説明

トランスミッションオイル挙動試験方法およびその試験装置

【課題】実車走行しないでトランスミッションのオイルの挙動を簡便かつ精度良く再現する。
【解決手段】トランスミッションオイル挙動試験方法は、実車のトランスミッション(2)の測定点(3)に加速度センサを取り付け、この実車を走行させて、測定点に加わる慣性力および重力に関するデータを加速度センサで計測して、トランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きの時系列データを取得し、ついで、トランスミッションを揺動可能な試験台(12)に設置し、時系列データに基づいて、トランスミッションに対する合力のベクトル方向が鉛直方向に向くように、試験台に設置されたトランスミッションを測定点を中心として揺動させて、トランスミッションに加わる重力(g)のトランスミッションに対する方向が、実車走行時のトランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きと一致するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスミッションのオイルパンに溜められたオイルの挙動を再現・検証するトランスミッションオイル挙動試験方法およびその試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オートマチックトランスミッションのオイル(作動油)は、オイルパンに溜まっており、このオイルをオイルポンプで吸い上げて圧力を高めて、クラッチの作動油、回転部の潤滑、および、回転部の冷却に使用されている。ところで、車両の急発進・急停止時などに、オイルポンプの吸込口付近のオイルが一瞬なくなり、オイルポンプがエアーを吸い込む現象(いわゆる、エアー吸い現象)が発生することがある。このエアー吸い現象が発生すると、オイルポンプからのオイルの圧力が低下し、クラッチの接続が一瞬できなくなると言う不具合が発生する。この瞬間的な現象は、これまで、実車の走行実験で再現・検証する方法が取られている。
【0003】
実車の走行実験で行われる理由は、トランスミッションに加わる前後加速度などを実験室内でより忠実に再現するためには、トランスミッションを40m程度走行させる必要があり、設置スペースなどのコスト負担が大きいためである。
【0004】
一方、トランスミッションを搭載した様々の車種がある中で、ある特定の車種における現象を特定するには、その搭載車両の準備から走行試験までを含めると厖大なコストと時間が掛かる。そこで、簡便な方法で、実験室内でエアー吸い現象の再現・検証を行うことができるトランスミッションオイル挙動試験方法を提供することが要望されている。
【0005】
また、従来のトランスミッションの潤滑特性試験装置が、特開2001−281106号公報(特許文献1)に記載されている。このトランスミッションの潤滑特性試験装置は、実験室内で用いられ、トランスミッションの角度を変更することができる。しかしながら、トランスミッションの後方側に離れた場所を中心として、トランスミッションは揺動されている。また、このトランスミッションの潤滑特性試験装置は、実車の走行実験におけるトランスミッションのオイルパンのオイルの挙動の再現を精度良く行う点に関しては、配慮されていない。
【特許文献1】特開2001−281106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、エアー吸い現象などを再現するためには実車の走行実験を行う必要があり、コスト負担が大きい点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトランスミッションオイル挙動試験方法は、オイルパン(6)を具備するトランスミッション(2)に測定点(3)を設定し、
実車(1)のトランスミッションの測定点に加速度センサ(8,9)を取り付け、この実車を走行させて、前記測定点に加わる慣性力および重力に関するデータを前記加速度センサで計測して、トランスミッションに対する慣性力および重力の合力(G)のベクトルの向きの時系列データを取得し、
ついで、トランスミッションを揺動可能な試験台(12)に設置し、
前記時系列データに基づいて、前記トランスミッションに対する前記合力のベクトル方向が鉛直方向に向くように、試験台に設置されたトランスミッションを前記測定点を中心として揺動させて、試験台に設置されたトランスミッションの前記測定点に加わる重力(g)のトランスミッションに対する方向が、前記実車走行時のトランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きと一致するようにする。
【0008】
また、測定点が、トランスミッションのオイルパンまたはその付近であることがある。
