説明

トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸

以下の式の化合物であって、


遊離酸として、トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸と称される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、および結晶形態の水和物;医薬組成物;ならびに使用方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸、この化合物の薬学的に受容可能な塩および結晶形態ならびにそれらの調製およびその化合物を使用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質異常症は、循環器疾患(CD)の主要危険因子である。低密度コレステロール(LDL−c)の正常値または上昇値のいずれかを伴う高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−c)の低い血漿中濃度は、アテローム性動脈硬化症および関連する冠動脈疾患の発症の重大な危険因子である。コレステリル(またはコレステロール)エステル転送タンパク質(CETP)は、HDL中のコレステリルエステルを高トリグリセリドリポタンパク質中のトリグリセリドに交換することを促進する糖タンパク質である。CETP活性の最終結果は、HDLコレステロールの低下およびLDLコレステロールの増加である。リポタンパク質プロファイルへのこの影響は、CHDリスク上昇を示す脂質プロファイルを有する対象者において特にアテローム生成誘発性(pro−atherogenic)であると考えられている。
【0003】
特許文献1は、循環器疾患の治療に有用なR−Rが記載された以下の構造を有する特定の化合物を開示している。
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第06/002342号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の開示があるにも関わらず、アテローム性動脈硬化症および/または脂質異常症を含む循環器疾患を治療するのに有用な効果的化合物に対する必要性が多く存在する。
【0006】
経口投与を介して循環器疾患を治療するのに有効であり、酸性環境(例えば、胃の中)において安定な化合物を提供する必要がある。更に、より効果的な治療のためには、化合物は、一旦投与された場合、十分に高いバイオアベイラビリティおよび/または経口曝露を示す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの必要性に対処し、循環器疾患(例えば、限定されないが、脂質異常症およびアテローム性動脈硬化症)の治療に適した化合物を提供する。本発明は、特に有利でかつ予期せぬ特性を示す化合物を提供する。本発明の特許請求された化合物の物理的特性および薬理学的特性は、当該化合物を経口投与用の錠剤に製剤化するのに特に適している。特に有利な特性としては、とりわけ、より高い安定性、溶解性、および/またはバイオアベイラビリティが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、以下に例示した式Iの構造を有するトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸(Chemical Abstracts Index Nameに従って特定された(本願明細書においてBCCAと称される)である化合物、および、この化合物の薬学的に受容可能な塩を提供する。
【化2】

【0009】
化合物(BCCA)は、溶媒和物(本願明細書においてBCCA・溶媒和物と称される)および水和物(本願明細書においてBCCA・水和物と称される)として、遊離酸(本願明細書においてBCCA遊離酸と称される)またはその薬学的に受容可能な塩であり得る。溶媒和物分子としては、水(水和物として)、メタノール、エタノール、ギ酸、酢酸、およびイソプロパノールが挙げられる。
【0010】
本発明は、BCCAである化合物、その薬学的に受容可能な塩、またはその水和物もしくは溶媒和物を提供する。一つの形態において、BCCA化合物は、遊離酸として提供される。他の形態において、BCCAは、結晶形態のBCCA・水和物またはBCCA(遊離酸または塩のいずれかとして)・溶媒和物として提供される。更に他の形態において、本発明は、BCCA・水和物またはBCCA・溶媒和物から無定形の固体形態までのBCCAを提供する。
【0011】
本発明は、(a)2θにて7.5、9.2、10.7、および15.5+/−0.2;(b)2θにて7.5、9.2、10.7、13.8、15.0、15.5、および19.5+/−0.2;または(c)2θにて7.5、9.2、10.7、13.8、11.3、15.0、15.5、17.7、19.5、および25.1+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のBCCA・水和物である化合物を提供する。
【0012】
別の形態において、本発明は、(a)175.6、168.0、61.1、21.2、および18.3+/−0.2ppm;(b)175.6、168.0、145.6、144.8、61.1、45.0、21.2、および18.3+/−0.2ppm;または(c)175.6、168.0、145.6、144.8、139.9、136.3、61.1、53.0、49.8、45.0、21.2、および18.2+/−0.2ppmにてアダマンタン(δ=29.5ppm)を参照標準とするピークを含む固相NMRスペクトルにより特定される、結晶形態のBCCA・水和物である化合物を提供する。
【0013】
更に他の形態において、BCCAは、(a)2θにて7.5、9.2、10.7、および15.5±0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターン、または、(b)175.6、168.0、61.1、21.2、および18.3+/−0.2ppmにてアダマンタイン(adamantine)(δ=29.5ppm)を参照基準とするピークを含む固相NMRスペクトル、のうちの少なくとも1つにより特定された結晶形態のBCCA・水和物として提供される。
【0014】
本発明は、(a)2θにて5.5、9.0、14.3、22.0、および22.5+/−0.2;または(b)2θにて5.5、9.0、14.3、17.5、18.2、19.4、20.6、22.0、および22.5+/−0.2;または(c)2θにて5.5、9.0、13.2、13.6、14.3、15.2、17.5、18.2、19.4、19.8、20.6、22.0、および22.5+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のBCCA・ヘミ−tert−ブチルアミン塩・ヘミエタノール溶媒和物である化合物を提供する。
【0015】
本発明は、(a)2θにて15.4、16.9、18.2、および18.6+/−0.2;または(b)2θにて15.4、15.7、16.9、18.2、18.6、19.5、22.8、25.7、および25.5+/−0.2;または(c)2θにて13.0、13.9、15.4、15.7、16.9、16.4、18.2、18.6、19.5、20.8、22.8、25.7、および25.5+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のBCCA・ギ酸溶媒和物である化合物を提供する。
【0016】
本発明は、(a)2θにて12.9、15.1、18.4、19.4、および20.8+/−0.2;または(b)2θにて12.9、13.8、15.1、16.4、17.8、18.4、19.4、20.1、および20.8+/−0.2;または(c)2θにて11.00、12.9、13.8、15.1、15.6、16.4、17.8、18.4、19.4、20.1、20.8、および21.7+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のBCCA・酢酸溶媒和物である化合物を提供する。
【0017】
本発明は、(a)2θにて5.6、11.3、12.6、および17.9+/−0.2;または(b)2θにて5.6、8.0、11.3、12.6、17.9、20.4、および24.1+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のBCCAtertブチルアミン塩・イソプロパノール溶媒和物である化合物を提供する。
【0018】
別の形態において、本発明は、水(水和物とも称される)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ギ酸、及び酢酸から選択される溶媒和物として、BCCA、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。BCCA対溶媒和物のモル比は、約1:0.3から約1:1まで、より好ましくは、約1:0.5から約1:1+/−0.2(BCCAまたは塩:溶媒和物)までの間であり得る。好ましい溶媒和物としては、水、イソプロパノールおよびエタノールが挙げられる。
【0019】
別の形態において、本発明は、薬学的に受容可能な塩としてBCCAを提供する。この薬学的に受容可能な塩に好ましいカチオンは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、及びtert−ブチルアミン(及びtert−ブチルアンモニウム)から選択され得る。より好ましいカチオンは、ナトリウム、カルシウムおよびtert−ブチルアミンである。
【0020】
本発明は、BCCA遊離酸として実質的に純粋なBCCAまたはその薬学的に受容可能な塩、BCCA・水和物、BCCA・溶媒和物(またはBCCA・水和物)および結晶形態のBCCA塩・溶媒和物(個々に「参照BCCA形態(referenced BCCA form)」)を提供する。本願明細書において使用する場合、用語「実質的に純粋な」とは、80%w/wより多い参照BCCA形態を含む組成物、好ましくは95%w/wより多い参照BCCA形態を含む組成物、および更により好ましくは98%w/wより多い参照BCCA形態を含む組成物をいう。特に好ましい態様において、本発明は、実質的に純粋な結晶形態のBCCA・水和物を提供する。
【0021】
本発明は、BCCAまたはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な担体、賦形剤、または希釈剤のうちの少なくとも1つを含む、医薬組成物を提供する。選択された形態において、この医薬組成物は、BCCA遊離酸として実質的に純粋なBCCAまたはその薬学的に受容可能な塩、BCCA・溶媒和物、BCCA塩・溶媒和物または結晶形態のBCCA・水和物を含む。特に好ましい態様において、この医薬組成物は、実質的に純粋な結晶形態のBCCA・水和物を含む。
【0022】
本発明はまた、循環器疾患の患者を治療する方法であって、この患者に治して有効量のBCCAを投与することを含む方法を提供する。好ましい形態において、この方法は、BCCA・水和物としてBCCAを投与することを含む。更に他の形態において、この方法は、結晶形態のBCCA・溶媒和物または結晶形態のBCCA・水和物を投与することを含む。
【0023】
本発明は、循環器疾患(例えば、限定されないが脂質異常症およびアテローム性動脈硬化症)を治療するための医薬を製造するための本発明に従うBCCA(BCCA遊離酸またはその薬学的に受容可能な塩、BCCA塩・溶媒和物、BCCA・水和物、または結晶形態のBCCA・溶媒和物、または結晶形態のBCCA・水和物として)の使用を提供する。
【0024】
本発明は、医薬としてBCCA(本発明に従うBCCA遊離酸;BCCA塩・溶媒和物、BCCA・水和物、または結晶形態のBCCA・溶媒和物として)を提供する。本発明はまた、治療に使用するためのBCCA(本発明に従うBCCA遊離酸;またはBCCA塩・溶媒和物、BCCA・水和物、結晶形態のBCCA・溶媒和物)を提供する。
【0025】
本発明は、循環器疾患(例えば、限定されないが脂質異常症およびアテローム性動脈硬化症)の治療における使用のためのBCCA(本発明に従うBCCA遊離酸;またはBCCA・水和物、BCCA塩・溶媒和物、または結晶形態のBCCA・溶媒和物として)を提供する。
【0026】
本発明はまた、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を提供するために、以下に示した構造
【化3】

(式中、Rは、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル、フェニル、およびC1−5アルキルフェニルから選択される)を有する化合物を提供する。好ましいR基としては、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル、フェニル、およびC1−5アルキルフェニルが挙げられる。特に好ましいR基としては、メチル、エチル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0027】
本願明細書において言及される、用語C1−4アルキルまたはC1−5アルキルは、1〜4個の炭素原子または1〜5個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖または分枝状のアルキル鎖を含む。用語ハロアルキルは、1つ以上の炭素原子に結合した1つ以上のハロゲンを有するアルキル基をいう。上述のとおり、アルキル基は、直鎖または分枝状の鎖であり得る。好ましいハロゲンは、フッ素、塩素、および臭素である。フッ素が特に好ましい。
【0028】
更に別の形態において、本発明は、下式の化合物
【化4】

またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
【0029】
本発明は、BCCAを調製する方法を提供する。この方法は、BCCAまたはその薬学的に受容可能な塩を提供するために、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を提供するために、以下の式IIの化合物
【化5】

(式中、Rは、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル、フェニル、及びC1−5アルキルフェニルから選択される)を脱エステル化することを含む。好ましいR基としては、C1−4アルキル、フェニル、およびC1−5アルキルフェニルが挙げられる。特に好ましいR基としては、メチル、エチル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0030】
この方法はまた、シクロヘキシル基上の保護カルボン酸置換基を脱保護することを含み得る。種々の酸を保護する官能性の例として、保護酸を調製する方法およびこの酸を脱保護する方法については、「Protecting Groups in Organic Synthesis」,3rd Ed.Greene,T.W.,Wuts,P.G.M.,Eds.,John Wiley and Sons,New York,1999に見出され得る。当業者は、カルボン酸および保護カルボン酸に加えて、カルボン酸に容易に置換され得る他の官能基が、カルボン酸または保護酸の適当な位置に使用され得ることを理解する。このような官能基、調製、および、これらの基のカルボン酸への転換については、Larock.R.C,Wiley VCH,1999による「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations」および「March’s Advanced Organic Chemistry,Reactions,Mechanisms and Structure」Smith,M.B.,and March,J.,Wiley−Interscience,6th Ed.2007に見出され得る。
【0031】
更に別の形態において、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供するために、以下の式IIIの化合物
【化6】


【化7】

(式中、Rは上述した通りである)と縮合することを更に含む、上記の方法を提供する。上述したように、カルボン酸、エステルまたは真上の構造においてCORとして示した保護酸は、カルボン酸または保護酸へと変換され得る官能基と置換され得る。
【0032】
好ましくは、有効なCETP阻害剤化合物は、化学的および熱的の両方において安定であるべきであり、投与および製剤化をしやすくするために十分な溶解性を示すべきであり、十分な活性を維持するべきである。更に、化合物は、インビボにおける有効な治療のための化合物量を提供するために、十分に高いバイオアベイラビリティを示すべきである。BCCAにより示されるこれらの特性は、従来技術によって考えられるものでも予測できるものでもない。
【0033】
BCCA・水和物は、小規模または非常に少ない分解を伴う周囲温度にて保管され得る。化合物、すなわち結晶形態のBCCA・水和物は、示差走査熱量測定により測定される場合、標準的な工業プロセス(例えば、フライス(milling))に受容可能である、約50℃よりも高い脱溶媒和および/または溶解の発現を有する。更に、BCCA、BCCA tert−ブチルアミン塩・イソプロパノール溶媒和物、BCCAヘミtert−ブチルアミン塩・ヘミエタノール溶媒和物および結晶形態のBCCA・水和物は、周囲温度にて保管される場合、非吸湿性である。加えて、薬学的に受容可能な塩(例えば、カルシウムおよび亜鉛塩)は、周囲温度にて保管される場合、基本的に非吸湿性である。
【0034】
遊離酸、塩、溶媒和物または結晶形態の水和物としてのBCCAは、以下のスキーム1、2、3および4において一般的に示され、以下の調製例および実施例においてより詳細に記述される、以下の手順に従って調製され得る。
【0035】
以下の略語が本願明細書において使用される。ACNはアセトニトリルを意味し;AcOHは酢酸を意味し;(S)−BINAPはS−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを意味し;CBZ−Clはクロロギ酸ベンジルを意味し;cpdは化合物を意味し;Bnはベンジルを意味し;DMFはジメチルホルムアミドを意味し;Δは熱の適用を意味し;DI水は脱イオン水を意味し;eqは当量を意味し;エルブミンはtert−ブチルアミン(またはtert−ブチルアンモニウム塩)、2,2−ジメチルエチルアミンまたは2−メチル−2−プロパンアミンを意味し;IPAはイソプロピルアルコールを意味し;Mはモル/リットルを意味し;molはモル(moles)を意味し;MTBEはメチルtertブチルエーテルを意味し;Nは標準溶液を意味し;PPTSはピリジニウムp−トルエンスルホネートを意味し;TFAはトリフルオロ酢酸を意味し;THFはテトラヒドロフランを意味し;RTは室温を意味する。反対に示さない限り、本願明細書において例示される化合物は、CHEMDRAW ULTRA AUTONOM version 7.0.1またはSymyx(登録商標)Draw version 3.2を使用して名称付けおよび番号付けされる。
【化8】

