説明

トランス及びこれを備えるディスプレイ装置

【課題】本発明は、トランスに関し、より詳細には、漏れインダクタンスを最小化できるトランスに関する。
【解決手段】本発明の実施形態によるトランスは、多数のコイルがそれぞれ配置され巻線される本体部と上記本体部の両端から外径方向に拡張されるフランジ部とを備える巻線部と、上記巻線部に結合されるコアと、を含み、上記本体部の一端に形成される上記フランジ部は少なくとも一つの引出溝を含み、上記コイルは上記引出溝を介して上記巻線部の外部に引き出されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスに関し、より詳細には、漏れインダクタンスを最小化できるトランスに関する。
【背景技術】
【0002】
TV(Television)、モニター(Monitor)、PC(Personal Computer)、OA(Office Automation)機器等の各種電子機器は、多種多様な電源を必要とする。したがって、このような電子機器には、一般的に、外部から供給される交流電源を各電子応用機器に必要な電源に変換させる電源供給装置が備えられる。
【0003】
近年では、電源供給装置のうちスイッチングモードを利用する電源供給装置(例えば、Switch Mode Power Supply;SMPS)が主に用いられており、このようなSMPSは基本的にスイッチングトランスを備える。
【0004】
一般的に、スイッチングトランスは、25〜100KHzの高周波発振で85〜265Vの交流電源を3〜30Vの直流電源に変換させる。したがって、50〜60Hzの周波数発振で85〜265Vの交流電源を3〜30Vの交流電源に変換させる一般的なトランス(Transformer)に比べ、コア(Core)及びボビン(Bobbin)のサイズを大幅縮小させることができる上、低電圧、低電流の直流電源を電子応用機器に安定的に供給することができることから、最近、小型化の傾向にある電子応用機器に幅広く用いられている。
【0005】
このようなスイッチングトランスは、漏れインダクタンスが小さく設計されてこそエネルギー変換効率が高い。しかしながら、スイッチングトランスの小型化に伴い、漏れインダクタンスが小さいスイッチングトランスを設計することが容易ではない実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、小型のスイッチングトランスを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、漏れインダクタンスを最小化できるトランスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によるトランスは、多数のコイルがそれぞれ配置され巻線される本体部と上記本体部の両端から外径方向に拡張されるフランジ部とを備える巻線部と、上記巻線部に結合されるコアと、を含み、上記本体部の一端に形成される上記フランジ部は少なくとも一つの引出溝を含み、上記コイルは上記引出溝を介して上記巻線部の外部に引き出されることができる。
【0009】
本発明の実施形態において、上記巻線部の一端から一定距離離隔して形成され、多数の外部接続端子が締結される端子締結部を含むことができる。
【0010】
本発明の実施形態において、上記巻線部と上記端子締結部との間の空間に形成され、上記コイルのリード線が挿入されて上記外部接続端子に配置されるリード線引出部を含むことができる。
【0011】
本発明の実施形態において、上記巻線部は、 本体部の外周面に形成される少なくとも一つの隔壁によって多数の巻線空間が形成されることができる。
【0012】
本発明の実施形態において、上記隔壁は少なくとも一つの飛越溝を備え、上記コイルは上記飛越溝を介して上記隔壁を飛び越えて巻線されることができる。
【0013】
本発明の実施形態において、上記リード線引出部には、上記端子締結部又は上記フランジ部から突出される少なくとも一つの案内突起が形成されることができる。
【0014】
本発明の実施形態において、上記引出溝は、上記本体部の外周面が露出されるように上記フランジ部の一部が切開されて形成されることができる。
【0015】
本発明の実施形態において、上記本体部の一端に形成される上記フランジ部は、上記本体部と隣接する部分から上記引出溝の幅が拡張される形態に形成される拡張溝を含むことができる。
【0016】
本発明の実施形態において、上記拡張溝は、角部が面取り加工されて形成されることができる。
【0017】
本発明の実施形態において、上記本体部の一端に形成される上記フランジ部は、上記引出溝が形成された方向に沿って面積が拡張されて残りの上記フランジ部より広い面積で形成されることができる。
【0018】
本発明の実施形態において、 上記端子締結部は上記コアの外部に露出されるように形成されることができる。
【0019】
本発明の実施形態において、上記端子締結部は、上記コアの厚さに対応して上記巻線部の一端から離隔して配置されることができる。
【0020】
本発明の実施形態において、上記コイルは、多数の1次コイルと、多数の2次コイルと、を含むことができる。
【0021】
本発明の実施形態において、上記コイルは、上記多数の1次コイルの間に上記多数の2次コイルが介在されるように積層され巻線されることができる。
【0022】
本発明の実施形態において、上記1次コイルは、多重絶縁コイルであることができる。
【0023】
本発明の実施形態において、上記多数のコイルの少なくとも一つは、多重絶縁コイルであることができる。
【0024】
本発明の実施形態において、上記多重絶縁コイルは、上記巻線部に積層され巻線される上記コイルの最内側又は最外側の少なくともいずれか一側に配置されることができる。
【0025】
本発明の実施形態によるディスプレイ装置は、上記トランスの少なくとも一つが基板上に実装されて形成される電源供給部と、上記電源供給部から電源が供給されるディスプレイパネルと、上記ディスプレイパネルと上記電源供給部を保護するカバーと、を含んで構成されることができる。
【0026】
本発明の実施形態において、上記トランスの上記コイルは、上記電源供給部の上記基板と平行に巻線されることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるトランスは、ボビンの巻線空間が多数に均一に分割され、この分割された空間にそれぞれの個別コイルが均一に分散されて巻線される。また、それぞれの個別コイルは、積層状に巻線される。
【0028】
これにより、巻線部内で個別コイルがいずれか一方に偏って巻線されるか又は不均一に離隔されて巻線されることを防止することができるため、不規則なコイルの巻線によって生じる漏れインダクタンスを最小化することができる。
【0029】
また、本発明によるトランスは、1次コイル及び2次コイルの少なくともいずれか一つに対して多重絶縁電線を用いることができる。この場合、多重絶縁電線の高絶縁性によって、別途の絶縁膜(例えば、絶縁テープ)なしに1次コイルと2次コイルとの絶縁も確保することができる。
【0030】
したがって、従来、1次コイルと2次コイルとの間に介在されていた絶縁テープを省略し、絶縁テープを付着する工程を全て省略することができるため、製造コスト及び製造時間を減らすことができる。
【0031】
特に、本発明によるトランスは、全ての個別コイルを多重絶縁コイルで構成せず、一部の個別コイルのみを多重絶縁コイルで構成し、相互間の電圧差が大きい個別コイルの間に多重絶縁電線が介在されるようにコイルを積層配置するため、多重絶縁電線を最小限に用いながらも個別コイル間の絶縁性の確保が可能となり、製造コストを減らすことができる。
【0032】
また、本発明によるトランスは、自動化された製造方法に適するように構成されることを特徴とする。より詳細には、本発明によるトランスは、手作業でコイルの間に巻かれて介在されていた従来の絶縁テープを省略することができる。
【0033】
絶縁テープを用いる従来の場合は、ボビンにコイルを巻線した後、絶縁テープを手作業で付着し、再度コイルを巻線する方法を繰り返して行ったため、多くの製造時間とコストが必要とされている。
【0034】
しかしながら、本発明によるトランスは、絶縁テープの付着過程が省略されるため、自動巻線設備を用いてボビン上に個別コイルを連続的に積層巻線することができる。したがって、製造時に必要とされるコストと時間を大幅減らすことができるという長所がある。
【0035】
また、本発明によるトランスは、コイルが端子締結部の上部面のみならず下部面を介しても外部接続端子と連結されることができる。したがって、より多様な経路を介してコイルのリード線が外部接続端子に締結されることができるため、リード線間の接触によって短絡が発生する問題を防止することができる。