そして、トランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きのデータは、トランスミッションの左右方向の軸に垂直な面内におけるものであり、試験台は、トランスミッションの測定点を通る左右方向の軸線を揺動中心軸線としており、これを中心として揺動することがある。
【0009】
さらに、加速度センサは、上下方向加速度センサおよび前後方向加速度センサで構成されていることがある。
【0010】
本発明のトランスミッションオイル挙動試験装置(11)は、試験台を揺動中心軸線を中心として揺動させる試験台揺動用駆動装置(17)と、
前記試験台の上方に設けられたトランスミッション設置スペース(21)と、
前記トランスミッション設置スペースに設置されたトランスミッションの入力軸を回転駆動するトランスミッション回転駆動モータ(27)とを備え、
前記揺動中心軸線が、前記トランスミッション設置スペースに設置されたトランスミッションを貫いている。
【0011】
また、揺動中心軸線が、トランスミッションの入力軸よりも下方に位置していることがある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、試験台に設置されたトランスミッションを測定点を中心として揺動させて、試験台に設置されたトランスミッションの測定点に加わる重力のトランスミッションに対する方向が、実車走行時のトランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きと一致するようにしているので、実車走行時のトランスミッションの測定点に加わる力の向きを、実車走行せずに精度良く簡便に再現することができる。その結果、力の向きに大きく影響されるオイル液面の挙動を精度良く、再現・検証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実車走行しないで、トランスミッションのオイルの挙動を簡便に再現するという目的を、試験台に設置されたトランスミッションを測定点を中心として揺動させて、試験台に設置されたトランスミッションの測定点に加わる重力のトランスミッションに対する方向を、実車走行時のトランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きと一致させることで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明におけるトランスミッションオイル挙動試験方法およびその試験装置の一実施例について、図1ないし図7を用いて説明する。図1は本発明におけるトランスミッションオイル挙動試験装置の斜視図である。図2はトランスミッションオイル挙動試験装置の側面図である。図3は実車の加速時の説明図である。図4は前後方向加速度センサおよび上下方向加速度センサの検出値のグラフである。図5は試験台上のトランスミッションの説明図である。図6は試験台に加えられる傾斜角度の変化のグラフである。図7は制御装置の入出力図である。なお、図7は制御装置に入出力される主な要素のみが図示されている。
また、この明細書において、トランスミッションの前後方向は、トランスミッションの設置構造に係わらず、車両の進行方向とする。
【0015】
図3において、まず、始めに、実車1のトランスミッション2に測定点3を設定する。より具体的には、トランスミッション2のオイルパン6付近に設定する。そして、この測定点3に、前後方向加速度センサ8および上下方向加速度センサ9を固定する。この加速度センサ8,9は、トランスミッション2の測定点3に加わる慣性力および重力に反応する。この慣性力および重力の合力Gを、以下、「合成慣性力」と呼ぶ。前後方向加速度センサ8は、合成慣性力Gのベクトル成分の内、トランスミッション2の前後方向における成分である前後Gxを検出し、また、上下方向加速度センサ9は、合成慣性力Gのベクトル成分の内、トランスミッション2の上下方向における成分である上下Gzを検出する。そして、加速度センサ8,9の取り付けられた実車1を実際に走行させて、加速度センサ8,9の計測データを時系列的に取得する。
【0016】
図3に図示するように、トランスミッション2が前方に加速されている際には、前後方向加速度センサ8は、前方への加速度により発生する慣性力を前後Gxとして検知し、また、上下方向加速度センサ9は上下Gzとして重力加速度を検知する。そして、実走行では、実車1は上下動、ピッチングなど複雑な動きをするが、この様な複雑な動きをしている場合でも、図4に図示するように、前後方向加速度センサ8は、合成慣性力の前後Gxを時間軸データとして検出し、また、上下方向加速度センサ9は、合成慣性力Gの上下Gzを時間軸データとして検出する。
【0017】
