説明

トリムリテーナ

【課題】トリムリテーナを提供すること。
【解決手段】リテーナは、内部リブをもつ可撓性のあるアームを採用する。本発明の別の様態では、リテーナは、アームから横方向に延びる、少なくとも1つのほぼ三角形形状の突出部を有する。本発明のさらに別の様態では、リテーナは、横方向に拡がる部材と、ヘッド及びステムを保持するトリムパネルと、中央柱と、柱の先端部と横方向に拡がる部材との間に可撓性をもって延びる1つ又はそれ以上の可撓性のあるウイングと、内部リブ及び/又は各々のアームから可撓性をもって延びる少なくとも一対の一般に傾斜した延長部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、ファスナに関し、より特定的には、自動車のトリムリテーナに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のポリマーファスナは、自動車業界において、内部トリムパネルを板金構造体に保持するために用いられている。このような従来のファスナの例が、以下の、「Fastening Clip」という名称で、1997年1月14日にEto他に付与された米国特許番号第5,592,719号、「Fastener Including Elastic Legs for Retaining the Fastener in a Mounting Hole」という名称で、1996年11月12日にAsami他に付与された米国特許第5,573,362号、及び、「Fastener Assembly with Compression Member」という名称で、1994年4月12日にBenoitに付与された米国特許番号第5,301,396号において開示されており、これら全てが引用によりここに組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの既知のファスナは、望ましい抜き取り力に対する挿入力を提供して、さらに自動調心及び過度の圧縮に対する抵抗を達成する試みが不成功に終わっている。さらに、多くの通常のポリマーファスナは、多くの場合、鋭利な板金の穴縁部から取り外した後は、満足に再利用できない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、リテーナは、内部リブをもつ可撓性のあるアームを採用する。本発明の別の様態では、リテーナは、アームから横方向に延びる、少なくとも1つのほぼ三角形形状の突出部を有する。本発明のさらに別の様態では、リテーナは、横方向に拡がる部材と、ヘッド及びステムを保持するトリムパネルと、中央柱と、柱の先端部と横方向に拡がる部材との間に可撓性をもって延びる1つ又はそれ以上の可撓性のあるウイングと、内部リブ及び/又は各々のアームから可撓性をもって延びる少なくとも一対の一般に傾斜した延長部とを備える。
【0005】
本発明のリテーナは、本発明のリブは、リテーナが設計された板金穴を通過するために、各々アームが望まれる以上に過度に圧縮されたり又は潰されたりしないようにすることにより、望ましくない「設置」状態になることを防ぐ点で、通常のファスナに比べて有利である。さらに、ほぼ三角形の突出部又は傾斜した延長部は、従来のドアトリムリテーナに比べて、より大きい範囲の再利用において、幾分高く、より一貫した抜き取り力を実現するのに役立つ。本発明の付加的な利点及び特徴は、添付の図面と関連して取り扱われる、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1ないし図3、図5及び図7を参照すると、トリムリテーナすなわちファスナ11は、第1の円形ヘッド13と、円形の円筒形ステム15と、円形の第2のヘッド17と、第2のステム19と、横方向に拡がったアンブレラ21とを有する。第2のステム19は、各々がほぼ矩形の断面形状を有する4つの半径方向に延びる支柱によって区切られた、円形の円筒形中心部分を有する。アンブレラ21は、幾分可撓性があり、先細上部表面23を有しており、幾分凹状のアンダーカット底面25を有する。内部トリムパネル29のドッグハウス27は、第1のヘッド13と第2のヘッド17との間の第1のステム15に取り外し可能に取り付けられる。さらに、アンブレラ21の下方縁部31は、穴35及び本体パネル33を通る水分の伝達を防ぐために、構造体パネル33の面に対してシールする。
【0007】