【0036】
また、本発明によるトランスは、コイルのリード線が巻線部内に配置されず、引出溝を介して巻線部の外部に直接引き出される。したがって、巻線部の内部にコイルが均一に巻線されることができ、コイルの屈曲等によって生じる漏れインダクタンスを最小化することができる。
【0037】
また、本発明によるトランスは、ボビンにリード線飛越部が備えられる場合、リード線が外部に露出されることを最小化することができるため、リード線が外部と物理的に接触して破損されることを防止することができる。
【0038】
また、本発明によるトランスが基板に実装される場合、トランスのコイルは基板と平行に巻線された状態が維持される。このように、コイルが基板と平行に巻線される場合、トランスから生じる漏れ磁束が外部と干渉することを最小化することができる。
【0039】
したがって、薄型のディスプレイ装置にトランスが装着されても、上記トランスから発生する漏れ磁束とディスプレイ装置のバックカバー間に干渉が発生することを最小化することができるため、トランスによってディスプレイ装置から騒音が発生することを防止することができる。よって、薄型のディスプレイ装置にも容易に採用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態によるトランスを概略的に示す斜視図である。
【図2a】図1に示されるトランスのボビンを概略的に示す斜視図である。
【図2b】図2aに示されるボビンの下部面を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2のボビンを概略的に示す平面図である。
【図4】図3のA−A'線に沿う断面図である。
【図5】図3のB−B'線に沿う断面を部分的に示す図である。
【図6】図3のA−A'線に沿う断面を部分的に示す図である。
【図7a】図5に示されるコイルの巻線方法を説明するための図である。
【図7b】図5に示されるコイルの巻線方法を説明するための図である。
【図7c】図5に示されるコイルの巻線方法を説明するための図である。
【図7d】図5に示されるコイルの巻線方法を説明するための図である。
【図7e】図5に示されるコイルの巻線方法を説明するための図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるトランスを示す斜視図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態によるトランスを示す斜視図である。
【図10a】図9に示されるトランスの側面を示す斜視図である。
【図10b】図9に示されるトランスの側面を示す斜視図である。
【図11】図9に示されるボビンの下部面を概略的に示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態による平板ディスプレイ装置を概略的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の詳細な説明に先立って、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に解釈されるべきではなく、発明者が自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に基づいて本発明の技術的思想に適う意味と概念で解釈されるべきである。したがって、本明細書に記載の実施形態及び図面の構成は、本発明の最も好ましい実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて説明するものではないため、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があることもあるということを理解すべきである。
【0042】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳述する。但し、添付の図面において同一構成要素はできる限り同一符号で示し、本発明の要旨を不明にする可能性がある公知の機能及び構成に関する詳細な説明は省略する。同様に、添付の図面において一部の構成要素は誇張、省略又は概略的に示されており、各構成要素のサイズは実際のサイズを完全に反映するものではない。
【0043】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図1は、本発明の実施形態によるトランスを概略的に示す斜視図であり、図2aは、図1に示されるトランスのボビンを概略的に示す斜視図であり、図2bは、図2aに示されるボビンの下部面を概略的に示す斜視図である。また、図3は、図2のボビンを概略的に示す平面図であり、図4は、図3のA−A'線に沿う断面図である。
【0045】
図1から図4を参照すると、本発明の実施形態によるトランス100は、絶縁型スイッチングトランスであり、ボビン10とコア40とコイル50とを含んで構成される。
【0046】
ボビン10は、コイル50が巻線される巻線部12と、巻線部12の一端に形成される端子締結部20と、を含む。
【0047】
巻線部12は、管状に形成される本体部13と、本体部13の両端から外径方向に拡張されるフランジ部15と、を含むことができる。
【0048】
本体部13の内部には、コア40の一部が挿入される貫通孔11が形成され、本体部13の外周面には、本体部13の長さ方向に沿って空間を分割する少なくとも一つの隔壁14が形成されることができる。この際、隔壁14によって区分されるそれぞれの空間には、コイル50が巻線されることができる。
【0049】
本実施形態による巻線部12は、一つの隔壁14を備える。これにより、本実施形態による巻線部12は、二つの分割された空間12a、12bを備える。しかしながら、本発明は、これに限定されず、必要に応じて様々な数の隔壁14によって様々な数の空間を形成して利用することができる。
【0050】
また、本実施形態による隔壁14には、特定空間12a(以下、上部空間)に巻線されたコイル50が隔壁14を飛び越えて隣接する他の空間12b(以下、下部空間)に巻線されることができるように、少なくとも一つの飛越溝14aが形成される。
【0051】
飛越溝14aは、本体部13の外部面が露出されるように隔壁14の一部が完全に切開される形態に形成されることができる。また、飛越溝14aの幅は、コイル50の厚さ(即ち、直径)より広い幅で形成されることができる。飛越溝14aは、後述する端子締結部20の位置に対応して二つが形成されることができる。
【0052】
このような本実施形態による隔壁14は、分割された空間12a、12b内にコイル50を均一に配置して均一に巻線するために備えられる。したがって、その形態を維持できれば、様々な厚さ及び材質で形成されることができる。
【0053】
一方、本実施形態では、隔壁14がボビン10と一体に形成される場合を例に挙げているが、本発明はこれに限定されず、別体に形成されてボビン10に結合されるように構成する等の多様な応用が可能である。
【0054】
このような本実施形態による隔壁14は、フランジ部15とほぼ同じ形状に形成されることができる。
【0055】
フランジ部15は、本体部13の両端、即ち、上端部と下端部から外径方向に拡張される形態に突出して形成される。本実施形態によるフランジ部15は、形成位置によって上部フランジ部15aと下部フランジ部15bとに区分されることができる。
【0056】
また、本体部13の外周面と上部フランジ部15aと下部フランジ部15bとの間に形成される空間は、コイル50が巻線される巻線空間12a、12bで形成される。したがって、フランジ部15は、巻線空間12a、12bに巻線されるコイル50を両側面から支持する役割を行うと共に、外部からコイル50を保護し外部とコイル50との絶縁性を確保する役割を行う。
【0057】
一方、トランス100を薄型に形成するためには、ボビン10のフランジ部15の厚さが最大限薄く形成されることが好ましい。しかしながら、ボビン10が絶縁性材質である樹脂材質で形成される場合、フランジ部15が非常に薄く形成されると、その形状を維持することができず曲がってしまう問題が生じることがある。
【0058】
したがって、本実施形態によるボビン10は、フランジ部15の曲がりを防止しフランジ部15の剛性を補強するために、フランジ部15の外部面に絶縁リブ19を備えることができる。
【0059】
絶縁リブ19は、二つのフランジ部15a、15bの外部面に全て形成されることができ、必要に応じていずれか一方のみに選択的に形成されることができる。
【0060】