また、取得した加速度センサ8,9のデータにより、合成慣性力Gの大きさおよびその向きθの時間軸データが下記のようにして求められる。
トランスミッション2の横軸に垂直な面における合成慣性力Gの大きさは、〔(前後Gxの二乗)+(上下Gzの二乗)〕の平方根である。
また、トランスミッション2の横軸に垂直な面におけるトランスミッション2の上下方向に対する向きθは、(前後Gx/上下Gz)のアークタンジェント(tan-1)であり、図4に図示する前後Gxおよび上下Gzの変動に基づく、合成慣性力Gのベクトルの向きθの変化を図6に図示する。
【0018】
ついで、実験室内で、トランスミッション2のオイルの挙動を再現するが、忠実に再現するには、上述のように、トランスミッション2を40m程度走行させる必要があり、設置スペースなどのコスト負担が大きくなる。そこで、設置スペースなどのコスト負担が小さくなるように、トランスミッション2を走行させずに、オイルパン6のオイルの液面を極力精度良く再現する。合成慣性力Gがオイルに働くと、そのオイルの液面は、合成慣性力Gのベクトルの向きに垂直になるように付勢される。そのため、合成慣性力Gのベクトルの向きは、トランスミッション2のオイルの液面に大きな影響を与える。したがって、実験室内のトランスミッションオイル挙動試験装置11では、合成慣性力Gのベクトルの向きを精度よく再現する。
【0019】
実験室内のトランスミッションオイル挙動試験装置11の試験台12には、測定点3を中心として揺動可能に、トランスミッション2が設置されるが、このトランスミッションオイル挙動試験装置11の構造を図1および図2を用いて説明する。
【0020】
左右の揺動軸13を各々回動可能に支持する支持台14が左右両側に設けられている。揺動軸13に固定された揺動レバー16には、試験台揺動用駆動装置として油圧シリンダ17の一端が取り付けられており、油圧シリンダ17が伸縮すると、揺動レバー16を介して、揺動軸13が回動する。左右の揺動軸13には試験台支持部19が各々固定されており、この試験台支持部19は揺動軸13から垂下している。この試験台支持部19の下端部は試験台12の左右両側を支持する。また、試験台12の上方には、左右の揺動軸13の間の空間に、トランスミッション2を設置するトランスミッション設置スペース21が形成されている。そして、試験台12上には、トランスミッション2の一端を支持するトランスミッション支持台26および、トランスミッション回転駆動モータ27が設けられている。回転駆動モータ27の出力軸28は、トランスミッション支持台26に回転可能に設けられた駆動軸29を、ベルト31を介して回転駆動する。駆動軸29は、トランスミッション2の入力軸に接続されており、駆動軸29が回転すると、トランスミッション2の入力軸が連動して回転する。
【0021】
トランスミッションオイル挙動試験装置11の制御装置36には、図7に図示するように、その出力側に、油圧シリンダ17、回転駆動モータ27およびトランスミッション2などが接続されている。そして、制御装置36には、傾斜角度制御信号、モータ回転数信号および変速タイミング信号などが入力される。
【0022】
この様に構成されているトランスミッションオイル挙動試験装置11のトランスミッション支持台26にトランスミッション2を取り付け、トランスミッション2をトランスミッション設置スペース21に配置する。試験台12の揺動の揺動中心軸線は、左右の揺動軸13の中心軸線同士を結ぶ線上にあり、設置されたトランスミッション2の測定点3を左右方向に貫通している。トランスミッションオイル挙動試験装置11においては、測定点3には重力gのみが加わっている。そして、トランスミッション2を角度α傾けて、重力gのトランスミッション2に対する向きが、トランスミッション2に対する合成慣性力Gの向きと同じになるようにする。すなわち、実車走行時のトランスミッション2に対する合成慣性力Gのベクトルの向きが鉛直方向となるように、試験台12上のトランスミッション2を傾斜させる。さらに言い換えると、トランスミッションオイル挙動試験装置11のトランスミッション2に加わる重力gのベクトル成分の内、トランスミッション2の上下方向における成分が上下gzで、トランスミッション2の前後方向における成分が前後gxであるが、重力gと上下gzとのなす角度が、実車1の走行試験時の合成慣性力Gと上下Gzとのなす角度θとなるように、トランスミッション2を傾斜させる。そして、重力gと上下gzとのなす角度が、実車1の走行試験時の合成慣性力Gと上下Gzとのなす角度θと一致した際には、トランスミッション2の傾斜角度αは角度θと一致する。
【0023】
