説明

トラック床板の自動加工装置

【課題】トラックの床板張り作業において、ねじ締めを自動的・機械的に行い、作業の効率化及び安全性並びに仕上がり品質の向上を図ること。
【解決手段】(1)回転式架台8の短軸全域をまたぐよう門型に形成される門型架台1の上方に、(2)水平駆動機構を有するロボ架台2を取り付け、(3)かかるロボ架台2にワーク3を介して二機のねじ締めユニット4a,4bを水平移動自在に設置し、(4)一方回転式架台8の地面接地部は長軸方向に任意移動自在である機構を装備する、以上のように構成されるトラック床板の自動加工装置であって、(5)二機のねじ締ユニット4a,4bに、それぞれねじ供給装置5、ねじ締制御機6及びねじ送りホース7を装備し(6)回転式架台8の地面接地部にキャスター13aを取り付け、当該キャスターがガイドレール13bに組み合わされ、かつ回転式架台8が動力駆動力により長軸方向に自在に移動出来るよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック又は車両の床板の組み立て作業において、床板のねじ締加工作業を自動的に行えるよう改良した装置に関する。実施態様として、回転式架台の短軸全域をまたぐよう形成される門型架台の上方にロボ架台を取り付け、かかるロボ架台上に水平スライド機構(ワーク)を介して二機のねじ締ユニットを対称的位置に搭載し、一方加工対象床板を載せる回転式架台はその地面接地部に長軸方向に任意移動自在であるよう駆動機構を装備して構成されるトラック床板の自動加工装置である。本発明の利用により、床板の組み立て作業を自動機械化することが出来、効率的かつ安全性に優れたトラック床板の自動加工装置を提供できる。
【背景技術】
【0002】
トラック又は車両の床板の組み立て作業は、空車体(シャーシ)に予め別工程により縦根太と横根太を取り付け、それらの根太上に床板を取り付ける。床板の枚数は、車体の大きさにもよるが、10トン平ボディー車の場合、幅15〜16cm、長さ9〜9.5m、厚さ22mm大のものを横根太1本当たり30−32本必要とする。横根太1本当たりのねじ締作業は約30本であるから、1車両当たりのそれは900〜1000箇所となる。これらの作業は全て人手作業に頼っているのか現状であり、普通2人で2−3日所要すると算定される。かかる作業は、人力に頼る作業であるため効率性に乏しい。また床板取り付け均一性の保持に乏しく、打ち込みにかなりの力を要し、ドリルの連続振動による腱鞘炎等の危険度も高い難作業(3K作業)である。かかる作業に対して、車両における当該床板張り作業を自動化した例は公知となっておらず、先願もない。わずかに建築作業において類似目的のため、床パネルを自動釘打ちする装置の次記先願が知られる。特願平06−081349号。ただ当該出願は、床板自体がコンベア上を移動すること、釘打ち機は所定位置に固定されること、床パネルの枠材への取り付け位置をセンサー検出し、コンピューター記憶により作業進行するとしていること等から本発明とは異なる技術内容と考えられる。
【特許文献1】特願平06−081349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以下の課題を解決するためなされたものである。(a)回転式架台上の根太を所定位置に位置決めし、床板のねじ締固定作業を自動機械的に行い、自動化による作業の効率化で、時間短縮、労力の軽減及び安全性の向上を図ること。(b)ねじ穴を開け次にねじを締める二段の作業は、効率が悪いことから、穴開け−ねじ締めを一連化した作業が出来るよう工夫すること。(c)回転式架台の長軸方向への移動も人力と精密さの要る作業であることから、門型架台の地面接地部に動力駆動機構を配備し、長軸方向移動時の人手労力を軽減すること。(d)正確に位置決めが出来、しかも出来上がり品質はばらつき少なく、整列美麗であるようようにすること。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以上のような課題を解決するために下記の手段により解決される。(1)門型架台を回転式架台の短軸全域をまたぐよう門型に形成する。