説明

トラフィック収容方法、回線設計装置、及び、通信システム

【課題】マルチレイヤネットワークにおいて、トラフィック需要量に基づいて光波長パス或いは論理パスの決定とトラフィック収容の決定を行う。
【解決手段】回線設計装置40は、異なる通信ノード100間に発生するトラフィック要求に対するトラフィックを収容させる。回線設計装置40は、トラフィック要求に応じてパケットより大きな単位の光波長パスがトラフィック要求に応じて設定され、トラフィック要求に対応するトラフィックが、光波長パスに収容された場合に、未収容のトラフィック要求の一部或いは全ての中から、既に設定されている光波長パスに収容可能となるトラフィック要求を、予め定められる判定基準に従って検出する該当要求検出部と、未収用のトラフィック要求の一部或いは全てを、設定されている光波長パスへの収容が多くなるように収容する追加収容部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラフィック収容方法、回線設計装置、及び、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいて、IP(Internet Protocol)によるルーティング技術及び光多重伝送による大容量化技術が用いられている。それらの技術を組み合わせた通信システムとして、マルチレイヤネットワークであるIP over OXC (Optical Cross Connect) (WDM)ネットワークがある。
IP over OXC (WDM) ネットワークにおけるトラフィック収容設計については、その最適設計がNP困難な問題であることから、多数の研究が既になされ、様々な手法が提案されている(非特許文献1から3参照)。提案されている手法では、現実的な計算量で収容設計を行うためにヒューリスティックな手法が用いられている。
例えば、非特許文献2(Section IV参照)や非特許文献3で提案されている方法では、始めにトラフィック需要量が大きいものから、マルチレイヤネットワークに収容しようとする。このとき、既に設定されている光波長パス(文献中では"Virtual (Light path) Link")に収容できるのであれば収容し、収容できない場合は新たに光波長パスを設定する。これを繰り返すことでトラフィック収容設計を行うものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Hui Zang, Jason P. Jue, Biswanath Mukherjee "A Review of Routing and Wavelength Assignment Approaches for Wavelength-Routed Optical WDM Networks," SPIE Optical Networks Magazine, vol. 1, no. 1, Jan. 2000.
【非特許文献2】Gangxiang Shen and Rodney S. Tucker "Energy-Minimized Design for IP Over WDM Networks," Journal of Optical Communications and Networking, Vol. 1, Issue 1, pp. 176-186 ,2009.
【非特許文献3】Keyao Zhu, Biswanath Mukherjee "Traffic grooming in an optical WDM mesh network," IEEE J. Sel. Areas Commun., vol. 20, no. 1, pp. 122-133, Jan. 2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トラフィック収容設計を行う際には、トラフィック収容後のネットワークが使用する電力量についての考慮が必要である。そのため、トラフィックの収容の設計を行う際に、消費電力量の観点からも最適化を目指し、最適設計に近いトラフィック収容を実現する手法が必要とされる。これを実現するためには、ネットワーク内の光波長パスの収容効率がよく、使用する光トランスポンダ等の数が少ないことが望ましい。
しかしながら、従来のトラフィック収容設計法では、トラフィック容量を収容することを判定基準としていることから、より大きなトラフィック容量から順に収容することは可能であるが、実際に収容される収容効率を考慮したものではなかった。そのため、光波長パスには、収容されない空き領域が発生することから、収容効率が低下するという問題が生じる。この収容効率の低下により、通信設備の利用効率が低下することから、無駄な設備が必要となり消費電力が増加する。