【化9】

【0036】
調製例
他に指定しない限り、全ての非水性反応を窒素の乾燥雰囲気下で実施した。反対に示さない限り、製造業者から受け取った場合、商業的な等級の試薬および無水溶媒を使用し、それらの成分をさらに精製または乾燥させることはしなかった。減圧下での溶媒の除去は、テフロン(登録商標)加工のKNF真空ポンプを使用して約28mmHg圧力でBuchiロータリーエバポレーターを用いて行った。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Kieselgelシリカゲル60を使用して実施した。プロトンNMRスペクトルは、Bruker AC300MHz核磁気共鳴分光法で得て、内部基準としてテトラメチルシランを使用して、ppmδ値で報告する。API質量分光分析は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)または大気圧化学イオン化(APCI)を使用して、Finnegan LCQ Duo Ion TrapまたはPESciex API 150EX質量分析計で実施した。HPLC分析は、Waters Symmetry C18、5μm、WAT046980、3.9×150mmカラムを使用して実施した。溶出系は、10分以上の95:5(HO中の0.1%TFA)/(CHCN中の0.1%TFA)勾配溶出から0:100(HO中の0.1%TFA)/(CHCN中の0.1%TFA)、続いて15分間、CHCN中の0.1%TFA定組成溶出から構成した。流速は1mL/分であった。UV検出は254nmまたは220nmで実施した。調製例および実施例の上気の選択された物理的性質を同定および精製評価のための既知の試料と比較した。
【0037】
調製例1
メチル2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,5−ジメチルベンゾエート(3)
オーバーヘッド撹拌器、冷却器、加熱マンテル(heating mantel)、5Lの添加漏斗およびNパージを備えた22Lのフラスコに、2−アミノ−3,5−ジメチル安息香酸(2)(705g、4,27mole、1.0当量、Chemische Berichte 1992、125(4)、849−855に開示されている手順に実質的に従って調製した)および水酸化ナトリウム(8.08kg、8.46mole)を入れた。得られた暗溶液を撹拌しながら45℃まで加熱する。1,4ジオキサン(2.75L、22.7mole)に溶解したジ−t−ブチルジカルボネート(1.92kg、9.08mol)を添加漏斗に入れる。ジ−t−ブチルジカルボネート溶液をフラスコに加え、反応温度を約45℃に維持しながら一晩撹拌する。さらに500mLの1,4ジオキサンに溶解したジ−t−ブチルジカルボネート(0.961kg、4.27mole)を添加漏斗に入れ、撹拌し、約45℃に反応温度を室温まで冷却しながら、その内容物をフラスコにゆっくりと加える。反応が完了した後、硫酸ジメチル(607.1mL、6.40mole)を滴下して加え、反応温度を室温に維持しながら一晩撹拌する。得られたスラリーを濾過し、固体を回収し、水(2×2L)で洗浄する。真空(50℃)中で乾燥させて、粗物質(748g)として標題化合物を得る。
【0038】
調製例2
メチル2−(tert−ブトキシカルボニル(4−エトキシ−4−オキソブチル)アミノ)−3,5−ジメチルベンゾエート(4)
オーバーヘッド撹拌器、加熱マントル、冷却器およびNパージを備えた22Lのフラスコに、DMF(10L)、エチル−4−ブロモブチレート(1.07kg、787.8mL、5.32mole)、炭酸セシウム(2.92kg、22.5mole)、およびメチル2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,5−ジメチルベンゾエート(1,000.0g、3.54mole)を入れる。得られた混合物を約55℃まで加熱し、48時間撹拌する。冷却し、固体を濾過し、MTBE(2×4L)で固体を洗浄する。濾液およびMTBE洗浄物を50Lのフラスコ中で合わせ、約5℃未満まで冷却する。水(6L)を加えて反応をクエンチする。層を分離する。水層をMTBE(3L)で洗浄し、有機層を合わせ、得られた有機溶液をブライン(2×3L)で洗浄する。有機溶液をNaSOで乾燥させ、濾過し、回収した固体をMTBEで洗浄して、1.582kgの標題化合物を得る。
【0039】
調製例3
tert−ブチル4−エチル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1,4−ジカルボキシレート(5A)およびtert−ブチル4−メチル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピジン−1,4−ジカルボキシレート(5B)
オーバーヘッドスターラー、サーモカップル、5Lの添加漏斗、窒素パージおよび冷却浴を備えた22Lのフラスコに、THF(3.5L)に溶解したメチル2−(tert−ブトキシカルボニル(4−エトキシ−4−オキソブチル)アミノ)−3,5−ジメチルベンゾエート(700g、1.78mole)を入れ、約5℃未満まで冷却する。THF(KOt−Bu、3.56mole、1M)中の1Mのカリウムtert−ブトキシドを添加漏斗に入れ、反応温度を約5℃に維持しながら、冷却したTHF溶液に滴下して加える。添加後、完了すれば、反応混合物を周囲温度まで加温する。反応が完了した後、混合物を10℃未満まで冷却し、2.5MのHClをゆっくりと加えて、約3未満のpHを有する混合物を得る。MTBE(4L)を加え、撹拌し、次いで水層から有機層を分離する。水層をMTBE(2L)で抽出する。有機層を合わせ、ブライン(2×3L)で連続して洗浄する。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、回収した固体をMTBEでリンスする。濾過溶液を合わせ、真空下で溶媒を除去して、橙色の油状物(670g)として標題化合物の混合物を得る。
【0040】
調製例4
7,9−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5(2H)−オン塩酸塩(6)
オーバーヘッドスターラー、加熱マントル、サーモカップル、窒素パージおよびテフロン(登録商標)トランスファーラインを備えた5Lのフラスコに、tert−ブチル4−エチル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1,4−ジカルボキシレートおよびIPA(2L)に溶解したtert−ブチル4−メチル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1,4−ジカルボキシレート(1286g、3.56mole)の混合物を入れ、得られた混合物を50℃まで加熱する。オーバーヘッドスターラー、加熱マントル、サーモカップル、およびスクラバーに対する窒素パージを備えた別の12Lのフラスコに、5NのNaOH(1L)およびHO(3L)を加える。その後、HCl(濃縮物、1.87L、21.8mole)を12Lのフラスコに加え、50℃まで加熱する。反応物からオフガスを取り除くためにNでフラッシュしながら、5Lのフラスコの内容物をトランスファーラインによって12Lのフラスコに移す。添加後、得られた混合物を80℃まで加温し、Nフラッシュを継続する。反応が完了した後、反応混合物を約20℃未満まで冷却する。MTBE(4L)を加え、NaOH水溶液を用いてpHを中性に調整する。得られた反応混合物を22Lのフラスコに移し、層を分離する。MTBE(2×2L)で水層を洗浄する。有機洗浄物を合わせ、ブライン(2L)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、MTBEでリンスする。濾液を暗い油状物まで濃縮する。IPA(8容積)に溶解し、オーバーヘッドスターラー、サーモカップル、1Lの添加漏斗およびNパージを備えた12Lのフラスコに移す。HCL(濃縮物、765mL)を添加漏斗に入れ、IPA溶液に約1時間にわたって滴下して加える。約1〜2時間、得られたスラリーを撹拌し、濾過し、冷IPA(3×500mL)で固体をリンスし、約50℃で固体を一晩乾燥させて、561gの標題化合物を得る。
【0041】
調製例5
ベンジル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(7)
オーバーヘッドスターラー、サーモカップル、3Lの添加漏斗、バッフル、冷却浴およびNパージを備えた22Lのフラスコに、7,9−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5(2H)−オン塩酸塩(1,000g、4.43mole)を入れる。2−メチルテトラフドロフラン(6.44kg、7.5L、74.5mole)を加え、オフホワイトのスラリーを撹拌する。5〜15℃まで冷却する。水2.5L、138.8moleおよびNaCO(1.12kg、3mole)を添加漏斗に加え、次いで約25分にわたって速い滴下で反応混合物にゆっくりと加える。クロロギ酸ベンジル(91.59kg、8.86mole)を2Lの添加漏斗に入れ、約15℃以下に反応混合物を維持しながら、反応物に滴下して加える。冷却器を備えたフラスコに得られた混合物を移し、25〜25℃まで加熱し、約50時間撹拌する。約15℃まで冷却し、HCl(5M、pHは約5になるまで)を加える。層を分離する。メチルテトラヒドロフラン(4L)で水層を抽出し、有機層を合わせ、水(4l)で洗浄する。約40℃で有機層を濃縮する。IPA(4L)を加え、次いで2Lまで濃縮する。オーバーヘッドスターラー、サーモカップル、加熱マントル、冷却器、2Lの冷却器、2Lの添加漏斗およびNパージを備えた12Lのフラスコに移す。フラスコ内容物を約70〜80℃まで加熱し、ヘプタン(5L)を加える。RTまで一晩ゆっくりと冷却し、必要であれば混合物を播種して、標題化合物の結晶化を誘導する。固体を冷却し、回収し、冷ヘプタンで固体をリンスし、50℃にて真空中で乾燥させて、1,316gの標題化合物を得る。
【0042】
調製例6
(Z)−ベンジル7,9−ジメチル−5−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イルアミノ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(8A)および(E)−ベンジル7,9−ジメチル−5−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(8B)の混合物
オーバーヘッドスターラー、加熱マントル、サーモカップル、冷却器、ディーンスタークトラップ、およびNパージを備えた12Lのフラスコに、ベンジル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(920g、2.84mole)およびトルエン(400mL)を入れる。トルエン(500mL)をディーンスタークトラップに加え、撹拌を開始する。2−メチル−5−アミノテトラゾール(563.8g、5.69mole)およびPPTS(364.8g、0.5mole)を加え、得られた混合物を還流まで加熱する。冷水5Lを加え、混合物が酸性になるのを防ぐためにpHをモニタリングしながらNaHCO(850g)溶液中に注ぐ。層を分離し、トルエン(4L)で水層を洗浄する。有機層を合わせ、水(2×4L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、トルエンで固体をリンスする。約55℃にて真空中で濾液を濃縮して、1.186kgの上記の標題化合物の混合物を得る。
【0043】
調製例7
(S)−ベンジル7,9−ジメチル−5−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イルアミノ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(9)
(Z)−ベンジル7,9−ジメチル−5−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イルイミノ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレートおよび(E)−ベンジル7,9−ジメチル−5−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(4.04g、10mmole)、S−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル((S)−BINAP、60mg、96.3μmole)、KI(415mg、24mmole、所望の場合KIは除かれてもよい)およびジクロロ−ビス((1,2,5,6eta)−1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム(IrCl(COD)(927mg、40.2μmole)の混合物をオートクレーブに入れる。オートクレーブを窒素でパージする。無酸素環境を維持しながら、脱気したトルエン(50mL、472.8mmol)を加え、オートクレーブを密閉する。500psi H下で66時間、100℃まで加熱する。室温まで反応混合物を冷却し、通気する。固体を濾過し、有機混合物を回収する。有機混合物を水(2×25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過する。濾液を回収し、真空下で溶媒を除去して、標題化合物(3.99g、HPLCにより88.7%ee)を得る。
【0044】
調製例8
(S)−ベンジル5−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(10)
(S)−ベンジル7,9−ジメチル−5−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イルアミノ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(100mg、246μmole)、NaH(23mg、鉱油中に60%、575.1μmole)およびTHF(9.2ml、24.6mmole)をバイアルに入れる(代替として、DMF中のカリウムtert−ブトキシドをNaHおよびTHFの代わりに使用できる)。反応混合物を室温で10分間撹拌する。3,5ビス(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(173.8mg、566.2μmole)を30分にわたって滴下する。約19時間後、NaH(10mg、60%鉱油)を加え、さらに1時間撹拌する。EtOAc(50mL)とブライン(2×25mL)との間に反応混合物を分配する。有機層を回収し、NaSOで乾燥させる。濾過し、次いで濾液を濃縮して、油状物を得る。その油状物をACN(50mL)とヘプタン(2×25mL)との間に分配する。CAN層を回収し、乾燥させて、標題化合物の油状物(189mg)を得る。
【0045】
調製例9
(S)−N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−7,9−ジメチル−N−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5−アミン(11)
MeOH(391mL,966mole)に溶解したギ酸アンモニウム塩(39.0g、618.0mmole)および10%Pd/C(3.91g)および(S)−ベンジル5−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボキシレート(39.1g、61.8mmole)を1Lのフラスコに入れる。得られたスラリーを室温で撹拌し、HPLCによりモニターする。反応が完了した後、濾過して固体を回収する。MeOH(100mL)で固体をリンスする。濾過溶液と有機洗浄物を合わせ、次いでNaSOで乾燥させる。濾過して、乾燥するまで濃縮する。MeOH(92mL)に溶解し、標題化合物の種晶を播種する。冷却し、一晩保存して、14.03g、45.5%の標題化合物を得る、HPLCにより99.92%ee。
【0046】
調製例10
(トランス)−メチル4−(((S)−5−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−イル)メチル)シクロヘキサンカルボキシレート(12)
オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、窒素入口を備えたフラスコに、(S)−N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−7,9−ジメチル−N−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5−アミン(5g、10.03mmole)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(3.19g、15.05mmole)およびアセトニトリル(40mL)を入れる。氷浴にフラスコを浸して約5℃以下までスラリーを冷却し、次いで約5℃に、または約5℃以下に反応混合物を維持しながら、シリンジによりTHF(10mL)に溶解した(トランス)−メチル4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレート(2.99g、17.57mmole、Houpis、I.N.ら、Tetrahedron Let.1993、34(16)、2593−2596およびJP49048639における手順に従って実質的に調製した)を加える。反応物を室温まで加温し、一晩撹拌する。NHCl(25mL、50%飽和水溶液)を加え、有機層から水層を分離する。有機層のpHは約5.5になるはずである。有機層を約45℃まで加温し、水(16mL)を加える。標題化合物の種晶を加え、約35℃まで冷却する。得られた固体を濾過により回収し、ACNでリンスする。乾燥させて5.80gの標題化合物を得る。
【化10】