柱51は、アンブレラ21の底部から、中央に同軸上に延びる。柱51は、各々がわずかに湾曲した構成を有する相対する横方向縁部53と、中央平坦セグメント57に連結された、わずかに先細の幾分平坦な内部セグメント55とにより定められた典型的な断面形状を有する。先細先端部59は、アンブレラ21と向かい合う柱51の先端に位置する。アーム71は、先端部59に隣接する柱51の先端とアンブレラ21の底面25との間に、可撓性をもって延びる。代替的には、アーム71の後端部が柱51の後端部に可撓性をもって連結されることが想定されるが、その性能は、好ましい実施形態程は望ましいものではないとすることができる。好ましい実施形態に戻ると、柱51は縦方向に細長く、アーム71もまた、主に縦方向に細長いが、傾斜したセグメント73の第1の先頭部と逆に傾斜した固定セグメント75とにより定められている。互いに鏡対称で、柱51によって分けられた2つのアーム71がある。外部ノッチ77は、各々のアーム71上に位置している。
【0008】
内方に突出するリブ81は、各々のアーム71の内部表面から、幾分縦方向に細長く延びている。各々のリブ81は、隣接するアームのセグメントより横方向幅が少ないほぼ矩形の断面形状を有する。さらに、ほぼ三角形形状の、一対の角度をもった延長ウイング83が、各々のアーム71の横方向縁部から横方向にかつ周方向に突出している。リテーナ11は、衝撃改質アセタール共重合体プラスチック材料から射出成形されることが好ましいが、代替的に、他の材料を採用してもよいことが理解される。
【0009】
使用中、自動車の内部ドアトリムパネルといった内部トリムパネルは、リテーナ11のヘッド及びステムに固定される。ステム15は、図7に示すように、ドッグハウス27のキー穴の開口部に滑るようにスナップ留めされる。その後、リテーナ11の先端部59は、板金本体パネル33(例えば、構造ドアパネル又はクォーター内部パネル)の穴35と位置合わせされる。このことは、図4、図6及び図7において最もよく観察することができる。トリムパネル29は、次に、人為的に本体パネル33の方向に押し込まれて、各々のアーム71の前セグメント73に対する穴35の内側縁部の接触が、各々のアーム71を柱51の方向に内側に撓ませるようにする。このように、リブ81は、図6で見られるように、自由位置から圧縮位置81’に移動される。各々のリブ81’の内部縁部は、各々のアーム71の過度の圧縮及び設置を防ぐために、柱51のほぼ平行なセグメント57(図5参照)に動作可能に接触する。本体パネル33は、ウイング83の前縁部に対して乗り、これによって穴35を通る隣接するアームセグメントに対して、位置83’(図4参照)に内方に撓ませられる。アーム71及びウイング83は、図6に示すように、リテーナ11が完全に本体パネル33に挿入された時には、わずかな圧縮で、実質的に、それらの自由位置に戻る。柱51のわずかに先細になったセグメント55がウィング83の内方撓みを可能にし、中央セグメント57は、アーム71が完全に圧縮された時にリブ81に対して動作可能に当接することに注目すべきである。このように、著しく改善された抜き取り力の一貫性、改善された再利用可能な性能、挿入の際の自動調心、及びアーム設置の最小化が、本発明により可能である。
【0010】
トリムリテーナの特定の態様が開示されたが、その他の変形態様を採用できることを理解されたい。例えば、本発明のトリムリテーナは、以下に限定されるものではないが、装飾成形、パッケージシェルフ、帆船トリムパネル、天井の内張り、照明器具、トランクトリム及び同様なものといった他の自動車部品を固定するためにも用いることができる。さらに、例えば、付加的な半径及び同様なものをもって、わずかに異なるウイング、リブ、アーム、柱及びその他の形状を与えることができるが、本発明の種々の利点は実現されないことがある。また、本発明のリブが、本発明のウイングと組み合わせて用いられてもよいし、又は用いられなくてもよいが、本発明の種々の利点は実現されないことがあることを理解されたい。さらに、柱及び先端部は、完全に挿入される前に、付加的な位置合わせ及び位置決め特徴を与えるために、アームの前交差部を超えて縦方向に延びることができるが、ここでも、本発明の種々の利点は実現されないことがある。或いは、より多い又はより少ないヘッド及びウイングを含むことができるが、本発明の種々の利点は実現されないことがあることが想定される。特許請求の範囲が、本発明の真の精神内に入る開示された実施形態のこれら及びあらゆる他の逸脱をカバーすることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のトリムリテーナの好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】自由状態で配置された好ましい実施形態のリテーナを示す側面図である。
【図3】図2に対して90度の角度を取る、好ましい実施形態のリテーナを示す側面図である。
【図4】実線が自由状態を示し、破線が圧縮された挿入状態を示す、先端部から見た好ましい実施形態のリテーナの端面図である。
【図5】図3の線5−5に沿って取った、好ましい実施形態のリテーナを示す断面図である。
【図6】実線が自由状態を示し、想像線が圧縮された挿入状態を示す、好ましい実施形態のリテーナを示す、図2のような側面図である。