トランスミッション2を傾ける角度αは、試験台12の傾きαと同じ値で、この傾きαの変動が、図6に図示する角度θの変動と同じになるように、制御装置36に傾斜角度制御信号を入力し、油圧シリンダ17を稼働させて、試験台12を傾斜させる。傾斜角度制御信号は、図6に図示する角度θの変動に基づいて生成され、そして、試験台12の傾きαの変動と図6に図示する角度θの変動との差を少なくするために、イタレーションなどにより調整されて、決定される。
【0024】
制御装置36に入力されるモータ回転数信号は、実車1の走行時にエンジンの回転数の時間軸のデータを取得し、このエンジン回転数に基づいて決定される。また、制御装置36に入力される変速タイミング信号は、実車1の走行時における変速タイミングの時間軸のデータを取得し、この実車走行時の変速タイミングのデータに基づいて決定される。
【0025】
そして、トランスミッションオイル挙動試験装置11で、実車1の走行時のトランスミッション2のオイルの挙動を再現・検証する場合には、トランスミッション2をトランスミッション支持台26に取り付ける。この取り付けの際には、試験台12の揺動中心軸線(すなわち、左右の揺動軸13の回動中心を結ぶ線)がトランスミッション2の測定点3を貫通するように、トランスミッション2を固定する。また、トランスミッション2の左右方向が試験台12の揺動中心軸線と平行となるようにする。
【0026】
そして、制御装置36に傾斜角度制御信号を入力して、油圧シリンダ17により、試験台12を揺動させて、重力gのベクトル方向とトランスミッション2の上下gz(トランスミッション2の上下方向)とのなす角度が、実車1の走行時の角度θと同様に変化するようにさせる。また、制御装置36にモータ回転数信号を入力して、回転駆動モータ27により、トランスミッション2の入力軸を実車1の走行時と同じ回転で回転させる。さらに、制御装置36に変速タイミング信号を入力して、トランスミッション2を、実車1の走行時と同じタイミングで変速させる。
【0027】
この様にして、測定点3を中心としてトランスミッション2を揺動させて、測定点3におけるトランスミッション2に対する合成慣性力(慣性力および重力の合力)Gの向きを精度良く再現することができる。そして、この合成慣性力Gの向きは、トランスミッション2のオイルパン6のオイルの液面の傾きに大きな影響を与えるので、実験室内のトランスミッションオイル挙動試験装置11でトランスミッション2のオイルの挙動を簡便に再現・検証することができる。
【0028】
ところで、トランスミッション2の揺動中心軸が測定点3からずれると、トランスミッション2を揺動させた際に、測定点3には重力以外に、揺動による慣性力が働き、測定点3におけるトランスミッション2に対する合成慣性力Gの向きを再現することが困難となる。
【0029】
また、オイルパン6のオイルの挙動を見るためには、オイルパン6またはその付近に、測定点3を設定することが好ましい。
ただし、揺動周期が遅い場合には、スロッシング現象(すなわち、液面共振現象)が発生するが、測定点3をオイルパン6またはその付近に設定すると、オイルパン6のオイルに前後方向の慣性力が働かず、スロッシング現象が発生しにくい。そこで、揺動周期が遅い場合には、揺動中心(すなわち、測定点3)をずらして、前後方向の慣性力を与えて、スロッシング現象を促進することが好ましい。なお、ずらす方向は、上下方向が好ましい。
【0030】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(1)測定点3におけるトランスミッション2に対する慣性力および重力の合力の向きのデータを取得することができるならば、加速度センサ8,9の構造や配置は適宜変更可能である。
(2)前記実施例では、加速度センサ8,9は前後方向加速度センサ8と上下方向加速度センサ9とで構成されているが、左右方向加速度センサと上下方向加速度センサ9とで構成することも可能である。この左右方向加速度センサは、トランスミッション2の左右方向に加わる合成慣性力(すなわち、合成慣性力の左右方向の成分)を検出する。このようにすると、コーナリング時などにおけるオイルパンのオイルの挙動を再現することができる。なお、この場合には、トランスミッション2は、試験台12に、図1に図示した状態から90°回転した状態で設置される。
【0031】
(3)前記実施例では、トランスミッションは縦置き(すなわち、トランスミッションの入力軸の軸線が車両の前後方向になるように設置)であるが、トランスミッションの配置は適宜変更可能で、たとえば、横置き(すなわち、トランスミッションの入力軸の軸線が車両の左右方向になるように設置)とすることも可能である。そして、トランスミッションが横置きの場合でも、この明細書では、車両の進行方向をトランスミッションの前後方向と規定している。
(4)測定点3を、トランスミッション2のオイルパン6またはその付近からずらす際には、そのずらす方向は、上下方向が好ましいが、前後方向にずらすことも可能である。
