説明

トナー及び画像形成方法

【課題】高速印刷時,低印字時等の使用状況においても帯電ムラ、スリーブ汚染、ブロッチのない安定したトナーコート層を形成することが出来るトナーを提供する。
【解決手段】 帯電された静電荷像担持体に静電荷像を形成し、静電荷像をスリーブと前記静電荷像担持体との間に印加する現像バイアスを特定の電界強度,周波数の範囲で制御してトナー像を形成し、静電荷像担持体上のトナー像を転写材へ転写し、転写材上のトナー画像を熱定着手段によって定着する画像形成方法において、メインピークのピークトップにおける慣性二乗半径を特定の範囲に制御した負帯電性磁性トナー粒子と該負帯電性磁性トナー粒子とのゼータ電位の差が特定の範囲にある無機微粉末を一定の遊離率で存在させた負帯電性磁性トナーを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像を現像してトナー像を形成するための画像形成方法に使用されるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法を用いた画像形成装置は、より小型化,より軽量化そしてより高速化,より高信頼性が厳しく追及されてきている。例えば、グラフィックデザインの如き高細密画像のプリント、さらにはより信頼性が要求される軽印刷(パソコンによる文書の編集からコピー、製本までの多品種少量印刷が可能なプリント・オン・デマンド用途)向けに画像形成装置は使われはじめた。そのため、画質としてより高精細,高画質が求められており、その結果トナーに要求される性能もより高度になってきた。
【0003】
特許文献1では、トナーに添加する添加剤の誘電率とトナーの粉体特性を制御することで均一なトナー層を形成でき且つ画質の優れたトナーが提供できるという提案がされている。特許文献2では、磁性トナーの磁気力とトナーの粉体特性を制御することでスリーブムラが発生することのないトナーが提供できるという提案がなされている。これらの方法によると中低速の複写用又はプリント用の画像形成装置においては一定の効果が見られるものの、印刷用途の超高速印字時においては安定的にトナーコート層を形成させることは困難である。
【0004】
また、特許文献3では、現像スリーブの表面粗さをある範囲にし、さらに磁性トナーの磁性粉の体積固有抵抗値を制御することで感光ドラムのリークのない安定したトナー層を形成できる提案がなされている。この場合も、やはり印刷用途の超高速印字時においては安定的にトナーコート層を形成させることが困難である。さらに、現像スリーブ上において印字部と非印字部の帯電性にムラが生じやすくなり現像スリーブの汚染という現象が生じやすくなる。さらに従来から提案されているジャンピング現像方式においては高速での低印字印刷を続けるとスリーブ上から消費されるトナーが非常に微量になるため、トナーが劣化し濃度低下や画質劣化を引き起こしやすい。
【0005】
また、特許文献4,5では粒度分布を規定した磁性トナーに帯電緩和剤を添加することによりトナーの過剰帯電を抑制しつつ高画質を維持するという提案がなされている。さらに、特許文献6では無機微粒子をトナー母粒子の表面に固着させることで、トナー母粒子表面とトナー表面のゼータ電位差を一定以上にしトナー表面の電荷のばらつきを改善し均一な帯電を得るという提案がなされている。また、特許文献7〜10等では、特定の無機微粒子のトナー表面への被覆率,トナー表面からの遊離率を制御することで帯電性が良好なトナーを得ることができるという提案がなされている。これらの提案はいずれも帯電性を改善するという観点では効果があるものの、近年要求される高速で且つ画質としてより高精細,高画質を求められる高速印刷によりトナー劣化が起こり易いような使用方法に対しても高信頼性で且つ安定した画質を得ることが求められるような用途においては未だ改良の余地が残っている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−15903号公報
【特許文献2】特開平8−15904号公報
【特許文献3】特開2006−98978号公報
【特許文献4】特公平6−93136号公報
【特許文献5】特公平6−93137号公報
【特許文献6】特開平8−137125号公報
【特許文献7】特開2001−34006号公報
【特許文献8】特開2002−207314号公報
【特許文献9】特開2003−280253号公報
【特許文献10】特開2003−280254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は上記問題点を解消したトナーを提供することにある。
【0008】
本発明の目的は上記問題点を解消した画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に静電荷像を形成し、ピークトゥピークの電界強度が1.5×106乃至7.0×106V/mであり、周波数が2000乃至4000Hzである交流電界を、現像バイアスとして現像スリーブに印加し、静電荷像を現像スリーブ上のトナーで現像してトナー像を形成し、静電荷像担持体上のトナー像を中間転写材を介し、又は介さずに転写材へ転写し、転写材上のトナー像を熱定着手段によって定着する画像形成方法に使用されるトナーであって、
該トナーが、結着樹脂、及び磁性体を少なくとも含有する負帯電性磁性トナー粒子と、無機微粉末とを少なくとも有する負帯電性磁性トナーであり、該トナーを温度25℃で24時間THF溶媒に溶解させた時のTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析において、メインピークのピークトップにおける慣性二乗半径Rtが1.0nm乃至4.2nmであり、該負帯電性磁性トナー粒子を水中に分散させた時のその上澄み液のpHにおける該トナー粒子と該無機微粉末のゼータ電位の差が70mV以下であり、該無機微粉末の遊離率が15%以下であることを特徴とするトナーに関する。
【0010】
さらに本発明は、少なくとも静電荷像を担持するための静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に静電荷像を形成し、ピークトゥピークの電界強度が1.5×106乃至7.0×106V/mであり、周波数が2000乃至4000Hzである交流電界を、現像バイアスとして現像スリーブに印加し、静電荷像を現像スリーブ上のトナーにより現像してトナー像を形成し、静電荷像担持体上のトナー像を中間転写材を介し、又は介さずに転写材へ転写し、転写材上のトナー像を熱定着手段によって定着する画像形成方法であって、
該トナーが、結着樹脂、及び磁性体を少なくとも含有する負帯電性磁性トナー粒子と、無機微粉末とを少なくとも有する負帯電性磁性トナーであり、該トナーを温度25℃で24時間THF溶媒に溶解させた時のTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析において、メインピークのピークトップにおける慣性二乗半径Rtが1.0nm乃至4.2nmであり、該負帯電性磁性トナー粒子を水中に分散させた時のその上澄み液のpHにおける該トナー粒子と該無機微粉末のゼータ電位の差が70mV以下であり、該無機微粉末の遊離率が15%以下であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少なくとも静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に静電荷像を形成し、静電荷像をスリーブと前記静電荷像担持体との間に印加する現像バイアスを特定の電界強度,周波数の範囲で制御してトナー像を形成し、静電荷像担持体上のトナー像を中間転写材を介し、又は介さずに転写材へ転写し、転写材上のトナー画像を熱定着手段によって定着する画像形成方法において、メインピークのピークトップにおける慣性二乗半径を特定の範囲に制御した負帯電性磁性トナー粒子と該負帯電性磁性トナー粒子とのゼータ電位の差が特定の範囲にある無機微粉末を一定の遊離率で存在させた負帯電性磁性トナーを用いることで高速印刷時,低印字時等の使用状況においても帯電ムラ、スリーブ汚染、ブロッチのない安定したトナーコート層を形成することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明者らはジャンピング現像方式における高速現像安定性と高画質化の両立に関する検討を進めていく中で現像スリーブ上のトナー層を安定的に形成させるためにはトナーの粒子単位での摩擦帯電特性を制御する必要があることを見出した。