(2)門型架台上にロボ架台を取り付け、かかるロボ架台上に水平スライド機構(ワーク)を取り付ける。(3)二機のねじ締ユニットを、当該ワーク上に対称的な位置に装備(搭載)する。従って、ねじ締めユニットはワークの動きに連動して短軸水平方向に移動自在に装備されたことになる。(4)二機のねじ締ユニットには、それぞれねじ供給装置、ねじ締め制御機及びねじ送りホースが装備される。ねじ供給機及びねじ締め制御機には電源ケーブル、信号線、エアーライン等を適宜付帯させる。(5)回転式架台は、その地面接地部にキャスターを取り付け、当該キャスターがガイドレールに組み合わされ、かつ回転式架台が動力駆動力により長軸方向に移動自在であるように構成する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、その課題を解決し以下の効果がある。(A)床板の穴あけ及びねじ締作業を自動的・機械的に行うことが可能で、自動化による作業の大幅な効率化が図れる。従来の人力に比べ同じ作業を約1/6の労力(時間・人員を含め)で行うことが可能である。
(B)人手労力の軽減とあわせて作業安全の向上、(たとえば腱鞘炎にかかる作業危険度の排除等)が図れる。(C)長軸方向への移動は機械式で行われるから、人力が要らず作業がより効率的である。(D)出来上がりは、整列が正確で美しい床板が出来る。(出来上がり品質の向上)
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態について、以下図面を見ながら説明する。(1)本発明は第1図に示すように、門型架台1を回転式架台8の短軸方向全域をまたぐように構成する。(2)当該門型架台1の上方にロボ架台2を取り付ける。かかるロボ架台2に、第2図に示すように、水平駆動機構(ワーク)3を介して二機のねじ締ユニット二機4a、4bを対称的な位置に搭載する。こうしてねじ締ユニット4a,4bはワーク3の動きに連動して短軸水平方向に移動自在に取り付けられる。(3)回転式架台8は、第3図に示すように、その地面接地部にキャスター13aを取り付け、当該キャスターがガイドレール13bに組み合わされ、回転式架台8が動力駆動力により長軸方向に移動自在であるように構成される。またアンカーボルト固定器15を備え、移動しない場合の固定を確実にする。16は位置決めアングルである。(4)ワーク3は、第4図に示すように、ロボ架台2の上方に、レールの組み合わせにより取り付けられ、駆動軸の駆動力により水平移動を可能とする。ワーク3の上方に、固定板を取り付け、ねじ締ユニット4a、4bが取り付けられる。(5)ねじ締ユニット4a、4bには、第5図に示すように、それぞれねじ供給装置5、ねじ締制御機6及びねじ送りホース7が装備される。さらにねじ供給機5及びねじ締制御機6には電源ケーブル11、信号線・エアーライン等12が適宜付帯して装備される。
【0007】
本発明は、以上のような構成であるからこれを用いる時、(1)回転式架台8をガイドレールに載せ、車体位置操作盤を操作して、回転式架台8の位置(即ち加工床板の作業点)を門型架台1の加工点に適宜調整して進める。(2)ねじ締制御機6を操作して、ワーク3の位置(すなわちねじ締ユニット4a,4bの作業点)を加工すべき床板9の上方に移動する。次いで6を操作してねじ締ユニット4a,4bから取り付けねじ10を繰り出し、床板9を横根太上にねじ留め固定する。(3)部品ねじは、ねじ供給装置5によりねじ締めユニット4a,4bに自動的・連続的に供給される。それらのねじ供給方式は、第6図に示すように、(a)キャッチャ方式6−a図と(b)バキューム方式6−b図がある。方式(a)では、キャッチャが下降すると共にねじを勘合し、締め付け面に2−3周ねじ込み、キャッチャーが開き、締め付けを完了する。方式(b)では、ねじを吸引しながらビットが下降し、ビットがねじを締め付けた後、圧縮空気の作用でビットが上がり、その作動を繰り返す。(4)本発明における作業用ねじは、第7−a図に示すような先端がタップ式、上部2/3がビス式の形状で、穴あけとねじ締めを一連動作で遂行される方式が推奨される。