説明

トナーカートリッジ

【課題】新トナーの充填時には新トナー収容領域を安定して確保できるとともに,使用につれて廃トナー収容領域を増大させることのできるトナーカートリッジを提供すること。
【解決手段】本発明のトナーカートリッジは,補給用トナーと廃トナーとをともに収容するトナー容器21を備え,画像形成装置1に取り付けて使用されるものであって,トナー容器21の室内を,補給用の新トナー収容領域22と廃トナー収容領域23とに区画する仕切り部材35と,仕切り部材35を新トナー収容領域22側へ向けて移動させるバネ37と,画像形成装置1に取り付けられる前にはバネ37による仕切り部材35の移動を阻止し,画像形成装置1に取り付けられると阻止を解除するストッパ38とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,新しい補給用のトナーと回収された廃トナーとをともに収容するトナー容器を備えたトナーカートリッジに関する。さらに詳細には,トナー容器内に,補給用トナーを収容する収容室と廃トナーを収容する収容室とを区画する仕切り板を有するトナーカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては一般に,画像形成に供するためのトナーを収容するトナー容器を有している。従来より,このトナー容器の一部を区画して,廃トナーを収容するスペースを設けることにより,全体としての容器スペースを低減させているものがある。すなわち,使い始めには,新トナー収容領域を大きく廃トナー収容領域を小さくしておき,使用につれて,新トナー収容領域を減少させるとともに廃トナー収容領域を増加させる。これによって,空きスペースを減らして,トナー容器内を効率的に使用することができる。
【0003】
ここで,新トナー収容領域と廃トナー収容領域とを,その容積を変化させつつ仕切る方法については,従来より様々な工夫がなされている。例えば,特許文献1には,新トナー領域を下方に廃トナー領域を上方に配置し,仕切り板を自重によって下方へ移動させるものが開示されている。また例えば,特許文献2には,廃トナーを収容する回収袋を新トナー領域の上方に配置し,廃トナーの蓄積によって回収袋がふくらむようにしたものが開示されている。また例えば,特許文献3には,新トナー収容領域の上方にフレキシブルシートによる仕切り部材を設け,その中央部分に板状の重りを取り付けたものが開示されている。いずれも,廃トナーが回収されて蓄積されるにつれて,新トナーの収容領域が侵食され,廃トナーの収容領域を拡げるようにされている。
【特許文献1】特開平5−107918号公報
【特許文献2】特開2003−122122号公報
【特許文献3】特開2003−295592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した従来の各トナー容器ではいずれも,廃トナーが回収されることによって,廃トナーの自重や圧力等によって仕切りが移動され,廃トナー収容領域が増加されるようになっている。そのため,新トナーも廃トナーもいずれも収容されていない状態では,その仕切り部材の配置は,非常に不安定なものとなる。そのため,新品のトナーカートリッジの製造時において,新トナーを充填する際に,新トナー収容領域を安定して確保することが難しいという問題点があった。また,トナー容器を再利用するために,トナーを再充填する場合にも同様の問題点があった。さらに,充填時の新トナーは一般に,流動性を持たせるために,充填後のトナーに比較してかさ密度の低い状態とされている。そのため,充填時にはその低いかさ密度での充填容積を安定して確保できることが必要とされていた。
【0005】
本発明は,前記した従来のトナー容器を備えたトナーカートリッジが有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,新トナーの充填時には新トナー収容領域を安定して確保できるとともに,使用につれて廃トナー収容領域を増大させることのできるトナーカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のトナーカートリッジは,補給用トナーと廃トナーとをともに収容するトナー容器を備え,画像形成装置に取り付けて使用されるトナーカートリッジであって,トナー容器の室内を,補給用トナー収容室と廃トナー収容室とに区画する仕切り板と,仕切り板を補給用トナー収容室側へ向けて移動させる移動部材と,画像形成装置に取り付けられる前には移動部材による仕切り板の移動を阻止し,画像形成装置に取り付けられると阻止を解除する阻止部材とを有するものである。
【0007】