【0013】
また、本発明者らは、トナーの粒子単位での摩擦帯電特性を制御するためには、トナー粒子中に存在する結着樹脂成分を分子レベルで配向させ且つトナー粒子の表面の電気特性を均一に制御する必要があることを見出した。
【0014】
さらに、本発明者らは、現像スリーブからの離型性と現像スリーブへの耐汚染性のラチテュードを広げたトナー層を形成するためには電界強度と周波数が重要であることを見出した。
【0015】
つまり、高速且つ長期継続的にプリント画像を得る場合においては、これまでの帯電制御やトナー層形成の手法を用いても高速現像安定性と高画質化を良好に両立させるのは困難であった。
【0016】
次に画像形成プロセスにおける高速現像時におけるトナー層の形成状態と摩擦帯電の関わりを、画像形成プロセスを参照しながら説明する。
【0017】
図1において、現像スリーブ102の略右半周面はトナー容器106内のトナー溜りに常時接触していて、その現像スリーブの表面の近傍のトナーが現像スリーブの表面に現像スリーブ内の磁気発生手段103の磁力で及び/又は静電気力により付着保持される。現像スリーブ102が回転駆動されるとその現像スリーブの表面のトナー層がトナー規制部材104の位置を通過する過程で各部均一の厚さの薄層T1として整層化される。この層厚を規制するために、強磁性金属からなるトナー層厚規制部材としての規制部材104が、現像スリーブ102の表面から約100〜300μmのギャップ幅を持って現像スリーブ102に臨むように垂下されている。磁気発生手段103の磁極N1からの磁力線が規制部材104に集中することにより、現像スリーブ102上にトナーの薄層(トナー層)が形成される。整層化されたトナー層T1としては、現像領域部Aにおける現像スリーブ102と感光体101との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。このようなトナー層T1により静電潜像を現像する方式の非接触型現像装置に本発明は特に有効である。また、トナーの摩擦帯電は主として現像スリーブ102の回転に伴なう現像スリーブの表面とその近傍のトナー溜りのトナーとの摩擦接触によりなされる。現像スリーブ102上のトナー薄層の面は、現像スリーブの回転に伴ない感光体101側へ回転し、感光ドラム101と現像スリーブ102の最接近部である現像領域部Aを通過する。この通過過程で現像スリーブ102の表面側のトナー薄層のトナーが、感光体101と現像スリーブ102間に印加した直流と交流電圧による直流と交流電界により飛翔し、現像領域部Aの感光体101表面と、現像スリーブ102面との間(間隙α)を往復運動する。最終的には現像スリーブ102側のトナーが感光体101表面の表面に潜像の電位パターンに応じて選択的に移行付着してトナー像T2が順次に形成される。
【0018】
本発明のトナーにおいてトナー層を安定的に形成させ、且つよりバイアスに対して効果的に追従させるためには、ピークトゥピークの電界強度が1.5×106乃至7.0×106V/m、より好ましくは2.5×106乃至6.5×106V/mであり、周波数が2000乃至4000Hz、より好ましくは2500乃至3500Hzである交流電界を、現像バイアスとして現像スリーブに印加することが重要である。上記範囲を外れるような現像バイアスを印加した場合は、特に高速印刷時においてトナー層の規制力と現像スリーブの回転力のバランスのラチテュードが取れなくなるため、ブロッチの如き画像欠陥や現像スリーブ汚染が発生する傾向がある。
【0019】
また、上記範囲を外れるようなバイアスを印加した場合は、トナーの現像バイアスに対する追従性が低下するために、画像欠陥が発生する傾向がある。
【0020】
現像領域部Aを通過して、トナーが選択的に消費された現像スリーブの表面はトナー容器106のトナー溜りへ再回転することによりトナーの再供給を受け、現像領域部Aへ現像スリーブ102のトナー薄層T1面が移送され、繰り返し現像工程が行われる。
【0021】
この画像形成プロセスにおいて、現像スリーブの表面への現像スリーブ内の磁気発生手段103の磁力及び/又は静電気力による付着力と現像スリーブが回転した時に生じる遠心力のバランスにより現像スリーブの表面近傍のトナー層が安定的に形成され続けるかどうかが決まる。さらに、現像スリーブの表面のトナー層をトナー規制部材104の位置を通過する過程でいかに均一にかつ迅速に摩擦帯電させられるかが重要になる。
【0022】
また、高速印刷,高画質化を目指す方向性としては、現像スリーブ102の回転速度を上げる方向や規制部材104と現像スリーブ102の表面とのギャップ幅を狭めてトナー層を薄く規制する方向があるが、いずれの場合もトナー層の安定的形成やトナー層の均一で且つ迅速な帯電という点で技術的課題が多い。
【0023】
例えば、現像スリーブの回転による遠心力と現像スリーブへの付着力のバランスをとる方法としては現像スリーブの表面粗さを粗くして搬送力を上げる方法、現像スリーブ内の磁気発生手段の磁力を上げまた、トナーの磁気力を上げることで現像スリーブへの付着力を挙げる方法がある。いずれの場合も現像スリーブ上に形成されるトナー層が厚くなるため規制による摩擦帯電過程においてトナー層に帯電分布が生じ画質が低下する傾向があることが明らかになった。また、現像スリーブの表面への付着力が大きいために現像スリーブの表面が汚染される現象を招く傾向があることが明らかになった。さらに、厚くなったトナー層を規制部材による規制を強めることで薄いトナー層を形成させる手法をとった場合、規制部分でのトナーにかかるシェアが増大し、特に高速印刷時においてトナーの劣化が促進し、安定的な現像特性を得ることが出来ない傾向があることが明らかとなった。また、これらの傾向は、プリントスピード及びプリントボリウム(単位期間あたりに出力するプリント数)の増加に伴い顕著に現れる傾向がみられた。
【0024】
この様な背景から、本発明者らは、現像スリーブ上のトナー層を安定的に形成させ且つ高速印刷時においても迅速且つ均一に帯電させるためには、単に現像スリーブ上の搬送力を制御することや、静電的な見かけ上の帯電性制御、或いは流動性制御に頼るべきでない。そのため、トナーに使用される構成材料に関して根本から見直しを行い検討を進めた。
【0025】
即ち、本発明は、結着樹脂、及び磁性体を少なくとも含有する負帯電性磁性トナー粒子と、無機微粉末とを少なくとも有する負帯電性磁性トナーを温度25℃で24時間THF溶媒に溶解させた時のTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析において、メインピークのピークトップにおける慣性二乗半径Rtが1.0nm乃至4.2nmであることを特徴の一つとする。
【0026】
トナーを温度25℃で24時間THF溶媒に溶解させた時のTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析における、メインピークのピークトップにおける慣性二乗半径Rtとは、トナー粒子中に存在している結着樹脂成分の分子サイズを示している。このRtを一定の範囲で制御することで、トナー粒子中における結着樹脂成分の分子配向を制御できる。その結果、トナー粒子内の原材料の微分散性を向上することが可能となり、トナー粒子が迅速且つ均一に帯電することが明らかになった。さらに、トナー粒子内の分子配向・原材料の微分散を制御することで交流電界内でのバイアス追従性を大幅に改善出来ることが明らかとなった。