【化11】

【0047】
調製例12
メチル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボキシレート
工程1:3000Lのグラスライニングリアクタを−0.08MPa未満まで排気し、次いで標準圧力までNを満たし、3回繰り返す。N下で、撹拌しながら2,4−ジメチルアニリン(300.0kg)およびトリエチルアミン(873.0kg)をリアクタに入れる。70〜75℃まで混合物を加温し、次いで70〜75℃の温度を維持しながら500Lの添加容器により20〜25kg/時間の速度でエチル4−ブロモブチレート(604.0kg)を加える。混合物を70〜75℃で2時間撹拌し、次いでGCにより反応完了を検査する。2つの連続した試料の2,4−ジメチルアニリンの含有量が3%未満であり、不純物の(エチル4−((2,4−ジメチルフェニル)(3−(プロピオニルオキシ)プロピル)アミノ)ブタノエート)の含有量が10%未満である場合、反応が完了したとみなす。56時間後、不純物の含有量が10%未満であるが、2,4−ジメチルアニリンの含有量が依然として3%より高いので、過剰な4−ブロモブチレート(6.0kg)を混合物に加え、次いで17.5時間後、2,4−ジメチルアニリンの含有量は依然として3%より高いが、反応をクエンチする。
【0048】
反応物を15〜25℃まで冷却し、2つの5000Lのグラスライニングリアクタに移す。各リアクタについて、水(1200.0kg)およびトルエン(1044.0kg)を加える。混合物を1時間撹拌し、分離前に1時間保持する。2つのリアクタの有機相を合わせ、水(1200.0kg×2)で2回洗浄する。トリエチルアミンが23%未満であることを確実にするために有機相をサンプリングする。
【0049】
画分が現れず、トリエチルアミンの重量%が0.1%未満になり、KFが1%未満になるまで、減圧下(−0.08MPa以下)で50〜60℃にて有機相を濃縮する。混合物を20〜30℃まで冷却し、生成物(エチル4[(2,4ジメチルフェニル)アミノ]ブタノエート)を工程2において直接使用する。
【0050】
ガスクロマトグラフ(GC):カラム:HP−5、30m長さ×0.32mmID×0.25μmフィルムまたはカラム等価物;キャリアガス:ヘリウムガス;流速1.90mL/分;ランタイム:22.5分;プログラム:初期温度:50℃(オン)および初期時間:2.00分;ランプ:1 レート:20 最終温度:260 最終時間:10.00;ランプ#2:0.0(オフ);注入温度250℃;検出温度:300℃。
【0051】
保持時間:1)(13.56分)エチル4[(2,4ジメチルフェニル)アミノ]ブタノエート;2)(17.40)エチル4−((2,4−ジメチルフェニル)(3−(プロピオニルオキシ)プロピル)アミノ)ブタノエート;3)(8.38分)2,4−ジメチルアニリン。
【0052】
工程2:トルエン(742.0kg)およびエチル4[(2,4ジメチルフェニル)アミノ]ブタノエート(171.0kg)を2000Lのグラスライニングリアクタに入れる。混合物を撹拌し、炭酸ナトリウム(77.0kg)を一部ずつ加える。20〜25℃に温度を維持し、18kg/時間の速度でクロロギ酸メチル(96.2kg)を加える。混合物を20〜25℃で撹拌し、GCにより1時間後モニターする。エチル4[(2,4ジメチルフェニル)アミノ]ブタノエートの含有量が1%未満である場合、反応が完了したとみなす。5000Lのグラスライニングリアクタに混合物を移し、トルエン(75kg)で2000Lをリンスする。20〜25℃に温度を維持しながら、360〜400kg/時間の速度でNaOH(87.2kg)、メタノール(934.0kg)および水(1482.0kg)の溶液を加える。次いで、55〜65℃まで混合物を加熱し、55〜60℃で撹拌する。1時間後、HPLCにより試料を検査して、エチル4[(2,4ジメチルフェニル)アミノ]ブタノエートのレベルを定量する。20〜30℃まで混合物を冷却し、1時間保持し、次いで分離する。929kgのメタノールが蒸留するまで減圧下(0.09MPa以下)で40〜50℃にて水相を濃縮する。
【0053】
15〜25℃まで混合物を冷却し、水(256.5kg)を加え、0.5時間撹拌し、ジクロロメタン(342.0kg×2)で抽出する。0〜5℃まで温度を下げ、維持し、40〜50kg/時間の速度で濃HCl(269.0kg)を加えて、pHを1〜2に調整する。15〜25℃まで混合物を加熱し、この温度を維持しながら1時間撹拌する。分離し、ジクロロメタン(684.0kg×2)で水相を抽出し、有機相を合わせる。0.5%HCl(342.0kg×2)で有機相を2回、次いで濃HCl(3.4×2kg)で2回洗浄する。画分が現れなくなるまで、減圧下(−0.08MPa以下;40〜50℃)で有機相を濃縮する。残留物(4−[(2,4−ジメチルフェニル)−メトキシカルボニル−アミノ]ブタン酸)(調製例11)にジクロロメタン(250.0kg)を加え、次の工程に直接使用する。190.0kg(407.4kg溶液);収率:98.5%;純度:97.8%。
【0054】
HPLC:カラム:Waters XTerra MS C18;4.6×150mm、3.5μm;230nm検出;1.0ml/分の流速;温度25℃;アイソクラチック移動相:A:ACN;B:HO+0.1%HPO(v/v)。保持時間:(13.86分)4−[(2,4−ジメチルフェニル)−メトキシカルボニル−アミノ]ブタン酸。
【0055】
工程3:−0.08MPa未満まで3000Lのグラスライニングリアクタを排気し、標準圧力まで窒素ガスを満たし、3回繰り返す。ジクロロメタン(1900.0kg)、4−[(2,4−ジメチルフェニル)−メトキシカルボニル−アミノ]ブタン酸(190.0kg)およびDMF(11.4kg)を入れ、撹拌する。−5〜0℃まで混合物を冷却し、この温度を維持しながら、18kg/時間の速度で塩化チオニル(85.3kg)を加える。−5〜0℃まで混合物を撹拌する。1時間後、HPLCにより反応をモニターし、4−[(2,4−ジメチルフェニル)−メトキシカルボニル−アミノ]ブタン酸の含有量が1%未満である場合、定量する。サンプリングのために、試料をメタノールに加え、HPLCにより評価する。画分が観測されなくなるまで、標準圧力下で40〜45℃にて混合物を濃縮し、次いで15〜25℃まで冷却する。次いで、画分が観測されなくなるまで、減圧下(−0.08MPa以下)で40〜45℃にて濃縮する。ジクロロメタン(1031.0kg)で希釈する。30〜35℃にてジクロロメタン(1030.0kg)および無水塩化アルミニウム6水和物(287.2kg)の溶液を滴下して加える。その後、35〜45℃で2時間混合物を撹拌し、次いでメチル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボキシレートの含有量が80%より高くなるまで、HPLCによりモニターする(混合物を取り、それをメタノールに加え、HPLCで検出するために送る)。その混合物を水(1140.0kg)および氷(570.0kg)の混合物でクエンチし、0〜10℃に温度を維持し、1時間撹拌する。15〜25℃まで混合物を加温し、0.5時間撹拌し、0.5時間保持し、分離する。水(814.0kg×2)で有機相を洗浄する。シリカゲル(380.0kg)を有機相に加え、混合物を1時間撹拌する。混合物を濾過し、ジクロロメタン(339.0kg)でケーキをリンスし、濾液を合わせる。150〜200Lの混合物が残るまで、減圧下(−0.08MPa以下)で40〜45℃にて濾液を濃縮する。
【0056】
ヘプタン(190.0kg)を加え、再利用水で15〜20℃まで混合物を冷却し、次いでブラインで0〜5℃まで冷却する。この温度で混合物を撹拌して結晶化する。混合物を濾過し、乾燥室において35〜40℃でフィルタケーキを乾燥させて、80.9kgのオフホワイトの固体を得る。HPLC97.9%。窒素の保護下で乾燥し、密閉した場所で保存する。
【0057】
HPLC手順:上記の2つの工程と同様。保持時間(14.71分)メチル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボキシレート。
【0058】
調製例13
メチル5,5−ジメトキシ−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボキシレート
工程4:窒素のブランケット下で周囲温度にてオーバーヘッドスターラーを備えた、メタノール(2.50L)中のメチル7,9−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボキシレート(1000g;1.00当量;4.04mole)およびトリメトキシメタン(9.10mole;995.42mL;965.55g)の溶液に、Amberlyst(商標)15(100g)を加える。50℃まで反応混合物を加熱し、その温度を1時間維持する。1時間後、反応を完了する。
【0059】
周囲温度まで反応混合物を冷却し、Amberlystビーズを濾過し、メタノール(500mL)でリンスする。カニューレをセットし、オーバーヘッド撹拌しながら、その溶液を0.1MのKOH溶液(1L)に加え、続いてHO(1500mL)を加える。20分間スラリーを撹拌し、次いでポリプロピレンパッドを備える32cmのセラミックフィルターを使用して濾過する。4×1Lの水でケーキを洗浄し、フィルター上に乾燥するまで置く。60℃にて一晩真空オーブン中で乾燥させる。一晩後、大きな塊を壊し、60℃にて一晩乾燥するまで継続する。乾燥後、粗物質を得る:1235g。5容積のヘプタン(6L)に粗固体を溶解し、70℃まで加熱し、70℃にて15分撹拌する。55℃まで溶液を冷却し、その時点で反応物を播種する。ゆっくりと冷却を継続すると、約45℃で生成物が現れ始める。室温までゆっくりと冷却を継続し、次いで一晩スラリーを撹拌する。生成物のスラリーをポリプロピレンパッドで濾過する。2×500mLのヘプタンでケーキをリンスする。フィルター上に乾燥するまで置き、次いで乾燥するまで(約4日)45℃にて真空オーブンに入れる。766g。HPLCにより99.9%純粋。
【0060】
HPLC:Zorbax Bonus−RP 50×4.6mm、1.8μm;2ml/分、40℃、12分にわたって10〜30%のACNから14分で95%、2分保持、溶出液の再平衡バランスは10mMのNHアセテートである。保持時間=13.77分。
【0061】
調製例14
メチル−(5S)−7,9−ジメチル−5−[(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボキシレート
工程5:1〜2時間、Nで乾燥させることにより水素リアクタを乾燥させることを確実にする。2−メチル−2H−テトラゾール−5−アミン(52.0g)、メチル5,5−ジメトキシ−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボキシレート(140.0g)、IrCl(COD)(0.080g)、TBAI(1.76g)、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸(2.2g)、および(S)−ジフルオルホス(0.163g)をリアクタに加える。リアクタに5psiの窒素を入れる。カニューレ/窒素によって600mLのトルエン(75分間、Nをスパージした)を加える。リアクタを20psiの窒素で2回パージし、圧力を5psi以下にさせない。リアクタに500psiの水素を入れ、115℃までゆっくりと加温する。この温度で一晩保持する。50℃まで冷却し、HPLC分析のためにサンプリングする。キラルHPLCのために、トルエンで試料を希釈し、炭酸水素ナトリウムで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ヘプタン/エタノールで希釈する。
【0062】
トルエン溶液を分液漏斗に注ぎ、140mLの酢酸エチルを加えて、全てを分液漏斗に入れ、後処理の間、全てを溶液中に維持する。この溶液を420mLの1MのNaOH溶液で洗浄する(有機層は濁り、水層は透明のように見える)。層を分離し、420mLのHOで有機層を洗浄する。大気圧にて有機層を1.5容積のトルエンまで蒸留する(2.5容積の全溶液が残っている)。溶液を60℃まで冷却し、700mLのヘプタン(約5V)を60℃にて3分にわたってゆっくりと加え、得られた透明の溶液を60℃にてオーバーヘッド撹拌(150rpm)しながら一晩加熱する。15分後、十分な固体が生じる。午前中に、スラリーを冷却し、濾過し、固体物質を回収し、60℃にて3時間、真空オーブン中で乾燥させる。126.97g、HPLC:99.4%純粋、キラルHPLC:94.6%ee。
【0063】
HPLC:Zorbax Bonus−RP 50×4.6mm、1.8μm;2ml/分、40℃、12分にわたって10〜30%のACNから14分で95%、2分保持、溶出液の再平衡バランスは10mMのNHアセテートである。保持時間=11.36分。
【0064】
キラルHPLC:Chiralpak IA 250×4.6分、2ml/分、40℃、11分間、5%のIPAから12分で50%のIPA、15分まで保持、15.1分で5%のIPAに戻す。20分間保持。保持時間=11.48分。
【0065】
調製例15
(5S)−7,9−ジメチル−N−(2−メチルテトラゾール−5−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−5−アミン
工程6:250mLのテフロン(登録商標)フラスコ中で、オーバーヘッド撹拌しながら、メチル−(5S)−7,9−ジメチル−5−[(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボキシレート(20.1g)、NaOH(12.10g)、およびエタノール(80mL)を合わせる。10分間、窒素でスパージし、約5.5時間還流(85℃)まで加熱する。冷水浴で室温まで冷却する。酢酸/水(17.5mL/53mL)を室温でゆっくりと加え、添加によってほぼ半分を500mLのフラスコに移す(添加について約30分の合計時間)。約5mgの(5S)−7,9−ジメチル−N−(2−メチルテトラゾール−5−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−5−アミンを播種する。50℃まで(約15分でこの温度まで)加熱する。約30分にわたって54mLの水を加える。次の日、氷浴で冷却し、濾過し、メタノール:水(1:1;2×30mL)でリンスする。60℃にて真空中で湿潤ケーキを乾燥させて、13.99gの(5S)−7,9−ジメチル−N−(2−メチルテトラゾール−5−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−5−アミンを得る。HPLC分析:99.4%、保持時間は4.84分である。キラルHPLC:98.5%のキラル純度。
【0066】
HPLC法:Zorbax SB−C8 75×4.6分、3.5μm、2mL/分、40℃、225nm波長、2分間、5%のアセトニトリル(ACN)から10分で95%のACN、1分間保持。
【0067】
キラルHPLC:Chiralpak AD−H 150×4.6分、5μm、1mll/分、30℃、ヘプタン中に均一濃度の50%エタノール。
【0068】
調製例16
(5S)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−7,9−ジメチル−N−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−5−アミン
工程7:Nの水面下の添加によって各溶液を飽和することによって反応物に添加する前に全ての液体からガスを抜く。窒素入口を備えた250mLのフラスコに、(5S)−7,9−ジメチル−N−(2−メチルテトラゾール−5−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−5−アミン(18.36mmole;5.00g)およびトルエン(15.00mL)を加える。トルエン中の0.5Mの溶液としてヘキサメチルジシラザンカリウム(19.28mmole;38.55mL)を30分にわたって滴下して加える。発熱を21.5℃まで観測する。反応混合物を30分間撹拌する。トルエン中の1Mの溶液として1−(クロロメチル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(25.71mmole;25.7mL)を30分にわたって加える。発熱を25.5℃まで観測する。室温にて16時間、反応混合物を撹拌する。水(2×20mL)で反応混合物を洗浄する。水層を合わせ、トルエン(1×25mL)で逆抽出する。トルエン層を合わせ、乾燥するまで濃縮し、水中の92mLの60%の1−プロパノールから残留物を再結晶する。0℃にて2時間、結晶化した生成物を撹拌し、濾過し、水中の10mLの50%の1−プロパノールでリンスする。単離された生成物を45℃にて真空中で乾燥させる。7.735g。HPLCは98.3%純度を示し、保持時間=10.62分である。
【0069】
勾配HPLC:カラムはZorbax Bonus RP5μm、4.6×150cmである、流量=2ml/分;波長=225nm;カラム温度=40℃;溶媒A=水;溶媒B=ACN;時間0分 85%A 15%B;12分 10%A 90%B;13分 10%A 90%B;13.5分 85%A 15%B。
【0070】
調製例17
メチル−トランス−4−{[(5S)−5−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ}−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル}シクロヘキサンカルボキシレート