本発明のトナーカートリッジによれば,トナー容器の室内は仕切り板によって補給用トナー収容室と廃トナー収容室とに区画されている。ここで,仕切り板は,移動部材によって,補給用トナー収容室側へ向けて移動される。すなわち,この移動により,補給用トナー収容室は次第に小さく,廃トナー収容室は次第に大きくされる。本発明では,阻止部材を有しているので,画像形成装置に取り付けられる前には移動部材による仕切り板の移動が阻止され,補給用トナー収容室の大きさは安定的に確保される。従って,新トナーの充填時には新トナーの収容領域を安定して確保できる。また,画像形成装置に取り付けられると阻止が解除されるので,仕切り板は移動可能となる。従って,使用につれて廃トナーの収容領域を増大させることができる。
【0008】
なお,ここでいうトナーカートリッジとは,トナー容器のみを有するものであっても良い。あるいは,トナー容器と現像装置とが一体的にカートリッジ化されたものでも良い。あるいはさらに,像担持体等をも含む,いわゆるイメージングカートリッジであっても良い。
【0009】
さらに本発明では,トナー容器に,廃トナー収容室もしくは補給用トナー収容室に繋がる開口が設けられており,画像形成装置に取り付けられる前には開口を塞ぐとともに阻止部材を阻止状態とし,画像形成装置に取り付けられると開口を開くとともに阻止部材を阻止解除状態とする阻止解除部材を有することが望ましい。
このようなものであれば,画像形成装置に取り付けられる前にはトナーの漏れが防止されるとともに,仕切り板の移動が阻止されている。そして,画像形成装置に取り付けられると,阻止解除部材によって阻止部材が阻止解除状態とされる。従って,仕切り板は移動部材によって移動される。
【0010】
さらに本発明では,阻止部材が,画像形成装置に取り付けられる前には,トナー容器の室内における,仕切り板よりも補給用トナー収容室側の位置に突出しており,画像形成装置に取り付けられるとトナー容器の室内から退避するものであることが望ましい。
このようになっていれば,画像形成装置に取り付けられる前には,阻止部材によって仕切り板の補給用トナー収容室側への移動が阻止される。
【0011】
さらに本発明では,トナー容器には,阻止部材の室内への突出を許容する孔が形成されており,阻止部材は,室内から退避した状態でも,孔の中にその一部が残るものであることが望ましい。
このようになっていれば,阻止部材が退避した状態でも,トナーの漏れは防止される。また,トナー容器を再利用する場合にも,阻止部材を容易に復帰させることができる。
【0012】
さらに本発明では,阻止部材が,両端がトナー容器の内面と阻止解除部材とに接合されたシート部材であり,画像形成装置に取り付けられる前には,中間部分が,トナー容器の室内における,仕切り板よりも補給用トナー収容室側に位置しており,画像形成装置に取り付けられると,阻止解除部材の動きにより,両端の接合箇所の一方もしくはそれ自体が破壊されるものであってもよい。
このようなものであっても,シート部材によって仕切り板の補給用トナー収容室側への移動が阻止される。
【0013】
さらに本発明では,阻止部材が,両端が前記トナー容器の内面に接合されたシート部材であり,仕切り板は,画像形成装置に取り付けられると,画像形成装置の部材により補給用トナー収容室側へ向けて押されるものであり,画像形成装置に取り付けられる前には,シート部材の中間部分が,トナー容器の室内における,仕切り板よりも補給用トナー収容室側に位置しており,画像形成装置に取り付けられると,シート部材の両端の接合箇所の一方もしくはそれ自体が破壊されるものであってもよい。
このようなものであっても,シート部材によって仕切り板の補給用トナー収容室側への移動が阻止される。
【0014】
さらに本発明では,トナー容器の室内で回転することにより補給用トナー収容室内のトナーをほぐすほぐし部材とその回転軸を有し,仕切り板は,ほぐし部材の回転軸により移動がガイドされていることが望ましい。
このようになっていれば,仕切り部材は回転軸に沿って移動されるので,常に補給用トナー収容室と廃トナー収容室とを仕切ることができる。
【0015】
さらに本発明は,補給用トナーと廃トナーとをともに収容するトナー容器を備え,画像形成装置に取り付けて使用されるトナーカートリッジであって,トナー容器の室内を,補給用トナー収容室と廃トナー収容室とに区画する仕切り板と,仕切り板を貫通するとともに,画像形成装置から駆動を受けて回転する回転軸と,回転軸に設けられてその回転による仕切り板を移動させるスクリュー羽根と,仕切り板の貫通穴に設けられ,仕切り板と回転軸との間をシールする柔軟部材とを有するトナーカートリッジであってもよい。