【0027】
慣性二乗半径Rtが1.0nmよりも小さい場合、トナー粒子中における原材料の微分散性が低下しトナー層中の帯電分布が不均一になりやすい。その結果、安定的にトナー層を形成することが困難となり、ブロッチによる画像欠陥が生じる易くなる。一方、慣性二乗半径Rtが4.2nmよりも大きい場合、トナー粒子中における結着樹脂成分の分子が配向しにくくなるため、原材料の微分散性の低下によるトナー粒子の不均一帯電だけではなく、バイアス追従性も低下する。そのため、トナー層を必要なバイアスのみで現像出来にくくなる。一方、過剰な電界をかけてトナーを現像させようとした場合、帯電的に安定なトナー層を形成することが出来なくなり画像欠陥が生じるだけではなく、特に高速印刷時において、カブリやハーフトーンのような画像Dutyの低い画像での濃度ムラが生じやすくなる。
【0028】
以上のように、高速印刷時におけるトナー層の安定形成と帯電の迅速且つ均一性を向上させるためには、従来のようにトナーの原材料微分散性を向上させるだけではなく、トナー粒子中の大部分を占める結着樹脂の分子配向を制御することが非常に重要となる。
【0029】
さらに本発明は、全ピーク面積に占める慣性二乗半径4.2nm以下の割合が60.0〜100.0質量%であることが好ましい。これはトナー全体の分子サイズを表す指標の一つであり、トナー粒子中における結着樹脂成分の全体の配向性を示す非常に重要な指標となる。慣性二乗半径4.2nm以下の割合が60.0〜100.0質量%、好ましくは62.0〜100.0質量%、より好ましくは65.0〜100.0質量%であるとよい。この割合が60.0質量%よりも小さい場合は、トナー粒子中における結着樹脂全体の分子の配向性が低下する傾向となるため原材料の微分散性の低下によるトナー粒子の不均一帯電だけではなく、バイアスに対する追従性も低下する傾向がある。
【0030】
以下に、本発明に係る物性の測定方法を示す。
【0031】
(1)GPC−RALLS−粘度計分析
(i)前処理
試料(トナーの場合0.1g、結着樹脂の場合0.05g)を、THF 10mlとともに20ml試験管に入れる。これを25℃で24時間溶解させる。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ約0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)などが使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。
【0032】
(ii)分析条件
装置 :HLC−8120GPC 東ソー(株)社製
DAWN EOS(Wyatt Technology社製)
高温差圧粘度検出器(Viscotek社製)
カラム:KF−807,806M,805,803(昭和電工社製)の4連カラムの組合せ
検出器1 :多角度光散乱検出器 Wyatt DAWN EOS
検出器2 :高温差圧粘度検出器
検出器3 :ブライス型示差屈折計
温 度 :40℃
溶 媒 :THF
流 速 :1.0ml/min
注入量 :400μl
【0033】
本測定においては、絶対分子量に基く分子量分布及び慣性二乗半径、固有粘度が、直接出力されるが、その測定理論は以下の通りである。
【0034】
[測定理論]
90=R(θ90)/KC・・・レイリー方程式
90:90°における分子量
R(θ90):散乱角90°でのレイリー比
K:光学定数(=2π22/λ04A・(dn/dc)2
C:溶液濃度
g=(1/6)1/2([η]M90/Φ)1/3・・・Flory Fox式
g:慣性半径
η:固有粘度
Φ:形状要素
絶対分子量:M=R(θ0)/KC
R(θ0)= R(θ90)/P(θ90
P(θ90)=2/X2・(e-X−(1−X)) (X=4πn/λ・Rg
λ:波長
【0035】
ここで(dn/dc)値は、ポリエステル樹脂のみ含有トナーでは0.078ml/g、直鎖ポリスチレンでは0.185ml/gとし、ハイブリット樹脂含有トナーの場合はポリエステル樹脂の含有比率から計算して求めた。例えば、ポリエステル樹脂が80%含有するハイブリッド樹脂の場合は0.089ml/gとなる。
【0036】
さらに、本発明のトナーは、上述したように分子の配向がなされた負帯電性磁性トナー粒子を水中に分散させた時のその上澄み液のpHにおけるトナー粒子とのゼータ電位の差が70mV以下である無機微粉末を、遊離率が15%以下となるようにトナー粒子表面に存在させることを特徴の一つとする。
【0037】
負帯電性磁性トナー粒子を水中に分散させた時の上澄み液のpHにおける負帯電性磁性トナー粒子のゼータ電位とは、そのトナー粒子の粉体のpHにおける表面電荷密度を表している。従って、本発明においてはトナー粒子の表面の表面電荷密度とほとんど等価の表面電荷密度を持つような無機微粉末を使用することを意味する。このような無機微粉末を遊離させることなくトナー粒子表面に存在させることで、現像バイアスを印加させた時のトナーの電界中での挙動をよりスムーズなものとすることが可能となる。
【0038】
負帯電性磁性トナー粒子と無機微粉末のゼータ電位の差が70mVよりも大きい場合、これはトナー粒子表面と無機微粉末表面の電荷密度に差があることを意味する。即ち、トナー粒子と無機微粉末の電界中での挙動に違いが生じるため、分子レベルで配向させることでバイアス追従性を向上させたトナー粒子の効果を打ち消す方向に作用する。その結果、トナー粒子の不均一帯電だけではなく、バイアスに対する追従性も低下しトナー層を必要なバイアスのみで現像できなくなる。一方過剰な電界をかけてトナーを現像させようとした場合、帯電的に安定なトナー層を形成することが出来なくなり画像欠陥が生じるだけではなく、特に高速印刷時において、カブリやハーフトーンのような画像Dutyの低い画像での濃度ムラが生じやすくなる。さらに、電界中での挙動が異なるため、無機微粉末のみが現像容器内に蓄積し現像スリーブの表面を汚染する。その結果、安定的にトナー層を形成することが出来なくなり、ブロッチによる画像欠陥が発生する傾向がある。
【0039】
また、このような無機微粉末の遊離率が15%よりも大きい場合、これはトナー粒子と無機微粉末が別々に存在していることを意味する。これは現像スリーブの表面に帯電特性の異なる2種類の粒子が別々に存在していることを意味することからトナーの帯電に分布が生じ画質が低下する傾向がある。
【0040】
以上、述べてきたように特に高速印刷時におけるトナー層の安定形成を達成するためには、トナーの帯電性を粒子レベルで制御する必要があることが明らかになった。即ち、トナー粒子内の分子配向性を向上させるだけでも、無機微粉末の表面状態及び存在状態を制御するだけでも不十分であり、両方の技術を併せ持って初めてその効果を発現することが出来る。さらに、このようなトナーを効果的に用いるためには電界中のトナーの挙動を制御することが非常に重要であり、上述したように電界強度,周波数を制御することで非常に効果的にトナーの挙動をコントロールできることが本発明により明らかになった。
【0041】
以下に本発明で測定したゼータ電位の測定方法を示す。
【0042】
トナー粒子及び無機微粉末のゼータ電位は、超音波方式ゼータ電位測定装置DT−1200(Dispersion Technology社製)を用いて測定を行った。分散液として純水を用い、トナー粒子及び無機微粉末の0.5Vol%水溶液を調製した。必要に応じてゼータ電位に影響を及ぼさないノニオン系の分散剤を粒子濃度に対して0.4質量%添加後、超音波分散機にて3分間分散させた後、約10分間脱泡しながら攪拌し分散液とした。トナー粒子の測定時に上澄みのpHを同時に25℃で測定を行った。無機微粉末を測定する際にこの分散液を必要に応じて1N HClまたは1N KOHで滴定し、トナー粒子の上澄みのpH値に調整し、上記装置を用いてゼータ電位を測定した。
【0043】
(1)無機微粉末のトナー粒子からの遊離率の測定