工程12:(5S)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−7,9−ジメチル−N−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−5−アミン(3.40g、6.82mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロハイドレート(sodium triacetoxyborohydrate)(3.01g、13.64mmol)、およびACN(28mL)の懸濁液を、氷/アセトン浴中で−12℃〜−10℃まで冷却し、シリンジポンプ(0.66mL/分)によって30分にわたってトルエン(18.5mL)中の(トランス)−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレート(2.03g、11.93mmol)の溶液を加える。2時間、氷/アセトン浴中で反応物を撹拌し続ける。水中の44mLの10%(重量で)NH4Clを反応物に加え、室温で30分間撹拌する。撹拌を停止すると、2層が生じる。層を分離し、下にある有機層を1容積の溶媒に濃縮する。24mLのエタノールを加え、固体(または1容積)に濃縮する。24mLのエタノール、2mLの水を加え、60℃まで加熱する(依然として懸濁液である)。2mLの水を滴下して加える。懸濁液を室温まで冷却し、室温で一晩撹拌する。室温で一晩撹拌した後、懸濁液を0.5時間、−10℃まで冷却し、次いで濾過する。3mLの−10℃のEtOH:水(4:1)で濾過した固体を洗浄する。50℃にて真空オーブン中で一晩固体を乾燥させて、無色の固体として4.24gのメチル−トランス−4−{[(5S)−5−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ}−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル}シクロヘキサンカルボキシレートを得る。HPLCは99.75%純粋を示す。
【0071】
HPLC分析:Zorbax Bonus RP 150mm×4.6mm、3.5μm、30℃、260nm UV検出、流量:2.0mL/分、勾配:A=H2O中の0.05%TFA、B=ACN中の0.05%TFA;0分95%Aから30分0%Aから30.5分95%Aから35分95%A。23.33分でメチル−トランス−4−{[(5S)−5−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ}−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル}シクロヘキサンカルボキシレートが溶出し、23.05分でcis異性体が溶出する。
【0072】
調製例18
(トランス)−メチル−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレートの硫酸水素ナトリウムの付加
工程8:機械的撹拌器、ディスプレイを備えたサーモカップル、窒素入口、および乾燥管を備えた冷却管に12Lの3つ口丸底フラスコをつける。(トランス)−4−メトキシカルボニルシクロヘキサンカルボン酸(450g)をフラスコに入れる。ジクロロメタン(2.25L)をフラスコに入れ、窒素下で撹拌する。塩化オキサリル(CHCl(100mL)に364gを溶解した)を周囲温度で添加漏斗によりフラスコに加える。室温で10分間、反応混合物を撹拌する。触媒量のDMF(CHCl(10mL)に1.82gを溶解した)を周囲温度で添加漏斗によりフラスコに加える。20℃未満の温度で2時間、反応混合物を撹拌する。GC:[DBI 30m×0.25mm、0.5μ)により反応進行をモニターし、20℃未満の温度で撹拌溶液の試料を除去する。(トランス)−4−クロロカルボニルシクロヘキサンカルボキシレートの保持時間(Rt)=7.3分;(トランス)−4−メトキシカルボニルシクロヘキサンカルボン酸のRt=7.75分。出発物質である(トランス)−4−メトキシカルボニルシクロヘキサンカルボン酸が3.0%未満になった場合、反応が完了したとみなす。
【0073】
工程9:35℃未満の温度にて減圧下で反応混合物を濃縮する。蒸留物と共に過剰の塩化オキサリルを回収し、腐食剤トラップを使用して酸性蒸気が真空系に侵入するのを防ぐ。THF(2×900)と共に残留物を同時蒸発する。THF(4.5L)および2,6−ルチジン(321g)で残留物を希釈する。水素化オートクレイ(auto−clay)リアクタに移す。活性炭上の5%Pd{(THF(500mL)中で45gをスラリーにした)を反応混合物に入れる。2〜3回、窒素ガス(20〜30psi)でリアクタをパージする。2〜3回、水素ガス(20〜30psi)でパージする。30〜35℃で15時間、水素雰囲気下(50〜60psi)で反応物を撹拌する。15時間後、水素ガスを局所排気管に排出し、2〜3回、窒素ガス(20〜30psi)でリアクタをパージする。GCにより反応物をモニターする。(トランス)−メチル−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレートのRt=6.46分;(トランス)−4−クロロカルボニルシクロヘキサンカルボキシレートのRt=7.3分。(トランス)−4−クロロカルボニルシクロヘキサンカルボキシレートが1.0%未満になると、反応が完了したとみなす。
【0074】
窒素下でセライトパッドを通して反応混合物を濾過する。35℃未満の温度にて減圧下で大部分のTHF溶媒を濃縮する。MTBE(1.8L)で残留物を希釈し、分液漏斗に移す。水(2.25L)で有機溶液を洗浄し、層を分離する。MTBE(2×1.8L)で水相を逆抽出し、全ての有機層を合わせる。0.5Nの塩酸水溶液(1×2.25L)で洗浄する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1×2.5L)で有機相を洗浄する。ブライン溶液(1×2.5L)で有機相を洗浄する。硫酸マグネシウムで有機相を乾燥させ、ガラスファイバーフィルターパッド上で混合物を濾過する。35℃未満の浴温度にて減圧下で濾液を濃縮する。無色の油状物として粗物質を単離し、さらに精製せずに使用する。
【0075】
工程10:0.49gの亜硫酸水素ナトリウムを含有するバイアルに1mLの水を加える。バイアルを超音波処理器に入れて亜硫酸水素ナトリウムを溶解する。バイアルに5mLのTHFを加える(二相溶液が形成する−固体はなし)。このTHFの二相溶液および亜硫酸水素ナトリウム水溶液を、(トランス)−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレート(1g、5.88mmol)を含有する磁気撹拌器を備えた50mLのフラスコに加える(注意:(トランス)−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレートは約80%のみ純粋である。この理由は0.8当量のNaHSOを使用するからである)。さらに5mLのTHFで、1分以内に溶液を希釈し、非常に薄い結晶の塊が形成する。この結晶の塊を還流まで加熱する。3×5mLのTHFで混合物を希釈する。結晶は非常に綿状である。数時間室温で撹拌し、次いで濾過し、20mLのTHFでリンスし、1時間フィルター上で乾燥させる(1.27g)。40℃にて真空オーブン中で一晩乾燥させて、無色の固体として(トランス)−メチル−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレートの1.19gの亜硫酸水素ナトリウム付加物を得る。
【0076】
調製例19
(トランス)−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレート
工程11:(トランス)−メチル−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレート(3.92g、11.93mmol)の亜硫酸ナトリウム付加物を、炭酸ナトリウム(5.06g、47.72mmol)、トルエン(17mL)および水(33mL)の混合物に加え、室温で撹拌する。室温で1時間撹拌した後、層を分離し、15mLの水でトルエン層を洗浄する。工程12における(トランス)−4−ホルミルシクロヘキサンカルボキシレートを含有するこのトルエン溶液を使用する。
【実施例】
【0077】
実施例1
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸の無定形固体
(トランス)−メチル4−(((S)−5−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−イル)メチル)シクロヘキサンカルボキシレート(149mg)をフラスコに入れる。MeOH(6mL)および1.0NのNaOH(3.0mL)を加える。約60℃まで得られた混合物を加熱する。TLCにより反応物をモニターする。約7時間後、または開始エステルが反応した場合、約0℃まで混合物を冷却し、1NのHClでクエンチする。EtOAc(60mL)で混合物を希釈する。水(20mL)、ブライン(20mL)で混合物を連続して洗浄し、NaSOで乾燥させる。濾過し、濾液を濃縮する。CHClを用いてフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。溶媒を除去して、白色固体として標題化合物(125mg)を得る。
【0078】
実施例2
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸の無定形固体
機械的撹拌器、添加漏斗、およびサーモカップルを備えた500mLの3つ口フラスコに、水(265mL)を入れ、氷浴中で冷却する。第2のフラスコの40mLのアセトン中でBCCA(22.0g)を溶解し、添加漏斗により混合物を3つ口フラスコに加える。さらに4mLのアセトンでフラスコをリンスし、漏斗に加える。添加漏斗の内容物をフラスコに滴下して加え、約0〜1℃に温度を維持しながら、得られた混合物を撹拌する。得られた固体を回収し、水で2回洗浄し、次いで40℃にて一晩乾燥させて、22.3gの白色粉末を得る。
【0079】
実施例3
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物
オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、窒素入口を備えたフラスコを窒素でパージし、次いでフラスコ内で正の窒素雰囲気を維持しながら、(トランス)−メチル4−(((S)−5−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−イル)メチル)シクロヘキサンカルボキシレート(1.0kg、1.53mol)、MeOH(10L)、および2MのNaOH(1.53L、3.06mol)を加える。約68℃の還流まで得られた混合物を加熱する。約4時間後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌する。混合物を濾過し、濾液を回収する。MeOH:水の混合物(500ml 1:1v/v)を加え、次いで酢酸(260mL)をゆっくりと加えて沈殿を誘導する。BCCA、BCCA水和物およびBCCA・メタノール溶媒和物の混合物として得られた固体を回収する。40℃にてオーブン中で固体を乾燥させる。
【0080】
冷却器、サーモカップル、加熱マントルおよび機械的撹拌器を備えた2Lのフラスコに、BCCA固体物質(109gm)、MeOH(900mL)および水(10mL)を入れる。得られたスラリーを窒素雰囲気下で還流まで加熱する。固体を全て溶解した後、熱を取り除き、周囲温度まで混合物を冷却する。所望の場合、結晶形態におけるBCCA水和物の種晶を添加してもよい。固体物質を回収する。メタノール:水(9:1v/v、100mL)および水(1L)で固体を連続して洗浄する。約40℃にて真空中で固体を乾燥させて、100gの白色固体を得る。その後、イソプロパノール:水(1:1v/v 1L)で固体を再びスラリーにする。得られた固体を回収し、水(500mL)でリンスし、約40℃にて真空中で一晩乾燥させて、60gの標題化合物を得る。Karl Fisher分析 2.53%の水、元素分析:C3136O 理論値(%)C56.70、H5.83、N12.80 実測値(%):C56.59、H5.28、N12.55。
【0081】
固相NMR
100.622MHzの炭素周波数で作動し、Bruker 4mmの二重共鳴プローブ(K299552)を備えたBruker Avance II 400MHz NMR分光計を使用して、結晶形態における結晶性BCCA・水和物の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)NMR(固相NMRまたはSSNMR)スペクトルを得た。TOSS側波帯抑圧は、SPINAL64デカップリング(95.4ワット)およびRAMP100形状H核CPパルスを利用する交差分極と共に使用した。獲得パラメーターは以下の通りであった:2.50μsの90°プロトンr.f.パルス幅、接触時間は1.5msであり、20sのパルス繰り返し時間、5kHzのMAS周波数、30kHzのスペクトル幅、獲得時間は34msであり、走査数は3,844であった。13C SSNMR BCCA・水和物からの代表的な共鳴としては、175.6、168.0、145.6、144.8、143.5、139.9、136.3、132.8、132.1、129.2、127.3、126.2、122.7、121.0、61.1、53.0、49.8、45.0、40.2、38.7、31.4、30.4、29.0、27.8、27.0、21.2、18.3、+/−0.2ppmが含まれる。化学シフトは、別の実験においてアダマンタン(δ=29.5ppm)を参照標準とした。
【0082】
実施例4
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸水和物および結晶形態におけるエタノール溶媒和物
(トランス)−メチル4−(((S)−5−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−イル)メチル)シクロヘキサンカルボキシレート(12.95kg)、EtOH(129.5L)および2MのNaOH(9.9L、2当量)をフラスコに入れ、得られた混合物を約10分間撹拌し、その後、6時間、約40〜45℃まで反応混合物を加熱する。HPLCにより反応物をモニターする。その後、酢酸(3.75kg)、続いて水(15.5L)を加え、結晶形態においてBCCA・水和物を播種する。約2時間撹拌した後、室温まで反応混合物を冷却し、さらに2時間撹拌する。得られた固体を回収し、EtOH:水(1:1、2×26L)で固体を洗浄し、一晩乾燥させて、エタノール溶媒和物および水和物の混合物として15.87kg(湿潤)の標題化合物を得る。
【0083】
実施例5
結晶形態におけるトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸水和物
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸(15.87kg)および水(158.8L)をフラスコに入れる。室温にて2時間、得られた混合物を撹拌する。その後、得られた混合物を濾過して、固体を回収する。その固体を一晩乾燥させる。得られた固体を、2時間、約65〜70℃に加熱したMeOHに溶解して、透明な溶液を得た。透明な溶液を濾過し、次いで約0〜5℃まで濾液を冷却して、結晶化を誘導する。得られた結晶を回収し、一晩乾燥させる。水(158.8L)に結晶性物質を懸濁して、室温にて約2時間撹拌する。結晶性固体を回収し、40〜45℃にて高真空下で乾燥させて、Karl Fischer法で測定した場合、2.7〜3.1の間の水分含有量を示す固体を得る。
【0084】
実施例6
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸水和物の結晶化
オーバーヘッドスターラーを備えた250mLのフラスコに、エタノール(100mL)、(トランス)−メチル4−(((S)−5−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−イル)メチル)シクロヘキサンカルボキシレート(10.0g、15.32mmole)およびNaOH(2M、15.0mL、30.0mmole)を入れる。得られた混合物を約40℃まで加温し、約4時間、その温度で撹拌する。反応混合物を室温まで冷却する。酢酸(2.7mL、45.4mmole)を加え、40℃まで加温する。2.5時間にわたって水(40mL)をゆっくり加え、厚い白色のスラリーを得る。さらに1.5時間、加熱を続け、次いで室温までスラリーを冷却する。濾過により固体を回収し、エタノール:水(20mL、1:1)、水(20mL)で固体を連続して洗浄する。水(70mL)に固体を懸濁し、濾過により固体を回収し、次いで水(2×20mL)で固体を洗浄する。さらに2回、水スラリーに繰り返す。得られた固体を回収し、60℃にて乾燥させて、白色固体(6.1g)として標題化合物を得る。
【0085】
実施例7
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸水和物の結晶化
BCCA(60mg)をシンチレーションバイアルに入れ、1.5mlのMeOHを加える。約45℃まで透明な溶液を加熱する。100μLの水中の1.5モル当量のギ酸を加えて、白色懸濁液を形成する。その白色懸濁液に0.5mLのMeOHを加え、約55℃まで穏やかに加熱する。数時間後、室温まで懸濁液を冷却し、真空濾過により白色の結晶性固体を回収し、その固体を空気乾燥させる。溶液NMRによりこの結晶性固体の分析は、存在するいかなるギ酸溶媒も示さない。示差熱/熱重量分析により結晶性形態をさらに特徴付けることができ、その結晶性形態は、38〜133℃で2.6の割合の揮発性物質の含有物が損失することを示し、それはTGS−MSにより水であると決定し、81℃にて開始イベントを有する。
【0086】
示差熱/熱重量分析
示差熱/熱重量分析は、Mettler Toledo DTAおよびTGAユニット(モデルTGA/SDTA851)で実施する。50mL/分の窒素パージを加えながら、ピンホールを開けた密閉したアルミニウムパン中で10℃/分にて25℃から300〜350℃に試料を加熱する。TGA温度はインジウム/アルミニウム標品、MP=156.6℃および660.3℃で較正した。重量較正は、製造業者が供給している標品を用いて実施し、クエン酸ナトリウム脱水脱溶媒和に対して検証する。
【0087】
XRDスペクトログラフ分析
XRDスペクトルを、CuK線源(λ=1.54056、電力:40kV、50mA)およびVantec検出器を利用するBruker−AXS D4 Endeavor X線回折計を使用して収集した。0.009°2θのステップサイズおよび0.5秒のステップ当たりの時間を用いて4〜40°2θの範囲にわたってデータを収集した。方法:USP29<941>、変異誤差補正を内部標品の8.853°または17.759°2θピークを用いて行った。
【0088】
主要な2θピークのリストを以下の表1に与える。
【表1】