(5)試験台12を揺動させる手段は、油圧シリンダ17に限定されず、他の駆動手段でも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
試験台に設置されたトランスミッションを測定点を中心として揺動させて、試験台に設置されたトランスミッションに加わる重力のトランスミッションに対する方向が、実車走行時のトランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きと一致するようにしているので、実車走行時のトランスミッションの測定点に加わる力の向きを、実車走行せずに精度良く簡便に再現することができる。その結果、力の向きに大きく影響されるオイル液面の挙動を精度良く、再現・検証することができる。したがって、特に、トランスミッションにおけるエアー吸い現象などを再現するための、トランスミッションオイル挙動試験方法およびその試験装置に適用することが最適である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明におけるトランスミッションオイル挙動試験装置の斜視図である。
【図2】図2はトランスミッションオイル挙動試験装置の側面図である。
【図3】図3は実車の加速時の説明図である。
【図4】図4は前後方向加速度センサおよび上下方向加速度センサの検出値のグラフである。
【図5】図5は試験台上のトランスミッションの説明図である。
【図6】図6は試験台に加えられる傾斜角度の変化のグラフである。
【図7】図7は制御装置の入出力図である。
【符号の説明】
【0034】
G 慣性力および重力の合力(合成慣性力)
g 重力
1 実車
2 トランスミッション
3 測定点
6 オイルパン
8 前後方向加速度センサ
9 上下方向加速度センサ
11 トランスミッションオイル挙動試験装置
12 試験台
17 油圧シリンダ(試験台揺動用駆動装置)
21 トランスミッション設置スペース
27 回転駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルパンを具備するトランスミッションに測定点を設定し、
実車のトランスミッションの測定点に加速度センサを取り付け、この実車を走行させて、前記測定点に加わる慣性力および重力に関するデータを前記加速度センサで計測して、トランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きの時系列データを取得し、
ついで、トランスミッションを揺動可能な試験台に設置し、
前記時系列データに基づいて、前記トランスミッションに対する前記合力のベクトル方向が鉛直方向に向くように、試験台に設置されたトランスミッションを前記測定点を中心として揺動させて、試験台に設置されたトランスミッションの前記測定点に加わる重力のトランスミッションに対する方向が、前記実車走行時のトランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きと一致するようにすることを特徴としているトランスミッションオイル挙動試験方法。
【請求項2】
前記測定点が、トランスミッションのオイルパンまたはその付近であることを特徴としている請求項1記載のトランスミッションオイル挙動試験方法。
【請求項3】
前記トランスミッションに対する慣性力および重力の合力のベクトルの向きのデータは、トランスミッションの左右方向の軸に垂直な面内におけるものであり、
前記試験台は、前記トランスミッションの測定点を通る左右方向の軸線を揺動中心軸線としており、これを中心として揺動することを特徴としている請求項1または2記載のトランスミッションオイル挙動試験方法。
【請求項4】
前記加速度センサは、上下方向加速度センサおよび前後方向加速度センサで構成されていることを特徴としている請求項1,2または3記載のトランスミッションオイル挙動試験方法。
【請求項5】
試験台を揺動中心軸線を中心として揺動させる試験台揺動用駆動装置と、
前記試験台の上方に設けられたトランスミッション設置スペースと、
前記トランスミッション設置スペースに設置されたトランスミッションの入力軸を回転駆動するトランスミッション回転駆動モータとを備え、
前記揺動中心軸線が、前記トランスミッション設置スペースに設置されたトランスミッションを貫いていることを特徴としているトランスミッションオイル挙動試験装置。
【請求項6】
前記揺動中心軸線が、トランスミッションの入力軸よりも下方に位置していることを特徴としている請求項5記載のトランスミッションオイル挙動試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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