本発明における無機微粉末のトナー粒子からの遊離率は、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定した。測定は、キャリアガス及びプラズマガスとして0.1%酸素含有のヘリウムガスを用い、調湿した試料を試料セルに採取後、温度23℃,湿度60%の環境下で行った。この時、チャンネル1でトナー粒子を構成する原子の代表としての炭素原子(測定波長247.86nm)の発光を観測し、チャンネル3で無機微粉末を構成する原子(例えば、無機微粉末として酸化アルミニウムを用いる場合には“アルミニウム原子”、この場合の測定波長は396.15nm)(但し、チャンネル3で観測する原子は任意に選択出来る)の発光を観測し、1回のスキャンで炭素原子の発光数が1000〜1400個となるように試料の量を調整し、炭素原子の発光数が総数で1万〜2万個となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算した。
【0044】
尚、チャンネル3で観測する原子がアルミニウム原子でない場合、各原子に応じた発光の観測波長は、装置付属のマニュアルに従う。
【0045】
また、データの解析ソフトとして装置付属の「トナー解析ソフトPt toner Ver2.20」を用い、ノイズカットレベル:1.50V,ソート時間:20digitsに設定して解析を行い、同期カウント数(炭素原子と同期して発光したチャンネル3で観測した原子のカウント数)と非同期カウント数(炭素原子と同期して発光しなかったチャンネル3で観測した原子のカウント数)を得た。その結果から、下記式を用いて計算し、トナー粒子からの遊離率を算出した。
遊離率(%)={非同期カウント/(非同期カウント+同期カウント)}×100
【0046】
また、試料セルへのトナーの採取は以下のようにして行った。
【0047】
トナー吸引装置(例えばローボリュームサンプラー[LV1000]横河電機(株)製)を用いて、吸引速度4L/minで、フィルター(例えば、ニュークリポア・メンブレンフィルター0.4μm)を装着した装置付属の試料セルにトナーを採取した。なお、その際トナー吸引用チューブとして約5cmに切断したタイゴンチューブ[R−3603](内径6.35mm)[SAINT−GOBAIN社製]を使用した。
【0048】
また、本発明のトナーは体積基準のメジアン径(D50)が0.70〜3.00μmの無機微粉末を有することが好ましく、より好ましくは0.70〜2.00μm、特に好ましくは0.70〜1.50μmである。D50が0.70よりも小さい場合、トナー粒子同士の接触頻度を低減させにくい。その結果、トナーが1粒子単位で挙動しにくくなるため粒子単位の帯電制御が困難となり帯電分布が不均一となりやすい。その結果、高速印字時において画質の低下を引き起こす傾向がある。さらに、高速でのジャンピング現像時における電界印加時に穂立ちが容易にほぐれにくくなるため、静電荷像上のトナーの載り量(ライン高さ)が多くなる。その結果、特に高速の現像システムにおいて転写による飛び散りが増加する傾向がある。また、D50が3.00μmよりも大きい場合、トナー粒子からの遊離が増加する傾向が生じる。これは現像スリーブの表面に帯電特性の異なる2種類の粒子が別々に存在していることを意味することからトナーの帯電に分布が生じ画質が低下する傾向がある。
【0049】
本発明の無機微粉末の粒度分布の測定は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA製)により測定したものである。測定方法としては、分散媒となるイオン交換水100mlに無機微粉末サンプルを、例えば約30mg入れ、この分散液を超音波分散機で1分間処理し、分散液とする。この分散液をサンプル濃度が透過率80%前後になるように測定セルに滴下する。無機微粉末と水の相対屈折率を無機微粉末の種類に応じ設定して、前記測定装置を使用し無機微粉末の体積基準の粒度分布を測定して、メジアン径(D50)を求める。
【0050】
また、本発明で用いられる磁性体は誘電体である磁性酸化鉄であることが好ましい。磁性酸化鉄を用いることで、トナー粒子の表面抵抗を無機微粉末の表面抵抗と同等にすることが可能となる。その結果、トナー粒子表面と無機微粉末の間の電荷の授受が行い易くなり電界を印加した時のバイアス追従性が向上する。
【0051】
これらの磁性体は795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力1.6〜12.0kA/m飽和磁化、50〜150Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが好ましい。磁性材料の磁気特性は、25℃,外部磁場769kA/mの条件下において振動型磁力計、例えばVSM P−1−10(東英工業社製)を用いて測定することができる。
【0052】
また、本発明の磁性体の個数平均粒子径としては、0.05〜0.60μmが好ましく、更に好ましくは0.10〜0.40μmが良い。
【0053】
磁性体としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライトの如き酸化鉄が特に好ましい。また、本発明の磁性体はトナー粒子中への微分散性を向上させる目的で、製造時のスラリーにせん断をかけ、磁性体を一旦ほぐす処理を施すことが好ましい。
【0054】
本発明においてトナーに含有させる磁性体の量は、結着樹脂100質量部に対して20乃至110質量部が好ましく、より好ましくは40乃至100質量部である。
【0055】
本発明に使用される結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエ−テル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。
【0056】
本発明においては、トナー粒子中における分子配向を効果的に制御するという点で、結着樹脂は分子サイズ制御が容易で且つ他原材料との親和性を向上させる官能基を導入しやすい線状ポリエステル樹脂,ポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットが化学的に結合したハイブリッド樹脂が好ましい。
【0057】
本発明に用いられるポリエステル樹脂の成分は以下の通りである。
【0058】
2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、2、3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:
【0059】
【化1】

(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)、
および式(2)で示されるジオール類。
【0060】
【化2】

【0061】
これら中でも、トナー粒子内の帯電制御の点で脂肪族アルコールが好ましく、特にネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
【0062】
2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル。特にテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
【0063】
さらに、本発明に用いられるハイブリッド樹脂のポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットの混合比は50/50質量比以上であることが好ましい。ポリエステルユニットが50質量%より少ない場合には他の原材料との親和性が低下しトナー中の原材料微分散性が低下する傾向がある。
【0064】
また、該結着樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPCによるピーク分子量Mptが5000〜10000、重量平均分子量Mwtが5000〜300000、重量平均分子量Mwtと数平均分子量Mntとの比Mwt/Mntが5〜50であることが好ましい。Mpt、Mwtが小さく分布がシャープである場合には、高温オフセットが発生しやすい。また、Mpt、Mwtが大きく分布がブロードである場合には、低温定着性が低下する。