【0089】
任意の所定の結晶形態に関して、回折ピークの相対強度が、結晶形態などの要因から生じる好適な配向に起因して変化し得ることは結晶学分野において周知である。好適な配向の影響が存在する場合、ピーク強度は変化するが、多形体の特性ピーク位置は変化しない。例えば、The United States Pharmacopeia #23、National Formulary #18、1843−1844ページ、1995を参照のこと。さらに、任意の所定の結晶形態に関して、角ピーク位置はわずかに変化し得ることもまた、結晶学分野において周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析され、試料が置換される温度の変化、または内部標品の存在もしくは非存在に起因して変化し得る。この場合において、2θにおいて±0.2°のピーク位置の変化は、本発明の結晶塩の明確な同定を妨げずに、それらの潜在的変化を考慮に入れる。
【0090】
文献中の結晶形態を検索するための周知で認容されている方法は、「Fink」法である。Fink法は初期の検索のために4つの最も強いラインを使用し、その後、次の4つの最も強いラインを使用する。
【0091】
実施例8
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸メタノール溶媒和物
4mLのメタノールにBCCA(4グラム)を懸濁し、還流まで加熱する。約50mL以上のメタノールを加えて、わずかな懸濁液を生成する。室温まで混合物を冷却し、1日間保持する。真空濾過により固体生成物を単離し、メタノールチャンバに保存して、この準安定結晶形態を水分から保護する。
【0092】
実施例9
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸エタノール溶媒和物
数時間、10mLのエタノールにBCCA(3グラム)を懸濁する。真空濾過により固体生成物を単離し、エタノールチャンバに保存して、この準安定結晶形態を水分から保護する。
【0093】
実施例10
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸ギ酸溶媒和物
7mLのイソプロパノールにBCCAを溶解する。その溶液にギ酸(3mL)を加える。室温にて曇り点(4mL)まで水を加える。6時間、70℃まで懸濁液を加熱し、その後、室温まで冷却する。真空濾過により固体生成物を単離し、空気乾燥する。XRDスペクトルを実施例7に記載されるように収集した。以下の表2はXRDスペクトルから得たピークを記載する。
【0094】
【表2−1】

【表2−2】

【0095】
実施例11
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸酢酸溶媒和物
10mLのヘプタンに、トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸(1.5g)を懸濁する。50℃までその懸濁液を加熱する。1mLの酢酸を加えると、懸濁液は透明になる。10ml以上のヘプタンを加え、室温まで冷却する。真空濾過により固体生成物を単離し、空気乾燥する。XRDスペクトルを実施例7に記載されるように収集した。以下の表3はXRDスペクトルから得たピークを記載する。
【0096】
【表3−1】