このようなものであっても,新トナーの充填時には新トナー収容領域を安定して確保できるとともに,使用につれて廃トナー収容領域を増大させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のトナーカートリッジによれば,新トナーの充填時には新トナー収容領域を安定して確保できるとともに,使用につれて廃トナー収容領域を増大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,1つの容器内に,互いに区画された新トナー収容領域と廃トナー収容領域とをともに有するトナー容器を備えた画像形成装置に本発明を適用したものである。
【0018】
本形態の画像形成装置1は,図1に示すように,感光体11と,その周囲に帯電装置12,現像装置13,転写装置14,クリーナ15を備えたものである。また,感光体11と転写装置14との間には,中間転写ベルト16が配置されている。このうち現像装置13は,現像ローラ17を備えている。さらに,現像装置13には,着脱可能なトナー容器21が装着されている。
【0019】
画像形成時には,感光体11は図1中時計回りに回転される。そして,感光体11の表面は,帯電装置12で帯電され,露光器18で露光されて潜像が形成される。さらにその形成された潜像は,現像装置13で現像されてトナー像が形成され,転写装置14によって転写材16に転写される。転写後も感光体11上に残留するトナーは,クリーナ15によって回収され,廃トナーとなる。
【0020】
トナー容器21は,その内部に新トナー収容領域22と廃トナー収容領域23とが形成されている。新トナーは,新トナー収容領域22から,トナー供給口24を介して,現像装置13へ供給される。また,クリーナ15に回収された廃トナーは,廃トナー搬送管25を介して,廃トナー収容領域23へと収容される。なお,図1では,この新トナー収容領域22と廃トナー収容領域23とが上下に配置されているように図示しているが,実際にはこれらは図中奥行き方向に分割されている。
【0021】
トナー容器21は,図2〜図5に示すように,細長い箱状の容器である。図2と図4に示しているのは,画像形成装置1に装着されていない状態のトナー容器21である。図2に示すように,トナー容器21には,外部シャッタ31,回転軸32等が設けられている。外部シャッタ31は,図中白抜き矢印の方向へ往復移動可能に取り付けられている。また,図3と図5に示しているのは,画像形成装置1に装着した場合におけるトナー容器21である。図3では,外部シャッタ31が,図2の位置から図中左上向きに移動されて,その下にある開口部33が見えている。
【0022】
図4は,画像形成装置1に装着されていない状態のトナー容器21の長手方向の断面を示している。これは,図2のA−A断面に相当する。トナー容器21の内部は,仕切り部材35によって,図4中左側の新トナー収容領域22と同図中右側の廃トナー収容領域23とに分割されている。回転軸32は,仕切り部材35を貫通して,回転可能に設けられている。なお,この状態のトナー容器21では,開口部33は外部シャッタ31によって閉止されている。また,新トナーが充填されたら,トナー供給口24もシャッタ等によって閉止される。
【0023】
回転軸32のうち新トナー収容領域22の内部の部分には,板状のほぐし部材36が取り付けられている。回転軸32が回転されると,新トナー収容領域22中のトナーは,ほぐし部材36によって攪拌されてほぐされる。また,図4に示すように,廃トナー収容領域23においては,回転軸32の周囲にバネ37が設けられている。バネ37の両端部は,仕切り部材35の図中右面とトナー容器21の図中右内面とに当接されている。そして,バネ37によって,仕切り部材35は図中左向きに付勢されている。
【0024】
さらに,トナー容器21の上内面にはストッパ38が設けられている。そして,仕切り部材35の図4中左面が,ストッパ38に当接している。そのため,仕切り部材35は左向きに移動できない。従ってこの状態では,仕切り部材35はこの位置から右にも左にも移動しない。この位置が,新トナーを充填するために十分な大きさの新トナー収容領域22を十分確保できる位置となるように,ストッパ38の配置が設定されている。従って,新トナーの充填時には新トナー収容領域22が安定して確保される。ストッパ38の構成については後述する。
【0025】
図5は,画像形成装置1に装着した状態のトナー容器21の長手方向の断面を示している。これは,図3のB−B断面に相当する。画像形成装置1に装着されると,外部シャッタ31が,図4の位置から図中左向きに,図5の位置まで移動される。そして,開口部33が開かれ,開口部33に廃トナー搬送管25が連結される。また,トナー供給口24も開放され,新トナーを現像装置13へ供給できるように接続される。このように画像形成装置1に装着されることにより,ストッパ38による係止が解除され,仕切り部材35は図5中左向きに移動可能となる。
【0026】