本実施形態では、絶縁リブ19が上部フランジ部15aと下部フランジ部15bの外部面にそれぞれ形成される場合を例に挙げている。この際、絶縁リブ19は、コア40に対応する形状、即ち、コア40の側面に沿って砂時計状に突出されるように形成されることができる。また、コア40は、絶縁リブ19の間に配置され、ボビン10と結合されることができる。
【0061】
このように、絶縁リブ19がコア40の形状に沿って形成される場合、絶縁リブ19は、コア40がボビン10に結合される時にコア40の位置を案内する役割をすると共に、ボビン10に巻線されたコイル50とコア40との絶縁を確保する機能をする。
【0062】
したがって、絶縁リブ19は、トランス100のコア40の厚さと類似した厚さに突出されることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、コイル50とコア40間の沿面距離(creepage distance)に対応して絶縁リブ19の突出距離を設定する等の多様な応用が可能である。
【0063】
一方、高剛性の材質でボビン10を形成することにより、絶縁リブ19が形成されなくてもフランジ部15が曲がることなくその形状を維持する場合、絶縁リブ19は省略されることができる。
【0064】
また、本実施形態によるボビン10は、上部フランジ部15aに少なくとも一つの貫通溝17が形成されることができる。貫通溝17は、巻線部12に巻線されるコイル50の巻線状態を目視にて確認するために備えられる。したがって、コイル50の巻線状態を確認する必要がない場合、貫通溝17は省略されることができる。
【0065】
このような貫通溝17は、後述する飛越溝14aと引出溝25の位置及び形状に対応して形成されることができる。即ち、飛越溝14a、引出溝25及び貫通溝17は、垂直方向(Z方向)に一直線上に配置されるように形成されることができる。よって、作業者や使用者は、貫通溝17を介してそれぞれの巻線空間12a、12b内にコイル50が巻線された状態を容易に把握することができる。
【0066】
端子締結部20は、下部フランジ部15bに形成されることができる。より詳細には、本実施形態による端子締結部20は、絶縁距離を確保するために、下部フランジ部15bから外径方向に突出される形態に形成されることができる。
【0067】
しかしながら、本発明は、これに限定されず、下部フランジ部15bの下部方向に突出されるように形成することもできる。
【0068】
一方、図を参照すると、本実施形態による端子締結部20は、下部フランジ部15bから部分的に拡張される形態に形成されるため、下部フランジ部15bと端子締結部20とを明確に区分することが困難である。したがって、本実施形態では、下部フランジ部15b自体が端子締結部20として理解されることもできる。
【0069】
このような端子締結部20には、後述する外部接続端子30が外部に突出される形態に締結されることができる。
【0070】
また、本実施形態による端子締結部20は、1次側の端子締結部20aと2次側の端子締結部20bとを含んで構成されることができる。図1を参照すると、本実施形態では、1次側の端子締結部20aと2次側の端子締結部20bが下部フランジ部15bの露出された両端からそれぞれ拡張されて形成される場合を例に挙げている。しかしながら、本発明は、これに限定されず、いずれか一方の端に並んで形成されるか又は隣接する位置に形成されるように構成する等の多様な応用が可能である。
【0071】
さらに、本実施形態による端子締結部20は、巻線部12に巻線されるコイル50のリード線Lを外部接続端子30に案内するために、案内溝22と引出溝25と案内突起27とを備えることができる。
【0072】
案内溝22は、端子締結部20の一面、即ち、上部面に形成される。案内溝22は、それぞれの外部接続端子30が配置された位置に対応してそれぞれ分離された多数の溝で形成されることができ、図示されているように一体型の一つの溝状に形成されることができる。
【0073】
また、図示されてはいないが、案内溝22は、外部接続端子30と連結されるリード線Lが端子締結部20の角部で折れ曲がることを最小化するために、底面と角部が一定の角度で傾斜するように形成されるか又は曲面で形成(例えば、面取り加工、chamfer)されることができる。
【0074】
引出溝25は、図2bに点線で示すように、巻線部12に巻線されるコイル50のリード線Lが端子締結部20の下部に引き出される場合に利用される。このため、本実施形態による引出溝25は、本体部13の外部面が露出されるように端子締結部20と下部フランジ部15bの一部を完全に切開する形態に形成されることができる。
【0075】
また、引出溝25は、1次コイル51と2次コイル52の厚さ(即ち、直径)より広い幅で形成されることができる。
【0076】
特に、本実施形態による引出溝25は、前述した隔壁14の飛越溝14aに対応する位置に形成される。より詳細には、引出溝25は、飛越溝14aが下側方向に投影される位置で飛越溝14aの幅とほぼ同じ幅で形成されることができる。
【0077】
このような引出溝25は、飛越溝14aと同様に、端子締結部20の位置に対応して二つが形成されることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、必要に応じて多様な位置に多数形成されることができる。
【0078】
また、本実施形態による引出溝25は、本体部13と隣接する位置から溝の幅が拡張される形態に拡張溝25aが形成されることができる。
【0079】
拡張溝25aは、引出溝25より広い幅で形成される。この際、引出溝25と拡張溝25aとの境界部分は、直角をなすか又は突起状に突出されるように形成されることができる。これにより、拡張溝25aに配置されるリード線Lは、引出溝25に容易に移動しないようになり、拡張溝25aの側壁を支持しその配置方向が転換されることができる。
【0080】
本実施形態では、引出溝25から両方向に幅が拡張される形態に拡張溝25aが形成される場合を例に挙げているが、本発明はこれに限定されず、必要に応じていずれか一方向のみに拡張されるように形成するか又は一つではなく多数の拡張溝25aを形成する等の多様な応用が可能である。
【0081】
このような拡張溝25aは、下部、即ち、端子締結部20の下部面と連結される角部が面取り加工(chamfer)等によって傾斜面や曲面で形成されることができる。これにより、拡張溝25aを介して引き出されたリード線Lが拡張溝25aの角部によって折れ曲がることを最小化することができる。
【0082】
このような本実施形態による引出溝25と拡張溝25aは、トランス100の駆動時に生じる漏れインダクタンスを最小化するために導出された構成である。
【0083】
従来技術によるトランスの場合、一般的に、コイルのリード線が、コイルが巻線された空間の内部壁面に沿って外部に引き出されるように構成され、これにより、巻線されたコイルがそのコイルのリード線と接触するように構成された。
【0084】
よって、コイルは、リード線と接触する部分で屈曲が形成されるように巻線され、このようなコイルの屈曲、即ち、不均一な巻線は、漏れインダクタンスを増加させる結果をもたらした。
【0085】
しかしながら、本実施形態によるトランス100は、コイル50のリード線Lが巻線部12内に配置されず、引出溝25と拡張溝25aを介して巻線された位置から垂直方向に沿って巻線部12の外部、即ち、端子締結部20の下部に直接引き出される。
【0086】
したがって、巻線部12の内部に巻線されるコイル50が全体的に均一に巻線されることができ、上述したコイル50の屈曲等によって生じる漏れインダクタンスを最小化することができる。
【0087】
案内突起27は、端子締結部20の一面から多数が並んで突出される形態に形成されることができ、本実施形態では、端子締結部20の下部面から下側に突出される場合を例に挙げている。
【0088】
案内突起27は、図2bに示されるように、巻線部12に巻線されるコイル50のリード線Lが端子締結部20の下部から外部接続端子30へ容易に配置されることができるようにリード線Lを案内するためのものである。したがって、案内突起27は、その間に配置されるコイル50を堅固に支持し案内することができるようにコイル50のリード線Lの直径以上に突出されることができる。
【0089】
このような案内突起27によって、巻線部12に巻線されるコイル50のリード線Lは、引出溝25を経てボビン30、即ち、端子締結部20の下部に移動した後、隣接して配置された案内突起27の間の空間を介して外部接続端子30と電気的に連結される。この際、コイル50のリード線Lは、拡張溝25aと案内突起27の側面を支持しその配置方向が転換されて外部接続端子30に結線されることができる。
【0090】