【表3−2】

【0097】
実施例12
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム塩
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸水和物(20.16g)エタノールSDA 3A(200.94mL)を500mLのボトルに加える。磁気撹拌バーを使用して撹拌し、1Nの水酸化ナトリウム(31.95g)をゆっくりと加える。これは透明な溶液である。
【0098】
噴霧乾燥:噴霧乾燥器(Niro SD Micro Spray Dryer)を使用し、32.5kg/hrまでの乾燥ガス流速、2.8bar、2.0kg/hrまでの噴霧ガス流速、0.3bar、および入口温度(自動制御)115℃を使用する。入口温度が115℃になると、出口温度は安定化(109℃)し、噴霧器に対して83:17(w/w)のエタノール:水の流れが開始する。3.0のポンプ設定において、チャンバの壁/出口に液滴は当たらない。熱平衡−出口=104℃に系を到達させる。エタノール:水(室温で)からエタノール/水の溶液中の乾燥サンプルに移す。噴霧乾燥後、13.51gを得る。
【0099】
実施例13
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸マグネシウム塩
5mLのメタノールにトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム塩(2グラム)を溶解する。20mLの水に酢酸マグネシウム(335mg)を溶解する。強く撹拌しながら室温にて酢酸マグネシウム溶液を滴下して加え、続いて65℃まで加熱する。沈殿が生じる。高温にて、さらに10mLの水を加える。室温まで懸濁液を冷却し、真空濾過により固体生成物を単離し、水でリンスする。室温にて真空オーブン中で生成物を乾燥させる。
【0100】
BCCAのカルシウムおよび亜鉛塩は、BCCAマグネシウム塩の調製についてのものと類似の手順により調製できる。カリウム塩は、BCCAナトリウム塩の調製についてのものと類似の手順により調製できる。
【0101】
実施例14
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸tert−ブチルアミンイソプロピルアルコール(1:1:1)溶媒和物
機械的撹拌器、サーモカップルコントローラー、添加漏斗、および加熱マントルを備えた1Lの3つ口丸底フラスコをセットする。トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸水和物(50g)をヘプタン(500mL)に懸濁する。69.1℃までスラリーを加熱し、イソプロピルアルコール(70mL)中の溶液としてtert−ブチルアミン(5.57g)を加え、5mLのさらなるイソプロピルアルコールでリンスする。添加後すぐに、溶液が形成する。添加の間、温度は63℃まで下がるが、添加が完了すると、温度は69℃まで戻る。トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル−シクロヘキサンカルボン酸tert−ブチルアミンをスパチュラの先端で播種する。懸濁液が形成し始め、69℃で撹拌を継続する。55℃まで反応物を冷却し始める。約1時間で、厚いスラリーが形成する。45℃まで冷却を継続する。約1時間で、スラリーの温度は35℃まで下がる。約2時間で、熱源を取り除き、周囲温度まで冷却する。約3時間で、スラリー(ここで温度は21℃である)を濾過し、100mLのヘプタンでリンスする。約1.5時間、真空を使用して乾燥させる。33℃にて真空中で週末にわたって乾燥させる。これにより、55.9gを得る。XRDスペクトルを、実施例7に記載されているように収集した。以下の表4はXRDスペクトルから得たピークを記載する。
【0102】
【表4−1】

【表4−2】

【0103】
実施例15
結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸ヘミtert−ブチルアミン塩ヘミエタノール(2:1:1)溶媒和物
機械的にオーバーヘッド撹拌しながら、トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸水和物(50.5g)をヘプタン(404.00mL)に懸濁する。エタノール(25.25mL)を加え、55℃まで加熱する。溶液が形成する。55℃にてtert−ブチルアミン(2.81g)を加える。トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸ヘミtert−ブチルアミンヘミエタノール(2:1:1)溶媒和物を播種し、種晶を持続する。温度を50℃に維持する。60℃まで発熱して数分以内でかなり厚いスラリーが形成する。撹拌を継続し、50℃に戻すまで冷却する。約5.5時間後、加熱を止め、周囲温度まで冷却する。約3時間で、濾過し、母液の一部でフラスコの外でリンスし、次いで100mLのヘプタンでケーキをリンスする。45℃にて真空中で一晩乾燥させる。50.9g。XRDスペクトルを、実施例7に記載されているように収集した。以下の表5はXRDスペクトルから得たピークを記載する。
【0104】
【表5−1】

【表5−2】

【0105】
実施例16
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物
スキーム3の工程13
室温にて、メチル−トランス−4−{[(5S)−5−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ}−7,9−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル}シクロヘキサンカルボンキシレート(12.95kg)を2MのNaOH溶液(9.9L)に加え、反応物を10分間撹拌する。40℃〜45℃にて6時間、反応物を撹拌する。HPLCにより反応物をモニターする。混合物に酢酸(3.75kg)、続いて水(1.2容積)を加え、BCCA・水和物を播種し、40℃〜45℃にて2時間撹拌する。反応混合物に水(2.8容積)を加え、40℃〜45℃にて2時間撹拌する。室温まで反応混合物を冷却し、2時間撹拌し、濾過する。固体を回収し、エタノール:HO(1:1;2×2容積)で洗浄し、圧力フィルターで一晩乾燥させる。これにより、工程2において使用するための15.87kgの固体物質を得る。
【0106】
工程1の固体物質にメタノールを加え、65℃〜70℃にて2時間撹拌して、透明な溶液を得る。光沢物をプレート圧力フィルターで二次リアクタに濾過し、濾液を0℃〜5℃にて2時間撹拌し、濾過し、圧力フィルターで一晩乾燥させる。室温にて2時間、水(10容積)中で再結晶した固体を撹拌し、濾過し、圧力フィルターで乾燥させる。40℃〜45℃にて高真空下にてオーブン中で、Karl Fisher分析により約2.7〜3.1%の水まで乾燥させる。これにより、11.80kgの物質を得る。
Karl Fisher分析=3.16%
ポジティブモードにおけるES−APIによる質量分析=639.30;ネガティブモードにおいて637.20。
【0107】
化学安定性
以下の表5は、BCCA遊離酸の化学安定性ならびに以下に化合物13、14、15、および16とそれぞれ番号を付け直した国際公開第06/002342号に開示されている選択された実施例31、89、153、および175のものを記載する。以下のデータは、化合物13、14、および16に示すものより著しく高い水性の酸性媒質の増加した安定性を示すことにより、BCCA遊離酸が有益な特性を与えることを実証する。BCCA遊離酸についてのこの増加した酸安定性は教示されておらず、国際公開第06/002342号を考慮しても予測できない。
【0108】
【表6−1】

【表6−2】

【0109】
試料調製物
1)ACN中に化合物ストック:0.9mg/mL;2)100μLストック+700μLのACN+1mL培地(0.1NのHCl、50mMのPO、pH8、および0.3%のH);3)加熱した(40℃)オートサンプラーにバイアルを入れ、16または24時間、4時間間隔で注入する。
【0110】
クロマトグラフィーオートサンプラー条件
カラム:Alltech Alltima Phenyl、3μm、4.6×150mmまたはWaters XTerra MS C18、3.5μm、4.6×150mm カラム温度:50℃、注入量:10μL。検出:226、254または266nm(化合物に応じて)におけるUV。流速:1.5mL/分。移動相:50%水/50%ACN中に0.1%TFA(化合物ピーク保持時間約5分を維持するためにACNの%を調整するために必要であり得る)。最終試料濃度0.05mg/mL;ACN含有量44%。
【0111】
比較のために、雄のSprague DawleyラットにおけるCETP阻害化合物のIVおよびPO薬物動態の決定
以下に記載するのは、交差研究計画において、雄のSprague Dawleyラット(n=4)に対する、化合物の単一の1mg/kgの静脈内ボーラス投与または3mg/kgの経口投与後の経口バイオアベイラビリティを含む、薬物動態パラメーターを決定することである。静脈内ビヒクルは、20%のソルトール(solutol)マイクロエマルション/80%の純粋である。経口ビヒクルは、ポビドンUSP10%/SLS0.5%/QS純粋である。静脈内において、投与後、腕の血液試料を、0.08、0.25、0.5、1、2、5、8、12、および24時間に収集する。経口において、投与後、腕の血液試料を、0、0.25、0.5、1、2、5、8、12、および24時間に収集する。遠心分離により血漿を得て、氷上に置き、生物学的分析のために、氷上で試料を、Bioanalytical Systems,Inc.(BASi;West Lafayette,IN)に輸送するまで凍結させる。BCCAの濃度をLC/MS/MSにより定量し、有効なソフトウェアプログラム(Watson、Version7.1)を使用して薬物動態パラメーターを算出する。BCCAのバイオアベイラビリティを評価するために、化合物の溶解を促進するために超音波処理を用いるか、または用いないで各々使用される、精製水中の1%w/vのナトリウムカルボキシメチルセルロース、0.25%w/vのポリソルベート80(Tween80)および0.05% 0.05%のDow Corning Antifoam 1510−US、または精製水中の精製水中の1%w/vのナトリウムカルボキシメチルセルロース、0.5%w/vのラウリル硫酸ナトリウム、および0.05% 0.05%のDow Corning Antifoam 1510−USを含む、他のビヒクルを使用してもよい。
【0112】
以下の表7のデータは、BCCA遊離酸が、化合物15(国際公開第06/002342号における実施例153)によって示されるものより4倍高いバイオアベイラビリティを示す有益性を与えることを実証する。この増大したバイオアベイラビリティは教示されておらず、国際公開第06/002342号を考慮して予測できない。
【0113】
【表7】