【図7】内部トリムパネルを自動車の本体パネルに取り付けた、好ましい実施形態のリテーナを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0012】
11:ファスナ(リテーナ)
13:第1の円形ヘッド
15:円形の円筒形ステム
17:円形の第2のヘッド
19:第2のステム
21:アンブレラ
27:ドッグハウス
29:内部トリムパネル
33:本体パネル
35:穴
51:柱
53:横方向縁部
55:平坦な内部セグメント
57:中央平坦セグメント
59:先端部
71:アーム
73:傾斜セグメント
75:逆傾斜セグメント
77:ノッチ
81:リブ
83:ウイング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に細長い中央柱と、
前記柱の後端部に固定された横方向に拡がる部材と、
第1の端部が前記柱に可撓性をもって結合された少なくとも1つの細長いアームと、
前記アームから内方に延び、自由位置にある時には前記柱から離れるように離間され、前記アームの挿入中は前記柱にすぐ隣接する内側の位置に移動されるリブと、
を含むことを特徴とするリテーナ装置。
【請求項2】
ステムと、前記ステムにより前記横方向に拡がる部材に結合されたヘッドとをさらに含み、前記横方向に拡がる部材が、前記柱に隣接する実質的に凹状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項3】
第2のステムと、前記第2のステムによって前記第1のヘッドに結合された第2のヘッドとをさらに含み、前記ヘッド及び前記横方向に拡がる部材が実質的に同軸であり、前記ステム及び前記柱が実質的に同軸であることを特徴とする請求項2に記載のリテーナ装置。
【請求項4】
前記柱に結合されたステム及びヘッドと、前記ステム及び前記ヘッドに取り付けられた自動車の内部トリムパネルとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項5】
前記アームの第2の端部が、前記横方向に拡がる部材に可撓性をもって連結されることを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項6】
実質的に、前記リブと前記横方向に拡がる部材との間の前記アームの外面上に配置された構造パネル係合ノッチをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項7】
前記柱に可撓性をもって結合された第2のアームと、前記第2のアームから内方に突出するリブとをさらに含み、2つの前記アームだけが前記柱から可撓性をもって延びることを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項8】
前記柱が、前記アームに面する実質的に平坦な表面セグメントを有することを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項9】
前記アームの両側の縁部から横方向に延びる、実質的に三角形の2つの突出部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項10】
前記横方向に延びる部材、前記柱、及び前記アームが、全て単一のポリマー材料部品であることを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項11】
リブが前記アームの伸長方向に延びており、前記アームに隣接するセグメントの断面より小さい横方向断面を有することを特徴とする請求項1に記載のリテーナ装置。
【請求項12】
縦方向に細長い中央柱と、
前記柱の後端部に固定された横方向に拡がる部材と、
前記柱に可撓性をもって結合された少なくとも1つの細長いアームと、
各々が前記アームの両側の横方向側部縁から突出する少なくとも一対の傾斜した延長部と、
を含むことを特徴とするリテーナ装置。
【請求項13】
ステムと、前記ステムにより前記横方向に拡がる部材に結合されたヘッドとをさらに含む、前記横方向に拡がる部材が、前記柱に隣接して、実質的に凹状の形状を有することを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項14】
第2のステムと、前記第2のステムによって前記第1のヘッドに結合された第2のヘッドとをさらに含み、前記ヘッド及び前記横方向に拡がる部材が実質的に同軸であり、前記ステム及び前記柱が実質的に同軸であることを特徴とする請求項13に記載のリテーナ装置。
【請求項15】
前記柱に結合されたステム及びヘッドと、前記ステム及び前記ヘッドに取り付けられた自動車の内部トリムパネルとをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項16】