以上のように構成される本実施形態による端子締結部20は、コイル50をボビン10に自動で巻線する場合を考慮して導出された構成である。
【0091】
即ち、本実施形態によるボビン10の構成によって、ボビン10にコイル50を巻線する過程、飛越溝25を介してコイル50のリード線Lをボビン10の下部に飛び越える過程、案内突起27を介してリード線Lの経路を転換してリード線Lを外部接続端子30が形成された方向に引き出した後にリード線Lを外部接続端子30に締結する過程等が別途の自動巻線設備(図示せず)を用いて自動で行われることができる。
【0092】
また、従来では、ボビンに多数の個別コイルを巻線する場合、外部接続端子に引き出されるコイルのリード線が互いに交差するように配置され、これにより、リード線が互いに接触してコイル間に短絡が生じる問題があった。
【0093】
しかしながら、本実施形態によるトランス100は、コイル50のリード線Lが下部フランジ部15bの一面(即ち、端子締結部の案内溝)と他面(即ち、案内突起が形成された下部面)に分散配置されて外部接続端子30に結線されることができる。したがって、従来のトランスより多様な経路を介してコイル50のリード線Lが外部接続端子30に結線されるため、多数のリード線Lが互いに交差するか又は接触することを最小化することができる。
【0094】
このような端子締結部20には、多数の外部接続端子30が締結されることができる。外部接続端子30は、端子締結部20から外部に突出されるように形成され、トランス100の形態や構造又はトランス100が装着される基板の構造に応じて多様な形態に形成されることができる。
【0095】
即ち、本実施形態による外部接続端子30は、端子締結部20から本体部22の外径方向に突出されるように端子締結部20に締結されるが、本発明はこれに限定されず、外部接続端子30が端子締結部20の下部面から下側に突出されるように締結される等、必要に応じて多様な位置に形成されることができる。
【0096】
また、本実施形態による外部接続端子30は、入力端子30aと出力端子30bとを含んで構成される。
【0097】
入力端子30aは、1次側の端子締結部20aに締結され、1次コイル51のリード線Lと連結されて1次コイル51に電源を供給する。また、出力端子30bは、2次側の端子締結部20bに締結され、2次コイル52のリード線Lと連結されて2次コイル52と1次コイル51との巻線比に応じて設定される出力電源を外部に供給する。
【0098】
本実施形態による外部接続端子30は、多数(例えば、4個)の入力端子30aと多数(例えば、7個)の出力端子30bとを備える。これは、前述したように、本実施形態によるトランス100が一つの巻線部12に多数のコイル50を共に巻線するように構成されることにより導出された構成である。したがって、本発明によるトランス100は、外部接続端子30の数が上述した個数に限定されない。
【0099】
また、入力端子30aと出力端子30bは、同じ形状に形成されることができ、必要に応じて異なる形状に形成されることもできる。また、本実施形態による外部接続端子30は、リード線Lがより容易に結線されることができれば、多様に変形されることができる。
【0100】
例えば、図示されているように、外部接続端子30には、多数の突起32が形成されることができる。このような突起32は、コイル50が結線される位置を区分する役割をする突起32aと、基板実装時にトランスの実装高さを設定する突起32bとを含むことができる。
【0101】
以上のように構成される本実施形態によるボビン10は、射出成形によって容易に製造されることができるが、これに限定されるものではない。また、本実施形態によるボビン10は、絶縁樹脂からなることが好ましく、高耐熱性と高耐電圧性を有する材質からなることができる。例えば、ボビン10を形成する材質としては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びフェノール系樹脂等を用いることができる。
【0102】
コア40(core)は、一部がボビン10の内部に形成される貫通孔11に挿入されてコイル50と電磁結合する磁路を形成する。
【0103】
本実施形態によるコア40は、一対で構成され、ボビン10の貫通孔11に一部が挿入されて対向して接するように結合されることができる。このようなコア40としては、その形状によってEEコア、EIコア、UUコア、UIコア等を用いることができる。
【0104】
また、本実施形態によるコア40は、前述したボビン10の絶縁リブ19の形状によって、フランジ部15に接する部分の一部が凹んだ砂時計状に形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0105】
このようなコア40は、他の材質に比べて高透磁率、低損失、高飽和磁束密度、安定性及び低生産コストを有するMn−Zn系フェライト(ferrite)で形成されることができる。しかしながら、本発明の実施形態では、コア40の形態や材質が限定されない。
【0106】
一方、図示されてはいないが、ボビン10に巻線されたコイル50とコア40との絶縁を確保するために、ボビン10とコア40との間に絶縁テープが介在されることができる。
【0107】
このような絶縁テープは、コア40とボビン10が対面するコア40の全ての内部面に対応して介在されることができ、コイル50とコア40が対面する部分に対してのみ部分的に介在されることができる。
【0108】
コイル50は、ボビン10の巻線部12に巻線され、1次コイルと2次コイルとを含むことができる。
【0109】
図5は、図3のB−B'線に沿う断面を、図6は、図3のA−A'線に沿う断面を部分的に示す図であり、ボビン10にコイル50が巻線された状態の断面が示されている。
【0110】
図5及び図6を共に参照すると、1次コイル51は、相互に電気的に絶縁される多数のコイルNp1、Np2、Np3を含むことができる。本実施形態による1次コイル51は、一つの巻線部12内に3個の独立したコイルNp1、Np2、Np3がそれぞれ巻線されて形成されている。したがって、本実施形態による1次コイル51は、全部で6筋のリード線Lが引き出されて外部接続端子30に結線される。一方、説明の便宜のため、図1には、代表的に数筋のリード線Lのみを示した。
【0111】
図5を参照すると、本実施形態による1次コイル51としては、全て類似した厚さのコイルNp1、Np2、Np3を用いる場合が示されている。しかしながら、本発明は、これに限定されず、必要に応じて1次コイル51を構成する各コイルNp1、Np2、Np3の厚さが相違するように構成することも可能である。また、各コイルNp1、Np2、Np3の巻線数は、必要に応じて同一であるか又は異なるように構成されることができる。
【0112】
さらに、本実施形態によるトランス100は、多数の1次コイル51のうち少なくともいずれか一つの1次コイル51(例えば、Np2、Np3)に電圧を印加する場合、他の1次コイル51(例えば、Np1)にも電磁誘導によって電圧が引き出されることができる。したがって、これを、後述するディスプレイ装置に利用することも可能である。
【0113】
このように、本実施形態によるトランス100は、多数のコイルNp1、Np2、Np3で1次コイル51を構成することにより、多様な電圧を印加することができ、これに対応して2次コイル52を介して多様な電圧を引き出すことができる。
【0114】
一方、本実施形態による1次コイル51は、本実施形態のように独立した3個のコイルNp1、Np2、Np3に限定されず、必要に応じて様々な数のコイルを利用することができる。
【0115】
2次コイル52は、1次コイル51と同様に、巻線部12に巻線される。特に、本実施形態による2次コイル52は、1次コイル51の間でサンドイッチ状に積層され巻線される。
【0116】
このような2次コイル52は、1次コイル51と同様に、相互に電気的に絶縁される多数のコイルが巻線されて形成されることができる。
【0117】
より詳細には、本実施形態では、2次コイル52が相互に電気的に絶縁される4個の独立したコイルNs1、Ns2、Ns3、Ns4を含む場合を例に挙げている。したがって、本実施形態による2次コイル52は、全部で8筋のリード線Lが引き出されて外部接続端子30に結線されることができる。
【0118】
また、2次コイル52の各コイルNs1、Ns2、Ns3、Ns4としては、全て同じ厚さのコイルを用いるか又は相違する厚さのコイルを選択的に用いることができ、各コイルNs1、Ns2、Ns3、Ns4の巻線数も、必要に応じて同一であるか又は異なるように構成されることができる。
【0119】
特に、本実施形態によるトランス100は、1次コイル51と2次コイル52が巻線される構造においても特徴を有する。以下、図を参照してより詳細に説明する。