【0065】
また、該結着樹脂のガラス転移温度は、定着性及び保存性の観点から45〜60℃、より好ましくは45〜58℃が良い。
【0066】
また、これらの樹脂は軟化温度の異なる2種類の樹脂を混合して使用しても良い。
【0067】
以下に本発明で用いられる結着樹脂中のポリエステルユニットに用いられるモノマーについて説明する。
【0068】
該ポリエステル樹脂に用いられる脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、及びこれらの誘導体及びそれらの酸無水物が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール。
【0069】
3価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル。3価以上の多価アルコールとしては、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールが挙げられる。好ましくは1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物である。
【0070】
次に結着樹脂に用いられる2価のアルコール成分としては、前述の脂肪族ジオールの他に水素化ビスフェノールA、又は下記式(A)で示されるビスフェノール誘導体、及び下記式(B)で示されるジオール類が挙げられる。
【0071】
【化3】

(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
【0072】
【化4】

【0073】
2価のカルボン酸としては、前述の脂肪族ジカルボン酸の他にフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如き芳香族ジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。
【0074】
本発明の結着樹脂に用いられるビニル系共重合ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては次のようなスチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーが挙げられる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体。
【0075】
アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸及びアクリル酸エステル類や、
メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸及びそのエステル類や、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体。
【0076】
さらに、ビニル系共重合ユニットのモノマーとしては、以下のものが挙げられる。2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシル基を有するモノマー。
【0077】
ビニル系共重合ユニットには、ビニル重合が可能な種々のモノマーを必要に応じて併用することができる。このようなモノマーとしては、以下のものが挙げられる。エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類:ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;
N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;
マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和塩基酸エステル;
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸の酸無水物;該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー。
【0078】
また、前記ビニル系共重合ユニットは、必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。架橋性モノマーとしては以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物、アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、ポリエステル型ジアクリレート類、及び多官能の架橋剤。
【0079】
芳香族ジビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられる。
【0080】
アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。
【0081】
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、以下のものが挙げられる。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。
【0082】
芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、以下のものが挙げられる。ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。ポリエステル型ジアクリレート類としては、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
【0083】
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
【0084】
これらの架橋性モノマーは、他のモノマー成分100質量%に対して、0.01〜10質量%(さらに好ましくは0.03〜5質量%)用いることができる。またこれらの架橋性モノマーのうち、定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)や、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0085】
前記ビニル系共重合ユニットは、重合開始剤を用いて製造された樹脂であっても良い。これらの開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05〜2質量部で用いるのが好ましい。
【0086】
このような重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロビルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート。
【0087】
本発明における結着樹脂としてより好ましく用いられるハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニット及びビニル系共重合ユニットが直接又は間接的に化学的に結合している樹脂である。ハイブリッド樹脂を得る方法としては、ポリエステルユニットの原料モノマーとビニル系共重合ユニットの原料モノマーを同時に、もしくは順次反応させることにより得ることができる。
【0088】
本発明においては、トナーに離型性を与えるために必要に応じてワックスを用いることができ、該ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
【0089】
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;