本発明は、マルチレイヤネットワークにおいて、トラフィック収容効率を高めることができるトラフィック収容方法、回線設計装置、及び、通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上述した課題を解決するために、本発明は、複数の通信ノードを備える通信システムにおけるトラフィック収容方法であり、交換されるデータの単位を定める基本データ単位より大きな交換データ単位を単位として、異なる通信ノード間に発生するトラフィック要求に対するトラフィックのトラフィック収容方法であって、前記基本データ単位より大きな交換データ単位が前記トラフィック要求に応じて設定され、前記トラフィック要求に対応するトラフィックが前記交換データ単位に収容された場合に、未収容のトラフィック要求の一部或いは全ての中から、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を、予め定められる判定基準に従って検出する該当要求検出ステップと、前記未収用のトラフィック要求の一部或いは全てを、前記設定されている交換データ単位中への収容が多くなるように収容する追加収容ステップと、を有することを特徴とするトラフィック収容方法である。
【0006】
(2)また、本発明は、上記発明において、前記該当要求検出ステップにおいて、前記トラフィック要求に対応して設定された前記交換データ単位の容量において、該交換データ単位と、他の交換データ単位とを組み合わせることにより、それぞれの空き容量を用いて収容可能となるトラフィック量が最も大きくなるトラフィック要求を、前記未収用のトラフィック要求の中から検出することを特徴とする。
【0007】
(3)また、本発明は、上記発明において、前記該当要求検出ステップにおいて、前記トラフィック要求に対応して設定された前記交換データ単位の容量において、該交換データ単位と、他の交換データ単位とを組み合わせることにより、それぞれの空き容量を用いて収容可能となるトラフィック要求のトラフィック量を、既に収容されているトラフィック要求のトラフィック量に加算した値が、最も大きくなるトラフィック要求を、前記未収用のトラフィック要求の中から検出することを特徴とする。
【0008】
(4)また、本発明は、上記発明において、前記該当要求検出ステップにおいて、前記トラフィック要求の内、前記要求トラフィック量の値が大きいものを先に判定する前記判定基準に従って、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を検出することを特徴とする。
【0009】
(5)また、本発明は、上記発明において、前記該当要求検出ステップにおいて、前記トラフィック要求の内、前記要求トラフィック量の値から、該値に対応し、該値を超えない最大の前記交換データ単位が収容可能なトラフィック量の値を減算した値が大きくなるものを先に判定する前記判定基準に従って、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を検出することを特徴とする。
【0010】
(6)また、本発明は、上記発明において、前記既に設定されている前記交換データ単位は、新たに設定された前記交換データ単位と、前記新たに設定された交換データ単位が設定される前に設定されている前記交換データ単位とを含むことを特徴とする。
【0011】
(7)また、本発明は、複数の通信ノードを備える通信システムにおけるトラフィック収容方法であり、交換されるデータの単位を定める基本データ単位より大きな交換データ単位を単位として、異なる通信ノード間に発生するトラフィック要求に対するトラフィックを収容させる回線設計装置であって、前記トラフィック要求に応じて基本データ単位より大きな交換データ単位が前記トラフィック要求に応じて設定され、前記トラフィック要求に対応する前記トラフィック要求が、前記交換データ単位に収容された場合に、未収容のトラフィック要求の一部或いは全ての中から、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を、予め定められる判定基準に従って検出する該当要求検出部と、前記未収用のトラフィック要求の一部或いは全てを、前記設定されている交換データ単位中への収容が多くなるように収容する追加収容部と、を備えることを特徴とする回線設計装置である。
【0012】
(8)また、本発明は、交換されるデータの単位を定める交換データ単位の大きさに応じて分類される通信装置を含めて構成されるマルチレイヤネットワークを介して交換する通信システムであって、上記に記載の回線設計装置を備えることを特徴とする通信システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回線設計装置は、複数の通信ノードを備える通信システムにおいて、交換されるデータの単位を定める基本データ単位より大きな交換データ単位を単位として、異なる通信ノード間に発生するトラフィック要求に対するトラフィックのトラフィック収容方法を設計する。また、回線設計装置は、基本データ単位より大きな交換データ単位がトラフィック要求に応じて設定され、トラフィック要求に対応するトラフィックが交換データ単位に収容された場合に、未収容のトラフィック要求の一部或いは全ての中から、既に設定されている交換データ単位に収容可能となるトラフィック要求を、予め定められる判定基準に従って検出する該当要求検出ステップと、未収用のトラフィック要求の一部或いは全てを、設定されている交換データ単位中への収容が多くなるように収容する追加収容ステップと、を実行する。
これにより、マルチレイヤネットワークにおいて、トラフィック収容効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における通信システムの概略ブロック図である。
【図2】通信システムに収容すべきトラフィックの需要量を示す表である。
【図3】ネットワーク状態を示す図である。
【図4】図3のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
【図5】ネットワーク状態を示す図である。
【図6】図5のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
【図7】ネットワーク状態を示す図である。
【図8】図7のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
【図9】ネットワーク状態を示す図である。
【図10】図9のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
【図11】本発明の実施形態における通信システムの概略ブロック図である。
【図12】図11のネットワーク状態を示す図である。
【図13】ネットワーク状態を示す図である。
【図14】ネットワーク状態を示す図である。
【図15】ネットワーク状態を示す図である。
【図16】ネットワーク状態を示す図である。
【図17】光波長パスに対応して新たに収容可能となるパスの関係を示した図である。
【図18】空き容量にトラフィクを割り付けて収容した場合のネットワーク状態を示す図である。
【図19】図19に示したネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
【図20】本実施形態に示した効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図を参照し、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態における通信システムの概略ブロック図である。
【0016】
通信システム1は、複数のノード間を接続する光回線を用いて通信を行う。各ノードには、それぞれの通信装置が配置される。通信システム1は、その利用者の要求に応じたトラフィックを収容して通信するユーザ情報プレーン(U-Plane)と、各通信装置を制御する制御情報を通信する制御プレーン(C−Plane)とが設けられている。本実施形態の説明に用いる図では、後者の制御プレーンについては、簡略化するために図示しない。
通信システム1は、6つのノード100aから100f、及び、回線設計装置40を備える。
ノード100aから100f(まとめて示すときは、ノード100という。)は、互いに光波長パスを接続することにより、ノード間の通信を可能とする。例えば、ノード100aから100fは、それぞれがOXC装置30とルータ10とを有し、ルータ10のトラフィックをOXC装置30が伝送する場合を例示することができる。ここでは、既にノード100d-100f間に、光波長パスの容量を150とする光波長パスが設定されており、トラフィックの使用容量が100であり、その光波長パスの空き容量が50であるとする。
【0017】
ルータ10は、IPを用いてIPパケット化されたデータをルーティングさせるデータ交換スイッチング装置である。
OXC装置30は、収容するルータ10からのデータ(IPパケット)を、光波長パスを介して接続されるOXC装置30と通信する。OXC装置30は、収容するルータ10からのIPトラフィックを、伝送路として用いる光回線の光波長パスに割り当てる光通信路設定を行う。また、OXC装置30は、ルータ10からのIPトラフィックを、光回線の光波長パスへの割り当てを制御することにより、交換装置として機能させることができる。その光波長パスは、制御プレーン(C−Plane)により、回線設計装置40からの指示に従って制御される。
【0018】
回線設計装置40は、複数のノード100を備える通信システム1(マルチレイヤネットワーク)において、交換されるデータの単位を定めるIPパケット(基本データ単位)より大きな交換データ単位を単位として、異なる通信ノード100間に発生するトラフィック要求に対するトラフィックを収容させるための回線設計を行う。
この回線設計装置40は、通信システム1を構成するOXC装置30の光波長パス設定を、要求されるトラフィック量に応じて算出する。回線設計装置40は、制御プレーン(C−Plane)を使って他の通信装置の設定を行う。
【0019】
回線設計装置40は、該当要求検出部41、追加収容部42、該当収容部43、入力処理部44、通信処理部45、記憶部46、及び、設定処理部47を備える。
該当要求検出部41は、トラフィック要求に応じてIPパケット(基本データ単位)より大きな光波長パス(交換データ単位)がトラフィック要求に応じて設定され、トラフィック要求に対応するトラフィックが、光波長パス(交換データ単位)に収容された場合に、未収容のトラフィック要求の一部或いは全ての中から、既に設定されている光波長パスに収容可能となるトラフィック要求を、予め定められる判定基準に従って検出する。
追加収容部42は、未収用のトラフィック要求の一部或いは全てを、設定されている光波長パス(交換データ単位中)への収容が多くなるように収容する。
該当収容部43は、検出したトラフィック要求について、OXC装置30の光波長パス(交換データ単位)を必要に応じて設定した上で収容する。
【0020】
入力処理部44は、ユーザの操作によって入力された情報を検出し、本装置の処理に必要とされる情報を記憶部46に書き込む。
通信処理部45は、通信回線を介して通信システム1に含まれる他のいずれかの装置に接続され、制御プレーン(C−Plane)を介して、他の通信装置を制御する制御情報を通信する。
記憶部46は、入力処理部44によって検出された入力情報、通信システム1を構成するOXC装置30の光波長パス設定に必要とされる処理の変数、閾値などを記憶する。
設定処理部47は、導出した光波長パス設定に従って、設定が必要とされる各OXC装置30に対して設定を行い、マルチレイヤネットワークにおける光波長パスを確立する。また、設定処理部47は、光波長パスに収容する論理パス設定を、設定された光波長パスに対応付けて導出する。また、設定処理部47は、導出した論理パス設定に従って、マルチレイヤネットワークにおける論理パスを確立する。
【0021】
トラフィック要求を収容するために光波長パスを開通させる場合、一般に光波長パスの1つの容量の整数倍の容量と、トラフィック要求量そのものには差があり、光波長パスの容量を全て埋めることはできずに、空きが発生してしまう。
この回線設計装置40は、その空き容量をできる限り埋めるように、空き容量を少なくすることができるトラフィック要求から優先的に収容する。そして、空き容量を少なくするために、収容設計において、次に収容するトラフィック需要を決定する際には、そのトラフィック需要を収容するために最低限必要な光波長パスで、最大のトラフィック需要を収容できるようなトラフィック需要を優先する。
【0022】
図2は、通信システムに収容すべきトラフィックの需要量を示す表である。
図2に示される表の列方向に示される項目において、項目「No.」は、2つのルータ10間に発生するトラフィックを分類するための番号を示す。項目「始点」は、2つのノード100の組合せのうち一方のノード100を示す。そして、そのノード100を「始点」という。項目「終点」は、2つのノード100の組合せのうち他方のノード100を示す。そして、そのノード100を「終点ノード」という。項目「トラフィック量」は、始点ノードと終点ノードの2つのノード100間に発生するトラフィック量(要求トラフィック量)を示す。項目「割り付けられた光波長パス容量」は、既に割り付けられた光波長パスの容量を示す。本実施形態では、150を単位量として示す。項目「空き容量」は、割り付けられた光波長パスにおける空き容量を示す。項目「収容済」は、光波長パスに割り付け済みであることを「○」印で示す。
項目「No.」によって示されるNo.1からNo.5が、通信システム1に対する要求トラフィック量であり、また、未収容な状態にあるトラフィックを示している。
なお、この表に示す情報は、回線設計装置40における記憶部46にトラフィック需要量テーブルとして記憶される。
また、トラフィック需要量テーブルには、既に割り付けられている光波長パス容量(No.0)についても同じテーブルに記憶される。
【0023】
図3と4を参照し、トラフィック需要に対する割り付け方法を示す。
図3は、ネットワーク状態を示す図である。
図4は、図3のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
ここで仮に、最大のトラフィック需要のトラフィックの割り付ける場合を示す。No.5のトラフィック需要(ノード100d−100e間:340)を収容するため、3本の光波長パス(光波長パス容量:450)をノード100d−100e間に設定し、トラフィック量340を収容したとする。この場合の空き容量は、110である。
このとき図3に示すような状態となり、最大のトラフィック需要を収容することができたが、他のトラフィック需要(No.1から4)の一部或いは全てを新たな光波長パスを設定すること無しに収容できない。
【0024】
図5と6を参照し、トラフィック需要に対する他の割り付け方法を示す。
図5は、ネットワーク状態を示す図である。
図6は、図5のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
ここで仮に、割り付け順序を、トラフィック需要量テーブルに登録されている順に割り付ける場合を示す。
トラフィック需要を登録順に、識別子(No.)の値に従って、最初のNo.1のトラフィック需要(ノード100a−100b間:230)を収容するため、2本の光波長パス(光波長パス容量:300)をノード100a−100b間に設定し、トラフィック量230を収容したとする。この場合の空き容量は、70である。
このとき図5に示すような状態となるが、他のトラフィック需要(No.2から5)の一部或いは全てを新たな光波長パスを設定すること無しに収容できない。
【0025】
図7と8を参照し、トラフィック需要に対する割り付け方法を示す。
図7は、ネットワーク状態を示す図である。
図8は、図7のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
No.2のトラフィック需要(ノード100a−100d間:110)を収容するため、1本の光波長パス(光波長パス容量:150)をノード100a−100d間に設定し、トラフィック量110を収容したとする。このとき図7、図8に示すような状態となる。すなわち、No.2のトラフィックはトラフィク量150の光波長パスに割り付けられたことにより、収容できるトラフィック量として、空き容量40の余裕が生じる。
なお、このNo.2のトラフィック需要を先に検出する場合は、トラフィック要求の内、要求トラフィック量(或いは未収用トラフィック量)の値から、該値に対応し、該値を超えない最大の光波長パスが収容可能なトラフィック量の値を減算した値が大きくなる場合になる。
このとき図7に示すような状態となるが、他のトラフィック需要(No.1と、No.3から5)の一部を新たな光波長パスを設定すること無しに収容できるものがある。
なお、他のトラフィック需要の値により、その全てを新たな光波長パスを設定すること無しに収容させることも可能である。
【0026】
図9と図10を参照し、図7、8に示したトラフィック需要の割り付け状態に、さらにトラフィック需要に対する割り付け方法を示す。
図9は、ネットワーク状態を示す図である。
図10は、図9のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
No.3のトラフィック需要の一部(トラフィック量:40)が、ノード100a−100d間及びノード100d−100f間の光波長パスの、それぞれの空き容量に収容することが可能である。よって、No.2に示したトラフィック需要に対する光波長パスを設定した上で、そのトラフィック需要を収容する。さらに、No.3のトラフィック需要の一部も収容する。これにより図10に示すネットワーク状態となる。すなわち、No.3のトラフィック量(190)は、No.3aのトラフィック量(40)と、No.3bのトラフィック量(150)とに分割される。No.3aのトラフィックは、先に示したようにNo.2のトラフィックを収容した光波長パスと既に確立されていた光波長パスとに、一緒に収容される。これにより、No.3aのトラフィックは、収容済のトラフィックとなり、No.3bのトラフィックは、未収容のトラフィックとなる。
【0027】
残りのトラフィック需要(No.1、3b、4、5)を見ると、上記のように、新たな光波長パスを設けることなく、収容可能なトラフィックに該当するものはない。
新たに光波長パスを設けることなく収容可能なトラフィックがない場合には、残されたトラフィック需要量などでソートした上で、最も大きいトラフィック需要量のものを収容する方法や、ランダムに選択して収容する方法、既に一部が収容されたトラフィック需要を優先して収容する方法等がある。
【0028】
(第2実施形態)
図11から図19を参照し、異なるトラフィック需要の形態について示す。
図11は、本発明の実施形態における通信システムの概略ブロック図である。
【0029】
通信システム1は、6つのノード100aから100f、及び、回線設計装置40を備える。図1と同じ構成には、同じ符号を附す。
ここでは、既にノード100d-100f間に、光波長パスの容量を150とする光波長パスが設定されており、トラフィックの使用容量が90であり、その光波長パスの空き容量が60であるとする。
図12は、図11のネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
【0030】
図13から図16は、それぞれネットワーク状態を示す図である。
図17は、図13から図16のネットワーク状態を示す図である。
ここで仮に、No.2のトラフィック需要(ノード100a−100b間:110)を収容するため、1本の光波長パス(光波長パス容量:150)をノード100a−100b間に設定し、トラフィック量110を収容したとする。設けられた光波長パスには、空き容量40が生じる。
このとき組み合わせた光波長パスは、図13に示すような状態となり、他のトラフィック需要の一部(或いは全て)を、新たな光波長パスに収容することができる。
【0031】
また、No.3のトラフィック需要(ノード100a−100f間:190)を収容するため、2本の光波長パス(光波長パス容量:300)をノード100a−100f間に設定し、トラフィック量190を収容したとする。設けられた光波長パスには、空き容量90が生じる。
このとき組み合わせた光波長パスは、図14に示すような状態となり、他のトラフィック需要の一部(或いは全て)を新たな光波長パスに収容することができる。
【0032】
また、No.4のトラフィック需要(ノード100c−100f間:130)を収容するため、1本の光波長パス(光波長パス容量:150)をノード100c−100f間に設定し、トラフィック量130を収容したとする。設けられた光波長パスには、空き容量20が生じる。
このとき組み合わせた光波長パスは、図15に示すような状態となり、他のトラフィック需要の一部(或いは全て)を新たな光波長パスに収容することができる。
【0033】
また、No.5のトラフィック需要(ノード100c−100d間:420)を収容するため、3本の光波長パス(光波長パス容量:450)をノード100c−100d間に設定し、トラフィック量420を収容したとする。設けられた光波長パスには、空き容量30が生じる。
このとき組み合わせた光波長パスは、図16に示すような状態となり、他のトラフィック需要の一部(或いは全て)を新たな光波長パスに収容することができる。
【0034】
図17は、光波長パスに対応して新たに収容可能となるトラフィックの関係を示した図である。
項目「番号」は、識別子を示す。項目「当てはまるトラフィック需要」は、新たに設けた光波長パスによって収容可能となるトラフィック需要を示す。
項目「新たに収容可能となるトラフィック量」は、新たに設けた光波長パスの空き容量により、収容可能となるトラフィック量を示す。項目「対応する図」は、図13から図16との対応関係を示す。
例えば、番号Cによって示される場合は、No.3のトラフィック需要を収容することができ、その空き容量により、No.2に示すノード10a−10d間のトラフィック需要110のうち、トラフィック量60を収容することができることを示している。
この表に示されるように、番号Cの場合は、空き容量を有効に用いて、トラフィックを収容することができ、最も多い60を収容することができる。
【0035】
回線設計装置40は、番号Cの条件を選択することにより、複数の前記トラフィック要求の中から、番号Cに示すNo3のトラフィック要求に対応するノード10a−10f間の光波長パスを設定し、ノード10a−10f間の光波長パス(交換データ単位)と、他の光パスであるノード10d−10f間の光波長パスとを組み合わせることにより、それぞれの空き容量を用いて収容可能となるトラフィック量が最も大きくなるトラフィック要求として、未収用のトラフィック要求の中から検出する。
このように回線設計装置40は、判定基準に応じて、既に設定されている交換データ単位に収容可能となるトラフィック要求を検出することが可能となる。
図18及び図19に、番号Cの条件に従って、光波長パスを設けた場合を示す。
図18は、空き容量にトラフィクを割り付けて収容した場合のネットワーク状態を示す図である。
図19は、図18に示したネットワークのトラフィック要求状態を示す図である。
No.2のトラフィック需要は、No.2aとNo.2bとに分割され、No.3に示した光波長パスにNo.2bのトラフィックを割り付けた状態を示している。
【0036】
図20は、本実施形態に示した消費電力を示す図である。
図20の横軸は、SDHのSTM−1を収容した最大トラフィック量を示し、縦軸は、消費電力を示す。この図20では、線形計画法を用いた理論的な最小値(IP-over-WDM[ILP])に対して、本実施形態に示した方法(IP-over-WDM[Heuristic])では、その理論値に近い値が得られることが示されている。
【0037】
なお、回線設計装置40は、上記に示した選択方法に代えて、次に示す方法を選択することもできる。
回線設計装置40は、複数の前記トラフィック要求の中から、トラフィック要求に対応して設定された前記交換データ単位の容量において、該交換データ単位と、他の交換データ単位とを組み合わせることにより、それぞれの空き容量を用いて収容可能となるトラフィック要求のトラフィック量を、既に収容されているトラフィック要求のトラフィック量に加算した値が、最も大きくなるトラフィック要求を検出する。このように回線設計装置40は、判定基準に応じて、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を検出することが可能となる。
【0038】
本発明の実施形態に示した回線設計装置40は、通信システム1の光波長パスにおける空きを少なくすることができるトラフィック要求から優先的に収容する(手段)ことで、現実的な計算量でありながら消費電力量及びコストを削減又は光波長パスの収容効率を高め、その結果、ネットワーク全体での消費電力及びコストを下げる(効果)ことができる。
一般的にトラフィック需要を収容する場合、光波長パスn本分の収容量と一致することはまれであり、空きが生じている。そのため、その空きを少なくすることができるトラフィック需要を、空きを埋めるように収容することで収容効率を高めることができる。
本実施形態では、さらに、次に収容するトラフィック需要をいずれにするかを決定する際、そのトラフィック需要の収容によって生じる空きを埋める別のトラフィック需要が存在するかまでも判定条件とすることが可能とすることにより、更なる収容効率の拡大を狙うことができる。
なお、本実施形態に示す「光波長パスの収容効率」とは、マルチレイヤネットワーク上の設定された光波長パスの全収容可能容量に対して、実際にトラフィックが流れている量のことである。
【0039】
本実施形態に示したマルチレイヤネットワークでは、トラフィック需要が、あるルータと他のルータ間でそのトラフィック(パケットやフレーム)を交換・授受するために、OXC装置において設定される「交換データ単位」である光波長パス(或いは、光パス、光通信路、光波長という。)を用いる。ここでは、ルータ10は、OXC装置30と接続される。OXC装置30は、ルータ10のトラフィックを光波長パスに直接収容する。そのため、ルータ10は、OXC装置30と接続されている。
ただし、全てのルータ10が上記のような接続状態であることを制限するものではない。
【0040】
本実施形態によれば、このような接続状態を持つマルチレイヤネットワークにおいて、トラフィック需要量に基づいて光波長パス或いは論理パスの決定とトラフィック収容の決定を行うことによりトラフィック収容設計手法を提供できる。
また、本実施形態によれば、同ネットワークにおいて同じトラフィック要求に対し、低い消費電力量及び低いコストを実現する方法も与えるものである。
本実施形態に示したように、効率よくトラフィックを収容できることにより、過剰な装置を設ける必要がなく、同時に本形態のネットワークにおけるネットワーク全体の消費電力量及び低いコストの最適化を図ることが可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等も含まれる。
本発明は、本実施形態の図1に示すようなマルチレイヤネットワークに適用できる。ただし、ここでは、通信ノード100として、基本データ単位のパケット(又はフレーム)を使って通信するルータ10、交換データ単位を使って通信するOXC装置30を例示しているが、その限りではない。
なお、本実施形態において、本発明の交換データ単位は、光波長パス(光パス、光通信路、光波長)である。また、本発明の基本データ単位は、パケット或いはフレームのトラフィックである。
【0042】
なお、上述の回線設計装置40は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、回線設計装置40によって処理される各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0043】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1…通信システム、
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f…ノード、
10…ルータ、20…TDM−XC装置、30…OXC装置、40・・・回線設計装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信ノードを備える通信システムにおけるトラフィック収容方法であり、交換されるデータの単位を定める基本データ単位より大きな交換データ単位を単位として、異なる通信ノード間に発生するトラフィック要求に対するトラフィックのトラフィック収容方法であって、
前記基本データ単位より大きな交換データ単位が前記トラフィック要求に応じて設定され、前記トラフィック要求に対応するトラフィックが前記交換データ単位に収容された場合に、未収容のトラフィック要求の一部或いは全ての中から、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を、予め定められる判定基準に従って検出する該当要求検出ステップと、
前記未収用のトラフィック要求の一部或いは全てを、前記設定されている交換データ単位中への収容が多くなるように収容する追加収容ステップと、
を有することを特徴とするトラフィック収容方法。
【請求項2】
前記該当要求検出ステップにおいて、
前記トラフィック要求に対応して設定された前記交換データ単位の容量において、該交換データ単位と、他の交換データ単位とを組み合わせることにより、それぞれの空き容量を用いて収容可能となるトラフィック量が最も大きくなるトラフィック要求を、前記未収用のトラフィック要求の中から検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のトラフィック収容方法。
【請求項3】
前記該当要求検出ステップにおいて、
前記トラフィック要求に対応して設定された前記交換データ単位の容量において、
該交換データ単位と、他の交換データ単位とを組み合わせることにより、それぞれの空き容量を用いて収容可能となるトラフィック要求のトラフィック量を、既に収容されているトラフィック要求のトラフィック量に加算した値が、最も大きくなるトラフィック要求を、前記未収用のトラフィック要求の中から検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のトラフィック収容方法。
【請求項4】
前記該当要求検出ステップにおいて、
前記トラフィック要求の内、前記要求トラフィック量の値が大きいものを先に判定する前記判定基準に従って、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のトラフィック収容方法。
【請求項5】
前記該当要求検出ステップにおいて、
前記トラフィック要求の内、前記要求トラフィック量の値から、該値に対応し、該値を超えない最大の前記交換データ単位が収容可能なトラフィック量の値を減算した値が大きくなるものを先に判定する前記判定基準に従って、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のトラフィック収容方法。
【請求項6】
前記既に設定されている前記交換データ単位は、
新たに設定された前記交換データ単位と、前記新たに設定された交換データ単位が設定される前に設定されている前記交換データ単位とを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のトラフィック収容方法。
【請求項7】
複数の通信ノードを備える通信システムにおけるトラフィック収容方法であり、交換されるデータの単位を定める基本データ単位より大きな交換データ単位を単位として、異なる通信ノード間に発生するトラフィック要求に対するトラフィックを収容させる回線設計装置であって、
前記トラフィック要求に応じて基本データ単位より大きな交換データ単位が前記トラフィック要求に応じて設定され、前記トラフィック要求に対応する前記トラフィック要求が、前記交換データ単位に収容された場合に、未収容のトラフィック要求の一部或いは全ての中から、既に設定されている前記交換データ単位に収容可能となる前記トラフィック要求を、予め定められる判定基準に従って検出する該当要求検出部と、
前記未収用のトラフィック要求の一部或いは全てを、前記設定されている交換データ単位中への収容が多くなるように収容する追加収容部と、
を備えることを特徴とする回線設計装置。
【請求項8】
交換されるデータの単位を定める交換データ単位の大きさに応じて分類される通信装置を含めて構成されるマルチレイヤネットワークを介して交換する通信システムであって、
請求項7に記載の回線設計装置を備えることを特徴とする通信システム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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