【0120】
前述したように、本実施形態による1次コイル51は、独立した3個のコイル(以下、Np1、Np2、Np3)を含む。また、2次コイル52は、独立した4個のコイル(以下、Ns1、Ns2、Ns3、Ns4)を含む。
【0121】
このようなそれぞれのコイル50は、本体部13の外周面上で多様な順及び形態に配置されるように巻線されることができる。
【0122】
本実施形態の場合、1次コイル51のうちNp2は、本体部13の外周面上で巻線され、Np3及びNp1は、Np2から一定間隔離隔して巻線空間12a、12bの最外側に順次巻線される。また、Np2とNp3との間には、2次コイル52であるNs1、Ns2、Ns3、Ns4が順次配置される。
【0123】
ここで、1次コイル51のうちNp2とNp3は、同じ材質のコイルが同数で巻線されることができ、それぞれのリード線Lが同じ外部接続端子30に結線されるように構成されることができる。
【0124】
また、2次コイル52は、端子締結部20の最外側に配置される外部接続端子30にリード線Lが結線されるコイルを最内側に配置することができる。即ち、図5の場合、Ns1のリード線Lが外部接続端子30のうち最外側に配置された外部接続端子30に結線されることができる。
【0125】
しかしながら、本発明は、これに限定されず、それぞれの個別コイルNp1〜Ns4に誘導される電圧や巻線数等を基にして配置順を設定する等の多様な応用が可能である。
【0126】
このような本実施形態によるそれぞれのコイルNp1〜Ns4は、隔壁14で分割された空間12a、12b内に均一に分散配置されるように巻線される。
【0127】
より詳細には、それぞれのコイルNp1〜Ns4は、上部巻線空間12aと下部巻線空間12bにそれぞれ同数で巻線され、図5に示されるように垂直的に同じ層を形成するように配置される。これにより、上部巻線空間12aと下部巻線空間12bに巻線されたそれぞれのコイルNp1〜Ns4は、同じ形状をなすように巻線される。
【0128】
このような構成は、コイル50の巻線状態に応じてトランス100から漏れインダクタンスが生じることを最小化するためのものである。
【0129】
一般的に、ボビンの巻線部にコイルが巻線される時、コイルが全体的に均一に巻線されず、いずれか一方に偏って巻線されるか又は不均一に配置され巻線されると、これにより、トランスに漏れインダクタンスが増加する問題が生じる。また、このような問題は、巻線部の空間が大きく形成されるほど深化されることもある。
【0130】
したがって、本実施形態によるトランス100は、上述した理由によって生じる漏れインダクタンスを最小化するために、隔壁14を利用して巻線部12を多数の空間12a、12bに分割する。また、コイル50は、分割されたそれぞれの空間12a、12bに均一に巻線される。
【0131】
図7aから図7eは、図5に示されるコイルの巻線方法を説明するための図であり、以下では、これらを共に参照して本実施形態によるトランス100のコイル巻線方法を説明する。
【0132】
まず、図7aを参照すると、特定コイル(例えば、Np2)がまず下部巻線空間12bで一つの層を形成しながら巻線される。この際、Np2は、1次コイルであるため、1次側の端子締結部20aの下部面から引出溝25を介して下部巻線空間12bに引き込まれる。
【0133】
下部巻線空間12bに引き込まれたNp2は、下部巻線空間12bの下端(即ち、下部フランジ部の内部面)から巻線が始まり、ボビン10の上部へ順次巻線される。
【0134】
その後、図7bに示されるように、Np2は、飛越溝14aを介して上部巻線空間12aに飛び越えられ、上部巻線空間12aでも同様に一つの層を形成しながら巻線される。この際、下部巻線空間12bと同様に、Np2は、ボビン10の上部へ順次巻線される。
【0135】
このような過程によって、上部巻線空間12aと下部巻線空間12bに一つの層を形成しながらNp2が巻線されると、図7cに示されるようにNp2は再度図7bにおける巻線されたNp2上に積層される形態に新たな層を形成しながら巻線される。また、前述した過程に対応して、図7dに示されるように、下部巻線空間12bにも均一に巻線される。
【0136】
以後、図7eに示されるように、他のコイル(例えば、Ns1)が、前述した過程と同じ方式でNp2上に新たな層を形成しながら積層される形態に巻線されることができる。この際、Ns1は、2次コイルであるため、2次側の端子締結部20bの下部面から飛越溝を介して下部巻線空間12bに引き込まれ巻線される。
【0137】
上述した過程に従って残りのコイル(例えば、Ns2、Ns3、Ns4、Np3、Np1の順)の巻線が完了すると、図5に示される形態にコイルが巻線される。
【0138】
ここで、前述したように、上部巻線空間12aと下部巻線空間12bに巻線されるコイルNp1〜Ns4の巻線数は、それぞれ同一に設定される。例えば、Ns1の総巻線数が18回の場合、上記Ns1は、上部巻線空間12aに9回、下部巻線空間12bに9回でそれぞれ均一に分散配置されるように巻線される。
【0139】
また、巻線数が奇数に設定される場合は、総巻線回数の10%以内の比率で差をつけて巻線することができる。例えば、巻線数が50回の場合、上部23回、下部27回で巻線することができる。
【0140】
一方、図を参照すると、本実施形態では、Ns1を稠密に巻線せず、第一の層には8回、第二の層には10回巻線した。これにより、Ns1のリード線(図示せず)は、二つが全て巻線部12の下部に向かうようになるため、端子締結部20に容易に引き出されて外部接続端子30に結線されることができる。
【0141】
本実施形態の場合、説明の便宜のため、Ns1に対してのみ上述した巻線構造を示したが、これに限定されず、他のコイルにも容易に適用されることができる。
【0142】
このように、本実施形態によるトランス100は、巻線空間12a、12bの幅に比べて巻線数やコイルの厚さが小さくてコイル(例えば、Ns1)が巻線部12内で稠密に巻線されることができなくても、巻線部12が多数の空間12a、12bに分割されているため、コイル(例えば、Ns1)がいずれか一方に偏らずそれぞれの分割された空間12a、12b内で同じ位置に分散配置されるように巻線されることができる。
【0143】
このような本実施形態によるトランス100は、上述したボビン10の構造及び巻線方式に応じてそれぞれの独立したコイルNp1〜Ns4が上部巻線空間12aと下部巻線空間12bに均一に分散されて配置される。これにより、巻線部12を全体的に見ると、コイルNp1〜Ns4がいずれか一方に偏って巻線されるか又は不均一に離隔されて巻線されることを防止することができ、不規則にコイルNp1〜Ns4が巻線されることにより生じる漏れインダクタンスを最小化することができる。
【0144】
一方、本実施形態によるコイルNp1〜Ns4としては、通常の絶縁コイル(例えば、ポリウレタンワイヤ、Polyurethane Wire)等を用いることができ、数筋のワイヤを捻って形成した撚線状のコイル(例えば、リッツワイヤ(Litz Wire)等)を用いることができる。また、高絶縁性の多重絶縁コイル(例えば、TIW、Triple Insulated Wire)を用いる等、必要に応じて選択的に用いることができる。
【0145】
また、図示されてはいないが、それぞれの個別コイルの間には、個別コイル間の絶縁性を確保するために、絶縁テープや絶縁層が介在されることができる。
【0146】
しかしながら、本発明は、これに限定されない。即ち、それぞれの個別コイルの全て(又は一部)がTIW等の多重絶縁電線で構成されると、個別コイル間の絶縁性を確保することができるため、絶縁テープは省略されることができる。
【0147】
多重絶縁電線は、導電体の外部に数層(例えば、3層)で絶縁体を形成してコイルの絶縁性を高めたコイルで、3重絶縁コイル51bを用いる場合、導電体と外部との絶縁性を容易に確保することができるため、コイル間の絶縁距離を最小化することができる。しかしながら、このような多重絶縁電線は、一般絶縁コイル(例えば、ポリウレタンワイヤ)に比べて製造コストが上昇するという短所がある。
【0148】
よって、本発明によるトランスは、製造コストを最小化し製造工程を短縮するために、1次コイル51と2次コイル52のいずれか一つに対してのみ多重絶縁コイルを用いることができる。
【0149】
図5を参照すると、本実施形態によるトランス100は、1次コイル51として多重絶縁コイルを用いる場合を例に挙げている。この場合、1次コイル51である多重絶縁コイルは、巻線部12に積層され巻線されるコイル50の最内側と最外側にそれぞれ配置される。
【0150】