長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;
エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);
脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
【0090】
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;
高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したもの。
【0091】
前記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素がその分子量分布からも好ましい。
【0092】
例えば、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200 (三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)。
【0093】
該離型剤を添加するタイミングは、トナー製造中の溶融混練時において添加しても良いが結着樹脂製造時であっても良く、既存の方法から適宜選ばれる。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用しても良い。
【0094】
該離型剤は結着樹脂100質量部に対して1乃至20質量部添加することが好ましい。1質量部未満の場合は望まれる離型効果が十分に得られにくい。20質量部を超える場合はトナー粒子中での分散も悪く、感光体へのトナー付着や、現像部材・クリーニング部材の表面汚染が起こりやすく、トナー画像が劣化しやすい。
【0095】
本発明のトナーには、その帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることができる。電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1〜10質量部含まれることが好ましく、0.1〜5質量部含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、有機金属錯体、キレート化合物が有効である。その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩が挙げられる。その他にも、トナーを負帯電性に制御するものとしては、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。
【0096】
使用できる具体的な例としては、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89 (オリエント化学社)があげられる。また、電荷制御樹脂も用いることができ、上述の電荷制御剤と併用することもできる。
【0097】
また本発明のトナーにおいては、トナー粒子表面への流動性付与能が高い、一次粒子の個数平均粒径のより小さいBET比表面積が50〜300m2/gの流動性向上剤を使用しても良い。該流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものならば使用可能である。例えば、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、それらシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0098】
また、この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって得られたシリカと他の金属酸化物の複合微粉体でも良い。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0099】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0100】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることが好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30乃至80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0101】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物としては、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0102】
該無機微粉体は、シリコーンオイル処理されても良く、また、上記疎水化処理と併せて処理されても良い。
【0103】
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30〜1000mm2/sのものが用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。
【0104】
シリコーンオイル処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;べースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で温度200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
【0105】
好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
【0106】
本発明においては、シリカをあらかじめ、カップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、または、シリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものが好ましい。
【0107】
流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0108】
本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
【0109】
滑剤としては、ポリ弗化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。これらの外添剤はヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分混合し本発明のトナーを得ることができる。
【0110】
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行い、更に必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることが出来る。
【0111】
本発明のトナーに係る物性の測定方法は以下に示す通りである。後述の実施例もこの方法に基づいている。
【0112】
(1)GPCによる分子量分布の測定
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。例えば、東ソー社製TSK標準ポリスチレン(F−850,F−450,F−288,F−128,F−80,F−40,F−20,F−10,F−4,F−2,F−1,A−5000,A−2500,A−1000,A−500)を使用することが出来る。
【0113】
また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができる。
【0114】
また、試料は以下のようにして作製する。
【0115】
試料をTHF中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ約0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分が5mg/mlとなるように調整する。