(商標名:JPリーマフレキ頭 BWB45)もちろん従来作業のように、ドリル刃で穴をあけ、次にボルト型ねじで締める方法でも目的は達せられるが、効率は若干劣る。床板と根太を締め付けた場合、7−b図(縦断面図)に示すような状態となる。(5)以上の一連の操作により、短軸方向の床板の取り付け加工作業を終える。(6)次いで、回転式架台8のコントローラーを操作して、別途設けた駆動源で回転式架台8を自動的・機械的に移動させることにより、長軸前後方向の移動を行い、再び短軸方向のねじ締め作業を継続する。(7)床板を組み終えた根太は、回転式架台8を操作して加工部分を移動して、門型架台1より引き出し、クレーン等で吊り上げ、取り付け対象トラック又は車体のシャーシ上部に固定する作業を行い、一連の取り付け工程が完了する。(8)回転式架台8は、回転台を備えており、根太組みの際、その上方に根太を配置し、ハンドルを操作し表面若しくは裏面を略垂直状態に立てかけることが出来、溶接作業を容易に行うことを可能とする。移動若しくは振動が不要な際は、アンカーボルト固定器15で固定される。
【実施例】
【0008】
K社において門型架台1を製作し、その上方にロボ架台2(オリエンタルモーター株
式会社製:EZX機)を搭載し、そのワーク3に二機のねじ締ユニット4a、4b(日東精工株式会社製:FM810C−01)を対称的な位置に搭載し、周辺機器(同社:ねじ締めユニット装置構成部品)をそれぞれ配備した。ねじ供給装置5の方式は、バキューム方式とし、ねじの形状は(商標名:JPリーマフレキ頭 BWB45 日東精工株式会社製)を用いた。回転式架台8は、第3図のように作製し、2対のキャスターを3組取り付け、それをガイドレール13aに載せ、最後方にACサーボモーターを装備し、それを駆動させることにより、長軸前後方向の位置移動調整を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例全体を示す説明図。
【図2】本発明のねじ締ユニットを門型架台に取り付けた側面図
【図3】本発明のロボ架台の本発明の回転式架台のみを示す斜視図。
【図4】4−a図:本発明のロボ架台の拡大要部斜視図.4−b図:本発明のロボ架台の要部縦断面図
【図5】本発明のねじ締ユニットとその付帯装置の構成を示す説明図。
【図6】本発明のねじ締ユニットへねじを供給する二つの方式及び使用ねじの説明図。6−a図:キャッチャ方式 6−b図:バキューム方式
【図7】本発明に用いるビスの形状を示す説明図。7−a図:斜視図。 7−b図:使用時縦断面図。
【符号の説明】
【0010】
1:門型架台
2:ロボ架台
3:ワーク
4a,4b:ねじ締ユニット
5:ねじ供給装置
6:ねじ締制御機
7:ねじ送りホース
8:回転式架台
9:床板
10:ねじ
11:電源ケーブル
12:信号線・エアーライン等
13a:キャスター
13b:レール
14:操作盤
15:アンカーボルト固定器
16:位置決めアングル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式架台の短軸全域をまたぐよう形成される門型架台の上方にロボ架台を取り付け、かかるロボ架台上に水平スライド機構(ワーク)を介してねじ締ユニットをほぼ対称的な位置に二機搭載し、一方加工対象床板を載せる回転式架台はその地面接地部に長軸方向に任意移動自在であるよう駆動機構を装備する、以上のように構成されるトラック床板の自動加工装置。
【請求項2】
二機のねじ締めユニットに、それぞれねじ供給装置、ねじ送りホース及びねじ締め制御機を装備して構成される、特許請求項1に記載するトラック床板の自動加工装置。
【請求項3】
回転式架台の地面接地部にキャスターを取り付け、当該キャスターがガイドレールに組み合わされ、かつ回転式架台は動力駆動により長軸方向に移動自在に構成される、特許請求項1に記載するトラック床板の自動加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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