このように巻線されたコイル50の最内側と最外側に多重絶縁コイルを配置すると、1次コイル51である多重絶縁コイルが、一般絶縁コイルである2次コイル52と外部との間で絶縁層の役割をするようになる。したがって、外部と2次コイル52との絶縁性を容易に確保することができる。
【0151】
一方、本実施形態では、1次コイル51である多重絶縁コイルがコイル50の最内側と最外側に全て配置される場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。即ち、必要に応じて内側又は外側のいずれか一側のみに選択的に多重絶縁コイルを配置するように構成することもできる。
【0152】
また、後述する実施形態のように、必要に応じて多様な形態にコイルを配置することができる。
【0153】
図8は、本発明の他の実施形態によるトランスを示す斜視図である。図8は、図3のA−A'線に沿う断面を示しており、ボビンにコイルが巻線された状態の断面が示されている。
【0154】
これを参照すると、本実施形態によるコイルは、前述した実施形態と同様に、1次コイル51と2次コイル52とを含んで構成される。
【0155】
即ち、1次コイル51は、独立した3個のコイル(以下、Np1、Np2、Np3)を含み、2次コイル52は、独立した4個のコイル(以下、Ns1、Ns2、Ns3、Ns4)を含んで構成される。ここで、2次コイル52は、Ns2とNs3に印加される各電圧の差が最も大きく形成されることができる。
【0156】
また、本実施形態によるコイルは、1次コイル51と2次コイル52の少なくとも一つが多重絶縁電線で構成されることができる。本実施形態では、1次コイル51は、多重絶縁電線であり、2次コイル52としては、通常のコイル(例えば、ポリウレタンワイヤ)を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0157】
このような1次コイル51は、巻線部12内でそれぞれ一定間隔で離隔して配置され、2次コイル52は、1次コイル51の間の空間に介在される形態に配置される。
【0158】
より詳細には、本実施形態によるトランス200は、ボビン10の外周面上に1次コイル51のうちいずれか一つの個別コイル(例えば、Np2)が巻線される。また、Np2の外側には、2次コイル52の一部(例えば、Ns1、Ns2)が順次積層され巻線される。
【0159】
また、Ns2の外側には、再度1次コイル51のうちもう一つの個別コイル(例えば、Np1)が積層され巻線され、その外側には、残りの2次コイル52(例えば、Ns3、Ns4)が順次積層され巻線される。また、最外郭には、さらに他の1次コイル51(例えば、Np3)が積層され巻線される。
【0160】
即ち、本実施形態によるトランス200は、Np2が本体部13の外周面上に巻線され、Np3は最外郭に配置されるようにそれぞれ離隔して巻線される。また、Np2とNp1との間には2次コイル52であるNs1、Ns2が、Np1とNp3との間にはNs3、Ns4が順次配置されることができる。即ち、Np1は、2次コイル52の間に介在される形態に配置される。
【0161】
ここで、前述したように、本実施形態による2次コイル52は、Ns2とNs3にそれぞれ印加される電圧の差が最も大きく構成されるため、上述した二つの個別コイルNs2、Ns3が互いに隣接して配置され、その間に別途の絶縁膜(例えば、絶縁テープ等)が介在されない場合、相互間に絶縁が破壊される可能性がある。
【0162】
このため、本実施形態によるトランスは、Ns2とNs3との間に1次コイル51であるNp1が介在される形態にコイルが配置される。即ち、2次コイル52のうち相互間に電圧差が大きい個別コイルNs1、Ns2、Ns3、Ns4は、1次コイル51によって互いに離隔するように配置する。
【0163】
前述したように、本実施形態による1次コイル51としては、全て高絶縁性の多重絶縁電線を用いる。したがって、この場合、電圧差が大きいNs2とNs3は、高絶縁性のNp1によって相互間の絶縁性が確保される。
【0164】
また、このように、1次コイル51を全て多重絶縁電線で構成する場合、1次コイル51の高絶縁性によって、1次コイル51と2次コイル52との絶縁も確保することができる。本実施形態によるトランス200は、従来の1次コイル51と2次コイル52との間に介在されていた絶縁テープを省略することができる。
【0165】
したがって、本実施形態によるトランス200は、絶縁テープを用いるか又はコイル50全体を多重絶縁コイルで構成する場合に比べて製造コストを減らすことができる。また、絶縁テープを付着する工程を全て省略することができるため、製造工程が短縮され製造時間を最小化することができる。
【0166】
さらに、巻線部12の最外郭に配置されるコイル(例えば、Np3)が多重絶縁電線で構成されるため、該当コイルNp3とコア(図1の40)との絶縁性も容易に確保することができる。
【0167】
一方、本実施形態では、1次コイル51のみを多重絶縁電線で構成する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。即ち、1次コイル51ではなく2次コイル52を多重絶縁電線で構成しても、同じ効果が得られる。
【0168】
また、本実施形態では、1次コイル51の間に2次コイル52を配置する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて2次コイル52の間に1次コイル51を適宜配置することもできる。
【0169】
以上のように構成される本発明によるトランスは、前述した実施形態に限定されず、多様な応用が可能である。
【0170】
後述するトランスは、前述した実施形態によるトランスと類似した形態に構成され、ボビンの構造において最も大きな差を有する。したがって、前述した実施形態によるトランスと同じ構成に関しては詳細な説明を省略し、ボビンの構造を中心に説明する。
【0171】
図9は、本発明のさらに他の実施形態によるトランスを示す斜視図であり、図10a及び図10bは、図9に示されるトランスの側面を示す斜視図である。ここで、図9及び図10aは、コイルが省略された状態のトランスを示しており、図10bは、コイルが巻線された状態のトランスを示している。
【0172】
また、図11は、図9に示されるボビンの下部面を概略的に示す斜視図である。
【0173】
図9から図11を参照すると、本実施形態によるトランス300は、コイル50とボビン10とコア40とを含んで構成される。
【0174】
コイル50は、前述した実施形態と同一に構成されることができる。したがって、これに関する詳細な説明は省略する。
【0175】
コア40は、一部がボビン10の内部に形成される貫通孔11に挿入されてコイル50と電磁結合する磁路を形成する。
【0176】
本実施形態によるコア40は、一対で構成され、ボビン10の貫通孔11に一部が挿入されて対向して接するように結合されることができる。
【0177】
また、本実施形態によるコア40は、トランス300の下部に配置される部分(以下、下部面)の一部が凹んだ砂時計状に形成されることができる。これは、後述するボビン10の端子締結部20の形状に沿うもので、端子締結部20に関する説明でより詳細に説明する。
【0178】
本実施形態によるボビン10は、本体部13と、本体部13の両端から外径方向に拡張されるフランジ部15を含んで構成される巻線部12と、巻線部12の下部に形成される端子締結部20と、を含んで構成される。
【0179】
巻線部12は、前述した実施形態と同様に構成される。即ち、本体部13の外周面にコイル50が巻線され、隔壁14によって空間が分割される。隔壁14には、前述した実施形態で説明した飛越溝14aが形成されることができる。
【0180】
また、本体部13の両端には、上部フランジ部15aと下部フランジ部15bが形成される。また、下部フランジ部15bには、前述した実施形態で説明した引出溝25及び拡張溝25aが形成されることができる。
【0181】
一方、本実施形態によるトランス300は、下部フランジ部15bの下部空間18(以下、リード線飛越部)にコイルのリード線Lが配置される。したがって、リード線Lと巻線部に巻線されたコイル50との絶縁(例えば、沿面距離等)を確保するために、下部フランジ部15bは、上部フランジ部15aよりさらに長く外部に突出されることができる。即ち、下部フランジ部15bは、引出溝25が形成された方向に沿って面積が拡張されて上部フランジ部15aより広い面積で形成されることができる。
【0182】
端子締結部20は、下部フランジ部15bから下部へ一定間隔離隔して形成される。より詳細には、端子締結部20は、下部フランジ部15bから下部へ一定距離で伸び、伸びた端から下部フランジ部15bと平行に本体部13の外径方向に突出される形態に形成されることができる。