【0116】
(2)結着樹脂及びトナーのガラス転移温度の測定
測定装置:示差走査型熱量計(DSC)、MDSC−2920(TA Instruments社製)
ASTM D3418−82に準じて測定する。
【0117】
測定試料は2〜10mg、好ましくは約3mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いて、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下測定を行う。2回目の昇温過程で得られる、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線をもって解析を行う。
【実施例】
【0118】
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。実施例中の部数は質量部である。
【0119】
<結着樹脂a−1の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 25.0mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 25.0mol%
テレフタル酸: 33.0mol%
無水トリメリット酸: 6.5mol%
ドデセニルコハク酸: 7.5mol%
フマル酸:3.0mol%
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒と共に4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス(N2ガス)導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着して窒素雰囲気下にて温度135℃で攪拌した。そこに、ビニル系共重合モノマー(スチレン:82mol%と2−エチルヘキシルアクリレート:16mol%)と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2mol%を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、温度135℃で5時間反応した後、重縮合時の反応温度を230℃に昇温して縮重合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂a−1を得た。
【0120】
この結着樹脂a−1の諸物性については表1に示した通りである。
【0121】
<結着樹脂a−2の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 27.0mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 25.0mol%
テレフタル酸: 33.0mol%
無水トリメリット酸: 5.5mol%
ドデセニルコハク酸: 7.5mol%
フマル酸: 2.0mol%
上記ポリエステルモノマーを結着樹脂a−1と同様の製法にて結着樹脂a−2を得た。
【0122】
この結着樹脂a−2の諸物性については表1に示した通りである。
【0123】
<結着樹脂a−3の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 24.0mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 25.0mol%
テレフタル酸: 32.0mol%
無水トリメリット酸: 6.5mol%
アジピン酸: 9.5mol%
フマル酸: 3.0mol%
上記ポリエステルモノマーを結着樹脂a−1と同様の製法にて結着樹脂a−3を得た。
【0124】
この結着樹脂a−3の諸物性については表1に示した通りである。
【0125】
<結着樹脂a−4の製造例>
テレフタル酸 30mol%
トリメリット酸 6mol%
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 35mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 29mol%
上記ポリエステルモノマーを結着樹脂a−1と同様の製法にて結着樹脂a−4を得た。
【0126】
この結着樹脂a−4の諸物性については表1に示した通りである。
【0127】
<結着樹脂a−5の製造例>
シクロヘキサンジメタノール: 40.8mol%
ネオペンチルグリコール: 18.8mol%
テレフタル酸: 33.8mol%
イソフタル酸: 6.6mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂a−5を得た。これらの樹脂の諸物性については表1に示した通りである。
【0128】
<結着樹脂a−6の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 45.8mol%
テレフタル酸: 33.8mol%
無水トリメリット酸: 12.8mol%
イソフタル酸: 5.6mol%
フェノールノボラックEO付加物: 2.0mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂a−6を得た。これらの樹脂の諸物性については表1に示した通りである。
【0129】
<結着樹脂a−7の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 25.0mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 25.0mol%
テレフタル酸: 37.2mol%
無水トリメリット酸: 12.8mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂a−7を得た。これらの樹脂の諸物性については表1に示した通りである。
【0130】
<結着樹脂(a−8L)の製造例>
四つ口フラスコ内にキシレン300部を投入し、攪拌しながら容器内を充分に窒素で置換した後、昇温して還流させた。
【0131】
この還流下で、スチレン76部,アクリル酸−n−ブチル24部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持し重合を完了し、低分子量重合体溶液(a−8L)を得た。
【0132】
<結着樹脂(a−8H)の製造例>
四つ口フラスコ内にキシレン300部を投入し、攪拌しながら容器内を充分に窒素で置換した後、昇温して還流させた。
【0133】
この還流下で、スチレン73部,アクリル酸−n−ブチル27部,ジビニルベンゼン0.005部及び2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.8部の混合液を4時間かけて滴下した。全てを滴下した後、2時間保持し重合を完了し、結着樹脂(a−8H)溶液を得た。
【0134】
<結着樹脂a−8の製造>
四つ口フラスコ内に、上記低分子量成分(a−8L)のキシレン溶液200部(低分子量成分30部相当)を投入し、昇温して還流下で攪拌した。一方、別容器に上記高分子量成分(a−8H)溶液200部(高分子量成分70部相当)を投入し、還流させた。上記低分子量成分(a−8L)溶液と高分子量成分(a−8H)溶液を還流下で混合した後、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕し結着樹脂a−8を得た。この結着樹脂の諸物性については表1に示した通りである。
【0135】
[実施例1]
・結着樹脂a−1 70部
・結着樹脂a−4 30部
・磁性酸化鉄粒子(平均粒径0.15μm、Hc=11.5kA/m、σs=88Am2/kg、σr=14Am2/kg) 70部
フィッシャートロプシュワックス(融点:101℃) 4部