新品のトナーカートリッジでは,トナー容器21の新トナー収容領域22は新トナーが十分多量に収容されているため,仕切り部材35は急には動けない。画像形成を行うと,新トナー収容領域22に収容されている新トナーが使用されて減少する。また,廃トナー搬送管25から搬送されてきた廃トナーは,開口部33から廃トナー収容領域23内へと収容される。そして,バネ37の付勢力によって,仕切り部材35は次第に図5中左向きに移動する。これにより,新トナー収容領域22は次第に小さくなるとともに,廃トナー収容領域23は次第に大きくなる。従って,使用につれて廃トナー収容領域23を増大させることができる。
【0027】
なお,仕切り部材35とトナー容器21の内面との間,及び,仕切り部材35と回転軸32との間には,いずれも摺動性のあるウレタンフォームが取り付けられている。従って,仕切り部材35の摺動はスムーズであるとともに,両区画間のトナーの漏れは防止されている。そして,仕切り部材35がほぐし部材36に当接するか,バネ37が伸びきる位置まで移動すると,仕切り部材35はそれ以上左向きに移動しない。この位置において,廃トナー収容領域23がその必要とされる最大容積となるように,バネ37の長さやほぐし部材36の取り付け位置等が設定されている。
【0028】
「第1の実施例」
次に,ストッパ38の構成の例を説明する。図6にその第1の実施例を示す。図6(a)は画像形成装置1に装着されていない状態を,図6(b)は装着された状態をそれぞれ示す。トナー容器21の上面に半月ギア41および屈曲状の引き上げ部材42が,それぞれ回転可能に取りつけられている。また,外部シャッタ31の上内面にギア41と噛み合うラックギア43が形成されている。引き上げ部材42の図中右端部には,半月ギア41と係止される係止箇所44が設けられている。また,引き上げ部材42の図中左端部には,ストッパ38の一端部が自由回転可能に取りつけられている。
【0029】
画像形成装置1に装着される際には,外部シャッタ31が図6(a)の位置から図中左向きに移動される。従って,ラックギア43も図中左向きに移動される。これにより,半月ギア41が図中反時計回りに回転され,半月ギア41の図中左端部が係止箇所44を押し下げ,引き上げ部材42の右端部が押し下げられる。これにより,引き上げ部材42の左端部が上がり,ストッパ38が引き上げられる。これにより,図6(b)に示す状態となる。
【0030】
従って,外部シャッタ31を開放することにより,ストッパ38による仕切り部材35の係止が解除される。なお,ストッパ38は完全に引き出されるのでなく,トナー容器21の孔を塞ぐ位置で止まるようにすると良い。こうすれば,ストッパ38の先端の位置が孔から外れることがない。これにより,トナー容器21の孔からトナーが漏れることが防止される。また,外部シャッタ31を逆に動かして閉止すれば,ストッパ38は図6(a)の位置に容易に戻る。
【0031】
本実施例のトナー容器21を画像形成装置1から取り外す場合は,外部シャッタ31が閉止される。このときには,仕切り部材35はストッパ38に当たらない程度まで左方向へ移動しているので,図6(b)の位置から図6(a)の位置へ外部シャッタ31を移動させることができる。
【0032】
また,画像形成装置1から取り外された使用済みのトナー容器21を再利用する場合には,まず,外部シャッタ31を再び開けて,廃トナー収容領域23に収容されている廃トナーを適切に処分する。その後,バネ37の付勢力に抗して仕切り部材35を廃トナー収容領域23側へ押し込みつつ,外部シャッタ31を閉止する。これにより,引き上げ部材42が図6中反時計回りに回転されて,ストッパ38が引き下げられる。このとき,ストッパ38の先端はトナー容器21の孔の中にあるので,ストッパ38は容易に図6(a)の位置に戻る。従って,仕切り部材35はストッパ38によって係止され,所定容積の新トナー収容領域22が確保される。
【0033】
「第2の実施例」
次に,第2の実施例を図7に示す。図7(a)は画像形成装置1に装着されていない状態を,図7(b)は装着された状態をそれぞれ示す。この例では,トナー容器21の上面に部分ギア51とピニオン52とがいずれも回転可能に取りつけられている。ピニオン52の軸位置はトナー容器21に対して固定されている。この部分ギア51とピニオン52とはお互いに噛み合っている。さらに,外部シャッタ31の上内面に,ピニオン52と噛み合うラックギア53が形成されている。この例では,部分ギア51の図中下端部がストッパ38として機能する。
【0034】
本実施例のトナー容器21が画像形成装置1に装着される際には,外部シャッタ31が開けられ,ラックギア53によってピニオン52が図中反時計回りに回転される。これにより,部分ギア51が図中時計回りに回転され,ストッパ38に相当する部分が引き上げられる。従って,本実施例によっても,外部シャッタ31を開放することにより,ストッパ38による仕切り部材35の係止が解除される。
【0035】