【0183】
このような端子締結部20は、コア40の外部に露出される下部フランジ部15bの両端の下部に二つ(20a、20b)が形成されることができ、この二つの端子締結部20a、20bには、1次コイルと2次コイルがそれぞれ連結されることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、必要に応じていずれか一方に一つの端子締結部20のみを形成し、この一つの端子締結部20に1次コイル51と2次コイル52とが全て連結されるように構成する等の多様な応用が可能である。
【0184】
また、二つの端子締結部20a、20bの間の空間は、コア40の一部(即ち、コアの下部面)が挿入される空間として利用される。したがって、端子締結部20a、20bの間の空間は、コア40の下部面の外形に対応する形状に形成されることができる。
【0185】
前述したように、本実施形態によるコア40は、下部面の一部が凹んだ形状に形成される。したがって、端子締結部20は、このようなコア40の形状に沿って下部フランジ部15bから下部に伸びるように形成され、これにより、下部フランジ部15bと端子締結部20との間には一定のサイズの空間が確保される。
【0186】
下部フランジ部15bと端子締結部20との間に確保される空間は、コイル50のリード線Lが配置される空間であるリード線飛越部18として利用される。
【0187】
これにより、巻線部12に巻線されたコイル50は、リード線Lが下部フランジ部15bの引出溝25を介して下部フランジ部15bの下部に引き出されてリード線飛越部18に配置される。そして、リード線飛越部18内でリード線Lは、その配置方向が転換されて外部接続端子30に連結されることができる。
【0188】
この際、リード線Lは、下部フランジ部15bに形成された拡張溝25aに挿入された後、拡張溝25aの側壁を支持しその配置方向が転換されることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されない。即ち、リード線飛越部18内には、リード線Lの配置方向を転換するために、別途の案内突起(図示せず)を形成することもできる。
【0189】
案内突起は、前述した実施形態の案内突起(図2bの27)と類似した形状に端子締結部20の上部面から突起状に突出されるように形成されることができる。しかしながら、これに限定されず、下部フランジ部15bの下部面から突出されるように形成する等の多様な応用が可能である。
【0190】
このような場合、リード線飛越部18内のリード線Lは、案内突起の側面を支持しその配置方向が転換されることができる。
【0191】
このように構成される本実施形態によるトランス300は、コイル50のリード線Lが巻線部12内に配置されず、引出溝25と拡張溝25aを介して巻線された位置から垂直方向に沿ってリード線飛越部18に直接引き出された後、外部接続端子30に連結される。
【0192】
したがって、巻線部12の内部に巻線されるコイル50が全体的に均一に巻線されることができ、これにより、コイル50の屈曲等によって生じる漏れインダクタンスを最小化することができる。
【0193】
また、別途のリード線飛越部18を備えるため、多数のリード線Lをより容易に配置することができる。また、リード線飛越部18の内部にリード線Lが配置されるため、リード線Lが外部に露出されることを最小化し、リード線Lが外部と物理的に接触することにより破損されることを防止することができる。
【0194】
一方、本実施形態によるトランス300は、端子締結部20が下部フランジ部15bから離隔される距離がコア40の厚さに対応する。より詳細には、下部フランジ部15bの下部面から端子締結部20の下部面までの垂直距離(図9のD1)は、コア40の下部面の厚さ(図10のD2)と同一であるか又は小さく形成されることができる。これにより、端子締結部20の下部面は、コア40の下部面と同じ平面上に配置されるか又はコア40の下部面より上部に配置されるように形成される。
【0195】
このような構成によって、本実施形態によるトランス300は、前述した実施形態によるトランス(図1の100)に比べてリード線飛越部18がさらに備えられるが、トランス全体のサイズにおいては同じ高さを維持することができる。
【0196】
一方、本発明は、上述した構成に限定されず、必要に応じて端子締結部20の下部面がコア40の下部面より下部に配置されるように構成する等の多様な応用が可能である。
【0197】
また、本実施形態では、端子締結部20が巻線部12と一体に形成される場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、巻線部12と端子締結部20をそれぞれ製造した後、これらを結合して一体型のボビンを形成する等の多様な応用が可能である。
【0198】
図12は、本発明の実施形態による平板ディスプレイ装置を概略的に示す分解斜視図である。
【0199】
図12を参照すると、本発明の実施形態による平板ディスプレイ装置1は、ディスプレイパネル4と、トランス100が実装された電源供給部5と、カバー2、8と、を含むことができる。
【0200】
カバー2、8は、フロントカバー(front cover)2とバックカバー(back cover)8とを含み、相互結合されて内部に空間を形成することができる。
【0201】
ディスプレイパネル4は、カバー2、8によって形成される内部空間内に配置され、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機発光ダイオード(OLED)等の多様な平板ディスプレイパネルが利用されることができる。
【0202】
電源供給部(SMPS)5は、ディスプレイパネル4に電源を提供する。電源供給部5は、印刷回路基板6に多数の電子部品が実装されて形成されることができ、特に、前述した実施形態によるトランス100、200、300の少なくとも一つが実装されることができる。本実施形態では、図1のトランス100を利用する場合を例に挙げる。
【0203】
電源供給部5は、シャシー7に固定され、ディスプレイパネル4と共にカバー2、8によって形成される内部空間内に配置されて固定されることができる。
【0204】
この際、電源供給部5に実装されるトランス100は、コイル(図1の50)が印刷回路基板6と平行をなす方向に巻線される。また、印刷回路基板6の平面上で見ると(Z方向)、コイル50は、時計方向又は反時計方向に巻線される。したがって、コア40の一部(即ち、上部面)は、バックカバー8と平行をなし磁路を形成する。
【0205】
これにより、本実施形態によるトランス100は、コイル50によって生じる磁場のうちバックカバー8とトランス100との間に形成される磁束が殆どコア40内に磁路を形成するため、バックカバー8とトランス100との間に漏れ磁束が生じることを最小化することができる。
【0206】
したがって、本実施形態によるトランス100は、その外部に別途の遮蔽装置(例えば、遮蔽シールド等)を採用しなくても、トランス100の漏れ磁束と金属材質のバックカバー8間の干渉によるバックカバー8の振動を防止することができる。
【0207】
よって、平板ディスプレイ装置1のような薄型の電子機器にトランス100が装着されてバックカバー8とトランス100との間隔が非常に狭く形成されても、バックカバー8の振動による騒音の発生を防止することができる。
【0208】
以上のように構成される本発明によるトランスは、ボビンの巻線空間が多数に均一に分割され、この分割された空間にそれぞれの個別コイルが均一に分散されて巻線される。また、それぞれの個別コイルは、積層状に巻線される。
【0209】
これにより、巻線部内で個別コイルがいずれか一方に偏って巻線されるか又は不均一に離隔されて巻線されることを防止することができ、したがって、不規則なコイルの巻線によって生じる漏れインダクタンスを最小化することができる。
【0210】
また、本発明によるトランスは、1次コイル及び2次コイルの少なくともいずれか一つに対して多重絶縁電線を用いることができる。この場合、多重絶縁電線の高絶縁性によって別途の絶縁膜(例えば、絶縁テープ)なしに1次コイルと2次コイルとの絶縁も確保することができる。
【0211】
したがって、従来の1次コイルと2次コイルとの間に介在されていた絶縁テープを省略することができ、絶縁テープを付着する工程を全て省略することができるため、製造コスト及び製造時間を減らすことができる。
【0212】