荷電制御剤−b−1(構造式は後述) 2部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。
【0136】
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径5.9μmの負帯電性の磁性トナー粒子を得た。磁性トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体1[BET比表面積150m2/g、シリカ微粉体100部に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部及びジメチルシリコーンオイル10部で疎水化処理]を1.0部と無機微粉末として酸化チタン微粉体(D50:0.3μm)を0.2部、及びチタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm)3.0部を外添混合し目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。トナーの処方及び物性値を表2に記す。
【0137】
このトナー1を、市販のデジタル複写機(IR−6570 キヤノン製)を1.5倍のプリントスピードに改造し、電界強度:3.1×106V/M、周波数2700Hzになるように現像バイアスを調整し、温度23℃,湿度5%RHの環境(N/L)と温度23℃,湿度60%RHの環境(N/N)と温度32℃,湿度80%RHの環境(H/H)で印字比率1%のテストチャートを用いて、20万枚の連続プリント試験を行った。また、市販のデジタル複写機(IR−7105B キヤノン製)のドラム部を外部へ取り出し、複写機外でも動作し、周波数,Vpp,現像バイアス,ドラム電位,プロセススピードを任意に設定可能になるように改造した消費系空回転機を用い、現像スリーブのコート性の評価を行った。現像スリーブのコート性,摩擦帯電の立ち上がり,トナー劣化,現像スリーブの汚染の評価はプロセススピードを800mm/secで印字比率1%の画像を通紙した条件に相当する条件で空回転することにより評価した。その評価結果を表3,4,5に示す。
【0138】
現像スリーブのコート性については、空回転1時間後のスリーブ上の状態を目視で評価した。
A(良):コートが乱れることなく安定に形成されている
B(可):スリーブの一部にコート層の乱れは見られるものの画像に出るレベルではない
C(悪い):スリーブ全体にコート層が乱れ画像にも出るレベルである
【0139】
摩擦帯電の立ち上がり、トナー劣化、現像スリーブの汚染の評価は空回転試験の時間ごとの現像スリーブ上の摩擦帯電量を測定することで評価した。摩擦帯電の立ち上がりは、空回転5秒後と1分後の摩擦帯電量の差を測定し、トナー劣化は1分後と1時間後の差を測定し、現像スリーブの汚染は1時間後と1時間後に測定した部分をシルボン紙で清掃し再度10秒間空回転した時の摩擦帯電量との差を評価した。
A:スリーブ上の帯電量の差が±5mC/kg以内である
B:スリーブ上の帯電量の差が±5〜10mC/kgである
C:スリーブ上の帯電量の差が±10mC/kgを超える
【0140】
画像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度測定を行い、5mm角の画像を測定した。カブリは反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて行い、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Ds−Drをカブリ量としてカブリの評価を行った。数値の少ない方がカブリ抑制が良い。これらの評価を、初期、200000枚時に行った。
【0141】
[実施例2〜8]
表3に記載の処方で実施例1と同様に樹脂,荷電制御剤,無機微粉末を変更し、トナーNo2〜8を作成した。実施例2及び4については疎水性シリカ微粉体2(BET比表面積240m2/g、シリカ微粉体100部に対しヘキサメチルジシラザン20部で疎水化処理)を用いた。このようにして得られた物性値を表2に示し、表2に記載の電界強度,周波数で同様の試験をした結果を表3、4、5に示す。
【0142】
[比較例1〜7]
表3に記載の処方で実施例1と同様に樹脂,荷電制御剤,無機微粉末を変更し、トナーNo9〜13を作成した。比較例7については疎水性シリカ微粉体2(BET比表面積240m2/g、シリカ微粉体100部に対しヘキサメチルジシラザン20部で疎水化処理)を用いた。このようにして得られた物性値を表2に示し、表2に記載の電界強度,周波数で同様の試験をした結果を表3、4、5に示す。
【0143】
なお、荷電制御剤−b−1、b−2、b−3の構造は下記の通りである。
【0144】
【化5】

【0145】
【表1】

【0146】
【表2】

【0147】
【表3】

【0148】
【表4】

【0149】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の磁性トナーを用いて画像形成を行うのに好適な画像形成装置の一例を示す該略図である。
【符号の説明】
【0151】
101:感光体
102:現像スリーブ
103:磁気発生手段
104:トナー規制部材
105:トナー攪拌部材
106:現像容器
A:現像領域
T1:トナー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に静電荷像を形成し、ピークトゥピークの電界強度が1.5×106乃至7.0×106V/mであり、周波数が2000乃至4000Hzである交流電界を、現像バイアスとして現像スリーブに印加し、静電荷像を現像スリーブ上のトナーによって現像してトナー像を形成し、静電荷像担持体上のトナー像を中間転写材を介し、又は介さずに転写材へ転写し、転写材上のトナー像を熱定着手段によって定着する画像形成方法に使用されるトナーであって、
該トナーは結着樹脂、及び磁性体を少なくとも含有する負帯電性磁性トナー粒子と、無機微粉末とを少なくとも有する負帯電性磁性トナーであり、該トナーを温度25℃で24時間THF溶媒に溶解させた時のTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析において、メインピークのピークトップにおける慣性二乗半径Rtが1.0nm乃至4.2nmであり、該負帯電性磁性トナー粒子を水中に分散させた時のその上澄み液のpHにおける該トナー粒子と該無機微粉末のゼータ電位の差が70mV以下であり、該無機微粉末の遊離率が15%以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
該無機微粉末が体積基準のメジアン径(D50)が0.7乃至3.0μmであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
少なくとも静電荷像を担持するための静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に静電荷像を形成し、ピークトゥピークの電界強度が1.5×106乃至7.0×106V/mであり、周波数が2000乃至4000Hzである交流電界を、現像バイアスとして現像スリーブに印加し、静電荷像を現像スリーブ上のトナーによって現像してトナー像を形成し、静電荷像担持体上のトナー像を中間転写材を介し、又は介さずに転写材へ転写し、転写材上のトナー画像を熱定着手段によって定着する画像形成方法であって、該トナーが請求項1又は2に記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−145488(P2008−145488A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329235(P2006−329235)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】