なお,本実施例のトナー容器21を再利用する場合には,廃トナーを処分した後,バネ37の付勢力に抗して仕切り部材35を廃トナー収容領域23側へ押し込みつつ,外部シャッタ31を閉止する。これにより,部分ギア51が図中反時計回りに回転され,ストッパ38が引き下げられる。そして,新トナー収容領域22が確保される。なお,この第2の実施例では,外部シャッタ31のラックギア53でピニオン52を回転させるとしたが,ピニオン52を無くし,ラックギア53が直接,部分ギア51を回転させるようにしても良い。
【0036】
「第3の実施例」
次に,第3の実施例を図8と図9に示す。図8(a)は画像形成装置1に装着されていない状態を,図8(b)は装着された状態をそれぞれ示す。この例では,トナー容器21の上面にローラ61が回転可能に取りつけられている。ローラ61の軸位置はトナー容器21に対して固定されている。ローラ61の表面の一部には,リボン状のストッパシート62の一端部が固定されている。また,ローラ61の表面の他の部分には,ギア63が形成されている。
【0037】
また,外部シャッタ31の上内面には,ギア63と噛み合うようにラックギア64が形成されている。さらに,トナー容器21の廃トナー収容領域23の下内面には,図8に示すように,ストッパシート62の他端部を保持する保持部材65が固定されている。なお,ストッパシート62の一端部とギア63とは,図9に示すように,ローラ61の軸方向に異なる位置に設けられている。図9は,図8の右から見た断面図である。
【0038】
画像形成装置1に装着されていない状態では,図9に示すように,ストッパシート62は,仕切り部材35に沿ってトナー容器21の上面から下面へと渡されている。そして,ストッパシート62の他端部は,仕切り部材35の下側を通り,保持部材65によって廃トナー収容領域23の内部に固定されている。従って,ストッパシート62は,ローラ61と保持部材65とによって保持され,仕切り部材35の図8中左向きの移動を防止している。従って,このストッパシート62がストッパ38として機能する。
【0039】
この実施例のトナー容器21が,画像形成装置1に装着され,外部シャッタ31が開けられると,図8(a)に示すように,ラックギア64によってローラ61が図中反時計回りに回転される。従って,ストッパシート62がローラ61に巻き取られ,図8(b)に示すように,保持部材65との固定部分が破壊される。これにより,仕切り部材35の係止が解除される。こうなるように固定部分の接合強度が設定されている。すなわち,バネ37の付勢力では破壊されず,外部シャッタ31が開けられると破壊されるようにしておく。なお,破壊される箇所は保持部材65との固定部分に限らず,ローラ61との固定部分やストッパシート62の途中等でもよい。
【0040】
この実施例のトナー容器21を再利用する場合には,廃トナーを処分した後,バネ37の付勢力に抗して仕切り部材35を廃トナー収容領域23側へ押し込みつつ,新たなストッパシート62をローラ61と保持部材65とに固定する。これにより,新たなストッパシート62によって仕切り部材35が所定の位置に係止されるので,新トナーの充填は容易である。なお,この第3の実施例では,ストッパシート62の一端部をローラ61に固定するとしたが,外部シャッタ31の内面に直接固定してもよい。このようにすれば,ローラ61もラックギア64も不要となる。
【0041】
以上の第1〜第3の実施例は,外部シャッタ31の開放によってストッパ38による係止が解除されるものである。これに対し,外部シャッタ31の移動以外の方法で解除されるストッパ38の例を示す。第4の実施例を図10と図11に,第5の実施例を図12にそれぞれ示す。なお,図11は図10のC−C断面に相当する。
【0042】
「第4の実施例」
第4の実施例のトナー容器71では,図10に示すように,図中手前面に内部シャッタ付きの開口部72が設けられている。ここに,廃トナー搬送管25が接続される。外部シャッタはあってもなくても良い。この例では,図11に示すように,仕切り部材35を差し渡して,トナー容器71の上内面と下内面とにストッパシート73が固定されている。ストッパシート73としては,上記の第3の実施例と同様のものとすればよい。画像形成装置1に装着されていない状態では,ストッパシート73がストッパ38として機能する。図11中の上図は画像形成装置1に装着されていない状態を,下図は装着された状態をそれぞれ示す。
【0043】
画像形成装置1に装着されると,図11に示すように,開口部72に廃トナー搬送管25が差し込まれる。このとき,係止されている仕切り部材35に当接する程度に深くまで廃トナー搬送管25が差し込まれる。すなわち,仕切り部材35は,廃トナー搬送管25によって,図中左向きに押される。これにより,下図に示すように,トナー容器71との固定部分が破壊される。これにより,仕切り部材35の係止が解除される。