特に、本発明によるトランスは、全ての個別コイルを多重絶縁コイルで構成せず、一部の個別コイルのみを多重絶縁コイルで構成し、相互間に電圧差が大きい個別コイルの間に多重絶縁電線が介在されるようにコイルを積層配置する。これにより、多重絶縁電線を最小限に用いながらも個別コイル間の絶縁性の確保が可能であるため、製造コストを減らすことができる。
【0213】
また、本発明によるトランスは、自動化された製造方法に適するように構成されることを特徴とする。より詳細には、本発明によるトランスは、手作業でコイルの間に巻かれて介在されていた従来の絶縁テープを省略することができる。
【0214】
絶縁テープを用いる従来の場合は、ボビンにコイルを巻線した後、絶縁テープを手作業で付着し、再度コイルを巻線する方法を繰り返して行ったため、多くの製造時間とコストが必要とされている。
【0215】
しかしながら、本発明によるトランスは、絶縁テープの付着過程が省略されるため、自動巻線設備を用いてボビン上に個別コイルを連続的に積層巻線することができる。したがって、製造時に必要とされるコストと時間を大幅減らすことができるという長所がある。
【0216】
また、本発明によるトランスは、コイルが端子締結部の上部面のみならず下部面を介しても外部接続端子と連結されることができる。したがって、より多様な経路を介してコイルのリード線が外部接続端子に締結されることができるため、リード線間の接触によって短絡が発生する問題を防止することができる。
【0217】
また、本発明によるトランスは、コイルのリード線が巻線部内に配置されず、引出溝を介して巻線部の外部に直接引き出されるため、巻線部の内部にコイルが均一に巻線されることができ、コイルの屈曲等によって生じる漏れインダクタンスを最小化することができる。
【0218】
また、本発明によるトランスは、ボビンにリード線飛越部が備えられる場合、リード線が外部に露出されることを最小化することができるため、リード線が外部と物理的に接触して破損されることを防止することができる。
【0219】
また、本発明によるトランスが基板に実装される場合、トランスのコイルは基板と平行に巻線された状態が維持される。このように、コイルが基板と平行に巻線される場合、トランスから生じる漏れ磁束が外部と干渉することを最小化することができる。
【0220】
したがって、薄型のディスプレイ装置にトランスが装着されても、トランスから発生する漏れ磁束とディスプレイ装置のバックカバー間に干渉が発生することを最小化することができるため、トランスによってディスプレイ装置から騒音が発生することを防止することができる。よって、薄型のディスプレイ装置にも容易に採用されることができる。
【0221】
上述した本発明によるトランスは、前述した実施形態に限定されず、多様な応用が可能である。例えば、前述した実施形態では、ボビンのフランジ部と隔壁が四角形に形成される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これに限定されず、円形や楕円形等、必要に応じて多様な形状に構成することができる。
【0222】
また、前述した実施形態では、ボビンの本体部が円形の断面を有するように形成される場合を例に挙げたが、これに限定されず、楕円形や多角形の断面で形成されるように構成する等の多様な応用が可能である。
【0223】
また、前述した実施形態では、端子締結部が下部フランジ部又は下部フランジ部の下部に形成される場合を例に挙げたが、これに限定されず、上部フランジ部又は上部フランジ部の上部に形成されるように構成する等の多様な応用が可能である。
【0224】
また、前述した実施形態では、案内突起が端子締結部の下部面から突出され、案内溝が端子締結部の上部面に形成される場合を例に挙げたが、これに限定されず、案内突起が端子締結部の上部面に形成され、案内溝が端子締結部の下部面に形成されるように構成する等、必要に応じて多様な組み合わせが可能である。
【0225】
さらに、前述した実施形態では、絶縁型スイッチングトランスを例に挙げて説明したが、これに限定されず、多数のコイルが巻線されて形成されるトランス、コイル部品及び電子機器であれば、幅広く適用されることができる。
【符号の説明】
【0226】
100、200、300 トランス
10 ボビン
11 貫通孔
12 巻線部
13 本体部
14 隔壁
14a 飛越溝
15 フランジ部
15a 上部フランジ部
15b 下部フランジ部
18 リード線飛越部
19 絶縁リブ
20 端子締結部
22 案内溝
25 引出溝
27 案内突起
30 外部接続端子
30a 入力端子
30b 出力端子
40 コア
50 コイル
51、Np1、Np2、Np3 1次コイル
52、Ns1、Ns2、Ns3、Ns4 2次コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルがそれぞれ配置され巻線される本体部、及び当該本体部の両端から外径方向に拡張されるフランジ部を備える巻線部と、
前記巻線部に結合されるコアと
を含み、
前記フランジ部のうち前記本体部の一端に形成されるフランジ部は少なくとも一つの引出溝を含み、前記コイルは前記引出溝を介して前記巻線部の外部に引き出される、トランス。
【請求項2】
前記巻線部の一端から一定距離離隔して形成され、複数の外部接続端子が締結される端子締結部を含む、請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
前記巻線部と前記端子締結部との間の空間に形成され、前記コイルのリード線が挿入されて前記外部接続端子に配置されるリード線引出部を含む、請求項2に記載のトランス。
【請求項4】
前記巻線部は、前記本体部の外周面に形成される少なくとも一つの隔壁によって複数の巻線空間が形成される、請求項1から3の何れか1項に記載のトランス。
【請求項5】
前記隔壁は少なくとも一つの飛越溝を備え、前記コイルは前記飛越溝を介して前記隔壁を飛び越えて巻線される、請求項4に記載のトランス。
【請求項6】
前記リード線引出部には、前記端子締結部又は前記フランジ部から突出される少なくとも一つの案内突起が形成される、請求項3に記載のトランス。
【請求項7】
前記引出溝は、前記本体部の外周面が露出されるように前記フランジ部の一部が切開されて形成される、請求項1から6の何れか1項に記載のトランス。
【請求項8】
前記本体部の一端に形成されるフランジ部は、前記本体部と隣接する部分から前記引出溝の幅が拡張される形態に形成される拡張溝を含む、請求項1から7の何れか1項に記載のトランス。
【請求項9】
前記拡張溝は、角部が面取り加工されて形成される、請求項8に記載のトランス。
【請求項10】
前記本体部の一端に形成されるフランジ部は、前記引出溝が形成された方向に沿って面積が拡張されて残りの前記フランジ部のうち前記本体部の他端に形成されるフランジ部より広い面積で形成される、請求項1から9の何れか1項に記載のトランス。
【請求項11】
前記端子締結部は前記コアの外部に露出されるように形成される、請求項2に記載のトランス。
【請求項12】
前記端子締結部は、前記コアの厚さに対応して前記巻線部の一端から離隔して配置される、請求項11に記載のトランス。
【請求項13】
前記コイルは、複数の1次コイルと、複数の2次コイルと、を含む、請求項1から12の何れか1項に記載のトランス。
【請求項14】
前記コイルは、前記複数の1次コイルの間に前記複数の2次コイルが介在されるように積層され巻線される、請求項13に記載のトランス。
【請求項15】
前記1次コイルは、多重絶縁コイルである、請求項14に記載のトランス。
【請求項16】
前記複数のコイルの少なくとも一つは、多重絶縁コイルである、請求項1から15の何れか1項に記載のトランス。
【請求項17】
前記多重絶縁コイルは、前記巻線部に積層され巻線される前記コイルの最内側又は最外側の少なくとも一方の側に配置される、請求項16に記載のトランス。
【請求項18】
請求項1から17の何れか1項に記載のトランスの少なくとも一つが基板上に実装されて形成される電源供給部と、
前記電源供給部から電源が供給されるディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルと前記電源供給部を保護するカバーと
を含んで構成される、ディスプレイ装置。
【請求項19】
前記トランスの前記コイルは、前記電源供給部の前記基板と平行に巻線される、請求項18に記載のディスプレイ装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−4962(P2013−4962A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87177(P2012−87177)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】