが作製されることを確実に阻止することができるので、非純正の不適なトナーが再充填されたリサイクル品のトナーカートリッジが市場に出回ることを確実に防止することができる。
【0034】
損壊要素39を金属製の板バネとしていると、トナーの再充填を目的としてキャップ37を引き抜いたときに、板バネの弾性反発力により損壊要素39がトナー室内で跳ねるので、アジテータ26等をより確実に損壊することができる。これにて、カートリッジ20は、トナー攪拌機能等に支障が生じて用をなさなくなるので、非純正の不適なトナーが再充填されたリサイクル品のトナーカートリッジが作製されることを確実に阻止することができる。
【0035】
予め損壊要素39をトナー室22内に組み付けてから、カートリッジ20を組み立てるようにしていると、充填口36の開口寸法の制限を受けること無く、大型の損壊要素39をトナー室22内に組み付けることができる。したがって、より確実にアジテータ26等を破壊、損傷することができる。大型の損壊要素39が開口部27を塞ぐこととにより、トナー供給動作に支障が生じることも考えられる。また、容易に板バネ状の損壊要素39を組み付けることができる点でも優れている。
【0036】
トナー室22内の充填口36の近傍に、組み立て時において損壊要素39を撓み変形状態で仮止め保持するためのボス44・44を設け、キャップ37に、常態において損壊要素39を係合保持するための係合凹部42を設けたカートリッジ構造によれば、予め損壊要素39をケース本体30内に組み付けておいたうえで、キャップ37を充填口36に差し込み装着するだけの簡単な操作で、損壊要素39のボス44・44による係合保持状態が解除されるとともに、損壊要素39を撓み変形状態で係合保持することができる。したがって、例えば、キャップ37に撓み変形状態の損壊要素39を支持させてから、カートリッジ20を組み立てる場合に比べて、損壊要素39の組み付けが迅速にしかも簡便に行うことができる点で優れている。
【0037】
上記実施形態においては、損壊要素39として、長方形状の金属製の板バネを採用したが、損壊要素39の形態はこれに限られない。
仮止め保持状態における損壊要素39の斜めの角度姿勢に対して、キャップ37の係合凹部42の角度姿勢を容易に一致させることができるように、キャップ37のフランジ41および充填口36の開口縁に、姿勢決め用のマークを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るトナーカートリッジの縦断正面図であり、図4のB−B線断面図である。
【図2】本発明に係るトナーカートリッジが適用される画像形成装置(複合機)を示す図である。
【図3】トナーカートリッジと感光体ユニットとで構成されるプロセスユニットの縦断構成図である。
【図4】トナーカートリッジの平面図である。
【図5】要部の横断平面図であり、図4の円で囲んだ部分を拡大したものである。
【図6】図1のA−A線断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、キャップによる損壊要素の係合保持方法と、係合保持状態の解除方法を説明するための図である。
【図8】(a)は、仮止め保持状態における損壊要素の姿勢状態を示す要部の斜視図、(b)はキャップによる損壊要素の係合保持状態が確立された状態を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
20 トナーカートリッジ
22 トナー室
26 アジテータ(トナー攪拌機構)
30 ケース本体(ケース体)
31 ケース体(上カバー)
33 ケース体(前カバー)
36 充填口
37 キャップ
39 損壊要素
42 支持部材(係合凹部)
44 仮止め部材(ボス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体内にトナーが収容されるトナー室を有し、該ケース本体の外面には、該トナー室内にトナーを充填するための充填口が開設されており、この充填口がキャップにより密閉封止されているトナーカートリッジであって、
前記トナー室の内部には、トナー供給機構やトナー攪拌機構を損壊し得る損壊要素が組み付けられており、
前記損壊要素は、充填口に装着されたキャップにより遊動不能に係合保持されており、キャップを充填口から引き抜くと、損壊要素に対するキャップの係合保持状態が解除されて、該損壊要素がトナー室内で遊動することにより、トナー供給機構やトナー攪拌機構が損壊されるように構成されていることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
前記損壊要素は金属製の板バネであって、撓み変形姿勢でトナー室内に組み付けられており、
前記キャップを充填口から引き抜くと、板バネの原形復元力に由来する弾性反発力により、前記損壊要素がトナー室内で跳ねて、前記トナー供給機構やトナー攪拌機構が損壊されるようになっている請求項1記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
前記トナーカートリッジは、二以上のケース体を接合してなるものであり、
前記損壊要素が、トナーカートリッジの組み立てに先立って、前記トナー室を構成するケース体に組み付けられている請求項1又は2記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
トナー室内の充填口の近傍には、組み立て時において前記損壊要素を撓み変形姿勢で仮止め保持するための仮止め部材が設けられており、
前記キャップには、前記損壊要素を係合保持するための支持部材が設けられており、
前記キャップを充填口に装着すると、前記損壊要素の仮止め部材による仮止め保持状態が解除されるとともに、該損壊要素が前記キャップの支持部材によって撓み変形姿勢で係合保持されるようになっている請求項3記載のトナーカートリッジ。
【請求項5】
前記仮止め部材が、トナー室内の充填口の近傍に配置された二本の突起であり、
前記支持部材が、キャップの充填口の差し込み先端側に形成された係合凹部である請求項4記載のトナーカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate