説明

トランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を確保する装置

【課題】 本発明はトランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を確保する装置を得るにある。
【解決手段】 下記のようなトランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を確保する装置を構成し、コンピュータ本体との間で通信を行う。
データベースエンジンにおいて一時的に書込み処理内容を格納するトランザクションログを格納する半導体記憶装置。
データベースエンジンの実行他を行う専用の中央演算処理装置。
実データを格納する補助記憶装置。
上記装置全体に電源を供給する補助電力装置および補助電力装置の充電・寿命管理を行う電源管理。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータベースソフトウエアが動作する電子計算機(以下:コンピュータ)における、トランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を確保する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般的なデータベースソフトウエアが動作するコンピュータにて使用されるデータベースエンジンでは、読み書き速度が遅いハードディスク装置のトランザクションログという領域に書込み処理の内容を一時的に格納し、一定量が蓄積されるとハードディスク装置上の実データ領域に保存を行っている。(例えば、非特許文献1参照)
この一連の処理を一般的に、トランザクションログ処理と呼んでいる。
また、上記方式では高速性やリアルタイム処理に対応できないため、主記憶部と二次記憶部の他に、不揮発性メモリによる中間記憶部を設けているものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
従来一般的にコンピュータには、電源障害時に安全にオペレーティング・システムを終了させるための補助電力装置がついていない。(例えば、非特許文献2参照)
ただし、無停電電源装置(UPS)を内蔵しているコンピュータもある。(例えば、非特許文献3参照)
【0004】
しかしながら、トランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を同時に確保する装置はない。
【0005】
したがって、下記のような欠点が存在する。
トランザクションログの更新にともなって、トランザクションログを格納する領域と実データ領域の間でのアクセスが増大し、ハードディスク装置の処理能力がボトルネックとなるという欠点。
一般的にトランザクションログの領域と実データ領域が同一のハードディスク装置上にあるため、ヘッドのシーク(ハードディスク装置内での記録開始の位置決め作業)が多くなり、ハードディスク装置の故障率が高くなるという欠点。
処理中に電源障害が起こり、コンピュータへの電源供給が止まると、データが損失するという欠点があった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−304316
【非特許文献1】「PostgreSQL 全機能 リファレンス」、技術評論社、平成15年9月25日、p34〜p42
【非特許文献2】「Sun Fire V20z 仕様」、サンマイクロシステムズ株式会社
【非特許文献3】「ファンレスサーバ NETBRAIN ハードウエア仕様」、日本電気株式会社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような欠点に鑑み、トランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を確保する装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明はトランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を確保する装置(以下:本発明による装置)を構成する。
本発明による装置は下記のような装置によって構成される。
1データベースエンジンにおいて一時的に書込み処理内容を格納するトランザクションログを格納する半導体記憶装置。
2データベースエンジンの実行他を行う専用の中央演算処理装置。
3実データを格納する補助記憶装置。
4上記装置全体に電源を供給する補助電力装置および補助電力装置の管理を行う電源管理。
本発明による装置はコンピュータ本体との間で通信を行い、データの安全性を確保した高速なトランザクションログ処理を行う。
本発明による装置は、コンピュータ本体内の装置の一部として使用される場合とコンピュータに接続される補助装置として使用される場合がある。
【発明の効果】
【0009】
上述したように、本発明による装置は半導体記憶装置にトランザクションログを格納するので、ハードディスク装置にトランザクションログを格納する従来の手法より高速に読み書きできる。したがってデータ処理が高速に処理できる。
【0010】
また前項により、トランザクションログを半導体記憶装置に格納することにより、実データを格納する補助記憶装置への読み書き頻度を少なくすることができる。実データを格納する補助記憶装置にハードディスク装置を採用した場合、ハードディスク装置の故障率を低下させることができる。
【0011】
本発明による装置は補助電力装置を搭載するので、コンピュータ本体に電源障害が起こったときにも、本発明による装置に電力を供給し続けることができる。したがって、本発明による装置のデータベースエンジンを安全に終了させることができる。
【0012】
また上記電力供給中に、トランザクションログを格納する半導体記憶装置から実データを格納する補助記憶装置に、書き込みを待っているデータを書き込むことができる。したがって、コンピュータ本体のハードディスク装置の障害、処理中のコンピュータ本体の電源障害によって起こりうるデータ損失に対する安全性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に示す発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1の本発明を実施するための最良の形態において、1は一時的に書込み処理内容を格納するトランザクションログを格納する半導体記憶装置である。2のFlash ROMはデータベースエンジンの全機能を格納する。3はデータベースエンジンの実行その他を行う専用の中央演算処理装置である。4は実データを格納する補助記憶装置である。5は上記装置全体に電源を供給する補助電力装置である。6は補助電力装置の充電・寿命管理を行う電源管理である。
【0015】
上記構成の本装置では以下の手順でデータ処理を行う。
【0016】
まず、本装置のFlash ROMに格納されたデータベースエンジンを起動する。
【0017】
データの読出し処理は、まずコンピュータ本体から本装置の専用の中央演算処理装置に指令が送られる。
【0018】
本装置の専用の中央演算処理装置は指令を解釈して、指令に従って本装置の実データを格納する補助記憶装置からデータを読出し、コンピュータ本体に返す。
【0019】
データの書込み処理は、まずコンピュータ本体から本装置の専用の中央演算処理装置に指令と書込みデータが送られる。
【0020】
本装置の専用の中央演算処理装置は指令を解釈して、書込みデータを一旦本装置の半導体記憶装置にトランザクションログとして格納する。
【0021】
トランザクションログは一定時間経過後あるいはトランザクションログの領域が不足したときに、本装置の実データを格納する補助記憶装置に書込まれ、トランザクションログはクリアされる。
【0022】
コンピュータ本体のオペレーティング・システムがシャットダウンするときは、コンピュータ本体から本装置の中央演算処理装置に指令が送られる。
【0023】
本装置の半導体記憶装置にトランザクションログが残っていれば、本装置の実データを格納する補助記憶装置に書き込む。
【0024】
本装置のデータベースエンジンを終了する。
【0025】
コンピュータ本体からの電源供給が絶たれたときは、本装置では補助電力装置からの電力に切り替える。
【0026】
本装置上の半導体記憶装置にトランザクションログが残っていれば、本装置の実データを格納する補助記憶装置に書き込む。
【0027】
本装置のデータベースエンジンを終了する。
【0028】
電源管理部では、補助電力装置の充電が不十分な場合は、コンピュータ本体から電源供給し補助電力装置を充電する。
【0029】
補助電力装置の劣化を検出した場合は、補助電力装置の交換を促がすように、本装置の専用の中央演算処理装置を通じて、コンピュータ本体に通知する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明はトランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を確保することが必要となる分野、例えば、金融機関の勘定系システムにおける顧客の入出金データベース管理、公共機関のワンストップサービスにおける住民データベース管理、オンラインショッピングにおける顧客データベース管理等で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の構成図
【図2】本発明を実施するための最良の形態の構成図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベースエンジンにおいて一時的に書込み処理内容を格納するトランザクションログを格納する半導体記憶装置と、データベースエンジンの実行他を行う専用の中央演算処理装置と、実データを格納する補助記憶装置、上記装置全体に電源を供給する補助電力装置および補助電力装置の充電・寿命管理を行う電源管理の一部または全部を搭載し、コンピュータ本体との間で通信を行い、トランザクションログ処理の高速化とデータの安全性を確保することを特徴とする装置

【図1】
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【図2】
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