前記アームの第2端部が、前記横方向に拡がる部材に可撓性をもって連結されることを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項17】
前記傾斜した延長部間の前記アームの外面上に配置された構造パネル係合ノッチをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項18】
前記柱に可撓性をもって結合された第2のアームと、前記第2のアームから内方に突出するリブとをさらに含み、2つの前記アームだけが前記柱から可撓性をもって延びることを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項19】
前記柱が、前記アームに面する実質的に平坦で先細になった表面セグメントを有することを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項20】
前記傾斜した延長部の各々が実質的に三角形形状であることを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項21】
前記横方向に延びる部材、前記柱、及び前記アームが、全て単一のポリマー材料部品であることを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項22】
前記アームの内面から突出するリブをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項23】
前記傾斜した延長部が、挿入された時に、前記アームの隣接する部分に対して可撓性があることを特徴とする請求項12に記載のリテーナ装置。
【請求項24】
自動車の内部トリムパネルと、
縦方向に細長い中央柱と、
前記柱に結合されたアンブレラと、
前記柱及び前記アンブレラに可撓性をもって結合された2つのアームと、
前記アームの各々から内方に延び、自由位置にある時には前記柱から離れるように離間され、前記アームが撓む間は前記柱にすぐ隣接する内側の位置に撓まされるリブと、
ステムと、
前記ステムにより前記アンブレラに結合された少なくとも1つのヘッドと、
を含み、前記トリムパネルは前記ヘッド及び前記ステムの少なくとも一方に結合されており、
前記ポスト、前記アンブレラ、前記ヘッド、及び前記アームの全てが、単一のポリマー部品である、
ことを特徴とするリテーナ装置。
【請求項25】
自動車の内部トリムパネルと、
縦方向に細長い中央柱と、
前記柱に結合されたアンブレラと、
前記柱及び前記アンブレラに可撓性をもって結合された2つのアームと、
ステムと、
前記ステムにより前記アンブレラに結合された少なくとも1つのヘッドと、
を含み、前記トリムパネルは前記ヘッド及び前記ステムの少なくとも一方に結合されており、
前記アームの各々の横方向縁部から延び、前記アームの隣接する部分に対して可撓性がある、2つの実質的に三角形の突出部と、
を含み、
前記柱、前記アンブレラ、前記ヘッド、前記突出部、及び前記アームの全てが、単一のポリマー部品であることを特徴とするリテーナ装置。
【請求項26】
自動車のトリムパネル及び構造本体パネルと共にファスナを用いる方法であって、
(a)ファスナを自動車のトリムパネルに取り付けるステップと、
(b)前記ファスナの先細先端部を本体パネルの穴に挿入するステップと、
(c)ステップ(b)の間、前記先端部から延びる少なくとも一対のアームを互いの方向に内側に撓ませるステップと、
(d)前記アームの各々から延びる内部リブによって、前記アームの圧縮を、少なくとも部分的に防ぐステップと、
(e)ステップ(b)の間、前記各々のアームの両側の横方向縁部に隣接して三角形に延びる突出部を各々のアームに対して内側に撓ませるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記リテーナを、ポリマー材料で単体として製造するステップをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記リブが中央柱に対して当接しており、各々のリブが、各々の対応するアームの伸長方向に延びることを特徴とする請求項26に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−239991(P2007−239991A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29965(P2007−29965)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(504075577)ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (117)
【Fターム(参考)】