【0044】
再利用する場合には,廃トナーを処分した後,バネ37の付勢力に抗して仕切り部材35を廃トナー収容領域23側へ押し込みつつ,新たなストッパシート73をトナー容器71に固定する。これにより,ストッパシート73によって仕切り部材35を係止することができる。
【0045】
「第5の実施例」
第5の実施例は,図12に示すように,回転軸32に代えてスクリュー81を有している。上図は画像形成装置1に装着されていない状態を,下図は装着された状態をそれぞれ示す。この例では,仕切り部材35に代えて仕切り部材82を有している。スクリュー81は,図12に示すように,軸径rの回転軸83に螺旋状の羽根84が形成されている。さらに,スクリュー81の途中の所定の箇所には,羽根84が途切れて停止壁85が形成されている。
【0046】
また,仕切り部材82は,図13に示すように,貫通孔86に円環状の柔軟部材87がはめ込まれた板状の部材である。貫通孔86の径Rは,スクリュー81の外径Rとほぼ等しい。また,柔軟部材87の中心孔の径rは,スクリュー81の軸径rとほぼ等しい。なお,柔軟部材87としては,スポンジ等の発泡部材やゴム等を用いればよい。柔軟部材87には,その一箇所に切り込み88が形成されている。この切り込み88とスクリュー81の羽根84とが噛み合うようにされている。
【0047】
画像形成装置1に装着されていない状態では,図12の上図に示すように,仕切り部材82は,廃トナー収容領域23を小さくした位置に配置されている。羽根84と切り込み88とが噛み合っているので,スクリュー81を回転させない限り,仕切り部材82はこの位置から左右いずれの側にも移動することはない。従って,スクリュー81がストッパ38として機能する。
【0048】
画像形成装置1に装着されると,図12の下図に示すように,画像形成装置1の本体によってスクリュー81の回転軸83が回転される。従って,仕切り部材82は,羽根84の回転によって押し込まれて,次第に図中左方へと移動される。そして,羽根84が途切れている箇所まで移動すると,仕切り部材82は,停止壁85に当接してそれ以上移動できない。
【0049】
再利用する場合には,廃トナーを処分した後,スクリュー81を逆回転させる。それにより,仕切り部材82は図12中右向きに移動する。所定の位置まで移動したら,スクリュー81の回転を停止させる。これにより,仕切り部材82を所定の位置に停止させ,容易に新トナーの充填を行うことができる。なおこの例では,廃トナー搬送管25やそれが接続される開口部等の配置は,どこでも構わない。
【0050】
以上詳細に説明したように本形態の画像形成装置1によれば,トナー容器21が画像形成装置1に装着されていない状態では,仕切り部材35がストッパ38によって係止されている。従って,新トナー収容領域22の容積を安定して確保できる。また,画像形成装置1に装着されると,ストッパ38による仕切り部材35の係止が解除される。そして,仕切り部材35は,バネ37の付勢力によって次第に移動される。従って,廃トナー収容領域23の容積を次第に大きくすることができる。これらから,新トナーの充填時には新トナー収容領域22を安定して確保できるとともに,使用につれて廃トナー収容領域23を増大させることのできるトナー容器21となっている。
【0051】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,ストッパ38の出し入れは,メカ的な方法に限らず,電磁気力によることもできる。また,トナー容器の形状やその区画形状はいずれも一例であり,これに限るものではない。例えば円筒形のトナー容器であっても良い。また,軸方向の前後に区画する代わりに,斜めや上下に区画することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】トナー容器を示す斜視図である。
【図3】トナー容器を示す斜視図である。
【図4】トナー容器を示す断面図である。
【図5】トナー容器を示す断面図である。
【図6】第1の実施例のストッパの構成を示す説明図である。
【図7】第2の実施例のストッパの構成を示す説明図である。
【図8】第3の実施例のストッパの構成を示す説明図である。
【図9】第3の実施例のストッパの構成を示す説明図である。
【図10】トナー容器を示す斜視図である。
【図11】第4の実施例のストッパの構成を示す説明図である。
【図12】第5の実施例のストッパの構成を示す説明図である。
【図13】仕切り部材の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置
21 トナー容器
22 新トナー収容領域
23 廃トナー収容領域
31 外部シャッタ
32 回転軸
33 開口部
35,82 仕切り部材