【0114】
アッセイ
本発明の化合物および/または方法の有用性および効果を実証する以下のアッセイプロトコルおよびその結果(複数も含む)は、例示の目的のために与えられ、決して限定することを意図するものではない。
【0115】
インビトロでのCETP阻害アッセイ:SPAアッセイ
インビトロでのシンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用して、HDLとLDLとの間の放射性標識したコレステロールエステルの移動を阻害する本発明の化合物の能力を評価する。このアッセイは、CETP源によるHDL(Amersham)からビオチン化LDL(Amersham)への[H]コレステロールエステルの移動の阻害をモニターする。このアッセイについてのCETP源は、ヒトCETPを発現するために作製されているAV−12細胞により産生され得る。放射性標識したコレステロールエステルを、HEPES−NaClベースの緩衝液に移し、30分のインキュベーション後、反応を停止させ、ビオチン化LDLをストレプトアビジン/シンチラントコーティングしたSPAビーズ(Amersham)に結合する。完全にオープンのウィンドウ設定でPackard 96ウェルシンチレーションTopCounterにおいて放射性シグナルを測定する。標準物と比べて、LDLからの放射性シグナルの低下は、CETPの活性を阻害する化合物の能力を示す。
【0116】
代替として、このアッセイにおいて、放射性標識したコレステロールエステルの移動を媒介するために他のCETP源を使用してもよい。例えば、ヒト血漿由来の内因性CETP、ヒトCETPを発現するマウス由来のCETP、およびハムスター由来の内因性CETPを、このアッセイにおけるCETP源として使用してもよい。
【0117】
このアッセイにおいて、HEPES−NaClベースの緩衝液以外の緩衝液を使用してもよい。例えば、ヒト血漿、マウス血漿またはアルブミン中に多く存在するTris緩衝液を使用してもよい。
【0118】
このアッセイにおいて、CETP活性をトラックするために放射活性の他の源が使用されてもよいことは、当業者により理解されるだろう。
【0119】
さらに、このアッセイにおいて、放射性標識したLDLが使用されてもよい。
【0120】
このアッセイによるHDLとLDLとの間の放射性標識したコレステロールエステルの移動を阻害するBCCAの能力を以下の表8に記載する。
【0121】
CETP活性のインビボアッセイ
内因性CETPを発現する、Syrian Goldenハムスターを使用して、インビボでの化合物の活性を評価する。79.5%のコーンオイル、20%のオレイン酸、0.5%のLubrafilビヒクルにおいて30mpk用量で試験化合物を、ヒトCETPを発現するトランスジェニックマウス(雌または雄のCETPおよびApo A1ヘテロ接合体マウス、Taconic,Germantown,NY)の系統に経口投与する。4時間〜48時間の範囲の投与後の様々な時間において、血液/血漿を得ることができる。このアッセイにおいて、処置動物からの血漿をCETP源として使用する変更をして、インビトロでのCETP活性アッセイについての上記と同様の方法によってCETP活性を定量できる。
【0122】
このアッセイによるBCCAのインビボでの活性を以下の表8に記載する。
【0123】
血漿中脂質のインビボアッセイ
インビボでの本発明の化合物の活性は、所定量のCETP含有動物種における化合物による対照に対してHDLコレステロールの上昇レベルを比較することによって評価できる。CETP活性のインビボアッセイについての上記のように試験化合物を投与する。投与後、4時間〜24時間の範囲の様々な時間において、血液を得る。血液を凝固させ、遠心分離により凝固血液から血清を得る。血清中のHDLコレステロールレベルは、臨床化学分析器(Roche/Hitachi,Indianapolis,IN)と共にHDL−Cおよび試薬(Roche/Hitachi,Indianapolis,IN)を使用する公知の手順により定量できる。さらなる血清脂質は酵素法により分析できる。沈殿またはサイズ排除クロマトグラフィー後、VLDL、LDLおよびHDL画分中の脂質を酵素法により分析する。非晶質BCCAの投与後8時間におけるHDLコレステロールレベルの上昇の例を以下の表8にまとめる。
【0124】
【表8】

【0125】
処置方法
本明細書で使用する場合、用語「有効量」とは、心臓血管疾患に起因する様々な病的状態の症状を軽減できる、本発明の化合物、すなわち非晶質BCCA、BCCA・溶媒和物、BCCA塩・溶媒和物および/もしくは結晶形態におけるBCCA・水和物またはそれらの組み合わせの量を意味する。心臓血管疾患の例としては、限定されないが、冠状動脈性心臓病、脳卒中、関節硬化症、脂質異常症、低い高密度リポタンパク質(HDL)、高コレステロール血症、および末梢血管疾患が挙げられる。
【0126】
本発明に従って投与される化合物の特定の用量は、例えば、限定されないが、投与される化合物、投与経路、患者の状態、および担当医により決定される処置される病的状態を含む、事例に関する特定の状況により決定できる。典型的な日用量は、約10mg〜約750mg/日の本発明の化合物を含む。好ましい日用量は、通常、約30mg〜約600mg/日、さらにより好ましくは約50〜約300mg/日である。
【0127】
本発明の化合物は様々な経路によって投与されてもよい。好ましくは、本発明の化合物は、錠剤、固体またはゲルが充填されたカプセル、粉末、溶液または懸濁液に製剤化される。
【0128】
本発明の医薬製剤は、周知および容易に入手可能な成分を使用して当該技術分野において公知の手順により調製できる。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に受容可能」とは、製剤の他の成分と適合し、それらの受容者に有害でない、1つ以上の担体、希釈剤、賦形剤および塩を指す。医薬組成物およびそれらを調製するためのプロセスは当該技術分野において公知であり、Remington,「The Science and Practice of Pharmacy」(A.Gennaroら,eds.第19版,Mack Publishing Co.)において例が見出され得る。かかる製剤に適している薬学的に受容可能な担体、賦形剤、および希釈剤の非限定的な例としては、以下:デンプン、糖、マンニトール、およびシリカ誘導体;カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、およびポリビニル−ピロリドンなどの結合剤;グリセロールなどの保湿剤;炭酸カルシウムおよび炭酸水素ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶解を遅らせるための剤;第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;セチルアルコール、グリセロールモノステアレートなどの界面活性剤;カオリンおよびベントナイトなどの吸着性担体;ならびにタルク、カルシウム、およびステアリン酸マグネシウム、および固体ポリエチルグリコールなどの滑沢剤が挙げられる。一形態において、医薬製剤は、マンニトール、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含み、さらに、約2〜約21%w/wの間の範囲で薬物物質、BCCA、BCCA遊離酸、BCCA水和物または結晶形態におけるBCCA水和物を含んでもよい。
【0129】
従って、本発明の別の態様は、本発明によって提供される化合物の薬学的に受容可能な塩である。薬学的塩の例は、S.M.Bergeら,「Pharmaceutical Salts」,J.Phar.Sci.,66:1−19(1977)および「A Handbook of Pharmaceutical Salts Properties,Selection,and Use」,Wermuth,C.G.およびStahl,P.H.(eds.)Verlag Helvtica Chimica Acta,2002(それらは本明細書に組み込まれる)に見出され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸である化合物もしくは組成物、水和物、または前記化合物の薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)2θにて7.5、9.2、10.7、および15.5+/−0.2;または
(b)2θにて7.5、9.2、10.7、13.8、15.0、15.5、および19.5+/−0.2;または
(c)2θにて7.5、9.2、10.7、13.8、11.3、15.0、15.5、17.7、19.5、および25.1+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)175.6、168.0、61.1、21.2、および18.3+/−0.2ppm;または
(b)175.6、168.0、145.6、144.8、61.1、45.0、21.2、および18.3+/−0.2ppm;または
(c)175.6、168.0、145.6、144.8、139.9、136.3、61.1、53.0、49.8、45.0、21.2、および18.2+/−0.2ppmにてアダマンタン(δ=29.5ppm)を参照標準とするピークを含む固相NMRスペクトルにより特定される、結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の実質的に純粋なトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸、水和物、または結晶形態の水和物を含む組成物。
【請求項6】
実質的に純粋な結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物を含む請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
約80%よりも多い結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物を含む請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸、またはその薬学的に受容可能な塩;および
水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ギ酸、及び酢酸から選択される溶媒和物を含む組成物。
【請求項9】
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸、またはその薬学的に受容可能な塩、および溶媒和物が、約1:0.3から約1:1+/−0.2(酸または塩:溶媒和物)の間のモル比にある、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
(a)2θにて5.5、9.0、14.3、22.0、および22.5+/−0.2;または
(b)2θにて5.5、9.0、14.3、17.5、18.2、19.4、20.6、22.0、および22.5+/−0.2;または
(c)2θにて5.5、9.0、13.2、13.6、14.3、15.2、17.5、18.2、19.4、19.8、20.6、22.0、および22.5+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・ヘミ−tert−ブチルアミン塩・ヘミエタノール溶媒和物である請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
(a)2θにて15.4、16.9、18.2、および18.6+/−0.2;または
(b)2θにて15.4、15.7、16.9、18.2、18.6、19.5、22.8、25.7、および25.5+/−0.2;または
(c)2θにて13.0、13.9、15.4、15.7、16.9、16.4、18.2、18.6、19.5、20.8、22.8、25.7、および25.5+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・ギ酸溶媒和物である請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
(a)2θにて12.9、15.1、18.4、19.4、および20.8+/−0.2;または
(b)2θにて12.9、13.8、15.1、16.4、17.8、18.4、19.4、20.1、および20.8+/−0.2;または
(c)2θにて11.0、12.9、13.8、15.1、15.6、16.4、17.8、18.4、19.4、20.1、20.8、および21.7+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・酢酸溶媒和物である請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
(a)2θにて5.6、11.3、12.6、および17.9+/−0.2;または
(b)2θにて5.6、8.0、11.3、12.6、17.9、20.4、および24.1+/−0.2におけるピークを含むCuKα線源(λ=1.54056Å)から得られた粉末X線回折パターンにより特定される、結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・tert−ブチルアミン塩・イソプロパノール溶媒和物である請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
該薬学的に受容可能な塩についてのカチオンは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、及びtert−ブチルアンモニウムから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物または組成物、および、薬学的に受容可能な担体、賦形剤または希釈剤のうちの少なくとも1つを含む、医薬組成物。
【請求項16】
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物を含む請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
結晶形態のトランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸・水和物を含む請求項15および16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
循環器疾患を治療する必要のある患者においてその循環器疾患を治療する方法であって、請求項15から17のいずれか一項に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項19】
医薬として使用するための請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物または組成物。
【請求項20】
治療において使用するための請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物または組成物。
【請求項21】
循環器疾患の治療に使用するための請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物または組成物。
【請求項22】
トランス−4−[[(5S)−5−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−7,9−ジメチル−1H−1−ベンゾアゼピン−1−イル]メチル]−シクロヘキサンカルボン酸、またはその薬学的に受容可能な塩を調製する方法であって、該方法は、式IIの化合物
【化1】

(式中、Rは、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル、フェニル、及びC1−5アルキルフェニルから選択される)を脱エステル化して、式Iの化合物
【化2】

またはその薬学的に受容可能な塩を得ることを含む、方法。
【請求項23】
式IIIの化合物
【化3】


【化4】

と縮合して、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩を得ることを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
以下に示した構造
【化5】

(式中、Rは、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル、フェニル、及びC1−5アルキルフェニルから選択される)を有する化合物。
【請求項25】
以下に示した構造
【化6】

を有する化合物。

【公表番号】特表2012−532106(P2012−532106A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517814(P2012−517814)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/040125
【国際公開番号】WO2011/002696
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】