36 ほぐし部材
37 バネ
38 ストッパ
62,73 ストッパシート
81 スクリュー
84 羽根
87 柔軟部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補給用トナーと廃トナーとをともに収容するトナー容器を備え,画像形成装置に取り付けて使用されるトナーカートリッジにおいて,
前記トナー容器の室内を,補給用トナー収容室と廃トナー収容室とに区画する仕切り板と,
前記仕切り板を前記補給用トナー収容室側へ向けて移動させる移動部材と,
画像形成装置に取り付けられる前には前記移動部材による前記仕切り板の移動を阻止し,画像形成装置に取り付けられると阻止を解除する阻止部材とを有することを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のトナーカートリッジにおいて,
前記トナー容器に,前記廃トナー収容室もしくは前記補給用トナー収容室に繋がる開口が設けられており,
画像形成装置に取り付けられる前には前記開口を塞ぐとともに前記阻止部材を阻止状態とし,画像形成装置に取り付けられると前記開口を開くとともに前記阻止部材を阻止解除状態とする阻止解除部材を有することを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のトナーカートリッジにおいて,前記阻止部材は,
画像形成装置に取り付けられる前には,前記トナー容器の室内における,前記仕切り板よりも前記補給用トナー収容室側の位置に突出しており,
画像形成装置に取り付けられると前記トナー容器の室内から退避するものであることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項4】
請求項3に記載のトナーカートリッジにおいて,
前記トナー容器には,前記阻止部材の室内への突出を許容する孔が形成されており,
前記阻止部材は,室内から退避した状態でも,前記孔の中にその一部が残るものであることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項5】
請求項2に記載のトナーカートリッジにおいて,前記阻止部材は,
両端が前記トナー容器の内面と前記阻止解除部材とに接合されたシート部材であり,
画像形成装置に取り付けられる前には,中間部分が,前記トナー容器の室内における,前記仕切り板よりも前記補給用トナー収容室側に位置しており,
画像形成装置に取り付けられると,前記阻止解除部材の動きにより,両端の接合箇所の一方もしくはそれ自体が破壊されるものであることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項6】
請求項1に記載のトナーカートリッジにおいて,
前記阻止部材は,両端が前記トナー容器の内面に接合されたシート部材であり,
前記仕切り板は,画像形成装置に取り付けられると,画像形成装置の部材により前記補給用トナー収容室側へ向けて押されるものであり,
画像形成装置に取り付けられる前には,前記シート部材の中間部分が,前記トナー容器の室内における,前記仕切り板よりも前記補給用トナー収容室側に位置しており,
画像形成装置に取り付けられると,前記シート部材の両端の接合箇所の一方もしくはそれ自体が破壊されるものであることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載のトナーカートリッジにおいて,
前記トナー容器の室内で回転することにより補給用トナー収容室内のトナーをほぐすほぐし部材とその回転軸を有し,
前記仕切り板は,前記ほぐし部材の回転軸により移動がガイドされていることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項8】
補給用トナーと廃トナーとをともに収容するトナー容器を備え,画像形成装置に取り付けて使用されるトナーカートリッジにおいて,
前記トナー容器の室内を,補給用トナー収容室と廃トナー収容室とに区画する仕切り板と,
前記仕切り板を貫通するとともに,画像形成装置から駆動を受けて回転する回転軸と,
前記回転軸に設けられてその回転による前記仕切り板を移動させるスクリュー羽根と,
前記仕切り板の貫通穴に設けられ,前記仕切り板と前記回転軸との間をシールする柔軟部材とを有することを特徴とするトナーカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−292729(P2008−292729A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137658(P2007−137658)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】